JP2011190402A - 紫外線硬化性樹脂組成物及び透明複合シート - Google Patents

紫外線硬化性樹脂組成物及び透明複合シート Download PDF

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阿由子 沖
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Abstract

【課題】透明性及び耐熱性に優れ、高温下で黄変が生じ難い硬化物を与える紫外線硬化性樹脂組成物、並びに該紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物を用いた透明複合シートを提供する。
【解決手段】チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂からなる紫外線硬化性樹脂と、シアヌル酸トリアリルとを含む、紫外線硬化性樹脂組成物、並びに該紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物にガラス繊維が埋め込まれている、透明複合シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性に優れた硬化物を与える紫外線硬化性樹脂組成物、及び該紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物にガラス繊維が埋め込まれている透明複合シートに関する。
液晶表示素子又は有機EL表示素子等の表示素子用基板、並びに太陽電池用基板等に、ガラス基板が広く用いられている。しかしながら、ガラス基板は、割れやすく、曲げ性が低く、更に軽量化できないという問題がある。このため、近年、ガラス基板のかわりに、プラスチック基板を用いることが検討されている。
しかしながら、従来のプラスチック基板は、ガラスに比べて、熱膨張係数が10〜20倍程度大きいことがある。熱膨張係数が大きいプラスチック基板を用いて表示素子又は太陽電池を製造すると、半導体層又はカラーフィルタ層などを形成するための加熱及び冷却プロセスにおいて、プラスチック基板と半導体無機膜又は導電無機膜との熱膨張係数の差に起因して、該無機膜にクラックが生じることがある。さらに、熱膨張係数が大きいプラスチック基板を用いて表示素子を製造すると、製造工程における温度ばらつきによってプラスチック基板の寸法が大きく変化し、フォトリソグラフプロセスにおけるマスクアライメントが困難になることがある。
熱膨張係数を低くするために、例えば、下記の特許文献1には、ガラスクロスに樹脂組成物を塗布し、含浸させ、乾燥することにより得られたプラスチック基板が開示されている。もっとも、この種のプラスチック基板では、熱膨張係数を低くするだけでなく、透明性に優れていることが求められている。
他方、下記の特許文献2には、高い透明性を有する樹脂として、チオール基含有シルセスキオキサンと炭素−炭素二重結合を有する化合物とからなる樹脂組成物が知られている。
特開2004−231934号公報 特開2007−291313号公報
しかしながら、特許文献2に示されたチオール基含有シルセスキオキサンと炭素−炭素二重結合を有する化合物との硬化物は、耐熱性が不十分である。特に、高温条件下で、硬化物が黄変するという課題がある。プロセス中における高温下で黄変が生じると、表示素子用基板用材料として該硬化物を用いた場合、表示品位が低下する。
本発明の目的は、透明性及び耐熱性に優れた硬化物を与える紫外線硬化性樹脂組成物及び該紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物を用いた透明複合シートを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、チオール基含有アルコキシシラン類の加水分解縮合物と、シアヌル酸トリアリルとを含む紫外線硬化性樹脂組成物であれば、高温下における硬化物の黄変を驚くほど効果的に抑制でき、しかも透明性に優れている硬化物が得られることを見いだし、本発明をなすに至った。
本発明に係る紫外線硬化性樹脂組成物は、チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂からなる紫外線硬化性樹脂と、シアヌル酸トリアリルとを含む、紫外線硬化性樹脂組成物である。
本発明に係る紫外線硬化性樹脂組成物のある特定の局面では、チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂が、下記式(1)で表されるチオール基含有シラン化合物の加水分解縮合物である。
R1Si(OR2) ・・・式(1)
上記式(1)中、R1は、チオール基を有しかつ芳香環を有しない炭素数1〜8の有機基、又はチオール基を有しかつ芳香環を有する有機基を表し、R2は、水素原子、芳香環を有しない炭素数1〜8の有機基、または芳香環を有する有機基を表す。
本発明に係る紫外線硬化性樹脂組成物では、好ましくは、重合開始剤を含んでおらず、かつ前記チオール基含有シラン化合物のチオール基のモル数と、前記シアヌル酸トリアリルの炭素−炭素二重結合のモル数との比が、0.9〜1.1の範囲内にある。チオール基のモル数とシアヌル酸トリアリルの炭素−炭素二重結合のモル数との比が上記範囲内にある場合、硬化物の耐候性をより一層高めることができ、かつチオール基の分解による悪臭がより一層生じ難くなる。
本発明に係る紫外線硬化性樹脂組成物では、重合開始剤がさらに含有されていてもよく、その場合には、上記チオール基のモル数とシアヌル酸トリアリルの炭素−炭素二重結合のモル数との比が、0.01〜1.1の範囲内であることが好ましい。この場合では、硬化物の水蒸気バリア性を効果的に高めることができ、かつ硬化物の耐候性を高めることができ、さらにチオール基の分解による悪臭が生じ難くなる。
本発明に係る透明複合シートは、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物と、該硬化物に埋め込まれたガラス繊維とを備える。
本発明に係る紫外線硬化性樹脂組成物は、チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂と、シアヌル酸トリアリルとを含むため、硬化物の透明性及び耐熱性を高めることができる。また、硬化物の耐熱性が優れており、高温下において黄変が生じ難いので、該硬化物にガラス繊維が埋め込まれた透明複合シートを構成した場合、経時による表示品位の低下を確実に抑制することができる。
従って、本発明に係る透明複合シートを、特に液晶表示素子又はEL表示素子のような表示素子の基板又はタッチパネル用のシートとして用いた場合には、表示品位を高めることが得ることができる。
図1は、実施例1及び比較例1で得られた透明複合シートを240℃の温度に30分、1時間、2時間または3時間維持した場合の黄変度を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、本発明の透明複合シートを得る材料を、透明複合材料とする。この透明複合材料は、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物と、ガラス繊維とを含む材料である。この透明複合材料において、上記紫外線硬化性樹脂を硬化させることにより、後述するように本発明の透明複合シートが得られる。
(紫外線硬化性樹脂組成物)
本発明に係る紫外線硬化性樹脂組成物は、チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂と、シアヌル酸トリアリルを含有する。
チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂を架橋し、硬化させる方法としては、活性光線を照射する方法、並びに加熱しかつ活性光線を照射する方法が挙げられる。
上記活性光線は、紫外線であることが好ましい。該紫外線を照射するための光源としては、例えば、メタルハライドタイプ及び高圧水銀灯ランプ等が挙げられる。
チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂を活性光線の照射により架橋し、硬化させるために、本発明に係る紫外線硬化性樹脂組成物は、後述するように、光重合開始剤を含有することが好ましい。該光重合開始剤は、後述するようにラジカルを発生する光重合開始剤であることが好ましい。上記光重合開始剤は、チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂中に予め添加されることが好ましい。
チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂は、好ましくは、下記式(1)で表されるチオール基含有シラン化合物(a11)の加水分解縮合物(以下、加水分解縮合物(a1)ともいう)である。加水分解縮合物(a1)は、シルセスキオキサン樹脂である。加水分解縮合物(a1)である場合、硬化物や前述した透明複合材料中の紫外線硬化性樹脂を硬化して得られる透明複合シートの透明性及び耐熱性をより一層高めることができる。
〔チオール基含有シラン化合物(a11)〕
R1Si(OR2) ・・・式(1)
上記式(1)中、R1は、チオール基を有しかつ芳香環を有しない炭素数1〜8の有機基、又はチオール基を有しかつ芳香環を有する有機基を表し、R2は、水素原子、芳香環を有しない炭素数1〜8の有機基、又は芳香環を有する有機基を表す。
上記R1としては、具体的には、チオール基を有する炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、チオール基を有する炭素数1〜8の脂環式炭化水素基、又はチオール基を有する芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記R2としては、具体的には、水素原子、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜8の脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基等が挙げられる。チオール基を有する場合の「炭化水素基」は、炭素原子と水素原子とだけでなく、チオール基に由来する硫黄原子も含む基である。複数の上記R2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(1)で表されるチオール基含有シラン化合物(a11)を加水分解及び縮合させることにより、加水分解縮合物(a1)を得ることができる。すなわち、加水分解反応及び縮合反応により、加水分解縮合物(a1)を得ることができる。
上記式(1)で表されるチオール基含有シラン化合物(a11)としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリブトキシシラン、1,4−ジメルカプト−2−(トリメトキシシリル)ブタン、1,4−ジメルカプト−2−(トリエトキシシリル)ブタン、1,4−ジメルカプト−2−(トリプロポキシシリル)ブタン、1,4−ジメルカプト−2−(トリブトキシシリル)ブタン、2−メルカプトメチル−3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトメチル−3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトメチル−3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、2−メルカプトメチル−3−メルカプトプロピルトリブトキシシラン、1,2−ジメルカプトエチルトリメトキシシラン、1,2−ジメルカプトエチルトリエトキシシラン、1,2−ジメルカプトエチルトリプロポキシシラン、及び1,2−ジメルカプトエチルトリブトキシシラン等が挙げられる。なかでも、加水分解反応の反応性が高く、かつ入手が容易であるため、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。上記式(1)で表されるチオール基含有シラン化合物(a11)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
加水分解縮合物(a1)を得る際に、上記式(1)で表されるチオール基含有シラン化合物(a11)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、本発明においては、上記加水分解縮合物(a1)を得るに際し、上記チオール基含有シラン化合物(a11)に加えて、他の架橋性化合物(b)を併用してもよい。
上記架橋性化合物(b)としては、トリアルキルアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタン及びテトラアルコキシジルコニウム等が挙げられる。上記架橋性化合物(b)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なかでも、トリアルキルアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランが好ましい。これらの好ましい架橋性化合物(b)の使用した場合は、加水分解縮合物(a1)の架橋密度を容易に調整できる。
また、上記アルキルトリアルコキシシランを使用した場合には、加水分解縮合物(a1)に含まれるチオール基の数を容易に調整できる。テトラアルコキシチタン又はテトラアルコキシジルコニウムを使用した場合には、加水分解縮合物(a1)の硬化物の屈折率を高めることができる。
上記トリアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン及びトリフェニルエトキシシラン等が挙げられる。上記ジアルキルジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン及び3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。上記アルキルトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン及びフェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。上記テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン及びテトラブトキシシラン等が挙げられる。上記テトラアルコキシチタンとしては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン及びテトラブトキシチタン等が挙げられる。上記テトラアルコキシジルコニウムとしては、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム及びテトラブトキシジルコニウム等が挙げられる。これら以外の金属アルコキシドを用いてもよい。
加水分解縮合物(a1)を得るための加水分解反応では触媒を用いることが好ましい。触媒としては、従来公知の触媒を用いることができ特に限定されない。触媒活性が高く、更に縮合反応の触媒としても機能するので、上記触媒はギ酸であることが好ましい。
上記チオール基含有シラン化合物(a11)100重量部または上記チオール基含有シラン化合物(a11)と上記架橋性化合物(b)の合計100重量部に対して、上記触媒の含有量の好ましい下限は0.1重量部、より好ましい下限は1重量部、好ましい上限は25重量部、より好ましい上限は10重量部である。上記触媒の含有量が上記好ましい下限以上の場合には、上記加水分解反応が十分に進行し、反応時間を短くすることができる。上記触媒の含有量が上記好ましい上限以下の場合は、チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂の保存安定性が高くなる傾向がある。さらに、後工程で触媒を容易に除去できる。
上記加水分解反応の反応温度及び反応時間は、上記シラン化合物(a11)の反応性またはシラン化合物(a11)及び上記架橋性化合物(b)の反応性に応じて任意に設定できる。上記反応温度は、通常0〜100℃、好ましくは20〜60℃である。上記反応時間は、1分〜2時間程度である。
上記加水分解反応の際には、溶剤を用いてもよく、溶剤を用いなくてもよい。該溶剤の種類は特に限定されない。溶剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記加水分解反応の際に用いられる上記溶剤は、縮合反応に用いられる溶剤と同じであることが好ましい。上記シラン化合物(a11)の反応性またはシラン化合物(a11)及び上記架橋性化合物の反応性が低い場合は、上記加水分解反応の際に、溶剤を用いないことが好ましい。
[加水分解反応により生じた水酸基のモル数]/[上記シラン化合物(a11)、または上記シラン化合物(a11)と上記架橋性化合物(b)を含む組成に含まれるアルコキシ基の合計モル数](以下、モル比Aともいう)が0.5以上であるように、上記加水分解反応を進行させることが好ましい。上記モル比Aは0.8以上であることがより好ましい。上記縮合反応は、加水分解により生じた水酸基間だけでなく、該水酸基と残存アルコキシ基との間でも進行する。このため、上記モル比Aは0.5以上であることが好ましい。
上記縮合反応では、加水分解により生じた水酸基間で水が生成し、更に水酸基とアルコキシ基間でアルコールが生成する。この縮合反応により、加水分解縮合物(a1)はガラス化する。
上記縮合反応では、従来公知の縮合触媒を用いることができる。上記ギ酸は、触媒活性が高く、加水分解反応の触媒としてだけでなく、縮合反応の触媒としても作用する。従って、上記縮合触媒は、ギ酸であることが好ましい。上記縮合反応での反応温度及び反応時間はそれぞれ、上記シラン化合物(a11)の反応性あるいは上記シラン化合物(a11)及び上記架橋性化合物の反応性に応じて任意に設定できる。上記反応温度は、通常40〜150℃程度、好ましくは60〜100℃である。上記反応時間は、30分〜12時間程度である。
[未反応の水酸基と未反応のアルコキシ基との合計モル数]/[上記シラン化合物(a11)、または上記シラン化合物(a11)と上記架橋性化合物を含む組成に含まれるアルコキシ基の合計モル数](以下、モル比Bともいう)が0.3以下であるように上記縮合反応を進行させることが好ましい。上記モル比Bは0.2以下であることがより好ましい。上記モル比Bが上記好ましい上限以下の場合には、未反応の水酸基とアルコキシ基とが、紫外線硬化性樹脂組成物の保管中に縮合反応してゲル化し難くなる。さらに、硬化物において縮合反応が進行し難くなり、硬化物にクラックが発生し難くなる。
上記縮合反応の際に、上記シラン化合物(a11)あるいは上記シラン化合物(a11)及び上記架橋性化合物の合計の濃度の好ましい下限は2重量%、より好ましい下限は15重量%、好ましい上限は80重量%、より好ましい上限は60重量%である。上記縮合反応によって生成する水及びアルコールよりも沸点が高い溶剤を用いることが好ましい。この場合には、反応系中から、溶剤を容易に除去できる。上記濃度が上記範囲内にある場合には、反応中にゲル化し難くなり、加水分解縮合物(a1)の分子量が大きくなりすぎず、加水分解縮合物(a1)の保存安定性がより一層高くなる。
上記縮合反応の際に、該縮合反応によって生成する水及びアルコールよりも沸点が高い溶剤を用いることが好ましい。該溶剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、上記架橋性化合物を溶剤として用いることもできる。
上記縮合反応の後に、触媒を除去することが好ましい。触媒の除去により、加水分解縮合物(a1)の保存安定性を高めることができる。上記触媒の除去方法は、触媒の種類に応じて公知方法を適宜に選択できる。上記触媒の除去方法としては、触媒の沸点以上に加熱する方法、及び減圧する方法等が挙げられる。上記触媒がギ酸である場合には、これらの方法によりギ酸を容易に除去できる。
本発明に係る紫外線硬化性樹脂組成物は上記チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂からなる紫外線硬化性樹脂に加え、シアヌル酸トリアリルを含む。前述したように、本発明は、上記紫外線硬化性樹脂組成物と、シアヌル酸トリアリルとの組み合わせにより顕著な耐熱性向上効果を発現するものである。この理由は定かではないが、本願発明者は、上記紫外線硬化性樹脂組成物と、シアヌル酸トリアリルとの特定の組み合わせにより、このような効果を発現することを実験的に見出したものである。
上記反応の反応機構は、重合開始剤の有無により異なる。このため、加水分解縮合物(a1)及びシアヌル酸トリアリルは、重合性開始剤の配合の有無に応じて、最適な配合量に適宜調整すればよい。
上記重合開始剤が用いられない場合は、炭素−炭素二重結合1個に対して、チオール基1個が付加反応する。上記重合開始剤が用いられる場合は、炭素−炭素二重結合1個に対して、チオール基1個が付加反応することに加えて、連鎖的ラジカル反応が進行する。この結果、上記重合開始剤が用いられない場合は、加水分解縮合物(a1)に含まれるチオール基とシアヌル酸トリアリルに含まれる炭素−炭素二重結合とは、1:1(モル比)で反応する。上記重合開始剤が用いられる場合には、加水分解縮合物(a1)に含まれるチオール基と、シアヌル酸トリアリルに含まれる炭素−炭素二重結合とは、1:1(モル比)では反応しない。
上記の観点から、重合開始剤が用いられない場合は、加水分解縮合物(a1)とシアヌル酸トリアリルとの配合比は、[加水分解縮合物(a1)に含まれるチオール基のモル数]/[シアヌル酸トリアリルに含まれる炭素−炭素二重結合のモル数](以下、モル比D1ともいう)は、0.9〜1.1の範囲内であることが好ましい。上記モル比D1は1.0であることがより好ましい。上記モル比D1が0.9以上であると、硬化後に炭素−炭素二重結合が残存し難くなり、透明複合材料の硬化物の耐候性が高くなる。上記モル比が1.1以下であると、チオール基が残存し難くなり、チオール基の分解による悪臭が生じ難くなる。
重合開始剤が用いられる場合は、加水分解縮合物(a1)とシアヌル酸トリアリルとの配合比は、[加水分解縮合物(a1)に含まれるチオール基のモル数]/[シアヌル酸トリアリルに含まれる炭素−炭素二重結合のモル数](以下、モル比D2といもいう)は、0.01〜1.1の範囲内であることが好ましい。上記モル比D2が0.01以上であると、透明複合材料の硬化物の水蒸気バリア性をより一層高めることができる。さらに、硬化後に炭素−炭素二重結合が残存し難くなり、透明複合材料の硬化物の耐候性が高くなる。上記モル比D2が1.1以下であると、チオール基が残存し難くなり、チオール基の分解による悪臭が生じ難くなる。
もっとも、本発明に係る紫外線硬化性樹脂組成物は、光の照射により架橋及び硬化を促進させるために光重合開始剤を含有していることが好ましい。該光重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
上記光重合開始剤は特に限定されない。上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、及び4−(p−メトキシフェニル)−2,6−ジ−(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。上記光重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光カチオン重合開始剤としては、紫外線の照射により酸を発生する化合物であるスルホニウム塩、ヨードニウム塩、メタロセン化合物及びベンゾイントシレート等が挙げられる。上記光カチオン重合開始剤の市販品としては、ユニオンカーバイド社製の商品名
「サイラキュアUVI−6970」、「サイラキュアUVI−6974」及び「サイラキュアUVI−6990」、チバ・ジャパン社製の商品名「イルガキュア264」、並びに日本曹達社製の商品名「CIT−1682」等が挙げられる。
チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂100重量部に対して、上記光重合開始剤の含有量の好ましい下限は0.01重量部、より好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は2重量部、より好ましい上限は1重量部である。上記光重合開始剤の含有量が多いほど、活性光線や活性エネルギー線に対する感度が高くなる。上記光重合開始剤の含有量が上記好ましい下限以上の場合には、紫外線硬化性樹脂組成物を充分に硬化させることができる。上記光重合開始剤の含有量が上記好ましい上限以下の場合には、硬化反応が急激に進行し難くなり、更に硬化時の割れ及び硬化物の着色等の問題が生じ難くなる。
活性光線の照射により、チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂を架橋し、硬化させた後に、高温で熱処理してもよい。熱処理により、硬化物の力学特性を安定させることができる。上記熱処理の条件は、窒素雰囲気下又は真空状態で、150〜250℃、1〜24時間の条件であることが好ましい。また、空気中では、180℃以下の温度とすることが好ましい。
上記光ラジカル重合開始剤としては、チバ・ジャパン社製の商品名「ダロキュア1173」、「イルガキュア651」、「イルガキュア184」及び「イルガキュア907」、並びにベンゾフェノン等が挙げられる。
紫外線硬化性樹脂組成物の保存安定性をより一層高めるために、エン−チオール反応抑制剤を使用できる。該エン−チオール反応抑制剤としては、リン化合物、ラジカル重合禁止剤、三級アミン及びイミダゾール等が挙げられる。
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン及び亜リン酸トリフェニル等が挙げられる。上記ラジカル重合禁止剤としては、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、及びジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。上記三級アミンとしては、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール、及びジアザビシクロウンデセン等が挙げられる。上記イミダゾールとしては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチルへキシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール及び1−シアノエチル−2−メチルイミダール等が挙げられる。
上記リン化合物のなかでも、亜リン酸トリフェニルが好ましい。該亜リン酸トリフェニルは、エン−チオール反応の抑制効果が高く、かつ室温で液状であるため、取り扱いが容易である。チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂100重量部に対して、上記リン系化合物の含有量は0.1〜10重量部の範囲内であることが好ましい。上記リン化合物の含有量が0.1重量部以上であると、エン−チオール反応を充分に抑制できる。上記リン化合物の含有量が10重量部以下であると、硬化後に上記リン化合物の残存量が少なくなり、上記リン化合物に由来する硬化物の物性の低下を抑制できる。
上記ラジカル重合禁止剤のなかでも、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好ましい。該N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩は、少量でもエン−チオール反応を抑制でき、かつ硬化物の透明性を高めることができる。チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂100重量部に対して、上記ラジカル重合禁止剤の含有量は0.0001〜0.1重量部の範囲内であることが好ましい。上記ラジカル重合禁止剤の含有量が0.0001重量部以上であると、エン−チオール反応を充分に抑制できる。上記ラジカル重合禁止剤の含有量が0.1重量部以下であると、硬化性が高くなる傾向がある。
上記三級アミンのなかでも、ベンジルジメチルアミンが好ましい。該ベンジルジメチルアミンは、エン−チオール反応の抑制効果が高く、かつ室温で液状であるため、取り扱いが容易である。チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂100重量部に対して、上記三級アミンの含有量は0.001〜5重量部の範囲内であることが好ましい。上記三級アミンの含有量が0.001重量部以上であると、エン−チオール反応を充分に抑制できる。上記三級アミンの含有量が5重量部以下であると、加水分解縮合物(a1)中の未反応の水酸基及びアルコキシ基の縮合反応が生じ難くなり、ゲル化が生じ難くなる。
加水分解縮合物(a1)とシアヌル酸トリアリルとの配合比は、用途に応じて適宜変更できる。
紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物のアッベ数は、35〜50の範囲内であることが好ましい。アッベ数が上記範囲内である場合には、硬化物からなる透明複合シートの光線透過率をより一層高くすることができる。
紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物は、例えば、本発明に係る透明複合材料の作製の際に、ガラス繊維を添加せずに硬化させることにより得られる。また、紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物は、例えば、チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂と、該チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂を硬化させるための光重合開始剤及び硬化剤の内の少なくとも一方とを混合した混合物を硬化させることにより得られる。
本発明のチオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂は、各種用途での必要性に応じて、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤及び粘度調節剤等を含有していてもよい。
(透明複合材料及び透明複合シート)
本発明に係る紫外線硬化性樹脂組成物とガラス繊維とを含む透明複合材料を硬化することにより、本発明の透明複合シートを得ることができる。ここで、上記ガラス繊維の形態は特に限定されない。ガラス繊維は、織布又は不織布であることが好ましい。ガラス繊維は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。ガラス繊維が織布である場合には、ガラス繊維は、ガラスクロスである。
上記ガラスクロスとしては、例えば、横断面が円形又は楕円形等でありかつ横断面の直径または長径が3〜10μm程度の長繊維(フィラメント)を、100〜800本程度撚り合わせたヤーンを、経糸及び緯糸として用いて、これらの糸を交錯させるように織ることにより得られる。織り方としては、平織、綾織及び朱子織等が挙げられる。
上記ガラスクロスの厚さは最も厚い部分で、通常10〜500μmである。上記ガラスクロスの厚さは、最も厚い部分で、15〜350μmであることが好ましい。
ガラス繊維の材質としては、ソーダガラス、ホウ珪酸ガラス及び無アルカリガラス等が挙げられる。なかでも、無アルカリガラスが好ましい。無アルカリガラスの使用により、透明複合シートを表示素子用基板又は太陽電池用基板として用いたときに、ガラス繊維に由来するアルカリ成分が半導体素子に悪影響を及ぼさなくなる。
ガラス繊維は、Eガラスであることが好ましい。該Eガラスは、ガラス繊維強化回路基板用の芯材として広く用いられている。繊維径、繊維束径、ガラスクロスとしての目付、織り密度及び厚さ等に関して、上記Eガラスは、種々の規格品が揃っている。また、性能、コスト及び入手の容易性の観点から、Eガラスは好適に用いられる。
ガラス繊維は、Tガラスであることも好ましい。Tガラス繊維は、Eガラス繊維よりも、高強度及び低熱膨張等の点で優れている。
ガラス繊維の引っ張り弾性率の好ましい下限は5GPa、より好ましい下限は10GPa、好ましい上限は500GPa、より好ましい上限は200GPaである。上記引っ張り弾性率が低すぎると、透明複合シートの強度が低くなる傾向がある。
紫外線硬化性樹脂組成物100重量部に対して、ガラス繊維の含有量の好ましい下限は10重量部、より好ましい下限は15重量部、好ましい上限は200重量部、より好ましい上限は120重量部である。ガラス繊維の含有量が上記好ましい下限より少ないと、ガラス繊維による熱膨張の低減効果が不十分となり、上記好ましい上限を超えるとガラス繊維に樹脂を含浸することが困難となり、透明複合シートの表面あるいは内部にボイドが発生して透明性が低下しやすくなる。
本発明に係る透明複合シートは、紫外線硬化性樹脂組成物が硬化した透明な硬化物(A)と、該透明な硬化物(A)中に埋め込まれているガラスとを含有する。
本発明に係る透明複合シートの製造方法としては、特に限定されないが、例えば以下のような方法が挙げられる。
常温又は加熱下で流動性を有する紫外線硬化性樹脂組成物を、基材上に塗布する。次に、基板上の紫外線硬化性樹脂組成物上にガラス繊維を重ねて、紫外線硬化性樹脂組成物をガラス繊維に含浸(吸収)させ、透明複合材料を得る。その後、必要に応じて乾燥し、他の基材でプレス又はラミネートして、透明複合材料の厚みを調整し、均一化し、シート状にする。次に、加熱及び活性光線の照射の内の少なくとも一方により、シート状の透明複合材料を架橋し、硬化させ、透明複合シートを形成する。その後、基材を透明複合シートから剥離することにより、透明複合シートを得ることができる。
なお、紫外線硬化性樹脂組成物にガラス繊維を浸漬し、超音波を照射しながら紫外線硬化性樹脂組成物をガラス繊維に含浸させてもよい。
本発明に係る透明複合シートの厚みは、特に制限されないが、ガラス繊維の仕様、並びに紫外線硬化性樹脂組成物とガラス繊維との比率から、50〜200μmの範囲内であることが好ましい。
透明複合シートの厚みが200μmを超える必要がある場合には、シート状の透明複合材料を複数積層した後に硬化させるか、又は、透明複合材料のシート化と硬化とを繰り返して、透明複合シートを得ることが好ましい。また、適当な接着層を介して透明複合シートを積層してもよい。
本発明に係る透明複合シートの光透過率は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、92%以上であることが特に好ましい。光透過率が高いほど、例えば、液晶表示素子又は有機EL表示素子などの表示素子基板等に透明複合シートを用いて、画像表示装置を得た場合に、表示品位が高くなり、画像が鮮明になる。
上記光透過率は、市販の分光光度計を用いて、波長550nmの全光線透過率を測定することによって求めることができる。
透明複合シートの水蒸気バリア性を高めるためには、本発明に係る透明複合シートの水蒸気透過率は、1×10−1g/m・日以下であることが好ましい。透明複合シートの寸法安定性を高めるためには、本発明に係る透明複合シートの30〜250℃における平均線膨張係数は、20ppm/℃以下であることが好ましい。
本発明に係る透明複合シートのヘイズ値は、10%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、2%以下であることがより好ましい。
上記ヘイズ値は、JIS K7136に基づいて測定される。測定装置としては、市販のヘーズメーターを用いることができる。このような測定装置としては、例えば、東京電色社製「全自動ヘーズメーターTC−HIIIDPK」等が挙げられる。
本発明に係る透明複合シートには、表面平滑化層、ハードコート層又はガスバリア層を積層してもよい。
上記表面平滑化層又はハードコート層を形成する際には、例えば、透明複合シート上に、既知の表面平滑化剤又はハードコート剤を塗布し、必要に応じて溶剤を除去するために乾燥する。次に、加熱及び活性光線の照射の内の少なくとも一方により、表面平滑化剤又はハードコート剤を硬化させる。
透明複合シート上に表面平滑化剤又はハードコート剤を塗布する方法は、特に制限されない。例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、エクストルージョン法、カーテンコート法又はスプレーコート法等の従来公知の方法を採用できる。
本発明に係る透明性複合材シートにガスバリア層を積層することにより、水蒸気や酸素のバリア性を高めてもよい。ガスバリア層は特に限定されない。上記ガスバリア層の材料としては、例えば、アルミニウムなどの金属、SiO及びSiNなどの珪素化合物、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、並びに酸化亜鉛等が挙げられる。水蒸気バリア性、透明性及び透明複合シートへの密着性を高める観点からは、SiO及びSiNなどの珪素化合物が好ましい。
ガスバリア層を形成する方法は、特に限定されず、蒸着法及びスパッタリング法等の乾式法、並びにゾル−ゲル法等の湿式法が挙げられる。なかでも、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法により形成されたガスバリア層は、緻密でガスバリア性に優れており、かつ、透明複合シートへの密着性も良好である。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
ポリシルセスキオキサン(上記加水分解縮合物(a1)に相当する、HBSQ101、荒川化学工業社製)50重量部及びシアヌル酸トリアリル30重量部に、光重合開始剤としての2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・ジャパン社製)0.2重量部を添加し、混合し、透明樹脂液を得た。
得られた透明樹脂液に、ガラス繊維として、Eガラス繊維であるIPC♯2013相当のガラスクロス(日東紡社製、屈折率1.558)を下記の表1に示す含有量となるように浸漬し、超音波を照射しながらガラスクロスに分散液を含浸させた。その後、分散液を含浸したガラスクロス、すなわち透明複合材料を引き上げて、ステンレス板上に乗せ、オーブン内で80℃で10分間乾燥した。さらに、減圧チャンバー内で10Paの圧力まで減圧しながら脱泡した後、透明複合材料を一対のガラス板で挟み込み、上部より0.01MPaの圧力で3分間加圧して、透明複合材料をシート状にした。ガラス板側から高圧水銀灯にて2000mJ/cm(365nm)のUV光を照射して、シート状の透明複合材料を架橋し、硬化させて、透明複合シートを得た。
(実施例2)
ガラスクロスを、Eガラス繊維であるIPC♯2013相当のガラスクロス(ユニチカ社製、屈折率1.558)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、透明複合シートを作製した。
(実施例3)
チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂としてのポリシルセスキオキサン溶液(上記加水分解縮合物(a1)に相当する、コンポセランSQ102−1、荒川化学工業社製)70重量部及びシアヌル酸トリアリル30重量部に、光重合開始剤としての2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・ジャパン社製)0.2重量部を添加し、混合し、透明樹脂液を得た。
得られた透明樹脂液に、ガラス繊維として、Eガラス繊維であるIPC♯2013相当のガラスクロス(日東紡社製、屈折率1.558)を下記の表1に示す含有量となるように浸漬し、超音波を照射しながらガラスクロスに分散液を含浸させた。その後、分散液を含浸したガラスクロス、すなわち透明複合材料を引き上げて、ステンレス板上に乗せ、オーブン内で80℃で10分間乾燥した。さらに、減圧チャンバー内で10Paの圧力まで減圧しながら脱泡した後、透明複合材料を一対のガラス板で挟み込み、上部より0.01MPaの圧力で3分間加圧して、透明複合材料をシート状にした。ガラス板側から高圧水銀灯にて2000mJ/cm(365nm)のUV光を照射して、シート状の透明複合材料を架橋し、硬化させて、透明複合シートを得た。
(比較例1)
ポリシルセスキオキサン(上記加水分解縮合物(a1)に相当する、HBSQ101、荒川化学工業社製)50重量部及びイソシアヌル酸トリアリル30重量部に、光重合開始剤としての2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・ジャパン社製)0.2重量部を添加し、混合し、透明樹脂液を得たこと以外は実施例1と同様にして、透明複合シートを作製した。
(比較例2)
ポリシルセスキオキサン(上記加水分解縮合物(a1)に相当する、HBSQ101、荒川化学工業社製)50重量部及びイソシアヌル酸トリアリル30重量部に、光重合開始剤としての2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・ジャパン社製)0.2重量部を添加し、混合し、透明樹脂液を得たこと以外は実施例2と同様にして、透明複合シートを作製した。
(比較例3)
ポリシルセスキオキサン溶液(上記加水分解縮合物(a1)に相当する、コンポセランSQ102−1、荒川化学工業社製)70重量部及びイソシアヌル酸トリアリル30重量部に、光重合開始剤としての2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・ジャパン社製)0.2重量部を添加し、混合し、透明樹脂液を得たこと以外は実施例2と同様にして、透明複合シートを作製した。
(評価)
(1)シート厚み
尾崎製作所製厚みゲージを用いて、シートの厚みを測定した。
(2)光線透過率
分光光度計UV−310PC(島津製作所製)を用いて、得られた透明複合シートの550nmにおける光線透過率を測定した。
(3)黄変度
JIS Z8722に基づいて、分光式測色色差計(東京電色社製)を用いて、得られた透明複合シートを180℃、220℃、240℃のオーブン中で加熱し、30分後、1時間後、2時間後、3時間後の黄変度の変化を測定した。
(4)線膨張係数
TMA/EXSTAR6000型熱応力歪測定装置(セイコー電子社製)を用いて、得られた透明複合シートを30℃から250℃まで10℃/分の速度で昇温した後、10℃/分の速度で0℃まで冷却した。その後、再度、10℃/分の速度で昇温し、この昇温時の30℃〜250℃における平均線膨張係数を求めた。
(5)ヘイズ値
JIS K7136に基づいて、全自動ヘーズメーターTC−HIIIDPK(東京電色社製)を用いて、得られた透明複合シートのヘイズを測定した。
結果を下記の表1および図1に示す。
下記の表1では、透明複合シートを得る際に用いたチオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂とガラスクロスの含有量を示した。また、得られた透明複合シートの厚みを示した。さらに、得られた透明複合シートの、240℃2時間加熱時の黄変度を測定し、この測定結果を下記の表1に示した。さらに、ガラスクロスの屈折率とアッベ数とを、下記の表1に示した。さらに、実施例及び比較例で用いた紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物の屈折率とアッベ数、すなわち上記ガラスクロスに含浸させず、紫外線硬化性樹脂組成物のみの硬化物の屈折率とアッベ数とを別途測定した。この測定結果を下記の表1に示した。
Figure 2011190402
また、上記実施例1及び比較例1の透明複合シートについて、240℃の温度に30分、1時間、2時間または3時間維持した場合の黄変度を測定した。結果を図1に示す。
実施例1〜3と比較例1〜3との対比及び図1から明らかなように、イソシアヌル酸トリアリルを用いた比較例1〜3に比べ、シアヌル酸トリアリルを用いた実施例1〜3では、240℃に2時間加熱した後の黄変が著しく少ないことがわかる。

Claims (5)

  1. チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂からなる紫外線硬化性樹脂と、
    シアヌル酸トリアリルとを含む、紫外線硬化性樹脂組成物。
  2. 前記チオール基を含有するシルセスキオキサン樹脂が、下記式(1)で表されるチオール基含有シラン化合物の加水分解縮合物である、請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
    R1Si(OR2) ・・・式(1)
    前記式(1)中、R1は、チオール基を有しかつ芳香環を有しない炭素数1〜8の有機基、又はチオール基を有しかつ芳香環を有する有機基を表し、R2は、水素原子、芳香環を有しない炭素数1〜8の有機基、または芳香環を有する有機基を表す。
  3. 重合開始剤を含んでおらず、かつ前記チオール基含有シラン化合物のチオール基のモル数と、前記シアヌル酸トリアリルの炭素−炭素二重結合のモル数との比が、0.9〜1.1の範囲内にある、請求項2に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  4. 重合開始剤をさらに含み、前記チオール基含有シラン化合物のチオール基のモル数と、前記シアヌル酸トリアリルの炭素−炭素二重結合のモル数との比が0.01〜1.1の範囲内にある、請求項2に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物と、
    前記硬化物に埋め込まれたガラス繊維とを備える、透明複合シート。
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