以下、図を参照して本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。各実施形態や各変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、同一符号を付すことによりその説明を省略する。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない構成要素は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
図1、図2に基づいて、本実施形態に係る給紙装置を含む全体の装置構成を説明する。両図において、符号1は給紙装置の一例である中間搬送部付き大量給紙装置としての大量給紙搬送ユニットを、符号100は印刷装置の一例としての孔版印刷装置を、符号200は孔版印刷装置100に接続可能な排紙装置との一例である大量排紙収納装置としての大量排紙搬送ユニットをそれぞれ示す。
大量給紙搬送ユニット1は、自身が用紙搬送方向Xに沿って移動されることにより、図1に示すように中間搬送部となる中間搬送ユニット4の用紙搬送手段の一部を構成する第3搬送ローラ32−3が孔版印刷装置100側の本体給紙ローラ111の下方に挿入されて該本体給紙ローラ111の外周面下部と圧接して大量給紙搬送ユニット1から給送される記録媒体としての用紙Pを確実に受け渡し可能となる接続位置と、図2に示すように自身が用紙搬送方向Xと反対方向X’に沿って移動されることにより、中間搬送ユニット4の第3搬送ローラ32−3と本体給紙ローラ111との圧接状態が解除される非接続位置との間で移動可能になっている。上記のとおり、大量給紙搬送ユニット1が接続位置を占めた時、第3搬送ローラ32−3は本体給紙ローラ111から適度な給紙圧に相当する圧接力を受けるように各位置関係が設定されている。
すなわち、大量給紙搬送ユニット1は、図1、図2に示すように、自身が用紙搬送方向Xに沿って移動されることにより、大量給紙搬送ユニット1を構成する中間搬送ユニット4が所定の高さに保持されたままの本体給紙台110(本実施形態例では、給紙側板に配置されている下限検知センサ(図示せず)によって検知される本体給紙台110の最下降位置でもある下限位置に保持されたままの本体給紙台110)上に載置された状態で、中間搬送ユニット4から給送される用紙Pを本体給紙ローラ111によって受け取られ給紙可能となる接続位置と、図2に示すように自身が用紙搬送方向Xと反対方向X’に沿って移動されることにより上記接続位置から離間した非接続位置との間で移動可能に構成されている。
図1、図2において、符号6は大量給紙搬送ユニット1の後述する積載部2および給紙機構部3を収納している大量給紙装置本体としての骨組みをなす本体筐体を、符号7は大量給紙搬送ユニット1の後述する中間搬送部本体の骨組みをなす筐体を、符号107は装置本体となる孔版印刷装置100の本体側の骨組みをなす本体筐体を、符号204は大量排紙搬送ユニット200の本体側の骨組みをなす排紙ユニット筐体をそれぞれ示している。
説明の都合上から、孔版印刷装置100、大量排紙搬送ユニット200と後述する多段排紙装置210、大量給紙搬送ユニット1の順に説明する。
孔版印刷装置100は、周知の構成であり、本体筐体107の上部に配設され原稿画像を読み取る画像読取部101と、画像読取部101によって読み取られた画像情報または図示しないパーソナルコンピュータ等の外部接続機器により入力された画像情報に基づいてロール状に巻かれた図示しない感熱孔版マスタを製版すると共に給版する製版給版部103と、本体給紙台110に積載される図示しない印刷Pや大量給紙搬送ユニット1側から給送されてくる用紙Pを後述する印刷部102に向けて分離給送する画像形成装置本体側の給紙部としての本体給紙部104と、製版給版部103等で製版された図示しない感熱孔版マスタを外周面に巻装する印刷ドラム115を有し、給送されてきた用紙Pに印刷画像を形成する画像形成部としての印刷部102と、画像印刷された用紙Pを本体筐体107の外部に排出する排紙部106等を具備している。孔版印刷装置100は、本体筐体107を介してキャスタ109を有する専用テーブル108上に載置されている。
本体給紙部104は、本体筐体107の右方に配設され用紙Pを積載して昇降可能な本体給紙台110と、本体給紙台110上の最上の用紙(図示せず)や大量給紙搬送ユニット1から給送されてきた用紙Pを送り出す本体給紙ローラ111と、送り出されてきた用紙Pを1枚ずつ分離してレジストローラ対114に向けて給送する本体分離ローラ112と、本体分離ローラ112との協働作用により用紙Pを1枚ずつに分離する摩擦部材としての本体分離パッド113と、1枚ずつ分離・給送されてきた用紙を画像形成部としての印刷部102に所定のタイミングを取って送り出すレジストローラ対114等とを有している。
本体給紙台110は、本体筐体107の給紙口125を塞ぐ位置と、図1に示す位置を占めることが可能なように折り畳み可能になっている。本体給紙台110の内部には、本体給紙台110上の用紙の有無を検知するための用紙有無検知手段としての用紙有無センサ127と、本体給紙台110上の用紙の長さを検知するための用紙長さ検知手段としての用紙長さセンサ128とが配設されている。用紙長さセンサ128は、本体給紙台110上を用紙幅方向Yに移動可能である図示しない左右一対のサイドフェンスの用紙揃え操作時の移動に連動して用紙の縦サイズおよび横サイズの両方の用紙サイズを検知する用紙サイズ検知手段を構成している。用紙有無センサ127および用紙長さセンサ128は共に、発光素子および受光素子を備えた反射型フォトセンサで構成されている。
本体給紙台110は、図示しない昇降機構により図中上下方向に移動可能に設けられていて、積載された用紙の最上が常に本体給紙ローラ111に所定の給紙圧(用紙が搬送可能な押圧力)をもって接触する給紙位置を占めるように昇降駆動制御される。本体給紙ローラ111は、本体給紙部104の給紙手段を構成している。本体分離ローラ112および本体分離パッド113は、本体筐体107側の分離給紙手段を構成している。
本体給紙ローラ111および本体分離ローラ112は、時計回り方向のみに回転可能となっており、本体給紙駆動手段としての給紙モータ122によって回転駆動される。給紙モータ122は、ステッピングモータで構成されている。したがって、給紙の場合には、給紙モータ122を例えば正転させることで、本体分離ローラ112および本体給紙ローラ111が共に時計回り方向に回転し、本体給紙台110上に積載された最上の用紙(図示せず)や大量給紙搬送ユニット1から給送されてきた用紙Pが図1に示すレジストローラ対114に向けて給送されることとなる。
印刷部102は、本体筐体107の略中央に配設されており、内部にインキ供給手段を備え外周面に製版された感熱孔版マスタが巻装される印刷ドラム115と、本体給紙部104や大量給紙搬送ユニット1から給送されてきた用紙Pを印刷ドラム115の外周面に押圧させてこれにインキを転写させる押圧部材としてのプレスローラ116等とを有している。押圧部材としては、印刷ドラム115の外径と略等しい外周面を備え印刷ドラム115と同期して回転し、その外周部に用紙の先端を保持する保持手段としての用紙クランパを備えた圧胴を用いてもよい。
印刷ドラム115は、その回転速度である印刷速度が「版付け速度」(例えば16枚/min:16rpmや、30枚/min:30rpm)から正規の通常印刷時の複数の印刷速度(本実施形態例では6段階の印刷速度、例えば60,75,90,105,120,135枚/min:60,75,90,105,120,135rpm)で印刷を行うべく回転自在に構成されている。本形態において、孔版印刷装置100は、変速段6の性能を有しており、1速が60枚/min:60rpm、2速が75枚/min:75rpm、3速が90枚/min:90rpm、4速が105枚/min:105rpm、5速が120枚/min:120rpm、6速が135枚/min:135rpmとされている。
すなわち、本形態における孔版印刷装置100は、その印刷速度範囲が60〜135毎/min60〜135rpmとされている。ここで、例えば135枚/min:135rpmは、孔版印刷装置100の印刷速度で最高速とされている。印刷ドラム115は、印刷ドラム115を回転駆動する駆動手段としてのDCモータからなるメインモータ170を備えた周知の印刷ドラム駆動機構(共に図示せず)によって回転駆動される。
画像読取部101の上部には、孔版印刷装置100の上記各装置・部に指示を与えて所望する動作を行わせるように操作したり、上記各装置・部の状態等を確認・認識したりするための図3に示す操作パネル150が配設されている。この操作パネルには、周知のように、原稿画像の画像読み取りから給版に至る各動作を起動させるスタート信号を生成する製版スタートキー151と、印刷枚数等を設定・入力するテンキー152と、このテンキーで設定・入力された印刷枚数の印刷動作を行わせる印刷スタート信号を生成する印刷スタートキー153と、装置の動作を停止させる停止信号を生成するストップキー154と、6段階の印刷速度(1速〜6速)の中から1つの印刷速度を選択的に任意に設定して印刷ドラム115を回転するための印刷速度設定手段としての速度ダウンキー155aおよび速度アップキー155bからなる印刷速度設定キー155と、速度ダウンキー155aまたは速度アップキー155bにより設定された印刷速度を表示するためのLEDランプ群からなる速度表示器156と、原稿画像の画像読み取りから印刷に至る各動作工程での設定・検知情報を随時表示するためのLCD(液晶表示装置)表示部157と、孔版印刷装置100に接続される給紙装置の情報を選択する選択手段としての給紙選択キー158と、孔版印刷装置100に接続される排紙装置の情報を選択する選択手段としての排紙選択キー159と、印刷枚数などの数値情報を表示する表示部160とが配置されている。画像形成装置100ら接続される装置の情報は、上記給紙選択キー158及び排紙選択キー159の操作による選択だけではなく、故障修理時等にサービスマンによるに図示しない入力手段も含まれる。
本形態において、選択手段となる給紙選択装置158及び排紙選択装置159は、それぞれ接続状態識別手段を構成している。また、LCD(液晶表示装置)表示部157は、複数の印刷速度の中から任意に選択手段より選択された印刷速度範囲と接続された給紙装置または排紙装置に対応する印刷速度範囲とが対応しない場合に、印刷速度範囲の変更を促す警告内容を表示する警告表示手段として機能する。警告表示手段としては、LCD(液晶表示装置)表示部157ではなく、個別に配置する形態であっても良い。
排紙部106は、本体筐体107の左方に配設されており、印刷ドラム115の外周面より印刷された用紙を剥離する剥離爪117と、剥離された用紙を本体筐体107の用紙排出口(図示せず)より機外の大量排紙搬送ユニット200または多段排紙装置210へ吸引しつつ排出する吸着搬送ユニット118等を有している。
大量排紙搬送ユニット200は、本願出願人が提案した特開2002−226122号公報の図1〜図8に示されている排紙収納装置(1)と略同様の構成を有していて、略同様の動作が行われる。大量排紙搬送ユニット200は、排紙収納装置(1)と比較して、排紙収納装置(1)が有している第1排紙トレイ(23)および第2排紙トレイ(24)に代えて、単一の大量排紙台201を有している点が主に相違するだけであるため、その構成の詳細および動作説明を省略する。
図1において、符号202は用紙排出方向に沿って大量排紙台201の左右両側に配設され排出される用紙の幅方向(排紙の両側端面)揃えを行う一対のサイドフェンスを、符号203は排出される用紙の先端を突き当て揃えるエンドフェンスをそれぞれ示す。大量排紙台201は、上記公報の第1排紙トレイ(23)および第2排紙トレイ(24)と同様に、図示しない移動体を介して排紙ユニット筐体204に移動自在(昇降自在)に支持されている周知のものである。なお、排紙装置としては、大量排紙搬送ユニット200に限定されるものではなく、例えば特開2002−226122号公報の図1〜図8に示されている排紙収納装置(1)と全く同様の構成であっても勿論構わない。本形態では、排紙収納装置(1)を符号210で示す多段排紙装置とし、この多段排紙装置210は、孔版印刷装置100に接続可能な排紙装置として機能する。
大量排紙搬送ユニット200は、排紙ユニット筐体204の下部に設けられたキャスタ205を介して、孔版印刷装置100の排紙部106の図示しない排紙口に接続される排紙接続位置とこの排紙接続位置から離間した非排紙接続位置との間で移動自在に構成されている。
本形態において、大量排紙搬送ユニット200は、吸着搬送ユニット118で搬送される用紙Pを受けて大量排紙台201に搬送する際の中間搬送部材(26)と、大量排紙台201を昇降する正逆転モータ(49)と、中間搬送部材26を駆動する図示しない駆動モータと、この駆動モータと正逆転モータ(49)の駆動を制御する排紙制御手段500とを備えている。排紙制御手段500は周知のコンピュータから構成されている。排紙制御手段500の構成要素である図示しないメモリ内には、孔版印刷装置100の1速から5速に対応する排紙給紙速度情報となる中間搬送部材26を駆動する図示しない駆動モータの回転速度と機器の識別情報とが記憶されていて、孔版印刷装置100との接続時に孔版印刷装置100側で設定される印刷速度に合わせて、その排紙搬送速度が変速可能とされるとともに、機器の識別信号を送信するように構成されている。
この変更可能排紙速度範囲は、孔版印刷装置100の1速から5速の印刷速度の範囲とされている。すなわち、大量排紙搬送ユニット200は、孔版印刷装置100から最高速である6速の印刷速度で用紙Pが排紙されると、用紙Pのシャム発生が起こり易い機器である。
本形態において、多段排紙装置210は、排紙制御手段510を備えている。排紙制御手段510は周知のコンピュータから構成されている。排紙制御手段510の構成要素である図示しないメモリ内には、孔版印刷装置100の1速から4速に対応する排紙給紙速度情報となる中間搬送部材26を駆動する図示しない駆動モータの回転速度と機器の識別情報とが記憶されていて、孔版印刷装置100との接続時に孔版印刷装置100側で設定される印刷速度に合わせて、その排紙搬送速度が変速可能とされるとともに、機器の識別信号を送信するように構成されている。この変更可能な排紙速度範囲は、孔版印刷装置100の1速から4速の印刷速度の範囲とされている。すなわち、多段排紙装置210は孔版印刷装置100から最高速である6速の印刷速度で用紙Pが排紙されると、用紙Pのシャム発生が起こり易い機器である。大量排紙搬送ユニット200及び多段排紙装置210は、印刷速度に関係なく排紙搬送速度を固定速度とすることもできる。
大量給紙搬送ユニット1は、上述したように中間搬送ユニット4と大量給紙装置としての大量給紙ユニット5とを有する。大量給紙ユニット5は、用紙Pを大量に積載可能な積載部2と、積載部2の用紙Pを1枚ずつ取り出して給送する給紙機構部3と、上述した本体筐体6とを有する。中間搬送ユニット4は、給紙機構部3から給送されてきた1枚の用紙を本体給紙部104の本体給紙ローラ111が臨む給紙口125近傍に搬送する機能・構成を具備している。大量給紙ユニット5は、本体筐体6の下部に設けられたキャスタ9を有する基台8上に取付固定されている。
以下、積載部2、給紙機構部3、中間搬送ユニット4について詳述するが、これらを構成する各要素の配置説明の簡明化を図るため、用紙搬送方向Xに見て紙面の手前側を「左」ないしは「操作側」と、紙面の奥側を「右」ないしは「反操作側」ということがある。また、同趣旨から、用紙搬送方向Xの下流側を「前」と、その上流側を「後」ということがある。図1に示されている本体筐体6の左右両側には、補助側板対29が立設されている。
積載部2は、大量の用紙Pを積載して昇降可能な大量給紙台10と、大量給紙台10上の用紙Pの幅(左右の両側端)を揃える用紙幅整合部材としての左右一対のサイドフェンス15,16(図4参照)と、大量給紙台10を昇降する給紙台昇降手段としての給紙台昇降機構25と、大量給紙台10の上限位置もしくは給紙ローラ11が給紙位置を占めたことを検知する給紙位置検知手段もしくは上限検知手段としての適正高さセンサ26と、大量給紙台10の下限位置を検知する下限検知手段としての下限センサ27とを具備している。
適正高さセンサ26および下限センサ27は、共に透過型センサである。適正高さセンサ26および下限センサ27は、本体筐体6内の所定位置にそれぞれ配設されている。
大量給紙台10は、例えばA3サイズの普通紙を少なくとも3000枚積載して昇降可能な構造と、各サイドフェンス15,16を用紙幅方向Yに移動可能とするための4箇所の切欠き10aとを有する。大量給紙台10の内部には、大量給紙台10上の用紙Pの有無を検知する用紙有無検知手段としての用紙有無センサ66が配置されている。用紙有無センサ66は、反射型センサである。本実施形態で「用紙サイズ」というときは、特に断らない限り用紙搬送方向Xに沿う長さを指すものとする。
各サイドフェンス15,16は、図4に示すように、中空の矩形状断面を有する四角柱状をなし、用紙搬送方向Xの前後および用紙幅方向Yの左右に各2本ずつ設けられている。各サイドフェンス15,16は、サイドフェンス操作用ハンドル17を回動操作することによって、本体筐体6の上下に2組配設された図示しないサイドフェンスセンタ合わせ機構を介して、各サイドフェンス15,16を用紙幅方向Yに移動させてサイドフェンス15,16のセンタ合わせを行えるようになっている。
給紙台昇降機構25は、大量給紙台10を略水平状態に保ちつつ昇降するように構成されていて、昇降駆動手段としての正逆転可能な昇降モータ28で大量給紙台10を昇降駆動する。大量給紙台10は、給紙台昇降機構25を介して、積載された用紙Pの最上が常に給紙ローラ11に所定の給紙圧(用紙が搬送可能な押圧力)をもって接触する給紙位置を占めるように、後述する制御装置によって制御される。
給紙機構部3は、図5にも示すように、分離ローラ12、給紙ローラ11、これらローラを回転駆動する給紙駆動手段としてのステッピングモータからなる給紙モータ22を備えている。
給紙装置としては、上述した大量給紙ユニット5に限らず、例えば本願出願人が提案した特開平8−259008号や特開平8−259009号公報に開示されている大容量給紙ユニットとしての給紙装置(100)を用いてもよい。すなわちLCT(大容量給紙テーブル)を搭載して昇降可能であり、かつ、給紙手段や分離給紙手段を備えることにより給紙可能である構成を有する大量給紙ユニットであってもよい。
中間搬送ユニット4は、図5に示すように、給紙機構部3から給送されてきた用紙Pを孔版印刷装置100の給紙口125に向けて搬送するための中間搬送部18を備えている。中間搬送ユニット4は、本体筐体6の補助側板対29に対して着脱可能に取り付けられている。中間搬送ユニット4は、給紙機構部3から給送されてきた用紙Pを搬送する用紙搬送手段としての第1用紙搬送手段30−1、第2用紙搬送手段30−2、第3用紙搬送手段30−3と、第1用紙搬送手段30−1、第2用紙搬送手段30−2に対応して設けられ、それぞれを独立して駆動する駆動手段としての複数の(本実施形態例では3つ)用紙搬送モータである第1モータ33−1、第2モータ33−2、第3モータ33−3と、第1モータ33−1、第2モータ33−2、第3モータ33−3の回転駆動力を第1用紙搬送手段30−1、第2用紙搬送手段30−2、第3用紙搬送手段30−3にそれぞれ伝達する第1駆動力伝達手段34−1、第2駆動力伝達手段34−2、第3駆動力伝達手段34−3と、第1〜第3用紙搬送手段30−1〜30−3により搬送される用紙Pを孔版印刷装置100側の給紙口125近傍に案内する一対の案内手段を構成し、中間搬送路18を形成する上案内部材35および下案内部材37と、第1〜第3用紙搬送手段30−1〜30−3及び上案内部材35および下案内部材37を収納する筐体7と、中間搬送路18の上流から下流に亘り所定の間隔を置いて上案内部材に複数配置され、搬送される用紙Pの先端およびその後端のうちの少なくとも一方(本実施形態例では用紙Pの先端およびその後端の両方)を検出する用紙検出手段としての8個の第1センサ50−1〜第8センサ50−8と、中間搬送路18と直交する用紙幅方向Yに所定の間隔を置いて複数配置され、搬送される用紙Pの用紙幅サイズを検出する図示しない用紙幅検出手段を備えている。
第1用紙搬送手段30−1は、第1搬送ローラ32−1とこれに圧接する第1加圧ローラ31−1とからなる。第2用紙搬送手段30−2は、第2搬送ローラ32−2とこれに圧接する第2加圧ローラ31−2とからなる。第3用紙搬送手段30−1は、第3搬送ローラ32−3からなる。第1用紙搬送手段30−1、第2用紙搬送手段30−2、第3用紙搬送手段30−3は、中間搬送路18の上流側から下流側に亘り所定の間隔を置いてこの順に配置されている。
第1加圧ローラ31−1は、少なくともその外周面を含む外周部が樹脂でできている。第1搬送ローラ32−1は、少なくともその外周面を含む外周部が大量給紙搬送ユニット1で使用される用紙Pに対して摩擦係数の高い適宜のゴム等の高摩擦弾性体で形成されている。他の第2加圧ローラ31−2、第2搬送ローラ32−2および第3搬送ローラ32−3も、上記と同様である。
以下、第1用紙搬送手段30−1と第2用紙搬送手段30−2とは、配置位置のみ異なりそれぞれが同様の構成要素を有していて共通化が図られているため、その配置位置の説明以外については、一方の詳細な説明をもって他方の説明に代える。上記構成等を説明するとき、符号のハイフォン以降の数字は、中間搬送路18の上流側から下流側へ向けてこの順に配置された順序を示すものとし、また「第1」〜「第3」という接頭語を省略することがある。
第1モータ33−1、第2モータ33−2は、配置位置のみ異なりそれぞれが同様であって共通化が図られているため、その配置位置の説明以外については、一方の詳細な説明をもって他方の説明に代える。第1センサ50−1〜第8センサ50−8は、配置位置のみ異なりそれぞれが同様であって共通化が図られているため、その配置位置の説明以外については、例えば一つの第1センサ50−1の詳細な説明をもって他方の説明に代える。上記構成等を説明するとき、符号のハイフォン以降の数字は、中間搬送路18の上流側から下流側へ向けてこの順に配置された順序を示すものとし、また「第1」〜「第8」という接頭語を省略することがある。
図5に示すように、該一対の案内手段は、上案内部材を構成する上ガイド部材としての上ガイド板35および補助上ガイド板36と、これに対向した下案内部材としての下ガイド板37とからなる。上ガイド板35および補助上ガイド板36と、下ガイド板37とで囲まれた空間が、中間搬送路18となる。
上案内ユニット46は、その基端部が支軸45を中心として所定角度回動自在、すなわちその自由端部側が下ガイド板37に対して揺動自在、かつ、開閉自在になされている。
第1センサ50−1〜第7センサ50−7は、上ガイド板35上に図示しないねじ等の締結手段でそれぞれ取付・固定されている。第1センサ50−1〜第8センサ50−8及び図示しない用紙幅センサは、それぞれ反射型センサからなる。補助上ガイド板36には、第8センサ50−8が図示しないねじ等の締結手段で取付・固定されている。
下ガイド板37は、適宜の補強部材等を介して、図示しないねじ等の締結手段で上に開口した箱体状の筐体7の上部に取付・固定されている。下ガイド板37の前端部には、その前端側が下向きに傾斜した傾斜部材51が固着されている。傾斜部材51は、大量給紙搬送ユニット1が図1に示す接続位置を占めるべく用紙搬送方向Xに移動する際、本体給紙ローラ111および上記した図示しない給紙フィラー下端部のコロにスムーズに当接することにより、上記した図示しない給紙アームの揺動を介して上記図示しない給紙フィラーを適正高さセンサ126に係合させる向きに揺動させるためのものである。
第1〜第3モータ33−1〜33−3は、それぞれパルス入力で駆動するステッピングモータであって、その回転速度が加減速可能となっている。各モータ33−1、33−2、33−3は、それぞれ図示を省略したモータブラケットを介して筐体7に取付・固定されている。第1、第2搬送ローラ32−1,32−2は、共にその外周部の一部が下ガイド板37の開口部37bから上方へ突出して用紙搬送路18に臨むように配置されている。
第3搬送ローラ32−3は、第1〜第3搬送ローラ32−1〜32−3のうちで中間搬送路18の最下流側に配置されており、単一のローラからなる。第3搬送ローラ32−3は、孔版印刷装置100側の本体給紙ローラ111と対向する位置であって、大量給紙搬送ユニット1が図1に示す接続位置を占めた時、本体給紙ローラ111外周面の下に潜り込んでこれと圧接可能となるように中間搬送ユニット4の筐体7の各図に示す所定の位置に配置されている。
筐体7の下部には、大量給紙搬送ユニット1が図1に示す接続位置を占めた時、本体給紙台110の内部に配置された用紙長さセンサ128と対向してこれを選択的に遮蔽するための用紙長さ検知用シャッタ機構としての用紙長さセンサ用シャッタ機構70−1と、用紙有無センサ127と対向してこれを選択的に遮蔽するための用紙有無検知用シャッタ機構としての用紙有無センサ用シャッタ機構70−2とが配設されている。
シャッタ機構70−2は、大量給紙搬送ユニット1が図1に示す接続位置を占めたとき、図示しないシャッタが用紙有無センサ127の投射光を遮蔽・反射する用紙有り擬制位置となり、積載部2および中間搬送ユニット4に用紙が無くなると用紙無し擬制位置を占めることで、孔版印刷装置100側の図示しない制御装置は用紙無しと認識する。一方、中間搬送ユニット4に用紙Pがあると、後述する制御装置からの指令によってシャッタが用紙有り擬制位置にあり、孔版印刷装置100側で用紙有りと認識することで、中間搬送ユニット4から孔版印刷装置100側への通紙が可能な状態となる。
大量給紙搬送ユニット1は、図6に示すように、給紙制御手段300を備えている。給紙制御手段300は、周知のコンピュータで構成されていて、大量給紙搬送ユニット1に装着された各モータ22,28,33−1〜33−3の駆動を制御する。特に本形態では、給紙モータ22と第1〜第3モータ33−1〜33−3の回転速度を可変制御して、給紙搬送速度を変速可能としている。この変更可能な速度範囲は、孔版印刷装置100の1速から5速の印刷速度の範囲とされている。すなわち、大量給紙搬送ユニット1は、孔版印刷装置100が最高速である6速の印刷速度で印刷されると、その印刷速度に対応する給紙が行えず、用紙Pのジャム発生が起こり易い機器である。給紙制御手段300は図示しないメモリを備えていて、このメモリ内に孔版印刷装置100の1速から5速に対応する給紙速度情報と機器の識別情報とが記憶されていて、孔版印刷装置100との接続時に孔版印刷装置100側で設定される印刷速度に合わせて適宜給紙搬送速度が選択されるとともに、識別信号を送信するように構成されている。
(第1の実施形態)
次に孔版印刷装置100の特徴となる制御形態について説明する。
孔版印刷装置100には、図6に示すように制御手段400が設けられている。制御手段400は、CPU401、ROM402、RAM403及び図示しないインターフェースを備えていている。ROM402には、印刷速度1速から6速までの印刷速度情報と、孔版印刷装置100に接続される装置に個別に対応する印刷速度情報としての印刷速度範囲情報と、接続機器情報とが予め記憶されている。印刷速度範囲情報とは、印刷速度の1速を基準にして所定の上限速度までの範囲を指す。すなわち、印刷速度範囲は、接続された機器が対応できる最低速の印刷速度から孔版印刷装置100の最高速の印刷速度までの範囲とされている。この接続機器に対応する印刷速度範囲は、孔版印刷装置100に接続可能な給紙装置や排紙装置の数に対応する分だけ予めROM402に記憶されている。
制御手段400は、給紙装置や排紙装置などの機器が接続されると、接続した機器に対応する印刷速度範囲情報を適宜ROM402から読み出し、この印刷速度範囲情報に基づき印刷速度範囲を設定するように構成されている。本形態では、大量給紙搬送ユニット1、大量排紙搬送ユニット200、多段排紙装置210に対応する印刷速度範囲情報がそれぞれROM402に記憶されている。
制御手段400には、操作パネル150が図示しないインターフェースを介して制御手段400との間で通信可能に接続されている。制御手段400は、操作パネル150の印刷速度設定キー155が操作されて任意に選択された印刷速度に対応して孔版印刷装置100の各モータの速度を制御するモータ制御回路404と、孔版印刷装置100に接続された装置の接続の有無と機種を識別する接続識別回路405とが接続されている。
このような構成の孔版印刷装置100の制御について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。図7に示すフローチャートは、排紙装置の識別とそれに対応した印刷速度範囲の可変制御に関するものである。本形態では、孔版印刷装置100とともに、これに接続可能な大量排紙搬送ユニット200及び多段排紙装置210も既に電源が投入されているものとして説明する。
図7のステップR1では、多段排紙装置210が孔版印刷装置100に接続されているか否かが接続識別回路405によって判断される。多段排紙装置210が接続されていると、多段排紙装置210の制御手段510から装置識別信号が送信されてくるので、この信号から多段排紙装置であるか否かを判断する。ステップR1において多段排紙装置210であると識別判断した場合には、ステップR2に進んでROM402から多段排紙装置210に対応する印刷速度範囲情報が選択され、この情報に基づいて孔版印刷装置100における印刷速度範囲が設定される。ステップR2においては1速から始まり最高速が4速までの範囲が印刷速度範囲としてRAM403に設定される。
ステップR1において、接続された装置が多段排紙装置210で無いと判断した場合には、ステップR3に進んで大量排紙搬送ユニット200が接続されているのか否かが接続識別回路405によって判断される。大量排紙搬送ユニット210が接続されていると、大量排紙搬送ユニット200の制御手段500から装置識別信号が送信されてくるので、この信号から大量排紙搬送ユニットであるか否かを判断する。ステップR3において接続された装置が大量排紙搬送ユニット200であると識別判断した場合には、ステップR4に進んでROM402から大量排紙搬送ユニット200に対応する印刷速度範囲情報が選択され、この情報に基づいて孔版印刷装置100における印刷速度範囲が設定される。ステップR4では1速から始まり最高速が5速までの範囲が印刷速度範囲としてRAM403に設定される。
ステップR3において、接続された装置が大量排紙搬送ユニット200で無いと判断した場合には、ステップR5に進んで多段排紙装置210も大量排紙搬送ユニット200の何れも接続されていないものと判断してステップR5に進む。ここでは、制御手段400が標準の印刷速度範囲となる1速から始まり最高速が6速までの範囲を印刷速度範囲としてRAM403に設定する。
ステップR2、ステップR4、ステップR5において、印刷速度範囲が設定されると、ステップR6に進んで製版スタートキー151のオン状態が判断され、オンされるとステップR7で製版動作から版付けまでの動作を実行して装置を一端停止させる。そして、ステップR8においてテンキー152を用いて印刷枚数が入力設定され、ステップR9において印刷スタートキー153が操作されてオンすると、ステップR10に進んで各ステップで設定された印刷速度で印刷処理が実行され、印刷された用紙Pが孔版印刷装置100に接続されている排紙装置に順次排紙される。
孔版印刷装置では、図示しないカウンターで印刷された枚数をカウントしており、このカウント値がステップR11に示す設定印刷枚数となるまで印刷処理が実行される。そして、カウント値が設定印刷枚数となると印刷終了と判断して、この制御を終える。
このように、孔版印刷装置100に大量排紙搬送ユニット200あるいは多段排紙装置210等の印刷速度許容範囲の異なる排紙装置が装着されたとき、制御手段400が、ROM402に記憶されたデータの中から、装着された排紙装置に対応する印刷速度範囲情報を読み出し、そのデータに応じた印刷速度範囲が本体筐体107側、すなわち孔版印刷装置100に設定されるので、印刷速度範囲が排紙装置に応じた適正な範囲に設定され、安定した排紙動作を行え、用紙ジャムの発生が極めて少なくなる。また、装置操作者が一々接続される排紙装置に対応させた印刷速度範囲を設定しなくても良いので、設定作業から開放され、操作性が向上する。
(第2の実施形態)
図8は、印刷速度のミスマッチを警告する制御ルーチンを示すフローチャートである。この制御ルーチンは制御手段400のROM402に記憶されていて、接続された機器に対応する印刷速度範囲が設定された後に実行される。例えば、図7のステップR6の前後に実行するのが好ましい。
今、大量排紙搬送ユニット200が孔版印刷装置100に接続されているものとすると、孔版印刷装置100には、この大量排紙搬送ユニット200に対応する印刷速度範囲(1速から5速)が設定されている。
そして、ステップT1において装置操作者が操作パネル150の印刷速度設定キー155を操作して印刷速度を任意の速度、例えば4速の印刷速度情報を入力設定したものとする。ステップT2では、この入力設定された印刷速度情報が、設定された印刷速度範囲にあるか否かを判断し、設定された印刷速度範囲の印刷速度(変速段)である場合には、ステップT3において、その印刷速度(変速段)を孔版印刷装置100で印刷する際の印刷速度(変速段)としてRAM403に設定する。
入力設定された印刷速度情報(変速段)が、設定された印刷速度範囲外の場合、例えば6速と入力された場合、孔版印刷装置100には5速が最高速と設定されているので6速の印刷速度は設定されず、ステップT4において入力された印刷速度情報が、接続されている大量排紙搬送ユニット200に対応した印刷速度でなく印刷速度範囲の変更を促す警告メッセージをLCD(液晶表示装置)表示部157に表示してステップT1に戻る。そして、装置操作者が警告メッセージに従い、再度操作パネル150の印刷速度設定キー155を操作して、入力設定された印刷速度情報が、設定された印刷速度範囲となると、この制御を終える。
このように、孔版印刷装置100においては、印刷速度が印刷速度キー155で任意に設定され、この設定された印刷速度が接続された機器に対応しない印刷速度の場合には警告メッセージが表示されるので、装置操作者は任意に入力した印刷速度が接続機器に対応していないことを容易に知ることができ、操作性が向上する。
(第3の実施形態)
図8に示すフローチャートでは、ステップT4で警告メッセージを表示した後にステップT1に戻って印刷速度の再入力を促すように制御したが、このような構成でなくても良い。例えば、ステップT1で入力された印刷速度が6速のような最高速の場合には、装置操作者が高速印刷を臨んでいるものと判断して、図9に示すように、ステップT4での警告メッセージの表示の後にステップT5に進んで、大量排紙搬送ユニット200に対応した最高速である5速の印刷速度(変速段)に自動的に設定して、この制御を終えるようにしてもよい。
この場合には、装置操作者の意思、すなわち、最高速での印刷要求が接続された機器に応じた最高速として実現されるので、装置操作者による印刷速度の再入力が不要となり、より操作性が向上する。
(第4の実施形態)
図10に示すフローチャートは、給紙装置の識別とそれに対応した印刷速度範囲の可変制御に関するものである。本形態においては、孔版印刷装置100と、これに接続可能な大量給紙搬送ユニット1が既に電源が投入されているものとして説明する。
図10のステップU1では、大量給紙搬送ユニット1が孔版印刷装置100に接続されているか否かが接続識別回路405によって判断される。大量給紙搬送ユニット1が接続されていると、大量給紙搬送ユニット1の制御手段300から装置識別信号が送信されてくるので、制御手段400ではこの信号から大量給紙搬送ユニット1であるか否かを判断する。ステップU1において大量給紙搬送ユニット1であると識別判断した場合には、ステップU2に進んでROM402から大量給紙搬送ユニット1に対応する印刷速度範囲情報が選択され、この情報に基づいて孔版印刷装置100における印刷速度範囲が設定される。ステップR2においては1速から始まり最高速が5速までの範囲が印刷速度範囲としてRAM403に設定される。
ステップU1において、制御手段400に対して識別信号が入力されない場合には、大量給紙搬送ユニット1が接続されていないものと判断してステップU3に進む。ここでは、制御手段400が標準の印刷速度範囲となる1速から始まり最高速が6速までの標準的で最も印刷速度範囲が広い1速から6速の印刷速度範囲としてRAM403に設定する。
ステップU2、ステップU3において、印刷速度範囲が設定されると、ステップU4に進んで製版スタートキー151のオン状態が判断され、オンされるとステップU5において製版動作から版付けまでの動作を実行されて装置を一端停止させる。そして、ステップU6においてテンキー152を用いて印刷枚数が入力設定され、ステップU7において印刷スタートキー153が操作されてオンすると、ステップU8に進んで各ステップで設定された印刷速度で印刷処理が実行され、大量給紙搬送ユニット1から給紙された用紙Pが孔版印刷装置100によって印刷されて排紙装置に排紙される。この例では排紙装置として図示しない通常積載量の排紙トレイとし、孔版印刷装置で印刷された用紙Pは、この排紙トレイに順次排紙される。
孔版印刷装置100では、図示しないカウンターで印刷された枚数をカウントしており、このカウント値がステップやU9に示す設定印刷枚数となるまで印刷処理が実行される。そして、カウント値が設定印刷枚数となると印刷終了と判断して、この制御を終える。
このように、孔版印刷装置100に、大量給紙搬送ユニット1が装着されたとき、制御手段400が、ROM402に記憶されたデータの中から、装着された大量給紙搬送ユニット1に対応する印刷速度範囲情報を読み出し、そのデータに応じた印刷速度範囲が本体筐体107側、すなわち孔版印刷装置100に設定されるので、印刷速度範囲が給紙装置に応じた適正な範囲に設定され、安定した給紙動作を行え、用紙ジャムの発生が極めて少なくなる。また、装置操作者が一々接続される大量給紙搬送ユニット1(給紙装置)に対応させた印刷速度範囲を設定しなくても良いので、設定作業から開放され、操作性が向上する。
(第5の実施形態)
図11は、印刷速度のミスマッチを警告するルーチンを示すフローチャートである。この制御ルーチンは制御手段400のROM402に記憶されていて、接続された機器に対応する印刷速度範囲が設定された後に実行される。例えば、図7のステップU4の前後に実行するのが好ましい。
今、大量給紙搬送ユニット1が孔版印刷装置100に接続されているものとすると、孔版印刷装置100には、この大量給紙搬送ユニット1に対応する印刷速度範囲(1速から5速)が設定されている。
そして、ステップV1において装置操作者が操作パネル150の印刷速度設定キー155を操作して印刷速度を任意の速度、例えば4速の印刷速度情報を入力設定したものとする。ステップV2では、この入力設定された印刷速度情報が、設定された印刷速度範囲にあるか否かを判断し、設定された印刷速度範囲の印刷速度(変速段)である場合には、ステップV3において、その印刷速度(変速段)を孔版印刷装置100で印刷する際の印刷速度(変速段)としてRAM403に設定する。
入力設定された印刷速度情報(変速段)が、設定された印刷速度範囲外の場合、例えば6速と入力された場合、孔版印刷装置100には5速が最高速と設定されているので6速の印刷速度は設定されず、ステップV4において入力された印刷速度情報が、接続されている大量給紙搬送ユニット1に対応した印刷速度でなく、印刷速度範囲の変更を促す警告メッセージをLCD(液晶表示装置)表示部157に表示してステップV1に戻る。そして、装置操作者が警告メッセージに従い、再度操作パネル150の印刷速度設定キー155を操作して、入力設定された印刷速度情報が、設定された印刷速度範囲となると、この制御を終える。
このように、孔版印刷装置100においては、印刷速度が印刷速度キー155で任意に設定され、この設定された印刷速度が接続された機器に対応しない印刷速度の場合には警告メッセージが表示されるので、装置操作者は任意に入力した印刷速度が接続機器に対応していないことを容易に知ることができ、操作性が向上する。
(第6の実施形態)
図11に示すフローチャートでは、ステップV4で警告メッセージを表示した後にステップV1に戻って印刷速度の再入力を促すように制御したが、このような形成でなくても良い。例えば、ステップV1で入力された印刷速度が6速のような最高速の場合には、装置操作者が高速印刷を臨んでいるものと判断して、図12に示すように、ステップV4での警告メッセージの表示の後にステップV5に進んで、大量給紙搬送ユニット1に対応した最高速である5速の印刷速度(変速段)を自動的に設定して、この制御を終えるようにしてもよい。
この場合には、装置操作者の意思、すなわち、最高速での印刷要求が接続された機器に応じた最高速として実現されるので、装置操作者による印刷速度の再入力が不要となり、より操作性が向上する。
(第7の実施形態)
この形態は、給紙装置と排紙装置との印刷速度許容範囲が異なる場合の制御である。上記の例を参考にして説明すると、大量給紙搬送ユニット1と大量排紙搬送ユニット200は、それぞれ給紙搬送速度と排紙搬送速度とが印刷速度の1速から最高速を5速とする印刷速度に対応可能とされている。このような場合には、孔版印刷装置100の制御手段400は、印刷速度範囲を1速から5速の印刷速度範囲とすれば、給紙側と排紙側の双方に対応可能な印刷速度を設定できる。しかし、大量給紙搬送ユニット1と多段排紙装置210のように、給紙側と排紙側とで印刷速度の許容範囲が異なる場合、孔版印刷装置100の印刷速度範囲を給紙側あるいは排紙側の何れかに対応させると、何れか他方に対応できなくなり、ジャム発生が懸念される。
このような場合の制御ルーチンを図13に示すフローチャートに沿って説明する。この制御ルーチンは、制御手段400のROM402に予め記憶されている。本形態においては、孔版印刷装置100と、これに接続可能な大量給紙搬送ユニット1と多段排紙装置210とが既に電源が投入されているものとして説明する。
図13のステップW1では、給紙側に接続されている機器の識別が行われる。例えば、大量給紙搬送ユニット1が孔版印刷装置100に接続されているか否かが接続識別回路405によって判断され、大量給紙搬送ユニット1が接続されているとステップW2に進んで排紙側に接続されている機器の識別が行われる。本形態では、多段排紙装置210が孔版印刷装置100に接続されているか否かが接続識別回路405によって判断される。多段排紙装置210が接続されている場合には、大量給紙搬送ユニット1の制御手段300と多段排紙装置210の制御装置510から装置識別信号がそれぞれ送信されてくるので、これら信号から大量給紙搬送ユニット1と多段排紙装置210が接続されているか否かを判断する。
ステップW1において大量給紙搬送ユニット1が接続されていると識別判断し、ステップW2で多段排紙装置210が接続されていると判断した場合には、ステップW3に進んでROM402から大量給紙搬送ユニット1に対応する印刷速度範囲情報と多段排紙装置210に対応する印刷速度範囲情報とがそれぞれ選択される。そしてステップW4において、選択された印刷速度範囲同士が比較され、何れの印刷速度情報に孔版印刷装置100の印刷速度情報を対応させるかを判断する。本形態では、印刷速度範囲の低い方に合わせるように設定している。このため、本来、大量給紙搬送ユニット1に対応する印刷速度範囲である1速から5速の印刷速度となるものが、多段排紙装置210側に合わせた1速から4速までの印刷速度範囲としてRAM403に設定される。
ステップW1、W2において大量給紙搬送ユニット1や多段排紙装置210が接続されていない場合には、ステップW5において標準的な印刷速度範囲(1速〜6速)が設定される。
何れかの印刷速度範囲が設定されると、ステップW6に進んで製版スタートキー151のオン状態が判断され、オンされるとステップW7で製版動作から版付けまでの動作を実行されて装置を一端停止させる。そして、ステップW8においてテンキー152を用いて印刷枚数が入力設定され、ステップW9において印刷スタートキー153が操作されてオンすると、ステップW10に進んで各ステップで設定された印刷速度で印刷処理が実行され、大量給紙搬送ユニット1から給紙された用紙Pが孔版印刷装置100によって印刷されて多段排紙装置210に順次排紙される。
孔版印刷装置100では、図示しないカウンターで印刷された枚数をカウントしており、このカウント値がステップW11に示す設定印刷枚数となるまで印刷処理が実行される。そして、カウント値が設定印刷枚数となると印刷終了と判断して、この制御を終える。
このように孔版印刷装置100に、印刷速度許容範囲の異なる給紙装置としての大量給紙搬送ユニット1と排紙装置としての多段排紙装置210とが装着されたとき、制御手段400が、ROM402に記憶されたデータの中から、装着された大量給紙搬送ユニット1及び多段排紙装置210に対応する印刷速度範囲情報を読み出すとともに、これら読み出された印刷速度範囲情報を比較して何れか一方に合わされて印刷速度範囲が本体筐体107側、すなわち孔版印刷装置100に設定される。このため、印刷速度範囲が給紙装置と排紙装置の双方に応じた適正な範囲に設定され、安定した給紙動作と排紙動作を行え、用紙ジャムの発生が極めて少なくなる。また、装置操作者が一々接続される大量給紙搬送ユニット1と多段排紙装置210の双方に対応させた印刷速度範囲を設定しなくても良いので、設定作業から開放され、操作性が向上する。
(第8の実施形態)
上記各形態においては、孔版印刷装置100に接続される給紙装置や排紙装置を接続識別回路405で自動的に識別しているが、本形態は手動で識別を可能としたものである。
本形態にかかる制御手段400のROM402には、孔版印刷装置100に接続される給紙装置または排紙装置の機種が予めデータとして記憶されていて、給紙選択キー158または排紙選択キー159が操作されると、LCD(液晶表示装置)表示部157にそのデータリストが表示される。データリストが表示されている状態で給紙選択キー158または排紙選択キー159が操作されると、データリスト上でカーソールが移動、または表示されるデータが切り替わり、接続される給紙装置または排紙装置を選択するように構成されている。そして選択した後に例えばテンキー38の♯キーを押すと選択内容がRAM403に設定されるように構成されている。本形態においては、制御手段400に接続識別回路405が接続されていないものとする。
このような手動設定の場合の制御ルーチンを図14、図15に示すフローチャート沿って説明する。この制御ルーチンは、制御手段400のROM402に予め記憶されている。
本形態においては、孔版印刷装置100は既に電源が投入されているものとして説明する。図14は給紙装置の手動設定制御ルーチンを、図15は排紙装置の手動設定制御ルーチンをそれぞれ示す。
図14のステップY1では、給紙側に接続する機器の識別が行われる。ここで、給紙装置選択キー158を操作して大量給紙搬送ユニット1を選択すると、ステップY2において、ROM402から大量給紙搬送ユニット1に対応する印刷速度範囲情報が選択され、この情報に基づいて孔版印刷装置100における印刷速度範囲が設定される。ステップY2においては1速から始まり最高速が5速までの範囲が印刷速度範囲としてRAM403に設定される。
ステップY2において、印刷速度範囲が設定されると、ステップY3に進んで製版スタートキー151のオン状態が判断され、オンされるとステップY4において製版動作から版付けまでの動作を実行されて装置を一端停止させる。ステップY5においてテンキー152を用いて印刷枚数が入力設定され、ステップY6において印刷スタートキー153が操作されてオンすると、ステップY7に進んで各ステップで設定された印刷速度で印刷処理が実行され、印刷された用紙Pが孔版印刷装置100に接続されている排紙装置に順次排紙される。印刷動作はステップY8において設定印刷枚数となるまで印刷処理が実行され、設定印刷枚数となると印刷終了と判断して、この制御を終える。
図15のステップY11では、排紙側に接続する機器の識別が行われる。ここで、排紙装置選択キー159を操作して大量排紙搬送ユニット200か多段排紙装置210を選択すると、ステップY12において、ROM402から大量排紙搬送ユニット200または多段排紙装置210に対応する印刷速度範囲情報が選択され、この情報に基づいて孔版印刷装置100における印刷速度範囲が設定される。ステップY11において大量排紙搬送ユニット200が選択された場合には、ステップY12において1速から始まり最高速が5速までの範囲が印刷速度範囲としてRAM403に設定される。ステップY11において多段排紙装置210が選択された場合には、ステップY12において1速から始まり最高速が4速までの範囲が印刷速度範囲としてRAM403に設定される。
ステップY12において、印刷速度範囲が設定されると、ステップY13に進んで製版スタートキー151のオン状態が判断され、オンされるとステップY14で製版動作から版付けまでの動作を実行されて装置を一端停止させる。ステップY15においてテンキー152を用いて印刷枚数が入力設定され、ステップY16において印刷スタートキー153が操作されてオンすると、ステップY17に進んで各ステップで設定された印刷速度で印刷処理が実行され、印刷された用紙Pが孔版印刷装置100に接続されている排紙装置に順次排紙される。印刷動作はステップY18において設定印刷枚数となるまで印刷処理が実行され、設定印刷枚数となると印刷終了と判断して、この制御を終える。
このように、孔版印刷装置100に接続される給紙装置や排紙装置を手動で選択しても、制御手段400が、手動選択された給紙装置や排紙装置に対応する印刷速度範囲情報を、ROM402に記憶されたデータの中から読み出し、そのデータに応じた印刷速度範囲が孔版印刷装置100に設定されるので、印刷速度範囲が給紙装置や排紙装置に応じた適正な範囲に設定され、安定した給紙動作や排紙動作を行え、用紙ジャムの発生が極めて少なくなる。