JP2006118371A - スクロール型圧縮機 - Google Patents

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二郎 飯塚
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Abstract

【課題】吐出孔の容積を小さくでき、かつ、固定スクロールの底壁の強度が著しく低下させることないスクロール圧縮機を提供する。
【解決手段】吐出弁16が弁基部と封止部を長手に配置した弾性板で形成され細長となるため、吐出弁16のリフト量を大きく取ることができ、圧縮冷媒の吐出に支障を来すことがない。また、固定スクロール11の底壁111の凹部24に吐出弁16を収容するようになっているため、封止部で開閉される吐出孔15の深さ寸法が凹部23の深さ分浅くなり、更には、吐出孔15の容積も小さくなる。更に、吐出弁16が細長となり、これを収容する凹部23も同じく細長で足りるから、凹部24の面積がさほど大きくなく、底壁111の強度もさほど低下することがない。
【選択図】 図1

Description

本発明は可動スクロールと固定スクロールをかみ合わせ、可動スクロールを旋回させて冷媒等の流体を圧縮するスクロール圧縮機に関するものである。
一般に、この種のスクロール圧縮機は、底壁に渦巻体を立設した固定スクロールと、同じく底壁に渦巻体を立設した可動スクロールとを備えており、各渦巻体をかみ合わせて可動スクロールを旋回する構成となっている。この旋回運動により、固定スクロールと可動スクロールとの間(圧縮室)で冷媒が圧縮され、更に、圧縮室の内圧が吐出弁の弾性閉鎖力及び吐出室の内圧を越えるとき、吐出弁が弾性変形し圧縮冷媒が吐出室に吐出される。
ここで、吐出弁の固定構造は種々提案されており、例えば特許文献1に記載されたスクロール圧縮機では、固定スクロールの吐出室側の面に吐出弁を配置し、この吐出弁の周縁を圧縮機のケーシングと固定スクロールの底壁との間に挟み込んだ構造となっている。
また、吐出弁の他の固定構造として、例えば特許文献2に記載されたスクロール圧縮機では、リテーナを切り起こした円板と吐出弁を切り起こした円板を上下に重ね合わせ、この重ね合わせた各円板を固定スクロールの底壁の凹部に配置し、更に、固定リングを凹部に押し込んでリテーナ及び吐出弁を固定した構造となっている。
特開平8−312558号公報 特開2003−227478号公報
ところで、前述の如く、圧縮室の内圧が吐出弁の弾性閉鎖力及び吐出室の内圧を越えるとき、吐出弁が弾性変形し圧縮冷媒が吐出室に吐出され、吐出室の冷媒圧力が上昇する。一方、吐出孔が再び閉鎖されるときは、圧縮室から吐出室に導出しきれなかった圧縮冷媒が吐出孔に残留することとなる。この残留冷媒は再び圧縮室側に逆流するが、この残留量が多いときは次に圧縮される冷媒を大きく昇圧させ、その分冷媒圧縮に要する動力が大きくなる。従って、圧縮室の冷媒を効率よく吐出室に吐出するためには、吐出孔の容積はできるだけ小さい方がよい。 しかしながら、前者の吐出弁の固定構造では、固定スクロールの底壁に単に吐出弁を設置しているに過ぎなく、吐出孔容積を減少させる工夫が施されていないため、消費動力が大きくなるという問題点を有している。
一方、後者の吐出弁の固定構造では、リテーナ及び吐出弁を収容するために底壁に凹部を形成した分、吐出孔の厚さ寸法が小さくなり、これに伴い、吐出孔の容積も小さくなるため、消費動力が小さくて済む。
しかしながら、後者の吐出弁の固定構造では、固定スクロールの底壁、特に吐出孔が形成されている底壁の中央側には圧縮室側から大きな圧力が加わっているため、後者のように円板全体を収容する大きな凹部を形成するときは、底壁の強度が著しく低下するという問題点を有している。
本発明の目的は前記従来の課題に鑑み、吐出孔の容積を小さくでき、かつ、固定スクロールの底壁の強度が著しく低下させることがないスクロール圧縮機を提供することにある。
本発明は前記課題を解決するため、請求項1の発明は、底壁の一面に渦巻体を有する固定スクロールと、渦巻体にかみ合わせて旋回させ底壁の一面との間で圧縮流体を生成する可動スクロールと、圧縮流体を底壁の他面側の吐出室に吐出する吐出孔と、吐出孔に向かって付勢された吐出弁とを備えたスクロール圧縮機において、吐出室に固定される弁基部と吐出孔を開閉する封止部を長手に配置した弾性板にて吐出弁を形成するとともに、底壁の他面に吐出弁の開閉方向への変形を許容するよう吐出弁を収容する凹部を形成した構造となっている。
請求項1の発明によれば、吐出弁が弁基部と封止部を長手に配置した弾性板で形成され細長となるため、吐出弁のリフト量を大きく取ることができ、圧縮冷媒の吐出に支障を来すことがない。また、吐出弁を底壁の凹部に収容するようになっているため、吐出孔の深さ寸法が凹部の深さ分浅くなり、これに伴い、吐出孔の容積が小さくなる。更に、吐出弁が細長となり、これを収容する凹部も同じく細長で足りるから、凹部の面積がさほど大きくなることがない。
請求項2の発明は、請求項1の発明に係るスクロール圧縮機において、凹部を吐出弁の輪郭に沿って形成するとともに、吐出弁の一部に吐出弁の長手方向への移動を規制するよう延在した移動規制片を有する構造となっている。
請求項2の発明によれば、凹部の面積が吐出弁の面積とほぼ同一となり、底壁の脆弱化が最小限になる。また、吐出弁の細長の輪郭が凹部の内周面に係止されるため、吐出弁の幅方向への位置ズレが防止され、また、移動規制片により吐出弁の長手方向への位置ズレが防止される。
請求項3の発明は、請求項2の発明に係るスクロール圧縮機において、弁基部を固定する弁固定部と吐出弁の開度を制限するリテーナ部とを有する突起を、吐出室の内壁と一体に形成した構造となっている。
請求項3の発明によれば、吐出室の内壁面に一体に形成された突起で吐出弁を固定し、また、吐出弁の開度を制限でき、この突起自体にリテーナ機能や弁固定機能を備えている。
請求項4の発明は、請求項2に係るスクロール圧縮機において、凹部には吐出弁の開度を制限する板状のリテーナを配置するとともに、リテーナを介して弁基部を固定する弁固定部を有する突起を、吐出室の内壁面と一体に形成した構造となっている。
請求項4の発明によれば、吐出室の内壁面に一体に形成された突起でリテーナ及び吐出弁を固定しているので、従来の如くリテーナや吐出弁の固定部材を別個に用意する必要がない。
なお、請求項3に係るスクロール圧縮機において、吐出弁と弁固定部との間に弾性部材を介在するようにしても良い(請求項5)。また、請求項4に係るスクロール圧縮機において、リテーナと弁固定部との間に弾性部材を介在するようにしても良い(請求項6)。これにより、吐出弁と弁固定部との間隙やリテーナと弁固定部との間隙が規定以上に大きくなっているときでも、弾性部材の弾性力により隙間が埋められ、吐出弁やリテーナが確実に固定される。
本発明によれば、吐出弁のリフト量を大きく取ることができるし、また、吐出孔の容積も小さくなるため、消費動力を低減することができる。また、吐出弁を収容する凹部の面積がさほど大きくなることがないため、固定スクロールの底壁の強度が著しく低下することがない。
図1乃至図3は本発明に係るスクロール圧縮機の第1実施形態を示すもので、図1はスクロール圧縮機の断面図、図2はリアハウジングと固定スクロールの分解斜視図、図3は吐出弁の収容状態を示す省略断面図である。
まず、図1を参照して、スクロール圧縮機の概略構造を説明する。スクロール圧縮機1はリアハウジング2とフロントハウジング3とを有している。
リアハウジング2の内側には、底壁111に渦巻体112を突出した固定スクロール11と、同じく底壁121に渦巻体122を突出した可動スクロール12とを有している。各渦巻体112,122は互いにかみ合っており、可動スクロール12の旋回により、各渦巻体1112,122間に流入した冷媒が圧縮され、各スクロール11,12間に冷媒を圧縮する圧縮室13が形成されている。また、固定スクロール11の底壁111とリアハウジング2の内面との間には冷媒の吐出室14が形成されている。この吐出室14は底壁111に形成した吐出孔15を通じて圧縮室13に連通している。吐出孔15は後に詳述する吐出弁16で開閉制御されており、圧縮室13で高圧となった冷媒を吐出室14に導入するようになっている。
可動スクロール12の底壁121とフロントハウジング3との間には、フロントハウジングを貫通するシャフト17、シャフト17に連結したクランク18、クランク18に連結した偏心ピン19、偏心ピン19に連結したブッシュ20がそれぞれ配置されている。ここで、シャフト17は外部回転駆動源(図示しない)に連結するクラッチ21を介して回転力が伝達される一方、ブッシュ20は軸受20aを介して可動スクロール12の底壁121に連結しており、これにより、シャフト17の回転力が可動スクロール12に公転運動として伝達されるようになっている。なお、可動スクロール12の周縁側にはこれの自転を規制する自転規制機構22が設置されている。
以上のような構成は従来のスクロール圧縮機とほぼ同様の構成であり、本発明の特徴とする構成は吐出弁16の固定構造にある。
即ち、吐出弁16は、図2及び図3に示すように、弾性を有する金属で形成され、全体に細長で薄板状となっている。また、吐出弁16の先端側には吐出孔15を開閉する封止部161を有し、後端側には吐出弁16を固定する弁基部162を有する。弁基部162の左右には吐出弁16の長手方向と直行する方向に延在した移動規制片163を有している。
このように構成された吐出弁16は弁収容用の凹部23に設置されている。この凹部23は固定スクロール11の底壁111に形成されているもので、底壁111の中央から底壁111の周縁に向かって直線上に形成されている。また、凹部23は吐出弁16の輪郭に沿って形成され、凹部23に収容された吐出弁16がその開閉方向への変形が許容されるよう形成している。凹部23の先端側には封止部161を収容する円形状の封止部収容部231が形成され、封止部収容部231の中央には吐出孔15の先端が開口している。封止部収容部231の内周面は末広がりのテーパー面となっている。一方、凹部23の後端側には吐出弁16の弁基部162及び移動規制片163の輪郭に沿って形成された後端部収容部232を有している。
この吐出弁16は吐出室14の内壁と一体に形成された突起24により固定される構造となっている。即ち、突起24は、図1及び図3に示すように、内壁面から前記凹部23の輪郭に対応する先端面を有している。また、突起24の先端面のうち、吐出弁16の弁基部162に対応する部分には弁固定部241を有し、また、弁固定部241から長手方向に向かってリテーナ部242を有している。ここで、リテーナ部242の湾曲面は吐出弁16の開度を制御する曲率となっている。
以上のように構成された吐出弁固定構造において、図1に示すように、リアハウジング2を固定スクロール11にボルト止め(ボルト25)する。これにより、弁固定部241が弁基部162を凹部23内に固定される。ここで、突起24の弁固定力(吐出弁16と弁固定部241の隙間寸法)は次の式によって規定される。
W(mm)=A+B−C−D
W;隙間寸法
A;凹部24の深さ寸法
B;渦巻体112の高さ寸法
C;吐出弁16の厚さ寸法
D;渦巻体112の先端から弁固定部までの寸法
ここで、隙間寸法W(mm)は0.001〜0.3mmが適正値となっている。隙間寸法W(mm)が0.001mmより小さいときは固定スクロール11の底壁111の強度不足により固スクロール11が変形し、圧縮不良を起こすおそれがある。一方、隙間寸法W(mm)が0.3mmより大きいときはガタが発生し、吐出弁16が振動や異音を発生するおそれがある。
本実施形態に係るスクロール圧縮機によれば、吐出弁16が弁基部162と封止部161を長手に配置した弾性板で形成され細長となるため、吐出弁16のリフト量を大きく取ることができ、圧縮冷媒の吐出に支障を来すことがない。
また、底壁111の凹部23に吐出弁16を収容するようになっているため、封止部161で開閉される吐出孔15の深さ寸法が凹部23の深さ分浅くなる。これにより、吐出孔15の容積が小さくなり、消費動力の低減を図ることができる。
更に、吐出弁16が細長となり、これを収容する凹部23が吐出弁16の輪郭に沿うよう形成しているので、凹部23の面積がさほど大きくなることがなく、底壁111の強度不足となることもない。
更にまた、凹部23を吐出弁16の輪郭に沿うよう形成しているので、吐出弁16の幅方向への位置ズレが防止され、また、吐出弁16に長手方向への移動を規制するよう移動規制片163を有するので、吐出弁16の長手方向への位置ズレが防止される。
更にまた、吐出室15の内壁に一体に形成された突起24で吐出弁16を固定し、また、吐出弁16の開度を制限でき、この突起自体にリテーナ機能や弁固定機能を備えているので、部品点数が少なくて済む。
更にまた、凹部23の封止部収容部231の内周面は末広がりのテーパー面となっているため、たとえ吐出弁16の開方向への開度を大きく取ることができない場合でも、わずかな開度で圧縮冷媒がテーパー面に沿って上方に案内される。従って、圧縮室13から吐出室14への冷媒の流れがスムーズとなり、圧縮冷媒の吐出効率が向上する。
図4は本発明に係るスクロール圧縮機の第2実施形態を示す要部断面図である。なお、前記第1実施形態と共通の構成部分は同一符号を用い、その説明を省略する。
前記第1実施形態で説明したように、吐出弁16と弁固定部241の隙間寸法は0.001〜0.3mmが適正値となっているが、吐出弁16及びリアハウジング2の組み付け誤差、凹部の加工誤差等を考慮し、それらの公差を大きく取る傾向がある。これにより、弁基部162と弁固定部241との隙間が大きくなる傾向がある。
このような点を考慮し、本実施形態では弁基部162と弁固定部241との間に弾性部材25を介在している。これにより、当該隙間寸法が大きくなったときでも、弾性部材25の弾性変形により当該隙間を埋めることができ、吐出弁16を確実の固定することができる。この弾性部材25は弾性を有するものであれば、ゴム、合成樹脂等いずれの材料であっても良い。なお、その他の構成、作用は前記第1実施形態と同様である。
図5は本発明に係るスクロール圧縮機の第3実施形態を示すスクロール圧縮機の断面図である。なお、前記第1実施形態と共通の構成部分は同一符号を用い、その説明を省略する。
本実施形態は前記第1実施形態の突起24に代えて、これに代わるリテーナ26及び突起27を用いて吐出弁16を保持するようになっている。ここで、リテーナ26は吐出弁16の開度を制限するよう湾曲してなるもので、凹部23に嵌め込んでいる。一方、突起27はリアハウジング2の内周壁から一体に突出したもので、リテーナ26の基部を凹部23の底側に向かって押圧し吐出弁16を凹部23に固定している。
本実施形態によれば、前記第1実施形態に係る突起24よりもリテーナ26の湾曲面の曲率を精度良く加工できるし、また、従来例と比較すればリテーナ26の固定部材としてボルト等の締結部材が不要となっており、部品点数の低減が図られている。なお、図示しないが、第2実施形態と同様に弾性部材をリテーナ26と突起27との間に介在するようにしても良い。その他の構成、作用は前記第1実施形態と同様である。
第1実施形態に係るスクロール圧縮機の断面図 リアハウジングと固定スクロールの分解斜視図 吐出弁の収容状態を示す省略断面図 第2実施形態の要部を示す断面図 第3実施形態に係るスクロール圧縮機の断面図
符号の説明
1…スクロール圧縮機、2…リアハウジング、3…フロントハウジング、11…固定スクロール、111…底壁、12…可動スクロール、13…圧縮室、14…吐出室、15…吐出孔、16…吐出弁、161…封止部、162…弁基部、163…移動規制片、23…凹部、24,27…突起、241…弁固定部、242…リテーナ部、26…リテーナ。

Claims (6)

  1. 底壁の一面に渦巻体を有する固定スクロールと、該渦巻体にかみ合わせて旋回させ該底壁の一面との間で圧縮流体を生成する可動スクロールと、該圧縮流体を該底壁の他面側の吐出室に導く吐出孔と、該吐出孔に向かって付勢された吐出弁とを備えたスクロール圧縮機において、
    前記吐出室に固定される弁基部と前記吐出孔を開閉する封止部とを長手に配置した弾性板にて前記吐出弁を形成するとともに、前記底壁の他面に該吐出弁の開閉方向への変形を許容するよう該吐出弁を収容する凹部を形成した
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記凹部を前記吐出弁の輪郭に沿って形成するとともに、該吐出弁の一部に該吐出弁の長手方向への移動を規制するよう延在した移動規制片を有する
    ことを特徴とする請求項1記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記弁基部を固定する弁固定部と該吐出弁の開度を制限するリテーナ部とを有する突起を、前記吐出室の内壁と一体に形成した
    ことを特徴とする請求項2記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記凹部には前記吐出弁の開度を制限する板状のリテーナを配置するとともに、該リテーナを介して該弁基部を固定する弁固定部を有する突起を、該吐出室の内壁面と一体に形成した
    ことを特徴とする請求項2記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記吐出弁と前記弁固定部との間に弾性部材を介在した
    ことを特徴とする請求項3記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記リテーナと前記弁固定部との間に弾性部材を介在した
    ことを特徴する請求項4記載のスクロール圧縮機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104533787A (zh) * 2008-06-16 2015-04-22 三菱电机株式会社 涡旋压缩机
JP2015092067A (ja) * 2013-11-08 2015-05-14 株式会社デンソー 圧縮機および冷凍サイクル装置
WO2024080686A1 (ko) * 2022-10-12 2024-04-18 한온시스템 주식회사 스크롤 압축기

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