JP2006115857A - エネルギー補給用組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】還元性を示す澱粉部分分解物に非還元性糖質生成酵素を作用させる方法により製造されたトレハロースからなるエネルギー用糖源、及びそのトレハロースを有効成分として含有せしめたエネルギー補給用組成物を提供することによって解決する。
【選択図】なし
Description
<実験1−1:非還元性糖質生成酵素の製造例>
リゾビウム・スピーシーズ(Rhizobium sp.)M−11(FERM BP−4130)を、特許文献4に示す方法に従って、炭素源、窒素源、ミネラルなどを含む栄養培地で、27℃、36時間、通気攪拌培養した。培養後、SF膜を用いて除菌濾過し、約18lの培養濾液を回収し、さらに、その濾液をUF膜で濃縮し、非還元性糖質生成酵素濃縮液約1l(17.7単位/ml)を回収した。
還元性澱粉部分分解物(松谷化学工業株式会社製造、商品名パインデックス#4)40重量部を水60重量部に加熱溶解し、この溶液を45℃、pH6.5に調整した後、実験1−1の方法で製造した非還元性糖質生成酵素を還元性澱粉部分分解物グラム当たり1単位の割合になるように加えて96時間反応させ、次いで100℃に10分間加熱して、酵素を失活させた。本反応液を濃度約20%まで希釈し、グルコアミラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社製造、商品名グルコチーム)を還元性澱粉部分分解物グラム当たり10単位加えて40時間反応させ、次いで加熱して、酵素を失活させた。本溶液を、常法に従って、活性炭にて脱色し、イオン交換樹脂にて脱塩し、濃度約60%に濃縮した。本糖液中には固形物当たり29.5%のトレハロースを含有していた。この濃縮液を塩型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ株式会社販売、商品名CG6000、Na型)が充填されたジャケット付きステンレス製カラムに、60℃、SV 0.4でチャージし、トレハロース高含有画分を採取した。本高含有液は、固形物当たり約90%のトレハロースを含有していた。本溶液を濃度約75%に濃縮した後、助晶缶にとり、種晶としてトレハロース含水結晶約2%を加えて50℃とし、ゆっくり攪拌しつつ徐冷して、25℃まで下げ、バスケット型遠心分離機で分蜜し、結晶を少量の水でスプレーし、洗浄して、純度99%以上の高純度トレハロース含水結晶を得た。
実験1−2の方法で、晶出率約45%のマスキットを調製し、これを乾燥塔上のノズルより150kg/cm2の高圧にて噴霧した。これと同時に85℃の熱風を乾燥塔の上部より送風し、底部に設けた移送金網コンベア上に結晶性粉末を捕集し、コンベアの下より45℃の温風を送りつつ、該粉末を乾燥塔外に徐々に移動させて、取り出した。この結晶性粉末を熟成塔に充填して温風を送りつつ、10時間熟成させ、結晶化と乾燥を完了し、結晶性トレハロース粉末を得た。
実験1−2の製造過程で得たトレハース含有シラップを濃度約60%とし、これを実験1−2の方法に準じて塩型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーを行い、トレハロース約95%を含有する高含有画分を採取した。本溶液を、特許文献5に示す方法に従って蒸発釜にとり、減圧下で煮詰め水分約4.0%のシラップとし、助晶機に移し、これに種晶として無水結晶トレハロースをシラップ固形物当たり1%加え、95℃で5分間攪拌助晶し、次いで、アルミ製バットに取り出し、100℃で6時間晶出熟成させてブロックを調製した。次いで、本ブロックを切削機にて粉砕し、流動乾燥して、水分約0.3%の無水結晶トレハロース粉末を得た。
実験1−2の方法で製造した高純度トレハロース含水結晶を用いて、岡田等が非特許文献1で報告している方法に準じて、トレハロースを水溶液とし、これの生体外(インビトロ)での消化試験を行った。そのトレハロースの消化の程度は、次式により分解率(%)として求めた。
実験1−2の方法で製造したトレハロース含水結晶を用いて、厚治等が非特許文献2で報告している方法に準じて、トレハロース30グラムを20w/v%水溶液とし、これをボランティア6名(健康な26乃至31才の男性)に経口投与し、経時的に採血して、常法に従い、血糖値(グルコース濃度mg/dl)及びインスリン値(μU/ml)を測定した。対照としてはグルコースを用いた。それぞれの結果は6名の平均値で求め、その血糖値の経時変化を図1に、そのインスリン値の経時変化を図2に示した。図中、実線はトレハロースの場合を、破線はグルコースの場合を示す。
<実験4−1:急速投与>
実験1−2の方法で製造したトレハロース含水結晶を、純水に溶解して更に精製し精密濾過、濃縮し、再結晶させて、パイロジェンフリーのトレハロース含水結晶を得た。本結晶を注射用蒸留水で等張の10w/v%に溶解し、トレハロース輸液剤を製造した。本輸液剤を、ウサギ6羽(体重約2乃至3kg)を用いて、それらの耳静脈よりトレハロースとして体重kg当たり1グラムに相当する量を1.5分間で急速投与し、経時的にサンプリングして、血糖値(グルコース濃度mg/dl)及びインスリン値(μU/ml)を測定した。対照としては、等張の5w/v%グルコース液を用いて、グルコースとして体重kg当たり0.5グラムを同様に静注した。それぞれの結果は6羽の平均値で求め、その血糖値の経時変化を図3に、そのインスリン値の経時変化を図4に示した。図中、実線はトレハロースの場合を、破線はグルコースの場合を示す。
実験4−1の方法で調製したトレハロース輸液剤を、ウサギ6羽(体重約2乃至3kg)の耳静脈より1.5時間かけて緩速投与した以外は、実験4−1の方法と同様に投与し、経時的にサンプリングして、血糖値(グルコース濃度mg/dl)及びインスリン値(μU/ml)を測定した。それぞれの結果は6羽の平均値で求め、その血糖値の変化を図5に、そのインスリン値の変化を図6に示した。
マウスを使用して、実験1−2の方法で製造したトレハロース含水結晶を経口投与して急性毒性テストを行なった。その結果、トレハロースは低毒性の物質で、投与可能な最大投与量においても死亡例は認められなかった。従って、正確な値とはいえないが、そのLD50値は、50g/kg以上であった。
カカオペースト40重量部、カカオバター10重量部、実験1−2の方法で製造したトレハロース含水結晶50重量部を混合してレファイナーに通して粒度を下げた後、コンチェに入れて50℃で2昼夜練り上げる。この間に、レシチン0.5重量部を加え充分に混和分散させた。次いで、温度調節機で31℃に調節し、バターの固まる直前に型に流し込み、振動機でアワ抜きを行ない、10℃の冷却トンネルを20分間くぐらせて固化させた。これを型抜きして包装し製品を得た。
ガムベース3重量部を柔らかくなる程度に加熱溶融し、これに蔗糖4重量部及び実験1−3の方法で製造した結晶性トレハロース粉末3重量部とを加え、更に適量の香料と着色料とを混合し、常法に従って、ロールにより練り合わせ、成形、包装して製品を得た。
濃度55%蔗糖溶液100重量部に実験1−4の製造過程で得られたトレハロース高含有液30重量部を加熱混合し、次いで減圧下で水分2%未満になるまで加熱濃縮し、これにクエン酸1重量部及び適量のレモン香料と着色料とを混和し、常法に従って成型し、製品を得た。
コーンスターチ100重量部、実験1−3の方法で製造した結晶性トレハロース粉末を70%含有するトレハロース含有シラップ100重量部、マルトース80重量部、蔗糖20重量部及び食塩1重量部を充分に混合し、鶏卵280重量部を加えて攪拌し、これに沸騰した牛乳1,000重量部を徐々に加え、更に、これを火にかけて攪拌を続け、コーンスターチが完全に糊化して全体が半透明になった時に火を止め、これを冷却して適量のバニラ香料を加え、計量、充填、包装して製品を得た。
米粉90重量部に、コーンスターチ20重量部、実験1−3の方法で製造した結晶性トレハロース粉末120重量部、プルラン4重量部を均一に混合してういろうの素を製造した。ういろうの素と適量の抹茶と水とを混練し、これを容器に入れて60分間蒸し上げて抹茶ういろうを製造した。
、日持ちもよい。さらに、本品はエネルギー補給用組成物として有利に利用できる。
脱脂乳10重量部を80℃で20分間加熱殺菌した後、40℃に冷却し、これにスターター0.3重量部を加えて約37℃で10時間醗酵させた。次いで、これをホモジナイズした後、実験1−3の方法で製造した結晶性トレハロース粉末4重量部、蔗糖1重量部及び異性化糖シラップ2重量部を加えて70℃に保って殺菌した。これを冷却し、適量の香料を加え、ビン詰めして製品を得た。
噴霧乾燥により製造したオレンジ果汁粉末33重量部に対し、実験1−2の方法で製造したトレハロース含水結晶50重量部、蔗糖10重量部、無水クエン酸0.65重量部、リンゴ酸0.1重量部、L−アスコルビン酸0.1重量部、クエン酸ソーダ0.1重量部、プルラン0.5重量部、粉末香料適量をよく混合攪拌し、粉砕し微粉末にしてこれを流動層造粒機に仕込み、排風温度40℃、風量毎分150m3とし、これに市販のトレハロースから調製したトレハロース高含有溶液をバインダーとしてスプレーし、30分間造粒し、計量、包装して製品を得た。
生卵から調製した卵黄をプレート式加熱殺菌機で60乃至64℃で殺菌し、得られる液状卵黄1重量部に対して、実験1−4の方法で得た無水結晶トレハロース粉末4重量部の割合で混合した後バットに移し、一夜放置して、トレハロース含水結晶に変換させてブロックを調製した。本ブロックを切削機にかけて粉末化し、粉末卵黄を得た。
実験1−2の方法で製造したトレハロース含水結晶500重量部、粉末卵黄270重量部、脱脂粉乳209重量部、塩化ナトリウム4.4重量部、塩化カリウム1.8重量部、硫酸マグネシウム4重量部、チアミン0.01重量部、アスコルビン酸ナトリウム0.1重量部、ビタミンEアセテート0.6重量部及びニコチン酸アミド0.04重量部からなる配合物を調製し、この配合物25グラムずつ防湿性ラミネート小袋に充填し、ヒートシールして製品を得た。
実験1−2の方法で製造したトレハロース含水結晶を水に濃度約10w/v%に溶解し、次いで、常法に従って、精密濾過してパイロジェンフリーとし、プラスチック製ボトルに無菌的に充填し施栓して製品を得た。
実験1−2の方法で製造したトレハロース含水結晶と下記の組成のアミノ酸配合物とがそれぞれ5w/v%、30w/v%になるように水に混合溶解し、次いで実施例10と同様に精製してパイロジェンフリーとし、更に、プラスチック製バックに充填し施栓して製品を得た。
L−イソロイシン 180
L−ロイシン 410
L−リジン塩酸塩 620
L−メチオニン 240
L−フェニルアラニン 290
L−スレオニン 180
L−トリプトファン 60
L−バリン 200
L−アルギニン塩酸塩 270
L−ヒスチジン塩酸塩 130
グリシン 340
実験1−3の方法で製造した結晶性トレハロース粉末500重量部に、ヨウ素3重量部を溶解したメタノール50重量部を加え混合し、更に10w/v%プルラン水溶液200重量部を加えて混合し、適度の延び、付着性を示す外傷治療用膏薬を得た。
重量150mgの素錠を芯剤とし、これに実験1−2の方法で製造したトレハロース含水結晶40重量部、プルラン(平均分子量20万)2重量部、水30重量部、タルク25重量部及び酸化チタン3重量部からなる下掛け液を用いて錠剤重量が約230mgになるまで糖衣し、次いで、同じトレハロース65重量部、プルラン1重量部及び水34重量部からなる上掛け液を用いて糖衣し、更に、ロウ液で艶出しして光沢のある外観の優れた糖衣錠を得た。
。
Claims (3)
- 還元性を示す澱粉部分分解物に非還元性糖質生成酵素を作用させる酵素反応を経て得られるトレハロースを含有せしめることを特徴とする、生体に経口的に投与したとき、グルコースと比べ血糖値が高く保持される、経口使用のためのエネルギー補給用組成物の製造方法。
- 還元性を示す澱粉部分分解物が、グルコース重合度が3以上の還元性を示す澱粉部分分解物である請求項1記載の経口使用のためのエネルギー補給用組成物の製造方法。
- 蛋白質、アミノ酸、脂質、他の糖質、ビタミン、ミネラル、抗菌物質、酵素、ホルモン、及びサイトカインから選ばれる1種又は2種以上を更に含有せしめることを特徴とする請求項1又は2記載の経口使用のためのエネルギー補給用組成物の製造方法。
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