JP2006117913A - ラジカル重合性含硫黄化合物およびラジカル重合性含硫黄ポリマー - Google Patents
ラジカル重合性含硫黄化合物およびラジカル重合性含硫黄ポリマー Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】硫黄含有複素5員環を有する基および少なくとも1種の不飽和基を有するラジカル重合性含硫黄化合物、その化合物をカチオン開環(共)重合させて得られるラジカル重合性含硫黄ポリマーとその製造方法、前記含硫黄化合物および/または含硫黄ポリマーを含む組成物、並びにその組成物から得られる硬化物。
【選択図】なし
Description
また、本発明(II)は、本発明(I)のラジカル重合性含硫黄化合物をカチオン開環重合してなるラジカル重合性含硫黄ポリマーである。
さらに、本発明(III)は、本発明(II)のラジカル重合性含硫黄ポリマーの製造方法である。
本発明(V)は、本発明(I)のラジカル重合性モノマーおよび/または本発明(II)のラジカル重合性ポリマーを含む硬化性組成物を硬化してなる硬化物である。
1.一般式(1)
で示される基、および一般式(2)〜(4)
で示される群から選ばれる少なくとも1種の基を有することを特徴とするラジカル重合性含硫黄化合物。
2.一般式(5)
で示される前記1記載のラジカル重合性含硫黄化合物。
3.一般式(6)
で示される前記1記載のラジカル重合性含硫黄化合物。
4.一般式(7)
で示される前記1記載のラジカル重合性含硫黄化合物。
5.一般式(8)
で示される前記1記載のラジカル重合性含硫黄化合物。
6.一般式(9)
で示される前記1記載のラジカル重合性含硫黄化合物。
7.一般式(10)
で示される前記1記載のラジカル重合性含硫黄化合物。
8.m=1およびn=1である前記2〜7のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄化合物。
9.R1〜R6の全てが水素原子である前記1〜7のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄化合物。
10.光学材料用である前記1〜9のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄化合物。
11.前記1〜9に記載のラジカル重合性含硫黄化合物をカチオン開環重合させて得られる、下記構造式(101)
12.前記1〜9のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物と、一般式(1)
で示される基を有し、前記化合物とは異なる化合物とを開環共重合させて得られる前記11に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマー。
13.一般式(11)
で示される単位構造を少なくとも一つ有する前記11または12に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマー。
14.R4〜R6の全てが水素原子である前記13に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマー。
15.ゲル浸透クロマトグラフィーで測定した時に、ポリスチレン換算での重量平均分子量が6000以下である前記11〜14に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマー。
16.光学材料用である前記11〜15のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマー。
17.前記1〜9のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄化合物を、触媒の存在下、カチオン開環重合させることを特徴とするラジカル重合性含硫黄ポリマーの製造方法。
18.前記1〜9のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄化合物と、一般式(1)
で示される基を有し、前記化合物とは異なる化合物とを、触媒の存在下、カチオン開環共重合させることを特徴とするラジカル重合性含硫黄ポリマーの製造方法。
19.触媒が、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチルおよびトリフルオロボロン・ジエチルエーテル付加体からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記17または18に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマーの製造方法。
20.前記1〜9のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄化合物および/または前記11〜15のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマーを含むラジカル重合性組成物。
21.更に、アリルエステル化合物を含有する前記20に記載のラジカル重合性組成物。
22.アリルエステル化合物が、ジ(メタ)アリルフタレート、ジ(メタ)アリルイソフタレート、ジ(メタ)アリルテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記21に記載のラジカル重合性組成物。
23.更に、安息香酸(メタ)アリル、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、安息香酸ビニル、ジベンジルマレート、ジフェニルマレート、ジベンジルフマレート、ジフェニルフマレート、2−フェニル安息香酸(メタ)アリル、3−フェニル安息香酸(メタ)アリル、4−フェニル安息香酸(メタ)アリル、α−ナフトエ酸(メタ)アリル、β−ナフトエ酸(メタ)アリル、o−クロロ安息香酸(メタ)アリル、m−クロロ安息香酸(メタ)アリル、p−クロロ安息香酸(メタ)アリル、2,6−ジクロロ安息香酸(メタ)アリル、2,4−ジクロロ安息香酸(メタ)アリル、o−ブロモ安息香酸(メタ)アリル、m−ブロモ安息香酸(メタ)アリルおよびp−ブロモ安息香酸(メタ)アリル、ジフェン酸ジ(メタ)アリルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する前記20または21に記載のラジカル重合性組成物。
24.更に、紫外線吸収剤および/または光安定剤を含有する、前記20〜23のいずれか1項に記載のラジカル重合性組成物。
25.更に、酸化防止剤を含有する前記20〜24のいずれか1項に記載のラジカル重合性組成物。
26.更に、ラジカル重合開始剤を含有する前記20〜25のいずれか1項に記載のラジカル重合性組成物。
27.光学材料用である前記20〜26に記載のラジカル重合性組成物。
28.前記1〜9のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄化合物、または前記11〜16のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマー、または前記20〜27のいずれか1項に記載のラジカル重合性組成物を硬化してなる硬化物。
29.前記28に記載の硬化物を用いてなる光学用材料。
で示される基(構造)を有し、かつ一般式(2)〜(4)
からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有することを特徴とするラジカル重合性含硫黄化合物である。
R1〜R3は、それぞれ独立して水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が挙げられる。屈折率の高さが求められる利用分野の場合には、アルキル基の炭素数、およびアルキル基の数が少ない方が好ましい。最も好ましいのは、R1〜R3が全て水素原子の場合である。
一般式(2)〜(4)におけるR4〜R6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が挙げられる。重合性の点では、アルキル基の炭素数、およびアルキル基の数が少ない方が好ましい。最も好ましいのは、R4〜R6が水素原子の場合である。
本発明のラジカル重合性含硫黄化合物の製造法としては、一般式(1)で示される基(構造)を合成する工程と、一般式(2)〜(4)で示される基(構造)を合成する工程に分けられる。これらの工程はどちらの工程を先に行ってもよい。
ラジカル重合性含硫黄化合物中の一般式(1)で示される構造の製造方法としては、エポキシ基と二硫化炭素とを、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下に反応させる方法が挙げられる。具体的には、例えば、特開平5−247027号公報に開示されている方法に従って容易に得ることができる。
これらの基を有する化合物は、カラム精製や蒸留精製、吸着精製等の公知の精製法により除去してもよいし、精製せずにそのまま使用してもよい。
一般式(2)で示される重合性官能基は、カルボン酸基を有する化合物と、一般式(24)
で示されるアルコールとをエステル化することにより合成することができる。
または、他の方法として、エステル基を有する化合物と、一般式(24)で示されるアルコールとのエステル交換反応により合成することもできる。
また、エステル基を有する化合物としては、上記カルボン酸とアルコールから得られるエステル化合物を挙げることができる。
一般式(3)で示される基(構造)は、例えば一般式(25)
で示されるハロゲン化化合物と、フェノール性水酸基を有する化合物とを反応させ、得られた化合物をクライゼン転位させることにより合成することができる。
一般式(4)で示される基(構造)は、例えば一般式(25)で示されるハロゲン化化合物と水酸基を有する化合物とのエーテル化反応により製造することができる。
本発明(II)の重合性含硫黄ポリマーは、ラジカル重合性含硫黄化合物の一般式(1)で示される基をカチオン開環重合させることにより得られる、下記構造式(101)
からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有することを特徴とするラジカル重合性含硫黄ポリマーである。
一般式(2)〜(4)におけるR4〜R6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が挙げられる。重合性の点では、アルキル基の炭素数、およびアルキル基の数が少ない方が好ましい。最も好ましいのは、R4〜R6が水素原子の場合である。
からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。)
で示される構造をポリマー中に少なくとも1つ有するポリマーが挙げられる。
他のポリマー構造としては、以下の構造式(102)〜(109)が挙げられる。
重合性組成物の粘度を低くするためには、本発明のポリマーの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定した時に、ポリスチレン換算での重量平均分子量は10000以下が好ましく、より好ましくは6000以下であり、さらにより好ましくは3000以下である。
本発明(III)では、本発明(I)のラジカル重合性含硫黄化合物中の一般式(1)で示される基を触媒の存在下にカチオン開環重合させることにより、本発明(II)のラジカル重合性含硫黄ポリマーを得ることができる。
また、本発明(I)のラジカル重合性含硫黄化合物と、一般式(1)で示される基(構造)を有し前記化合物とは異なる化合物とを、触媒の存在下、カチオン開環共重合させることにより得られる、下記構造式(101)
メタクリル基は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合の全てが可能である。
これらの重合触媒は単独でもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のラジカル重合性含硫黄ポリマーは、特に精製することなく用いてもよいし、必要に応じて精製して用いてもよい。
また、反応に用いたモノマーがポリマー中に残存することもあるが、上記精製により除いてもよいし、そのまま使用してもよい。
で示される基を有する化合物が生成し、これらがポリマー中に残存することがあるが、上記精製により除いてもよいし、そのまま使用してもよい。
本発明(IV)は、本発明(I)のラジカル重合性含硫黄化合物および/または本発明(II)のラジカル重合性含硫黄ポリマーを含むラジカル重合性組成物である。
1.屈折率(nD)およびアッベ数
9mm×16mm×4mmの試験片を作成し、アタゴ社製「アッベ屈折率計1T」を用いて、25℃における屈折率(nD)およびアッベ数(νD)を測定した。接触液はα−ブロモナフタリンを使用した。
2.1H−NMR
使用機種:JEOL EX−400(400MHz)
重水素化クロロホルムに溶解し、内部標準物質にテトラメチルシランを使用して測定した。
3.FT−IR
使用機種:パーキンエルマー社製 Spectrum GX
ATR法で測定した。
4.GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)
使用機種:
ポンプ:昭和電工株式会社製 DS−4
示差屈折率検出器:昭和電工株式会社製 RI−71
使用カラム:K−801、K−802、K−803(いずれも昭和電工株式会社製)の3本を連結して使用
溶離液: THF
カラム温度: 40℃
流量: 1mL/min
測定方法: ポリスチレン換算にて、MnおよびMwを測定した。
5.粘度
E型粘度計で測定した。
使用機種:東機産業株式会社製 TV−20
使用ローター:1°34′×24
測定温度:25℃
6.全光線透過率
JIS K7361−1に準じて測定を行った。
使用機種:NDH2000(日本電色工業株式会社製)
厚さ3mmの平板を用いて、測定を行った。
DAIP : イソフタル酸ジアリル
DATP : テレフタル酸ジアリル
VBz : 安息香酸ビニル
DADP : ジフェン酸ジアリル
DBM : ジベンジルマレート
ADC : ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)(Great Lakes社製、製品名RAV7ATを使用した。)
BzMA : ベンジルメタクリレート
パーオクタO : 1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製)
パーヘキサTMH: 1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂株式会社製)
撹拌子、滴下漏斗、温度計を備えた丸底フラスコに、下記構造式(119)
撹拌子を備えた50mLシュレンクを窒素で置換した後、実施例1で得た構造式(120)で示される化合物(5g)を仕込み、クロロベンゼン(15mL)を加えて溶解させた。ついでトリフルオロメタンスルホン酸メチル(36.5μL)を加え、反応温度60℃で7時間撹拌した。撹拌後、反応液を室温まで冷却し、メタノールを加え30分間撹拌した。次に1Lのメタノール中に反応液を加え、ポリマーを沈殿させた。これを真空乾燥し白色のポリマー(3.29g)を得た。1H−NMR、FT−IRにより、生成物が下記構造式(121)
また、GPC測定よりこのポリマーは数平均分子量11400、重量平均分子量13600であることを確認した。
撹拌子、温度計を備えた500mLフラスコを窒素で置換した後、実施例1で得た構造式(120)で示される化合物(50.0g)を仕込み、トルエン(300mL)を加えて溶解させた。反応液の温度を60℃にした後、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(2.1g)を加え、3.5時間加熱撹拌した。加熱撹拌後、反応液を室温まで冷却し、メタノール(0.84g)を加えて撹拌した。
反応液にシリカゲル(200g)を加えてスラリーとし、そのスラリーからエバポレーターにて溶媒を留去して、反応生成物をシリカゲルに担持した。
一方、シリカゲル(500g)のヘキサンスラリーを直径8cmのカラムに充填した。そのカラム上部に、反応生成物を担持したシリカゲルを載せ、展開溶媒(酢酸エチル/ヘキサン=1/4、体積比)で展開し、低分子量部分を除去した。
次に展開溶媒をクロロホルムに変え、ポリマーを溶出させた。エバポレーターを用いてポリマーを含むクロロホルム溶液からクロロホルムを留去したところ、白色ポリマー(40g)が得られた。1H−NMR、FT−IRにより、生成物が構造式(121)で示されるポリマーであることを確認した。
また、GPC測定よりこのポリマーは、数平均分子量4100、重量平均分子量5100であることを確認した。
得られたポリマーを、ポリマー(A)とする。
撹拌子、温度計を備えた500mLフラスコを窒素で置換した後、実施例1で得た構造式(120)で示される化合物(50.1g)を仕込み、トルエン(300mL)を加えて溶解させた。反応液の温度を60℃にした後、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(4.22g)を加え、3.5時間加熱撹拌した。加熱撹拌後、反応液を室温まで冷却し、メタノール(1.65g)を加えて撹拌した。
反応液にシリカゲル(200g)を加えてスラリーとし、そのスラリーからエバポレーターにて溶媒を留去して、反応生成物をシリカゲルに担持した。
一方、シリカゲル(500g)のヘキサンスラリーを直径8cmのカラムに充填した。そのカラム上部に、反応生成物を担持したシリカゲルを載せ、展開溶媒(酢酸エチル/ヘキサン=1/4、体積比)で展開し、低分子量部分を除去した。
次に展開溶媒をクロロホルムに変え、ポリマーを溶出させた。エバポレーターを用いてポリマーを含むクロロホルム溶液からクロロホルムを留去したところ、白色ポリマー(36.5g)が得られた。1H−NMR、FT−IRにより、生成物が構造式(121)で示されるポリマーであることを確認した。
また、GPC測定よりこのポリマーは、数平均分子量2800、重量平均分子量3400であることを確認した。
得られたポリマーを、ポリマー(B)とする。
撹拌子、温度計を備えた100mLフラスコを窒素で置換した後、実施例1で得た構造式(120)で示される化合物(10.0g)を仕込み、トルエン(60mL)を加えて溶解させた。反応液の温度を60℃にした後、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(0.42g)を加え、3.5時間加熱撹拌した。加熱撹拌後、反応液を室温まで冷却し、メタノール(0.166g)を加えて撹拌した。
反応液にシリカゲル(50g)を加えてスラリーとし、そのスラリーからエバポレーターにて溶媒を留去して、反応生成物をシリカゲルに担持した。
一方、シリカゲル(100g)のヘキサンスラリーを直径6cmのカラムに充填した。そのカラム上部に、反応生成物を担持したシリカゲルを載せ、展開溶媒(酢酸エチル/ヘキサン=1/4、体積比)で展開し、低分子量部分を除去した。
次に展開溶媒をクロロホルムに変え、ポリマーを溶出させた。エバポレーターを用いてポリマーを含むクロロホルム溶液からクロロホルムを留去したところ、白色ポリマー(40g)が得られた。1H−NMR、FT−IRにより、生成物が構造式(121)で示されるポリマーであることを確認した。
また、GPC測定よりこのポリマーは、数平均分子量4200、重量平均分子量5300であることを確認した。
得られたポリマーを、ポリマー(C)とする。
文献(Kihara, N. ; Hara, N. ; Endo, T. J. Org. Chem. 1995, 60, 473)を参考にして合成した。すなわち、撹拌子、滴下漏斗、温度計を備えた丸底フラスコに、フェニルグリシジルエーテル(100g)、臭化リチウム一水和物(3.49g)、テトラヒドロフラン(200mL)を仕込み、窒素雰囲気下とした。滴下漏斗に二硫化炭素(60.84g)を仕込み、フラスコ内温度が約10℃になるように冷却し、二硫化炭素を反応液中に滴下した。滴下が終了したところで反応液の温度を室温にし、それから5時間撹拌した。反応液からエバポレーターにて低沸点物を減圧留去し、得られた反応物に酢酸エチルを加え、水層と分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターにて溶媒を減圧留去した。得られた固体をトルエンから再結晶したところ、淡黄色結晶が得られた(収量78.9g)。1H−NMRおよびFT−IRにより、この生成物は下記構造式(122)
撹拌子、温度計を備えた100mLフラスコを窒素で置換した後、実施例1で得た構造式(120)で示される化合物(5g)、および実施例6で得た構造式(122)で示される化合物(3.64g)を仕込み、トルエン(52mL)を加えて溶解させた。反応液の温度を60℃にした後、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(435mg)を加え、4時間加熱撹拌した。加熱撹拌後、反応液を室温まで冷却し、メタノール(80mg)を加えて撹拌した。
反応液にシリカゲル(20g)を加えてスラリーとし、そのスラリーからエバポレーターにて溶媒を留去して、反応生成物をシリカゲルに担持した。
一方、シリカゲル(200g)のヘキサンスラリーを直径8cmのカラムに充填した。そのカラム上部に、反応生成物を担持したシリカゲルを載せ、展開溶媒(酢酸エチル/ヘキサン=1/4、体積比)で展開し、低分子量部分を除去した。
次に展開溶媒をクロロホルムに変え、ポリマーを溶出させた。エバポレーターを用いてポリマーを含むクロロホルム溶液からクロロホルムを留去したところ、白色ポリマー(7g)が得られた。1H−NMR、FT−IRにより、生成物が構造(1)および構造(2)からなるポリマーであることを確認した。1H−NMRおよびFT−IRの測定結果をそれぞれ図5および図6に示す。
また、GPC測定よりこのポリマーは、数平均分子量3400、重量平均分子量4300であることを確認した。
得られたポリマーを、ポリマー(D)とする。
イソフタル酸ジアリル(2g)にラジカル重合開始剤としてパーヘキサTMH(0.04g)(日本油脂株式会社製)を加え注型硬化した。注型硬化は実施例2と同様の条件で行った。得られた硬化物は屈折率1.565、アッベ数32.4であった。
蒸留装置を備えた1リットル三口フラスコに、イソフタル酸ジアリル(DAIP)(738.8g、3.0mol)、プロピレングリコール(76.1g、1.0mol)、ジブチル錫オキサイド(0.739g)を仕込んで、窒素気流下180℃で加熱して、生成してくるアリルアルコールを留去した。アリルアルコールが81g程度留出したところで、反応系内を1.33kPaまで減圧にし、アリルアルコールの留出速度を速めた。理論量(116.2g)のアリルアルコールが留出した後、さらにそのまま1時間加熱した。その後、反応系内を0.13kPaに減圧にして、さらに1時間加熱した。次に反応器を冷却して重合性組成物(I)(699.0g)を得た。この重合性組成物(I)をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、重合性組成物(I)中にDAIPを43.6質量%含んでいた。
また、1H−NMRより、この重合性組成物(I)は、構造式(124)で示される重合性オリゴマーと、DAIPとの混合物であることが確認された。
実施例3〜5、7で得られたポリマー、および比較例2で得られた重合性組成物(I)を用いて、重合性組成物を調製し、その粘度を測定した。その重合性組成物100質量部(100phr)に対し、開始剤を所定量添加し、所定の温度プログラムで硬化させた。その硬化物の屈折率、アッベ数を測定した。重合性組成物の成分の配合割合および測定結果を表1〜3にまとめた。なお、比較例2で得られた重合性組成物(I)は43.6質量%のイソフタル酸ジアリル(DAIP)を含んでいる。よって、この重合性組成物にさらにDAIPを加えることによって、表3に記載の重合性組成物を調製した。
実施例3で得られたポリマー(45質量%)、テレフタル酸ジアリル(DATP)(20質量%)、安息香酸ビニル(VBz)(25質量%)、ジベンジルマレート(DBM)(5質量%)からなる組成物を調製した。これに、ラジカル重合硬化剤として、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製パーオクタO)(組成物100質量部に対し、2質量部)を加え、減圧下脱泡を行った。
得られた組成物を、ガラスモールドとガスケットからなるレンズ型に注入した。注入したレンズ型をオーブンに入れ、50℃で2時間加熱し、次いで50℃から60℃に3時間かけて昇温した。続いて60℃から80℃に14時間かけて昇温後、80℃から90℃に3時間かけて昇温し、さらに90℃で2時間加熱した。室温まで徐々に冷却したところで、硬化物をレンズ型から取り出した後、さらにオーブン中にて、120℃で2時間加熱してアニールを行った。
得られた硬化物は、無色透明で光学歪は観察されなかった。屈折率は1.600、アッベ数30、全光線透過率は90%であった。
Claims (29)
- m=1およびn=1である請求項2〜7のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄化合物。
- R1〜R6の全てが水素原子である請求項1〜7のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄化合物。
- 光学材料用である請求項1〜9のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄化合物。
- R4〜R6の全てが水素原子である請求項13に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマー。
- ゲル浸透クロマトグラフィーで測定した時に、ポリスチレン換算での重量平均分子量が6000以下である請求項11〜14に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマー。
- 光学材料用である請求項11〜15のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマー。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄化合物を、触媒の存在下、カチオン開環重合させることを特徴とするラジカル重合性含硫黄ポリマーの製造方法。
- 触媒が、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチルおよびトリフルオロボロン・ジエチルエーテル付加体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項17または18に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマーの製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄化合物および/または請求項11〜15のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマーを含むラジカル重合性組成物。
- 更に、アリルエステル化合物を含有する請求項20に記載のラジカル重合性組成物。
- アリルエステル化合物が、ジ(メタ)アリルフタレート、ジ(メタ)アリルイソフタレート、ジ(メタ)アリルテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項21に記載のラジカル重合性組成物。
- 更に、安息香酸(メタ)アリル、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、安息香酸ビニル、ジベンジルマレート、ジフェニルマレート、ジベンジルフマレート、ジフェニルフマレート、2−フェニル安息香酸(メタ)アリル、3−フェニル安息香酸(メタ)アリル、4−フェニル安息香酸(メタ)アリル、α−ナフトエ酸(メタ)アリル、β−ナフトエ酸(メタ)アリル、o−クロロ安息香酸(メタ)アリル、m−クロロ安息香酸(メタ)アリル、p−クロロ安息香酸(メタ)アリル、2,6−ジクロロ安息香酸(メタ)アリル、2,4−ジクロロ安息香酸(メタ)アリル、o−ブロモ安息香酸(メタ)アリル、m−ブロモ安息香酸(メタ)アリルおよびp−ブロモ安息香酸(メタ)アリル、ジフェン酸ジ(メタ)アリルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する請求項20または21に記載のラジカル重合性組成物。
- 更に、紫外線吸収剤および/または光安定剤を含有する、請求項20〜23のいずれか1項に記載のラジカル重合性組成物。
- 更に、酸化防止剤を含有する請求項20〜24のいずれか1項に記載のラジカル重合性組成物。
- 更に、ラジカル重合開始剤を含有する請求項20〜25のいずれか1項に記載のラジカル重合性組成物。
- 光学材料用である請求項20〜26に記載のラジカル重合性組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄化合物、または請求項11〜16のいずれか1項に記載のラジカル重合性含硫黄ポリマー、または請求項20〜27のいずれか1項に記載のラジカル重合性組成物を硬化してなる硬化物。
- 請求項28に記載の硬化物を用いてなる光学用材料。
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