JP2006112561A - 流体軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 この種の流体軸受装置におけるハウジングの底部の塑性変形を抑制し、スラスト軸受隙間を適正に管理する。
【解決手段】 底部7bの下側端面7dにおける内径領域7eおよび外径領域7fにそれぞれ対応した成形面11a、11bを設けた成形金型10で有底円筒状のハウジング7を射出成形することで、成形品としてのハウジング7の底部7bにおける下側端面7dが、軸方向の段差を有する段部7d1によって内径領域7eと外径領域7fとに分割され、分割された両領域7e、7fがそれぞれヒケの発生箇所となる。
【選択図】図4
【解決手段】 底部7bの下側端面7dにおける内径領域7eおよび外径領域7fにそれぞれ対応した成形面11a、11bを設けた成形金型10で有底円筒状のハウジング7を射出成形することで、成形品としてのハウジング7の底部7bにおける下側端面7dが、軸方向の段差を有する段部7d1によって内径領域7eと外径領域7fとに分割され、分割された両領域7e、7fがそれぞれヒケの発生箇所となる。
【選択図】図4
Description
本発明は、軸受隙間に生じる流体の潤滑膜によって軸部材を非接触支持する流体軸受装置に関するものである。この軸受装置は、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、その他の小型モータ用として好適である。
上記各種モータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化等が求められている。これらの要求性能を決定づける構成要素の1つに当該モータのスピンドルを支持する軸受があり、近年では、上記要求性能に優れた特性を有する流体軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
この種の流体軸受は、軸受隙間内の潤滑油に動圧を発生させる動圧発生部を備えた動圧軸受と、動圧発生部を備えていない、いわゆる真円軸受(軸受面が真円形状である軸受)とに大別される。
例えば、HDD等のディスク駆動装置のスピンドルモータに組み込まれる流体軸受装置では、軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部およびスラスト方向に支持するスラスト軸受部の双方を動圧軸受で構成する場合がある。この種の流体軸受装置におけるラジアル軸受部としては、軸受スリーブの内周面と、これに対向する軸部材の外周面との何れか一方に、動圧発生部としての動圧溝を形成すると共に、両面間にラジアル軸受隙間を形成するものが知られている。また、スラスト軸受部としては、軸部材のフランジ部端面と、これに対向する面、例えばハウジングの底部の内側端面との何れか一方に動圧溝を形成すると共に、両端面間にスラスト軸受隙間を形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、この種のスピンドルモータでは、磁気ディスク等のディスク状情報記録媒体(以下、単にディスクという。)を保持して、モータのスピンドル(例えば軸部材)と一体に回転させるためのディスクハブが設けられる場合がある。ディスクハブは、例えば軸部材の一端に圧入等の手段により固定される(例えば、特許文献2参照)。
この種の流体軸受装置は、ハウジング、軸受スリーブ、軸部材といった部品で構成され、情報機器の益々の高性能化に伴って必要とされる高い軸受性能を確保すべく、各部品の加工精度や組立精度を高める努力がなされている。その一方で、情報機器の低価格化の傾向に伴い、流体軸受装置に対するコスト低減の要求も益々厳しくなっている。
特開2003−239951号公報
特開2000−235766号公報
流体軸受装置の低コスト化を図る一手段として、ハウジングを樹脂材料で成形(射出成形)することが考えられる。樹脂の射出成形では、成形金型のキャビティーに溶融状態の樹脂を充填するためのゲートを設け、このゲートから溶融樹脂をキャビティー内に射出する。そして、キャビティー内の溶融樹脂が冷却されて固化した後、成形金型の型開きを行うことで、成形品(ハウジング)が取り出される。
ところが、キャビティー内の溶融樹脂を冷却固化する際、金型表面と内部間での冷却固化に伴う収縮速度差が原因で、成形品表面にヒケと呼ばれる窪みが発生する場合がある。この種の窪み(ヒケ)は、成形品が例えば有底円筒状のハウジングである場合、底部の外側端面に発生することが多い。
このヒケは、例えば流体軸受装置をHDD用のスピンドルモータに使用する場合において、ディスクハブを軸部材の一端に圧入固定する際に問題となる。すなわち、軸部材へのディスクハブの圧入時、軸部材には軸方向の圧入力が作用し、軸部材の他方の端面、例えば図6(a)に示すように、フランジ部22bの端面が、これと対向するハウジング27の底部27aの内側端面27cを押圧する。このとき、底部27aの外側端面27bにヒケが存在すると、図6(b)に示すように、ヒケの軸方向窪み量(図6(a)中S0で示す幅)の分だけ底部27aが外側端面27b側に変形する。圧入作業の終了と共に軸方向への圧入力は解除され、図6(c)に示すように、底部27aは弾性復元するが、軸方向へのヒケ幅が大きいと、一部に塑性変形を生じ、完全に元の位置まで戻らない。そのため、底部27aの塑性変形量に応じて内側端面27cが変形し、底部27aの内側端面27cとこれに対向するフランジ部22bの端面との間のスラスト軸受隙間を適正に管理することが困難となる可能性がある。
本発明の課題は、この種の流体軸受装置におけるハウジングの底部の塑性変形を抑制し、スラスト軸受隙間を適正に管理することである。
前記課題を解決するため、本発明に係る流体軸受装置は、ラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に支持するスラスト軸受部と、ラジアル軸受部およびスラスト軸受部を収容し、筒部および底部を樹脂で一体成形してなるハウジングとを備え、ハウジング底部の内側端面がスラスト軸受部におけるスラスト荷重を支持するものにおいて、ハウジング底部の外側端面が、それぞれヒケの発生箇所となる複数の領域に段差でもって分割されていることを特徴とする。
かかる構成によれば、底部の外側端面に発生するヒケが、段差をもって分割された複数の領域にそれぞれ発生するので、底部の外側端面全域に対して単一のヒケが発生する場合と比べて個々のヒケ量を小さく抑えることができる。そのため、ディスクハブの圧入時における、ハウジング底部の軸方向変形量が弾性範囲内に減じられ、あるいは一部塑性変形を伴った場合でも、その量は僅かとなる。これにより、底部の内側端面の変形を防ぎ、スラスト軸受隙間に悪影響を及ぼすのを回避することができる。
ハウジング底部の外側端面を分割する手段としては、例えば段差を介して内径領域と外径領域とに区分する方法が考えられる。この場合には、例えば底部の外側端面に対応する面に段差を設けた型を使用してハウジングを射出成形することで、成形品における底部の外側端面が内径領域と外径領域とに分割され、分割された両領域にそれぞれヒケを発生させることが可能となる。また、外側端面に段差を設ける場合には、外径領域を内径領域に比べて筒部側に後退させた形状とすることができる。この場合には、成形面の外径領域を、内径領域に対して筒部側に接近させた型を使用して成形を行えばよい。
また、前記課題を解決するため、本発明に係る流体軸受装置は、ラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に支持するスラスト軸受部と、ラジアル軸受部およびスラスト軸受部を収容し、筒部および底部を樹脂で一体成形してなるハウジングとを備え、ハウジング底部の内側端面がスラスト軸受部におけるスラスト荷重を支持するものにおいて、ハウジング底部の外側端面の外径側領域が除去加工されていることを特徴とする。
かかる構成によれば、ヒケの立ち上がり部分を含む外径側領域が除去されるので、成形時に発生したヒケ量、特に軸方向のヒケ幅を小さく抑えることができ、これによっても、ディスクハブの圧入時における、ハウジング底部の軸方向変形量を弾性範囲内に抑えることができる。
上記流体軸受装置は、流体軸受装置と、ロータマグネットと、ステータコイルとを備えたモータとして提供することが可能である。
このように、本発明によれば、この種の流体軸受装置におけるハウジングの底部の塑性変形を抑制し、スラスト軸受隙間を適正に管理することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る流体軸受装置1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。この情報機器用スピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に非接触支持する流体軸受装置1と、軸部材2に固定されたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4はブラケット6の外周に取付けられ、ロータマグネット5は、ディスクハブ3の内周に取付けられる。また、ブラケット6は、その内周に流体軸受装置1を装着している。ディスクハブ3は、その外周にディスクDを一枚または複数枚保持している。このように構成された情報機器用スピンドルモータにおいて、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の磁力でロータマグネット5が回転し、これに伴って、ディスクハブ3およびディスクハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
図2は、流体軸受装置1を示している。この流体軸受装置1は、筒部7aおよび底部7bを一体に有するハウジング7と、ハウジング7の内部に固定された軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8の内周に挿入された軸部材2とを主な構成部品として構成される。なお、説明の便宜上、ハウジング7の底部7bの側を下側、底部7bと反対の側を上側として以下説明を行う。
軸部材2は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料で形成され、あるいは、金属材料と樹脂材料とのハイブリッド構造とされ、軸部2aと、軸部2aの下端に一体または別体に設けられたフランジ部2bを備えている。
軸受スリーブ8は、例えば、焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、後述するハウジング7内周の所定位置に固定される。
軸受スリーブ8の内周面8aの全面又は一部筒状領域には動圧発生部としての動圧溝が形成される。この実施形態では、例えば図示は省略するが、動圧発生部として、へリングボーン形状の動圧溝が軸方向に離隔して2箇所形成される。
軸受スリーブ8の下側端面8bの全面又は一部環状領域には、図示は省略するが、動圧発生部として、例えばスパイラル形状の動圧溝が形成される。
ハウジング7は、LCPやPPS、PEEK等をベース樹脂とする樹脂組成物で射出成形され、例えば図2に示すように、筒部7aと、筒部7aの下端に一体に形成された底部7bとで構成される。底部7bの上側端面7cの環状領域には、スラスト動圧発生部として、例えば図示は省略するが、スパイラル状の動圧溝が形成される。
底部7bの下側端面7dには、軸方向に所定の段差を有する段部7d1が設けられ、この段部7d1を介して下側端面7dが内径領域7eと外径領域7fとに分割される。このうち、外径領域7fは、その軸方向位置を、内径側の領域7eに比べて筒部7a側に後退させた状態で全周に亘って形成される。また、上側端面7cの上方には、軸受スリーブ8の下側端面8bと係合して、軸受スリーブ8の軸方向位置決めを行う係合部7gが形成される。
ハウジング7を構成する上記樹脂組成物には、例えば、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカ状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボン繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、各種金属粉等の繊維状または粉末状の導電性充填材を、目的に応じて適量配合することができる。
上記ハウジング7は、例えば以下に示す工程を経て製造される。
図3は、上記ハウジング7の成形工程を概念的に示している。この工程で使用される成形金型10は、固定型11と可動型12とで構成され、ランナー10a、点状ゲート10b、およびキャビティー10cを備えている。この実施形態では、例えば固定型11の側に、下側端面7dの内径領域7eおよび外径領域7fにそれぞれ対応した成形面11a、11bが形成される。なお、点状ゲート10bは、キャビティー10cの、ハウジング底部7bの下側端面7d(図3では成形面11a)の軸心に対応する位置に形成され、そのゲート面積は、溶融樹脂の溶融時の粘度や射出速度を考慮して適正な大きさに設定される。
図示されない射出成形機のノズルから射出された溶融樹脂は、成形金型10のランナー10a、点状ゲート10bを通ってキャビティー10c内に充填される。このように、点状ゲート10bからキャビティー10c内に溶融樹脂を(図3中矢印の方向に)充填することにより、溶融樹脂がキャビティー10cの半径方向(主に底部7b対応領域)および軸方向(主に筒部7a対応領域)に均一に充填される。キャビティー10c内に充填された溶融樹脂が固化した後、成形金型10を型開きして成形したハウジング7を取り出す。これにより、ウェルドの発生を回避することができ、高い寸法精度を有するハウジング7が得られる。
図4は、成形品としてのハウジング7の底部7bに発生したヒケを概念的に示す図である。なお、ヒケの軸方向量(ヒケ幅)は、底部7bの肉厚に比べて微小であるが、同図中では、理解の容易化のためヒケの軸方向寸法を誇張して描いている。
成形品としてのハウジング7の底部7bの下側端面7dには、図4に示すように、内径領域7eと外径領域7fのそれぞれでヒケが発生する。そのため、内径領域7eに生じたヒケの軸方向ヒケ幅S2は、底部7bの下側端面7d全体をフラットな金型で成形した場合に生じるヒケの軸方向ヒケ幅S0(図6(a)参照)に比べて小さい。これにより、ディスクハブ3の軸部材2上端への圧入時、軸部材2による押圧力で底部7bが固定端面側に変形する量は(S0−S2)分だけ減じられる。従って、底部7bの軸方向への変形は弾性範囲内に抑えられ、あるいは一部塑性変形を伴った場合でも、その量は僅かとなり、上側端面7cがほとんど変形することはない。
ヒケのサイズは、下側端面7dを内径領域7eと外径領域7fとに分割する段部7d1の成形位置やその軸方向寸法に大きく影響を受ける。すなわち、段部7d1を極端に外径側に寄せて形成する場合、ヒケを内径領域7eと外径領域7fとにそれぞれ発生させるのが困難となり、ヒケの小サイズ化が不十分となる。また、段部7d1を極端に内径側に寄せて形成する場合には、ヒケを内径領域7eと外径領域7fとにそれぞれ発生させるのが困難となる。両領域7e、7fにそれぞれヒケが発生する場合でも、内径領域7eのうち、ヒケの発生領域と段部7d1との間のフラットな環状領域(図4中底部7bの最下面をなす環状領域)が内径側に移動し、その面積が小さくなる。そのため、ハウジング7(流体軸受装置1)の接地バランスが低下し、ディスクハブ3の圧入時、ハウジング7の姿勢を安定して維持するのが難しい。段部7d1の軸方向段差についても同様に、大きすぎると、ディスクハブ3の圧入時、ハウジング7の姿勢維持が困難となり、小さすぎると、ヒケを内径領域7eと外径領域7fとにそれぞれ発生させるのが困難となる。
以上の観点から、段部7d1の径方向位置や軸方向段差、言い換えれば、成形金型10の、外径領域7fに対応する成形面11bの径方向寸法dや軸方向段差b(図3参照)を適切に設定することが好ましい。成形後のハウジング7でいえば、例えばハウジング7の軸心から外径側に、フランジ部2bの半径分±20%の範囲内、より好ましくは±10%の範囲内に段部7d1の内径側端部が位置するように、成形面11bの径方向寸法dを設定するのが好ましい。また、外径領域7fの軸方向形成位置が、例えば底部7bの最下面位置から上方に、底部7bの肉厚分×0.1±20%の範囲内、より好ましくは±10%の範囲内に収まるように、成形金型10の軸方向段差bを設定するのが好ましい。
上述の如く製造したハウジング7の内周に、軸部材2および軸受スリーブ8を挿入し、軸受スリーブ8を、係合部7gにより軸受スリーブ8の軸方向の位置決めを行った上でハウジング7の内周に固定する。そして、シール部材9をハウジング7の筒部7aの上端内周に固定する。その後、ハウジング7の内部空間に潤滑油を充満させることで、流体軸受装置1の組立が完了する。このとき、シール部材9で密封されたハウジング7の内部空間に充満した潤滑油の油面は、シール部材9の内周に設けられたテーパ面9aと、軸部材2の軸部2aの外周面2a1との間に形成されたシール空間Sの範囲内に維持される。
上述のように構成された流体軸受装置1において、軸部材2を回転させると、軸受スリーブ8の内周面8aの動圧溝の形成領域(上下2箇所)と、これら動圧溝の形成領域にそれぞれ対向する軸部2aの外周面2a1との間のラジアル軸受隙間に、潤滑油の動圧作用による圧力が発生し、軸部材2の軸部2aがラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが形成される。また、軸受スリーブ8の下側端面8bに形成される動圧溝領域と、この動圧溝領域に対向するフランジ部2bの上側端面2b1との間のスラスト軸受隙間、および底部7bの上側端面7cに形成される動圧溝領域と、この動圧溝領域と対向するフランジ部2bの下側端面2b2との間のスラスト軸受隙間に、潤滑油の動圧作用による圧力がそれぞれ発生し、軸部材2のフランジ部2bが両スラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をスラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが形成される。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
以上の実施形態では、ハウジング7の成形金型10に、底部7bの内径領域7eおよび外径領域7fに対応する成形面11a、11bを形成し、下側端面7dの複数箇所(内径領域7eと外径領域7f)にヒケを形成した場合を説明したが、これ以外の方法を採ることも可能である。例えば図5に示すように、ハウジング17の成形後、底部17bの外側端面17dの外径側領域17e(同図中クロスハッチングで示す領域)を例えば機械加工等で除去することによっても、軸方向のヒケ幅を小さく(図5中S3→S4)することができる。この場合には、外径側領域17e除去後に所望の底部17bの肉厚を確保できるよう、成形の段階で、予め除去する外径側領域17e分を考慮して肉厚に成形しておくのがよい。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2およびスラスト軸受部T1、T2を構成する動圧軸受として、例えばへリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝からなる動圧発生部を用いた軸受を例示しているが、動圧発生部の構成はこれに限定されるものではない。ラジアル軸受部R1、R2として、例えば、円周方向複数箇所で、ラジアル軸受隙間を円周方向の一方又は双方にくさび状に縮小させた形状とした、いわゆる多円弧軸受、軸方向に延びた動圧溝を円周方向の複数箇所に形成した、いわゆるステップ軸受で構成することもできる。また、スラスト軸受部T1、T2として、例えば、円周方向複数箇所で、スラスト軸受隙間を円周方向の一方又は双方にくさび状に縮小させた形状とした構成のものを採用することもできる。
また、ラジアル軸受部R1、R2やスラスト軸受部T1、T2を動圧軸受以外の軸受で構成することもでき、例えばスラスト軸受部としてピボット軸受が、ラジアル軸受部として真円軸受が使用可能である。
また、以上の実施形態では、流体軸受装置1の内部に充満し、軸受スリーブ8と軸部材2との間のラジアル軸受隙間や、軸受スリーブ8およびハウジング7と軸部材2との間のスラスト軸受隙間に潤滑膜を形成する流体として、潤滑油を例示したが、それ以外にも各軸受隙間に潤滑膜を形成可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤を使用することもできる。
1 動圧軸受装置
2 軸部材
2b フランジ部
2b1 上側端面
2b2 下側端面
3 ディスクハブ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
6 ブラケット
7、17 ハウジング
7b、17b 底部
7c、17c 内側端面
7d、17d 外側端面
7e 内径領域
7f 外径領域
7g 係合部
8 軸受スリーブ
9 シール部材
10 成形金型
11 固定型
11a、11b 成形面
12 可動型
S0、S2、S3、S4 軸方向ヒケ幅
S1 弾性復元量
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
2 軸部材
2b フランジ部
2b1 上側端面
2b2 下側端面
3 ディスクハブ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
6 ブラケット
7、17 ハウジング
7b、17b 底部
7c、17c 内側端面
7d、17d 外側端面
7e 内径領域
7f 外径領域
7g 係合部
8 軸受スリーブ
9 シール部材
10 成形金型
11 固定型
11a、11b 成形面
12 可動型
S0、S2、S3、S4 軸方向ヒケ幅
S1 弾性復元量
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
Claims (5)
- ラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に支持するスラスト軸受部と、ラジアル軸受部およびスラスト軸受部を収容し、筒部および底部を樹脂で一体成形してなるハウジングとを備え、ハウジング底部の内側端面がスラスト軸受部におけるスラスト荷重を支持する流体軸受装置において、
ハウジング底部の外側端面が、それぞれヒケの発生箇所となる複数の領域に段差でもって分割されていることを特徴とする流体軸受装置。 - 外側端面が、段差を介して内径領域および外径領域に区分されている請求項1記載の流体軸受装置。
- 外径領域が内径領域に比べて筒部側に後退している請求項2記載の流体軸受装置。
- ラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に支持するスラスト軸受部と、ラジアル軸受部およびスラスト軸受部を収容し、筒部および底部を樹脂で一体成形してなるハウジングとを備え、ハウジング底部の内側端面がスラスト軸受部におけるスラスト荷重を支持する流体軸受装置において、
ハウジング底部の外側端面の外径側領域が除去加工されていることを特徴とする流体軸受装置。 - 請求項1〜4の何れかに記載の流体軸受装置と、ロータマグネットと、ステータコイルとを備えたモータ。
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