JP2006115952A - Pcb含有高濃度有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 脱塩素化が困難なポリ塩化ビフェニール又はポリ塩化ビフェニールとハロゲン化芳香族化合物との混合物を、低温で脱塩素化して無害化することができ、より低コストで実用上可能な脱塩素化方法を提供すること。
【解決手段】 炭素結晶化合物又は金属担持炭素化合物等の触媒の存在下、ポリ塩化ビフェニールを50質量%以上含有する有機ハロゲン化合物と、沸点100℃以下のアルコールと、アルカリ化合物と、を含む反応系にマイクロ波を照射する有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法であって、
(a)系中の反応開始時のアルコール比(有機ハロゲン化合物のモル数に対するアルコールのモル数の比)を5〜1000の範囲とし、かつ、
(b)系中の反応開始時のアルカリ比(アルコールのモル数に対するアルカリ化合物のモル数の比)を0.005〜0.1の範囲とし、
10〜80℃にて反応させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリ塩化ビフェニール(以下、PCBと略称することがある。)を50質量%以上含有する有機ハロゲン化合物(以下、「ポリ塩化ビフェニール類」という。)を脱塩素化して無害化する方法に関する。
各種ハロゲン化有機化合物のなかでも、PCBは人体を含む生体に極めて有害であることから、1973年に特定化学物質に指定され、その製造、輸入、使用が禁止されている。しかし、その後適切な廃棄方法が決まらないまま数万トンのPCBが未処理の状態で放置されている。PCBは、高温(30〜750℃)分解では強毒性のダイオキシン類である塩素化ジベンゾ−p−ダイオキシン(PCDD)とジベンゾフラン(PCDF)が副生することから、技術的にPCBを安全に分解することが難しく、永年にわたりPCBの安全で効率的な各種分解法が検討されている。
PCBの分解条件としては、高温、高圧での実施が一般的に知られるところであるが、このような条件での実施は高温高圧容器、さらには耐食性容器が必要となり、かつ多大なエネルギーを要するものであった。また、高温での反応であるため、副反応生成物が生成する可能性が高いと考えられる。
現状では、PCB処理設備の建設にはアセスメントが必要であることより、特殊な装置を用いることなく変圧器貯蔵所などの現場でPCBの無害化処理が可能で、しかも、PCBを安全に大量処理することができ、かつ安価に分解処理できる方法の開発が望まれている。
従って、高温、高圧処理の改善策として、常圧で水素添加することによりPCBを分解する方法が提案されている。例えば、特開2001−19646号公報(特許文献1)には、白金を担持した活性炭と芳香族塩素化合物(パラクロロフェノール)を含む混合系に、水素ガスを吹き込みながらマイクロ波を照射することにより、有害有機塩素化合物を脱塩素化する方法が提案されている。この方法では、特定の触媒とパラクロロフェノール又はモノ、ジ、トリ−クロロベンゼンとを含む反応系に、水素やアルコールなどの還元性物質の存在下でマイクロ波を照射することにより、低温かつ短時間で芳香族塩素化合物を脱塩素化することができるとされている。
しかしながら、この方法においては、水素ガスを芳香族塩素系化合物を含む反応系に外部から供給する必要があり、実用的な手法としては好ましくない。また、芳香族塩素化合物の約50%水溶液を対象としており、より高濃度なものを無毒化した技術ではない。また、ポリ塩化ビフェニールの無害化については言及していない。
そこで、本発明者等は、マイクロ波を利用したポリ塩化ビフェニールの無害化処理技術として、特開2004−201701号公報及び特開2004−201702号公報において、ポリ塩化ビフェニール或いはポリ塩化ビフェニール混合物と水素供与体とを含む反応系に、アルカリ化合物及び触媒の存在下でマイクロ波を照射するポリ塩化ビフェニールの脱塩素化方法を提案した(特許文献2、3参照)。
これらの方法では、高温高圧容器を必要とせず、反応に供するエネルギーも低減できる点でコスト面でも優れており、短時間でポリ塩化ビフェニール類を分解可能な優れた技術ではあるが、反応温度が高いため(約160℃)副生成物の生成が懸念されるという問題点があった。
一方、特開2004−34015号公報(特許文献4)には、PCBを含むコンデンサーやトランス等を、アルカリ化合物、アルミ片やカーボン片などの発熱促進物と共に、高周波誘導加熱炉に入れ、窒素などの不活性ガスを前記加熱炉に吹き込み、無酸素雰囲気で1000℃以上に加熱することにより、PCBを無害化する方法が提案されている。
この方法は、PCB含有電気機器の分解から抜き出し作業工程が不要になるため、PCB絶縁油と接触していた容器や内部部品の無害化処理工程が不要となる点で優れているが、高周波誘導加熱炉を1500℃の高温状態にし、コンデンサーの容器であるアルミや鉄製内部部品などの誘導加熱して一瞬のうちに加熱溶融するものである。従って、変圧器貯蔵所などの現場で簡易にPCBを無害化処理できる方法とは言い難い。
また、特開2004−141815号公報(特許文献5)には、アルカリ金属分散体、有機ハロゲン化合物及び水素供与体とを、リアクタのマイクロチャンネル(微細流路)内で脱ハロゲン化処理を行う方法が提案されている。この方法は、Na分散体でPCBを脱塩素処理する場合、Na粒子や生成重合物がリアクタのマイクロチャンネル内に存在して流路閉塞する現象を防止したものであり、煩雑な温度制御が不要で、省エネ、省スペースで脱ハロゲン化が可能で、変圧器保管現場で処理することも可能である点で優れた方法であると言える。
しかしながら、金属Naを使用するため取扱いに注意が必要であり、また、特別なリアクタを新設する必要が生じるという問題点がある。また、試験例ではトリクロロベンゼン(TCB)を0.05ppmまで脱塩素できることが開示されているが、難分解性のPCBに関する試験例はない。
特開2001−19646号公報(請求項1、段落番号0008〜0009等) 特開2004−201701号公報(請求項1、段落番号0041〜0042の実施例1等) 特開2004−201702号公報(請求項1、段落番号0046〜0047の実施例1等) 特開2004−34015号公報(請求項1、段落番号0002、同0009等) 特開2004−141815号公報(請求項1、段落番号0134〜0136の試験例等)
本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであり、脱塩素化が困難なポリ塩化ビフェニール類を低温で脱塩素化して無害化することができ、より低コストで実用上可能な脱塩素化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、反応系に添加する水素供与体として沸点100℃以下のアルコールを選択し、ポリ塩化ビフェニール類に対する水素供与体の割合と、水素供与体に対するアルカリ化合物の割合を一定範囲にし、触媒の存在下、マイクロ波を照射することにより、低温でポリ塩化ビフェニール類の脱塩素化が可能になることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、炭素結晶化合物及び担体に金属を担持させた化合物の中から選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下、
ポリ塩化ビフェニールを50質量%以上含有する有機ハロゲン化合物と、沸点100℃以下のアルコールと、アルカリ化合物と、を含む反応系にマイクロ波を照射する有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法であって、
(a)系中の反応開始時のアルコール比(有機ハロゲン化合物のモル数に対するアルコールのモル数の比)を5〜1000の範囲とし、かつ、
(b)系中の反応開始時のアルカリ比(アルコールのモル数に対するアルカリ化合物のモル数の比)を0.005〜0.1の範囲とし、
10〜80℃にて反応させることを特徴とする有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法を提供する。
本発明の有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法においては、前記アルコールが、2−プロパノールであることが好ましい。
本発明の有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法においては、前記アルカリ化合物が、NaOH又はKOHであることが好ましい。
本発明の有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法においては、前記触媒が、パラジウム担持炭素化合物であることが好ましい。
本発明の有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法においては、前記マイクロ波を触媒を充填した装置内の溶液へ照射するのが好ましい。
本発明の有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法は、変圧器から抜き取ったポリ塩化ビフェニールの脱塩素化に好ましく適用される。
本発明によれば、ポリ塩化ビフェニール類と、特定量の沸点100℃以下のアルコール及びアルカリ化合物とを含む反応系にマイクロ波を照射し、低温にて反応させることにより、高温高圧反応容器を必要とすることなく、外部から水素及び熱を供給することなく、常圧でポリ塩化ビフェニール類を脱塩素化処理することができる。また、高温高圧反応を行わないため、副反応生成物が少ない。さらに、変圧器貯蔵所などの現場で簡易にPCBを無害化処理できる。よって、実用的な規模で大量のPCBを無毒化することができるので、その実用的価値は大である。
本発明の脱塩素化方法において脱塩素化対象となるポリ塩化ビフェニール類は、ポリ塩化ビフェニールを50質量%以上含有する有機ハロゲン化合物であり、具体的には、ポリ塩化ビフェニール、及び、ポリ塩化ビフェニールとハロゲン化芳香族化合物との混合物が挙げられる。その混合割合は特に限定されないが、一般に、ポリ塩化ビフェニール/ハロゲン化芳香族化合物=9/1〜5/5(質量比)であり、7/3〜6/4(質量比)がより好ましい。前記ポリ塩化ビフェニール/ハロゲン化有機化合物の割合が9/1未満の場合は油の粘性が高くなり、一方、その割合が5/5を超える場合は絶縁性能が低下するからである。
前記ハロゲン化芳香族化合物としては、芳香族化合物にハロゲン原子が置換しているものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、トリクロロベンゼン(TCB)、ジクロロベンゼン(DCB)、テトラクロロベンゼン等が挙げられる。一般には、トリクロロベンゼン(TCB)が多用されている。
市販のポリ塩化ビフェニール/ハロゲン化芳香族化合物の混合物としては、例えば、鐘淵化学(株)製のKC−1000(KC500/TCB=60/40(質量比)の混合物)、KC−1300(KC−300+DCB+4塩化ベンゼンの混合物)等が挙げられる。
一方、ポリ塩化ビフェニールとしては、ビフェニール化合物に塩素原子が置換した化合物が含まれ、その置換塩素原子の数は1個〜10個である。平均置換塩素原子数は、一般に2〜6個である。本発明では、これらのポリ塩化ビフェニールから選択された少なくとも1種を用いることができ、それぞれ単独で又は2種以上を任意に組合わせて使用することができる。
一般に、ポリ塩化ビフェニールは単一化合物として存在せずに、塩素原子の数や置換位置が異なる混合物として存在する。従って、塩素原子の数及び置換位置の組み合せからして209種の異性体が存在し、市販品には100を越える異性体が存在している。
例えば、コプラナーPCBとしては、3,4,4’,5−テトラクロロビフェニール、3,3’,4,4’−テトラクロロビフェニール、3,3’,4,4’,5−ペンタクロロビフェニール、3,3’,4,4’,5,5’−ヘキサクロロビフェニール、2,3,3’,4,4’−ペンタクロロビフェニール、2,3,4,4’,5−ペンタクロロビフェニール、2,3’,4,4’,5−ペンタクロロビフェニール、2’,3,4,4’,5−ペンタクロロビフェニール、2,3,3’,4,4’,5−ヘキサクロロビフェニール、2,3,3’,4,4’,5’−ヘキサクロロビフェニール、2,3’,4,4’,5,5’−ヘキサクロロビフェニール、2,3,3’,4,4’,5,5’−ヘプタクロロビフェニール等が挙げられる。
PCBは、通常PCB単体の混合物として市販されており、これらがコンデンサやトランスに使用されている。その具体例としては、鐘淵化学(株)の KC−200(2塩化ビフェニール)、KC−300(3塩化ビフェニール)、KC−400(4塩化ビフェニール)、KC−500(5塩化ビフェニール)、KC−600(6塩化ビフェニール)や、三菱モンサイト(株)のアロクロール1254(54% Chlorine)等が挙げられる。
以下に一例として、市販品KC−300の異性体の分布(質量%)を示す。
モノクロロビフェニール 若干
ジクロロビフェニール 12.10%
トリクロロビフェニール 54.98%
テトラクロロビフェニール 27.05%
ペンタクロロビフェニール 4.72%
ヘキサクロロビフェニール 1.08%
ヘプタクロロビフェニール 若干
オクタクロロビフェニール 0
ノナクロロビフェニール 0
デカクロロビフェニール 0
本発明において、ポリ塩化ビフェニール類には、これらが用いられている装置(トランス、コンデンサ等)などからポリ塩化ビフェニール類を取り出す場合に用いられる種々の物質、例えばドデカン等の洗浄剤等が含まれていてもよい。
本発明において、水素供与体として用いる沸点100℃以下のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール等を挙げることができる。アルコールはそれぞれ単独で又は2種以上を任意に組合わせて使用することができる。これらのアルコール系化合物は、安全性が高く、低コストで入手可能であり、しかも反応制御が容易で、PCB分解効率が高い点より、好ましい。また水素供与体として、シクロヘキサノール(沸点:161℃)等の高沸点のアルコールを使用した場合は、分解効率は高いが副反応生成物が生成する可能性が高いのに対し、比較的低沸点のアルコールを使用することにより、反応温度を低く維持しながら分解効率を高めることができる利点がある。ここで、「水素供与体」とは、ポリ塩化ビフェニール類から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。
また、前記のアルコールは、その沸点が後述する反応温度よりも高いものを選択することが、副反応生成物を抑制する観点より、好ましい。
本発明で用いるアルカリ化合物としては、ポリ塩化ビフェニール類の脱塩素化反応を促進しうるものであれば制限なく使用することができるが、脱塩素化効率を高める観点より、NaOH、KOH、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水酸化カルシウム等が好ましく用いられる。中でも、コストやハンドリング性の観点より、NaOH又はKOHが特に好ましい。アルカリ化合物は、単独で又は2種以上を任意に組合わせて使用することができる。
本発明で用いる触媒としては、炭素結晶化合物及び担体に金属を担持させた化合物の中から選ばれる少なくとも1種であり、ポリ塩化ビフェニールの脱塩素化反応を促進しうるものであれば制限なく使用することができ、その種類は特に限定されない。無機系触媒は触媒寿命が長く、かつ、アルカリ化合物存在下でも安定であるため、有機系触媒よりも好ましい。前記の触媒は、アルカリ性雰囲気で安全性が高く、マイクロ波に対して高活性を示すと考えられることから好適に用いることができるが、特に担体に金属を担持させた化合物が好ましい。前記の担体としては、活性炭やグラファイト等の炭素、シリカゲル、アルミナやゼオライト等の金属酸化物や複合金属酸化物、ポリエチレン等の樹脂などが挙げられるが、これらの担体の中でも、脱塩素化効率が高く、アルカリ性雰囲気で安全性が高い点より、炭素担体に金属を担持させた金属担持炭素化合物が好ましい。触媒は、単独で又は2種以上を任意に組合わせて使用することができる。
ここで、前記の炭素結晶化合物としては、グラファイト、カーボンナノチューブ(金属を含むものと含まないものの双方が含まれる)、フラーレン等が挙げられる。
また、前記の金属担持炭素化合物としては、金属を担持した炭素化合物であれば制限なく用いることができ、その金属担持量は、触媒全量に対して1〜20質量%、より好ましくは5〜10質量%であるのがよい。担持される金属としては、例えば、鉄、銀、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム等が挙げられ、脱塩素化効率を高める観点より、パラジウム、ルテニウム、白金が好ましく、パラジウムがより好ましい。金属担持炭素化合物の具体例としては、例えば、Pd/C(パラジウム担持炭素化合物)、Ru/C(ルテニウム担持炭素化合物)、Pt/C(白金担持炭素化合物)等が挙げられる。金属担持炭素化合物の粒子径は75〜300μmが好ましく、300μmを超える場合は反応性が悪くなり、75μm未満の場合はハンドリング性が悪くなる。より好ましくは125〜250μmが望ましい。
本発明の脱塩素化方法では、系中の反応開始時の前記のアルカリ化合物/アルコール/ポリ塩化ビフェニール類の割合は、0.05〜1/10/0.001〜2(モル比)とする必要がある。前記3成分のモル比は、0.1〜1/10/0.01〜1がより好ましい。従って、(a)系中の反応開始時のアルコール比(ポリ塩化ビフェニール類のモル数に対するアルコールのモル数の比)を5〜1000の範囲とし、かつ、(b)系中の反応開始時のアルカリ比(アルコールのモル数に対するアルカリ化合物のモル数の比)を0.005〜0.1の範囲とする必要がある。前記のアルコール比が5未満の場合は脱塩素化反応が進まなくなり、一方、アルコール比が1000を超える場合は脱塩素化反応は進むが、実用上意味がなく経済性にも劣る。また、前記のアルカリ比が0.005未満の場合は脱塩素化反応が進まなくなり、一方、アルカリ比が0.1を超える場合は反応系の攪拌混合が難しくなる。より好ましくは、(a)系中の反応開始時のアルコール比(ポリ塩化ビフェニール類のモル数に対するアルコールのモル数の比)を10〜100の範囲とし、かつ、(b)系中の反応開始時のアルカリ比(アルコールのモル数に対するアルカリ化合物のモル数の比)を0.01〜0.1の範囲とするのが望ましい。
アルカリ化合物/ポリ塩化ビフェニール類の割合(モル比)は、1.0以上とするのが、分解効率を高める観点より好ましい。
反応系中の触媒の量は、反応溶液全質量に対する質量比として、0.005〜0.2とするのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.15、さらに好ましくは0.05〜0.1であるのがよい。触媒量が少なすぎる場合は、水素発生量が少なくなるため脱塩素化が進行し難くなり、一方、触媒量が多すぎる場合は経済性に劣る。さらに、触媒を反応系に添加した場合、反応系の攪拌混合が難しくなる。
本発明において使用するマイクロ波の出力や周波数、照射方法は、特に限定されるものではなく、反応温度が所定の範囲に保持できるよう電気的に制御すればよい。出力が低すぎる場合は水素発生量が少なくなり、出力が高すぎる場合はマイクロ波の利用率が悪くなるため、電気的に制御しながら10W〜20kWの範囲とし、より好ましくは40W〜5kWの範囲とするのが望ましい。
また、マイクロ波の照射位置は、反応系中の触媒に照射されている状態であれば特に限定されないが、触媒活性をできるだけ高めて脱塩素化を促進する点より、触媒を充填した装置内の溶液へ照射するのが好ましい。
マイクロ波の周波数は1〜300GHzが望ましい。1GHz未満又は300GHzを超える周波数範囲では、触媒、水素供与体の加熱が不十分となる。より好ましくは1〜5GHzの周波数が望ましい。マイクロ波の照射は連続照射、間欠照射のいずれの方法であってもよい。照射時間及び照射停止時間は、反応に供するポリ塩化ビフェニール類の種類、アルコール、又は反応触媒等に応じて適宜に決定することができる。
反応の雰囲気は不活性ガス中で行うことが、望ましくない副反応が起きないので、より好ましい。
反応温度は10〜80℃とする必要がある。反応温度が10℃未満では分解反応が不十分となる。一方、80℃を超える場合は脱塩素化反応は十分進むが、副生物が生成し易くなり、また経済性にも劣るものとなる。副反応生成物の抑制とPCB分解速度のバランスを図る観点からは、さらに好ましくは30〜80℃で、かつ、アルコールの沸点よりも10℃以上(好ましくは20℃以上)低温で反応させるのがよい。
反応時間は特に限定されず、脱塩素化反応が十分進行するまで行えばよい。
本発明のポリ塩化ビフェニール類の脱塩素化方法によれば、反応系に外部から水素ガスを吹き込んだ場合と同等もしくはそれ以上の速い速度でポリ塩化ビフェニール類そのものが分解し脱塩素化される。その機構は明らかではないが、アルカリ化合物から提供されるアルカリ金属ラジカルがポリ塩化ビフェニール類の脱塩素化反応を促し、そこに水素供与体からの水素ラジカルが入り込むものと考えられる。
本発明においては、変圧器等のポリ塩化ビフェニールを脱塩素化するにあたり、所要量を抜き取って別に準備する反応槽へ移し、水素供与体とアルカリ化合物を加えて所望のポリ塩化ビフェニール濃度に希釈した上で、触媒による分解処理を行うことが好ましい。分解処理後は、処理済み溶液を別に準備する処理済み溶液用タンク等へ貯蔵する。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
四国計測工業(株)製の簡易型マイクロ波反応装置温度制御タイプZMW−024型を用いて実験した。五つ口フラスコの五つ口の4つをマイクロ波反応装置内のカラムへの液相供給口、戻り口、窒素導入用口、サンプリング口として利用し、中央の口にジムロート冷却管を設けて反応生成物を反応系外へ取り出すようにした。
KC−1000(KC−500/トリクロロベンゼンの6/4(質量比)の混合物、鐘淵化学(株)製)1.5ml、および、KOHフレーク2.45gと和光純薬製イソプロピルアルコール(IPA)150mlとを3000rpmのホモミキサーで20分攪拌し混液としたものを、内容量200mlの上記五つ口フラスコに導入した。これらを導入した後に、窒素ガスでフラスコ内部を置換した後、フラスコ内をマグネチックスターラーで攪拌しながら、フラスコ内の混合溶液を10ml/minでマイクロ波反応装置内のカラムへ供給し、装置内を循環させた。カラムには粒状活性炭(商品名:ダイヤホープ008)にパラジウム(Pd)を5%担持した触媒(平均粒径1mm程度)12gを内蔵しており、カラム表面が60℃一定になるように、周波数2.45GHz、出力40〜60Wのマイクロ波を電気的に制御しながら10時間照射した。反応中も窒素ガスを50ml/minで流した。
(実施例2)
KOHフレーク使用量を2.94gとした以外は、実施例1と同様の操作によりPCBを分解した。
(実施例3)
KC−1000を4.5ml、KOHフレークを8.82g用い、反応時間を13時間として以外は、実施例1と同様の操作によりPCBを分解した。
(実施例4)
実施例1で使用したKC−1000の替わりに、KC−400(4塩化ビフェニール、鐘淵化学(株)製)1.5mlを使用した以外は、実施例1と同様の操作によりPCBを分解した。
(比較例1)
KC−1000を7.5ml、KOHフレークを14.7g用い、反応時間を22時間とした以外は、実施例1と同様の操作によりPCBを分解した。
(比較例2)
KOHフレーク使用量を0.20gとした以外は、実施例1と同様の操作によりPCBを分解した。
(評価方法)
反応前後の溶液を、DB1(J&Wサイエンティフィック製)をキャピラリーカラムとする(株)島津製作所製のガスクロマトグラフィー質量分析計QP5050(以下、「GC−MS」)にかけ、PCBのピーク面積の変化から脱塩素化(PCB分解率)を確認した。
実施例及び比較例の実験条件と評価結果を表1にまとめて示す。表1の結果から、本発明によれば、低温でもPCBが99%以上分解することが確認できた。
Figure 2006115952


Claims (6)

  1. 炭素結晶化合物及び担体に金属を担持させた化合物の中から選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下、
    ポリ塩化ビフェニールを50質量%以上含有する有機ハロゲン化合物と、沸点100℃以下のアルコールと、アルカリ化合物と、を含む反応系にマイクロ波を照射する有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法であって、
    (a)系中の反応開始時のアルコール比(有機ハロゲン化合物のモル数に対するアルコールのモル数の比)を5〜1000の範囲とし、かつ、
    (b)系中の反応開始時のアルカリ比(アルコールのモル数に対するアルカリ化合物のモル数の比)を0.005〜0.1の範囲とし、
    10〜80℃にて反応させることを特徴とする有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法。
  2. 前記アルコールが、2−プロパノールである請求項1に記載の有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法。
  3. 前記アルカリ化合物が、NaOH又はKOHである請求項1又は2に記載の有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法。
  4. 前記触媒が、パラジウム担持炭素化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法。
  5. 前記マイクロ波を触媒を充填した装置内の溶液へ照射する請求項1〜4のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法。
  6. 前記有機ハロゲン化合物が変圧器内のポリ塩化ビフェニールであり、前記変圧器から抜き取ったポリ塩化ビフェニールを、請求項1〜5のいずれかに記載の方法により脱塩素化する有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法。

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