JP2006110985A - インクジェット用記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 支持体の少なくとも一方の面に、顔料及び結着剤を含むインク受理層を設けたインクジェット用記録媒体であって、顔料はコロイダルシリカと湿式法で製造された合成非晶質シリカとを含有し、コロイダルシリカの一次粒子径が5〜55nmで、かつコロイダルシリカの一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜3.0であり、結着剤はポリビニルアルコールを含有する。
【選択図】 なし
Description
また、インク受理層表面の20度鏡面光沢度が2〜18%で、像鮮明度光沢が20以下である顔料インク用インクジェット用記録媒体が開示されている(特許文献4参照)。
すなわち、本発明のインクジェット用記録媒体は、支持体の少なくとも一方の面に、顔料及び結着剤を含むインク受理層を設けたインクジェット用記録媒体であって、前記顔料はコロイダルシリカと湿式法で製造された合成非晶質シリカとを含有し、前記コロイダルシリカの一次粒子径が5〜55nmで、かつ前記コロイダルシリカの一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜3.0であり、前記結着剤はポリビニルアルコールを含有する。
又、前記インク受理層がキャストコート法により設けられてなることが好ましい。
前記インク受理層中の顔料が、さらに気相法シリカを含有することが好ましい。理由は明らかではないが、気相法シリカを含有させるとインク受理層のインクの濡れが良好となるため、ベタ印字した際のムラが改善される傾向にある。
本発明に使用される支持体は、シート状のものであればいずれのものを用いることが可能であるが、透気性を有するものが好ましい。例えば塗工紙、未塗工紙等の紙を、支持体に好適に用いることができる。前記紙の原料パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。尚、前記紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよい。また、不透明度を向上させるため、前記紙中に填料を含有させることが好ましいが、この填料は、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂微粒子等、公知の填料の中から適宜選択して使用することができる。操業性の点から、前記紙の透気度は1000秒以下であることが好ましく、又、塗工性の点から紙のステキヒトサイズ度は5秒以上であることが望ましい。
インク受理層の顔料は、後述するコロイダルシリカと、湿式法で製造された合成非晶質シリカとを含有する。
1.コロイダルシリカ
本発明において、コロイダルシリカの一次粒子径を5〜55nm、好ましくは10〜40nmとする。一次粒子径が5nm未満であると、顔料インクを用いたインクジェットプリンターで印字した場合にインク発色性の低下が大きくなる。一次粒子径が55nmを超えると、粒子間の空隙が増えてインク受理層のインク吸収性は良好となるが、不透明性が増大するため、染料インクでインクジェット記録した際の発色性が低下する。
上記した一次粒子径及び比を有するコロイダルシリカをインク受理層に含有させることにより、顔料インクの発色性を大きく向上することができる。一次粒子径及び比が上記範囲であれば、それぞれ一次粒子径及び/又は比の異なる2種以上のコロイダルシリカを併用することもできる。
合成非晶質シリカはその製造法により、湿式法シリカと気相法シリカに大別できる。湿式法で製造された合成非晶質シリカ(以下、適宜「湿式法シリカ」という)は顔料の透明性に関しては気相法シリカに劣るが、ポリビニルアルコールと併用した場合の塗料安定性に優れる。さらに、内部空隙の無い気相法シリカに比べ、湿式法シリカは液への分散性が良好であり、塗料濃度を高くすることが可能である。そのため、インク受理層の顔料として、湿式法シリカを用いると、インク受理層中の顔料比率を高くしてインク受理層の吸収性を高くできるので、インク吸収性を向上できると共に染料インクの発色性を向上できると考えられる。
又、湿式法シリカとしては、ゲル法で製造した「ゲル法シリカ」と、沈降法で製造した「沈降法シリカ」とがある。インク受理層の顔料としては、ゲル法シリカと沈降法シリカのいずれを単独で用いてもよく、これらを併用してもよいが、沈降法シリカを用いるとインク吸収性がより向上するので好ましい。
高い光沢感を得るという点から、湿式法シリカの好ましい2次粒子径は1〜5μmである。また、BET比表面積は150〜500m2/gであることが好ましい。比表面積が大きくなると発色性が低下する傾向にある。
本発明において、(上記コロイダルシリカの質量/上記湿式法で製造された合成非晶質シリカの質量)で表される比が30/70〜85/15であることが好ましく、40/60〜70/30であることがより好ましい。
上記比が30/70未満であると、コロイダルシリカの配合割合が少なくなり、顔料インクの発色性向上が不十分となる傾向がある。また、上記比が85/15を超えてコロイダルシリカの配合量が多くなると、染料インクの発色性が低下する傾向があり、さらに、インク受理層を塗工する際の操業性が低下する場合がある。
さらに、インクジェット記録した際のインク吸収性、発色性および光沢感を損なわない範囲で例えば水酸化アルミニウム、アルミナゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等のアルミナ(α型結晶のアルミナ、θ型結晶のアルミナ、γ型結晶のアルミナ等)、アルミナ水和物、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛等の他の顔料をインク受理層に含有させてもよい。これらの顔料の配合割合は、インク受理層の全顔料に対して10質量%以下とすることが好ましい。
さらに、本発明においては、インク受理層に気相法シリカを含有させることが好ましい。気相法シリカをインク受理層に含有させると、理由は明らかではないが、インク受理層のインクの濡れが良好となるため、ベタ印字した際のムラが改善される傾向にある。
気相法シリカは、乾式法シリカ、又はヒュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。気相法シリカは、具体的には四塩化珪素などの揮発性シラン化合物の酸水素炎中における気相加水分解によって製造され、火炎の温度、酸素と水素の供給比率、及び原料の四塩化珪素供給量等の条件を変更することにより得られる。四塩化ケイ素の代わりに、メチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類を単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル株式会社からアエロジルとして市販され、株式会社トクヤマからレオロシールQSタイプとして市販されており、容易に入手することができる。
又、気相法シリカの比表面積(BET法による)が130m2/g〜300m2/gであると、インク受理層の透明性が高くなり、かつ塗料に配合した際の安定性が良好であるので好ましい。気相法シリカの比表面積が130m2/gより小さい場合、インク受理層の不透明性が増し、インクジェットプリンターで印字した場合の印字濃度が低下する等の不具合を生じる場合がある。気相法シリカの比表面積が300m2/gを越えると、インク受理層の透明性が良好となり、印字濃度が向上するが、塗料の安定性に劣る傾向にあり、塗工性が低下する場合がある。
1.ポリビニルアルコール
インク受理層の結着剤は、ポリビニルアルコールを含有する。ポリビニルアルコールは、いずれのタイプのものを使用してもよく、例えば、ケン化度が98%未満のもの、及びケン化度が98%以上のものを単独で使用し、又は併用することができる。又、ケン化度が98%未満のもの、又は98%以上のものの中から、2種類以上のポリビニルアルコールを併用することもできる。ここで、ケン化度が98%未満のものは、部分ケン化ポリビニルアルコールや中間ケン化ポリビニルアルコールと呼ばれる。ケン化度が98%以上のものは、完全ケン化ポリビニルアルコールと呼ばれる。
ポリビニルアルコールのケン化度が低いほど、インク吸収性が向上する傾向にある。この理由は、ケン化度が低いほどポリビニルアルコールの親水性が高く、インクの吸収性も良好となるためと考えられる。また、ポリビニルアルコールのケン化度が低いほど、発色性が向上する傾向にある。この理由としては、ケン化度が低いほど透明性が高く、そのため塗工層の透明性が高くなり、印字濃度が向上するためと考えられる。
一方、ケン化度が低いほど、塗料安定性が劣る傾向にあり、経時により塗工液が増粘(ひどい時にはプリン状にゲル化)する場合がある。この理由は、ケン化度が低いほど、シリカ(上記した湿式法シリカ及びコロイダルシリカ)との相互作用が強くなるためと考えられる。このため、ポリビニルアルコールのケン化度は80%以上であることが好ましい。
又、上記したように、ポリビニルアルコールのケン化度が低いほど印字適性が向上し、ケン化度が低いほど操業性が向上するので、印字適性及び操業性を両立させる場合には、ケン化度が98%未満のもの、及びケン化度が98%以上のものを所定の配合割合で混合して用いることが好ましい。
又、ポリビニルアルコールの重合度が高くなると、顔料インク印字時の印字濃度が向上する一方、染料インクで印字した際のインク吸収性が劣る傾向にある。顔料インクの印字濃度が向上する理由としては、ポリビニルアルコールの重合度が高いほどインク受理層表面に残り易くなり、そのためインク受理層の柔軟性が高くなってクラック(ひび割れ)が低減することが考えられる。そして、インク受理層のクラックが低減すると、インク中の着色顔料がインク受理層表面に留まり易くなり、顔料インクの発色性(印字濃度)が向上すると考えられる。一方、ポリビニルアルコールの重合度が高くなると、インク溶媒と接触した際のポリビニルアルコールの溶解性が悪くなり、染料インクのインク吸収性が低下すると考えられる。
以上のことから、顔料インクの発色性を向上する点からはポリビニルアルコールの重合度が2000以上であることが好ましく、染料インクのインク吸収性を向上する点からはポリビニルアルコールの重合度が2000未満であることが好ましい。
さらに、顔料インクの発色性と染料インクのインク吸収性とを共に向上させるために、重合度2000以上のポリビニルアルコールと、重合度2000未満のポリビニルアルコールとを併用してもよい。
本発明においては、発色性、インク吸収性、及び光沢感を損なわない範囲で、インク受理層用結着剤として、皮膜形成が可能な高分子化合物を上記ポリビニルアルコールと併用することができる。このような結着剤としては、例えば、澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;カゼイン;ゼラチン;大豆タンパク;スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体;スチレン−ブタジエン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂及びこれらの誘導体;等を用いることができる。インク受理層において、ポリビニルアルコール及びその他の結着剤の合計配合量は、顔料100質量部に対して、5〜30質量部であることが好ましいが、必要な塗工層強度が得られる限り、特に限定されるものではない。結着剤の配合量が多くなると、顔料インクの発色性は向上するが、インク吸収性が低下する傾向にある。
インク受理層には、上記した顔料と結着剤の他に、例えば、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、顔料分散剤、離型剤、発泡剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、耐水化剤、染料定着剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、保水剤、カチオン性高分子電解質等を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜添加することができる。
支持体上にインク受理層用塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコータ、ゲートロールコーター、ショートドウェルコーター等の公知の塗工機をオンマシン、あるいはオフマシンで用いた塗工方法の中から適宜選択することができる。
インク受理層面の75°鏡面光沢度が70%以上であることが好ましい。このようにすると、銀塩写真に匹敵する光沢を有し、さらに高い発色性とインク吸収性を達成したインクジェット用記録媒体が得られる。
インク受理層面に光沢を付与する方法としては、製造コストの点からキャストコーターを用いるキャストコート法が好適である。キャストコート法は、顔料と結着剤とを主成分とする塗工液を支持体上に塗工して塗工層を設け、塗工層をキャストドラムに圧着して光沢仕上げする方法であり、この光沢塗工層が上記インク受理層となる。
キャストコート法としては、(1)塗工層が湿潤状態にある間に、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着して乾燥するウェットキャスト法(直接法)、(2)湿潤状態の塗工層を一旦乾燥又は半乾燥した後に再湿潤液により膨潤可塑化させ、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着し乾燥するリウェット法、(3)湿潤状態の塗工層を凝固処理によりゲル状態にして、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着し乾燥するゲル化キャスト法(凝固法)、の3種類がある。各方法の原理は、湿潤状態の塗工層を鏡面仕上げの面に押し当てて、塗工層表面に光沢を付与するという点では同一である。
本発明においては、インクジェット用記録媒体の最表面のインク受理層をキャストコート法で形成することによって、インク受理層に光沢を付与する。好ましくは、銀塩写真に匹敵する面感、光沢を付与することが可能であるという点で、ゲル化キャストコート法(凝固法)を用いる。
次に、ゲル化キャスト法を用いる場合について説明する。この方法は、上記キャストコート法において、上記塗工層を塗布後、未乾燥の塗工層を凝固液によってゲル化させてから、加熱した鏡面仕上げ面に圧着、乾燥するものである。凝固液を塗布する際に塗工層が乾燥状態であると鏡面ドラム表面を写し取ることが難しく、得られたインク受理層表面に微小な凹凸が多くなり、銀塩写真並の光沢感を得にくい。
凝固液としては、湿潤状態の塗工層中の水系結着剤を凝固する作用を持つもの、例えば、蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩酸、硫酸等のカルシウム、亜鉛、マグネシウム等の各種の塩の溶液が用いられる。特に、水系結着剤としてポリビニルアルコールを用いた場合には、凝固液としてホウ酸とホウ酸塩とを含有する液を用いることが好ましい。ホウ酸とホウ酸塩とを混合して用いることにより、凝固時の塗工層固さを適度なものとすることが容易となり、インク受理層に良好な光沢感を付与できる。凝固液を塗布する方法は、塗工層に塗布できる限り特に制限されず、公知の方法(例えばロール方式、スプレー方式、カーテン方式等)の中から適宜選択することができる。
本発明のインクジェット用記録用紙に使用されるインクとしては、像を形成するための色素と、該色素を溶解または分散する液媒体とを必須成分とし、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整剤、防かび剤、記録剤の溶解または分散安定化剤等を添加して調整したものが挙げられる。
叩解度285mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−に対し、タルク10部、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤0.1部、及び歩留向上剤0.02部を添加し、抄紙機で抄紙した。抄紙の際、デンプンを紙の両面に片面当り固形分で2.5g/m2となるように塗布し、坪量170g/m2の支持体を得た。
(インク受理層の形成)
この支持体の片面に、下記塗工液Aを用いて塗工量が8g/m2となるようにブレードコーターで塗工し、140℃で送風乾燥した。次に、塗工液Aを塗工した面に、ロールコーターを用いて塗工液Bを20g/m2塗工し、塗工層が湿潤状態にある間に、凝固液Cを塗工層に塗布して塗工層を凝固させた。次いで、プレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に塗工層を圧着して鏡面を写し取り、198g/m2のインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液B:顔料として、ピーナツ状のコロイダルシリカ(クォートロンPL−1:扶桑化学工業株式会社、一次粒径14nm、二次粒径33.4nm、一次粒径に対する二次粒径の比が2.39)50部と、沈降法シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ社製の湿式法シリカ、比表面積275m2/g)50部とを配合し、結着剤として部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−617:株式会社クラレの商品名、ケン化度95%、重合度1700)20部を配合し、さらに離型剤(メイカテックスHP50:明成化学工業社製)を2部配合して濃度27%の塗工液を調製した。
凝固液C:(ホウ砂/ホウ酸)で表される配合比が2で、ホウ砂をNa2B4O7で換算し、ホウ酸をH3BO3で換算した時の濃度を6%とし、離型剤(メイカテックスHP50:明成化学工業社製)0.25%、浸透剤(パイオニンD−3120−W:竹本油脂株式会社製の商品名)0.5%、及びpH調整剤としてリンゴ酸0.25%を配合して凝固液を調製した。
塗工液Bにおいて、上記コロイダルシリカ(クォートロンPL−1)の代わりに、球状のコロイダルシリカ(シリカドール30:日本化学工業株式会社の商品名、一次粒径10〜20nmで二次粒子に凝集しないもの)を70部配合し、上記沈降法シリカ(ファインシールX−37、比表面積275m2/g)の配合量を30部とし、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記沈降法シリカ(ファインシールX−37)を配合せず、代わりに気相法シリカ(アエロジル200V:日本アエロジル株式会社の商品名、比表面積約200m2/g)を30部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例5とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−617)の代わりに、ポリウレタン樹脂(TAP309:荒川化学工業株式会社の商品名)を20部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと、及び上記凝固液Cの代わりに以下の凝固液Dを使用したこと以外は、実施例5とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
凝固液D:蟻酸カルシウム5%、離型剤(メイカテックスHP50:明成化学工業社製)0.25%、浸透剤(パイオニンD−3120−W:竹本油脂株式会社製の商品名)0.5%を配合して凝固液を調製した。
各実施例及び比較例のインクジェット記録用キャストコート紙を試料に用い、以下の方法で評価した。
1−1)一次粒子径の測定
塗工液Bに用いたコロイダルシリカの比表面積を窒素吸着法により測定し、以下の(1)式に従い一次粒子径を計算により求めた。
d=6000/(ρ×S)
但し、(1)式中、d:一次粒子径(nm)、ρ:シリカの密度(=2.2g/m3)、S:比表面積(m2/g)を表す。
1−2)二次粒子径の測定
MALVERN INSTRUMENTS社製のZETASIZER 3000HASを用いて測定した。
光沢度計(村上色彩技術研究所製、True GLOSS GM−26PRO)を用い、ISO 8254−1に従って、75°鏡面光沢度と20°鏡面光沢度を測定した。
3−1)印字濃度
インクジェットプリンターとして、染料インクプリンター(PM−950C、セイコーエプソン社製)、及び顔料インクプリンター(PX−G900、セイコーエプソン社製)をそれぞれ用いた。各プリンターにより、試料に黒、シアン、マゼンタ、イエローをベタ印字し、印字濃度をマクベス濃度計(Gretag Macbeth社製、RD−19)で測定した。測定した印字濃度に応じて、以下の総合評価を行った。染料インクでの評価と顔料インクでの総合評価が共に△以上であれば実用上問題がない。
(染料インク)
◎:印字濃度4色の合計が9.0以上
○:印字濃度4色の合計が8.5以上9.0未満
△:印字濃度4色の合計が8.1以上8.5未満
×:印字濃度4色の合計が8.1未満
(顔料インク)
◎:印字濃度4色の合計が5.0以上
○:印字濃度4色の合計が4.5以上5.0未満
△:印字濃度4色の合計が4.1以上4.5未満
×:印字濃度4色の合計が4.1未満
インクジェットプリンターとして、染料インクプリンター(PM−950C、セイコーエプソン社製)、及び顔料インクプリンター(PM−4000px、セイコーエプソン社製)をそれぞれ用いた。上記ベタ印字部の各色境界部の滲み(境界滲み)、及びムラ(シアンベタ印字部分)の程度を5段階評価で目視評価した。目視評価5が最も優れ(滲み、ムラがない)、目視評価1が最も劣る(著しい滲み及びムラがある)ものとした。境界滲み及びムラについてそれぞれ目視評価を行い、これらの総合評価を以下の指標で行った。総合評価が△以上であれば実用上問題がない。
◎:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価がいずれも5である
○:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価がいずれも4.5以上である
△:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価のいずれかが4である
×:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価のいずれかが3.5以下である
得られた結果を表1、2に示す。
気相法シリカを使用した比較例2の場合、顔料インクのインク吸収性が劣り、バインダーとしてウレタンを使用した比較例3の場合、印字濃度だけでなくインク吸収性(境界滲み)も劣るものであった。
Claims (5)
- 支持体の少なくとも一方の面に、顔料及び結着剤を含むインク受理層を設けたインクジェット用記録媒体であって、前記顔料はコロイダルシリカと湿式法で製造された合成非晶質シリカとを含有し、前記コロイダルシリカの一次粒子径が5〜55nmで、かつ前記コロイダルシリカの一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜3.0であり、前記結着剤はポリビニルアルコールを含有するインクジェット用記録媒体。
- (前記コロイダルシリカの質量/前記湿式法で製造された合成非晶質シリカの質量)で表される比が30/70〜85/15である請求項1に記載のインクジェット用記録媒体。
- 前記インク受理層を設けた側の75°鏡面光沢度が70%以上である請求項1又は2に記載のインクジェット用記録媒体。
- 前記インク受理層がキャストコート法により設けられてなる請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
- 前記インク受理層中の顔料が、さらに気相法シリカを含有する請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
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