JP2006116829A - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】
フレキシブル性、透明性、耐熱性、耐溶剤性及び層間密着性に優れ、軽く、割れず、曲げられ、かつ水蒸気や酸素などに対して超高度にガスバリア性を有するガスバリア性フィルムを提供する。
【解決手段】
プラスチックフィルム基材11の少なくとも一方の面に、ゾルゲル層13、オーバーコート層15、及び無機化合物層17がこの順に積層し、好ましくは、上記ゾルゲル層が珪素、アルミニウム、若しくはチタンを主金属成分とした金属アルコキシドの加水分解生成物であり、上記オーバーコート層がアクリレート樹脂が主成分であり、上記無機化合物層が酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、或いはそれらの2以上の混合物であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガスバリア性フィルムに関し、さらに詳しくは、耐熱性、耐溶剤性、透明性、フレキシブル性、ガスバリア性に優れるガスバリア性フィルムに関するものである。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。
また、「バリア性」は「遮断性」、「EL」は「エレクトロルミネッセンス」、「LCD」は「液晶ディスプレイ」、「パネル」は「素子」、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「PEN」は「ポリエチレンナフタレート」、「PC」は「ポリカーボネート」、「コポリマー」は「共重合体」、の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
なお、シート又はフィルムのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅の割りには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。従って、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくい。本明細書ではボード、シート、及びフィルムの形状を含めてフィルムと定義する。
(主なる用途)本発明のガスバリア性フィルムの主なる用途としては、ディスプレイ用フィルム基板、照明用フィルム基板、太陽電池用フィルム基板、サーキットボード用フィルム基板、電子ペーパー、電気泳動インク、若しくは有機半導体などの支持基材、又は封止用部材で、従来のガラス基板の重く割れやすさを解消したもので、耐熱性、耐溶剤性、透明性、ガスバリア性に優れ、薄く、軽く、割れにくく、フレキシブルで曲げられるので、従来のガラス基板に代替できるものである。しかしながら、食品や医薬品などのガスバリア性を必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
(背景技術)ディスプレイ用、照明用、太陽電池用、サーキットボード用などの電子デバイスの分野における基板としては、ガス遮断(ガスバリア)性、フレキシブル性、透明性、耐熱性、耐溶剤性、層間密着性など多くの過酷な物性が求めれている。
このために、電子デバイス用基板やディスプレイ用基板としては、従来、Siウエハやガラスなどの無機材料の基板しか使用することができなかった。ところが、近年、製品の軽量化、基板のフレキシブル化、低コスト化、ハンドリング特性などを有し、軽くて、割れず、曲げられるようなプラスチック(高分子、合成樹脂ともいう)材料のプラスチックフィルム基板が望まれいた。従来のディスプレイを構成していたガラス基板に代わって、プラスチックフィルム(合成樹脂フィルム)を用いることが検討されている。特に、有機ELやフィルム液晶といったディスプレイ用途では、透明かつ耐熱性を有した高分子基板が望まれている。しかしながら、プラスチックフィルム基板は、ガラスなどの無機材料からなる基板と比較した場合、一般的にガスの透過性が著しく大きい。このため、プラスチック基板を用いた電子デバイスには、気体がプラスチック基板を透過して電子デバイス内に侵入、拡散した酸素によりデバイスが酸化して劣化してしまう等の問題があり、ディスプレイの寿命を伸ばす目的で、外界からの酸素や水蒸気の超ガスバリア性が求められている。
そこで、電子デバイス用基板やディスプレイ用基板の支持基板となるガスバリア性フィルムとしては、ガスバリア性に優れ、軽く、割れず、曲げられ、かつガラス基板に代替できるトータルな物性を有するプラスチック基板が求められ、かつフレキシブル性、透明性、耐熱性、耐溶剤性及び層間密着性や、特に、水蒸気や酸素などのガスバリア性など多くの過酷な物性が求められている。
(先行技術)従来、有機EL素子の基板として透明樹脂フィルムが知られている。しかしながらこれらの有機EL素子の場合は、透明樹脂フィルムを透過して有機EL素子内に侵入する酸素や水蒸気により有機膜が劣化してしまうため、発光特性が不十分となり、また、耐久性に不安がある、等の問題が指摘されている。すなわち、ディスプレイ等の電子デバイスの分野において十分なガスバリア性を有し、そのガスバリア性によりガス遮断対象物の良好な品質を確保することが可能な、高度なガスバリア性能を備えた透明樹脂フィルムは確立されていない。
また、これらの欠点を克服するため、透明性耐熱性基材上にスパッタ法を用いてガス遮断層を形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、その実施例に記載されているように酸素透過度が1cm3/m2 程度の低いガスバリア性しか得ることはできないという問題点がある。
さらにまた、樹脂フィルムとガス遮断層の密着性を改善するために、接着層を狭持させているものが知られている。しかしながら、樹脂フィルム表面に存在する突起に起因するガス遮断層におけるピンホ−ルの抑制については考慮されていない。そのため、該公報の実施例には水蒸気透過度が0.1g/m2 と未だ電子デバイス用途のガスバリア性フィルムには不十分なガスバリア性であるという欠点がある。
さらにまた、シラン化合物成分に加え、1種以上の重合性単量体を水中で乳化重合して得られた水分散重合体をガスバリア性層とするものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、酸素透過度の抑制については記載されているが、水蒸気透過度の具体的な数値については言及されていない。
特開平11−222508号公報 特開7−164591号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、プラスチックフィルム基材上に、ゾルゲル層、オーバーコート層、透明無機化合物層をこの順に形成することにより、フレキシブル性、透明性、耐熱性、耐溶剤性及び層間密着性に優れ、軽く、割れず、曲げられ、かつ水蒸気や酸素などに対して超高度にガスバリア性を有するガスバリア性フィルムを提供することである。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わるガスバリア性フィルムは、プラスチックフィルム基材と、該プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、ゾルゲル層、オーバーコート層、及び無機化合物層がこの順に積層されてなるように、したものである。
請求項2の発明に係わるガスバリア性フィルムは、上記ゾルゲル層が、珪素、アルミニウム、若しくはチタンを主金属成分とした金属アルコキシドの加水分解生成物であるように、したものである。
請求項3の発明に係わるガスバリア性フィルムは、上記ゾルゲル層がアミノアルキルジアルコキシシラン、アミノアルキルトリアルコキシシラン、又はこれらの化合物を主成分とした複合体から選ばれた材料を、加水分解を主とする化学反応により得られた反応生成物であり、該ゾルゲル層がガスバリア性の層であるように、したものである。
請求項4の発明に係わるガスバリア性フィルムは、上記オーバーコート層がアクリレート樹脂を主成分とするように、したものである。
請求項5の発明に係わるガスバリア性フィルムは、上記無機化合物層が酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、或いはそれらの2以上の混合物であるように、したものである。
請求項6の発明に係わるガスバリア性フィルムは、上記ガスバリア性フィルムの全光線透過率が70%以上100%以下であるように、したものである。
(発明のポイント)本発明者らは、耐熱性を有しかつ高度なガスバリア性を有する透明ガスバリア性フィルムについて、鋭意研究を進め、透明ガスバリア性フィルムの低いガスバリア性の原因には、次の点が考えられることに着目した。
プラスチックフィルム基材へ、直接セラミック薄膜などの無機化合物層を設けても、ガスバリア性が得られるが、一般的に炭素、酸素、水素元素からなるプラスチックフィルム基材と、ガスバリア性を有しかつ透明性を有するセラミック薄膜(無機化合物)とは、その構成元素の違いにより、真空薄膜形成時の粒子の成長阻害を与え、欠陥すなわちガスの透過孔を形成させてしまいガスバリア性が低下する。また、線膨張係数の大きい高分子フィルム上に、線膨張係数の小さいセラミック薄膜を形成した場合、基板の温度変化に伴う膨張収縮により、セラミック薄膜にクラックが発生し、それがガスの透過孔となり、ガスバリア性が低下する。
また、ゾルゲル層もガスバリア性を有するが、ゾルゲル層のみでは高度なガスバリア性は得られず、ガスバリア性を向上させるために、膜厚を増加させても逆に応力の増加によりガスバリア性の劣化を引き起こしてしまう。
そこで、本発明では、プラスチックフィルム基材へ、ゾルゲル層、オーバーコート層、及び無機化合物層がこの順に形成することにより、課題を解決し、微小なクラックを補修し、かつ平坦な面出しを行い、さらに無機化合物(セラミック薄膜)を形成することにより、緻密なガスバリア性層が形成される。ゾルゲル材料中に有機成分を多く含んでいることも関与し、プラスチック基材への膜の塗布仕上がりがよく、膜室の均一性に優れ、さらに積層される層との密着性も向上させることができた。
よって、本発明のガスバリア性フィルムは、ディスプレイにも利用可能な、ガラス基板に代替できるプラスチック基板の支持基材にも利用可能な、平坦で、フレキシブル性、透明性、耐熱性、耐溶剤性及び層間密着性に優れ、軽く、割れず、曲げられ、かつ水蒸気や酸素などに対して超高度にガスバリア性を有したガスバリア性フィルムを得ることができた。
例えば、先行技術として、特開平7−3206号公報や特開平7−18221号公報では、プラスチック基材上にゾルゲル剤を塗布しガスバリア層を形成しているが、それでは十分なガスバリア性はない。膜厚を増加させても高度がガスバリア性は得られず、逆に欠陥が発生し、ガスバリア性は低下する。
請求項1の本発明によれば、フレキシブル性、透明性、耐熱性、耐溶剤性及び層間密着性に優れ、特に水蒸気や酸素などのガスバリア性が超高度に優れ、軽く、割れず、曲げられ、かつガラス基板に代替できるトータルな物性を有するプラスチックフィルム基板に適用できるガスバリア性フィルムが提供される。
請求項2〜5の本発明によれば、請求項1の物性がより安定し、容易に製造できるガスバリア性フィルムが提供される。
請求項6の本発明によれば、有機EL素子などのディスプレイ分野のプラスチックフィルム基板に適用できるガスバリア性フィルムが提供される。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示すガスバリア性フィルムの断面図である。
図2は、本発明の1実施例を示すガスバリア性フィルムの断面図である。
図3は、本発明のガスバリア性フィルムを用いたディスプレイ基板の断面図である。
(物の発明)本発明のガスバリア性フィルムは、図1に示すように、プラスチックフィルム基材11と、該プラスチックフィルム基材11の少なくとも一方の面に、ゾルゲル層13、オーバーコート層15、及び無機化合物層17をこの順に設けたものである。この順に設けることで、前述の作用、効果が得られる。
(プラスチックフィルム基材)本発明のガスバリア性フィルム10に用いるプラスチックフィルム基材としては、各種のプラスチックフィルムが適用できるが、以下のものを用いることが好ましい。耐熱性100℃以上、線膨張係数100ppm/K以下、光線透過率70%以上。該プラスチックフィルムは、電子部品用途、ディスプレイ用積層フィルムとしての必要条件を満たしている。即ち、これらの用途に本発明の透明なガスバリア性フィルム10を用いる場合、フィルム基板の製造中に、100℃以上の工程に曝されることがある。この場合、ガスバリア性フィルムに上記性能が含まれると、ガスバリア性フィルム10を前記温度の工程に流す際の基板寸法の安定性、熱膨張および収縮の不都合や、或いは、熱工程に耐えられないという不具合に耐えることができる。例えば、PC、アクリレート、塩化ビニール、ポリプロピレン、ポリアセタール、超高分子量PE、環状ポリオレフィン、エポキシガラス、ガラス繊維含有フィルム、PET、PEN、PBN、PTFE、PCTFE、PEEK、PES、PPS、PEI、PAI、PI等が好ましい材料である。
(ゾルゲル層)ゾルゲル層13を設ける目的は、ガスバリア性フィルムにおける、水蒸気の透過や酸素の透過を遮断する機能を有した可とう性を付与することある。ゾルゲル成分中には金属酸化物成分とともに有機物成分が混入されていることにより、通常ガスバリア膜として用いられている透明無機化合物よりも基材との親和性がよく、またフレキシビリティがある。また上層の平滑層とも同様の理由により親和性を有する。加えてそれ自身のレベリング性もよく、真空成膜による透明無機化合物よりも平坦性よいため、積層体全体としての平滑性もより優れたものが得られる。形成には、たとえば、湿式法(スピンコート法、ロールコート法、キャスト法)等の公知の方法により形成することができる。
材料としては、透明樹脂基材との親和性の高い材料、また透明性の高い材料が好まれるがそのゾルゲルの種類は問わない。ゾルゲルコート膜の材料としては、例えば、アミノアルキルジアルコキシシラン、もしくはアミノアルキルトリアルコキシシラン、およびこれらの化合物を主成分とした複合体から選ばれたもの等が好適に使用できる。これらの材料を用いるとその表面平坦性も向上される。これらの材料および架橋性化合物を原料とする塗料組成物を、透明樹脂基材面に塗工、乾燥することで、加水分解、縮合と、架橋性化合物による架橋とによるゾルゲル反応が進行し、ゾルゲルコート層は、上記材料の加水分解を主とする化学反応により得られた反応生成物であり、架橋構造を有するポリシロキサン系の塗膜が得られる。その厚さは、10〜5000nmが望ましい。10nm未満では、ディスプレイ用基板としてのガスバリア性が十分でなく、5000nmを超えると、それ自身の応力が大きくなり、フレキシビリティが損なわれる。
(ゾルーゲル法)ゾルゲル層の材料としては、層との密着性を得る為に、同材料系の塗膜を形成できるゾルーゲル法を用いたゾル−ゲル材料も好適である。ゾルーゲル法とは、有機官能基と加水分解基を有するシランカップリング剤および前記シランカップリング剤が有する有機官能基と反応する有機官能基を有する架橋性化合物とを少なくとも原料として構成された塗料組成物の塗工方法及び塗膜のことである。有機官能基と加水分解基を有するシランカップリング剤(以降、単にシランカップリング剤と言うことがある。)としては、例えば、特開2001−207130号公報に開示される下記一般式(a)で表されるアミノアルキルジアルコキシシラン、もしくはアミノアルキルトリアルコキシシランである。
Figure 2006116829
(但し、A1はアルキレン基を表す。R4は水素原子、低級アルキル基、または、下記一般式(b)で表される。)
Figure 2006116829
(ただし、A2は直接結合またはアルキレン基を表し、R8、R9は水素原子または低級アルキル基を表す)で表される基を表す。R5は水素原子または低級アルキル基を表す。R6は炭素数1〜4のアルキル基、アリール基または不飽和脂肪族残基を表す。分子中にR6が複数存在する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。R7は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基を表し、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアシル基であることが好ましい。分子中にR7が複数存在する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、R4、R5、R8、R9のうちの少なくとも一つが水素原子である。wは0、1、2のいずれかであり、zは1〜3の整数であり、かつw+z=3である。)
上記の式(a)で表される、アミノアルキルジアルコキシシラン、もしくはアミノアルキルトリアルコキシシランの具体例としては、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリブトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジイソプロポキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジブトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルエチルジイソプロポキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルエチルジブトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリブトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジブトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジブトキシシラン、γ−アミノプロピルトリアセトキシシラン、等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
前記シランカップリング剤が有する有機官能基と反応する有機官能基を有する架橋性化合物(単に、架橋性化合物と言うことがある。)とは、アミノ基と反応しうる官能基である、グリシジル基、カルボキシル基、イソシアネート基、もしくはオキサゾリン基等を有するもので、具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエーテル、o−フタル酸ジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル類;グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のトリグリシジルエーテル類;ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のテトラグリシジルエーテル類;その他ポリグリシジルエーテル類あるいはグリシジル基を官能基として有する重合体類;酒石酸、アジピン酸等のジカルボン酸類;ポリアクリル酸等の含カルボキシル基重合体;ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のイソシアネート類;オキサゾリン含有重合体;脂環式エポキシ化合物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができるが、反応性の面からグリシジル基を2個以上有している化合物が好ましく用いられる。
上記の架橋性化合物の使用量は、シランカップリング剤に対して0.1〜300%(質量基準、以降も同じ)が好ましく、より好ましくは1〜200%である。架橋性化合物が0.1%より少ないと、塗膜のフレキシビリティが不充分となり、300%を超えて使用すると、ガスバリア性が低下するおそれがある。シランカップリング剤と架橋性化合物とは、必要に応じて加熱しつつ攪拌して、塗料組成物とする。
この、シランカップリング剤および架橋性化合物を原料とする塗料組成物を薄膜層4上に塗工、乾燥することで、シランカップリング剤の加水分解・縮合と、架橋性化合物による架橋とが進行し、架橋構造を有するポリシロキサンの塗膜が得られる。
上記の組成物は、さらに、加水分解基を有し、アミノ基等の有機官能基を有しないシラン化合物を含有してもよく、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、βー(3,4ーエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
上記の加水分解基を有し、アミノ基等の有機官能基を有しないシラン化合物を含有するときは、アミノ基等の有機官能基と加水分解基を有するシランカップリング剤との共加水分解・縮合と、架橋性化合物による架橋とが進行し、架橋構造を有するポリシロキサンの塗膜が得られる。
塗料組成物は、さらにアミノ基等の有機官能基と加水分解基を有するシランカップリング剤および/または加水分解基を有し、アミノ基等の有機官能基を有しないシラン化合物の(共)加水分解縮合物を含有していてもよい。このほか塗料組成物には、上記以外のシラン化合物、溶媒、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤等の無機、有機系の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。
(オーバーコート層)オーバーコート層15は、ゾルゲル層13の表面に形成され、表面のRaおよびRmaxを低下させるための層である。
測定値では、Ra(平均粗さ)が2nm以下、Rmax(最大粗さ)が120nm以下の範囲に平坦化され、得られる透明ガスバリア性フィルムにおいて高度なガスバリア性を発揮できる。ゾルゲル層13、及びオーバーコート15層は、機能的にみると平坦化機能を有したガスバリア性膜であり、特に両者の層構成とすることで、相互の親和性、濡れ性がよいため、孔、凹部、及びクラック(割れ)などの欠陥を埋め、覆い、塞ぐことができる。またレベリング性がよいために、欠陥を埋めて覆い、乾燥後の表面は平滑となる。この親和性とレベリング性の相乗効果で超平坦化機能を発揮する。これは真空無機薄膜とオーバーコート層15の積層よりも格段とよい。
中心線平均粗さRaの下限は特にないが、実用上、0.01nm以上である。このために得られたガスバリア性フィルム10は超高度なガスバリア性を発揮できるのである。
形成には、たとえば、乾式法(スパッタ法、イオンプレ−ティング法、CVD法等)、あるいは湿式法(スピンコート法、ロールコート法、キャスト法)等の公知の方法により形成することができる。
オーバーコート層15の材料としては、ゾルゲル層との親和性の高い材料、また透明性の高い材料が好まれるが、その種類は問わない。有機化合物では、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアクリレート等の樹脂を主成分とするものが使用できる。有機と無機の混合化合物も使用に適している。
特に好ましくは、アクリレート系樹脂であり、具体的にはアクリレート系の官能基を有するもの、即ち、アクリル骨格を有するもの、エポキシ骨格を有するものが適当であり、塗膜の硬度や耐熱性、耐溶剤性、耐擦傷性を考慮すると、高い架橋密度の構造とすることが好ましく、2官能以上のアクリレートモノマー、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。なお上記においては、アクリレート、および/または、メタアクリレートは(メタ)アクリレートと記載した。
上記アクリレート系樹脂は、乾燥型、2液硬化型、又は電離放射線硬化型でもよい。樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエートなどや、光増感剤として、n−ブチルアミン、トリエチリルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィンなどを単独ないし混合物として用いることができる。光重合開始剤や光増感剤の添加量は一般に、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
(無機化合物層)透明無機化合物層17は、ガスバリア性フィルム10における、水蒸気や酸素などの透過をバリア性するための機能に加え、オーバーコート層からの脱ガスの防止と、積層体の表面質を改質の効果をもたらす。例えばディスプレイ用基板として用いる際には、さらにこの面に透明電極などの層を設ける必要がある。透明無機化合物層が設けられていると、親和性が高く、密着性がよく、導電性に優れた電極層を形成することができる。
無機化合物層17としては、透明で、ガスバリア性を有するもの、例えば酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム等の窒化物;炭化珪素等の炭化物、硫化物等が適用できる。また、それらから選ばれた二種以上の複合体である、酸化窒化物や、さらに炭素を含有してなる酸化炭化物層、無機窒化炭化物層、無機酸化窒化炭化物等も適用できる。
即ち、無機酸化物(MOx)、無機窒化物(MNy)、無機炭化物(MCz)、無機酸化炭化物(MOxCz)、無機窒化炭化物(MNyCz)、無機酸化窒化物(MOxNy)、無機酸化窒化炭化物(MOxNyCz)で、好ましいMは、Si、Al、Tiなどの金属元素である。
無機化合物層17は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の方法や、熱CVD法やプラズマCVD法を適用して形成される。これらの方法は、基材や下層の種類、成膜材料の種類、成膜のし易さ、工程効率等を考慮して選択される。
無機化合物17層は、その厚さは、10〜500nmが望ましい。10nm未満では、ディスプレイ用基板としてのガスバリア性が十分でなく、500nmを超えると、それ自身の応力が大きくなり、フレキシビリティが損なわれる。また異常粒成長から突起が形成されRaが増加する傾向があるので好ましくない。
好ましくは、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、或いはそれらの2以上の混合物である。酸化物としては、SiOx(x=0.1〜2)、AlOx(x=0.5〜1.5)の範囲のものを使用することができる。
(酸化珪素)特に好ましい酸化珪素は、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスを使用して、真空成膜法で形成される酸化珪素の無機酸化物膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOx(ただし、xは0.1〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。該酸化珪素の無機酸化物膜としては、透明性、難燃性等の点から、一般式SiOx(ただし、xは1.3〜2の数を表す。)で表される酸化珪素の無機酸化物膜を主体とする薄膜であることが好ましい。xの値は、蒸着モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギー等により変化するが、一般的に、xの値が小さくなれば膜自身は緻密になり酸素透過率は低下するが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
また、酸化珪素膜は、酸化珪素を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または、その2種類以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類を化学結合等により含有してもよい。例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラーレン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。具体例を挙げると、CH3部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3シリル、SiH2シリレン等のハイドロシリカ、SiH2OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることができる。上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の無機酸化物膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
上記の化合物が、酸化珪素膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましいものである。上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の無機酸化物膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなどにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、難燃性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、難燃性が低下して好ましくない。さらに、本発明においては、酸化珪素膜において、上記の化合物の含有量が、酸化珪素の無機酸化物膜の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより、酸化珪素の無機酸化物膜の表面においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高められ、他方、基材フィルムとの界面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、被付着層と酸化珪素膜との密接着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
窒化物としては、ケイ素窒化物、アルミニウム窒化物であり、その表記は、例えば、SiNy(y=0.1〜1.3、好ましくはy=0.5〜1.3)、AlNy(y=0.1〜1.1、好ましくは0.3〜1.0)である。なお、上記式において、y=0の場合は完全な金属であり、透明ではなく使用することができない、また、y=の範囲の上限は完全に窒化した値である。但し、着色した膜であっても、3〜50nmであれば透明性を保持できるために、用いられることがある。
(繰返しの層構成)ガスバリア性フィルム10の層構成としては、上記の理由により、プラスチックフィルム基材11/ゾルゲル層13、該ゾルゲル層13の上に平坦化のためのオーバーコート層15/透明無機化合物層17の順に、積層されている積層構造を基本層構成とする。この層へ、図2(A)に示すように、さらに平坦化のための層(オーバーコート層15B)と無機化合物17Bの層をくり返し形成してもよく、該繰返しを行うことで、さらにガスバリア性が高まる。下地の膜(層)に局所的な欠陥があったとしても、さらなるオーバーコート層を介することにより、膜は非連続的に成長するため、欠陥の連続性はなくなる。そのため、バリア性の劣化が抑えられる。仮に、万が一欠陥があっても、該欠陥が同じ箇所で重なって発生する確率は極めて低い。無機化合物層17面に、平坦化層(オーバーコート層15)および無機化合物17の層の順に、1回乃至5回くり返し積層されることが、高度な水蒸気バリア性、酸素バリア性を付与するために望ましい。
(対称の層構成)プラスチックフィルム基材11の両側に形成する層を、表裏面が対称となるように、同一又は同一に近似する層構成とするのが好ましい。図2(A)に示すように、プラスチックフィルム基材11のもう一方の面にも、ゾルゲル層13C/オーバーコート層15C/無機化合物層17Cなどの層を形成することにより、片側だけ膜を形成した際に発生する応力を相殺或いは緩和して、加熱を含む後加工工程での歪み、反り(湾曲、カールともいう)などを防止することができるので、直角精度、寸法精度、部分場所における寸法精度が向上されることができる。また、例えば、電極形成などの後工程にて、必要とされるパターニング時のアライメント取りの不具合が解消される。さらに、フレキシブル性の偏りがなくなり、利用上の不具合がなくなる。
さらにまた、同時に、ガスバリア性フィルム10の反対面から発生する脱ガスを防止することができるため、緻密、均一厚さな良質なガスバリア性フィルムを安定して形成することができる。反対側にもゾルゲル層の層を形成する際に、応力相殺或いは緩和のために、形成する層の厚み、使用する材料、層構成等を考慮することが、さらに好ましい。
繰返し、及び対称の層構成の際に使用するゾルゲル層13B、13C、オーバーコート層15B、15C、無機化合物層17B、17Cなどの材料及び形成方法は、それぞれ前述のゾルゲル層13、オーバーコート層15、無機化合物層17と同様のものが適用できる。
(ディスプレイ用基板)ディスプレイ用基板20としては、図3に示すように、本発明のガスバリア性フィルム10の最上層に透明導電層21、必要に応じて補助電極層23をを形成したもので、透明性、耐熱性、耐溶剤性、ガスバリア性及び層間密着性に優れたディスプレイ用基板が提供できる。該透明導電層に用いる材料には酸化スズ、酸化インジウム、ITO、ATO、FTO又は銀などの透明でかつ導電性があれば、特に限定するものではない。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
乾燥機で160℃で1時間乾燥させた厚さ100μmのPEN樹脂(帝人デュポン社製)をプラスチックフィルム基材とし、この一方の面にポリエチレンイミン中、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランを主剤としたコ−ティング剤をスピンコ−ト法により塗布し、ホットプレ−トで120℃で2分間、次いで乾燥機で160℃で1時間乾燥させ、膜厚1μmのゾルゲル層を得た。その面にアクリレートを主剤としたコ−ティング剤をスピンコ−ト法により塗布し、ホットプレ−トで120℃で2分間、次いで乾燥機で160℃で1時間乾燥させ、膜厚1μmのオーバーコート層(平坦化層)を得た。さらにその面に膜厚100nmの酸化珪素膜を、スパッタ法により形成して、実施例1のガスバリア性フィルムを得た。
ポリエチレンイミン中、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランを主成分としたコンティング剤をゾルゲル層の材料とする以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
ポリエチレンイミン中、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシランを主成分としたコンティング剤をゾルゲル層の材料とする以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
ポリエチレンイミン中、βー(3,4ーエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを主成分としたコンティング剤をゾルゲル層の材料とする以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
酸化珪素の代わりに、窒化珪素を用いる以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
前記実施例1により得られたガスバリア性フィルムの反対面に同様の構成を形成した。
前記実施例2で得られたガスバリア性フィルムの、上面に150nmのITO膜をスパッタ法により形成して、ディスプレイ基板を得た。
(比較例1)
透明無機化合物層を形成しないこと以外は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
オーバーコート層を形成しないこと以外は、実施例1と同様にした。
(比較例3)
ゾルゲル層を形成しないこと以外は、実施例1と同様にした。
(評価方法)評価は、水蒸気透過率、全光線透過率、表面粗さで行った。
測定方法として、水蒸気透過率(WVTR)は、JIS−K7129に準拠し、水蒸気透過率測定装置パ−マトラン3/31(米国MOCON社製)を用い、40℃100%Rhの条件で測定した。なお、測定限界は0.01g/m2・24hである。
全光線透過率は、SMカラーコンピューター(スガ試験機社製)を用い測定した。
表面粗さRaは、原子間力顕微鏡(セイコ−社製)を用い、20μmのスキャニング範囲にて、平均粗さ(Ra)、最大高低差(P−V)を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2006116829
(評価結果)全光線透過率は実施例1〜7及び比較例1〜3とも良好であった。
実施例1〜7では、表面粗さRaがいずれも2nm以下、最大高低差(P−V)が50nm以下と平坦性に優れ、水蒸気透過率もいずれも測定限界の0.01g/m2・24h以下であり、ディスプレイ基板に適用できるレベルであった。
比較例2ではオーバーコート層がないので表面粗さが悪く、比較例1、3では表面粗さは合格範囲だが、2層だけでは水蒸気透過率が悪い。水蒸気透過率は、比較例1〜3のいずれも悪く、ディスプレイ基板に適用できるレベルではなかった。
本発明の1実施例を示すガスバリア性フィルムの断面図である。 本発明の1実施例を示すガスバリア性フィルムの断面図である。 本発明のガスバリア性フィルムを用いたディスプレイ基板の断面図である。
符号の説明
10:ガスバリア性フィルム
11:プラスチックフィルム基材
13、13B、13C:ゾルゲル層
15、15B、15C:オーバオコート層
17、17B、17C:無機化合物層

Claims (6)

  1. プラスチックフィルム基材と、該プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、ゾルゲル層、オーバーコート層、及び無機化合物層がこの順に積層されてなることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 上記ゾルゲル層が、珪素、アルミニウム、若しくはチタンを主金属成分とした金属アルコキシドの加水分解生成物であることを特徴とする請求項1に記載ガスバリア性フィルム。
  3. 上記ゾルゲル層がアミノアルキルジアルコキシシラン、アミノアルキルトリアルコキシシラン、エポキシアルキルシラン化合物、又はこれらの化合物を主成分とした複合体から選ばれた材料を、加水分解を主とする化学反応により得られた反応生成物であり、該ゾルゲル層がガスバリア性の層であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 上記オーバーコート層がアクリレート樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載ガスバリア性フィルム。
  5. 上記無機化合物層が酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、或いはそれらの2以上の混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  6. 上記ガスバリア性フィルムの全光線透過率が70%以上100%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
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