JP2006115975A - 医療用ガイドワイヤの製造方法 - Google Patents

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浩範 河崎
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Abstract

【課題】 近位端側でのトルク伝達性および押し込み特性に優れ、しかも、遠位端側では、可撓性および挿入特性に優れた医療用ガイドワイヤを容易に製造することができる方法を提供すること。
【解決手段】 遠位端側小径部22,24,26と前記遠位端側小径部よりも比較的に大きい外径を有する近位端側大径部20とを持つワイヤ芯線4を有する医療用ガイドワイヤを製造する方法である。軸方向に沿って外径が略同じワイヤ芯線素材4aを準備し、ワイヤ芯線素材の表面硬化処理を行い、前記ワイヤ芯線素材の外周面から中心までには到達しない所定深さの範囲で、前記ワイヤ芯線素材の外周に表面硬化層8を形成する。そして、遠位端側小径部に対応する軸方向長さMAで、表面硬化層8が形成されたワイヤ芯線素材の外径が、前記遠位端側小径部22,24,26の外径となるように、表面硬化層8の少なくとも一部を除去する。
【選択図】 図2A

Description

本発明は、治療や検査のために用いられるカテーテルなどの医療器具を血管などの体腔内の所定位置へと案内するために都合の良い特性を有する高性能な医療用ガイドワイヤを容易に製造することができる医療用ガイドワイヤの製造方法に関する。
治療や検査のために、カテーテルを血管内の所定位置まで挿入しなければならない場合がある。カテーテルは、一般に柔軟性に優れており、カテーテル単独では、血管の内部の所定位置まで押し込むことは困難である。そこで、血管内に予めガイドワイヤを挿入しておき、そのガイドワイヤに沿ってカテーテルを血管内の所定位置まで案内することが一般的に行われている。
ガイドワイヤについての主な要求事項は、患者の血管系または身体の他の内腔を通して、これらをキンクさせることなく押すのに、十分な押し込み特性を有するということである。しかしながら、ガイドワイヤを通す血管または身体の他の内腔に損傷を加えないようにすべく、ガイドワイヤの遠位端部は、十分に可撓性を有する必要がある。
ガイドワイヤの押し込み特性および可撓性を両立し、その使用に対して更に適したものとする努力がなされてきている(特許文献1および特許文献2参照)。しかしながら、これら二つの性質は、多くの部分で、互いに正反対であり、一方を大きくすることは、他方を小さくすることになる。
PTCAや他の血管手術用の従来のガイドワイヤは、通常、一つ又はそれ以上のテーパー区分をその遠位端近くに有する細長いワイヤ芯線と、このワイヤ芯線の遠位部分の周りに配置された可撓性のコイルバネとを有する。このような構造とすることで、十分な押し込み特性と、遠位端部における可撓性の両立を狙っている。
従来、ワイヤ芯線およびコイルバネはステンレス製であり、弾性伸び率が0.9%程度なので、先端部分の柔軟性が十分でなく、R=20mm以下の強い曲がりを有する血管内に挿入する場合には、永久変形をきたし、その後の血管内での操作が困難となる事が多い。
また、超弾性特性を示すニッケル・チタンのような超弾性合金を、ガイドワイヤに使用することも提案されている。なお、負荷を加えた時、一定の応力で比較的大きな変形を受けるが、負荷を取り除いたときに変形から回復する性質を通常「超弾性」と呼ぶ。
しかしながら、ガイドワイヤの全体を超弾性合金で構成すると、超弾性合金の弾性係数が比較的低いため、ガイドワイヤの近位端部(基端部)まで曲がり易くなり、ガイドワイヤを押し込む際の押し込み特性に問題がある。
また、ガイドワイヤの基端部をステンレスで構成し、先端部を超弾性合金で構成するガイドワイヤも提案されているが、ステンレス金属と超弾性合金との接合は困難であり、接合が不十分になり易く、接合部の強度が問題となる。更に、接合部の前後で、剛性が急激に変わるため、ワイヤ操作を困難にすることもしばしばある。
近年では、脳血管等の細い血管等へのアプローチを狙った細いカテーテル類が普及し始めており、それに伴い、ガイドワイヤも、より細いものが求められている。しかしながら、従来ガイドワイヤに使用されているステンレス金属や超弾性金属をそのまま細径化すると、手元側の曲げ剛性が低下し、その結果、押し込み特性が低下してしまうという問題がある。
特開昭60−168466号公報 特開昭60−7862号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、近位端側でのトルク伝達性および押し込み特性に優れ、しかも、遠位端側では、可撓性および挿入特性に優れた医療用ガイドワイヤを容易に製造することができる方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る医療用ガイドワイヤの製造方法は、
遠位端側小径部と前記遠位端側小径部よりも比較的に大きい外径を有する近位端側大径部とを持つワイヤ芯線を有する医療用ガイドワイヤを製造する方法において、
ワイヤ芯線素材を準備する工程、
前記ワイヤ芯線素材の表面硬化処理を行い、前記ワイヤ芯線素材の外周面から中心までには到達しない所定深さの範囲で、前記ワイヤ芯線素材の外周に表面硬化層を形成する工程、
前記遠位端側小径部に対応する軸方向長さで、前記表面硬化層が形成された前記ワイヤ芯線素材の外径が、前記遠位端側小径部の外径となるように、前記表面硬化層の少なくとも一部を除去する工程、を有する。
本発明に係る製造方法により得られる医療用ガイドワイヤでは、近位端側大径部に表面硬化層が残されており、その部分におけるトルク伝達特性および押し込み特性が向上する。また、本発明に係る製造方法により得られる医療用ガイドワイヤの遠位端側小径部では、表面硬化層の少なくとも一部、好ましくは全部が除去されており、元々の可撓性に優れたワイヤ芯線素材の特性が生かされ、ワイヤ遠位端における挿入特性が向上する。
しかも本発明に係る製造方法により得られる医療用ガイドワイヤでは、二種類の金属製ワイヤを軸方向に接続する方法で得られた医療用ガイドワイヤに比べて、接合部での強度低下がない。また、本発明の方法では、二種類の金属製ワイヤを軸方向に接合する作業を行うことなく、容易に軸方向に沿って特性を変化させることができ、製造が容易である。
好ましくは、表面硬化処理する前の前記ワイヤ芯線素材の外径は、前記近位端側大径部の外径に略等しい。その場合には、表面硬化処理した後の前記ワイヤ芯線素材における近位端側大径部に対応する部分は、後加工する必要が無くなる。
本発明において、表面硬化処理としては、特に限定されないが、たとえばガス窒化処理、ガス浸硫窒化処理などが例示される。
本発明では、表面硬化処理を施すことで、近位端側大径部の硬度が向上し、トルク伝達特性および押し込み特性が向上する。
本発明に係る製造方法によれば、近位端側でのトルク伝達性および押し込み特性に優れ、しかも、遠位端側では、可撓性および挿入特性に優れた医療用ガイドワイヤを容易に製造することができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る医療用ガイドワイヤの一部断面側面図、
図2Aおよび図2Bは図1に示す医療用ガイドワイヤの製造過程を示す断面図および側面図、
図3は図1に示すガイドワイヤの使用例を示す概略図、
図4は本発明の他の実施形態に係る医療用ガイドワイヤの一部断面側面図、
図5は本発明の実施例に係る医療用ガイドワイヤのトルク伝達性を示すグラフである。
第1実施形態
図1に示すように、本発明の1実施形態に係る医療用ガイドワイヤ2は、ワイヤ芯線4と、コイルスプリング12とを有する。ワイヤ芯線4は、近位端側大径部20と、この近位端側大径部20に対して軸方向に沿って連続して形成されて近位端側大径部20よりも外径が段階的に小さくなっている遠位端側小径部22,24,26とで構成してある。近位端側大径部20と遠位端側小径部22との接合部、遠位端側小径部22,24,26の接合部には、それぞれテーパ部21,23,25が形成してあり、ワイヤ芯線4は、軸方向に沿って遠位端側に向けて段階的に外径が小さくなっている。コイルスプリング12は、これらの遠位端側小径部22,24,26の外周に装着してある。
近位端側大径部20と遠位端側小径部22,24,26とで構成してあるワイヤ芯線4は、横断面が略円形の線材で一体的に構成してある。ワイヤ芯線4は、たとえばステンレス鋼(SUS304,SUS316,SUS403,SUS420J2)、窒化鋼(SACM645)、純チタン、またはチタン合金(Ti6Al-4V,Ni-Ti)などの金属で構成してある。
ワイヤ芯線4の全長は、使用目的などに応じて変化し、特に限定されないが、たとえば80〜350cm程度である。なお、PTCA用ガイドワイヤとして用いる場合には、ワイヤ芯線4の全長は、1500mmから2000mm程度である。
ワイヤ芯線4における近位端側大径部20の外径は、特に限定されず、一般的には0.10〜0.90mm程度であるが、本実施形態では、0.012インチ(0.30mm)以下にすることもできる。また、遠位端側小径部22,24,26の外径は、特に限定されないが、近位端側大径部20の外径に対して、好ましくは1/5〜1/2程度の外径である。
ワイヤ芯線4における遠位端側小径部26の先端には、球又は半球状のボール部10が接合してある。ボール部10は、ガイドワイヤ2の先端部を滑らかにして、ガイドワイヤ2を血管などの体腔内に挿入する際に、体腔内壁の損傷を極力防止するための部分であると共に、コイルスプリング12の遠位端側ストッパとなる。このボール部10は、たとえばスズ、銀、金、あるいはこれらの合金などの金属で構成してあり、遠位端側小径部26の先端に、溶接またはロー付けなどの手段で接合してある。ボール部10の外径は、ワイヤ芯線4の近位端側大径部20の外径に対して、好ましくは0.5〜2倍程度の外径である。
コイルスプリング12の遠位端14は、ボール部10の背面に対して溶接またはロー付けなどの手段で接合してある。コイルスプリング12の近位端16は、遠位端側小径部22の近位端近傍のテーパ部21において、ワイヤ芯線4の外周に、溶接またはロー付けなどの手段で接合してもよい。
ワイヤ芯線4におけるコイルスプリングで覆われていない部分(近位端側大径部20)の外周面は、生体適合性コーティング膜で一体的に被覆してあっても良い。生体適合性コーティング膜としては、特に限定されないが、たとえばポリエチレンなどのオレフィン類、ポリイミドやポリアミドなどの含窒素ポリマー、シロキサンポリマー、フッ素樹脂ポリマー(たとえばPTFE)など、医療用として用いられる通常のポリマーなどが用いられる。また、コーティング膜としては、ポリマーに限定されず、炭化珪素、パイロライトカーボンやダイアモンドライクカーボンなどのカーボンなど、無機物のコーティング膜であっても良い。
コイルスプリング12の外径は、特に限定されないが、ボール部10の外径と同程度以下が好ましい。コイルスプリング12を構成する線材の外径は、特に限定されないが、好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは50〜100μmの範囲である。
コイルスプリング12の材質は、特に限定されず、放射線造影材でも、放射線非造影材でも良い。放射線造影材としては、白金、白金合金(たとえばPt/Ir=93/7)、金、金−銅合金、タングステン、タンタルなどのX線に対する造影性が良好な材質が例示される。また、放射線非造影材としては、特に限定されないが、ステンレス(たとえばSUS316、SUS304)などが主として例示される。コイルスプリング12には、親水潤滑化コーティング処理が施してあっても良い。
また、コイルスプリング12の材質は、軸方向に必ずしも同じである必要はなく、たとえば遠位端側を白金コイルとし、近位端側をステンレスコイルとしても良い。
本実施形態の医療用ガイドワイヤ2のワイヤ芯線4は、たとえば以下のようにして製造される。
まず、図2Aに示すように、軸方向に沿って外径が略同じワイヤ芯線素材4aを準備する。ワイヤ芯線素材4aの外径は、最終的に得られる図1に示すワイヤ芯線4おける近位端側大径部20の外径と同じである。ワイヤ芯線素材4aの軸方向長さは、最終的に得られるワイヤ芯線4の軸方向長さと同じ、あるいはそれよりも長くしておき後で切断しても良い。
ワイヤ芯線素材4aの素材としては、可撓性および挿入特性に優れていることが好ましく、表面硬化処理を施す前の状態では、トルク伝達性や押し込み特性は悪くても良い。具体的には、ワイヤ芯線素材4aは、たとえばステンレス鋼(SUS304,SUS316,SUS403,SUS420J2)、窒化鋼(SACM645)、純チタン、またはチタン合金(Ti6Al-4V,Ni-Ti)などで構成される。
本実施形態では、図1に示すワイヤ芯線4における遠位端側小径部22,24,26として要求される特性を十分に満足する素材を、ワイヤ芯線素材4aとして選択し、次に、このワイヤ芯線素材4aの表面硬化処理を行う。表面硬化処理は、図2Aに示すように、ワイヤ芯線素材4aの外周面から中心までには到達しない所定深さtの範囲で、ワイヤ芯線素材4aの外周に表面硬化層8を形成し、元々の芯線素材部分6を残すように行う。
表面硬化処理による表面硬化層8の深さtは、芯線素材4aの半径rに対して、4〜13%であることが好ましい。表面硬化層8の深さtが深すぎると、芯線素材部分6が小さくなり可撓性が低下して好ましくなく、深さtが浅すぎると、トルク伝達性が低下する傾向にある。具体的には、表面硬化処理による表面硬化層8の深さtは、5〜15μmであることが好ましい。
表面硬化処理としては、特に限定されないが、たとえばガス窒化処理、ガス浸硫窒化処理などが例示される。
ガス窒化処理は、たとえばNHガス雰囲気下で熱処理する表面硬化処理法である。その時の熱処理温度は、特に限定されないが、たとえば400〜600°C程度である。また、ガス浸硫窒化処理は、たとえばNH+HSガス雰囲気下で熱処理する表面硬化処理法である。その時の熱処理温度は、特に限定されないが、たとえば300〜600°C程度である。
このような熱処理に際して注意すべき点は、図2Aに示すように、表面硬化層8が芯線素材4aの中心までには届かないような条件で、表面硬化用の熱処理を行うことである。
本実施形態では、その後、図2Bに示すように、遠位端側小径部22,24,26に対応する軸方向長さMAで、表面硬化層8が形成されたワイヤ芯線素材4aの外径が、遠位端側小径部22,24,26の外径となるように、表面硬化層8の少なくとも一部を除去する。表面硬化層8を除去して、軸方向長さMAの範囲内に、テーパ部21,23,25および遠位端側小径部22,24,26を形成するための方法としては、特に限定されないが、たとえば切削加工、エッチング、プレス加工などの手段が例示される。
遠位端側小径部22,24,26が形成される軸方向長さMAは、ワイヤ芯線4の全長にもよるが、好ましくは30〜800mmである。
本実施形態に係る製造方法により得られる医療用ガイドワイヤ2では、近位端側大径部20に表面硬化層8が残されており、その部分におけるトルク伝達特性および押し込み特性が向上する。また、本実施形態に係る製造方法により得られる医療用ガイドワイヤの遠位端側小径部22,24,26では、表面硬化層8の少なくとも一部、好ましくは全部が除去されており、元々の可撓性に優れたワイヤ芯線素材部分6の特性が生かされ、ワイヤ遠位端における挿入特性が向上する。
しかも本実施形態に係る製造方法により得られる医療用ガイドワイヤ2では、二種類の金属製ワイヤを軸方向に接続する方法で得られた医療用ガイドワイヤに比べて、接合部での強度低下がない。また、本実施形態の方法では、二種類の金属製ワイヤを軸方向に接合する作業を行うことなく、容易に軸方向に沿って特性を変化させることができ、製造が容易である。
このため、近位端側が比較的強く、遠位端側が連続的に柔軟で、遠位端部の可撓性に優れ、しかも近位端側での回転トルクが遠位端側にまで良好に伝達し、操作性および挿入特性に優れた医療用ガイドワイヤ2を提供することができる。
その結果、たとえば図3に示すように、ガイドワイヤ2を、足の付け根部分の大動脈42から心臓40の冠状動脈の部分まで挿入する際などのように、ワイヤの先端付近で強い曲がり部分を有する血管内へも容易に追随して挿入することができる。
第2実施形態
図4に示すように、本実施形態の医療用ガイドワイヤ2aは、図1に示す実施形態の医療用ガイドワイヤ2に比較して、コイルスプリング12を有さず、ワイヤ芯線4の全体に、生体適合性コーティング膜30が一体的に被覆してある点が相違するのみであり、共通する部材には共通する符号を付し、その説明を一部省略する。
生体適合性コーティング膜30としては、特に限定されないが、たとえばポリエチレンなどのオレフィン類、ポリイミドやポリアミドなどの含窒素ポリマー、シロキサンポリマー、フッ素樹脂ポリマー(たとえばPTFE)など、医療用として用いられる通常のポリマーなどが用いられる。また、コーティング膜としては、ポリマーに限定されず、炭化珪素、パイロライトカーボンやダイアモンドライクカーボンなどのカーボンなど、無機物のコーティング膜であっても良い。
生体適合性コーティング膜30の膜厚は、ワイヤ2aにおける近位端大径部20の外周に比べて、遠位端小径部22,24,26の外周で厚くなり、ワイヤ2aの外径が、遠位端に向けて滑らかに変化するようになっている。
本実施形態に係る医療用ガイドワイヤ2aにおいても、前記の第1実施形態に係るガイドワイヤ2と同様な方法で製造され、同様な作用効果を奏する。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
図1に示す医療用ガイドワイヤ2を作製した。まず、ワイヤ芯線4を形成するために、SUS304のステンレス線材を、次の方法で加工した。細長い直径約10mmのロッドを常温にて伸線加工し、直径0.26mmの線材とした。
次に、このワイヤ芯線4に対して、表面硬化処理として、ガス窒化処理を行った。処理条件は、NHガス雰囲気下で450°Cの温度で5時間の熱処理条件であった。表面硬化層8の厚みtを測定したところ、12μmであった。
次に、この線材の端部に、先端に向けて徐々に外径が細くなるテーパ加工を施し、遠位端側小径部22,24,26を形成した。テーパ加工は、切削加工により行い、遠位端側小径部22,24,26では、表面硬化層8のほとんどが除去されたことを確認した。
ワイヤ芯線4の全長寸法は、約1800mmで、近位端側大径部20での外径が0.26mm、遠位端側小径部22,24,26の長さが、それぞれ100mm、30mmおよび40mmであり、それぞれの外径は、0.16mm、0.10mmおよび0.06mmであった。
次に、芯線4における遠位端小径部22,24,26の外周にコイルスプリング12を装着した。コイルスプリング12は、ステンレスコイルで構成した。コイルの線径は60μmであり、コイル部分には、親水潤滑化コーティングを施した。コイルスプリング12の長さは、約200mmであり、大径部20とほぼ同じ大きさの巻き外径を有していた。
ワイヤ芯線4とコイルスプリング12とは、ロー付けで互いに固定した。ワイヤ芯線4におけるコイルスプリング12で覆われていない露出部分である大径部20の外周は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で被覆した。先端のボール部10は、Sn/Ag合金で、ロー付けにより接合した。
このガイドワイヤ2について、以下の実験を行った。
(押し込み特性)
押し込み特性(腰の強さ)を測定するために、ガイドワイヤ2における近位端側大径部20を、その長手方向に沿って20mmの距離で一対のプーリーにより支持し、プーリーの間の中央に位置する部分を、プーリーの反対側からフォースゲージにてワイヤに対して直角方向に押し込む。そして、ワイヤが2.0mm撓んだ時の押し込み荷重値により評価した。押し込み荷重値が高いほど、押し込み特性に優れている。結果を表1に示す。押し込み荷重値は、少なくとも3N以上が好ましい。
(トルク伝達特性)
また、ガイドワイヤのトルク伝達性については、次の実験を行った。すなわち、曲率半径Rが11.5mmの半円を3つ繋いだ蛇行形状に曲げられた疑似血管の内部に、ガイドワイヤを挿入し、ガイドワイヤの近位端(手元側)を、所定の手元側角度(720度)で捻り回転させ、そのガイドワイヤの遠位端(先端)における先端回転角度(捻れ角)を調べた。結果を図5に示す。図5に示す理論値に近いほど、トルク伝達性が良好であり、操作性に優れている。トルク伝達性が良いと、手元側の回転力が先端まで伝わりやすく、血管分岐選択で、目的とする血管に前進させやすくなり、挿入作業性が向上する。
(挿入特性)
ガイドワイヤの挿入性については、生理食塩水中の疑似血管の内部に5回、ガイドワイヤを挿入し、各回における挿入抵抗力(N)を測定した。この挿入抵抗力が小さいほど、挿入性が良好である。この実施例では、表1に示すように、0.25〜0.30Nであった。なお、疑似血管は、角度113度の角部が水平方向距離30mmおきに3個存在するジグザグ状の内径2.5mmのシリコン製疑似血管であった。それぞれの角部における外側の曲率が12mmであり、内側の曲率が8mmであった。
Figure 2006115975
比較例1
表面硬化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして医療用ガイドワイヤを作製した。
実施例1と同様な試験を行ったところ、挿入性試験については、表1に示すように、0.38〜0.44Nであった。また、トルク伝達性の試験結果を図5に示す。
実施例2
表面硬化処理を、ガス浸硫窒化処理(NH+HSガス雰囲気下で500°Cの熱処理を5時間)で行い、表面硬化層8の厚みtを15μmとした以外は、実施例1と同様にして医療用ガイドワイヤを作製した。
実施例1と同様な試験を行ったところ、挿入性試験については、表1に示すように、0.25〜0.30Nであった。また、トルク伝達性の試験結果を図5に示す。
評価
表1および図5に示すように、実施例1および2の優位性が確認された。
図1は本発明の一実施形態に係る医療用ガイドワイヤの一部断面側面図である。 図2Aは図1に示す医療用ガイドワイヤの製造過程を示す断面図である。 図2Bは図2Aの続きの工程を示す側面図である。 図3は図1に示すガイドワイヤの使用例を示す概略図である。 図4は本発明の他の実施形態に係る医療用ガイドワイヤの一部断面側面図である。 図5は本発明の実施例に係る医療用ガイドワイヤのトルク伝達性を示すグラフである。
符号の説明
2,2a… 医療用ガイドワイヤ
4… ワイヤ芯線
4a… ワイヤ芯線素材
6… 芯線素材部分
8… 表面硬化層
10… ボール部
12… コイルスプリング
20… 近位端側大径部
21,23,25… テーパ部
22,24,26… 遠位端側小径部
30… 生体適合性コーティング膜

Claims (2)

  1. 遠位端側小径部と前記遠位端側小径部よりも比較的に大きい外径を有する近位端側大径部とを持つワイヤ芯線を有する医療用ガイドワイヤを製造する方法において、
    ワイヤ芯線素材を準備する工程、
    前記ワイヤ芯線素材の表面硬化処理を行い、前記ワイヤ芯線素材の外周面から中心までには到達しない所定深さの範囲で、前記ワイヤ芯線素材の外周に表面硬化層を形成する工程、
    前記遠位端側小径部に対応する軸方向長さで、前記表面硬化層が形成された前記ワイヤ芯線素材の外径が、前記遠位端側小径部の外径となるように、前記表面硬化層の少なくとも一部を除去する工程、を有する医療用ガイドワイヤの製造方法。
  2. 前記ワイヤ芯線素材の外径は、前記近位端側大径部の外径に略等しい請求項1に記載の医療用ガイドワイヤの製造方法。
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