JP2006111225A - パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 セルフアライニングトルクの変化に伴いステアリング操作手段の操作が不安定となるのを未然に防ぐことができ、車両挙動が不安定となるのを防止できるパワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】 ステアリングホイール1の操作量に応じて前輪10a,10bを転舵させる舵取り機構2に対し、ドライバの操舵力を補助するアシスト力を出力する電動モータ6を備えたパワーステアリング装置において、PSコントロールユニット11は、前輪10a,10bのセルフアライニングトルクの変化量を予測するセルフアライニングトルク予測手段と、予測されたセルフアライニングトルクの変化量に基づいて、電動モータ6のアシスト力を補償制御するセルフアライニングトルク補償制御手段と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電動モータ等のアシストアクチュエータを用いてドライバの操舵負担を軽減するパワーステアリング装置の技術分野に属する。
従来のパワーステアリング装置では、操舵速度および操舵加速度から旋回保舵状態を検出し、旋回保舵状態のときには操舵時よりもアシスト力を大きくすることで、ドライバの保舵力を軽減している(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−74986号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、旋回保舵状態で加速したとき、前輪のコーナーリングフォースがタイヤの限界付近にある場合には、前輪のセルフアライニングトルクが急減し、これに伴いステアリング反力も急減してしまう。これに対し、ドライバは保舵しようとステアリングに一定のトルクをかけているので、ステアリング反力よりもドライバがステアリングにかけているトルクが大きくなり、前輪が切り増しされ、車両挙動が不安定になるという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、セルフアライニングトルクの変化に伴いステアリング操作手段の操作が不安定となるのを未然に防ぐことができ、車両挙動が不安定となるのを防止できるパワーステアリング装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明では、
ステアリング操作手段の操作量に応じて前輪を転舵させる舵取り機構に対し、ドライバの操舵力を補助するアシスト力を出力するアシストアクチュエータを備えたパワーステアリング装置において、
前記前輪のセルフアライニングトルクの変化量を予測するセルフアライニングトルク予測手段と、
予測されたセルフアライニングトルクの変化量に基づいて、前記アシストアクチュエータのアシスト力を補償制御するセルフアライニングトルク補償制御手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明にあっては、セルフアライニングトルクが変化する前に、セルフアライニングトルクを予測してアシストアクチュエータを補償制御するため、セルフアライニングトルクの変化に伴いステアリング操作手段の操作が不安定となるのを未然に防ぐことができ、車両挙動を安定化させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1のパワーステアリング装置が適用された前輪駆動車(FF車)の全体構成図である。
ドライバの舵取り操作用のステアリングホイール(ステアリング操作手段)1と、舵取り動作を行う舵取り機構2とを連結する操舵軸3に、ステアリングホイール1に加わる操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ(操舵力検出手段)4と、ステアリングホイール1の操舵角を検出する操舵角センサ5と、ドライバの操舵力を補助する電動モータ(アシストアクチュエータ)6とが配置されている。
ステアリングホイール1は、図示しない車室内部のドライバと対向する位置に、軸周りに回動可能に設けられている。舵取り機構2は、操舵軸3の下端に一体形成された図外のピニオンと、これに噛合するラック軸7とを備えるラック&ピニオン式の舵取り装置8により構成されている。ラック軸7は、図示しない車両前部に、左右方向摺動可能に固定されており、その両端は、左右のタイロッド9a,9bを介して操向用の前輪10a,10bに連結されている。
電動モータ6は、電動モータ6の発生トルクを操舵軸3の回転トルクに変換する減速機6aを介して、操舵軸3に結合されている。このモータ5に供給されるモータ電流は、パワーアシストコントロールユニット(以下、PSコントロールユニットと略記する。)11により制御されている。
PSコントロールユニット11には、操舵トルクセンサ4により検出される操舵トルク信号と、操舵角センサ5により検出される操舵角信号と、左右前輪10a,10bおよび左右後輪12a,12bの回転軸にそれぞれ設けられた車輪速センサ13a,13b,13c,13dにより検出される車輪速信号と、図外のアクセルペダルに設けられたアクセルペダルセンサ14により検出されるアクセル開度(スロットル開度)の各センサ信号と、が入力される。同時に、PSコントロールユニット11は、ATコントロールユニット15から、自動変速機(不図示)の現在の変速比を読み込む。
PSコントロールユニット11は、各センサ信号に基づいて、電動モータ6の目標電流値を算出し、電動モータ6の実電流値が、算出された目標電流値と一致するように、電動モータ6を駆動制御する(通常時アシスト)。
さらに、PSコントロールユニット11は、上記旋回保舵状態で車両が加速したとき、前輪10a,10bのタイヤ横力急減によりセルフアライニングトルクが急減した場合でも、保舵状態が保たれるように、電動モータ6のアシスト力を補償制御する(急加速時アシストまたは緩加速時アシスト)。
次に、作用を説明する。
[アシスト制御処理]
図2は、PSコントロールユニット11で実行されるアシスト制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、車速(車体速)を読み込み、ステップS2へ移行する。
ここで、車速は、各車輪速センサ13a,13b,13c,13dで検出された各車輪速の平均値を車速とする。
ステップS2では、操舵トルクセンサ4から操舵トルクを読み込み、ステップS2へ移行する。
ステップS3では、操舵角センサ5から操舵角を読み込み、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、ステップS1で読み込んだ車速と、ステップS2で読み込んだ操舵トルクとから、例えば、図3に示す操舵トルクに対する基本目標電流値マップを参照して電動モータ6の基本目標電流値を算出する。図3の基本目標電流値マップにおいて、目標電流値は、操舵トルクが大きいほど大きくなり、かつ車速が高いほど小さくなるように設定されている。
ステップS5では、旋回保舵状態であるかどうかを検出する(旋回保舵検出手段に相当)。保舵状態である場合には、ステップS6へ移行し、保舵状態ではない場合には、ステップS15へ移行する。
ここで、「旋回保舵状態」の判定は、例えば、ステップS3で読み込んだ操舵角の時間微分である操舵角速度が、所定の速度しきい値よりも小さく、かつ、操舵角速度の時間微分である操舵角加速度が、所定の加速度しきい値よりも小さい場合を、旋回保舵状態とする。
ステップS6では、ATコントロールユニットから現在の自動変速機の変速比を読み込み、ステップS7へ移行する。
ステップS7では、左右前輪10a,10bのスリップ率SL,SRをそれぞれ推定し(スリップ率推定手段に相当)、ステップS8へ移行する。
ここで、スリップ率SL,SRは、車速(車体速)と左右前輪10a,10bの車輪速との差を、車速で割った値として求めることができる。
ステップS8では、ステップS7で推定したスリップ率SL,SRから、左右前輪10a,10bと接する路面の摩擦係数μL,μRをそれぞれ推定し、ステップS9へ移行する。
ここで、μL,μRは、例えば、図4に示すような、スリップ率に対する路面μ特性図を参照して求めることができる。
ステップS9では、アクセルペダルセンサ14からアクセル開度(スロットル開度)を読み込み(スロットル開度検出手段に相当)、ステップS10へ移行する。
ここで、アクセルペダルセンサ14は、アクセル開度として9段階(0/8〜8/8)の信号を出力する。
ステップS10では、ステップS9で読み込んだスロットル開度が5/8以上であるかどうかを判定する(加速検出手段に相当)。YESの場合にはステップS11へ移行し、NOの場合にはステップS12へ移行する。
ステップS11では、ステップS9で読み込んだスロットル開度と、前回の制御周期で読み込んだスロットル開度(前回開度)との差が所定値よりも大きいかどうかを判定する。YESの場合にはステップS13へ移行し、NOの場合にはステップS12へ移行する。
ステップS12では、内外輪のスリップ率SL,SRの差の絶対値|ΔS|が所定値ΔS0よりも大きいかどうかを判定する。YESの場合にはステップS14へ移行し、NOの場合にはステップS15へ移行する。
ステップS13では、内外輪のスリップ率の差による内外輪駆動力差を算出するとともに、算出した内外輪駆動力差と駆動力上昇に伴うタイヤ横力減少分からセルフアライニングトルクの減少分を算出し(セルフアライニングトルク予測手段に相当)、ステップS16へ移行する。
内外輪のスリップ率による内外輪駆動力差は、横加速度に応じて決まる外輪荷重および内輪荷重(車両の諸元)と、ステップS8で算出した左右前輪10a,10bの摩擦係数摩擦係数μL,μRから算出できる。そして、セルフアライニングトルクの減少分は、内外輪駆動力差にキングピンオフセットを乗算した値と、駆動力上昇に伴うタイヤ横力減少分にニューマチックトレールを乗算した値とを加算して算出する。なお、駆動力上昇に伴うタイヤ横力減少分は、縦軸にタイヤ前後力(駆動力・制動力)、横軸にタイヤ横力をとった左右前輪10a,10bの各摩擦円から推定できる。
ここで、「キングピンオフセット」とは、車両を前方から見てキングピン中心線が路面と交わる点と、タイヤの接地中心またはタイヤの中心線が路面と交わる点との距離を言う。また、「ニューマチックトレール」とは、スリップ角がついた状態で転動しているタイヤで、コーナリングフォースまたはサイドフォースの作用点と、タイヤの接地中心を結ぶ直線を、タイヤの進行方向またはタイヤの向きに平行な垂直面に投影したときの距離を言う。
ステップS14では、ディファレンシャルギアのトランスファレシオによる内外輪駆動力差を算出するとともに、算出した内外輪駆動力差と駆動力上昇に伴うタイヤ横力減少分からセルフアライニングトルクの減少分を算出し(セルフアライニングトルク予測手段に相当)、ステップS17へ移行する。
旋回内輪と旋回外輪にそれぞれ伝達される駆動力は、例えば、旋回内輪:旋回外輪=1.3:1.0となるため、ディファレンシャルギアのトランスファレシオによる内外輪駆動力差は、この比に基づいて算出できる。そして、セルフアライニングトルクの減少分は、ステップS13と同様に、内外輪駆動力差にキングピンオフセットを乗算した値と、駆動力上昇に伴うタイヤ横力減少分にニューマチックトレールを乗算した値とを加算して算出する。
ステップS15では、ステップS4で算出した基本目標電流値を電動モータ6の目標電流値とし、この目標電流値に電動モータ6の実電流値が一致するように電動モータ6を駆動する通常時アシストを実行し、リターンへ移行する。
ステップS16は、ステップS4で算出した基本目標電流値から、ステップS13で算出したセルフアライニングトルク減少分を減算した値を電動モータ6の目標電流値とし、この目標電流値に電動モータ6の実電流値が一致するように電動モータ6を駆動する急加速時アシストを実行し(セルフアライニングトルク補償制御手段に相当)、リターンへ移行する。
ステップS17では、ステップS4で算出した基本目標電流値から、ステップS14で算出したセルフアライニングトルク減少分を減算した値を電動モータ6の目標電流値とし、この目標電流値に電動モータ6の実電流値が一致するように電動モータ6を駆動する緩加速時アシストを実行し(セルフアライニングトルク補償制御手段に相当)、リターンへ移行する。
[セルフアライニングトルクの減少に応じたアシスト制御作用]
旋回保舵状態で緩加速した場合には、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS12→ステップS14→ステップS17へと進む流れとなり、ステップS17では、基本目標電流値からセルフアライニングトルク減少分を減算した目標電流値に基づいて緩加速時アシストが実施される。よって、ドライバの保舵力軽減を図りつつ、セルフアライニングトルクの減少に伴う前輪の切り増しが抑制される。
旋回保舵状態で急加速した場合には、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS13→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16では、基本目標電流値からセルフアライニングトルク減少分を減算した目標電流値に基づいて急加速時アシストが実施される。よって、ドライバの保舵力軽減を図りつつ、セルフアライニングトルクの急減に伴う前輪の巻き込み(切り増し方向に転舵される)のを未然に防ぐことができる。
[セルフアライニングトルク補償作用]
図5は、FF車において旋回保舵時にドライバがアクセルペダルを踏み込んで急加速した場合のセルフアライニングトルクの変化を示す図である。図5に示すように、一定車速で旋回している定常旋回状態では、セルフアライニングトルクは一定値となるが、旋回保舵時に急加速した場合には、駆動力上昇に伴うタイヤ横力の急減によってセルフアライニングトルクが急激に減少する。
特にFF車においては、前輪10a,10bの輪荷重は加速に応じて小さくなるため、これに伴いタイヤの摩擦力の限界値を示す摩擦円も小さくなる。よって、定常旋回時に急加速した場合、タイヤのグリップ力が駆動力に費やされることで横力が減少するため、セルフアライニングトルクが急激に減少してしまう。
このとき、ドライバの保舵力と電動モータのアシスト力との和は、定常旋回時のセルフアライニングトルクと釣り合っているため、セルフアライニングトルクの急減により力の釣り合いが崩れ、ステアリングホイールが切り増し方向に回されることで、タイヤが切り込み方向に転舵されてしまう。この問題は、特開2004−74986号公報に記載のパワーステアリング装置のように、保舵状態で旋回しているとき、電動モータのアシスト力を通常操舵時よりも大きくし、保舵力軽減を図るようなシステムにおいて顕著に現れる。
これに対し、実施例1では、保舵状態で加速したとき、セルフアライニングトルクの減少を予測し、予測したセルフアライニングトルクの減少量に応じて、保舵状態が保たれるように電動モータ6のアシスト力を補償制御することにより、ドライバの保舵力は一定のままであっても、保舵力とアシスト力との和とセルフアライニングトルクとの均衡が保たれ、前輪10a,10bが切り増しされるのを未然に防ぐことができる。
図6は、実施例1のセルフアライニングトルク補償作用を示す図である。
実施例1では、ドライバが切り増し操舵している間は、操舵トルクに応じた通常時アシストが実施される。
時点t2において、ドライバがアクセルペダルを踏み込み、セルフアライニングトルクが急減した場合には、これを予測して電動モータ6のアシスト力を低減させているため、保舵状態が維持されている。さらに、時点t3から時点t4の間には、セルフアライニングトルクがドライバの保舵力(操舵力)を下回っているが、このとき、操舵方向とは逆方向にアシスト力を出力する逆アシストを実施しているため、前輪10a,10bが切り増し方向に転舵される巻き込みを未然に防いでいる。
次に、効果を説明する。
実施例1のパワーステアリング装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
(1) ステアリングホイール1の操作量に応じて前輪10a,10bを転舵させる舵取り機構2に対し、ドライバの操舵力を補助するアシスト力を出力する電動モータ6を備えたパワーステアリング装置において、前輪10a,10bのセルフアライニングトルクの変化量を予測するセルフアライニングトルク予測手段と、予測されたセルフアライニングトルクの変化量に基づいて、電動モータ6のアシスト力を補償制御するセルフアライニングトルク補償制御手段と、を備えるため、セルフアライニングトルクの変化に伴いステアリングホイール1の操作が不安定となるのを未然に防ぐことができ、車両挙動の安定化を図ることができる。
(2) ステアリングホイール1の旋回保舵状態を検出する旋回保舵検出手段と、車両が加速しているかどうかを検出する加速検出手段と、を備え、セルフアライニングトルク補償制御手段は、車両が旋回保舵状態で加速しているとき、予測されたセルフアライニングトルクの減少量に応じてアシスト力を小さくするため、旋回保舵時に加速した場合、セルフアライニングトルクの減少に伴い保舵力とアシスト力との和がセルフアライニングトルクを上回り、ステアリングホイール1が切り増しされるのを防止できる。
(3) ドライバの操舵力を検出する操舵トルクセンサ4を備え、セルフアライニングトルク補償制御手段は、予測されたセルフアライニングトルクがドライバの操舵力を下回るとき、ドライバの操舵方向とは逆方向にアシスト力を発生させるため、前輪10a,10bが切り増し方向に転舵される巻き込みを防止できる。
(4) スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段を備え、セルフアライニングトルク予測手段は、スロットル開度に基づいてセルフアライニングトルクの減少量を予測するため、既存の手段を用いてセルフアライニングトルクの減少量を予測できる。
(5) セルフアライニングトルク予測手段は、検出されたスロットル開度が所定開度(5/8)以上、かつ前回開度よりも大きいとき、前輪10a,10b同士を連結するディファレンシャルギアのトランスファレシオに応じた前輪駆動力差に基づいてセルフアライニングトルクの減少量を予測する。すなわち、セルフアライニングトルクが急減し、アシスト力制御に高応答性が求められる急加速時には、ディファレンシャルギア等、車両の諸元からセルフアライニングトルクの減少量を予測することにより、迅速にアシスト力を設定でき、追従性および応答性の高い制御を行うことができる。
(6) 旋回外輪側となる前輪と旋回内輪側となる前輪のスリップ率をそれぞれ推定するスリップ率推定手段を備え、セルフアライニングトルク予測手段は、検出されたスロットル開度が所定開度(5/8)よりも小さいとき、推定された2つのスリップ率の差に応じた前輪駆動力差に基づいてセルフアライニングトルクの減少量を予測する。すなわち、急加速時に比してセルフアライニングトルクが緩やかに減少する緩加速時においては、実際のスリップ率からセルフアライニングトルクの減少量を予測することにより、正確にアシスト力を設定でき、最適なアシスト力の制御を行うことができる。
(7) 前輪10a,10bは、車両の駆動源(エンジンおよび自動変速機)と連結された駆動輪であるため、後輪駆動車(FR車)に比して加速時の駆動力上昇に伴うタイヤ横力急減が顕著であり、旋回急加速時の前輪巻き込みが発生し易いFF車において、前輪10a,10bの巻き込みを確実に防止できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1に示した構成に限られるものではなく、例えば、実施例1では、本発明のパワーステアリング装置を前輪駆動車に適用した例を示したが、4輪駆動車に適用した場合でも、実施例1と同様の効果が得られる。
実施例1において、ステアリングホイールが旋回保舵状態であるとき、目標電流値をより大きくすることにより、ドライバの保舵力を軽減する構成としてもよい。この場合、図2のフローチャートにおいて、ステップS5で保舵状態であると判定された場合には、ステップS4で算出した基本目標電流値に対し、所定の保舵時補正電流値を加算して目標電流値をかさ上げし、通常制御の場合よりも大きな保舵時目標電流値を算出する。このような構成とすることにより、保舵時には通常時アシストよりもアシスト力が大きくなり、ドライバの保舵力が軽減される。なお、保舵時補正電流値の設定方法としては、例えば、所定電流値に対し操舵トルクに比例したゲインを乗算して設定する。
また、実施例1では、アシストアクチュエータとして電動モータを用いた例を示したが、油圧を電動モータで制御可能な油圧パワーステアリング装置であっても本発明を適用できる。
実施例1のパワーステアリング装置が適用された前輪駆動車(FF車)の全体構成図である。 PSコントロールユニット11で実行される操舵力軽減制御処理の流れを示すフローチャートである。 操舵トルクに対する基本目標電流値マップである。 スリップ率に対する路面μ特性図である。 旋回加速時におけるセルフアライニングトルクの変化を示す図である。 実施例1のセルフアライニングトルク補償作用を示す図である。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 舵取り機構
3 操舵軸
4 操舵トルクセンサ
5 操舵角センサ
6 電動モータ
7 ラック軸
8 舵取り装置
9a,9b タイロッド
10a,10b 前輪
11 パワーアシストコントロールユニット
12a,12b 後輪
13a,13b,13c,13d 車輪速センサ
14 アクセルペダルセンサ
15 ATコントロールユニット

Claims (7)

  1. ステアリング操作手段の操作量に応じて前輪を転舵させる舵取り機構に対し、ドライバの操舵力を補助するアシスト力を出力するアシストアクチュエータを備えたパワーステアリング装置において、
    前記前輪のセルフアライニングトルクの変化量を予測するセルフアライニングトルク予測手段と、
    予測されたセルフアライニングトルクの変化量に基づいて、前記アシストアクチュエータのアシスト力を補償制御するセルフアライニングトルク補償制御手段と、
    を備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
    前記ステアリング操作手段の旋回保舵状態を検出する旋回保舵検出手段と、
    車両が加速しているかどうかを検出する加速検出手段と、
    を備え、
    前記セルフアライニングトルク補償制御手段は、車両が旋回保舵状態で加速しているとき、予測されたセルフアライニングトルクの減少量に応じてアシスト力を小さくすることを特徴とするパワーステアリング装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のパワーステアリング装置において、
    ドライバの操舵力を検出する操舵力検出手段を備え、
    前記セルフアライニングトルク補償制御手段は、予測されたセルフアライニングトルクがドライバの操舵力を下回るとき、ドライバの操舵方向とは逆方向にアシスト力を発生させることを特徴とするパワーステアリング装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載のパワーステアリング装置において、
    スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段を備え、
    前記セルフアライニングトルク予測手段は、スロットル開度に基づいてセルフアライニングトルクの減少量を予測することを特徴とするパワーステアリング装置。
  5. 請求項4に記載のパワーステアリング装置において、
    前記セルフアライニングトルク予測手段は、検出されたスロットル開度が所定開度以上、かつ前回開度よりも大きいとき、前輪同士を連結するディファレンシャルギアのトランスファレシオに応じた前輪駆動力差に基づいてセルフアライニングトルクの減少量を予測することを特徴とするパワーステアリング装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載のパワーステアリング装置において、
    旋回外輪側となる前輪と旋回内輪側となる前輪のスリップ率をそれぞれ推定するスリップ率推定手段を備え、
    前記セルフアライニングトルク予測手段は、検出されたスロットル開度が所定開度よりも小さいとき、推定された2つのスリップ率の差に応じた前輪駆動力差に基づいてセルフアライニングトルクの減少量を予測することを特徴とするパワーステアリング装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のパワーステアリング装置において、
    前記前輪は、車両の駆動源と連結された駆動輪であることを特徴とするパワーステアリング装置。
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