JP2006112306A - エンジンの仕事量を算出する装置 - Google Patents

エンジンの仕事量を算出する装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006112306A
JP2006112306A JP2004300081A JP2004300081A JP2006112306A JP 2006112306 A JP2006112306 A JP 2006112306A JP 2004300081 A JP2004300081 A JP 2004300081A JP 2004300081 A JP2004300081 A JP 2004300081A JP 2006112306 A JP2006112306 A JP 2006112306A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
engine
cylinder pressure
calculating
reference signal
phase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004300081A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4220454B2 (ja
Inventor
Koichiro Shinozaki
広一郎 篠崎
Yuji Yasui
裕司 安井
Katsura Okubo
桂 大久保
Masahiro Sato
正浩 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2004300081A priority Critical patent/JP4220454B2/ja
Priority to DE602005021381T priority patent/DE602005021381D1/de
Priority to US11/665,054 priority patent/US7657359B2/en
Priority to EP05787987A priority patent/EP1801399B1/en
Priority to PCT/JP2005/017961 priority patent/WO2006040934A1/ja
Priority to CNB2005800351558A priority patent/CN100476184C/zh
Publication of JP2006112306A publication Critical patent/JP2006112306A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4220454B2 publication Critical patent/JP4220454B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D35/00Controlling engines, dependent on conditions exterior or interior to engines, not otherwise provided for
    • F02D35/02Controlling engines, dependent on conditions exterior or interior to engines, not otherwise provided for on interior conditions
    • F02D35/023Controlling engines, dependent on conditions exterior or interior to engines, not otherwise provided for on interior conditions by determining the cylinder pressure
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D15/00Varying compression ratio
    • F02D15/02Varying compression ratio by alteration or displacement of piston stroke
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
    • F02D41/14Introducing closed-loop corrections
    • F02D41/1497With detection of the mechanical response of the engine
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/24Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents characterised by the use of digital means
    • F02D41/26Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents characterised by the use of digital means using computer, e.g. microprocessor
    • F02D41/28Interface circuits
    • F02D2041/286Interface circuits comprising means for signal processing
    • F02D2041/288Interface circuits comprising means for signal processing for performing a transformation into the frequency domain, e.g. Fourier transformation

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Testing Of Engines (AREA)
  • Measuring Fluid Pressure (AREA)

Abstract

【課題】観測区間においてどの部分の筒内圧信号が検出されても、エンジンの仕事量を正確に算出することができるようにする。
【解決手段】エンジンの仕事量を算出する装置は、所定の基準区間について、エンジンの筒内圧と、所定の周波数成分で構成される基準信号との位相についての相関関係を基準位相関係として予め確立する。所与の観測区間について、エンジンの筒内圧を検出する手段が設けられる。基準位相関係が成立するように、該検出されたエンジンの筒内圧に対応する基準信号を算出する。該観測区間について、該検出されたエンジンの筒内圧と該算出された基準信号との相関係数を算出し、該相関係数に基づいて、エンジンの仕事量を算出する。
【選択図】図3

Description

この発明は、内燃機関の仕事量を算出する装置に関する。
下記の特許文献1には、内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ)の燃焼室内の圧力(以下、筒内圧と呼ぶ)を示す信号をフーリエ級数展開して得られるフーリエ係数を用いて、図示平均有効圧を算出する手法が記載されている。
特公平8−20339号公報
或る信号についてのフーリエ係数は、該信号と、対応する周波数成分で構成される基準信号との相関係数である。一般に、このような相関係数の値は、該信号をどの部分で観測するかに応じて大きく値を変えるという特性を有する。上記の従来の手法によって図示平均有効圧を算出する場合では、筒内圧信号を一定の観測区間で抽出するために、エンジンの吸気行程におけるピストンの上死点(TDC)からの所定の角度において該筒内圧信号を取得することが必要とされる。
しかしながら、吸気行程の上死点からの所定の角度において、筒内圧信号を取得するためのトリガとなる信号が得られない場合がある。たとえば、クランク軸の回転に同期して信号を送出する機構が車両に設けられることが多いが、該機構の構成上の理由により、吸気行程の上死点から上記の所定の角度位置に該信号が送出されないことがある。該所定の角度位置にトリガとなる信号が存在しないと、観測区間の位置がずれる。観測区間の位置ずれにより、観測区間で抽出した筒内圧信号が変化する。結果として、相関係数の値に誤差が生じ、正確な図示平均有効圧を算出することができないおそれがある。
また、所定の角度位置にトリガとなる信号が得られても、筒内圧信号に位相遅れが生じれば、観測区間において検出される筒内圧信号にも位相遅れが生じる。位相遅れにより、観測区間で抽出される筒内圧信号が変化するので、やはり、相関係数の値に誤差が生じ、正確な図示平均有効圧を算出することができないおそれがある。
したがって、観測区間において、筒内圧信号のどの部分が抽出されても、図示平均有効圧のようなエンジン仕事量を正しく算出することのできる手法が望まれている。
本発明の一つの側面によると、エンジンの仕事量を算出する装置が提供される。該装置は、所定の基準区間について、エンジンの筒内圧と、所定の周波数成分で構成される基準信号との位相についての相関関係を基準位相関係として予め確立する手段と、所与の観測区間について、エンジンの筒内圧を検出する手段と、基準位相関係が成立するように、該検出されたエンジンの筒内圧に対応する上記基準信号を算出する基準信号算出手段と、観測区間について、該検出されたエンジンの筒内圧と該算出された基準信号との相関係数を算出する相関係数算出手段と、該相関係数に基づいて、エンジンの仕事量を算出する仕事量算出手段と、を備える。
この発明によると、基準区間における基準位相関係が、所与の観測区間について検出された筒内圧信号について確立されるので、所与の観測区間について、どの部分の筒内圧信号が検出されても、該観測区間から、基準区間について算出される相関係数と同じ値を持つ相関係数を算出することができる。よって、該相関係数から、エンジン仕事量を正しく算出することができる。
この発明の一実施形態においては、相関係数は、筒内圧をフーリエ級数展開したときのフーリエ係数である。
この発明の一実施形態によると、エンジンの仕事量を算出する装置は、さらに、観測区間において検出された筒内圧の、基準区間における筒内圧に対する位相遅れを算出する手段と、基準位相関係を構成する基準信号と同じ基準信号を、該観測区間に設定する手段と、該位相遅れの分だけ、観測区間に設定された該基準信号の位相を遅らせ、観測区間について検出されたエンジンの筒内圧に対応する基準信号が算出する手段と、を備える。こうして、筒内圧信号に位相遅れが生じた場合でも、基準区間について算出される相関係数と同じ値を持つ相関係数を観測区間について算出することができる。一実施形態では、該位相遅れは、検出されたエンジンの運転状態に応じて算出される。
この発明の一実施形態によると、エンジンの仕事量を算出する装置は、さらに、観測区間の開始時点の、基準区間の開始時点に対する遅れを算出する遅れ算出手段と、基準位相関係を構成する基準信号と同じ基準信号を、観測区間に設定する手段と、該遅れの分だけ、観測区間に設定された基準信号の位相を進ませて、該観測区間について検出されたエンジンの筒内圧に対応する基準信号を算出する手段と、を備える。こうして、観測区間の開始時点がずれた場合でも、基準区間について算出される相関係数と同じ値を持つ相関係数を観測区間について算出することができる。一実施形態では、該遅れは、基準区間の開始時点と観測区間の開始時点の相対的な差に応じて算出される。
この発明の他の側面によると、エンジンの仕事量を算出する装置は、該エンジンの体積変化率を周波数分解することにより得られる周波数成分について、エンジンの仕事量を算出するのに所望の成分を決定する成分決定手段と、所定の基準区間について、エンジンの筒内圧と、該所望の成分で構成される基準信号との位相についての相関関係を、基準位相関係として予め確立する手段と、基準位相関係が成立するように、所与の観測区間における筒内圧に対応する基準信号を算出する基準信号算出手段と、観測区間におけるエンジンの筒内圧と、該算出された基準信号との第1の相関係数を算出する第1の算出手段と、観測区間における体積変化率と、該算出された基準信号との第2の相関係数を算出する第2の算出手段と、第1の相関係数および第2の相関係数に基づいて、エンジンの仕事量を算出する仕事量算出手段と、を備える。
この発明によると、基準区間における基準位相関係が、所与の観測区間について検出された筒内圧信号について確立されるので、所与の観測区間について、どの部分の筒内圧信号が検出されても、該観測区間から、基準区間について算出される相関係数と同じ値を持つ相関係数を算出することができる。よって、該相関係数から、エンジン仕事量を正しく算出することができる。さらに、この発明によると、所望の成分についてのみ第1および第2の相関係数を算出すればよい。所与のエンジンに適合するよう所望の成分を決定することができるので、任意の構造を持つエンジンについて仕事量を算出することができる。さらに、所望の成分を抽出することができる程度にまで、筒内圧のサンプリング周波数を低減することができる。
この発明の一実施形態では、さらに、エンジンの行程体積を変更する機構と、該行程体積を求める行程体積算出手段を備える。行程体積、第1の相関係数および第2の相関係数に基づいて、エンジンの仕事量を算出する。こうして、行程体積の変化するエンジンについて、より正確にエンジンの仕事量を算出することができる。
この発明の一実施形態では、エンジンの運転状態を検出する手段をさらに備え、該検出されたエンジンの運転状態に従って、該所望の成分を決定する。こうして、所望の成分を、エンジンの運転状態に従って適切に決定することができる。
この発明の一実施形態では、エンジンの仕事量は、図示平均有効圧を含む、
本発明を実施するための最良の形態
次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の実施形態に従う、エンジンおよびその制御装置の全体的な構成図である。
電子制御ユニット(以下、「ECU」)という)1は、中央演算処理装置(CPU)1bを備えるコンピュータである。ECU1は、メモリ1cを備えており、該メモリ1cは、車両の様々な制御を実現するためのコンピュータ・プログラムおよび該プログラムの実施に必要なマップを格納する読み取り専用メモリ(ROM)と、CPU1bの演算のための作業領域を提供し、プログラムおよびデータを一時的に格納するランダムアクセスメモリ(RAM)を備えている。さらに、ECU1は、車両の各部から送られてくるデータを受け取入れる入力インターフェース1a、および車両の各部に制御信号を送る出力インターフェース1dを備えている。
エンジン2は、この実施例では4サイクルのエンジンである。エンジン2は、吸気弁3を介して吸気管4に連結され、排気弁5を介して排気管6に連結されている。ECU1からの制御信号に従って燃料を噴射する燃料噴射弁7が、吸気管4に設けられている。
エンジン2は、吸気管4から吸入される空気と、燃料噴射弁7から噴射される燃料との混合気を、燃焼室8に吸入する。燃料室8には、ECU1からの点火時期信号に従って火花を飛ばす点火プラグ9が設けられている。点火プラグ9によって発せられた火花により、混合気は燃焼する。燃焼により混合気の体積は増大し、これによりピストン10を下方に押し下げる。ピストン10の往復運動は、クランク軸11の回転運動に変換される。
筒内圧センサ15は、例えば圧電素子からなるセンサであり、点火プラグ9のエンジンシリンダに接する部分に埋没されている。筒内圧センサ15は、燃焼室8内の圧力(筒内圧)の変化を示す信号を出力し、それをECU1に送る。ECU1は、該筒内圧変化を示す信号を積分して、筒内圧を示す信号Pを生成する。
エンジン2には、クランク角センサ17が設けられている。クランク角センサ17は、クランクシャフト11の回転に伴い、パルス信号であるCRK信号およびTDC信号をECU1に出力する。
CRK信号は、所定のクランク角(たとえば、30度)で出力されるパルス信号である。ECU1は、該CRK信号に応じ、エンジン2の回転数NEを算出する。TDC信号は、ピストン10のTDC位置に関連したクランク角度で出力されるパルス信号である。
エンジン2の吸気管4には、スロットル弁18が設けられている。スロットル弁18の開度は、ECU1からの制御信号により制御される。スロットル弁18に連結されたスロットル弁開度センサ(θTH)19は、スロットル弁18の開度に応じた電気信号を、ECU1に供給する。
吸気管圧力(Pb)センサ20は、スロットル弁18の下流側に設けられている。Pbセンサ20によって検出された吸気管圧力PbはECU1に送られる。
スロットル弁18の上流には、エアフローメータ(AFM)21が設けられている。エアフローメータ21は、スロットル弁18を通過する空気量を検出し、それをECU1に送る。
可変圧縮比機構26は、ECU1からの制御信号に従って、燃焼室内の圧縮比を変更することができる機構である。可変圧縮比機構26は、任意の既知の手法により実現することができる。たとえば、油圧を利用してピストンの位置を変更することにより、運転状態に応じて圧縮比を変更する手法が提案されている。
圧縮比センサ27が、ECU1に接続されている。圧縮比センサ27は、燃焼室の圧縮比Crを検出し、それをECU1に送る。
ECU1に向けて送られた信号は入力インターフェース1aに渡され、アナログ−デジタル変換される。CPU1bは、変換されたデジタル信号を、メモリ1cに格納されているプログラムに従って処理し、車両のアクチュエータに送るための制御信号を作り出すことができる。出力インターフェース1dは、これらの制御信号を、燃料噴射弁7、点火プラグ9、スロットル弁18、およびその他の機械要素のアクチュエータに送る。また、CPU1bは、該変換されたデジタル信号を用いて、メモリ1cに格納されているプログラムに従い、エンジンの仕事量を算出することができる。
エンジンの仕事量を表す指標として、図示平均有効圧が用いられることがある。平均有効圧は、エンジンの1燃焼サイクルにおける仕事を行程体積で割ったものを示す。図示平均有効圧は、該平均有効圧から、冷却損失、不完全燃焼および機械的なフリクションなどを引いたものを示す。これらの指標は、エンジンの総行程体積(エンジン排気量)の異なる機種間の性能差を評価するのに用いられることがある。
図2を参照すると、1燃焼サイクルにおける、エンジンの燃焼室の体積Vと筒内圧Pとの関係(PV線図と呼ばれる)が示されている。点Pにおいて、吸気弁が開き、吸気行程が開始する。筒内圧は、ピストンが上死点TDCにある点Nを経て、最小値である点Uに至るまで減少する。その後、ピストンが下死点BDCにある点Kを経て、筒内圧は増加する。点Qにおいて圧縮行程が開始し、筒内圧は増加し続ける。点Rにおいて燃焼行程が開始する。混合気の燃焼により筒内圧は急激に増加し、点Sにおいて、筒内圧は最大になる。混合気の燃焼により、ピストンは押し下げられ、点Mで示されるBDCに向かって移動する。この移動により、筒内圧は減少する。点Tにおいて排気弁が開き、排気行程が開始する。排気行程では、筒内圧はさらに減少する。
図示平均有効圧は、図に示される曲線で囲まれる面積を、ピストンの行程体積で割ることにより求められる。
以下の実施例では、図示平均有効圧を算出する手法を示す。エンジンの仕事量という用語には、本発明に従う手法によって算出される図示平均有効圧に基づいて算出されることのできる他の指標、たとえば、平均有効圧、正味平均有効圧、エンジントルク等が含まれる点に注意されたい。
この明細書では、好ましい実施例を2つ挙げて本願発明を説明するが、この2つの実施例において、本願発明の原理は同じである。最初に、図3を参照して、その原理を説明する。
図3の(a)を参照すると、筒内圧信号31が示されており、基準区間および基準信号32が設定されている。基準区間は、この例では、吸気行程の上死点(TDC)で開始し、その長さは、1燃焼サイクルの長さに相当するよう設定される。代替的に、他のタイミングで開始するよう基準区間を設定してもよい。基準信号は、この例では、基準区間の開始時点でゼロ値を持つ1次のsin関数(=sin(2π/N)n(この式の意味は後述される))である。
基準区間について、筒内圧信号31と基準信号32との位相についての相関関係(以下、基準位相関係と呼ぶことがある)を表す相関係数が算出される。図示平均有効圧は、この相関係数に基づいて算出される。この発明は、所与の観測区間で観測された筒内圧信号について該基準位相関係を確立する。基準位相関係の確立により、基準区間について算出される相関係数と同じ値を持つ相関係数を、該観測区間から求めることができる。こうして、該観測区間でどの部分の筒内圧信号が観測されても、図示平均有効圧を正確に算出することができるようにする。
図3の(b)を参照すると、或る観測区間Aが設定されている。観測区間Aの燃焼サイクル中の開始タイミングは、基準区間の燃焼サイクル中の開始タイミングと一致している。しかしながら、観測区間A内の筒内圧信号33は、基準区間内の筒内圧信号31よりもtdだけ位相が遅れている。
(b)において、(a)のような基準位相関係を確立する。そのため、観測区間Aに、基準区間について設定された基準信号32と同じ基準信号を設定する。具体的には、観測区間Aの開始時点においてゼロ値を持つ1次のsin関数が設定される(点線)。該設定された基準信号32を、矢印35の方に、位相遅れtdだけ位相シフトする。該位相シフトにより、基準信号34が得られる。観測区間Aをtdだけ遅らせた時点から開始する区間Rを注目すると、区間Rでは、(a)のような基準位相関係が確立されていることがわかる。このような基準位相関係の確立により、観測区間Aについての筒内圧信号33と基準信号34との位相についての相関関係と、基準区間についての筒内圧信号31と基準信号32との位相についての相関関係とが同じになる。したがって、観測区間Aについての筒内圧信号33と基準信号34との相関係数は、基準区間について算出される相関係数と同じ値を持つ。
このように、筒内圧信号に位相遅れが生じている場合には、観測区間に設定される基準信号の位相を、該位相遅れの分だけ遅らせる。該位相が遅らされた基準信号と、観測区間について観測された筒内圧信号との相関係数を算出することにより、図示平均有効圧を正しく算出することができる。
図3の(c)を参照すると、(a)に示される筒内圧信号31と同じ位相を持つ筒内圧信号36が示されている。或る観測区間Bが設定されており、観測区間Bの燃焼サイクル中の開始タイミングは、基準区間の燃焼サイクル中の開始タイミングに対して、taだけ遅れている。
(c)において、(a)のような基準位相関係を確立する。そのため、観測区間Bに、基準区間について設定された基準信号32と同じ基準信号を設定する。具体的には、観測区間Bの開始時点においてゼロ値を持つ1次のsin関数が設定される(点線)。該設定された基準信号32の位相を、矢印38の方向に、遅れtaだけ進ませ、基準信号37を得る。観測区間Bを位相taだけ進ませた時点から開始する区間Rを注目すると、区間Rでは、(a)のような基準位相関係が確立されていることがわかる。基準位相関係の確立により、観測区間Bについての筒内圧信号36と基準信号37との位相についての相関関係と、基準区間についての筒内圧信号31と基準信号32との位相についての相関関係とが同じになる。したがって、観測区間Bについての筒内圧信号36と基準信号37との相関係数は、基準区間について算出される相関係数と同じ値を持つ。
このように、観測区間の開始時点が基準区間に対して相対的に遅れた場合には、観測区間について設定される基準信号の位相を、該開始時点の遅れの分だけ進ませる。該位相が進まされた基準信号と、観測区間について観測された筒内圧信号との相関係数を算出することにより、図示平均有効圧を正確に算出することができる。
以下では、図3の(b)に示されるようなケースを第1の実施例として詳細に説明し、図3の(c)に示されるようなケースを第2の実施例として詳細に説明する。
図示平均有効圧Pmiは、図2に示されるようなPV線図を一周積分することで算出されることができ、該算出式は、式(1)のように表されることができる。積分区間は、1燃焼サイクルに相当する期間であるが、積分区間の開始は、任意の時点に設定することができる点に注意されたい。
式(1)を離散化したものが式(2)に示されており、式(2)のmは、演算サイクルを示す。Vsは、1気筒の行程体積を示し、dVは、該気筒の体積変化率を示す。Pは、前述したように、筒内圧センサ15(図1)からの出力に基づいて得られる、筒内圧を示す信号である。
Figure 2006112306
式(1)に示すように、図示平均有効圧Pmiは、筒内圧信号Pと体積変化率dVの相関係数として表される。体積変化率dVを実質的に構成する周波数成分は限られているので(詳細は、後述される)、該周波数成分のみについて両者の相関係数を算出すれば、図示平均有効圧Pmiを算出することができる。
体積変化率dVを周波数分解するため、体積変化率dVを式(3)のようにフーリエ級数展開する。tは時間を示す。Tは、エンジンのクランク軸の回転の周期を示し(以下、クランク周期と呼ぶ)、ωはその角周波数を示す。4サイクルエンジンでは、1周期Tは、360度に対応する。kは、該エンジン回転の周波数成分の次数を示す。
Figure 2006112306
式(3)を式(1)に適用すると、式(4)が導かれる。θ=ωtである。
Figure 2006112306
一方、筒内圧信号Pをフーリエ級数展開すると、該筒内圧信号のフーリエ係数PakおよびPbkは、式(5)のように表されることができる。筒内圧信号の1周期Tcは、1燃焼サイクルの長さに相当する。4サイクルエンジンでは、1燃焼サイクルが720度のクランク角に対応するので、周期Tcは、クランク周期Tの2倍である。したがって、式(5)におけるθcは、4サイクルエンジンでは(θ/2)となる。kcは、筒内圧信号の周波数成分の次数を表す。

Figure 2006112306
式(4)には、cosθ、cos2θ、、、sinθ、sin2θ、、、の成分が現れている。式(5)において、kc=2kとすることにより、これらの成分のフーリエ係数PakおよびPbkを得ることができる。すなわち、4サイクルエンジンでは、図示平均有効圧Pmiを算出するのに、体積変化率のフーリエ係数VakおよびVbkに関する周波数成分1次、2次、3次、、、(k=1,2,3...)に対し、筒内圧信号のフーリエ係数PakおよびPbkに関する周波数成分は、2次、4次、6次、、、(kc=2,4,6...)があればよい。kc=2kとすると、式(5)は、式(6)のように表される。
Figure 2006112306
式(4)に式(6)を適用すると、式(7)が導かれる。ここで、式(4)の“Va”はほぼゼロである(この理由については、後述される)。
Figure 2006112306
式(7)には、行程体積Vs、体積変化率dVに関するフーリエ係数VakおよびVbkが含まれている。したがって、行程体積Vsおよびクランク角に対する体積変化率dVの波形が変化するエンジンについても、図示平均有効圧Pmiをより正確に算出することができる。
式(7)は、4サイクルエンジンについての式であるが、2サイクルエンジンについても上記と同様の手法で算出されることができることは、当業者には明らかであろう。2サイクルエンジンでは、Tc=T、θc=θが成立する。
式(6)で表される、筒内圧のフーリエ係数PakおよびPbkは、連続時間系の式である。デジタル処理に適した離散系に変形すると、式(8)のように表される。ここで、Nは、クランク周期Tにおけるサンプリング数を示す。積分区間は1燃焼サイクルに相当する長さであり、該1燃焼サイクルでのサンプリング数は、2Nである。nは、サンプリング番号を示す。Pnは、n番目のサンプリングにおける筒内圧を示す。

Figure 2006112306
式(9)は、式(7)および式(8)をまとめたものである。
Figure 2006112306
この実施例では、式(9)に示されるように、筒内圧のフーリエ係数PakおよびPbkは、検出された筒内圧のサンプルPnに応じて逐次的に算出される。行程体積Vsと、体積変化率のフーリエ係数VakおよびVbkは、予め算出され、ECU1のメモリ1c(図1)に記憶されている。
エンジンの特性に従い、エンジンの運転状態に対応する行程体積Vsおよび体積変化率dVの波形が決まる。したがって、エンジンの運転状態に対応する行程体積Vsおよび体積変化率dVをシミュレーション等によって予め求めることができる。この実施例では、エンジンの運転状態に対応する行程体積Vs、フーリエ係数VakおよびVbkを、メモリ1cに予め記憶する。
代替的に、体積変化率が検出されることに応じて、逐次的にフーリエ係数VakおよびVbkを計算するようにしてもよい。該計算式を、式(10)に示す。ここで、積分区間は1クランク周期Tである。Vnは、n番目のサンプリングで得られた体積変化率を示し、ここに、検出された体積変化率が代入される。
Figure 2006112306
積分区間は、2クランク周期、すなわち1燃焼サイクルに相当する長さでもよい。この場合、式(11)のようにして、体積変化率のフーリエ係数を算出することができる。計算結果は、式(10)と同じである。
Figure 2006112306
ここで、フーリエ係数を観察する。式(8)から明らかなように、筒内圧についてのフーリエ係数のそれぞれは、筒内圧信号Pと、体積変化率dVの周波数分解により得られる周波数成分で構成される信号との相関係数である。同様に、式(10)から明らかなように、体積変化率についてのフーリエ係数のそれぞれは、体積変化率信号dVと、体積変化率dVの周波数分解により得られる周波数成分で構成される信号との相関係数である。たとえば、フーリエ係数Pa1は、筒内圧信号Pとcosθとの相関係数である。体積変化率Vb2は、体積変化率信号dVとsin2θとの相関係数である。
このように、筒内圧についてのフーリエ係数のそれぞれは、対応する周波数成分について抽出された筒内圧信号であり、体積変化率についてのフーリエ係数のそれぞれは、対応する周波数成分について抽出された体積変化率信号を表している。前述したように、体積変化率dVを実質的に構成する周波数成分は限られているので、該限られた周波数成分について抽出された筒内圧信号および体積変化率信号のみを用いて、図示平均有効圧Pmiを算出することができる。
この実施例では、体積変化率を実質的に構成する周波数成分についての筒内圧信号および体積変化率信号を抽出するのに、フーリエ級数展開を用いる。しかしながら、他の手法を用いて、該抽出を行ってもよい。
図4〜図6を参照して、式(9)を検証する。図4の(a)は、クランク角に対する体積変化率dVの波形が一定である(言い換えると、行程体積が一定であり、よって体積変化率dVの挙動の態様が一種類である)通常のエンジンにおける体積変化率dVの波形41と、該体積変化率dVの波形と同一の周期を持ったsin関数の波形42(振幅は、行程体積の大きさに依存する)とを示す。この例では、フーリエ係数の観測区間Aは、吸気行程のTDC(上死点)から開始する1燃焼サイクルであり、sin関数は、該観測区間Aの開始においてゼロの値を持つよう設定されている。
図から明らかなように、両者の波形は非常に類似している。これは、体積変化率dVをsin関数で表すことができる、ということを示す。体積変化率dVは、sin関数に対し、オフセットおよび位相差をほとんど持たない。したがって、体積変化率の周波数成分には、直流成分a0およびcos成分がほとんど現れないと予測することができる。
図4の(b)は、このようなエンジンの体積変化率dVをFFT解析した結果を示す。参照符号43は、エンジン回転の1次の周波数成分を示すラインであり、参照符号44は、エンジン回転の2次の周波数成分を示すラインである。この解析結果からわかるように、体積変化率dVは、主に、エンジン回転の1次および2次の周波数成分を持つにすぎない。
図5の(a)は、図4の(a)に示す観測区間Aについて、実際に算出した体積変化率dVのフーリエ係数の一例を示す。図5の(b)は、(a)における各成分についてのフーリエ係数の大きさをグラフで表したものである。直流成分Va0および位相がずれたcos成分Vak(k=1、2、...)が、ほぼゼロであることがわかる。また、3次以上の高調波成分(k≧3)も、ほぼゼロであることがわかる。
このように、体積変化率の波形が変化しないエンジンにおいては、体積変化率dVが、エンジン回転の1次および2次の周波数成分を主に含み、さらにそれらのsin成分から構成されていることがわかる。言い換えると、体積変化率dVのフーリエ係数のうち、1次および2次のsin成分以外は省略することができる。これを考慮すると、式(9)は、式(12)のように表すことができる。
Figure 2006112306
可変圧縮比機構の中には、エンジンの運転状態に応じて行程体積を変化させ、よってクランク角に対する体積変化率dVの波形を変化させるものがある。図6の(a)は、図1に示される可変圧縮比機構26が、このような特性を持つ場合の、或る運転状態における体積変化率dVの波形61(実線)を示す。該体積変化率dVの波形61と同一の周期を持ったsin関数の波形62が示されている。図4の(a)と同様に観測区間Aが設定されており、sin関数は該観測区間Aの開始時点でゼロを持つよう設定されている。
体積変化率dVの波形61は、sin関数の波形62よりも歪んでおり、sin成分だけでなく、cos成分も含んでいることが予想される。図6の(b)は、観測区間Aについて算出された、図6の(a)に示す体積変化率dVの各成分におけるフーリエ係数の値を示す。1次および2次のsin成分、および1次および2次のcos成分により、体積変化率dVを良好に表せることがわかる。したがって、図示平均有効圧Pmiは、式(13)のように表せる。式中の行程体積Vsには、検出されたエンジンの運転状態に対応する値が代入される。
Figure 2006112306
このように、この実施例の手法によれば、体積変化率および筒内圧のフーリエ係数を、すべての成分(すなわち、すべての次数のsin/co成分)について算出する必要がない。所望の成分、好ましくは図示平均有効圧を所定の精度で算出するための成分についてのフーリエ係数を求めればよい。図4の例では、体積変化率dVの1次および2次のsin成分のフーリエ係数Vb1およびVb2、および筒内圧Pの1次および2次のsin成分のフーリエ係数Pb1およびPb2のみを求めればよい。図6の例では、体積変化率dVの1次および2次のsinおよびcos成分のフーリエ係数Vb1、Vb2、Va1およびVa2と、筒内圧Pの1次および2次のsinおよびcos成分のフーリエ係数Pb1、Pb2、Pa1およびPa2のみを求めればよい。所望の成分を決定することにより、計算すべきフーリエ係数の数が抑制され、図示平均有効圧Pmiの計算負荷を低減することができる。
図示平均有効圧の算出に所望とされる成分を、シミュレーション等を介して予め決定することができる。一実施形態では、エンジンの運転状態に応じて、該所望の成分についてのフーリエ係数VakおよびVbkおよび行程体積Vsが、メモリ1c(図1)に予め記憶される。図示平均有効圧を算出するのに、該メモリ1cを参照して、所望の成分についての体積変化率のフーリエ係数および行程体積を抽出することができる。このように、体積変化率のフーリエ係数および行程体積については事前に算出されている値を用いて図示平均有効圧を算出するので、該図示平均有効圧を算出するための計算負荷を軽減することができる。
上記の手法によると、予め決められた任意の観測区間においての体積変化率のフーリエ級数展開から所望の成分を決定し、該所望の成分に従って筒内圧のフーリエ係数と体積変化率のフーリエ係数を求めることにより図示平均有効圧を算出する。したがって、筒内圧および体積変化率のフーリエ係数の算出を、上記の予め決められた任意の観測区間で行う限り、該観測区間は任意に設定することができる。図4および図6に示す例では、観測区間Aの開始時点が吸気行程のTDCであるが、観測区間は、吸気行程のTDC以外の時点から開始してもよい。
しかしながら、観測区間で観測される筒内圧信号に位相遅れが生じることがある。図7の(a)を参照すると、筒内圧信号71の一例が示されており、図示平均有効圧は、t1の時点におけるトリガ信号75に応答して、観測区間Aが開始する。図示平均有効圧Pmiは、観測区間Aについて算出される。観測区間Aは、基準区間と同じ長さを持ち、典型的には1燃焼サイクルの長さに等しい。図7の(b)は、筒内圧信号に位相遅れが生じた場合を示し、筒内圧信号72は、(a)の筒内圧信号71よりも位相がtdだけ遅れている。
このような位相遅れは、例えば次のような要因で生じる。図1に示すような筒内圧センサ15(図1)は、直接燃焼室に面していない。筒内圧センサの受圧部が、該燃焼室に連通して設けられた受圧室に面している。受圧室の圧力変化は、燃焼室の圧力変化に対してむだ時間を有している。エンジン回転数が増大するにつれ1燃焼サイクルの時間が短くなるので、該むだ時間の1燃焼サイクルに対する相対時間が増える。また、該むだ時間は、筒内圧の増減すなわちエンジン負荷に応じても変化する。このようなむだ時間は、筒内圧信号に位相遅れを生じさせるおそれがある。
図8を参照すると、(a)には、図7の(b)に示される、筒内圧信号71と、該信号71に対して位相遅れtdが生じた筒内圧信号72が示されている。(b)の参照符号73は、基準信号を示しており、この例では、観測区間Aの開始でゼロ値を持つ1次sin関数(=sin(2π/N)n)である。式(9)に示されるように、1次のsin関数は、フーリエ係数Pb1に含まれる点に注意されたい。筒内圧信号72とsin関数73の位相についての相関関係が、筒内圧信号71とsin関数73の位相についての相関関係と異なることがわかる。結果として、筒内圧信号72とsin関数73に基づいて算出されるフーリエ係数Pb1は、筒内圧信号71とsin関数73に基づいて算出されるフーリエ係数Pb1に対して誤差を含む。
図8の(c)の参照符号76は、筒内圧信号71とsin関数73基づくフーリエ係数を用いて算出された図示平均有効圧を示し、これは、正しい値を示す。参照符号77は、筒内圧信号72とsin関数73に基づくフーリエ係数を用いて算出された図示平均有効圧を示し、これは、誤差を含む。
このように、筒内圧信号の位相遅れに起因して筒内圧のフーリエ係数に誤差が含まれると、筒内圧のフーリエ係数と体積変化率のフーリエ係数の相関関係が変動し、これは、図示平均有効圧に誤差を生じさせる。
図9を参照して、このような誤差を回避する手法を説明する。図9の(a)には、点線81に囲まれるように、基準区間における筒内圧信号82と基準信号83間の基準となる位相関係が示されている。この基準位相関係は、所定の基準区間にわたって筒内圧信号を観測し、該観測した時の筒内圧信号82と、該基準区間の開始時点においてゼロを持つ1次のsin関数83(=sin(2π/N)n)とにより予め決められることができる。
図9の(b)は、所与の観測区間Aについて検出された筒内圧信号84を示す。観測区間Aの燃焼サイクル中における開始時点は、基準区間の燃焼サイクル中における開始時点に一致している(この例では、吸気行程の上死点)。筒内圧信号に位相遅れが生じた結果、観測区間Aにおける筒内圧信号84は、基準区間における筒内圧信号82に対して、tdだけ位相が遅れている。
(b)において、(a)のような基準位相関係を確立するため、観測区間Aに、基準位相関係を構成する基準信号と同じ基準信号を設定する。すなわち、観測区間の開始時点でゼロを持つ1次のsin関数85が、基準信号として観測区間Aに設定される。基準信号85の位相をtdだけ遅らせて、基準信号86を得る。観測区間Aに対してtd遅れた時点から開始する区間Rを参照すると、(a)のような基準位相関係が確立されていることがわかる。こうして、検出された筒内圧信号について、基準位相関係を確立することができる。
基準位相関係が確立されたので、観測区間Aについての筒内圧信号84と基準信号86とのフーリエ係数は、基準区間についての筒内圧信号82と基準信号83とのフーリエ係数と同じ値を持つ。したがって、観測区間Aについて、検出された筒内圧信号84と基準信号86とのフーリエ係数を算出することにより、基準区間についてのフーリエ係数を求めることができる。
このように、観測区間で検出された筒内圧信号がどのような位相遅れを呈していても、該観測区間から、基準区間についてのフーリエ係数、すなわち誤差の無いフーリエ係数を求めることができる。フーリエ係数に誤差が含まれないので、図示平均有効圧を正確に算出することができる。
図には、基準信号として1次のsin関数が示されているので、対応するフーリエ係数はPb1である。他のフーリエ係数についても、対応するsin/cos関数を位相シフトすることにより、算出することができる。
このように、所望の成分についてのフーリエ係数を算出する際、基準区間には、該所望の成分のいずれかで構成される基準信号を設定するのが好ましい。たとえば、1次および2次のsin成分に対応するフーリエ係数Pb1およびPb2を算出するときは、1次のsin関数または2次のsin関数のいずれかで、基準信号を構成するのが好ましい。1次のsin関数または2次のsin関数の一方について位相を遅らせる量が求まれば、他方についても同様の位相シフトを行うことにより、フーリエ係数Pb1およびPb2の両方を算出することができる。
代替的に、基準区間に設定する基準信号を、所望の成分とは異なる成分(図9の例では、他の次数のsin関数およびcos関数)で構成してもよい。たとえば、所望の成分が2次のsin成分であり、基準信号として1次のcos関数(=cos(2π/N)n)を用いる場合を考える。観測区間には、2次のsin関数(=sin2(2π/N)n)が設定される。基準位相関係、すなわち基準区間における筒内圧信号と1次のcos関数との間の位相関係と同じ位相関係が、観測区間について観測された筒内圧について成立するように、2次のsin関数の位相が遅らされる。こうして、観測区間における筒内圧信号と2次のsin関数とから、フーリエ係数Pb2を算出することができる。
基準信号を、基準区間の開始時点で、ゼロ以外の値を持つよう設定してもよい。たとえば、sin((2π/N)n−α)で表される基準信号を基準区間に設定するとき(αは所定値)、基準信号は、基準区間の開始時点に対してαの位相差を持つことになる。観測区間には、観測区間の開始時点に対して同じ位相差を持つように、基準信号が設定される。これにより、基準位相関係を成立させることができる。
周波数によって筒内圧信号の位相遅れの大きさが異なる場合には、周波数ごとに位相遅れの大きさを調べ、該周波数に対応する基準信号(sin/cos関数)の位相シフトを行うのが好ましい。
図10は、第1の実施例に従う、図示平均有効圧Pmiを算出する装置のブロック図である。
ECUのメモリ1cには、エンジンの圧縮比に対応して、予め算出された行程体積Vsおよび所望の成分の体積変化率フーリエ係数VakおよびVbkが記憶されている。圧縮比Crに対応する行程体積Vsを規定するマップを図11の(a)に示し、圧縮比Crに対応する所望の成分のフーリエ係数VakおよびVbkの値を規定するマップの一例を、図11の(b)に示す。
運転状態検出部101は、圧縮比センサ27(図1)の出力に基づいて、エンジンの現在の圧縮比Crを検出する。パラメータ抽出部102は、該検出された圧縮比Crに基づいて図11の(b)のようなマップを参照し、筒内圧および体積変化率のフーリエ係数についての所望の成分を判断する。この例では、フーリエ係数Vb1、Vb2、Va1およびVa2が規定されている。したがって、所望の成分は、1次および2次のsin成分と、1次および2次のcos成分と判断される。
所望の成分が1次および2次のsin成分と1次および2次のcos成分なので、図示平均有効圧は、上記の式(13)に従って算出される。便宜上、式(13)を式(14)〜(18)のように書き換える。
Figure 2006112306
パラメータ抽出部102は、所望の成分を判断すると同時に、これらの成分について、検出された圧縮比に対応する体積変化率フーリエ係数VakおよびVbkの値を抽出する。この例では、Va1、Va2、Vb1およびVb2が抽出される。
パラメータ抽出部102は、さらに、図11の(a)に示すようなマップを参照し、該検出された圧縮比Crに対応する行程体積Vsを抽出する。
運転状態検出部101は、さらに、筒内圧センサ15(図1)の出力に基づいて、筒内圧Pを算出する。サンプリング部103は、こうして算出された筒内圧Pを、所定の周期でサンプリングして、筒内圧のサンプルPnを取得する。一例では、30度のクランク角度ごとにサンプリングされ、よって式(9)中のNは、24(=720/30)である(720は、1燃焼サイクルのクランク角度である)。
位相シフト部104は、パラメータ抽出部102から、所望とされる成分の種類を受け取り、これらの成分について位相シフト量を求める。この例では、式(15)から(18)に示すように、基準区間について設定される基準信号が、1次のsin関数fsin1(n)、2次のsin関数fsin2(n)、1次のcos関数fcos1(n)および2次のcos関数fcos2(n)である。位相シフト量は、それぞれの基準信号について求められる。
筒内圧信号の位相遅れの量は、エンジンの運転状態に基づいて算出されることができる。この実施例では、エンジンの運転状態に応じた量だけ位相シフトされた基準信号fsin1、fsin2、fcos1およびfcos2が、マップとして予め記憶されている。位相シフト部104は、検出された目標吸気量Gcyl_cmdおよび検出されたエンジン回転数NEに基づいて、該マップを参照し、位相シフトされたfsin1(n)、fsin2(n)、fcos1(n)およびfcos2(n)を求める。これらのマップは、予めメモリ1c(図1)に記憶される。
図12には、fsin1およびfsin2についてのマップの例が示されている。(a1)および(a2)は、目標吸気量Gcyl_cmdが所定値より小さい場合における、fsin1およびfsin2を示す。(b1)および(b2)は、目標吸気量Gcyl_cmdが該所定値より大きい場合における、fsin1およびfsin2を示す。fcos1およびfcos2は、fsin1およびfsin2を90度進ませたものであり、計算により算出してもよいし、マップに規定してもよい。
(a1)のマップを例にとって説明すると、エンジン回転数NEが高くなるにつれ、筒内圧信号Pのむだ時間が増大するので、fsin1は遅らされる。また、負荷が上昇するほど、すなわち目標吸気量Gcyl_cmdが増大するほど、気筒の受圧室へのガス交換の影響によるむだ時間が短くなるので、fsin1は進まされる。fsin2についても同様に規定される。
筒内圧フーリエ係数決定部105は、筒内圧のサンプルPnと、位相シフト部104により位相シフトされたsin関数およびcos関数に基づいて、筒内圧のフーリエ係数PakおよびPbkを算出する。この例では、位相シフト部104により位相シフトされたfsin1(n)、fsin2(n)、fcos1(n)、fcos2(n)を上記の式(15)〜(18)にそれぞれ代入し、フーリエ係数Pb1、Pb2、Pa1およびPa2を算出する。
演算部106は、筒内圧のフーリエ係数PakおよびPbk、体積変化率のフーリエ係数VakおよびVbk、および行程体積Vsを用い、図示平均有効圧Pmiを算出する。この例では、式(14)に従って図示平均有効圧Pmiが算出される。
代替的に、パラメータ抽出部102は、目標圧縮比に基づいて、図11の(a)および(b)に示されるようなマップを参照してもよい。しかしながら、典型的には、圧縮比を変更することのできる圧縮比可変機構は遅れを持つことがあるので、実圧縮比に基づいて、体積変化率のフーリエ係数を求めるのが好ましい。
図13は、第1の実施例に従う、図示平均有効圧の算出結果を示す。(a)は、図8の(a)に示されるものと同じである。(b)を参照すると、筒内圧信号71とsin関数73との相関関係が、筒内圧信号72についても確立されるように、sin関数73の位相がtdの分だけ遅らされ、sin関数74が得られている。その結果、筒内圧信号72とsin関数74とに基づくフーリエ係数の値は、筒内圧信号71とsin関数73とに基づくフーリエ係数の値と同じとなる。(c)に示されるように、筒内圧信号72とsin関数74とに基づくフーリエ係数を用いて算出した図示平均有効圧は、筒内圧信号71とsin関数73とに基づくフーリエ係数を用いて算出した図示平均有効圧76と等しくなり、誤差は生じない(2つの値が重なり合って示されている)。
図14は、この発明の第1の実施例に従う、図示平均有効圧を算出するプロセスのフローチャートである。このプロセスは、典型的には、メモリ1c(図1)に記憶されたプログラムにより実行される。このプロセスは、たとえば所定のトリガ信号に応答して起動される。
この例では、図示平均有効圧は、該プロセスが起動される時点の直前の1燃焼サイクル(これが、観測区間)について算出される。該観測区間中、筒内圧信号Pのサンプリングが行われ、2N個の筒内圧のサンプルPnが取得されている。
ステップS1において、該観測区間について検出された圧縮比Crに基づき、図11の(a)のようなマップを参照して、行程体積Vsを抽出する。ステップS2において、該観測区間について検出された圧縮比Crに基づき、図11の(b)のようなマップを参照して、所望の成分の種類を求め、該所望の成分について、体積変化率のフーリエ係数VakおよびVbkを抽出する。
ステップS3において、該観測区間について検出されたエンジン回転数NEおよび算出された目標吸気量Gcyl_cmdに基づき、図12のようなマップを参照して、ステップS2で求めた所望の成分についての位相シフトされたsin関数(fsink(n))を求める。
ステップS4において、ステップS3で求めたsin関数を90度進ませることにより、位相シフトされたcos関数(fcosk(n))を求める。
ステップS5において、該観測区間中に得られた2N個の筒内圧のサンプルPnと、該観測区間について得られた2N個の位相シフトされたfsink(n)およびfcosk(n)を用い、該所望の成分についての筒内圧フーリエ係数PakおよびPbkを算出する。
ステップS6において、ステップS1およびS2で抽出された行程体積Vs、体積変化率のフーリエ係数VakおよびVbk、およびステップS5で算出された筒内圧のフーリエ係数PakおよびPbkに基づいて、図示平均有効圧Pmiを式(9)に従って算出する。
次に、第2の実施例について説明する。従来の手法の一例として、式(19)に示されるように、筒内圧信号の1次成分ccosφと2次成分ccosφに基づいて図示平均有効圧を算出する手法が提案されている(特公平8−20339号参照)。該式には体積変化率のパラメータが含まれず、よってこの手法は、行程体積が変化しない所定のエンジンについての図示平均有効圧を算出することができる。
ここで、λは、(エンジンのコンロッド長/エンジンのクランクシャフトの半径)により算出される値である。4サイクルエンジンの場合、A=π/2であり、2サイクルエンジンの場合、A=πとなる。
Figure 2006112306
c1は、筒内圧信号における、エンジン回転の1次成分の振幅を示し、φ1は、筒内圧信号Pの、エンジン回転の1次成分の吸気TDCに対する位相差を示す。c2は、筒内圧信号における、エンジン回転の2次成分の振幅を示し、φ2は、筒内圧信号の、エンジン回転の2次成分の吸気TDCに対する位相差を示す。
クランク角が90度において1次成分ccosφが得られ、クランク角が45度において2次成分ccosφを得ることができる。このように、この手法によると、吸気行程における上死点TDCからの正確な角度(90度および45度)において、1次および2次成分を得る必要がある。
上記の式(19)を改良した手法が提案されており、これによると、筒内圧のフーリエ係数b1およびb2に基づいて、式(20)のようにして図示平均有効圧Pmiを算出することができる。フーリエ係数b1およびb2の値は、どの部分の筒内圧信号が観測区間で検出されるかに従って大きく変化する。したがって、この手法によると、図示平均有効圧を正しく算出するためには、吸気行程の上死点TDCから観測区間を開始する必要がある。
Nはクランク周期におけるサンプリング回数を示す。積分区間は、吸気行程の上死点から開始する1燃焼サイクルであり(これが、観測区間)、該1燃焼サイクルでのサンプリング数は2Nである。nはサンプリング番号を示す。Pnは、n番目のサンプリングで得られた筒内圧のサンプルである。
Figure 2006112306
観測区間の位置がずれることがある。図15を参照すると、(a)には、筒内圧信号121が示されている。吸気行程のTDCであるt0の時点でトリガ信号125が送出されており、該トリガ信号に応答して観測区間Aが開始する。図示平均有効圧Pmiは、観測区間Aについて算出される。
図15の(b)には、トリガ信号126が、トリガ信号125に対してta遅れて送出された場合を示している。t1の時点で送出されたトリガ信号126に応答して、観測区間Bが開始される。観測区間Bの開始時点は、観測区間Aの開始時点に対してtaだけ遅れている。図示平均有効圧Pmiは、観測区間Bについて算出される。観測区間AおよびBの長さは、基準区間の長さと同じであり、典型的には1燃焼サイクルの長さに等しい。
図8の(b)に示すような、たとえば観測区間Aの開始時点でゼロ値を持つ1次のsin関数を、基準信号として設定する。観測区間の開始時点のずれに起因して、観測区間Bにおける筒内圧信号121と該sin関数との位相についての相関関係は、観測区間Aにおける筒内圧信号121とsin関数との位相についての相関関係と異なる。結果として、観測区間Bについて算出フーリエ係数の値は、観測区間Aについて算出されるフーリエ係数の値に対して誤差を含み、図8の(c)に示すように、算出される図示平均有効圧に誤差が生じさせる。
図16を参照して、このような誤差を回避する手法を説明する。図の(a)には、点線131に囲まれるように、基準区間における筒内圧信号132と基準信号133との間の基準となる位相関係が示されている。この基準位相関係は、所定の基準区間にわたって筒内圧信号を観測し、該観測した時の筒内圧信号132と、該基準区間の開始時点においてゼロを持つ1次のsin関数133(=sin(2π/N)n)とにより予め決められることができる。
図16の(b)には、所与の観測区間Bにおいて検出された筒内圧信号134を示している。観測区間Bの燃焼サイクル中における開始時点は、基準区間の燃焼サイクル中における開始時点(この例では、吸気行程の上死点)に対し、taだけずれている。
(b)において、(a)のような基準位相関係を確立するため、観測区間Bに、基準位相関係を構成する基準信号と同じ基準信号を設定する。すなわち、観測区間Bの開始時点でゼロを持つ1次のsin関数135が、基準信号として観測区間Bに設定される。該設定された基準信号135の位相を、taだけ進ませて、基準信号136を得る。観測区間Bに対してtaだけ進んだ時点から開始する区間Rを参照すると、(a)のような基準位相関係が確立されていることがわかる。こうして、検出された筒内圧信号について、基準位相関係を確立することができる。
基準位相関係が確立されたので、観測区間Bについての筒内圧信号134と基準信号136とのフーリエ係数は、基準区間についての筒内圧信号132と基準信号133とのフーリエ係数と同じ値を持つ。したがって、観測区間Bについて、検出された筒内圧信号134と基準信号136とのフーリエ係数を算出することにより、基準区間についてのフーリエ係数を求めることができる。
このように、観測区間の位置がずれた場合でも、該観測区間から、基準区間についてのフーリエ係数、すなわち誤差の無いフーリエ係数を求めることができる。フーリエ係数に誤差が含まれないので、図示平均有効圧を正確に算出することができる。
図には、基準信号として1次のsin関数が示されているので、対応するフーリエ係数はPb1である。フーリエ係数Pb2についても、2次のsin関数をシフトすることにより、算出することができる。
第1の実施例の所で述べたように、代替的に、基準区間に設定される基準信号は、cos関数または他の次数のsin関数を用いてもよい。また、該基準信号は、基準区間の開始時点でゼロ以外の値を持つよう設定してもよい。
図17は、第2の実施例に従う、図示平均有効圧を算出する装置のブロック図である。運転状態検出部201は、筒内圧センサ15(図1)の出力に基づいて、筒内圧Pを算出する。サンプリング部203は、こうして算出された筒内圧Pを、所定の周期でサンプリングして、筒内圧のサンプルPnを取得する。
運転状態検出部201は、さらに、観測区間の開始時点の遅れtaを検出する。基準区間の燃焼サイクル中の開始時点は予め決まっている(たとえば、吸気行程のTDC)。運転状態検出部201は、観測区間が開始され
るトリガ信号を検出し、該トリガ信号の、該基準区間の燃焼サイクル中の開始時点に対する相対的な差を検出することができる。該差が、観測区間の開始時点の遅れtaに対応する。
位相シフト部204は、エンジンの運転状態に応じた位相シフト量を求める。この例では、式(21)および(22)に示すように、基準区間について設定される基準信号が、1次のsin関数fsin1(n)および2次のsin関数fsin2(n)である。位相シフト量は、それぞれの基準信号について求められる。
この実施例では、エンジンの運転状態に応じた量だけ位相シフトされたfsin1およびfsin2が、マップとして予めメモリ1cに記憶されている。位相シフト部204は、運転状態検出部201から、観測区間の開始時点の遅れtaを受け取る。該遅れtaに基づいて該マップを参照し、位相シフトされたfsin1およびfsin2を求める。
図18の(a)および(b)には、fsin1およびfsin2についてのマップの例がそれぞれ示されている。(a)のマップを例にとって説明すると、遅れtaが大きくなるにつれ、fsin1は進ませられる。
筒内圧フーリエ係数決定部205は、筒内圧のサンプルPnと、位相シフト部204により位相シフトされたfsin1およびfsin2に基づいて、式(21)および(22)に従い、筒内圧のフーリエ係数b1およびb2をそれぞれ算出する。
演算部206は、筒内圧のフーリエ係数b1およびb2を用い、式(20)に従って図示平均有効圧Pmiを算出する。
図19は、この発明の第2の実施例に従う、図示平均有効圧を算出するプロセスのフローチャートである。このプロセスは、典型的には、メモリ1c(図1)に記憶されたプログラムにより実行される。このプロセスは、たとえばクランク信号に同期したトリガ信号に応答して起動される。
この例では、図示平均有効圧は、該プロセスが起動される時点の直前の1燃焼サイクル(これが、観測区間)について算出される。該観測区間中、筒内圧信号Pのサンプリングが行われ、2N個の筒内圧のサンプルPnが取得されている。
ステップS11において、該観測区間の開始時点の遅れtaに基づき、図18のようなマップを参照して、位相シフトされたsin関数(fsin1(n)およびfsin2(n))を求める。
ステップS12において、該観測区間にわたって取得された2N個の筒内圧のサンプルPnと、該観測区間について求められた2N個の位相シフトされたfsin1(n)およびfsin2(n)を用い、式(21)および(22)に従って筒内圧フーリエ係数b1およびb2を算出する。
ステップS13において、ステップS12で算出された筒内圧のフーリエ係数b1およびb2に基づいて、図示平均有効圧Pmiを式(20)に従って算出する。
第2の実施例の上記の説明では、観測区間の位置がずれた場合を説明した。しかしながら、筒内圧信号に遅れが生じた場合でも、第1の実施例と同様にして、フーリエ係数b1およびb2を算出することができる。具体的には、該位相遅れの分だけ、観測区間に設定された基準信号の位相を遅らせ、該位相が遅らされた基準信号と筒内圧信号とのフーリエ係数を算出すればよい。
本発明は、汎用の(例えば、船外機等の)内燃機関に適用可能である。
この発明の一実施例に従う、エンジンおよびその制御装置を概略的に示す図。 この発明の一実施例に従う、図示平均有効圧を示す図。 この発明の原理を説明するための図。 この発明の一実施例に従う、体積変化率および該体積変化率についてのFFT解析結果を示す図。 この発明の一実施例に従う、各次数におけるフーリエ係数の値を示す図。 この発明の一実施例に従う、体積変化率の波形と所望の成分を示す図。 筒内圧信号の位相遅れによりフーリエ係数が異なることを説明するための図。 筒内圧信号の位相遅れにより、図示平均有効圧に誤差が含まれることを示す図。 この発明の第1の実施例に従う、筒内圧信号に位相遅れに応じて基準信号を位相シフトする手法を示す図。 この発明の第1の実施例に従う、図示平均有効圧を算出する装置のブロック図。 この発明の第1の実施例に従う、エンジンの運転状態に応じた行程体積および体積についてのフーリエ係数を示すマップ。 この発明の第1の実施例に従う、エンジンの運転状態に応じて位相シフトされた基準信号を示すマップ。 この発明の第1の実施例に従う、図示平均有効圧の算出結果を示す図。 この発明の第1の実施例に従う、図示平均有効圧の算出するプロセスのフローチャート。 観測区間の開始時点のずれによって、フーリエ係数の値が異なることを説明するための図。 この発明の第2の実施例に従う、観測区間の開始時点の遅れに応じて基準信号を位相シフトする手法を示す図。 この発明の第2の実施例に従う、図示平均有効圧を算出する装置のブロック図。 この発明の第2の実施例に従う、観測区間の開始時点の遅れに応じて位相シフトされた基準信号を示すマップ。 この発明の第2の実施例に従う、図示平均有効圧の算出するプロセスのフローチャート。
符号の説明
1 ECU
2 エンジン
15 筒内圧センサ
26 可変圧縮比機構

Claims (10)

  1. エンジンの仕事量を算出する装置であって、
    所定の基準区間について、前記エンジンの筒内圧と、所定の周波数成分で構成される基準信号との位相についての相関関係を基準位相関係として予め確立する手段と、
    所与の観測区間について、前記エンジンの筒内圧を検出する手段と、
    前記基準位相関係が成立するように、前記検出されたエンジンの筒内圧に対応する前記基準信号を算出する基準信号算出手段と、
    前記観測区間について、前記検出されたエンジンの筒内圧と前記算出された基準信号との相関係数を算出する相関係数算出手段と、
    前記相関係数に基づいて、前記エンジンの仕事量を算出する仕事量算出手段と、
    を備える、エンジンの仕事量を算出する装置。
  2. 前記相関係数は、前記筒内圧をフーリエ級数展開したときのフーリエ係数である、請求項1に記載の装置。
  3. さらに、前記基準信号算出手段は、
    前記観測区間において検出された筒内圧の、前記基準区間における筒内圧に対する位相遅れを算出する位相遅れ算出手段と、
    前記基準位相関係を構成する基準信号と同じ基準信号を、前記観測区間に設定する手段と、
    前記位相遅れの分だけ、前記観測区間に設定された基準信号の位相を遅らせて、前記検出されたエンジンの筒内圧に対応する基準信号を算出する手段と、
    を備える、請求項1に記載の装置。
  4. 前記エンジンの運転状態を検出する手段をさらに備え、
    前記位相遅れ算出手段は、前記検出されたエンジンの運転状態に応じて、前記位相遅れを算出する、請求項3に記載の装置。
  5. さらに、前記基準信号算出手段は、
    前記観測区間の開始時点の、前記基準区間の開始時点に対する遅れを算出する遅れ算出手段と、
    前記基準位相関係を構成する基準信号と同じ基準信号を、前記観測区間に設定する手段と、
    前記遅れの分だけ、前記観測区間に設定された基準信号の位相を進ませて、前記検出されたエンジンの筒内圧に対応する基準信号を算出する手段と、
    を備える、請求項1に記載の装置。
  6. さらに、
    前記遅れ算出手段は、前記基準区間の開始時点と前記観測区間の開始時点の相対的な差に応じて算出する、請求項5に記載の装置。
  7. エンジンの仕事量を算出する装置であって、
    前記エンジンの体積変化率を周波数分解することにより得られる周波数成分について、前記エンジンの仕事量を算出するのに所望の成分を決定する成分決定手段と、
    所定の基準区間について、前記エンジンの筒内圧と、前記決定した成分で構成される基準信号との位相についての相関関係を、基準位相関係として予め確立する手段と、
    前記基準位相関係が成立するように、所与の観測区間における筒内圧に対応する前記基準信号を算出する基準信号算出手段と、
    前記観測区間における前記エンジンの筒内圧と、前記算出された基準信号との第1の相関係数を算出する第1の算出手段と、
    前記観測区間における前記エンジンの体積変化率と、前記算出された基準信号との第2の相関係数を算出する第2の算出手段と、
    前記第1の相関係数および前記第2の相関係数に基づいて、前記エンジンの仕事量を算出する仕事量算出手段と、
    を備える、エンジンの仕事量を算出する装置。
  8. さらに、
    前記エンジンの行程体積を変更する機構と、
    前記行程体積を求める行程体積算出手段と、を備え、
    前記仕事量算出手段は、前記行程体積、前記第1の相関係数および前記第2の相関係数に基づいて、前記エンジンの仕事量を算出する、
    請求項7に記載の装置。
  9. 前記エンジンの運転状態を検出する手段をさらに備え、
    前記成分決定手段は、該検出されたエンジンの運転状態に従って、前記所望の成分を決定する、
    請求項7に記載の装置。
  10. 前記エンジンの仕事量は、図示平均有効圧を含む、
    請求項1に記載の装置。
JP2004300081A 2004-10-14 2004-10-14 エンジンの仕事量を算出する装置 Expired - Fee Related JP4220454B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004300081A JP4220454B2 (ja) 2004-10-14 2004-10-14 エンジンの仕事量を算出する装置
DE602005021381T DE602005021381D1 (de) 2004-10-14 2005-09-29 Vorrichtung und verfahren zum berechnen der arbeitslast eines motors
US11/665,054 US7657359B2 (en) 2004-10-14 2005-09-29 Apparatus and method for calculating work load of engine
EP05787987A EP1801399B1 (en) 2004-10-14 2005-09-29 Apparatus and method for calculating work load of engine
PCT/JP2005/017961 WO2006040934A1 (ja) 2004-10-14 2005-09-29 エンジンの仕事量を算出する装置および方法
CNB2005800351558A CN100476184C (zh) 2004-10-14 2005-09-29 计算发动机的作功量的装置和方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004300081A JP4220454B2 (ja) 2004-10-14 2004-10-14 エンジンの仕事量を算出する装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006112306A true JP2006112306A (ja) 2006-04-27
JP4220454B2 JP4220454B2 (ja) 2009-02-04

Family

ID=36148231

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004300081A Expired - Fee Related JP4220454B2 (ja) 2004-10-14 2004-10-14 エンジンの仕事量を算出する装置

Country Status (6)

Country Link
US (1) US7657359B2 (ja)
EP (1) EP1801399B1 (ja)
JP (1) JP4220454B2 (ja)
CN (1) CN100476184C (ja)
DE (1) DE602005021381D1 (ja)
WO (1) WO2006040934A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019501323A (ja) * 2015-11-13 2019-01-17 コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングContinental Automotive GmbH 内燃機関のピストンストローク位相差、吸気弁ストローク位相差および排気弁位相差を組み合わせて識別するための方法

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7726281B2 (en) * 2006-05-11 2010-06-01 Gm Global Technology Operations, Inc. Cylinder pressure sensor diagnostic system and method
US7878048B2 (en) * 2008-06-16 2011-02-01 GM Global Technology Operations LLC Fuel system injection timing diagnostics by analyzing cylinder pressure signal
JP4767312B2 (ja) * 2008-12-24 2011-09-07 本田技研工業株式会社 気筒の休止状態を判定する装置
US9115655B2 (en) * 2011-04-26 2015-08-25 Allen B. Rayl Cylinder pressure parameter correction systems and methods
JP6791746B2 (ja) * 2016-12-22 2020-11-25 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置及び制御方法
DE102017209386B4 (de) * 2017-06-02 2024-05-08 Vitesco Technologies GmbH Verfahren zur Ermittlung der aktuellen Trimmung des Einlasstraktes eines Verbrennungsmotors im Betrieb
DE102019207252A1 (de) * 2018-11-14 2020-05-14 Vitesco Technologies GmbH Erfassung von zylinderindividuellen Brennverlaufsparameterwerten für einen Verbrennungsmotor
CN112761798B (zh) * 2020-05-29 2023-04-07 长城汽车股份有限公司 一种空气相对充量控制方法及装置

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3815410A (en) * 1972-12-07 1974-06-11 Caterpillar Tractor Co Engine thermodynamic cycle analyser
US4347571A (en) * 1978-05-08 1982-08-31 The Bendix Corporation Integrated closed loop engine control
US4197767A (en) * 1978-05-08 1980-04-15 The Bendix Corporation Warm up control for closed loop engine roughness fuel control
JPS62195462A (ja) 1986-02-19 1987-08-28 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の点火時期制御装置
JPH0820339B2 (ja) * 1989-07-27 1996-03-04 株式会社司測研 容積型機械の作動状態測定方法および測定装置
EP0778559B1 (en) * 1992-03-12 2001-08-08 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Vibration/noise control system for vehicles
JPH0633827A (ja) * 1992-07-15 1994-02-08 Mitsubishi Motors Corp エンジン燃焼室内圧力計測装置
JP3315724B2 (ja) * 1992-08-07 2002-08-19 トヨタ自動車株式会社 失火検出装置
JP3057937B2 (ja) 1992-11-26 2000-07-04 トヨタ自動車株式会社 油膨潤性樹脂の熱処理方法
FR2711185B1 (fr) * 1993-10-12 1996-01-05 Inst Francais Du Petrole Système d'acquisition et de traitement instantané de données pour le contrôle d'un moteur à combustion interne.
JPH07229443A (ja) * 1994-02-18 1995-08-29 Mitsubishi Electric Corp 内燃機関の制御装置
JP3572486B2 (ja) * 1994-03-25 2004-10-06 本田技研工業株式会社 振動騒音制御装置
JPH08312407A (ja) * 1995-05-17 1996-11-26 Yamaha Motor Co Ltd エンジンの運転状態計測方法および制御方法および装置
DE69625451T2 (de) * 1995-06-08 2004-03-11 Renault S.A.S. Verfahren und vorrichtung zum messen des drehmomentes eines thermischen internen verbrennungsmotors
JP4334724B2 (ja) 2000-03-22 2009-09-30 本田技研工業株式会社 内燃機関の筒内圧検出装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019501323A (ja) * 2015-11-13 2019-01-17 コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングContinental Automotive GmbH 内燃機関のピストンストローク位相差、吸気弁ストローク位相差および排気弁位相差を組み合わせて識別するための方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4220454B2 (ja) 2009-02-04
DE602005021381D1 (de) 2010-07-01
EP1801399A1 (en) 2007-06-27
WO2006040934A1 (ja) 2006-04-20
EP1801399A4 (en) 2009-06-17
US20090132144A1 (en) 2009-05-21
CN101040113A (zh) 2007-09-19
US7657359B2 (en) 2010-02-02
CN100476184C (zh) 2009-04-08
EP1801399B1 (en) 2010-05-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7467041B2 (en) Workload calculation apparatus and method for internal combustion engine, and engine control unit
US7647155B2 (en) Apparatus and method for calculating work load engine
EP1801399B1 (en) Apparatus and method for calculating work load of engine
JP3993851B2 (ja) 点火時期を制御する装置
JP2009275618A (ja) 角速度及び角加速度算出装置、トルク推定装置、燃焼状態推定装置
JP4994403B2 (ja) 内燃機関の燃焼トルク推定装置
JP4788640B2 (ja) 内燃機関の筒内圧推定方法および筒内圧推定装置
JP4320029B2 (ja) エンジンの仕事量を算出する装置
JP6934958B2 (ja) 動作中に内燃機関のその時点の圧縮比を算定する方法
JP2008540912A (ja) 内燃機関のシリンダ内で燃焼される燃料質量とシリンダに供給される燃料質量との間の比率を求めるための方法及び装置
JP4866944B2 (ja) レシプロエンジン回転数算出装置及びレシプロエンジン制御装置
US20210372334A1 (en) Engine torque estimating apparatus, engine torque estimating method, and engine control apparatus
JP4803099B2 (ja) 可変圧縮比エンジンのトルク推定装置
JP2009174483A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2004108341A (ja) スロットル開度推定方法およびECU(ElectronicControlUnit)
JP4870793B2 (ja) 内燃機関の図示平均有効圧を計測する装置
JP4173428B2 (ja) 内燃機関の筒内圧検出装置
JP2007309261A (ja) 内燃機関の温度推定装置および制御装置
JP2011157851A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2013174132A (ja) 内燃機関の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081111

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121121

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131121

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees