JP2006123389A - プラスチック製中空二重壁構造体 - Google Patents

Abstract

【課題】補強材としてＨ型構造の部材を用いることにより、そりあるいはよじれを発生することなく、より軽量なプラスチック製中空二重壁構造体を提供する。
【解決手段】 プラスチック製中空二重壁構造体１はブロー成形により一体成形されたもので、間隔をおいて対向する表壁２および裏壁と、表壁２および裏壁の周縁部を閉塞する周囲壁４からなり、ブロー成形時に表壁２の外面に布等の表皮材５を積層張り合わせた構造である。プラスチック製中空二重壁構造体１の長手方向中央部の内部には、補強用リンフォース（Ｈ型部材）の少なくとも一方を固定するための規制壁（インナーリブ或いはウエルドリブ）を設け、周囲壁４の中央部にはリンフォースを挿入するための開口部（挿通孔）１０が設けてあり、更に、規制壁として裏壁の長手方向中央部に中空二重壁構造体にリンフォース７を固定するための凹部構造が２箇所設ける。
【選択図】図１

Description

本発明は、自動車用フロアリッド等の中空二重壁構造のプラスチック製ブロー成形品、およびその製造方法に関するものであり、特にこのブロー成形品の補強構造に関する。

従来の自動車用フロアリッドにおける補強方法は、各種の方法が提案されている。例えば特許第３４７２４６０号（テイ・エス テック株式会社）では、直線状に連続する空洞部を成型体と一体にブロー成形し、この空洞部の内部に補強材として鋼製の角形パイプを挿入し、ブロー成形体に固定する方法が記載されている。しかしこの角鋼パイプではフロアリッドの重量軽減が十分でない。補強パイプの形状に関しては、このほかにキョーラク株式会社出願の関連特許において、特開平１１−１２９３２２号では表面にメッキを施した三角筒状、楕円筒状があり、特開平１１−１５６９２６号及び特開平１１−１８８７８２号では金属製の円形状がある。これらは、いずれも軽量化に関しては十分に満足できるものではなかった。
特許第３４７２４６０号公報 特開平１１−１２９３２２号公報 特開平１１−１５６９２６号公報 特開平１１−１８８７８２号公報

上記従来の技術では、ブロー成形したフロアリッドの補強に使用される補強材は、円形、角形、三角形、楕円形等の形状をもった筒状をしている。これらの形状の補強材は全ての方向に対して剛性があり、フロアリッドの補強性能上からは問題はない。しかし自動車用フロアリッドの場合、厚み方向の剛性が十分であれば良く、水平方向の剛性は余り要求されない。

本発明は、Ｈ型構造の厚み方向に剛性を発揮できる補強材を使用することにより、さらに軽量化を実現することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明のプラスチック製中空二重壁構造体は、間隔をおいて平行に対向する表壁および裏壁と、前記表壁および裏壁の周縁部を閉塞する周囲壁からなり、ブロー成形時に前記表壁の外面に布等の表皮材を一体積層し張り合わせた構造である。

前記プラスチック製中空二重壁構造体の長手方向中央部の内部には、補強用リンフォース（Ｈ型部材）の少なくとも一方を固定するための規制壁（インナーリブ或いはウエルドリブ）を設け、周囲壁の中央部にはリンフォースを挿入するための開口部（挿通孔）が設けてあり、更に、規制壁として裏壁の長手方向中央部には中空二重壁構造体にリンフォースを固定するための凹部が２箇所設けてあることを特徴とする。

本発明は、前述のとおり構成されているので、次の効果を実現できる。すなわち、ブロー成形によるプラスチック製中空二重壁構造体であり、かつ、表壁表面に目的に応じた表皮材が積層されているため優れた外観をもった自動車用フロアリッドが安価にかつ容易に製造できる。特にフロアリッドの補強材として厚み方向に剛性を発揮するＨ型形状のリンフォースを用いることで、成形に伴うそり或いはよじれ等の変形の発生を防止しながら、従来に比べて著しい軽量化が実現可能である。

本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１、図２は、本発明の第１の実施の形態によるプラスチック製中空二重壁構造体を示す。このプラスチック製中空二重壁構造体１はブロー成形により一体成形されたもので、図７に製造模式図を示した。間隔をおいて平行に対向する表壁２及び裏壁３と、周縁部を閉塞する周囲壁４からなり、更に表壁２の全表面および周囲壁４の表壁側略半分の外面に表皮材５をブロー成形時に一体積層してある。また、裏壁３の中央部長手方向の両端近傍には裏壁３を表壁２側に窪ませた形状の凹部６ａ、６ｂが設けられている。

前記裏壁３に設けられた凹部６ａ、６ｂは図４に示すように表壁２に向かって突出する形でリンフォース（以下Ｈ型部材とする）７を挟んだ状態で両側にウエルドリブ部９を形成した構造で一体成形されており、この上下方向固定部１２及び左右方向固定部１３でＨ型部材７を固定保持する。このＨ型部材７の保持状態を図５、図６の断面図に示した。

前述のＨ型部材７は図３に示すように、互いに平行な上側部材Ａと下側部材Ｂ、及びこれらに垂直な支承部ＣからなるＨ型部材７であり、自動車用フロアリッドの厚み方向の強度を維持するに十分な剛性をもったものであり、目的の強度が保持できれば、金属製、強化プラスチック製等制限されない。

第２、第３、第４の実施形態では、図１０〜１５に示すように、Ｈ型部材７を固定するための凹部６ａ、６ｂのウエルドリブ９及びインナーリブ８の他の構造例を示した。同時に中空二重壁構造体１とＨ型部材７の配置例を示した。それぞれの図に見られるようにＨ型部材７の上側部材Ａ面と中空二重壁構造体１の表壁２面または下側部材Ｂ面と裏壁３面の間には適切な間隔をもたせてある。

図１１は、図１０におけるＦ−Ｆ断面図を示し、Ｈ型部材７の固定状態を示している。１２はＨ型部材７の上下方向固定部、１３はＨ型部材７の左右方向固定部であり、これによりＨ型部材７の反対側面をインナーリブ８に押し付けて固定する。図１２〜図１５はインナーリブ８或いはウエルドリブ９に対するＨ型部材７の配置状態を示す。

第５の実施形態では、図１に示すように表壁２の全表面および周囲壁４の表壁側略半分の外面に表皮材５をブロー成形時に一体積層して貼り付けてある。図８に示すように、周囲壁４のＨ型部材７の挿入孔１０を設ける部位を回避するようにしてブロー成形時のパーティングライン１１を形成し、周囲壁４に折り返す表皮材５の端はパーティングライン１１に沿って貼り付けられる。表皮材５としては、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマーなどの樹脂シートが使用される。

自動車用フロアリッドの表壁外観を示す斜視図である。 自動車用フロアリッドの裏壁外観を示す斜視図である。 リンフォース（Ｈ型部材）の形状を示す斜視図である。 リンフォース固定用凹部の詳細図である。 図４におけるＥ−Ｅの断面図を示す。 図４におけるＤ−Ｄの断面図を示す。 プラスチック製中空二重壁構造体を製造するためのブロー成形の模式図である。 周囲壁におけるリンフォース用挿通孔を示す。 図１の自動車用フロアリッドにリンフォースを装着した状態におけるリンフォースの保持状態を示す長手方向の断面図。 リンフォース固定用凹部の他の実施例の斜視図を示す。 図１０におけるＦ−Ｆの断面図（１）インナーリブとリンフォースの配置を示す。 図１０におけるＦ−Ｆの断面図（２）ウエルドリブとリンフォースの配置を示す。 図１０におけるＦ−Ｆの断面図（３）インナーリブとリンフォースの配置の他の例を示す。 図１０におけるＦ−Ｆの断面図（４）インナーリブとリンフォースの配置の他の例を示す。 リンフォースがフロアリッドのパネル端に配置された例を示す。

符号の説明

１ プラスチック製中空二重壁構造体
２ 表壁
３ 裏壁
４ 周囲壁
５ 表皮材
６、（６ａ、６ｂ） 凹部
７ Ｈ型部材（リンフォース）
８ インナーリブ部
９ ウエルドリブ部
１０ Ｈ型部材の挿入孔（開口部）
１１ パーティングライン
１２ Ｈ型部材の上下方向固定部
１３ Ｈ型部材の左右方向固定部

Claims (5)

1. 間隔をおいて対向する表壁及び裏壁と、前記表壁及び前記裏壁の周縁部を閉塞する周囲壁を有するプラスチック製中空二重壁構造体において、前記プラスチック製中空二重壁構造体の前記周囲壁には、前記構造体を補強するリンフォースを長手方向に挿入するための開口部が設けてあり、前記裏壁または表壁にはリンフォースの少なくとも一方の側を固定するための規制壁が一体成形により中空部に向かって突設され、前記リンフォースは上側部材と下側部材が表壁または浦壁と平行に配置されるよう中空部内に挿入されていて、互いに平行な上側部材と下側部材、及びこれらに垂直な支承部とから構成されたことを特徴とするプラスチック製中空二重壁構造体。
2. 前記対向する表壁及び裏壁と周縁部を閉塞する周囲壁とで構成されるプラスチック製中空二重壁構造体において、前記裏壁には前記リンフォースを固定するためのウエルドリブを長手方向両端部に隣接して設け、表壁側へ向けて突設した凹状部が一体に形成されていることを特徴とする請求項１記載のプラスチック製中空二重壁構造体。
3. 前記プラスチック製中空二重壁構造体に前記リンフォースを固定する方法において、前記裏壁に形成された固定用凹状部に垂直方向にノッチを設けて固定し、片側は規制壁で水平方向を制限することを特徴とする請求項１記載のプラスチック製中空二重壁構造体のリンフォース固定方法。
4. 前記プラスチック製中空二重壁構造体に前記リンフォースを固定する方法において、前記Ｈ型構造の補強用リンフォースの上側部材面と表壁面または下側部材面と裏壁面の間には適切な間隔をもたせることを特徴とする請求項１記載のプラスチック製中空二重壁構造体のリンフォース固定方法。
5. 前記対向する表壁及び裏壁と周縁部を閉塞する周囲壁とで構成されるプラスチック製中空二重壁構造体をブロー成形法により形成する際に、前記表壁の表面に表皮材を同時に積層、貼り付け、貼り付けた該表皮材の端部は前記周囲壁部に折り返し、ブロー成形時に前記リンフォース挿入用開口部を回避するように形成されたパーティングラインに沿って貼り付けることを特徴とする請求項１記載のプラスチック製中空二重壁構造体。

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