JP2006111725A - インキ - Google Patents

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Abstract

【課題】 印刷用ブランケットの表面における印刷領域の全面にインキベタを形成する塗布工程、所望のパターンに応じて、上記インキベタのインキを凹版または凸版で除去する除去工程、および、印刷用ブランケットの表面に残存したインキを被印刷体に転写する転写工程をこの順序で実行する印刷方法での使用に適したインキを提供すること。
【解決手段】 樹脂、溶剤および顔料を含むインキにおいて、インキの表面張力を20〜40mN/mの範囲に、前記溶剤の沸点を70〜200℃の範囲に、インキの粘度を5〜50mPa・sの範囲に、印刷用ブランケットのシリコーン層をインキに23℃で24時間浸漬させたときの前記シリコーン層の膨潤率を5〜100%の範囲に、それぞれ設定する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インキに関し、より詳しくは、印刷用ブランケットの表面における印刷領域の全面にインキベタを形成する塗布工程、所望のパターンに応じて、上記インキベタのインキを凹版または凸版で除去する除去工程、および、印刷用ブランケットの表面に残存したインキを被印刷体に転写する転写工程をこの順序で実行する印刷方法での使用に適したインキに関する。
従来、フラットディスプレイ用のカラーフィルターにおけるカラーパターンやブラックマトリックスパターンの形成には、フォトリソグラフィー技術が多用されているが、例えば、材料コスト、廃液の処理コスト、製造環境を整備するためのコストなどが高いという問題がある。そこで、近年、上記パターンの形成に、印刷技術を利用することが検討されている。
通常、印刷技術を利用したパターン形成は、目的とするパターンに応じた画線部(インキ受理部)を有する凹版や凸版を使用し、上記画線部にインキを供給した後、このインキを、シリコーンブランケットなどの中間転写体を介して、被印刷体上に転写することにより達成している。しかし、この場合、印刷版から中間転写体、被印刷体へと、数回にわたってインキが転写されて、転写の度にインキが引き裂かれることから、最終的に被印刷体に転写されたインキパターンは表面に凹凸を有するものとなり、パターンの膜厚に大きなばらつきが生じてしまう。
そこで、特許文献1〜3では、シリコーンブランケットの表面における印刷領域の全面にインキを塗布して、インキベタを形成した後、所定のパターンを有する凹版または凸版を上記インキベタの表面に当接させて、上記凹版または凸版と当接した箇所のインキを上記シリコーンブランケットから除去し、その後に、シリコーンブランケットに残存したインキを被印刷体に転写する印刷方法が提案されている。
特開平11−58921号公報 特開平11−198337号公報 特開2000−289320号公報
しかしながら、上記の印刷方法に用いられているシリコーンブランケットは、表面が撥インキ性を有するものであって、インキに対する濡れ性に乏しいものであることから、表面に塗布したインキが弾かれ易く、厚みの均一なインキベタを形成しにくいという問題がある。
また、連続印刷の実施などによって、シリコーンブランケットがインキの溶剤で膨潤した場合には、インキに対する濡れ性、インキの塗布性が変化することから、インキベタの膜厚を変動するなど、安定したインキベタの形成ができなくなるという問題が生じる。
さらに、印刷に使用するインキが乾燥性に乏しいインキである場合には、被印刷体への転写性が低下して、いわゆるパイリングなどの現象が生じるという問題もある。
そこで、本発明の目的は、印刷用ブランケットの表面における印刷領域の全面にインキベタを形成する塗布工程、所望のパターンに応じて、上記インキベタのインキを凹版または凸版で除去する除去工程、および、印刷用ブランケットの表面に残存したインキを被印刷体に転写する転写工程をこの順序で実行する印刷方法での使用に適したインキを提供することである。
印刷用ブランケットの表面における印刷領域の全面にインキベタを形成する塗布工程、所望のパターンに応じて、上記インキベタのインキを凹版または凸版で除去する除去工程、および、印刷用ブランケットの表面に残存したインキを被印刷体に転写する転写工程をこの順序で実行する印刷方法によれば、インキの分断が生じ得る機会が、印刷用ブランケットから被印刷体にインキパターンを転写するときに限定されることになる。しかも、被印刷体へのインキの転移性に優れた、表面にシリコーン層を有するブランケット(以下、単に「シリコーンブランケット」というときがある。)が用いられることから、実質上、インキの分断を防止して、印刷形状が極めて良好なパターンを形成することができる。
一方、シリコーンブランケットの表面は、撥インキ性が高く、インキに対する濡れ性が乏しくなっており、さらに、精密印刷においては、シリコーンブランケットの表面の凹凸が0.1μm以下といった極めて小さな値となるように調整されていることから、シリコーンブランケットの表面は、インキを塗布しにくい状態となっている。
しかし、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、インキの表面張力、インキの溶剤の沸点、インキの粘度、および、シリコーンブランケットのシリコーン層に対する膨潤率を、それぞれ、所定の範囲に設定したときには、意外にも、シリコーンブランケットに対するインキの塗布性を良好なものとすることができ、上述の印刷方法によって、印刷形状が極めて優れたパターンを安定して形成することができるという事実を見出し、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明は、
(1) シリコーン層を有する印刷用ブランケットの前記シリコーン層の表面における印刷領域の全面にインキを塗布して、インキベタを形成した後、凹版または凸版を前記インキベタの表面に当接させて、前記凹版または凸版と当接した箇所のインキを前記シリコーン層から除去し、前記シリコーン層に残存したインキを被印刷体に転写する印刷方法に用いられるインキであって、
樹脂、溶剤および顔料を含み、
インキの表面張力が20〜40mN/mであり、前記溶剤の沸点が70〜200℃であり、インキの粘度が5〜50mPa・sであり、前記シリコーン層をインキに23℃で24時間浸漬させたときの前記シリコーン層の膨潤率が5〜100%であることを特徴とする、インキ、
(2) 前記顔料の平均一次粒子径が1〜1000nmであることを特徴とする、前記(1)に記載のインキ、
(3) 前記樹脂の重量平均分子量が1000〜20000であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載のインキ、
(4) さらに、顔料分散剤を含むことを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインキ、
を提供するものである。
本発明において、顔料の平均一次粒子径は、動的光散乱法によって測定された一次粒子径の粒径分布に基づいて、メジアン径(50%粒径)として示される粒子径である。
また、本発明において、樹脂の重量平均分子量Mwは、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)分析により測定された標準ポリスチレン換算値である。
本発明のインキによれば、上述の印刷方法によって、印刷用ブランケットの表面に均一なインキベタを安定して形成させることができ、凹版または凸版を用いて上記インキベタから余分なインキを除去する際のインキの転移性、印刷用ブランケットから被印刷体にインキを転写する際のインキの転移性、および、パターンの印刷形状をいずれも良好なものとすることができる。
また、本発明によれば、印刷形状などに優れたパターンを印刷によって形成することから、フォトリソグラフィー技術を使用する従来の方法に比べて、パターン形成に要するコストを抑制することができる。
本発明のインキは、樹脂、溶剤および顔料を含んでいる。
本発明のインキに用いられる樹脂としては、インキ用の樹脂として用いられている種々の樹脂が挙げられるが、なかでも、好ましくは、熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリエステル−メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、熱硬化型メタクリル樹脂などが挙げられる。
上記光硬化型樹脂としては、例えば、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性メタクリル樹脂、紫外線硬化性エポキシ樹脂などが挙げられる。
本発明のインキに用いられる樹脂は、上記例示のなかでも、好ましくは、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、アクリル樹脂が挙げられ、より好ましくは、ポリエステル−メラミン樹脂が挙げられる。
上記樹脂の分子量は、後述するインキの粘度、チキソトロピー性などの、本発明のインキに要求される物性に応じて適宜設定されるものであって、特に限定されるものではないが、樹脂の重量平均分子量Mwは、好ましくは、1000〜20000であり、より好ましくは、5000〜15000であり、さらに好ましくは、10000程度である。
本発明のインキに用いられる溶剤としては、沸点が70〜200℃であり、上記樹脂および後述する着色剤、その他の配合剤に対する良好な分散媒であること以外は、特に限定されるものではなく、インキ用の溶剤として用いられる種々の溶剤が挙げられ、なかでも、好ましくは、アルコール類(特に好ましくは、高級アルコール)、グリコール類、グリコールエステル類、アルキルエーテル類、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、カルボン酸エステル類などの有機溶剤が挙げられる。
インキの溶剤は、インキが印刷用ブランケット上に塗布されると同時に、蒸発し始めるものであって、溶剤が蒸発するにつれて、インキの粘度が上昇する。溶剤の沸点が70℃を下回ると、溶剤の蒸発およびインキの粘度上昇の進行が早くなりすぎ、逆に、溶剤の沸点が200℃を超えると、溶剤の蒸発およびインキの粘度上昇の進行が遅くなりすぎることから、いずれの場合も、パターンを印刷形成する際の作業性が低下することになる。
上記の沸点が70〜200℃である溶剤としては、これに限定されるものではないが、例えば、イソオクタン(沸点99℃)、メトキシプロパノール(沸点121℃)、2−メトキシエタノール(沸点124℃)、酢酸ブチル(沸点126℃)、エチルグリコール(沸点135℃)、メチルグリコールアセテート(沸点145℃)、メトキシプロピルアセテート(沸点146℃)、エチレングリコールモノエチルアセテート(沸点156℃)、3−メトキシブタノール(沸点161℃)、3−メトキシブチルアセテート(沸点171℃)、ベンジルアミン(沸点185℃)などが挙げられる。また、例えば、3−メトキシブタノールとアセトンとの1:2(重量比)混合物(沸点75℃)、3−メトキシブタノールとアセトンとの1:1(重量比)混合物(沸点90℃)、メトキシプロパノールとトルエンとの3:2(重量比)混合物(沸点115℃)、メトキシプロパノールとトルエンとの3:1(重量比)混合物(沸点120℃)、ジエチレングリコールと2−メトキシエタノールとの1:2(重量比)混合物(沸点160℃)などの、2種以上の溶剤からなる混合溶剤であってもよい。
本発明のインキに用いられる顔料としては、インキの着色剤として用いられている種々の顔料が挙げられる。また、例えば、本発明のインキがカラーフィルター形成用のインキである場合には、上記顔料として、例えば、アンスラキノン系レッド顔料、ハロゲン化フタロシアニン系グリーン顔料、フタロシアニン系ブルー顔料などを用いることができ、さらに、イエロー顔料やバイオレット顔料などを補助顔料として用いることもできる。本発明のインキがカラーフィルターの遮光層(ブラックマトリックス)形成用のインキである場合には、顔料として、例えば、カーボンブラック、酸化鉄(鉄黒)、チタンブラック、硫酸鉄、Fe,Co,Moなどの合金などが挙げられる。
上記顔料の粒子径は、インキの樹脂中での分散性、インキのチキソトロピー性に及ぼす影響、印刷されたパターン表面の平坦性に及ぼす影響などを考慮して適宜設定されるものであって、特に限定されるものではないが、好ましくは、平均一次粒子径で、1〜100nmである。
顔料の平均一次粒子径が1nmを下回るものについては、入手が困難であるほか、顔料の凝集性が極めて高くなるために、インキ中での顔料の分散性を低下させるおそれがある。逆に、顔料の平均一次粒子径が100nmを超えるものについては、インキ膜の平坦性を低下させたり、インキベタを形成する際に用いられるスリットダイコーターなどに目詰まりなどの不具合を生じさせたりするおそれがある。
本発明のインキは、上記の樹脂、溶剤および顔料とともに、例えば、顔料分散剤、体質顔料、硬化触媒、レベリング剤(表面張力調整剤)などを含有していてもよい。
顔料分散剤は、本発明のインキに配合される顔料が、粒径の極めて小さいものであることに鑑みて、顔料の凝集を抑制し、インキの樹脂中での顔料の分散性をより一層向上させることを目的として配合されるものである。
上記顔料分散剤としては、これに限定されるものではないが、例えば、顔料の表面に吸着する機能部、および、上記機能部に連結して、インキの樹脂に対して高い相溶性を示す直鎖状の炭化水素基を有するものが挙げられる。
このような顔料分散剤の具体例としては、例えば、アビシア社製の顔料分散剤、商品名「ソルスパース」シリーズが挙げられる。さらに具体的には、分子の末端に上記機能部を有する高分子タイプの顔料分散剤(ソルスパース3000、同9000、同17000、同20000、同27000など)、上記機能部に対して櫛状に上記炭化水素基が連結するコポリマータイプの顔料分散剤(ソルスパース24000GR(SC)、同13000、同26000など)、上記機能部の先端に顔料誘導体などからなる相乗剤を有する、シナジストタイプの顔料分散剤(ソルスパース5000、同12000、同22000など)が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、乾式シリカ(アエロジル)、炭酸カルシウム(CaCO3)、ハードクレー、炭酸マグネシウムなどの微粉末が挙げられる。
硬化触媒としては、使用する樹脂に応じて適宜選択されるものであって、特に限定されるものではないが、例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、安息香酸、マロン酸、コハク酸、トリメリト酸などの、酸性官能基を有する触媒が挙げられる。上記例示の硬化触媒は、単独で用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。
インキの表面張力は、上述のように、20〜40mN/mの範囲に設定される。インキの表面張力が20mN/mを下回ると、印刷用ブランケットの濡れ性が高くなって、印刷用ブランケットの表面でインキが広がり過ぎてしまい、パターン形状を安定させることが困難になる。逆に、インキの表面張力が40mN/mを超えると、印刷用ブランケットの表面にインキを塗布した場合に、インキが凝集し易くなって、印刷用ブランケットの表面でインキが弾かれるといった現象が発生し易くなる。
インキの表面張力は、主として、インキの溶剤を変更したり、インキの溶剤が2種以上の溶剤からなる混合溶剤の場合にはその混合比率を変更したりすることで、適宜調節することができる。これに限定されるものではないが、例えば、インキの表面張力を低く設定するには、フルオロ系やシリコーン系の溶剤を使用すればよく、インキの表面張力を高く設定するには、水素結合性を有する高極性系の溶剤を使用すればよい。
インキの表面張力は、上記範囲のなかでも、好ましくは、25〜35mN/mであり、より好ましくは、30〜35mN/mである。
インキの粘度は、上述のように、5〜50mPa・sの範囲に設定される。インキの粘度が5mPa・sを下回ると、インキが垂れ易くなることから、均一なインキ膜を形成するために、インキの表面張力を高く設定する必要が生じる。従って、インキの表面張力の許容範囲が狭まることになる。逆に、インキの粘度が50mPa・sを超えると、インキの表面張力の許容範囲は拡がるものの、印刷用ブランケットの表面でインキが弾かれ易くなって、印刷用ブランケットの表面に均一なインキ膜を塗布、形成するための操作が行いにくくなる。
インキの粘度は、主として、インキの溶剤を変更したり、インキの溶剤が2種以上の溶剤からなる混合溶剤の場合にはその混合比率を変更したりすることによって、または、インキの溶剤と樹脂との組合せを変更することによって、適宜調節することができる。これに限定されるものではないが、例えば、インキの粘度を小さく設定するには、グリコールエステル系の溶剤や、アルキルエステル系の樹脂を使用すればよく、インキの粘度を大きく設定するには、アルコール系の溶剤や、脂肪族炭化水素系の樹脂を使用すればよい。なお、インキのSP値(溶解度パラメータ)と樹脂のSP値が近い組み合せであるときは、インキの低粘度化を実現することができる。一方、互いのSP値が離れている組み合わせでは、低粘度化を実現しにくいという傾向がある。
インキの粘度は、上記範囲のなかでも、好ましくは、5〜30mPa・sであり、より好ましくは、10〜20mPa・sである。
上述の印刷方法において用いられる、表面にシリコーン層を有する印刷用ブランケットは、表面がシリコーンゴムまたはシリコーン樹脂からなる印刷用ブランケットであって、表面のシリコーン層を上記インキに23℃で24時間浸漬させたときの膨潤率(体積変化率)が、5〜100%であることを特徴としている。
上記膨潤率が5%を下回ると、印刷用ブランケットの表面でインキが弾かれ易くなって、均一なインキ膜を形成することができなくなる。逆に、上記膨潤率が100%を超えるものについては、インキ中の溶剤を急速に吸収するため、インキの乾燥が速くなりすぎるという問題が生じる。
上記膨潤率は、主として、インキの溶剤、または、インキの溶剤と印刷用ブランケットのシリコーン層を形成するシリコーン材料との組合せを変更することによって、適宜調節することができる。これに限定されるものではないが、例えば、上記膨潤率を低く設定するには、アルコール系の溶剤を使用すればよく、上記膨潤率を高く設定するには、脂肪族炭化水素などの炭化水素系の溶剤を使用すればよい。なお、シリコーン材料は極性の低い材料であることから、極性の高いアルコール系溶剤などに対する膨潤度は小さく、逆に、極性の低い炭化水素系の溶剤などに対する膨潤度は大きい。
シリコーン層の膨潤率は、上記範囲のなかでも、好ましくは、10〜50%であり、より好ましくは、10〜30%である。
上記印刷用ブランケットのシリコーン層を形成するシリコーンゴムやシリコーン樹脂については、特に限定されるものではなく、種々のタイプのものを使用することができる。
本発明のインキについて、その製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、上記の樹脂、溶剤、顔料、およびその他の成分を配合して、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ディゾルバーなどのミキサー;ニーダー;ビーズミル、3本ロールミルなどのミルを用いて、混合、撹拌することによって、製造することができる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいてより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
下記の実施例および比較例で使用したインキの溶剤とその沸点は、次のとおりである。
・実施例1、実施例10〜12、比較例14:メトキシプロパノール(121℃)
・実施例2:3−メトキシブタノール(161℃)
・実施例3:メチルグリコールアセテート(145℃)
・実施例4:メトキシプロピルアセテート(146℃)
・実施例5:3−メトキシブチルアセテート(171℃)
・実施例6:エチレングリコールモノエチルアセテート(156℃)
・実施例7:2−メトキシエタノール(124℃)
・実施例8:3−メトキシブタノールとアセトンの混合溶剤(重量比1:2、75℃)
・実施例9:3−メトキシブタノールとアセトンの混合溶剤(重量比1:1、90℃)
・実施例13:メトキシプロパノールとトルエンの混合溶剤(重量比3:2、115℃)
・実施例14:メトキシプロパノールとトルエンの混合溶剤(重量比3:1、120℃)
・比較例1:酢酸ブチル(126℃)
・比較例2:エチルグリコール(135℃)
・比較例3:エチルジグリコール(202℃)
・比較例4:ブチルジグリコール(230℃)
・比較例5:エチルジグリコールアセテート(217℃)
・比較例6:ブチルジグリコールアセテート(247℃)
・比較例7:ジエチレングリコール(244℃)
・比較例8:ベンジルアルコール(205℃)
・比較例9:ベンジルアミン(185℃)
・比較例10:2−メチルペンタン(62℃)
・比較例11:2,3−ジメチルブタン(58℃)
・比較例12:アセトン(56℃)
・比較例13:イソオクタン(99℃)
・比較例15:ジエチレングリコールと2−メトキシエタノールの混合溶剤(重量比1:2、160℃)
下記の実施例および比較例で使用した顔料、顔料分散剤および体質顔料は、次のとおりである。
・レッド顔料:平均1次粒子径が1〜100nmであるアントラキノン系顔料
・グリーン顔料:平均1次粒子径が1〜100nmである臭素化フタロシアニン
・ブルー顔料:平均1次粒子径が1〜100nmである銅フタロシアニン
・顔料分散剤:アビシア社製の顔料分散剤(顔料誘導体タイプ)「ソルスパース5000」と、同社製の顔料分散剤(櫛型コポリマータイプ)「ソルスパース24000GR(SC)」との1:1(重量比)混合物
・体質顔料:乾式シリカ(アエロジル)
<インキの調製>
実施例1
ブルー顔料20重量部、重量平均分子量Mwが10000であるポリエステル−メラミン樹脂100重量部、メトキシプロパノール(沸点121℃)500重量部、顔料分散剤5重量部、および、体質顔料5重量部をプラネタリーミキサーに投入して、予備混合した後、ビーズミルで分散させて、インキを得た。
こうして得られたインキについて、その表面張力(mN/m)を、ウィルヘルミ(プレート)法表面張力計(協和界面科学(株)製、型式「CBVP−A3」)で測定し、その粘度(mPa・s)を、デジタル粘度計(米国ブルックフィールド社製、型式「DV−II+」)で測定した。
また、レッド顔料を使用したインキ、および、グリーン顔料を使用したインキを、上記と同様にして、調製した。
実施例2〜9、13、14および比較例1〜15
インキの溶剤として、メトキシプロパノール(沸点121℃)に代えて、上記溶剤を同量使用したこと以外は、実施例1と同様にしてインキを製造し、その表面張力および粘度を測定した。
実施例10〜12
ポリエステル−メラミン樹脂として、重量平均分子量Mwが21000であるもの(実施例10)、15000であるもの(実施例11)または4000であるもの(実施例12)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインキを製造し、その表面張力および粘度を測定した。
<インキの物性評価および印刷試験>
下記の物性評価および印刷試験において、印刷用ブランケットには、支持体としての厚さ350μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、常温硬化型−付加型のシリコーンからなる厚さ600μmのシリコーン層(ゴム硬度(JISA)40度)を有するシリコーンブランケット(総厚み950μm、シリコーン層の10点平均粗さ0.1μm)を使用した。
(1)シリコーンブランケットの膨潤率
上記シリコーンブランケットのシリコーン層から、厚さ600μm、長さ10mm、幅10mmの試料片を切り出して、実施例1〜14および比較例1〜15で得られたインキに、それぞれ、23℃で24時間浸漬した。
次いで、浸漬前の試料片の体積Aと、浸漬後の試料片の体積Bとの測定値から、式:
(B−A)/A×100
により、シリコーンブランケットの膨潤率(体積変化率)を算出した。
シリコーンブランケットの膨潤率(%)は、5〜100%の範囲にあることが求められる。好ましくは、10〜50%、より好ましくは、10〜30%である。
(2)印刷試験
下記の印刷試験において、印刷用ブランケットには、上記の物性評価に使用したシリコーンブランケットを使用した。
液晶カラーフィルター(対角30インチ)用のガラス基板に対して、上記実施例および比較例で得られたレッド、グリーンおよびブルーの各色のインキを使用して、インキパターンを印刷形成した。インキパターンは、いずれの色のインキについても、線幅100μm、ピッチ300μmのストライプパターンとし、最終的には、レッド、グリーンおよびブルーの順に、ストライプパターンが隙間なく配置されるように設定した。
ストライプパターンの印刷形成に際しては、まず、上記シリコーンブランケットの印刷領域全域に、スリットダイコーターを用いて、上記実施例または比較例で得られたインキ(レッド、グリーンおよびブルーのいずれか)を塗布することによって、シリコーンブランケットの表面に、厚さ約10μm(ウェット時)のインキ膜を形成した。
シリコーンブランケットの表面に形成されたインキ膜については、光学顕微鏡で観察することによって、インキ膜の均一性の評価を実施した。
評価の基準は、次のとおりである。
A:インキ膜の厚みが極めて均一であった。
-:インキ膜の厚みに、わずかにばらつきが生じていたが、実用上問題のない程度であった。
B:インキ膜の厚みに、実用上支障を来たす程度のばらつきが生じていた。
C:インキ膜の厚みのばらつきが顕著であった。
次いで、インキ膜を形成してから約60秒間経過するまで、インキ膜を室温で放置して乾燥させ、さらに、このインキ膜(乾燥後、ドライ時の膜厚約5.0μm)に対し、上記ストライプパターンに対応した、深さ10μmの画線部(凹部)を有する凹版を当接させることによって、上記凹版の非画線部(すなわち、凹版の版表面)に対応する箇所のインキ膜をシリコーンブランケットから除去した。その後、上記シリコーンブランケットの表面に残存したインキ(上記ストライプパターンに相当するインキパターン)を、上記ガラス基板上に転写した。
上記ストライプパターンの印刷形成を、他の2色のインキについても、同様に実施することにより、ガラス基板上にレッド、グリーンおよびブルーの3色のストライプパターンを形成した。
こうしてストライプパターンを印刷形成した後、シリコーンブランケットから凹版へのインキの転移性、シリコーンブランケットから被印刷体であるガラス基板へのインキの転移性、および、上記ガラス基板上に印刷されたパターンの形状(印刷形状)について、評価を実施した。
評価の基準は、次のとおりである。
A:インキの転移性または印刷形状が、極めて良好であった。
-:インキの転移性または印刷形状は概ね良好であって、実用上問題のない程度であった。
B:インキの転移性または印刷形状について、実用上支障を来たす程度の劣化が観察された。
C:インキの転移性または印刷形状の劣化が顕著であった。
以上の結果を、表1〜5に示す。
Figure 2006111725
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表1〜5に示すように、インキの表面張力を20〜40mN/mの範囲に設定し、インキの溶剤として沸点が70〜200℃であるものを使用し、インキの粘度を5〜50mPa・sの範囲に設定し、かつ、シリコーンブランケットのシリコーン層について、上記条件での膨潤率(体積変化率)が5〜100%であるものを使用したときには、インキ膜の均一性、シリコーンブランケットから凹版へのインキの転移性、シリコーンブランケットから被印刷体であるガラス基板へのインキの転移性、および、印刷されたパターンの形状のいずれにおいても、極めて良好な結果を得ることができた。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。

Claims (4)

  1. シリコーン層を有する印刷用ブランケットの前記シリコーン層の表面における印刷領域の全面にインキを塗布して、インキベタを形成した後、凹版または凸版を前記インキベタの表面に当接させて、前記凹版または凸版と当接した箇所のインキを前記シリコーン層から除去し、前記シリコーン層に残存したインキを被印刷体に転写する印刷方法に用いられるインキであって、
    樹脂、溶剤および顔料を含み、
    インキの表面張力が20〜40mN/mであり、前記溶剤の沸点が70〜200℃であり、インキの粘度が5〜50mPa・sであり、前記シリコーン層をインキに23℃で24時間浸漬させたときの前記シリコーン層の膨潤率が5〜100%であることを特徴とする、インキ。
  2. 前記顔料の平均一次粒子径が1〜1000nmであることを特徴とする、請求項1に記載のインキ。
  3. 前記樹脂の重量平均分子量が1000〜20000であることを特徴とする、請求項1または2に記載のインキ。
  4. さらに、顔料分散剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のインキ。
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