請求項1に記載の発明は、食品の調理情報を管理するホストコンピューターと、前記ホストコンピューターに接続されたサーバと、前記サーバとインターネット回線を介して通信可能な端末と、前記端末からインターネット回線を介して読みとった前記調理情報を記録する外部記録手段と、前記外部記録手段に記録された調理情報を読みとる読みとり手段を備るとともに前記読みとり手段により読みとった調理情報に基づいて調理を行う調理機器とを備えた調理システムであって、前記端末はユーザーから調理情報の入手の指示を受け付けた際に、インターネット回線を介して前記サーバのデータベースからユーザーの指定した調理メニューに対応した調理情報のデータを読み込んで前記外部記録手段に記録することにより、出来上がった調理物の塩分や糖分が過多とならないように、食品の種類によって最適な調理を人の手間をかけずに行うことで、出来上がった調理物に含有されている塩分や糖分を低減し、かつ食品内部まで調味液を染み込ませることで官能的に美味しい調理物を得ることができ、さらにこの調理物のメニューが多彩となる調理システムを提供することができるので、特に生活習慣病の人を中心とした健康志向の調理物の美味しさを向上させ、かつバリエーションを増やすことが簡単に行える調理システムを提供することができる。
請求項2に記載の発明は、調味液の販売情報を管理するホストコンピューターと、前記ホストコンピューターに接続されたサーバと、前記サーバとインターネット回線を介して通信可能な端末と、前記調味液に対応する調理情報を記録する外部記録手段と、前記外部記録手段に記録された調理情報を読みとる読みとり手段を備えるとともに前記読みとり手段により読みとった調理情報に基づいて調理を行う調理機器とを備えた調理システムであって、前記端末はユーザーから調味液の発注の指示を受け付けた際に、インターネット回線を介して前記サーバのデータベースからユーザーの指定した調理メニューに対応した調味液の情報を読み込んで、前記ホストコンピューターから発注データに基づいた前記調味液が手配、発送されユーザーに届き、前記調理機器によって前記調味液と前記調味液に対応する調理情報に基づいて調理を行うことにより、出来上がった調理物の塩分や糖分が過多とならないように、食品の種類によって最適な調理を人の手間をかけずに行うことで、出来上がった調理物に含有されている塩分や糖分を低減し、かつ食品内部まで調味液を染み込ませることで官能的に美味しい調理物を得ることができ、さらにこの調理物のメニューが多彩となる調理システムを提供することができるので、特に生活習慣病の人を中心とした健康志向の調理物の美味しさを向上させ、かつバリエーションを増やすことが簡単に行える調理システムを提供することができる。
請求項3に記載の発明は、調理情報が記録された外部記録手段の販売情報を管理するホストコンピューターと、前記ホストコンピューターに接続されたサーバと、前記サーバとインターネット回線を介して通信可能な端末と、前記外部記録手段に記録された調理情報を読みとる読みとり手段を備えるとともに前記読みとり手段により読みとった調理情報に基づいて調理を行う調理機器とを備えた調理システムであって、前記端末はユーザーから外部記録手段の発注の指示を受け付けた際に、インターネット回線を介して前記サーバのデータベースからユーザーの指定した調理メニューに対応した調理条件に関する情報が記録された外部記録手段の情報を読み込んで、前記ホストコンピューターから発注データに基づいた前記外部記録手段が手配、発送されユーザーに届き、前記調理機器によって前記外部記録手段に記録されている調理情報に基づいて調理を行うことにより、出来上がった調理物の塩分や糖分が過多とならないように、食品の種類によって最適な調理を人の手間をかけずに行うことで、出来上がった調理物に含有されている塩分や糖分を低減し、かつ食品内部まで調味液を染み込ませることで官能的に美味しい調理物を得ることができ、さらにこの調理物のメニューが多彩となる調理システムを提供することができるので、特に生活習慣病の人を中心とした健康志向の調理物の美味しさを向上させ、かつバリエーションを増やすことが簡単に行える調理システムを提供することができる。
請求項4に記載の発明は、前記調理情報は、食品の材料および分量と、調味液と、前記調理機器を制御する制御情報が含まれた調理条件に関する情報を有し、調理機器に備えられた読みとり手段は前記調理情報のうち少なくとも調理条件を読み込み、この調理条件に基づいて調理を行うものであり、これによって調理機器を制御する制御情報が入った調理条件のみを調理機器が読み込むので、調理機器の読み込みメモリーの容量を小さくすることができる。
請求項5に記載の発明は、前記調理機器は、インターネット回線を介して通信可能な端末を備えたものであり、これによって調理機器とは別にパソコン等の通信機器を用意する必要がなく、調理機器だけでユーザーは得たい情報を入手することができるので、コンパクトでかつ簡単にインターネット回線を介して通信することができる。
請求項6に記載の発明は、前記調理システムに基づいて購入した調味液は、前記調味液に対応する調理情報が予め記録された外部記録手段とをセットで手配、発送され、ユーザーに届くものであり、調味液とそれに対応する調理情報とが同時に入手できることで、調理を簡単にかつ正確に行うことができる。
請求項7に記載の発明は、前記調理システムに基づいて購入した調味液に対応する調理情報は、ユーザーが前記端末からインターネット回線を介して前記サーバのデータベースからユーザーの指定した調理メニューに対応した調理情報のデータを読み込んで前記外部記録手段に記録するものであり、一つの外部記録手段に様々なメニューに対応する調理情報を記録することができるので、必要に応じた調理情報を随時得ることができる。
請求項8に記載の発明は、前記ホストコンピューターは食品の材料と調味液がセットになった調理物セットと調理物セットの販売情報をさらに管理するものであり、前記調理システムに基づいて購入した調味液は、前記食品の材料とをセットで手配、発送され、ユーザーに届くものであり、食材と調味液をセットで入手することができるので、食材を準備する手間が省け、より簡単に減塩、減糖した調理物や脂質の流出および栄養成分の溶出が促進された調理物を得ることができる。
請求項9に記載の発明は、前記調理機器の読みとり手段が読み取る調理情報は、、常温の食品を95℃〜200℃の温度まで加熱する加熱工程と、前記加熱工程に続いて食品を95℃〜200℃の温度で一定時間維持する沸騰維持工程と、前記沸騰維持工程に続いて食品を60℃〜80℃の温度まで冷却する冷却工程と、前記冷却工程に続いて60℃〜80℃の温度で一定時間維持する低温加熱維持工程の各温度条件と、前記加熱工程および前記沸騰維持工程および前記冷却工程および前記低温加熱維持工程の各工程時間とが調理する食品と調味液に対応して設定されているものであり、ことにより、食品組織全体に調味液が染み込んだ上で調味液の食品への過剰な染み込みを防止した調理物を得る調理システムを実現することができる。
請求項10に記載の発明は、前記調理機器の読みとり手段が読み取る調理情報は、前記加熱工程の前に、食品を−5℃〜−20℃まで冷凍する冷凍工程と、前記冷凍工程に続いて食品を−5℃〜−20℃で一定時間維持する凍結維持工程の各温度条件と、前記冷凍工程および前記凍結維持工程の各工程時間をさらに有したものであり、調理前に長期間保存しておいても食品や調味液の鮮度が低下することを防いだ上で、食品組織全体に調味液が染み込んだ上で脂質の流出が促進された調理物を得る調理システムを実現することができる。
請求項11に記載の発明は、前記調理機器の読みとり手段が読み取る調理情報は、前記凍結維持工程に続いて食品を0℃〜100℃の温度まで解凍する解凍工程の各温度条件と、前記冷凍工程および前記凍結維持工程および前記解凍工程の各工程時間をさらに有したものであり、調理前に長期間保存した後、解凍してから加熱を行うため、食品や調味液の鮮度が低下することを防いだ上でより美味しい調理物を得る調理システムを実現することができる。
請求項12の記載の発明は、前記調理機器の読みとり手段が読み取る調理情報は、前記加熱工程の前に、冷却することにより、0℃〜10℃の所定の温度で所定の時間維持する保存工程の温度条件と、前記保存工程の工程時間をさらに有したものであり、調理前に保存しておいても食品や調味液の鮮度が低下することを防ぐ調理物を得る調理システムを実現することができる。
請求項13に記載の発明は、前記調理機器の読みとり手段が読み取る調理情報は、調理の最終工程に70℃〜95℃の所定の温度に維持する再加熱工程の温度条件と、前記保存工程の工程時間とをさらに有したものであり、調理後に温かい状態になった調理物を得る調理システムを実現することができる。
請求項14に記載の発明は、前記調理機器は、断熱構造で構成された調理室と、前記調理室内に収納された食品を95℃〜200℃の温度まで加熱する加熱手段と、前記加熱手段によって加熱された前記食品を95℃〜200℃の温度で一定時間維持する沸騰維持手段と、前記沸騰維持手段によって沸騰維持された前記食品を60℃〜80℃の温度まで冷却を行う冷却手段と、前記冷却手段によって冷却された前記食品を60℃〜80℃の温度で一定時間維持する保温維持手段と、前記加熱手段および前記沸騰維持手段および前記冷却手段および前記保温維持手段の各作動時間を前記食品の種類によって制御する制御装置とを備えたものであり、食品組織全体に調味液が染み込んだ上で調味液の食品への過剰な染み込みを防止し減塩、減糖した調理物を調理する調理機器を備えた調理システムを提供することができる。
請求項15に記載の発明は、前記調理機器は、前記加熱手段によって食品が加熱される前に、食品を−5℃〜−20℃まで冷凍する冷凍手段と、前記冷凍手段によって食品が冷凍された食品を−5℃〜−20℃で一定時間維持する凍結維持手段とをさらに備えたことにより、脂質の流出および栄養成分の溶出が促進された調理物を調理する調理機器を備えた調理システムを実現することができる。
請求項16に記載の発明は、前記調理機器は、前記凍結維持手段によって凍結維持された食品を0℃〜100℃の温度まで解凍する解凍手段をさらに備えたことにより、解凍してから加熱を行うため、食品や調味液の鮮度が低下することを防いだ上でより美味しい調理物を得る調理機器を備えた調理システムを実現することができる。
請求項17に記載の発明は、前記調理機器は、加熱手段によって食品を加熱する前に、0℃〜10℃の温度で冷却保存する保存手段とをさらに備えたことにより、調理前に保存しておいても食品や調味液の鮮度が低下することを防ぐ調理機器を備えた調理システムを実現することができる。
請求項18に記載の発明は、前記調理機器は、調理の最終工程に70℃〜200℃の温度に加熱する再加熱手段とをさらに備えたことにより、食べごろ温度で加熱維持することができる調理機器を備えた調理システムを実現することができる。
請求項19に記載の発明は、断熱構造として、ウレタン発砲材で形成されたものであり、さまざまな形状の調理室に応じた断熱構成を容易に形成することができる調理機器を備えた調理システムを実現することができる。
請求項20に記載の発明は、請求項8から17の発明に加えて、断熱構造として、真空断熱材で形成されたものであり、調理室の断熱性能を向上させることができる調理機器を備えた調理システムを実現することができる。
(実施の形態1)
以下、本実施の形態1における調理システム及び調理機器の構成および作用について、図1及び図2を参照にしながら説明する。尚、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
図1は、本実施の形態1における調理システムを示す図である。
調理システムは、食品や調味液や調理条件に関する情報を管理するホストコンピューター1と、ホストコンピューター1に接続されたサーバ2と、サーバ2とインターネット回線3を介して通信可能な端末4と端末4からインターネット回線3を介して読み取ったサーバ2の情報を記録する外部記録手段5と外部記録手段5に記録された情報を読み取る読み取り手段6を備えた調理機器を備えている。外部記録手段5には、食品や調味液や調理条件に関する情報として、調理する食品の大きさや重量、さらに各減塩、減糖を実現するための配合表に基づいて作成された調味液の種類や量及びそれに対応した調理条件を情報として記録する。
図2は、本実施の形態1における調理機器を示す断面図である。
調理機器は、調理する調理物10が収容されている鍋11と、調理室12内の温度を検知する室温センサー13と、調理する調理物10を収容する鍋11を加熱する電気ヒーター14と電気ヒーター14の温度を検知するヒーターセンサー15と外部記録手段5から読み取り手段6により読みとった情報により、調理室12内の室温センサー13やヒーターセンサー15を制御する制御装置18を備えており、図には示していないが、圧縮機、凝縮器、キャピラリーチューブを有し、強制対流式蒸発器19により、調理室12内を冷却できる構造になっている。
強制対流式蒸発器19で冷却された冷気は送風機20により調理室12内に強制通風される。ダンパーサーモ21は調理室12入口に設けて電気的入力で冷気流入量を調整するものであり、モータ22の駆動力によってダンパーサーモ21を開閉するように構成されている。吐出ダクト23は前記送風機20からの冷気を前記調理室12内に導くものであり、また吹き出し口24は調理室12内に冷気を吹き込むものであり、吸い込みダクト25は調理室12内の冷却した冷気を前記強制対流式蒸発器21に戻すために備えられている。
また、調理室12はウレタン発砲あるいは、真空断熱材で形成された断熱構造を有している。
図3は、本実施の形態1における調理機器本体外殻の一部に設けたコントロールパネルを示す図であり、外部記録手段5から読みとった調理する食品の量や大きさ、調味液の種類や量に関する情報が表示される表示部27、調理を開始する開始ボタン28、調理が終了したことを知らせる終了ランプ29を備えている。
外部記録手段5に記録された情報を読みとり手段6で読みとった後、表示部27に表示されている情報に基づいて、調理する食品と調味液を調理室12内の鍋11に収容し、コントロールパネル26の、開始ボタン28を押すことにより、読みとった外部記録手段5に記録された調理条件の情報に基づいて、室温センサー13とヒーターセンサー15の温度が制御され、調理物に最適な加熱と冷却を組み合わせた調理が行われ、調理が終了すると終了ボタン29が点灯する。
以下、本実施の形態1における調理システムの調理機器7の調理室12にて調理して得られた食品を従来のレトルト食品及び従来の調理機器で調理した食品と比較しながら説明する。
(表1)は、従来のレトルト食品及び従来の調理機器で調理した食品に関するデータである。
(表1)において、従来の塩分調整済みの根菜の煮物のレトルト食品の鶏肉及び従来の調理機器で減塩調理した根菜の煮物の鶏肉の官能評価による鶏肉への染み込み状態、軟らかさ、おいしさ、鶏肉に含まれる塩分量を示している。
(表1)における官能評価、味の染み込みは、味があまり染み込んでいないは0ポイントとし、やや染み込んでいるときは1ポイント、かなり染み込んでいるときは2ポイントとし、1ポイント違うと染み込み状態の差は明確に認識される。同様に、軟らかさは、やや硬いときは0ポイントとし、やや軟らかいときは1ポイント、かなり軟らかいときは2ポイントとし、1ポイント違うと軟らかさの差は明確に認識される。さらに、おいしさの官能評価は、ややおいしくないときは0ポイントとし、ややおいしいときは1ポイント、かなりおいしいときは2ポイントとし、1ポイント違うとおいしさの差は明確に認識される。
総合評価は、調理した食品として官能評価での染み込み状態と軟らかさとおいしさから総合的に判断して評価を行い、官能評価の染み込み及び軟らかさ、さらにおいしさが1ポイント以上のときに○、いずれか一項目でも満足しないときには×とした。
鶏肉に含まれる塩分量の値は、従来の調理機器として、鍋等を使い、ガス火や電気ヒーター等の直火で、従来の根菜の煮物をレシピ通りの食品と調味液の量でレシピ通りの通常調理を行ったときに、鶏肉に含まれていた塩分量を100%とし、その値と比較して%で表示した。
従来の塩分調整済みレトルトの塩分量は、約70%であり、官能の染み込みは1ポイント良かったものの、軟らかさは0ポイントと硬く、おいしさは、普段食べている根菜の煮物と比較して異なる味がしたことから、0ポイントと総合評価は×であった。
レトルト食品の根菜の煮物の鶏肉は、製造過程にある加熱殺菌により、筋線維部分の蛋白質の熱変性が促進され、より多くの水分が流出したため、筋線維自体が硬くぱさぱさした状態になり硬くなり、また、味つけとして、塩分量が少ない分、補う味として旨味等のだしが多く使用されていたため異なる味がしたと考えられる。
次に従来の調理機器として、調理鍋等を使い、ガス火や電気ヒーター等の直火で、減塩調理として根菜の煮物をレシピ通りの食品量と調味液はレシピの量から70%に減らして調理したものを従来の調理方法1とした。このとき沸騰維持時間は、30分であった。このときの根菜の煮物の鶏肉の官能の軟らかさは1ポイントであったものの、染み込みとおいしさは、共に0ポイントであり、総合的には×となった。またこのときの塩分量70%であった。
(表1)に示したように、従来の調理方法1では、調味液の量を70%と減らしていることから、官能の染み込みが悪くなり、味が薄くおいしくなかった。
次に従来の調理方法2では、従来の調理機器として、保温調理機器を使い、レシピ通りの食材量で調味液が70%の量に減らして調理したものである。このときの鶏肉の官能の染み込みは2ポイント、軟らかさは1ポイントとなったもののおいしさは0ポイントとなし、総合的には×となった。このときの塩分量は、減塩調理しているにもかかわらず、110%と通常調理より濃くなった。
(表1)に示したように、従来の調理方法2では、調味液の量を70%と減らしていたものの、冷却過程を経て保温状態で放置しているときに調味液が染み込み、結果、味が濃すぎて塩からく、おいしくなかった。
ここで従来の調理方法3では、従来の調理方法2と同様、保温調理機器を使い、染み込みすぎるのを防ぐため、レシピ通りの食材量で調味液を70%から50%に減らして調理したものである。このときの鶏肉の官能の軟らかさは1ポイントであったが、染み込みは0ポイントと悪くなり、おいしさは0ポイントとなり、総合的には×となった。またこのときの塩分量は70%であった。
(表1)に示したように、従来の調理方法3では、調味液の量を50%と減らしていることから、今度は官能の染み込みが悪くなり、味が薄くおいしくなかった。
次に、従来の調理方法と同様の根菜の煮物を例にとって、本実施の形態1における調理機器の調理室12にて調理する工程を説明する。
まず、ホストコンピューター1の根菜の煮物の食品と調味液と調理条件に関する情報をサーバ2からインターネット回線3を介して端末4において、外部記録手段5により記録し、外部記録手段5から調理機器7の読み取り手段6により根菜の煮物の情報を読み取ることにより、コントロールパネル26の表示部27に調理室12内にセットされた鍋11内にセットする食品と調味液の情報が表示され、それに従い食品と調味液を用意し、それらを鍋11内にセットし、調理開始ボタン28を押すことにより調理が開始される。このときの調理する食品と調味液は、減塩70%の調理が行なえるような食品の大きさや重さと調味液の量や配合が用意できるように表示部に表示されている。
一方、調味液や食品と調味液がセットになった調理物セットを購入する調理システムの場合、根菜の煮物の減塩70%の調理を行なうための調味液や、調理物セットをインターネット回線3を介してサーバ4に発注し、発注データに基づいてホストコンピューター1により手配、発送されたもの購入する。調味液を購入したときは、食品と調理条件の情報を、ホストコンピューター1よりサーバ2からインターネット回線3を介して端末4において、記録手段5により記録し、記録手段5から調理機器7の読み取り手段6により読み取る。また、調味液に対応した食品と調理条件の情報が記録された外部記録手段を備えた調理システムの場合は、調理機器の読みとり手段でその情報を読みとる。
調理物セットを購入したときは、調理条件の情報を、ホストコンピューター1よりサーバ2からインターネット回線3を介して端末4において、記録手段5により記録し、記録手段5から調理機器7の読み取り手段6により読み取る。また、調理物セットに対応した調理条件の情報が記録された外部記録手段を備えた調理システムの場合は、調理機器の読みとり手段でその情報を読みとる。
調味液を購入した場合は、調理室12内にセットされた鍋11内に、購入した調味液とコントールパネル26の表示部に表示された食品を用意し、それらを鍋11内にセットし、調理開始ボタン28を押すことにより、読みとった調理条件で調理が開始される。このときの食品は、減塩70%の調理が行なえるように、購入した調味液に対応した大きさや重さが用意できるように表示部に表示されている。また、調理物セットを購入した場合は、調理室12内にセットされた鍋11内に、購入した調味物セットの食品と調味液をセットし、開始ボタン28を押すことにより、読みとった調理条件で調理が開始される。
根菜の煮物の場合は、調理室12内の電気ヒーター14が作動し、鍋11の加熱が行われることにより鍋11に収容された調理物10の温度が上昇し、根菜の煮物の温度は、ヒーターセンサー15により、電気ヒーター14の入力を制御することによって、一定の値で一定時間維持される。その後、強制対流式蒸発器19が作動し、強制対流式蒸発器19で冷却された冷気は送風機20により調理室12内に強制通風され、根菜の煮物は冷却され、読み取った調理条件の情報に基づいて、室温センサー13によりダンパーサーモ22を制御することによって、一定の温度で一定時間低温加熱維持される。低温加熱維持時間が、終了すると終了ランプ29が点灯する。
図4は、本発明の実施の形態1における調理工程の温度変化を示すタイムチャートであり、(表2)は、実施の形態1の調理条件に関するデータである。
調理物10を加熱する加熱手段は、電気ヒーター14に限定されるものでなく、調理室の温度を検知するセンサーは、室温センサー13に限定されるものではない。さらに、冷却手段は強制対流式蒸発器19に限定されるものでない。
(表3)は、実施の形態1の調理物に関するデータである。
(表3)により実施の形態1では、調理後の官能の染み込みは1ポイントで、軟らかさは2ポイントと十分軟らかくなっており、おいしさも1ポイントで総合評価も良かった。また、このときの塩分量は、70%であった。
(表3)に示したように、実施の形態1では、塩分量が70%と減らしているにもかかわらず、官能の染み込みも良く、かなり軟らかくなっていたことからおいしくなった。
これは、冷却工程において、鶏肉内部に調味液が染み込み、さらに低温加熱維持工程においても、調味液が染み込み、ここではさらに鶏肉内部に調味液が均一に分散し、鶏肉の塩分量が70%と減塩されていたものの、食べたときの染み込みが悪くならなかった。また、低温加熱維持工程においては、沸騰状態と比較して低温の蛋白質の変性が抑制される温度での加熱を行うことにより、蛋白質の熱変性による水分流出が抑制された状態での組織破壊が行われ、沸騰維持時間は従来の調理方法1と同等の30分であるが、十分軟らかい状態が実現できた。
また、保存ボタンを備えたコントロールパネル26においては、保存ボタンを調理前に押すことにより、調理室12の鍋11内に収容された調理物10は冷却保存され、予め調理物10をセットしておくことができる。また、再加熱ボタンを備えたコントロールパネル26においては、調理が終了した調理物10を、食べる直前に、再加熱ボタンを押すことにより、食べごろ温度にまで加熱維持することができる。さらに、タイマー等の所定の時間を自由に制御できる制御基板を備えた調理機器においては、保存時間、調理開始時間、再加熱時間を設定することができることにより、保存、調理、再加熱を自動で行うことができる。
以上述べたところから明らかなように、実施の形態1の調理システムは、調理する食品として根菜の煮物を調理するとき、ホストコンピューターの食品や調味液や調理条件の情報を、サーバからインターネット回線を介して読みとる方法や外部記録手段の情報を読みとることにより、最適な加熱と冷却を組み合わせた調理が実現でき、減塩調理しているにもかかわらず、調味液の染み込みも良く、十分軟らかい、おいしい調理物を得ることができることを特徴とするものである。また、実施の形態1の調理システムは、ホストコンピューターから、調味液や調理物セットや調理条件が記録された外部記録手段を購入することで、同様の特徴を有することができる。
(実施の形態2)
以下、本実施の形態2における調理システム及び調理機器の構成および作用について、図5及び図6を参照にしながら説明する。尚、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
図5は、本実施の形態2における調理システムを示す図である。
調理システムは、食品や調味液や調理条件に関する情報を管理するホストコンピューター1と、ホストコンピューター1に接続されたサーバ2と、サーバ2インターネット回線3を介して通信可能な端末4を備えた調理機器7を備えている。調理機器7は、端末4からインターネット回線3を介して、調理する食品や調味液や調理条件に関する情報を読みとることができ、外部記録手段に記録された情報を読みとる読みとり手段6も備えている。図6は、本実施の形態2における調理機器を示す断面図であり、本実施の形態1の調理機器に端末4を備えた構成になっている。また、コントロールパネルは、本実施の形態1と同様の図3に示すような構成になっている。
以下、本実施の形態2における調理システムの調理機器の調理室12にて調理する工程を従来の調理方法と比較しながら説明する。
(表4)は、従来の調理方法で調理した食品に関するデータである。
(表4)において、従来の調理機器で豚の角煮を作ったときの調味液の染み込み状態、官能評価による豚バラ肉の赤身、脂身の軟らかさ、調理後豚バラ肉から調味液に流出した脂質流出量を示している。
(表4)における調味液の染み込み状態の評価は、調理した食品の組織全体に調味液が染み込んでいるときには○、組織全体の1/2以上のときには△、1/2未満のときには×とした。また、軟らかさの官能評価は、やや硬いときは0ポイントとし、やや軟らかいときは1ポイント、かなり軟らかいときは2ポイントとし、1ポイント違うと軟らかさの差は明確に認識される。
総合評価は、調理物として染み込み状態、軟らかさから総合的に判断して評価を行い、染み込み状態が○、軟らかさが1ポイント以上のときに○、いずれか一項目でも満足しないときには×とした。
(表4)により従来の調理方法4では、鍋等に調理物として豚バラ肉と調味液を収容し、加熱操作により沸騰状態を1時間維持したもので、染み込みは悪く、軟らかさも0ポイントと食べることは可能であるが十分軟らかい状態にはなっておらず、総合評価も×であった。
(表4)に示したように、従来の調理方法4では、沸騰状態を1時間維持しているが、その時間が不充分であったため、染み込みが悪く、豚バラ肉の脂身部分、赤身部分ともに、十分軟らかい状態にならなかった。また、このときの脂質流出量は20gであった。
次に従来の調理方法5では、従来の調理方法4と同様に鍋等に調理物として豚バラ肉と調味液を収容し、加熱操作により沸騰状態を3時間維持したもので、染み込み状態は調理方法1と比較して良くなり、調味液に流出した脂質流出量も従来の調理方法1と比較すると40gと2倍になったことから、出来上がった調理物に含有される脂肪量は調理方法4と比較して少なくなり、従来の調理方法4よりカロリーが少ない調理物が実現できた。しかし、豚バラ肉の脂身部分は軟らかくなったものの、赤身部分の軟らかさは従来の調理方法4と同等で良くならなかった。
これは、(表4)により沸騰維持時間を3時間と従来の調理方法4より長くすることにより、食品の組織の破壊が促進され、その結果破壊された組織からの染み込みが促進されたが、沸騰状態を3時間維持したため、赤身の筋線維部分の蛋白質の熱変性が促進され、より多くの水分が流出したため、組織は破壊されたものの、赤身の筋線維自体が硬くぱさぱさした状態になり、調理物の総合的な評価としては悪くなった。
次に、従来の調理方法2と同様の豚の角煮を例にとって、本実施の形態2における調理機器の調理室12にて調理する工程を説明する。
まず、ホストコンピューター1の豚の角煮の食品と調味液と調理条件に関する情報をサーバ2からインターネット回線3を介して、調理機器7に備えた端末4から、読み取ることにより、コントロールパネル26の表示部27に調理室12内にセットされた鍋11内にセットする食品と調味液の情報が表示され、それに従い食品と調味液を用意し、それらを鍋11内にセットし、調理開始ボタン28を押すことにより調理が開始される。
一方、調味液及び食品と調味液がセットになった調理物セットを購入する調理システムの場合、豚の角煮の調理を行なうための調味液あるいは、調理物セットをインターネット回線3を介してサーバに発注し、発注データに基づいてホストコンピューター1により手配、発送されたもの購入する。調味液を購入したときは、食品と調理条件の情報を、ホストコンピューター1よりサーバ2からインターネット回線3を介して、調理機器7に備えた端末4から読み取る。また、調味液に対応した食品と調理条件の情報が記録された外部記録手段を備えた調理システムの場合は、調理機器の読みとり手段でその情報を読みとる。
調理物セットを購入したときは、調理条件の情報を、ホストコンピューター1よりサーバ2からインターネット回線3を介して、調理機器7に備えた端末4から読み取る。また、調理物セットに対応した調理条件の情報が記録された外部記録手段を備えた調理システムの場合は、調理機器の読みとり手段でその情報を読みとる。
調味液を購入した場合は、調理室12内にセットされた鍋11内に、購入した調味液とコントールパネル26の表示部に表示された食品を用意し、それらを鍋11内にセットし、調理開始ボタン28を押すことにより、読みとった調理条件で調理が開始される。このときの食品は、購入した調味液に対応した大きさや重さが用意できるように表示部に表示されている。また、調理物セットを購入した場合は、調理室12内にセットされた鍋11内に、購入した調味物セットの食品と調味液をセットし、開始ボタン28を押すことにより、読みとった調理条件で調理が開始される。
豚の角煮の場合は、まず調理室12内の強制対流式蒸発器19が作動し、強制対流式蒸発器19で冷却された冷気は送風機20により調理室12内に強制通風され、豚バラ肉は冷凍され、読みとられた調理物セット16の情報に基づいて、室温センサー13によりダンパーサーモ22を制御することによって、一定の温度で一定時間凍結維持される。次に、調理室12内の電気ヒーター14が作動し、鍋11の加熱が行われることにより鍋11に収容された調理物10の温度が上昇し、豚バラ肉の温度は、温度センサー13により、電気ヒーター14の入力を制御することによって、一定の値で一定時間維持される。その後、強制対流式蒸発器20が作動し、強制対流式蒸発器20で冷却された冷気は送風機21により調理室12内に強制通風され、豚バラ肉は冷却され、読みとった情報に基づいて、室温センサー13によりダンパーサーモ22を制御することによって、一定の温度で一定時間低温加熱維持される。低温加熱維持時間が、終了すると終了ランプ29が点灯する。
図7は本発明の実施の形態2における調理工程の温度変化を示すタイムチャートであり、(表5)は、実施の形態2の調理条件に関するデータである。
調理物10を加熱する加熱手段は、電気ヒーター14に限定されるものでなく、調理室の温度を検知するセンサーは、室温センサー13に限定されるものではない。さらに、冷却手段は強制対流式蒸発器20に限定されるものでない。
(表6)は、実施の形態2の調理物に関するデータである。
(表6)により実施の形態2では、調理後の染み込み状態は良く、豚バラ肉の赤身部分、脂身部分ともに十分軟らかくなっており、総合評価も良かった。また、脂質の流出量も、従来の調理方法1、2と比較して多くなり、カロリーの少ない調理物を実現できた。
実施の形態2の豚バラ肉の赤身部分が、十分軟らかくなったのは、赤身部分には、約60%の水分が含まれており、図8に示すように、冷凍し凍結させることにより氷結晶が生成され、それにより組織が破壊され、さらに、低温加熱維持工程においては、沸騰状態と比較して低温の蛋白質の変性が抑制される温度での加熱を行うことにより、赤身の蛋白質の熱変性による水分流出が抑制された状態での組織破壊が行われ、沸騰維持時間は従来の調理方法4と同等の1時間であるが、十分軟らかい状態が実現できた。
また、実施の形態2の豚バラ肉の脂身部分が、十分軟らかくなったのは、図8に示すように、豚バラ肉の赤身部分は、約60%の水分を含んでおり氷結晶が生成されるが、脂身部分は約16%の水分しか含んでおらず、そのまま冷凍し凍結させると、図9に示すように、氷結晶はほとんど生成されず、氷結晶による組織破壊は、ほとんど生じない。
しかし、実施の形態2の豚のバラ肉の脂身部分は、調味液とともに冷凍し、凍結させているため、凍結する過程で、調味液が脂身に浸透し、その分含水量が増加し、図10に示すように、氷結晶の生成が促進されることにより、組織が破壊され、軟らかくなった。さらに、加熱したときに破壊された組織から脂質が多く溶出された。また調味液にはアルコールが含まれていることから、図10に示すように、そのアルコールにより脂質が組織より抽出され、加熱したときにさらに脂質が多く流出された。
また、保存ボタンを備えたコントロールパネル26においては、保存ボタンを調理前に押すことにより、調理室12の鍋11内に収容された調理物10は冷却保存され、予め調理物10をセットしておくことができる。また、再加熱ボタンを備えたコントロールパネル26においては、調理が終了した調理物10を、食べる直前に、再加熱ボタンを押すことにより、食べごろ温度にまで加熱維持することができる。さらに、タイマー等の所定の時間を自由に制御できる制御基板を備えた調理機器においては、保存時間、調理開始時間、再加熱時間を設定することができることにより、保存、調理、再加熱を自動で行うことができる。
以上述べたところから明らかなように、実施の形態2の調理システムは、調理する食品として豚の角煮を調理するとき、ホストコンピューターの食品や調味液や調理条件の情報を、サーバからインターネット回線を介して読みとる方法や外部記録手段の情報を読みとることにより、最適な冷凍凍結を行い、その後さらに、最適な加熱と冷却を組み合わせた調理を実現することにより、調味液の染み込みも良く、十分軟らかい総合評価が良い調理物を得ることができ、さらに調理物の脱脂を行うことにより、カロリーカットされた調理物を得ることができることを特徴とするものである。また、実施の形態2の調理システムは、ホストコンピューターから、調味液や調理物セットや調理条件が記録された外部記録手段を購入することで、同様の特徴を有することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態3における調理システム及び調理機器は、本実施の形態1の調理システム及び調理機器と同様の図1及び図2に示すような構成になっている。またコントロールパネルも、本実施の形態1のコントロールパネルと同様の図3に示すような構成になっている。
以下、本実施の形態3における調理機器の調理室12にて調理する工程を従来の調理方法と比較しながら説明する。
(表7)は、従来の調理方法で調理した食品に関するデータである。
(表7)において、従来の調理方法6で、イワシの煮つけを作ったとき、調味液の染み込み状態、官能評価による軟らかさ、調味液とともに調理したイワシの身に含まれる調理後のカルシウム量を示している。
(表7)における調味液の染み込み状態の評価、軟らかさの官能評価、総合評価の評価基準は、(表3)と同様の基準となっている。
(表7)により従来の調理方法6では、鍋等に調理物としてイワシと調味液を収容し、加熱操作により沸騰状態を1時間維持したもので、染み込みは悪く、軟らかさも1ポイントと食べることは可能であるが十分軟らかい状態にはなっておらず、総合評価も×であった。(表7)に示したように、従来の調理方法6では、沸騰状態を1時間維持しているが、その時間が不充分であったため、染み込みが悪く、十分軟らかい状態にならなかった。また、このときのイワシの身に含まれるカルシウム量は108mgであった。
次に、従来の調理方法6と同様のイワシの煮つけを例にとって、本実施の形態3における調理機器の調理室12にて調理する工程を説明する。
まず、調理条件に関する情報が記録された外部記録手段を、インターネット回線3を介してサーバに発注し、発注データに基づいてホストコンピューター1により手配、発送されたもの購入する。その後、ホストコンピューター1の購入した外部記録手段に記録された調理条件の情報に対応した、イワシの煮つけの食品と調味液に関する情報をサーバ2からインターネット回線3を介して端末4において、記録手段5により記録し、記録手段5から調理機器7の読み取り手段6により、イワシの煮つけの食品と調理液の情報を読みとり、さらに購入した外部記録手段から調理条件の情報を読み取ることにより、コントロールパネル26の表示部27に調理室12内にセットされた鍋11内にセットする食品と調味液の情報が表示され、それに従い食品と調味液を用意し、それらを鍋11内にセットし、調理開始ボタン28を押すことにより調理が開始される。このときの調理する食品と調味液は、イワシの煮つけの調理が行なえるような食品の大きさや重さと調味液の量や配合が用意できるように表示部に表示されている。
さらに、調味液や食品と調味液がセットになった調理物セットを購入する調理システムの場合、購入した外部記録手段に記録されたイワシの煮つけの調理条件の情報に対応した調理を行なうための調味液あるいは、調理物セットをインターネット回線3を介してサーバに発注し、発注データに基づいてホストコンピューター1により手配、発送されたもの購入する。調味液を購入したときは、食品の情報を、ホストコンピューター1よりサーバ2からインターネット回線3を介して端末4において、記録手段5により記録し、記録手段5から調理機器7の読み取り手段6により読み取る。また、調味液に対応した食品の情報が記録された外部記録手段を備えた調理システムの場合は、調理機器の読みとり手段でその情報を読みとる。
調味液を購入した場合は、調理室12内にセットされた鍋11内に、購入した調味液とコントールパネル26の表示部に表示された食品を用意し、それらを鍋11内にセットし、調理開始ボタン28を押すことにより、購入した外部記録手段から読みとった調理条件で調理が開始される。このときの食品は、イワシの煮つけの調理が行なえるように、購入した調味液に対応した大きさや重さが用意できるように表示部に表示されている。また、調理物セットを購入した場合は、調理室12内にセットされた鍋11内に、購入した調味物セットの食品と調味液をセットし、開始ボタン28を押すことにより、購入した外部記録手段から読みとった調理条件で調理が開始される。
イワシの煮つけの場合は、まず調理室12内の強制対流式蒸発器19が作動し、強制対流式蒸発器19で冷却された冷気は送風機20により調理室12内に強制通風され、イワシは冷凍され、読みとった調理物セット16の情報に基づいて、室温センサー13によりダンパーサーモ22を制御することによって、一定の温度で一定時間凍結維持される。次に、調理室12内の電気ヒーター14が作動し、鍋11の加熱が行われることにより鍋11に収容された調理物10の温度が上昇し、イワシの温度は、室温センサー13により、電気ヒーター14の入力を制御することによって、一定の値で一定時間維持される。その後、強制対流式蒸発器20が作動し、強制対流式蒸発器20で冷却された冷気は送風機16により調理室12内に強制通風され、イワシは冷却され、読みとった調理物セット16の情報に基づいて、温度センサー13によりダンパーサーモ22を制御することによって、一定の温度で一定時間低温加熱維持される。低温加熱維持時間が、終了すると終了ランプ29が点灯する。
図7は本発明の実施の形態3における調理工程の温度変化を示すタイムチャートであり、表8は、実施の形態2の調理条件に関するデータである。
調理物を加熱する加熱手段は、電気ヒーター14に限定されるものでなく、食品の温度を検知するセンサーは、室温センサー13に限定されるものではない。さらに、冷却手段は強制対流式蒸発器20に限定されるものでない。
(表9)は、実施の形態3の調理物に関するデータである。
(表9)により実施の形態3では、調理後の染み込み状態は良く、十分軟らかくなっており、総合評価も良かった。また、カルシウムの含有量も従来の調理方法6と比較して多くなり、栄養成分の多い調理物を実現できた。
実施の形態3のイワシの身部分が、十分軟らかくなったのは、身部分には、約70%の水分が含まれており、冷凍し凍結させることにより氷結晶が生成され、それにより組織が破壊され、さらに、低温加熱維持工程においては、沸騰状態と比較して低温の蛋白質の変性が抑制される温度での加熱を行うことにより、イワシの身の蛋白質の熱変性による水分流出が抑制された状態での組織破壊が行われ、沸騰維持時間は従来の調理方法6と同等の1時間であるが、十分軟らかい状態が実現できた。
実施の形態3のイワシの身に含有されるカルシウム量が多くなったのは、調理液とともに冷凍する冷凍工程において、調味液中に含まれる酢の効果によりイワシの骨部分に損傷が生じ、その損傷部分から調味液が骨部分に浸透し、調味液に含まれる水分により骨部分に氷結晶が生成され、さらに損傷が促進され、加熱したときに損傷した骨部分からカルシウムが流出されやすくなったためである。
また、保存ボタンを備えたコントロールパネル26においては、保存ボタンを調理前に押すことにより、調理室12の鍋11内に収容された調理物10は冷却保存され、予め調理物10をセットしておくことができる。また、再加熱ボタンを備えたコントロールパネル26においては、調理が終了した調理物10を、食べる直前に、再加熱ボタンを押すことにより、食べごろ温度にまで加熱維持することができる。さらに、タイマー等の所定の時間を自由に制御できる制御基板を備えた調理機器においては、保存時間、調理開始時間、再加熱時間を設定することができることにより、保存、調理、再加熱を自動で行うことができる。
以上述べたところから明らかなように、実施の形態3の調理システムは、調理する食品としてイワシの煮つけを調理するとき、調理条件が記録された外部記録手段を購入し、ホストコンピューターの食品と調味液の情報を、サーバからインターネット回線を介して読みとることにより、最適な冷凍凍結を行い、その後さらに最適な加熱と冷却を組み合わせた調理を実現することにより、調味液の染み込みも良く、十分軟らかいおいしい調理物を得ることができ、さらに調理後のイワシの身に含まれるカルシウム量は多くなり、栄養成分の多い調理物を得ることができることを特徴とするものである。また、実施の形態3の調理システムは、ホストコンピューターから、調味液や調理物セットを購入することで、同様の特徴を有することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態4における調理システム及び調理機器は、本実施の形態1の調理システム及び調理機器と同様の図1及び図2に示すような構成になっている。またコントロールパネルも、本実施の形態1のコントロールパネルと同様の図3にしめるような構成になっている。
以下、本実施の形態4における調理機器の調理室12にて調理する工程を従来の調理方法と比較しながら説明する。
(表10)は、従来の調理方法で調理した食品に関するデータである。
(表10)において、従来の調理機器で、豚カツを作ったときの官能評価による豚肉の赤身、脂身の軟らかさを示している。
(表10)における軟らかさの官能評価の評価基準は、(表4)と同様の基準となっている。
(表10)により従来の調理方法7では、調理物として豚バラ肉に小麦粉と卵とパン粉の衣をつけ、サラダ油で揚げたもので、軟らかさは1ポイントと食べることは可能であるが十分軟らかい状態にはなっていなかった。
次に従来の調理方法8では、従来の調理方法7と同様に豚肉に小麦粉と卵とパン粉の衣をつけ、サラダ油で揚げたもので、このとき調理に使用する豚肉は、脂身の部分を包丁で切り取ったものであり、従来の調理方法7より脂肪分が少ない分、カロリーは少なくなっている。しかし、軟らかさは1ポイントと食べることは可能であるが十分軟らかい状態にはなっていなかった。
次に、従来の調理方法と同様の豚カツを例にとって、本実施の形態4における調理機器の調理室12にて調理する工程を説明する。
まず、ホストコンピューター1の豚カツの食品と調味液と調理条件に関する情報をサーバ2からインターネット回線3を介して端末4において、記録手段5により記録し、記録手段5から調理機器7の読み取り手段6により豚カツの情報を読み取ることにより、コントロールパネル26の表示部27に調理室12内にセットされた鍋11内にセットする食品と調味液の情報が表示され、それに従い食品と調味液を用意し、それらを鍋11内にセットし、調理開始ボタン28を押すことにより調理が開始される。このときの調理する食品と調味液は、豚カツの調理が行なえるような食品の大きさや重さと調味液の量や配合が用意できるように表示部に表示されている。
一方、調味液や食品と調味液がセットになった調理物セットを購入する調理システムの場合、豚カツの調理を行なうための調味液あるいは、調理物セットをインターネット回線3を介してサーバに発注し、発注データに基づいてホストコンピューター1により手配、発送されたもの購入する。調味液を購入したときは、食品と調理条件の情報を、ホストコンピューター1よりサーバ2からインターネット回線3を介して端末4において、記録手段5により記録し、記録手段5から調理機器7の読み取り手段6により読み取る。また、調味液に対応した食品と調理条件の情報が記録された外部記録手段を備えた調理システムの場合は、調理機器の読みとり手段でその情報を読みとる。
調理物セットを購入したときは、調理条件の情報を、ホストコンピューター1よりサーバ2からインターネット回線3を介して端末4において、記録手段5により記録し、記録手段5から調理機器7の読み取り手段6により読み取る。また、調理物セットに対応した調理条件の情報が記録された外部記録手段を備えた調理システムの場合は、調理機器の読みとり手段でその情報を読みとる。
調味液を購入した場合は、調理室12内にセットされた鍋11内に、購入した調味液とコントールパネル26の表示部に表示された食品を用意し、それらを鍋11内にセットし、調理開始ボタン28を押すことにより、読みとった調理条件で調理が開始される。このときの食品は、豚カツの調理が行なえるように、購入した調味液に対応した大きさや重さが用意できるように表示部に表示されている。また、調理物セットを購入した場合は、調理室12内にセットされた鍋11内に、購入した調味物セットの食品と調味液をセットし、開始ボタン28を押すことにより、読みとった調理条件で調理が開始される。
豚カツの場合は、まず調理室12内の強制対流式蒸発器19が作動し、強制対流式蒸発器19で冷却された冷気は送風機20により調理室12内に強制通風され、豚肉は冷凍され、読みとられた調理物セット16の情報に基づいて、室温センサー13によりダンパーサーモ22を制御することによって、一定の温度で一定時間凍結維持される。次に、調理室12内の電気ヒーター14が作動し、鍋11の加熱が行われることにより鍋11に収容された調理物10の温度が上昇し、室温センサー13によりダンパーサーモ22を制御することによって、解凍のため一定時間加熱維持され、終了すると終了ランプ29が点灯する。
図11は本発明の実施の形態4における調理工程の温度変化を示すタイムチャートであり、表11は、実施の形態4の調理条件に関するデータである。
調理物10を加熱する加熱手段は、電気ヒーター14に限定されるものでなく、調理室12の温度を検知するセンサーは、室温センサー13に限定されるものではない。さらに、冷却手段は強制対流式蒸発器20に限定されるものでない。
(表12)は、実施の形態4の調理物に関するデータである。
(表12)により実施の形態4では、調理終了した豚肉を調理機器から取り出して、衣を付けて、油で揚げた。このとき、豚肉の赤身部分、脂身部分ともに、十分軟らかくなっていた。また、従来の調理方法7と比較して、カロリーの少ない調理物を実現できた。
実施の形態4の豚肉の赤身部分が、十分軟らかくなったのは、赤身部分には、約60%の水分が含まれており、図8に示すように、冷凍し凍結させることにより氷結晶が生成され、それにより組織が破壊され、衣を付けて油で揚げたとき軟らかくなった。
また、実施の形態4の豚肉の脂身部分が、十分軟らかくなったのは、図8に示すように、豚バラ肉の赤身部分は、約60%の水分を含んでおり氷結晶が生成されるが、脂身部分は約16%の水分しか含んでおらず、そのまま冷凍し凍結させると、図9に示すように、氷結晶はほとんど生成されず、氷結晶による組織破壊は、ほとんど生じない。
しかし、実施の形態4の豚肉の脂身部分は、調味液とともに冷凍し、凍結させているため、凍結する過程で、調味液が脂身に浸透し、その分含水量が増加し、図10に示すように、氷結晶の生成が促進されることにより、組織が破壊され、軟らかくなった。また調味液にはアルコールが含まれていることから、図10に示すように、そのアルコールにより脂肪分が組織より抽出され、調理機器において加熱することにより解凍され、調味液中に脂質が流出し、結果豚肉に含まれる脂質量は減少し、調理後、調味液から取り出し、衣を付けて、油で揚げたときに、従来の調理方法7と比較してカロリーが少ない豚カツを実現することができた。また、従来の調理方法と比較して軟らかい豚カツを実現することができた。
また、保存ボタンを備えたコントロールパネル26においては、保存ボタンを調理前に押すことにより、調理室12の鍋11内に収容された調理物10は冷却保存され、予め調理物10をセットしておくことができる。さらに、タイマー等の所定の時間を自由に制御できる制御基板を備えた調理機器においては、保存時間、調理開始時間を設定することができることにより、保存、調理を自動で行うことができる。
以上述べたところから明らかなように、実施の形態4の調理システムは、調理する食品として豚カツを調理するとき、ホストコンピューターの食品や調味液や調理条件の情報を、サーバからインターネット回線を介して読みとる方法や外部記録手段の情報を読みとることにより、最適な冷凍凍結を行い、その後さらに、最適な加熱による解凍を実現することにより、十分軟らかいおいしい調理物を得ることができ、さらに調理物の脱脂を行うことにより、カロリーカットされた調理物を得ることができることを特徴とするものである。また、実施の形態4の調理システムは、ホストコンピューターから、調味液や調理物セットや調理条件が記録された外部記録手段を購入することで、同様の特徴を有することができる。