JP2006125486A - 保持器付きころ - Google Patents

Abstract

【課題】 一定のスペース内で大きな負荷容量が得られ、保持器が銅系材質等のサイドワッシャ等の隣接部品と摺接する場合にも、双方の摩耗が軽減される保持器付きころを提供する。
【解決手段】 この保持器付きころは、外方部材３および内方部材４からなる保持器１と、ころ２とを備える。外方部材３は、ころ配列のピッチ円径ＰＣＤより大径の環状部３ａと、その両端部を内径側に折曲した鍔部３ｂとを有する。内方部材４はころ配列のピッチ円径ＰＣＤより小径の環状に形成する。外，内の部材３，４にポケット５，６を設け、ころ２を収容する。外方部材３は、合成樹脂製とする。鍔部３ｂは、外方部材３に設ける代わりに内方部材４に設け、内方部材４を合成樹脂製としても良い。
【選択図】 図１

Description

この発明は、建設機械や、自動車のオートマチックトランスミッションの遊星減速機構等、一定のスペース内で高負荷容量が求められる用途で使用される保持器付きころに関する。

一定のスペース内で最大の負荷容量を得る軸受として総ころ形式があるが、取り扱い上の問題点、すなわち組立・分解時の取扱性の悪さがあり、また、使用中の、ころスキューによる機能的な問題が内在している。これらの問題を解決するため、保持器付きころが種々提案されている。

図８に示した保持器付きころは、その一例を示す（特許文献１）。この保持器付きころは、外方部材４３および内方部材４４からなる保持器４１と、ころ４２とを備える。外方部材４３は、ころ配列のピッチ円ＰＣＤより大径の環状部４３ａと、その両端部を内径側に折曲した鍔部４３ｂとを有する。内方部材４４はころ配列のピッチ円ＰＣＤより小径の環状に形成する。外，内の部材４３，４４にポケット４５，４６を設け、ころ４２を収容する。

この保持器付きころでは、保持器４１を外方部材４３および内方部材４４の２部品としているので、外側へのころ抜け止めと、内側へのころ抜け止めの機能を、外方部材４３および内方部材４４にそれぞれ分担させることができ、各部材の機能が簡略化される。このため、外方部材４３および内方部材４４の形状がシンプルとなり、製造が容易となって、ポケット間の柱部分をどこまで狭くできるかの加工限界を上げることが可能となる。これにより、一定スペースでころ本数をできるだけ増やすことができ、最大の負荷容量を有するものとできる。また、このように外方部材４３および内方部材４４の形状がシンプルとなることから、ころ案内機能も向上し、強度面、精度面でも優れたものとできる。また、外方部材４３に、内方部材４４側に突出する鍔部４３ｂを設けているので、保持器４１の強度が向上する。
特開２０００−１７９５４４号公報

遊星歯車減速装置における遊星歯車の支持等に保持器付きころを用いた場合、その両側に、保持器付きころと接触するスラスト支持部材としてサイドワッシャを介在させることが多い。保持器付きころの保持器は、サイドワッシャと摺接することになる。
しかし、高負荷容量型の保持器付きころにおける保持器は、旋削またはプレス成形等による鉄製のものである。一方、遊星部に使用されるスラスト支持用のサイドワッシャは銅系材質が主流である。このため、希薄潤滑・高速回転下で使用されると、保持器４１とサイドワッシャとの接触に伴うワッシャ摩耗が顕著となり、結果的に軸受挙動の不安定や、摩耗粉の発生による早期損傷等の問題が生じる。

この発明の目的は、一定のスペース内で大きな負荷容量を得ることができ、ころ案内機能、強度面、精度面でも優れると共に、保持器がサイドワッシャなどの隣接部品と摺接する場合にも双方の耐摩耗性を向上させることができる保持器付きころを提供することである。
この発明の他の目的は、遊星歯車の支持がコンパクトな構成で行え、かつサイドワッシャと軸受の保持器との摺接による摩耗が軽減できる遊星歯車減速装置を提供することである。

この発明の第１の保持器付きころは、外方部材および内方部材からなる保持器と、ころとを備え、上記外方部材は、ころ配列のピッチ円径より大径の環状部と、この環状部の軸方向両端部を内径側に折曲した鍔部とを有し、上記内方部材はころ配列のピッチ円径より小径の環状に形成し、上記外方部材の環状部および内方部材の円周方向複数箇所にポケットを設け、これら外方部材および内方部材のポケットにわたって上記ころを収容し、上記外方部材を合成樹脂製としたことを特徴とする。

この構成によると、保持器を外方部材および内方部材からなるものとしたため、限られたスペース内で、ころ本数を増大できて、大きな負荷容量を得ることができ、またころ案内機能、強度面、精度面でも優れたものとなる。外方部材が鍔部を有するため、強度がより向上する。
この鍔部を有する外方部材を合成樹脂製としたため、樹脂の持つ自己潤滑性のため、隣接部品との摩擦による保持器および隣接部品の摩耗の問題が軽減される。例えば、この保持器付きころが、遊星歯車減速装置における遊星歯車の支持に用いられ、保持器の側面に沿って銅系材質のサイドワッシャが配置された状態で使用される場合にも、サイドワッシャと接触する鍔部が合成樹脂性であるため、その自己潤滑性能により、保持器とサイドワッシャとの接触による両部品の摩耗が軽減される。その結果、摩耗に起因する軸受挙動の不安定化や、摩耗粉による早期損傷を防止できる。

この発明の第２の保持器付きころは、第１の保持器付きころにおいて、外方部材の代わりに内方部材を鍔部付きとし、合成樹脂製としたものである。
すなわち、第２の保持器付きころは、外方部材および内方部材からなる保持器と、ころとを備え、上記外方部材はころ配列のピッチ円径より大径の環状に形成し、上記内方部材は、ころ配列のピッチ円径より小径の環状部と、この環状部の軸方向両端部を外径側に折曲した鍔部とを有し、上記外方部材および内方部材の環状部の円周方向複数箇所にポケットを設け、これら外方部材および内方部材のポケットにわたって上記ころを収容し、上記内方部材を合成樹脂製としたことを特徴とする。
この構成の場合も、この発明の第１の保持器付きころと同様に、一定のスペース内で大きな負荷容量を得ることができ、ころ案内機能、強度面、精度面でも優れると共に、保持器がサイドワッシャなどの隣接部品と摺接する場合にも双方の耐摩耗性を向上させることができる。

この発明において、前記鍔部の先端側の周縁部における各ころの配置される周方向位置に、切欠を設けても良い。
鍔部に上記切欠を設けると、通油性が良くなり、軸受の耐ピーリング特性が向上し、長寿命化が可能となる。

この発明において、前記外方部材および内方部材のうちの前記鍔部を設けた部材における、鍔部の外面とこの鍔部の外面に続く周面との角部に沿って、段差部を設けても良い。 この段差部を設けた場合も、通油性が良くなり、軸受の耐ピーリング特性が向上し、長寿命化が可能となる。

この発明の保持器付きころは、遊星歯車減速装置における遊星歯車とこの遊星歯車を支持する軸との間に設置され、かつこの保持器付きころの側面に沿って銅系材質のサイドワッシャが配置された状態で使用されるものであっても良い。
このように銅系材質のサイドワッシャと擦れ合う状態で保持器付きころが使用される場合に、保持器の鍔部を合成樹脂製として自己潤滑性を向上させたことにより、保持器およびサイドワッシャの双方の摩耗が軽減される。

この発明の遊星歯車減速装置は、内歯または外歯の太陽歯車と、この太陽歯車と同心に回転自在に設けられたキャリアと、このキャリアの周方向複数箇所にそれぞれ支持された軸に保持器付きころを介して設置されて太陽歯車に噛み合う複数の遊星歯車とを備え、前記保持器付きころの軸方向の側面に、銅系材質のスラストワッシャを配置した遊星歯車減速装置において、上記保持器付きころを、外方部材および内方部材からなる保持器と、これら外方部材および内方部材の周方向複数箇所に設けられたポケットに収容されて上記遊星歯車およびクランク軸の間で転動する複数のころにより構成し、上記外方部材および内方部材は、各々ころ配列のピッチ円径よりも大径の環状部および小径の環状部で構成され、これら外方部材および内方部材のうち一方の部材は、上記環状部の軸方向両端に他方の部材側へ径方向に延びる鍔部を有し、合成樹脂製のものとする。
このような遊星歯車減速装置においては、遊星歯車の支持に大荷重が必要となり、またその支持部は限られたスペースとなるが、上記の外方部材および内方部材の２部材に分けた保持器によると、このような限られたスペース内でころ本数の増加やころ径増大を図ることができ、大きな負荷容量を得ることができる。また、保持器を構成する外方部材および内方部材のうち一方の部材を、上記環状部の軸方向両端に他方の部材側へ径方向に延びる鍔部を有するものとし、かつ合成樹脂製としたので、互いに摺接する保持器およびサイドワッシャの双方の耐摩耗性を向上させることができる。特に、銅系材質のスラストワッシャを使用しながら、その摩耗が防止できる。

この発明の第１の保持器付きころは、外方部材および内方部材からなる保持器と、ころとを備え、上記外方部材は、ころ配列のピッチ円径より大径の環状部と、この環状部の軸方向両端部を内径側に折曲した鍔部とを有し、上記内方部材はころ配列のピッチ円径より小径の環状に形成し、上記外方部材の環状部および内方部材の円周方向複数箇所にポケットを設け、これら外方部材および内方部材のポケットにわたって上記ころを収容し、前記外方部材を合成樹脂製としたため、一定のスペース内で大きな負荷容量を得ることができ、ころ案内機能、強度面、精度面でも優れると共に、保持器がサイドワッシャなどの隣接部品と摺接する場合にも双方の耐摩耗性を向上させることができる。
この発明の第２の保持器付きころは、第１の保持器付きころにおいて、外方部材の代わりに内方部材を鍔部付きとし、合成樹脂製としたものであるため、第１の保持器付きころと同様に、一定のスペース内で大きな負荷容量を得ることができ、ころ案内機能、強度面、精度面でも優れると共に、保持器がサイドワッシャなどの隣接部品と摺接する場合にも双方の耐摩耗性を向上させることができる。

この発明の第１の実施形態にかかる保持器付きころを図１と共に説明する。この保持器付きころは、保持器１とのころ２とからなり、保持器１は、外方部材３および内方部材４で構成される。外方部材３は、ころ配列のピッチ円ＰＣＤの径より大径の環状部３ａと、この環状部３ａの軸方向両端部を内径側に折曲した鍔部３ｂとを有する。内方部材４は、ころ配列のピッチ円ＰＣＤの径より小径の環状に形成する。これら外方部材３の環状部３ａおよび内方部材４は、円筒状のものであり、円周方向複数箇所に等間隔でポケット５，６をそれぞれ設ける。これら外方部材３および内方部材４のポケット５，６にわたって上記のころ２を収容する。外方部材３および内方部材４の隣合うポケット５間およびポケット６間の部分は、それぞれ柱部７，８となる。
外方部材３は、合成樹脂製とされる。内方部材４の材質は特に問わないが、例えば鉄等の金属製とされる。

鍔部付き側の部材である外方部材３は、ポケット５の幅ｍが、ころ２の外径Ｄａよりも僅かに小さく、ころ２が外方に脱落するのを防止する。鍔無し側の内方部材４も同様に、ポケット６の幅ｎが、ころ２の外径Ｄａよりも僅かに小さい寸法に形成され、ころ２が内方に脱落するのを防止する。内方部材６のポケット６は、ころ案内形状とされている。すなわち、このポケット６は、円周方向両側のポケット内面が、ころ２を抱く傾斜面６ａに形成されている。

この構成の保持器付きころによると、保持器１を外方部材３および内方部材４からなるものとしたため、限られたスペース内で、できるだけ多くのころ本数を収容することができる。また、鍔部３ｂを有する外方部材３を合成樹脂製としたため、合成樹脂の持つ自己潤滑性のため、隣接部品との摩擦による保持器および隣接部品の摩耗が軽減される。例えば、この保持器付きころが、遊星歯車減速装置における遊星歯車の支持に用いられ、保持器の側面に沿って銅系材質のサイドワッシャが配置された状態で使用される場合であっても、サイドワッシャと接触する鍔部３ｂが合成樹脂製であるため、その自己潤滑性能により、保持器１とサイドワッシャとの接触による両部品の摩耗が軽減される。その結果、摩耗に起因する軸受挙動の不安定化や、摩耗粉による早期損傷を防止できる。

図２は、第２の実施形態を示す。この実施形態の保持器付きころは、外方部材３Ａ以外は、第１の実施形態と同じであるため、対応部分に同一符合を付してその説明を省略する。外方部材３Ａが合成樹脂製であって、ころ配列のピッチ円径ＰＣＤより大径の環状部３Ａａと、この環状部３Ａａの軸方向両端部を内径側に折曲した鍔部３Ａｂとを有し、環状部Ａ３ａの円周方向複数箇所にポケット５Ａを設けたことは、第１の実施形態の外方部材３と同じである。この実施形態の外方部材３Ａでは、鍔部３Ａｂの外面と、この鍔部３Ａｂの外面に続く環状部３Ａａの外周面との角部に沿って、全周に続く段差部９を設けており、この点で第１の実施形態の外方部材３と異なる。
このように、外方部材３Ａに上記段差部９を設けることによって、通油性が良くなり、保持器付きころの耐ピーリング特性が向上し、長寿命化が可能となる。

図３は、第３の実施形態を示す。この実施形態の保持器付きころも、外方部材３Ｂ以外は、第１の実施形態と同じであるため、対応部分に同一符合を付してその説明を省略する。外方部材３Ｂが合成樹脂製であって、ころ配列のピッチ円径ＰＣＤより大径の環状部３Ｂａと、この環状部３Ｂａの軸方向両端部を内径側に折曲した鍔部３Ｂｂとを有し、環状部３Ｂａの円周方向複数箇所にポケット５Ｂを設けたことは、第１の実施形態の外方部材３と同じである。この実施形態の外方部材３Ｂでは、鍔部３Ｂｂの先端側の周縁部における各ころ２の配置される周方向位置に、切欠１０をそれぞれ設けており、この点で第１の実施形態の外方部材３と異なる。
このように、外方部材３Ｂに上記切欠１０を設けることによって、通油性が良くなり、保持器付きころの耐ピーリング特性が向上し、長寿命化が可能となる。

図４は、第４の実施形態を示す。この実施形態の保持器付きころは、いわば第１の実施形態の外方部材３と内方部材４との構成を逆にしたものである。外方部材３Ｃは、ころ配列のピッチ円径ＰＣＤより大径の環状に形成する。内方部材４Ａは合成樹脂製であって、ころ配列のピッチ円径ＰＣＤより小径の環状部４Ａａと、この環状部４Ａａの軸方向両端部を外径側に折曲した鍔部４Ａｂとを有する。これら外方部材３Ｃおよび内方部材４Ａの環状部４Ａａには、円周方向複数箇所に等間隔でポケット５Ｃ，６Ａをそれぞれ設け、両ポケット５Ｃ，６Ａにわたってころ２を収容する。鍔付き側の内方部材４Ａは内径案内（軌道輪案内）とされ、鍔無し側の外方部材３Ｃは、ポケット５Ｃの内面が傾斜面５Ｃａに形成され、ころ案内形式となっている。

図５は、第５の実施形態を示す。この実施形態の保持器付きころは、内方部材４Ｂ以外は、図４に示す第４の実施形態と同じであるため、対応部分に同一符合を付してその説明を省略する。内方部材４Ｂが合成樹脂製であって、ころ配列のピッチ円径ＰＣＤより大径の環状部４Ｂａと、この環状部４Ｂａの軸方向両端部を内径側に折曲した鍔部４Ｂｂとを有し、環状部４Ｂａの円周方向複数箇所にポケット６Ｂを設けたことは、図４の実施形態の内方部材４Ａと同じである。この場合の内方部材４Ｂは、鍔部４Ｂｂの外面と、この鍔部４Ｂｂの外面に続く環状部４Ｂａの外周面との角部に沿って段差部９Ｂを設けており、この点が図４の実施形態の内方部材４Ａと異なる。

図６は、第６の実施形態を示す。この実施形態の保持器付きころも、内方部材４Ｃ以外は、図４に示す第４の実施形態と同じであるため、対応部分に同一符合を付してその説明を省略する。内方部材４Ｃが樹脂製であって、ころ配列のピッチ円径ＰＣＤより大径の環状部４Ｃａと、この環状部４Ｃａの軸方向両端部を内径側に折曲した鍔部４Ｃｂとを有し、環状部４Ｃａの円周方向複数箇所にポケット６Ｃを設けたことは、図４の実施形態の内方部材４Ａと同じである。この場合の内方部材４Ｂでは、鍔部４Ｂｂの先端側の周縁部における各ころ２の配置される周方向位置に、切欠１０Ｃをそれぞれ設けており、この点が図４の実施形態の内方部材４Ａと異なる。

これら図４ないし図６に示す各実施形態は、それぞれ図１ないし図３に示す実施形態に対して外方部材と内方部材の関係を逆にしたものであるが、それぞれ図１ないし図３に示す各実施形態で述べたと同様な作用，効果が得られる。

図７は、この発明の保持器付きころを応用した遊星歯車減速装置の一例を示す。この例は、回転が順次伝達されるように、２つの遊星歯車減速装置を設けた状態を示す。同図では、各遊星歯車減速装置の遊星歯車２１，２２とキャリア２３，２４との関係を示しており、遊星歯車減速装置としての構成は一部を省略して示している。
遊星歯車２１は、第１のキャリア２３に設けれた支持軸２３ａに保持器付きころ２５を介して設置される。遊星歯車２１は、キャリア２３の円周方向の複数箇所（例えば３か所）に等配されている。他の遊星歯車２２は、第２のキャリア２４に設けられた支持軸２４ａに、保持器付きころ２６を介して設置されている。遊星歯車２２は、キャリア２４の円周方向の複数箇所（例えば４か所）に等配されている。

各保持器つきころ２５，２６のころは、遊星歯車２１，２２と支持軸２３ａ，２３ｂの外径面を転動する。また、各保持器付きころ２５，２６の軸方向の側面に沿って、銅系材質のスラストワッシャ３１，３２が配置されている。スラストワッシャ３１，３２は、各遊星歯車２１，２２の両側で、キャリア２３，２４の遊星歯車２１，２２に対面する部分と遊星歯車２１，２２との間に配置され、それぞれ支持軸２３ａ，２４ａの外周に回転自在に配置されている。

遊星歯車２１，２２はケーシング２７に設けられた内歯の太陽歯車２８ａ，２８ｂに噛み合う。また、一方の遊星歯車２１は、回転軸３０に設けられた第１の外歯太陽歯車３０ａに噛み合い、他方の遊星歯車２２は回転軸３０に設けられた第２の外歯太陽歯車３０ｂに噛み合う。各キャリア２３，２４は、内歯の太陽歯車２８ａ，２８ｂと同心に回転自在に設けられる。上記各保持器付きころ２５，２６に、この発明の保持器付きころ、例えば上記第１の実施形態の保持器付きころが用いられる。
なお、この遊星歯車減速装置は、建設機械や、自動車のオートマチックトランスミッションに使用され、あるいは斜板型アキシャルプランジャポンプに組み込まれて、ポンプ部の駆動のための斜板の駆動に使用される。

この構成の遊星歯車減速装置は、第１のキャリア２３の回転が回転軸３０に伝達され、回転軸３０の回転が遊星歯車２２を介して第２のキャリア２４に減速して伝達される。この遊星歯車減速装置は、遊星歯車２１，２２と支持軸２３ａ，２４ａの間に介在した保持器付きころ２５，２６に、大きな負荷が作用し、しかもこれらの保持器付きころ２５，２６の設置スペースは、減速装置全体の大型化を避けるために限られたスペースとなる。また、これらの保持器付きころ２５，２６の軸方向の側面は、銅系材質のスラストワッシャ３１，３２を介してキャリア２３，２４等の部品と隣接する。しかし、上記各実施形態の保持器付きころによると、限られたスペース内で大きな負荷容量を得ることができ、また外方部材３または内方部材４のいずれかに、他方の部材側へ突出する鍔部３ｂを有しているため、隣接部品の内径面等に噛み込み状態に干渉する問題が生じない。また、鍔部付きとした外方部材３あるいは内方部材４は合成樹脂製としているので、その材質の持つ自己潤滑性のため、銅系材質のスラストワッシャ３１，３２との摺接による保持器１およびスラストワッシャ３１，３２の双方の摩耗を軽減できる。

（Ａ）はこの発明の第１の実施形態にかかる保持器付きころの部分破断側面図、（Ｂ）は同部分破断正面図である。 この発明の他の実施形態にかかる保持付きころの部分破断側面図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる保持付きころの部分破断側面図である。 （Ａ）はこの発明のさらに他の実施形態にかかる保持器付きころの部分破断側面図、（Ｂ）は同部分破断正面図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる保持付きころの部分破断側面図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる保持付きころの部分破断側面図である。 図１の保持器付きころを用いた遊星歯車減速装置の部分断面図である。 （Ａ）は従来の保持器付きころの部分破断側面図、（Ｂ）は同部分破断正面図である。

符号の説明

１…保持器
２…ころ
３，３Ａ，３Ｂ，３Ｃ…外方部材
３ａ，３Ａａ，３Ｂａ…環状部
３ｂ，３Ａｂ，３Ｂｂ…鍔部
４，４Ａ，４Ｂ，４Ｃ…内方部材
４Ａａ，４Ｂａ，４Ｃａ…環状部
４Ａｂ，４Ｂｂ，４Ｃｂ…鍔部
５，５Ａ，５Ｂ，５Ｃ，６，６Ａ，６Ｂ，６Ｃ…ポケット
９，９Ｂ…段差部
１０，１０Ｃ…切欠
２１，２２…遊星歯車
２３，２４…キャリア
２３ａ，２４ａ…支持軸
２５，２６…保持器付きころ
３０…回転軸
２８ａ，２８ｂ，３０ａ，３０ｂ…太陽歯車
３１，３２…スラストワッシャ

Claims (6)

1. 外方部材および内方部材からなる保持器と、ころとを備え、上記外方部材は、ころ配列のピッチ円径より大径の環状部と、この環状部の軸方向両端部を内径側に折曲した鍔部とを有し、上記内方部材はころ配列のピッチ円径より小径の環状に形成し、上記外方部材の環状部および内方部材の円周方向複数箇所にポケットを設け、これら外方部材および内方部材のポケットにわたって上記ころを収容し、前記外方部材を合成樹脂製としたことを特徴とする保持器付きころ。
2. 外方部材および内方部材からなる保持器と、ころとを備え、上記外方部材はころ配列のピッチ円径より大径の環状に形成し、上記内方部材は、ころ配列のピッチ円径より小径の環状部と、この環状部の軸方向両端部を外径側に折曲した鍔部とを有し、上記外方部材および内方部材の環状部の円周方向複数箇所にポケットを設け、これら外方部材および内方部材のポケットにわたって上記ころを収容し、上記内方部材を合成樹脂製としたことを特徴とする保持器付きころ。
3. 請求項１または請求項２において、前記鍔部の先端側の周縁部における各ころの配置される周方向位置に、切欠を設けた保持器付きころ。
4. 請求項１または請求項２において、前記外方部材および内方部材のうちの前記鍔部を設けた部材における、鍔部の外面とこの鍔部の外面に続く周面との角部に沿って、段差部を設けた保持器付きころ。
5. 請求項１ないし請求項４のいずれか１項に記載の保持器付きころであって、遊星歯車減速装置における遊星歯車とこの遊星歯車を支持する軸との間に設置され、かつこの保持器付きころの側面に沿って銅系材質のサイドワッシャが配置された状態で使用されるものである保持器付きころ。
6. 内歯または外歯の太陽歯車と、この太陽歯車と同心に回転自在に設けられたキャリアと、このキャリアの周方向複数箇所にそれぞれ支持された軸に保持器付きころを介して設置されて前記太陽歯車に噛み合う複数の遊星歯車とを備え、前記保持器付きころの軸方向の側面に摺接する銅系材質のスラストワッシャを設けた遊星歯車減速装置において、上記保持器付きころを、外方部材および内方部材からなる保持器と、これら外方部材および内方部材の周方向複数箇所に設けられたポケットに収容されて上記遊星歯車およびクランク軸の間で転動する複数のころにより構成し、上記外方部材および内方部材は、各々ころ配列のピッチ円径よりも大径の環状部および小径の環状部で構成され、これら外方部材および内方部材のうち一方の部材は、上記環状部の軸方向両端に他方の部材側へ径方向に延びる鍔部を有し、合成樹脂製のものとした遊星歯車減速装置。

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