JP6057582B2 - Led用封止材料 - Google Patents

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Description

本発明はLED用封止材料に関し、特にシリコーンを原料とする有機無機ハイブリッド反応生成物よりなるLED用封止材料に関する。
液晶テレビジョン、液晶ディスプレイ等の液晶を用いた表示装置にあっては、液晶部分を投光するためのバックライトが備えられる。現在、バックライトとしてはLEDの利用が主流である。LEDの消費電力は少なく、十分な輝度が確保できるからである。近年、液晶表示装置の発色をより良くするため、365nm以下の波長域の紫外線LED素子が開発されている。
前記のLED素子は、バックライトを構成する基板に実装される(組み込まれる)ことが多い。LED素子からの発光は、空気との屈折率の差が大きく十分な輝度を得ることができない。そのため、LED素子と空気の屈折率の差を軽減するために、透明な物質でLED素子を被覆することにより、輝度は高められる。加えて、基板上の素子を衝撃等から保護するために被覆する必要もある。そのため、LED素子の被覆と発光の散乱を両立するLED用封止材が必要となる。しかしながら、従来から用いられているエポキシ樹脂のLED用封止材の場合、紫外線耐性に乏しい。また、使用時間に伴い樹脂が透明性を失いやすく発光効率の低下が顕著である。
この点を踏まえ、次の3種類をはじめとするLED用封止材が提案されている。第1にシリコーン樹脂のLED用封止材である(特許文献1,2等参照)。シリコーン樹脂の場合、特に300nm以下の短波長紫外線領域において透過率が急低下する。このため、シリコーン樹脂は短波長紫外線領域を発光するLEDに不向きである。また、樹脂生成のために白金等の貴金属触媒を用いるため、製造原価が増す。
第2に無機ガラスのLED用封止材である(特許文献3等参照)。無機ガラスの場合、成形に際し他の樹脂よりも高い温度や高い圧力を要する。そのため、成形時の熱や圧力により基板上のLEDが劣化するおそれがある。また、熱により基板上の配線に断線が生じたり、基板自体に亀裂が生じたりする等の問題がある。さらに、無機ガラスを使用する場合、専用の設備を要するため設備負担が大きい。
第3に有機無機ハイブリッドガラスのLED用封止材である(特許文献4,5,6,7,8等参照)。特許文献4,5等のLED用封止材の場合、原料となる分子中にフェニル基が含有される。フェニル基を含有する種類の有機無機ハイブリッドガラスの透過率は、300nm以上の波長域では85%以上である。しかし、260nm域の紫外線により含有されるフェニル基が分解し、次第に有機無機ハイブリッドガラスは黄色に変色する。そのため、透過率が低下する。
特許文献6,7等の有機無機ハイブリッドガラスの場合、その透過率は350nm以上の波長域では85%以上である。しかし、300nm以下の波長域では透過率は低下する。また、出来上がる有機無機ハイブリッドガラス自体が脆弱なため、LED用の封止材を想定した場合、強度、耐久性に乏しい。加えて、成形時の硬化状態が必ずしも良好ではない。特許文献8の有機無機ハイブリッドガラスの場合、酸化チタン等の金属酸化物が含有されている。このため、350nm以下の紫外線領域に適用することができない。また、LED用の封止材として必要な厚みを得ることができない。
上述のとおり、既存の材料は、基板に実装されたLED用の封止材料として必ずしも満足できる材料ではなかった。特に、300nm以下の短波長紫外線領域においても良好な透過性を有し、しかもLED素子による発熱や紫外線自体にも強靱な耐久性と経済性を併せ持つLED用の封止材料が望まれていた。
特開平8−134358号公報 特開2008−274185号公報 特開2008−19148号公報 特開2005−146221号公報 特開2008−19396号公報 特許第4639312号公報 特開2008−231403号公報 特開2006−299251号公報
そこで、発明者らは、有機無機ハイブリッドガラスに着目して改良を重ねるとともに、これを生成する際の原料についても精査した。結果、短波長紫外線領域においても良好な透過性を発揮し、かつ耐熱性も備え、変色の生じにくい有機無機ハイブリッドガラスを得るに至った。
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、短波長紫外線領域の光線透過性を確保し、しかもLED素子による発熱や紫外線自体にも耐久性を備えるとともに経済性も併せ持つLED用封止材料を提供する。
すなわち、請求項1の発明は、ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)と、アルミニウムアルコキシド(B)と、ケイ素アルコキシド(C)とが含まれる組成物の脱水縮合反応により生じた有機無機ハイブリッド反応生成物(X)よりなり、前記有機無機ハイブリッド反応生成物の脱水縮合反応前の前記組成物における前記ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサンのヒドロキシ基(Af)の数と前記アルミニウムアルコキシドのアルコキシ基(Bf)の数の比率が、1:0.1ないし1:1.5の範囲を満たし、前記有機無機ハイブリッド反応生成物の脱水縮合反応前の前記組成物における前記ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサンのヒドロキシ基(Af)の数と前記ケイ素アルコキシドのアルコキシ基(Cf)の数の比率が、1:2ないし1:50の範囲を満たすことを特徴とするLED用封止材料に係る。
請求項の発明は、前記ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)が、異なる重量平均分子量のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサンを含む請求項に記載のLED用封止材料に係る。
請求項の発明は、前記有機無機ハイブリッド反応生成物が、LEDを実装した基板に滴下されて該基板に被着する請求項1または2に記載のLED用封止材料に係る。
請求項1の発明に係るLED用封止材料によると、ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)と、アルミニウムアルコキシド(B)と、ケイ素アルコキシド(C)とが含まれる組成物の脱水縮合反応により生じた有機無機ハイブリッド反応生成物(X)よりなり、前記有機無機ハイブリッド反応生成物の脱水縮合反応前の前記組成物における前記ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサンのヒドロキシ基(Af)の数と前記アルミニウムアルコキシドのアルコキシ基(Bf)の数の比率が、1:0.1ないし1:1.5の範囲を満たし、前記有機無機ハイブリッド反応生成物の脱水縮合反応前の前記組成物における前記ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサンのヒドロキシ基(Af)の数と前記ケイ素アルコキシドのアルコキシ基(Cf)の数の比率が、1:2ないし1:50の範囲を満たすため、短波長紫外線領域の光線透過性を確保し、しかもLED素子による発熱や紫外線自体にも耐久性を備えるとともに経済性も併せ持つLED用封止材料を実現することができた。また、最終的に出来上がる有機無機ハイブリッド反応生成物の粘性、べたつき感(タック性)を抑えることができ、未反応のケイ素アルコキシドの過剰な残存を抑えることができるとともに、白濁や硬い皮膜の生成を防ぎ均一な仕上がりを得ることができる。
請求項の発明に係るLED用封止材料によると、請求項の発明において、前記ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)が、異なる重量平均分子量のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサンを含むため、流動性の調整が容易となる。
請求項の発明に係るLED用封止材料によると、請求項1または2の発明において、前記有機無機ハイブリッド反応生成物が、LEDを実装した基板に滴下されて該基板に被着するため、有機無機ハイブリッド反応生成物の流動性を利用することができ、LEDを実装した基板上への塗工は容易となる。
有機無機ハイブリッド反応生成物の基板上への塗工時の概要図である。
本発明のLED用封止材料とは、主に、液晶表示装置の液晶部分を照射するバックライトの基板に実装される(組み込まれる)紫外線域のLED素子の被覆と発光の散乱に用いられる材料である。LED用封止材料は、基板への塗工の基板製造段階でゲル状の有機無機ハイブリッド組成物(X)(有機無機ハイブリッド反応生成物)よりなり、事後的に基板上で粘弾性を有して硬化する硬化性材料である。
LED用封止材料のもととなる有機無機ハイブリッド反応生成物(X)の構成分子には、シリコーン、高反応金属アルコキシド、及び金属アルコキシドが含まれる。より詳しくは、請求項1の発明に規定するように、有機無機ハイブリッド反応生成物(X)には、シリコーンとしてヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)と、高反応金属アルコキシドとしてアルミニウムアルコキシド(B)と、金属アルコキシドとしてケイ素アルコキシド(C)が含まれ、これらが脱水縮合反応に伴い架橋して生じた反応生成物である。
有機無機ハイブリッド反応生成物(X)は、シロキサン結合を備えたポリシロキサンが3次元的に複雑に架橋した構造となる。そのため、いわゆる無機ガラスに近似した構造であり、耐熱性、耐紫外線性等の好適な性質を得ることができる。特に、使用時間の長時間化や輝度の向上からLEDであっても発熱量が多くなっており、LED用封止材料の耐熱性への要望は高い。また、高輝度化への対応から紫外線発光LEDが主流となり、耐紫外線性能の要望も高い。
有機無機ハイブリッド反応生成物(X)において、ポリシロキサン等の架橋度を高くし過ぎると当該反応生成物自体の弾力性が失われてしまう。LED用封止材料としての目的を想定する場合、被覆対象のLED素子や基板の熱膨張率と乖離が大きくなることによって有機無機ハイブリッド反応生成物に剥離や亀裂が生じ、脆弱な材料となる。また、基板上の配線に損傷を与え断線の原因にもなる。逆にポリシロキサン等の架橋度を低くし過ぎた場合、永続的な形状保持性に欠く。そのため、基板に被着後、LEDから安定的な光量を得ることが難しくなる。
そこで、紫外線領域LED実装基板に用いる材料としての前述の問題点、加工時の作業性と被着後の反応生成物の粘弾性(ゴム弾性)の確保、及び耐熱性、耐紫外線性等の性質を備えるべく、有機無機ハイブリッド反応生成物(X)に用いる材料を検討した。以下、順に組成材料を述べる。
ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)は、有機無機ハイブリッド反応生成物(X)の骨格構造を形成する物質であり、分子中にフェニル基(芳香環)を有さず、低分子のメチル基のみの修飾を伴うケイ素化合物である。背景技術にて述べたとおり、紫外線の吸収に伴うフェニル基部分の分解と変色を防ぐためである。さらに、ジメチルポリシロキサン(A)同士、あるいはアルコキシド分子(B)または(C)との架橋反応性を高めるため、当該(A)では規定のとおり、その末端部位はヒドロキシ基(水酸基)に置換される。ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)は有機無機ハイブリッド反応生成物(X)の構造骨格となる分子であり、概ね分子量(重量平均分子量)700ないし30000の範囲から選択される。
アルミニウムアルコキシド(B)はヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)の末端部分であるヒドロキシ基(シラノール基)と縮合反応し、分子同士による網目構造を形成する役割を持つ。当該アルミニウムアルコキシド(B)として、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムtert−ブトキシド、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート(別名、アルミニウム(2−ブタノラート)ジ(2−プロパノラート))等をはじめとする各種のアルミニウムアルコキシドが挙げられる。後記する実施例からも明らかであるように、アルミニウムsec−ブトキシドが好例である。
アルミニウムアルコキシド(B)は、ケイ素アルコキシド(C)と比較して加水分解や縮合等の反応性に富む。その結果、アルミニウムアルコキシド(B)は、酸、塩基等の触媒を用いることなく加水分解が生じる。具体的には、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ビス(アセトキシジブチル錫)オキサイド、ビス(ラウロキシジブチル錫)オキサイド等のスズ系の反応促進剤を用いることなくヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)のヒドロキシ基(シラノール基)と縮合反応し、架橋形成が可能である。
一般に、高反応性金属アルコキシドとして、列記のアルミニウムアルコキシド以外にもジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、錫アルコキシド、亜鉛アルコキシド等の各金属アルコキシドの使用が可能である。ここで、本発明の課題である短波長紫外線領域の光線透過性確保を勘案した場合、有機無機ハイブリッド反応生成物(X)に含まれる高反応性金属アルコキシドの反応生成物に由来する金属酸化物には、ある程度のバンドギャップの大きさが必要である。バンドギャップよりも高いエネルギーの光は吸収される。そのため、バンドギャップに相当する波長は吸収端の波長となる。これに対し、バンドギャップよりも低いエネルギーの光は吸収されずに透過する。
E=hνであることから、E=(h・c)/λとすることができ、まとめると、E(eV)=1240(eV・nm)/λ(nm)となる。各金属酸化物のバンドギャップについて、Al23が6.9eV、ZrO2が5.0eV、TiO2が3.2eV、SnO2が3.7eV、ZnOが3.4eVである。なお、TiO2は3.2eVのバンドギャップ構造が紫外線を吸収するため除外される。
各金属酸化物のバンドギャップを代入すると、その吸収端の波長が求まる。順に、Al23は179.7nm、ZrO2は248nm、SnO2は335nm、ZnOは365nmである。このように、Al23は180nm以上の波長の透過が可能である。しかし、Al23以外は、いずれも240nm以下の短波長紫外線領域の透過を得ることはできない。このため、アルミニウムアルコキシド(B)の使用が高反応性金属アルコキシドとして最も適している。
ケイ素アルコキシド(C)もヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)の末端部分であるヒドロキシ基(シラノール基)と縮合反応し、分子同士による網目構造を形成する役割を持つ。ケイ素アルコキシド(C)として、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン等をはじめとする各種のケイ素アルコキシドが挙げられる。
従来、ポリオルガノシロキサン類と、ケイ素アルコキシド等の金属アルコキシドとの反応に際しては、前出のスズ系の反応促進剤を必要としていた。そのため、反応促進剤に起因して、出来上がる有機無機ハイブリッド反応生成物の透明度低下は不可避である。しかし、アルミニウムアルコキシド(B)のように、より反応性の高いアルコキシドを配合することにより、反応促進剤の添加を省略することができ、透明度低下の回避は可能である。
そうすると、使用するアルコキシドの全てをアルミニウムアルコキシド(B)とすることが可能であり、ケイ素アルコキシド(C)の必要性はないようにも思われる。しかし、ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)の末端部分であるヒドロキシ基(シラノール基)と温和にかつ未反応を少なくして縮合反応をするためには、むしろケイ素アルコキシド(C)のように、反応性を抑えた化学種が必要不可欠である。アルミニウムアルコキシド(B)のみでは、高反応性ゆえに未反応部分が生じるおそれがあると考えられる。つまり、アルミニウムアルコキシド(B)はそれ自体による架橋剤としての作用と、ジメチルポリシロキサン(A)とケイ素アルコキシド(C)との縮合反応を促進する反応促進剤としての双方の役割を有する。このため、両アルコキシドの性質の相違に鑑みアルミニウムアルコキシド(B)とケイ素アルコキシド(C)の双方の使用が必須である。
LED用封止材料のもととなる有機無機ハイブリッド反応生成物(X)の形成と配合量は、おおよそ次のとおり規定される。有機無機ハイブリッド反応生成物(X)の形成に際し、ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)とアルミニウムアルコキシド(B)との混合により、アルミニウムアルコキシド(B)とジメチルポリシロキサン(A)の末端ヒドロキシ基との脱水縮合により架橋した前駆体が生成される。重量換算では、使用する分子種により重量が大きく変動してしまい反応の把握に不向きである。そこで、ジメチルポリシロキサン(A)とアルミニウムアルコキシド(B)に含まれ、反応の中心となる官能基の数量比に着目して混合量を規定することとした。
具体的にはヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)のヒドロキシ基(Af)の数(前者)とアルミニウムアルコキシド(B)のアルコキシ基(Bf)との数(後者)の比率は、1:0.1ないし1:1.5(Af/Bfは、1/0.1ないし1/1.5である。)の範囲である。そして、より好ましくは、1:0.5ないし1:1(1/0.5ないし1/1)の範囲に規定される。
ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)のヒドロキシ基(Af)の数とアルミニウムアルコキシド(B)のアルコキシ基(Bf)との数の比率が1:0.1の場合、アルミニウムアルコキシド(B)のアルコキシ基が少なすぎて縮合が不十分である。また、ジメチルポリシロキサン(A)の未反応の残存量が多くなり、最終的に出来上がる反応生成物(X)の粘性、べたつき感(タック性/tackiness)が増してしまう。逆に、ヒドロキシ基(Af)の数とアルコキシ基(Bf)との数の比率が1:1.5の場合、アルミニウムアルコキシド(B)が過剰であり、アルミニウムアルコキシド(B)自体が反応して結合する。そのため、出来上がる反応生成物(X)に白濁が生じたり、部分的に硬い皮膜が生じたりして均一な仕上がりを得ることができなくなる。このことから、前記の配合割合の範囲値を規定した。
ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)とアルミニウムアルコキシド(B)との反応に際し、アルミニウムアルコキシド(B)自体の反応は激しく、前述のとおり、アルミニウムアルコキシド(B)同士で結合することがある。そこで、アルミニウムアルコキシド(B)の反応促進剤としての効果を最大限生かしつつケイ素アルコキシド(C)の縮合反応を促進する必要がある。
この場合、アルミニウムアルコキシド(B)の作用を勘案して、ケイ素アルコキシド(C)の配合量が規定される。前記同様、官能基同士による規定が簡便であるため有機無機ハイブリッド反応生成物におけるヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)のヒドロキシ基(Af)の数(前者)とケイ素アルコキシド(C)のアルコキシ基(Cf)の数(後者)の比率が、1:2ないし1:50(言い換えると、Af/Cfは、1/2ないし1/50である。)の範囲を満たす範囲に規定される。
ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)のヒドロキシ基(Af)の数とケイ素アルコキシド(C)のアルコキシ基(Cf)の数の比率が1:2の場合、相対的にケイ素アルコキシド(C)の割合が少ない。そのため、アルミニウムアルコキシドの架橋の影響から出来上がる有機無機ハイブリッド反応生成物(X)は、粘性、べたつき感(タック性)の増した仕上がりとなり好ましくない。ヒドロキシ基(Af)の数とアルコキシ基(Cf)の数の比率が1:50の場合、相対的にケイ素アルコキシド(C)の割合が多い。この場合、未反応のケイ素アルコキシド(C)が多過ぎて未反応で残存するため添加の意味を成さない。また、ケイ素アルコキシドの割合が増すことにより硬化時の収縮率も変動するため好ましくない。このことから、前記の配合割合の範囲値を規定した。
ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)、アルミニウムアルコキシド(B)、及びケイ素アルコキシド(C)を前述の配合割合において調製する場合、アルコールが溶媒として用いられる。前記のアルコキシドはアルコールに溶解され、その上でジメチルポリシロキサン(A)に混合される。成分同士の混合を容易とし、しかも使用前の流動性を維持するためである。各材料の混合後、使用したアルコール溶媒は乾燥により蒸発して除去される。
特に、アルミニウムアルコキシド(B)は、前述のとおり反応性に富むため、単純にジメチルポリシロキサン(A)に添加するとアルミニウムアルコキシド(B)同士により脱水縮合して酸化アルミニウムを析出する。あるいは、添加したアルミニウムアルコキシド(B)の周りのジメチルポリシロキサン(A)のみと反応して不均一な生成物が生じる。そのため、特にアルミニウムアルコキシド(B)は、アルコール溶媒中に分散された上でヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)と混合される。
一般にアルコールは水素結合により水分子と親和性が高い。このため、アルコールを含んで有機無機ハイブリッド反応生成物(X)を調製する際の吸水により、全体の水分量が変化するおそれがある。そこで、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、2−ブタノール(sec−ブチルアルコール)等の2級アルコール、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブチルアルコール)等の3級のアルコールが用いられる。後述の実施例にあるとおり、短波長紫外線の透過率が高く、また吸水性が低く、さらに沸点が100℃以下であることを考慮して2−メチル−2−プロパノールが選択される。アルミニウムアルコキシド(B)は、2−メチル−2−プロパノールに溶解され、ジメチルポリシロキサン(A)と混合される。
前出のアルミニウムアルコキシド(B)とジメチルポリシロキサン(A)の末端ヒドロキシ基との脱水縮合により架橋した前駆体に、さらにケイ素アルコキシド(C)も脱水縮合により架橋する。その後、空気中の水分が前記の3種類の化合物による架橋物、つまり有機無機ハイブリッド反応生成物(X)の表面から吸収される。
反応生成物表面から吸収された水分により、アルミニウムアルコキシド(B)及びケイ素アルコキシド(C)の加水分解は進行する。そして、さらにヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)との脱水縮合が促進する。縮合により生成した水に起因して、さらにアルミニウムアルコキシド(B)及びケイ素アルコキシド(C)の加水分解が誘発される。このように、アルコキシドの加水分解とポリシロキサンの脱水縮合は連鎖的に生じ、有機無機ハイブリッド反応生成物(X)の表面から次第に内部全体の架橋、硬化の反応が進行する。最終的に、流動物であった有機無機ハイブリッド反応生成物(X)が架橋、硬化することによって、本発明の目的とするLED用封止材料が生成する。
既述のとおり、有機無機ハイブリッド反応生成物(X)の組成成分であるヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)、アルミニウムアルコキシド(B)、及びケイ素アルコキシド(C)の配合割合の調整によって、LED用封止材料の性能改善に効果を上げることができる。この場合、有機無機ハイブリッド反応生成物(X)において、主に弾力性、流動性等の物理的性質は、主材料としてのヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)の種類の影響を受けると考えられる。
一般に鎖長の短い分子を用いた場合、混合溶液の流動性が低下しやすい。逆に鎖長の長い分子を用いた場合、混合溶液の流動性は高まりやすい。この点に着目すると、適度な鎖長の分子を組み合わせることが流動性の制御に有用である。
そこで、請求項の発明に規定するように、有機無機ハイブリッド反応生成物(X)のために使用するヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)は、異なる重量平均分子量のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサンを少なくとも2種以上含む材料である。本発明において、ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)として、概ね分子量2000〜3000と、分子量20000〜30000の範囲のジメチルポリシロキサンが用いられる。このことから、ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)における重量平均分子量において、約5倍ないし15倍の幅が認められる。なお、重合度は「高分子の分子量÷単量体の分子量」として算定できることから、高分子化合物の大きさを平均重合度により把握する場合もある。
同時に低分子量分子と高分子量分子の配合割合も適切に調整することにより、硬化後の硬度の調整も可能となる。そのため、適度な柔軟さとともに、耐熱性能、耐紫外線性能を備えたLED用封止材料を得ることができる。
例えば、後記実施例のとおり、低分子量(低重合度)のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A1)と、高分子量(高重合度)のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A2)の組み合わせである。むろん、平均分子量(重合度)の異なるヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサンは2種類に限らず、3種類あるいはそれ以上とすることもできる。なお、分子量の相違にかかわらず、アルミニウムアルコキシド(B)及びケイ素アルコキシド(C)と前述と同様の反応形態で架橋し、反応生成物の有機無機ハイブリッド反応生成物(X)が生じると考えられる。
これまでに説明した有機無機ハイブリッド反応生成物(X)は、加熱と空気中の水分吸収による硬化前では流動性を有する。特に、前述のとおりヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)における異なる平均分子量の分子を選択することにより、その調整はより容易である。
有機無機ハイブリッド反応生成物(X)について、これを組成するヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)、アルミニウムアルコキシド(B)、及びケイ素アルコキシド(C)に加え、当該反応生成物の目的、作用に反しない限りにおいて必要に応じて任意の成分を添加することができる。例えば、蛍光剤、老化防止剤、ラジカル抑制剤、接着改良剤、難燃剤、界面活性剤、光安定剤、帯電防止剤、水分ゲッター剤、またはフィラー等である。
有機無機ハイブリッド反応生成物(X)は硬化前の状態では流動性を利用できる。このことからLEDを実装した基板上への塗工は容易である。例えば、図1上段は塗工の様子の概要図である。すなわち、請求項の発明に規定するように、有機無機ハイブリッド反応生成物Xは、LED2を実装した基板1上に塗工装置6から滴下され、当該基板1にてLED2の全体を被覆して同基板に被着する。なお、図示の基板1では、プリント配線、その他の部品についての図示を省略している。
同図の下段の断面図からもわかるように、有機無機ハイブリッド反応生成物Xは、基板1上に形成されたLED2を実装する穴部3を埋めるように滴下される。そして、穴部3のLED2は有機無機ハイブリッド反応生成物Xにより完全に被覆、保護される。その後、基板1は室温下にて静置され、反応生成物内の分子の架橋反応が進み、さらに140℃ないし160℃で加熱されることにより、有機無機ハイブリッド反応生成物Xは熱硬化してLED用封止材料5を得ることができる。むろん、図示以外の基板やLEDの形態、塗工の手法を用い有機無機ハイブリッド反応生成物によりLEDを被覆、保護可能である。また、最終的に出来上がるLED用封止材料の形状も図示の例に限られない。
〔使用原料〕
ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)として、分子量(平均重合度)の異なる2種類を使用した。モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のYF3800(重量平均分子量3500)、及びXF3905(重量平均分子量20000〜23000)を使用した。なお、低分子量(低重合度)側のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサンを[A1]、高分子量(高重合度)側のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン[A2」として略記する。
アルミニウムアルコキシド(B)として、アルミニウムsec−ブトキシド(アルミニウムsec−ブチレート)(川研ファインケミカル株式会社製,商品名:ASBD)を使用した(以下、表中を含めて[ASBD]と称する。)。
溶解用に2−メチル−2−プロパノール(tert−ブチルアルコール)(和光純薬工業株式会社製)を使用した。
ケイ素アルコキシド(C)として、テトラエトキシシラン(信越化学工業株式会社製,商品名:KBE−04)を使用した(以下、表中を含めて[TEOS]と称する。)。
さらに下記の18種類のケイ素アルコキシド(a)ないしr))も使用した。
a)テトラメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)
b)テトラブトキシシラン(東京化成工業株式会社製)
c)テトライソプロポキシシラン(東京化成工業株式会社製)
d)テトラプロポキシシラン(東京化成工業株式会社製)
e)メチルトリエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)
f)エチルトリエトキシシラン(和光純薬工業株式会社製)
g)n−プロピルトリエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)
h)イソブチルトリエトキシシラン(Sigma−Aldrich Corp.製)
i)n−ヘキシルトリエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)
j)n−オクチルトリエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)
k)n−ドデシルトリエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)
l)メチルトリメトキシシラン(Sigma−Aldrich Corp.製)
m)エチルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)
n)n−プロピルトリメトキシシラン(Sigma−Aldrich Corp.製)
o)n−ブチルトリメトキシシラン(Polysciences, Inc.製)
p)イソブチルトリメトキシシラン(Sigma−Aldrich Corp.製)
q)n−ヘキシルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)
r)n−ドデシルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)
[LED用封止材料の試作]
発明者らは、前記の使用原料を用い次の手順に従い試作例1ないし23の有機無機ハイブリッド反応生成物を調製した。なお、使用原料、中間生成物等の配合の詳細は、試作例毎の表中に記載の量(重量比、重量)とした。
アルミニウムsec−ブトキシド[ASBD]と脱水した2−メチル−2−プロパノールを密閉容器に入れて混合してアルミニウムアルコキシド溶液[Bs]を得た。低分子量側のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン[A1]と高分子量側のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン[A2]について双方とも脱水処理の後、別の容器に定量して投入し、密閉状態で両成分を十分に混合して混合ポリシロキサン[Am]を得た。
混合ポリシロキサン[Am]にアルミニウムアルコキシド溶液[Bs]を添加し、密封状態で攪拌混合した。そして、当該混合物を70℃に加熱しながらさらに1時間混合攪拌し続け、均質で透明な混合液状物[Ms]を得た。混合液状物[Ms]にテトラエトキシシラン[TEOS]を添加し、密封容器内で10分ほど混合攪拌することにより試作例毎に有機無機ハイブリッド反応生成物を得た。
試作例毎に調製した有機無機ハイブリッド反応生成物をフッ素樹脂(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製のシャーレに流し込み、3gを分取した。同シャーレを電気炉に入れ、150℃で4時間加熱した。例えば、試作例1の場合、前記の加熱条件において厚さ約1mmの熱硬化物、すなわちLED用封止材料に仕上がった。
そこで、試作例毎に、使用原料とその配合割合、アルミニウムアルコキシド溶液[Bs]の濃度(重量比)、ヒドロキシ基(Af)とアルコキシ基(Bf)との官能基数比(換算値)、ヒドロキシ基(Af)とアルコキシ基(Cf)との官能基数比(換算値)、硬化状態(目視)、液粘度(目視)、及び総合評価の結果を表1ないし5として示した。
硬化状況は「良」、「可」、「不可」の3段階評価とした。好ましい順に、「良」は前述の150℃、4時間の加熱において硬化した例である。「可」は前述の150℃、4時間の加熱において硬化したものの、べたつき感が残った例である。「不可」は加熱しても硬化しなかった例である。
液粘度は「良」、「不可」の2段階評価とした。好ましい順に、「良」は有機無機ハイブリッド反応生成物の状態で良好な流動性を具備している例である。「不可」は有機無機ハイブリッド反応生成物の状態で作業可能な流動性を具備していない例である。
総合評価は「優」、「良」、「不可」の3段階評価とした。前述の硬化状況、液粘度、原料使用量、経費、作業性等を総合的に考慮して区分した。
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[結果の詳細]
表1ないし5より明らかなとおり、試作例1,2,3,7,8,9,19,20はいずれの指標においても良好であり「優」の総合評価である。これらは十分に製品化可能である。これに対し、試作例4,5,6,10,11、12,13,14,15,16,17,18,21,22,23は指標を満たしていない、あるいは調製時に不具合がある等のため「不可」の総合評価である。具体的に、試作例4,23は加熱によっても熱硬化しなかった。試作例5,6はべたつき感が残り、小粒にするほど顕著であった。試作例10,11は白濁沈殿が生じた。試作例12,14,15は粘度が高まり取り扱いにくい。試作例13,21は加熱後の体積収縮が問題であった。試作例16,17,18はべたつき感が強く、また全体に軟らかい仕上がりとなった。試作例22はべたつき感が残るものの、小粒では目立たなかった。
この結果からヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)のヒドロキシ基(Af)の数とアルミニウムアルコキシド(B)のアルコキシ基(Bf)との数の比率を考察すると、試作例7の「1/0.101」が一端となり「1/0.1」とした。試作例9の「1/1.00」では良く、試作例12の「1/2.00」では性能が低下する。このため、同比率より少なくして「1/1.5」を他端と判断した。ゆえに、1:0.1ないし1:1.5の範囲を導くことができる。また、より好ましくは、試作例1等の「1/0.48」と試作例9の「1/1.00」より、1:0.5ないし1:1の範囲を導くことができる。
次に、ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)のヒドロキシ基(Af)の数とケイ素アルコキシド(C)のアルコキシ基(Cf)との数の比率を考察すると、試作例19の「1/1.95」と試作例20の「1/53」より1:2ないし1:50の範囲を導くことができる。ケイ素アルコキシドは過剰であれば蒸発するため、反応に際し必要量の配合とすることが製造経費節約のため望ましい。
[光線透過度の測定]
LED用封止材料を代表して試作例1の熱硬化物を用い、基板へ塗工し製品として完成した後の耐久性、耐紫外線性を調べるべく、光線透過度を測定した。測定に際し、日立分光光度計U−4000(株式会社日立テクノロジーズ製)を用いた。紫外線波長域の照射に際し、高圧UVランプ点灯装置UM−453B−A(ウシオ電機株式会社製)を用いた。試作例1の熱硬化物(LED用封止材料)はタック性(粘着性)を有さず、240nmないし800nmの波長域の透過率は90%以上であった。
次に、試作例1の熱硬化物を150℃で1000時間加熱した。加熱後、透過率を測定したところ、240nmないし340nmの波長域の透過率は80%以上であり、340nmないし800nmの波長域の透過率は90%以上であった。さらに温度を上げて200℃で1000時間加熱した。当該加熱後、240nmないし340nmの波長域の透過率は70%以上であり、340nmないし800nmの波長域の透過率は85%以上であった。また、150℃で1000時間加熱済みの試作例1の熱硬化物に254nmピークの紫外線を照射したところ、240nmないし340nmの波長域の透過率は80%以上であり、340nmないし800nmの波長域の透過率は85%以上であった。
光線透過度測定の結果が示すとおり、本発明の組成により調製したLED用封止材料は、高温下で曝露しても従来品よりも紫外線から可視光線の波長帯において優れた透過性能を発揮した。しかも、形状、性質も安定している(表1参照)。
[ケイ素アルコキシドの種類拡張]
LED用封止材料の試作に際し、使用可能なケイ素アルコキシドの種類を検証するべく、前述のテトラエトキシシラン[TEOS]に代えて「a)テトラメトキシシラン」ないし「r)n−ドデシルトリメトキシシラン」の18種類のケイ素アルコキシドを配合し、試作例31ないし84の有機無機ハイブリッド反応生成物を調製して評価した。使用原料等の配合の詳細は、試作例毎の表6ないし14中に記載の量(重量比、重量)とした。ジメチルポリシロキサン(A){低分子量側のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン[A1]及び高分子量側のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン[A2]}と、アルミニウムアルコキシド(B){アルミニウムsec−ブトキシド[ASBD]}の配合割合を固定比率として、ケイ素アルコキシド(C)の種類と配合量のみ変化した。
低分子量側のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン[A1]と高分子量側のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン[A2]、及びアルミニウムsec−ブトキシド[ASBD]から、混合ポリシロキサン[Am]、混合液状物[Ms]を得るまでの工程はテトラエトキシシラン[TEOS]を用いた際の試作例と同様である。そして、当該混合液状物[Ms]にa)テトラメトキシシランをはじめとする計18種類のケイ素アルコキシドを添加して試作例毎に有機無機ハイブリッド反応生成物を得た。
その後、有機無機ハイブリッド反応生成物を熱硬化してLED用封止材料に仕上げた。調製時の温度、処理の条件はいずれもテトラエトキシシラン[TEOS]を用いて作成した試作例1ないし23の場合と同様とした。また、表中の評価項目、評価基準も試作例1ないし23の場合と同様とした。
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[結果の詳細]
表6ないし14より明らかなとおり、各試作例に対応する有機無機ハイブリッド反応生成物並びにその熱硬化物であるLED用封止材料は、硬化状態及び液粘度の評価において全て良好であった。また、封止材料としての適性も全て「優」の評価であった。特に、いずれの試作例も有機無機ハイブリッド反応生成物におけるヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサンのヒドロキシ基(Af)の数とケイ素アルコキシドのアルコキシ基(Cf)の数の比率を1:2ないし1:50の範囲とする配合割合を満たして良好な評価を示した意義は大きい。従って、ケイ素アルコキシドについては多種類の使用が可能であり、幅広い選択肢が存在することを明らかにした。そこで、ケイ素アルコキシドの選択は価格や入手し易さ、取り扱い易さ等を考慮して適切に選ぶことができる。
本発明のLED用封止材料は、シリコーン樹脂の選択、さらには使用原料の好適な調製により、短波長紫外線領域の光線透過性を確保し、LED素子による発熱や紫外線自体にも耐久性を備えるに至った。そのため、従前のLED用封止材料と代替する製品として期待できる。
1 基板
2 LED
3 穴部
5 LED用封止材料
6 塗工装置
X 有機無機ハイブリッド組成物(有機無機ハイブリッド反応生成物)

Claims (3)

  1. ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)と、アルミニウムアルコキシド(B)と、ケイ素アルコキシド(C)とが含まれる組成物の脱水縮合反応により生じた有機無機ハイブリッド反応生成物(X)よりなり、
    前記有機無機ハイブリッド反応生成物の脱水縮合反応前の前記組成物における前記ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサンのヒドロキシ基(Af)の数と前記アルミニウムアルコキシドのアルコキシ基(Bf)の数の比率が、1:0.1ないし1:1.5の範囲を満たし、
    前記有機無機ハイブリッド反応生成物の脱水縮合反応前の前記組成物における前記ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサンのヒドロキシ基(Af)の数と前記ケイ素アルコキシドのアルコキシ基(Cf)の数の比率が、1:2ないし1:50の範囲を満たす
    ことを特徴とするLED用封止材料。
  2. 前記ヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサン(A)が、異なる重量平均分子量のヒドロキシ末端を有するジメチルポリシロキサンを含む請求項1に記載のLED用封止材料。
  3. 前記有機無機ハイブリッド反応生成物が、LEDを実装した基板に滴下されて該基板に被着する請求項1または2に記載のLED用封止材料。
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