JP2006120877A - 電子部品の電磁波遮蔽構造及び、該遮蔽構造を備えた記録装置 - Google Patents

電子部品の電磁波遮蔽構造及び、該遮蔽構造を備えた記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 電子部品から発生する電磁波が、他の電子部品に悪影響を与えることを防止することができる電子部品の電磁波遮蔽構造及び、その電磁波遮蔽構造を備えた記録装置を提供する。
【解決手段】 導電性のシールドプレート11で覆われた基板14上に、電磁波を発生する電子部品7aが実装される電子部品の電磁波遮蔽構造において、電子部品7aは、シールドプレート11及び電磁波を遮蔽可能な導電性の電磁波遮蔽手段10により覆われた。これにより、電子部品7aから発生する電磁波が、他の電子部品6b及び6cに悪影響を与えることを防止することができる。
【選択図】 図13

Description

本発明は、記録装置等の主制御基板等に実装される電子部品の電磁波遮蔽構造に関する。
近年、プリンタ、コピー、スキャナの3つの機能を併せ持った複合機とも呼ばれる記録装置が多く用いられている。かかる複合機等の記録装置の本体上部に、記録装置の機能を活用できるように、操作パネルが設けられているものがある。この操作パネル下には、上記の複合機本体を制御する主制御基板が設けられている。この主制御基板上には、多数の種類の電子部品が実装されており、その実装された電子部品の中には、電磁波を発生する電子部品もある。この電磁波は周囲に放出され、輻射ノイズとして、主制御基板上の他の電子部品に悪影響を及ぼす恐れを否定できない。また、上記の電磁波は主制御基板だけでなく、他の基板、例えば、上述した操作パネルの裏に設けられているパネル基板にも到達し、パネル基板上の電子部品にも悪影響を及ぼす恐れも否定できない。そこで、主制御基板を導電性のシールドプレートで覆い、シールドプレートを接地している。これにより、主制御基板上の電子部品で発生した電磁波を、シールドプレートで遮蔽し、遮蔽された電磁波をシールドプレートから接地線を通して、複合機本体の外部に放出している。
しかし、主制御基板は、略全体をシールドプレートに覆われている。そのため、上記のシールドプレートは、主制御基板上の他の電子部品に対しては、遮蔽効果はない。そこで、上記の電磁波を発生させる電子部品は、他の電子部品と離隔されて実装されている。又は、上記の電子部品を、電磁波が周囲に漏れないように、特殊仕様の構造、例えば、シールドケース等で覆われた構造としている。(特許文献1参照。)
特開平10−135864号公報
上述した電子機器では、電磁波が他の電子部品に与える影響を削減するために、特殊仕様の構造にしている。しかし、電子部品を特殊仕様にすると、割高になるといった問題があった。また、電子部品のサイズが大きくなり、それによって、基板サイズも大きくなるといった問題もあった。
また、上記の電子機器では、他の方法として、電子部品を特殊仕様にしない代わりに、電磁波を発生する電子部品と他の電子部品を離隔している。これによって、電磁波による他の電子部品の影響を削減しつつ、電子部品が割高になるのを防止している。しかし、上記の電子部品と他の電子部品の間に何もないスペース存在し、そのスペースのために基板サイズが大きくなるといった問題があった。基板サイズが大きくなると、生産コストも割高になるといった問題もあった。
本発明は、上記のような種々の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、電磁波を発生する電子部品を特殊仕様にすること無く、電磁波を遮蔽し、上記の電子部品が割高になるのを防止すると共に、生産コストを減少することができる電磁波遮蔽構造及び、その電磁波遮蔽構造を備えた記録装置を提供することにある。
また、他の目的は、上記の電子部品を特殊仕様にすること無く、他の電子部品に与える悪影響を減少させることで、上記の電子部品と他の電子部品とのクリアランスを縮小し、上記の電子部品が実装された基板のサイズを縮小することができる電磁波遮蔽構造及び、その遮蔽構造を備えた記録装置を提供することにある。
上記目的達成のため、本発明の電子部品の電磁波遮蔽構造では、導電性のシールドプレートで覆われた基板上に、電磁波を発生する電子部品が実装される電子部品の電磁波遮蔽構造において、前記電子部品は、前記シールドプレート及び電磁波を遮蔽可能な導電性の電磁波遮蔽手段により覆われていることを特徴としている。
これにより、上記の電子部品を特殊仕様に変更すること無しに、上記の電子部品から発生する電磁波が、他の電子部品に悪影響を与えることを防止することができる。そのため、従来のように、電子部品を特殊仕様に変更する必要が無くなり、上記の電子部品が割高になることを防止することができる。よって、生産コストを減少することができる。また、上記の電子部品のサイズを縮小することもできる。更に、上記の電子部品と他の電子部品とのクリアランスを縮小することができる。よって、上記の電子部品が実装された基板のサイズを縮小することもできる。
また、本発明の電子部品の電磁波遮蔽構造では、前記電子部品は、前記基板上に実装された他の複数の種類の電子部品と、前記電磁波遮蔽手段を隔てて、実装されることを特徴としている。これにより、上記の電子部品から発生する電磁波が、他の電子部品に悪影響を与えることを防止することができる。
また、本発明の電子部品の電磁波遮蔽構造では、前記電磁波遮蔽手段は、前記シールドプレートに固定手段を用いて固定されていることを特徴としている。これにより、電磁波遮蔽手段は、この電磁波をシールドプレートを通して、効率良く接地線から、外部に放出することができる。
また、本発明の電子部品の電磁波遮蔽構造では、前記電子部品は、開磁路コイルであることを特徴としている。これにより、閉磁路コイルよりも漏れ磁束の大きい開磁路コイルを使用しても、このコイルから発生する漏れ磁束が他の電子部品に与える影響を小さくすることができる。よって、開磁路コイルよりも割高な閉磁路コイルを使用する必要が無くなり、生産コストを減少することができる。
また、本発明の電子機器では、上記に記載の各基板を備えたことを特徴としている。これにより、上記の電磁波遮蔽構造を有する基板を備えた電子機器を提供することができる。
また、本発明の記録装置では、記録媒体に記録する記録装置であって、上記に記載の各基板を備えたことを特徴としている。これにより、上記の電磁波遮蔽構造を有する基板を備えた記録装置を提供することができる。
また、本発明の記録装置では、前記電子部品は、前記他の複数の種類の電子部品と共に、電源回路を構成していることを特徴としている。電源回路には、コイル等の電磁波を発生させる電子部品を使用しているので、これにより、電源回路から発生する電磁波を減少させることができる。
また、本発明の記録装置では、前記基板は、前記電源回路を含む主制御基板であることを特徴としている。これにより、主制御基板上に電源回路が設けられていても、電源回路から発生した電磁波は、電磁波遮蔽手段によって減少し、主制御基板上に実装されているIC等の精密機械を電磁波から保護することができる。
また、本発明の液体噴射装置では、被噴射媒体に液体を噴射する液体噴射装置であって、上記に記載の各基板を備えたことを特徴としている。これにより、上記の電磁波遮蔽構造を有する基板を備えた液体噴射装置を提供することができる。
また、本発明の電子部品の電磁波遮蔽方法では、導電性のシールドプレートで覆われた基板上に、電磁波を発生する電子部品が実装される電子部品の電磁波遮蔽方法において、前記電子部品と前記基板上に実装された他の複数の種類の電子部品を、電磁波を遮蔽可能な導電性の電磁波遮蔽手段を隔てて、実装することを特徴としている。
これにより、上記の電子部品から発生する電磁波が、電子部品を特殊仕様に変更すること無しに、他の電子部品に悪影響を与えることを防止することができる。そのため、従来のように、電子部品を特殊仕様に変更する必要が無くなり、上記の電子部品が割高になることを防止することができる。よって、生産コストを減少することができる。また、上記の電子部品のサイズを縮小することもできる。更に、上記の電子部品と他の電子部品とのクリアランスを縮小することができる。よって、上記の電子部品が実装された基板のサイズを縮小することもできる。
本発明の実施形態の一つについて、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
はじめに、本発明の実施形態に係る記録装置の構成について図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る記録装置を正面から見た斜視図である。図1に示す記録装置は、プリンタ、スキャナ及びコピー等の機能を有する、いわゆる複合機であり、図1には、その本体1が示され、複合機本体1の上部手前側には、操作パネル2が示されている。更に操作パネル2の中央部には、操作パネル表示装置3が示されている。この操作パネル2は複合機本体1の外観寸法を小さくするため、操作パネル表示装置3を操作パネル2に組み込み、操作パネル2の高さを低くしている。ここで、操作パネル表示装置3は、操作者の嗜好に合わせて、操作パネル表示装置3の角度を変更できる構造になっている。また、操作パネル2には、図示しない各種の操作ボタンが設けられており、各種操作ボタンの操作に応答して、操作画面が操作パネル表示装置3に表示されている。操作パネル2の図示しない各種の操作ボタンの対抗面には、図示しないパネル基板及びパネル基板用のシールドプレーが設けられている。
図2は、操作パネル2と本発明の特徴的な部分である電磁波遮蔽手段10を設けた主制御基板14の筐体17の位置関係を示す斜視図である。図2では、操作パネル2と接地部材5と主制御基板14と導電性のシールドプレート11が示されている。ここで、接地部材5の図示しない一方の端部は、上記のパネル基板用のシールドプレートに接続されている。また、接地部材5の他方の端部は、図2に示すように、主制御基板14のシールドプレート11と接触し、図示しないパネル基板用のシールドプレートとシールドプレート11を導通させている。操作パネル2は、主制御基板14から見て、予め決められた角度傾斜して配置され、主制御基板14よりも前方に張出している。接地部材5は、シールドプレート11の上部に押し付けられる形で接触しており、図2から見て奥行き方向に引っ張られている。
しかし、接地部材5は、金属製の薄い板状に形成されており、金属の剛性によって、シールドプレート11の上部に押し付けられる前の位置に戻ろうとし、結果的にシールドプレート11を下方に押し付ける。これにより、接地部材5は、シールドプレート11の上部に固定され、図示しないパネル基板用のシールドプレートとシールドプレート11を導通させている。よって、本実施形態に係る主制御基板14の筐体17は、複合機本体1の内部の図2に示す位置に配置されている。なお、接地部材5とシールドプレート11の接触場所は、これに限定されず、シールドプレート11と接触していれば、任意の箇所で良い。また、シールドプレート11は、後述するが、複合機本体1の図示しない接地端子に導通され、操作パネルを通して外部から進入する静電気による輻射ノイズや各種電子部品から発生する輻射ノイズなどの不要なノイズを、接地線を通して外部に放出している。
図3は、主制御基板14の筐体17を平面から見た斜視図である。図3では、主制御基板14、シールドプレート11及び筐体ボトムフレーム12が組立てられた筐体17が示されている。また、本実施形態の筐体17では、後述する本発明の特徴部分である電磁波遮蔽手段10が、固定手段である固定用ボルト15によって、シールドプレート11に固定されている。また、主制御基板14上のコネクタ13が現れている。コネクタ13は、主制御基板14と図示しない他の基板を接続するケーブルを、固定するために設けられている。そのため、ケーブルと干渉しないように、シールドプレート11の外に設けられている。このケーブルにより、主制御基板14からの命令信号等が他の基板に送信されている。
図4は、筐体17の分解斜視図である。筐体17の組立て作業は、図4に示すように、まず、筐体ボトムフレーム12に主制御基板14を固定する。具体的には、筐体ボトムフレーム12の貫通穴35と主制御基板14の貫通穴34、貫通穴38と貫通穴39(図7及び図10参照)及び、貫通穴40と貫通穴41(図7及び図10参照)を、図示しないボルト等により固定する。その後、後述するが、本発明の特徴部分である電磁波遮蔽手段10をシールドプレート11に固定用ボルト15によって固定する。具体的には、シールドプレート11の貫通穴36と電磁波遮蔽手段10の貫通穴37を図3に示した固定用ボルト15で固定する。次に、電磁波遮蔽手段10を固定したシールドプレート11を主制御基板14及び筐体ボトムフレーム12に固定する。具体的には、シールドプレート11の貫通穴31と筐体ボトムフレーム12の貫通穴33等を、主制御基板14の貫通穴32等を通して、固定する。その他、図示しないシールドプレート11と筐体ボトムフレーム12の貫通穴を固定して、筐体17の組立て作業は終了する。なお、図4では、主制御基板14上に実装された電子部品を、コネクタ13を除いて、省略している。
図5は、シールドプレート11を平面から見た斜視図である。シールドプレート11は、導電性の材質から形成され、電磁波遮蔽手段10を固定するため、貫通穴36が加工されている。筐体17の組立て作業用に貫通穴31等も加工されている。また、主制御基板14上に実装されたコネクタ13と図示しないケーブルを接続する作業中に、シールドプレート11と図示しないケーブルとが干渉しないように、コネクタ13の周辺部は、切り欠きが形成されている。更に、シールドプレート11は、上述したように、複合機本体1の接地線と接続されている。これによって、他の基板から放出された輻射ノイズを、複合機本体1の外部に放出している。また、主制御基板14上の電子部品、例えば、コイル等から発生した電磁波を、他の基板に影響を与えないように、シールドプレート11で遮蔽し、複合機本体1の外部に放出している。更に、上述したように、操作パネル2に設けられた図示しないパネル基板用のシールドプレートと接触部材5で導通しているので、操作パネル2を通して外部から進入する静電気による輻射ノイズや、図示しないパネル基板上の各種電子部品から発生する輻射ノイズなどの不要なノイズも、シールドプレート11を通して、図示しない接地線から、複合機本体1の外部に放出している。
図6は、電磁波遮蔽手段10を平面から見た斜視図である。図6には、本発明の特徴部分である電磁波遮蔽手段10が示されている。電磁波遮蔽手段10は、シールドプレート11と同様に、導電性の材質から形成されている。本実施形態では、板金を折り曲げて形成されている。また、シールドプレート11に固定されるため、貫通穴37が加工されている。後述するが、電磁波遮蔽手段10は、主制御基板14上に実装された電磁波を発生する電子部品と他の電子部品の間に、挿入されている。これによって、電磁波を発生する電子部品から放出された電磁波が、他の電子部品に悪影響を与えないように、上記の電磁波を電磁波遮蔽手段10で遮蔽している。電磁波遮蔽手段10は、シールドプレート11と導通しているので、遮蔽した電磁波をシールドプレート11及び図示しない接地線を通して、複合機本体1の外部に放出することができる。よって、電磁波遮蔽手段10により、主制御基板14上に実装された他の電子部品を電磁波から保護することができる。
図7は、電子部品を実装する前の主制御基板14を平面から見た斜視図である。図7では、主制御基板14を筐体ボトムフレーム12に固定する貫通穴32、34、38及び40が加工されている。なお、図7では、電子部品を示していないが、主制御基板14上には他の複数の種類の電子部品、例えば、コネクタ、BGAパッケージ、QFPパッケージ、コイル及びコンデンサ等が実装されている。
ここで、本実施形態の記録装置(複合機)に備えられる主制御基板14は、4層基板が使用されている。主制御基板14の各層には、配線パターン、グラウンドパターン及び電源パターンが形成されている。各パターンが形成される各層は、例えば、ビルドアップ工法により形成され、この主制御基板14上に、電子部品が実装されている。それぞれの用途により、電源パターン、配線パターンおよびグラウンドパターンなどの各種パターンが形成されている。各種パターンを形成した後、各種パターンは、必要な部分を除いて、絶縁のため、レジスト材で覆われる。各種パターンの必要な部分は、電子部品を取り付け、半田付けされる。
図8は、電子部品を実装する前の主制御基板14の詳細平面図である。図8では、複数の種類の電子部品を実装するため、各種配線パターンが示されている。また、電子部品を実装する必要の無い各種パターンは、上述したように、レジスト26で覆われている。本実施形態の主制御基板14では、図8に示すように、BGAパッケージ用配線パターン21、コネクタ用配線パターン22、コンデンサ用配線パターン23、コイル用配線パターン24、QFPパッケージ用配線パターン25が形成されている。よって、主制御基板14には、BGAパッケージ、QFPパッケージ、コネクタ13等が実装されている。BGAパッケージ及びQFPパッケージはICであり、複合機本体1の動作を制御している。コネクタ13は、主制御基板14と他の基板を接続する図示しないケーブルを接続している。このケーブルを通して、主制御基板14から他の基板に命令信号等を送信し、他の基板から各種している。
コイル用配線パターンには、後述する開磁路コイル7a(図13参照)が実装されている。コンデンサ用配線パターンには、コンデンサ6a、6b及び6c(図13参照)が実装されている。開磁路コイル7a及びコンデンサ6aは、複合機本体1内に予め決められたの電圧を供給する電源回路の一部を構成している。コンデンサ6b及び6cは、他の用途で使用されている。後述するが、本実施形態で使用した開磁路コイル7aからは、複合機本体1の運転中に電磁波が発生する。この電磁波を原因とするノイズが他の電子部品に悪影響を及ぼす可能性を否定できない。
この現象は、各パターン間に存在する予め決められたの電位レベルが、これらのノイズの進入によって変動することで引き起こされる。特に、各パターンの電位レベルの基準となるグラウンドパターンの電位レベルが変動すると、他のパターンの電位レベルが変動し、各基板に悪影響を及ぼし、他の基板に取り付けられた電子部品の基準レベルを変動させ、誤動作を引き起こす可能性も否定できない。ここで、各パターンの電位レベルの基準となるグラウンドパターンの電位レベルが変動するメカニズムを説明する。
図9は、グラウンドパターンの電位レベルが変動するメカニズムを簡易的に示した図である。図9のように、基板の配線パターン上に実装される電子部品P、Qが、距離を隔てて、基板のグラウンドパターンGに電子部品P、Qのグラウンド端子G1、G2を介して接続されている場合、グラウンドパターンGには、そのグラウンド端子G1、G2の距離に応じたインピーダンスZgを有する。このため、電子部品Pのグラウンド端子G1からグラウンドパターンGに電流Iaが流れると、グラウンドパターンGの電位は、IaZgだけ変動し、この電位分だけ、部品Qのグラウンド端子G2の電位レベルも変動する。このように複数の電子部品のグラウンド端子を単にグラウンドパターンに接続しただけでは、グラウンドパターンGのインピーダンスZgによるノイズの影響を受けやすい。そこで、この対策として、グラウンドパターンGをベタパターンにして基板の内層面に設けていることが多い。
しかし、本実施形態の主制御基板14のように4層基板で各種パターンが密集している場合、4層基板に実装された電子部品の周囲には他のパターンが形成され、グラウンドパターンGのベタパターンは電子部品から遠い位置に形成され、電子部品をベタパターンに直接接続することができない。よって、上記の電子部品から遠くの位置に形成されたベタパターンまで、グラウンドパターンGの細いパターンで接続される。この細いパターンは、電子部品からベタパターンまでの距離に応じたインピーダンスを有することとなり、上述したようにノイズの影響を受けやすい。本実施形態では、図示しないグラウンドパターンは、他のパターンが形成されていない場所に、ベタパターンとして形成されている。そのため、上述したように、ベタパターンは電子部品から遠くの位置に形成され、そのベタパターンまで、グラウンドパターンの細いパターンで接続される。上述したように、この細いパターンはノイズの影響を受けやすい。そこで、本実施形態の主制御基板14では、シールドプレート11を主制御基板14を覆うように筐体ボトムフレーム12に固定することで、他の基板から放出される輻射ノイズが主制御基板14に進入し難いように構成されている。
しかし、シールドプレート11は、他の基板から放出された輻射ノイズを遮蔽し、複合機本体1の外部に接地線を通して、放出することはできるものの、主制御基板14上に実装されている電子部品、例えば、開磁路コイル7aから発生した電磁波から、主制御基板14上の他の電子部品を保護することはできない。そこで、本実施形態では、本発明の特徴部分である電磁波遮蔽手段10をシールドプレート11に固定し、電磁波を発生する開磁路コイル7aと他の電子部品であるコンデンサ6b及び6cの間に挿入している。これにより、開磁路コイル7aから発生した電磁波を電磁波遮蔽手段10により遮蔽し、シールドプレート11及び接地線を通して、複合機本体1の外部に放出することができる。
図10は、筐体ボトムフレーム12を平面から見た斜視図である。図10に示す筐体ボトムフレーム12は、貫通穴35、39及び41が加工されている。上述したように貫通穴35、39及び41は、主制御基板14を固定するために加工されている。また、筐体ボトムフレーム12は、主制御基板14の裏面に形成された各種パターンと接触しないような形状に加工されている。すなわち、主制御基板14は、筐体ボトムフレーム12に比べて1段高い位置で固定される。また、筐体ボトムフレーム12は、貫通穴33及び図示しない貫通穴が形成されている。この貫通穴33及び図示しない貫通穴は、上述したように、シールドプレート11を固定するために形成されている。本実施形態では、主制御基板14の筐体17は、筐体ボトムフレーム12、主制御基板14、シールドプレート11及び電磁波遮蔽手段10から構成され、上述した手順により、組立てられている。この筐体17は、複合機本体1の図1及び図2に示した位置に配置されている。
図11は筐体17の平面図、図12は筐体17の側面図である。図11及び図12ではシールドプレート11、主制御基板14上に実装されたコネクタ13、筐体ボトムフレーム12の一部及び、シールドプレート11と電磁波遮蔽手段10を固定する固定用ボルト15が示されている。また、図12に示すように、主制御基板14は、筐体ボトムフレーム12に比べて1段高い位置で固定されている。
図13は図11の矢視AAから見た断面図である。図13では、筐体ボトムフレーム12に固定された主制御基板14上に開磁路コイル7a及びコンデンサ6aが実装されている。主制御基板14は、シールドプレート11で覆われている。シールドプレート11は、電磁波遮蔽手段10を固定用ボルト15で固定している。電磁波遮蔽手段10の下端は、主制御基板14に接触せず、電磁波遮蔽手段10の下端と主制御基板14の間には、予め決められた隙間が存在する。これにより、電磁波遮蔽手段10を固定したシールドプレート11を主制御基板14が固定された筐体ボトムフレーム12に固定する作業で、電磁波遮蔽手段10の下端と主制御基板14が接触しないので、作業性を向上することができる。また、電磁波遮蔽手段10の下端と主制御基板14が接触しないので、主制御基板14上に形成されたパターン又はレジストを傷つけることを防止することもできる。更に、電磁波遮蔽手段10の下端と主制御基板14が接触したまま、シールドプレート11を固定すると、主制御基板14に電磁波遮蔽手段10の下端による応力がかかる恐れもあったが、これにより、上記の応力を削除することもできる。
図14は図12の矢視BBから見た断面図、図15は従来の主制御基板の図14に相当する断面図、図16は従来の他の主制御基板の図14に相当する断面図である。ここで、先に、図15及び図16に示す従来の主制御基板について説明する。図15では、主制御基板14上に実装されている電子部品、閉磁路コイル7b、コンデンサ6a、6b及び6cが示されている。閉磁路コイル7b及びコンデンサ6aは電源回路の一部を構成している。コンデンサ6b及び6cは、他の回路に使用されている。また、シールドプレート11が示されている。図16では、主制御基板14上に実装されている電子部品、開磁路コイル7a、コンデンサ6a、6b及び6cが示されている。図15と同様に、開磁路コイル7a及びコンデンサ6aは電源回路の一部を構成している。コンデンサ6b及び6cは、他の回路に使用されている。また、シールドプレート11が示されている。
図15に示す従来の主制御基板では、閉磁路コイル7bを使用している。閉磁路コイル7bは、コイルの周囲をフェライト等の磁性材で覆い、リード線が外観から見えない構造になっている。そのため、閉磁路コイル7bは漏れ磁束の少ない特殊仕様で設計されている。一方、図16に示す従来の主制御基板に使用されている開磁路コイル7aは、コイルの周囲に何も覆われていないので、コイルに巻回されたリード線が外観から見える構造になっている。開磁路コイル7aは、閉磁路コイル7bのように漏れ磁束を少なくする特殊仕様の構造になっていない。よって、閉磁路コイル7bは、漏れ磁束を、開磁路コイル7aより少なくすることができる。すなわち、閉磁路コイル7bの周囲の磁界の強さが、開磁路コイル7aのそれよりも弱いので、他の電子部品に与える影響は、開磁路コイル7aに比べて少なくなる。閉磁路コイル7bを使用することで、コンデンサ6b及び6cを閉磁路コイル7bに接近させることができる。図15では、コンデンサ6bと閉磁路コイル7bは、クリアランスCL1、離して実装されている。しかし、閉磁路コイル7bは、図16に示す開磁路コイル7aに比べ割高になるといった問題があった。また、図16に示す開磁路コイル7aのコイル径D1に比べ、コイルの周囲をフェライト等の磁性材で覆われているため、コイル径が長くなるといった問題もあった。図15では、閉磁路コイル7bのコイル径はD2であり、開磁路コイル7aのコイル径D1に比べて、長くなっている。そのため、主制御基板のサイズも大きくなるといった問題もあった。
図16では、閉磁路コイル7bの代わりに、開磁路コイル7aを使用している。開磁路コイル7aは、閉磁路コイル7bと異なり、コイルの周囲にフェライト等の磁性体で覆われていない。そのため、開磁路コイル7aのコイル径D1は、閉磁路コイル7bのコイル径D2より、短くなっている。しかし、開磁路コイル7aの漏れ磁束は、閉磁路コイル7bよりも大きいので、コンデンサ6b及び6cは開磁路コイル7aに接近して実装することができない。この場合、コンデンサ6bと開磁路コイル7aのクリアランスCL2は、閉磁路コイル7bの場合のクリアランスCL1に比べて、長くなるといった問題があった。これにより、主制御基板のサイズが大きくなるといった問題もあった。
図14では、主制御基板14上に実装されている電子部品、開磁路コイル7a、コンデンサ6a、6b及び6cが示されている。更に、シールドプレート11及び、電磁波遮蔽手段10が示されている。本実施形態では、開磁路コイル7aとコンデンサ6aは電源回路に使用され、電磁波遮蔽手段10とシールドプレート11で覆われている。コンデンサ6b及び6cは、他の回路に使用されている。図16に示したコンデンサ6b及び6cを開磁路コイル7aに接近させて実装すると、開磁路コイル7aの漏れ磁束により、悪影響を与える可能性を否定できない。そこで、本実施形態では、電磁波遮蔽手段10を開磁路コイル7aとコンデンサ6b及び6cの間に挿入し、上記の影響を減少させている。そのため、コンデンサ6b及び6cを開磁路コイル7aに接近させて実装することができる。本実施形態では、コンデンサ6bと開磁路コイル7aのクリアランスを、コンデンサ6bと閉磁路コイル7bのクリアランスCL1にすることができる。更に、閉磁路コイル7bよりも小さい開磁路コイル7aを使用しているので、主制御基板のサイズも小さくすることができる。また、開磁路コイル7aは、閉磁路コイル7bよりも割安なので、生産コストを減少させることができる。
以上のように、本実施形態の電磁波遮蔽構造によれば、導電性のシールドプレート11で覆われた基板14上に、電磁波を発生する電子部品7aが実装される電子部品の電磁波遮蔽構造において、電子部品7aは、シールドプレート11及び電磁波を遮蔽可能な導電性の電磁波遮蔽手段10により覆われているので、上記の電子部品7aを特殊仕様に変更すること無しに、上記の電子部品7aから発生する電磁波が、コンデンサ6b及び6cに悪影響を与えることを防止することができる。そのため、従来のように、電子部品7aを特殊仕様に変更する必要が無くなり、上記の電子部品7aが割高になることを防止することができる。よって、生産コストを減少することができる。また、上記の電子部品7aのサイズを縮小することもできる。更に、上記の電子部品7aとコンデンサ6b及び6cとのクリアランスを縮小することができる。よって、上記の電子部品7aが実装された基板14のサイズを縮小することもできる。
また、電子部品7aは、基板14上に実装された他の複数の種類の電子部品と、電磁波遮蔽手段10を隔てて、実装されるので、上記の電子部品7aから発生する電磁波が、コンデンサ6b及び6cに悪影響を与えることを防止することができる。
また、電磁波遮蔽手段10は、シールドプレート11に固定用ボルト15を用いて固定されているので、電磁波遮蔽手段10は、この電磁波をシールドプレート11を通して、効率良く接地線から、外部に放出することができる。
また、電子部品7aは、開磁路コイル7aであるので、閉磁路コイル7bよりも漏れ磁束の大きい開磁路コイル7aを使用しても、このコイル7aから発生する漏れ磁束がコンデンサ6b及び6cに与える影響を小さくすることができる。よって、開磁路コイル7aよりも割高な閉磁路コイル7bを使用する必要が無くなり、生産コストを減少することができる。
また、記録媒体に記録する記録装置であって、上記に記載の各基板14を備えているので、上記の電磁波遮蔽構造を有する基板14を備えた記録装置を提供することができる。
また、電子部品7aは、他の複数の種類の電子部品と共に、電源回路を構成しているので、電源回路には、コイル等の電磁波を発生させる電子部品7aを使用しているが、これにより、電源回路から発生する電磁波を減少させることができる。
また、基板14は、電源回路を含む主制御基板14であるので、主制御基板14上に電源回路が設けられていても、電源回路から発生した電磁波は、電磁波遮蔽手段10によって減少し、主制御基板14上に実装されているIC等の精密機械を電磁波から保護することができる。
なお、本発明の範囲は上述した実施形態に限られず、特許請求の範囲の記載に反しない限り、他の様々な実施形態に適用可能である。例えば、本実施形態では、コンデンサ6a及び開磁路コイル7aが覆われているが、特にこれに限定されるものでなく、開磁路コイル7aだけでも良い。また、他の電子部品と共に覆われても良い。
更に、本実施形態では、コンデンサ6a及び開磁路コイル7aは、電磁波遮蔽手段10及びシールドプレート11で覆われているが、特にこれに限定されるものでなく、電磁波遮蔽手段10だけで覆われていても良い。
また、本実施形態では、電磁波遮蔽手段10は、シールドプレート11に固定されているが、特にこれに限定されるものでなく、接地されていれば、シールドプレート11に固定されていなくても適用できる。また、電磁波遮蔽手段10は、本実施形態の形状に限定されるものでなく、電磁波を発生させる電子部品、開磁路コイル7aを覆うことができる形状であれば、適用可能である。
また、本実施形態では、図2に示す位置で、接地部材5とシールドプレート11が接触しているが、接地部材5とシールドプレート11の接触場所は、特にこれに限定されるものでなく、シールドプレート11と接触していれば、任意の箇所で良い。
また、本実施形態では、主制御基板14は、複合機本体1内の図2の示す位置に配置されているが、特にこれに限定されるものでなく、複合機本体1内であれば、任意の場所に配置できる。また、主制御基板14上に、電源回路が形成されているが、特にこれに限定されるものでなく、電源回路がなくても、電磁波を発生する電子部品があれば、適用可能である。
更に、本実施形態では、主制御基板14に電磁波遮蔽手段10を設けているが、特にこれに限定されるものでなく、他の基板に設けることもできる。
また、本実施形態では、シールドプレート11と電磁波遮蔽手段10を固定用ボルト15で固定しているが、特にこれに限定されるものでなく、固定することができれば、他の手段、例えば溶接等でも適用可能である。
電磁波を発生する電子部品を有する基板を備えた記録装置等であれば、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、コピー装置等であっても適用可能である。
本発明の実施形態に係る記録装置を正面から見た斜視図である。 図1の操作パネルと本発明の特徴的な部分である電磁波遮蔽手段を設けた主制御基板の筐体の位置関係を示す斜視図である。 図2の主制御基板の筐体を平面から見た斜視図である。 図3の分解斜視図である。 図4のシールドプレートを平面から見た斜視図である。 図4の電磁波遮蔽手段を平面から見た斜視図である。 電子部品を実装する前の図4の主制御基板を平面から見た斜視図である。 図7の主制御基板の詳細平面図である。 グラウンドパターンの電位レベルが変動するメカニズムを簡易的に示した図である。 図4の筐体ボトムフレームを平面から見た斜視図である。 図3の筐体の平面図である。 図3の筐体の側面図である。 図11の矢視AAから見た断面図である。 図12の矢視BBから見た断面図である。 従来の主制御基板の図14に相当する断面図である。 従来の他の主制御基板の図14に相当する断面図である。
符号の説明
1 複合機本体、2 操作パネル、3 操作パネル表示装置、5 接地部材、6a、6b、6c コンデンサ、7a 開磁路コイル、7b 閉磁路コイル、10 電磁波遮蔽手段、11 シールドプレート、12 筐体ボトムフレーム、13 コネクタ、
14 主制御基板、15 固定用ボルト、17 筐体、
21 BGAパッケージ用配線パターン、22 コネクタ用配線パターン、
23 コンデンサ用配線パターン、24 コイル用配線パターン、
25 QFPパッケージ用配線パターン、26 レジスト、
31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41 貫通穴、
D1、D2 コイル径、CL1、CL2 クリアランス、
G 一般的な基板のグラウンドパターン、
G1 電子部品Pのグラウンド端子、 G2 電子部品Qのグラウンド端子、
Ia 電子部品Pのグラウンド端子からグラウンドパターンに流れる電流、
P、Q 電子部品、Zg グラウンドパターンのインピーダンス

Claims (10)

  1. 導電性のシールドプレートで覆われた基板上に、電磁波を発生する電子部品が実装される電子部品の電磁波遮蔽構造において、
    前記電子部品は、前記シールドプレート及び電磁波を遮蔽可能な導電性の電磁波遮蔽手段により覆われていることを特徴とする電子部品の電磁波遮蔽構造。
  2. 前記電子部品は、前記基板上に実装された他の複数の種類の電子部品と、前記電磁波遮蔽手段を隔てて、実装されることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の電磁波遮蔽構造。
  3. 前記電磁波遮蔽手段は、前記シールドプレートに固定手段を用いて固定されていることを特徴とする請求項1乃至2に記載の電子部品の電磁波遮蔽構造。
  4. 前記電子部品は、開磁路コイルであることを特徴とする請求項1乃至3に記載の電子部品の電磁波遮蔽構造。
  5. 請求項1乃至4に記載の基板を備えたことを特徴とする電子機器。
  6. 記録媒体に記録する記録装置であって、請求項1乃至5の何れか一項に記載の基板を備えたことを特徴とする記録装置。
  7. 前記電子部品は、前記他の複数の種類の電子部品と共に、電源回路を構成していることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
  8. 前記基板は、前記電源回路を含む主制御基板であることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
  9. 被噴射媒体に液体を噴射する液体噴射装置であって、請求項1乃至8の何れか一項に記載の基板を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
  10. 導電性のシールドプレートで覆われた基板上に、電磁波を発生する電子部品が実装される電子部品の電磁波遮蔽方法において、
    前記電子部品と前記基板上に実装された他の複数の種類の電子部品を、電磁波を遮蔽可能な導電性の電磁波遮蔽手段を隔てて、実装することを特徴とする電子部品の電磁波遮蔽方法。
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