JP2006110985A - インクジェット用記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光沢度に優れるとともに、染料インク及び顔料インクのいずれを用いても印字適性に優れたインクジェット用記録媒体を提供する。
【解決手段】 支持体の少なくとも一方の面に、顔料及び結着剤を含むインク受理層を設けたインクジェット用記録媒体であって、顔料はコロイダルシリカと湿式法で製造された合成非晶質シリカとを含有し、コロイダルシリカの一次粒子径が5〜55nmで、かつコロイダルシリカの一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜3.0であり、結着剤はポリビニルアルコールを含有する。
【選択図】 なし

Description

本発明はインクジェット記録方式にて印字を行う記録媒体に関し、特に染料インク、顔料インクのいずれを用いても良好な記録画像を得ることができる、インクジェット用記録媒体に関する。
インクジェット用記録媒体は、紙等の支持体表面にシリカ、アルミナなどの多孔質の顔料と結着剤を含有するインク受理層を設けた構成になっていて、このインク受理層にインクの液滴が定着するようになっている。そして、近年のインクジェットプリンターの目覚しい進歩や、デジタルカメラの著しい普及により、インクジェット用記録媒体に要求される品質も年々高くなってきている。
ところで、インクジェット記録方式に用いる記録媒体は、いわゆる上質紙・PPC用紙に似た風合いの普通紙タイプのものと、インク受理層を有することが明らかにわかる塗工紙タイプのものに大別される。さらに塗工紙タイプの記録媒体は、インク受理層に光沢を有するグロスタイプと、光沢を有さないマットタイプとに大別される。特に、従来の銀塩写真に匹敵する光沢を有するインクジェット用記録媒体においては、品質要求が厳しく、技術開発が活発に行われている。
そして、このような光沢インクジェット用記録媒体に要求される品質特性としては、インク乾燥速度が速いこと、印字濃度が高いこと、インクの溢れや滲みがないこと等が挙げられる。これら特性を向上するためには、インク受理層の改善が必要となってくる。例えば、インク受理層を1層以上の層構成とし、少なくとも1層のインク受理層が300nm以下の平均粒径を有するコロイド粒子とカチオン性樹脂とを含有する技術が報告されている(例えば、特許文献1参照)。又、キャスト塗工層中に、(1)1次粒子の平均粒子径が3〜40nmで、2次粒子の平均粒子径が10〜400nmであるシリカ微細粒子と、(2)平均粒子径が200nm以下のコロイダルシリカとを含有する技術が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
一方、近年、顔料の分散技術が発達したことで、顔料を色材とした顔料インクが普及しつつある。顔料インクで画像を記録すると保存性は良好であるが、染料インク用に設計された従来のインクジェット記録用紙に印字を行った場合、画像の発色性が劣ったり、色材(顔料)が記録紙表面から欠落するという問題がある。この問題を解決するために、染料インクと顔料インクのいずれを用いても、良好な記録画像を得られる記録媒体が報告されている(特許文献3参照)。この技術においては、例えば、平均粒子径5〜20μmの非晶質シリカと、鹸化度90.0〜97.0mol%且つ重合度1000〜3500のポリビニルアルコールとを含有し、該非晶質シリカとポリビニルアルコールの構成質量比が100/100〜100/20であるインク受理層を設ける点が開示されている。
また、インク受理層表面の20度鏡面光沢度が2〜18%で、像鮮明度光沢が20以下である顔料インク用インクジェット用記録媒体が開示されている(特許文献4参照)。
特開平9−263039号公報 特開2000−85242号公報 特開2003−94794号公報 特開2002−321448号公報
しかしながら、上記した各技術においては、染料インク、顔料インクのいずれを用いても充分に高い画像濃度を得られるインクジェット記録用紙はいまだ得られていない。例えば、特許文献1、2記載の技術の場合、高光沢な記録媒体は得られるものの、顔料インクで印字した際の発色性が低いという問題がある。また、特許文献3に記載されているインクジェット記録シートにおいては、染料インクと顔料インクのいずれを用いて印字した場合も、発色性は満足できるものではない。特許文献4記載の技術の場合、顔料インクの発色や定着性が良好な記録媒体を得るため、平均粒子直径を1μm以下の顔料を用い、インク受理層の光沢度や表面粗さを調整しているが、染料インクで印字した際の発色性(印字濃度)や吸収性に問題がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、光沢度に優れるとともに、染料インク及び顔料インクのいずれを用いても印字適性(印字濃度、インク吸収性等)に優れたインクジェット用記録媒体の提供を目的とする。
本発明者等は種々検討を行った結果、インク受理層中の顔料として以下のコロイダルシリカと湿式法で製造された合成非晶質シリカを用い、結着剤としてポリビニルアルコールを用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のインクジェット用記録媒体は、支持体の少なくとも一方の面に、顔料及び結着剤を含むインク受理層を設けたインクジェット用記録媒体であって、前記顔料はコロイダルシリカと湿式法で製造された合成非晶質シリカとを含有し、前記コロイダルシリカの一次粒子径が5〜55nmで、かつ前記コロイダルシリカの一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜3.0であり、前記結着剤はポリビニルアルコールを含有する。
(前記コロイダルシリカの質量/前記湿式法で製造された合成非晶質シリカの質量)で表される比が30/70〜85/15であることが好ましく、前記インク受理層を設けた側の75°鏡面光沢度が70%以上であることが好ましい。
又、前記インク受理層がキャストコート法により設けられてなることが好ましい。
前記インク受理層中の顔料が、さらに気相法シリカを含有することが好ましい。理由は明らかではないが、気相法シリカを含有させるとインク受理層のインクの濡れが良好となるため、ベタ印字した際のムラが改善される傾向にある。
本発明によれば、光沢度に優れるとともに、染料インク及び顔料インクのいずれを用いても印字適性に優れたインクジェット用記録媒体が得られる。
以下本発明の実施形態について説明する。本発明のインクジェット用記録媒体は、支持体の少なくとも一方の面に、顔料及び結着剤を含むインク受理層を設けたものである。
(支持体)
本発明に使用される支持体は、シート状のものであればいずれのものを用いることが可能であるが、透気性を有するものが好ましい。例えば塗工紙、未塗工紙等の紙を、支持体に好適に用いることができる。前記紙の原料パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。尚、前記紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよい。また、不透明度を向上させるため、前記紙中に填料を含有させることが好ましいが、この填料は、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂微粒子等、公知の填料の中から適宜選択して使用することができる。操業性の点から、前記紙の透気度は1000秒以下であることが好ましく、又、塗工性の点から紙のステキヒトサイズ度は5秒以上であることが望ましい。
(インク受理層の顔料)
インク受理層の顔料は、後述するコロイダルシリカと、湿式法で製造された合成非晶質シリカとを含有する。
1.コロイダルシリカ
本発明において、コロイダルシリカの一次粒子径を5〜55nm、好ましくは10〜40nmとする。一次粒子径が5nm未満であると、顔料インクを用いたインクジェットプリンターで印字した場合にインク発色性の低下が大きくなる。一次粒子径が55nmを超えると、粒子間の空隙が増えてインク受理層のインク吸収性は良好となるが、不透明性が増大するため、染料インクでインクジェット記録した際の発色性が低下する。
又、前記コロイダルシリカの一次粒子径に対する二次粒子径の比(二次粒子径/一次粒子径)を1.5〜3.0とする。上記比が1.5未満であると、顔料インク及び染料インクの発色性がいずれも著しく低下する。コロイダルシリカの一次粒子径及び二次粒子径はBET法や動的光散乱法等で測定できる。
上記した一次粒子径及び比を有するコロイダルシリカをインク受理層に含有させることにより、顔料インクの発色性を大きく向上することができる。一次粒子径及び比が上記範囲であれば、それぞれ一次粒子径及び/又は比の異なる2種以上のコロイダルシリカを併用することもできる。
なお、本発明におけるコロイダルシリカの分散状態を顕微鏡で観察した場合、球状の単一コロイダルシリカ(一次粒子)が2〜3個連なった(凝集した)ものが多数観察される。このような凝集状態を便宜上、ピーナツ状と表す。そして、本発明におけるコロイダルシリカは、その分散状態を顕微鏡観察した場合に、球状の単一コロイダルシリカが少なくとも5個以上、通常は10個以上凝集したシリカ(房状又は鎖状のコロイダルシリカという)を含まない。但し、ここでいう「含まない」とは、その分散状態を顕微鏡観察した場合に、上記した房状又は鎖状のコロイダルシリカ、又は単一コロイダルシリカがまったく観察されないことをいうのでなく、これらのコロイダルシリカが観察されてもよいが、マクロ的な物性である上記比が1.5〜3.0であればよいものとする。ここで、上記したコロイダルシリカの一次粒子の連結個数を平均した値は、上記比にほぼ対応する。
前記コロイダルシリカは、アルコキシシランを原料としてゾルゲル法により合成し、合成条件によって一次粒子径(BET法粒子径)や二次粒子径(動的光散乱法粒子径)をコントロールすることが好ましい。本発明に使用できるコロイダルシリカとしては、扶桑化学工業社製の商品名クォートロンを挙げることができる。
2.湿式法で製造された合成非晶質シリカ
合成非晶質シリカはその製造法により、湿式法シリカと気相法シリカに大別できる。湿式法で製造された合成非晶質シリカ(以下、適宜「湿式法シリカ」という)は顔料の透明性に関しては気相法シリカに劣るが、ポリビニルアルコールと併用した場合の塗料安定性に優れる。さらに、内部空隙の無い気相法シリカに比べ、湿式法シリカは液への分散性が良好であり、塗料濃度を高くすることが可能である。そのため、インク受理層の顔料として、湿式法シリカを用いると、インク受理層中の顔料比率を高くしてインク受理層の吸収性を高くできるので、インク吸収性を向上できると共に染料インクの発色性を向上できると考えられる。
又、湿式法シリカとしては、ゲル法で製造した「ゲル法シリカ」と、沈降法で製造した「沈降法シリカ」とがある。インク受理層の顔料としては、ゲル法シリカと沈降法シリカのいずれを単独で用いてもよく、これらを併用してもよいが、沈降法シリカを用いるとインク吸収性がより向上するので好ましい。
高い光沢感を得るという点から、湿式法シリカの好ましい2次粒子径は1〜5μmである。また、BET比表面積は150〜500m/gであることが好ましい。比表面積が大きくなると発色性が低下する傾向にある。
3.コロイダルシリカと湿式法シリカの配合比
本発明において、(上記コロイダルシリカの質量/上記湿式法で製造された合成非晶質シリカの質量)で表される比が30/70〜85/15であることが好ましく、40/60〜70/30であることがより好ましい。
上記比が30/70未満であると、コロイダルシリカの配合割合が少なくなり、顔料インクの発色性向上が不十分となる傾向がある。また、上記比が85/15を超えてコロイダルシリカの配合量が多くなると、染料インクの発色性が低下する傾向があり、さらに、インク受理層を塗工する際の操業性が低下する場合がある。
4.その他の顔料
さらに、インクジェット記録した際のインク吸収性、発色性および光沢感を損なわない範囲で例えば水酸化アルミニウム、アルミナゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等のアルミナ(α型結晶のアルミナ、θ型結晶のアルミナ、γ型結晶のアルミナ等)、アルミナ水和物、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛等の他の顔料をインク受理層に含有させてもよい。これらの顔料の配合割合は、インク受理層の全顔料に対して10質量%以下とすることが好ましい。
5.気相法シリカ
さらに、本発明においては、インク受理層に気相法シリカを含有させることが好ましい。気相法シリカをインク受理層に含有させると、理由は明らかではないが、インク受理層のインクの濡れが良好となるため、ベタ印字した際のムラが改善される傾向にある。
気相法シリカは、乾式法シリカ、又はヒュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。気相法シリカは、具体的には四塩化珪素などの揮発性シラン化合物の酸水素炎中における気相加水分解によって製造され、火炎の温度、酸素と水素の供給比率、及び原料の四塩化珪素供給量等の条件を変更することにより得られる。四塩化ケイ素の代わりに、メチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類を単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル株式会社からアエロジルとして市販され、株式会社トクヤマからレオロシールQSタイプとして市販されており、容易に入手することができる。
気相法シリカの平均一次粒径は5〜50nmであることが好ましい。
又、気相法シリカの比表面積(BET法による)が130m/g〜300m/gであると、インク受理層の透明性が高くなり、かつ塗料に配合した際の安定性が良好であるので好ましい。気相法シリカの比表面積が130m/gより小さい場合、インク受理層の不透明性が増し、インクジェットプリンターで印字した場合の印字濃度が低下する等の不具合を生じる場合がある。気相法シリカの比表面積が300m/gを越えると、インク受理層の透明性が良好となり、印字濃度が向上するが、塗料の安定性に劣る傾向にあり、塗工性が低下する場合がある。
インク受理層中の気相法シリカの配合割合は、コロイダルシリカと湿式法シリカの合計量100質量部に対し、気相法シリカを3〜60質量部とすることが好ましい。より好ましくは、上記合計量100質量部に対し、気相法シリカを15〜35質量部とする。気相法シリカの配合割合が少ない場合、ベタ印字した際のムラの改善効果が少なくなる傾向にある。また、気相法シリカの配合割合が多い場合、インク受理層の光沢感が低下する傾向にある。
(インク受理層の結着剤)
1.ポリビニルアルコール
インク受理層の結着剤は、ポリビニルアルコールを含有する。ポリビニルアルコールは、いずれのタイプのものを使用してもよく、例えば、ケン化度が98%未満のもの、及びケン化度が98%以上のものを単独で使用し、又は併用することができる。又、ケン化度が98%未満のもの、又は98%以上のものの中から、2種類以上のポリビニルアルコールを併用することもできる。ここで、ケン化度が98%未満のものは、部分ケン化ポリビニルアルコールや中間ケン化ポリビニルアルコールと呼ばれる。ケン化度が98%以上のものは、完全ケン化ポリビニルアルコールと呼ばれる。
2.ポリビニルアルコールのケン化度
ポリビニルアルコールのケン化度が低いほど、インク吸収性が向上する傾向にある。この理由は、ケン化度が低いほどポリビニルアルコールの親水性が高く、インクの吸収性も良好となるためと考えられる。また、ポリビニルアルコールのケン化度が低いほど、発色性が向上する傾向にある。この理由としては、ケン化度が低いほど透明性が高く、そのため塗工層の透明性が高くなり、印字濃度が向上するためと考えられる。
一方、ケン化度が低いほど、塗料安定性が劣る傾向にあり、経時により塗工液が増粘(ひどい時にはプリン状にゲル化)する場合がある。この理由は、ケン化度が低いほど、シリカ(上記した湿式法シリカ及びコロイダルシリカ)との相互作用が強くなるためと考えられる。このため、ポリビニルアルコールのケン化度は80%以上であることが好ましい。
又、上記したように、ポリビニルアルコールのケン化度が低いほど印字適性が向上し、ケン化度が低いほど操業性が向上するので、印字適性及び操業性を両立させる場合には、ケン化度が98%未満のもの、及びケン化度が98%以上のものを所定の配合割合で混合して用いることが好ましい。
3.ポリビニルアルコールの重合度
又、ポリビニルアルコールの重合度が高くなると、顔料インク印字時の印字濃度が向上する一方、染料インクで印字した際のインク吸収性が劣る傾向にある。顔料インクの印字濃度が向上する理由としては、ポリビニルアルコールの重合度が高いほどインク受理層表面に残り易くなり、そのためインク受理層の柔軟性が高くなってクラック(ひび割れ)が低減することが考えられる。そして、インク受理層のクラックが低減すると、インク中の着色顔料がインク受理層表面に留まり易くなり、顔料インクの発色性(印字濃度)が向上すると考えられる。一方、ポリビニルアルコールの重合度が高くなると、インク溶媒と接触した際のポリビニルアルコールの溶解性が悪くなり、染料インクのインク吸収性が低下すると考えられる。
以上のことから、顔料インクの発色性を向上する点からはポリビニルアルコールの重合度が2000以上であることが好ましく、染料インクのインク吸収性を向上する点からはポリビニルアルコールの重合度が2000未満であることが好ましい。
さらに、顔料インクの発色性と染料インクのインク吸収性とを共に向上させるために、重合度2000以上のポリビニルアルコールと、重合度2000未満のポリビニルアルコールとを併用してもよい。
(他の結着剤)
本発明においては、発色性、インク吸収性、及び光沢感を損なわない範囲で、インク受理層用結着剤として、皮膜形成が可能な高分子化合物を上記ポリビニルアルコールと併用することができる。このような結着剤としては、例えば、澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;カゼイン;ゼラチン;大豆タンパク;スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体;スチレン−ブタジエン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂及びこれらの誘導体;等を用いることができる。インク受理層において、ポリビニルアルコール及びその他の結着剤の合計配合量は、顔料100質量部に対して、5〜30質量部であることが好ましいが、必要な塗工層強度が得られる限り、特に限定されるものではない。結着剤の配合量が多くなると、顔料インクの発色性は向上するが、インク吸収性が低下する傾向にある。
(他の成分)
インク受理層には、上記した顔料と結着剤の他に、例えば、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、顔料分散剤、離型剤、発泡剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、耐水化剤、染料定着剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、保水剤、カチオン性高分子電解質等を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜添加することができる。
(インク受理層の形成)
支持体上にインク受理層用塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコータ、ゲートロールコーター、ショートドウェルコーター等の公知の塗工機をオンマシン、あるいはオフマシンで用いた塗工方法の中から適宜選択することができる。
インク受理層の塗工量は、支持体の表面を覆い、かつ十分なインク吸収性が得られる範囲で任意に調整することができるが、発色性及びインク吸収性を両立させる観点から、片面当たり、固形分換算で5〜30g/mであることが好ましい。
本発明において、インク受理層の必要な塗工量が多い場合には、インク受理層を多層にすることも可能である。また、支持体とインク受理層の間にインク吸収性、接着性、その他各種機能を有するアンダーコート層を設けてもよい。さらに、インク受理層を設けた面と反対の支持体面に、インク吸収性、筆記性、プリンター印字適性、その他各種機能を有するバックコート層をさらに設けてもよい。
(75°鏡面光沢度)
インク受理層面の75°鏡面光沢度が70%以上であることが好ましい。このようにすると、銀塩写真に匹敵する光沢を有し、さらに高い発色性とインク吸収性を達成したインクジェット用記録媒体が得られる。
(キャストコート法)
インク受理層面に光沢を付与する方法としては、製造コストの点からキャストコーターを用いるキャストコート法が好適である。キャストコート法は、顔料と結着剤とを主成分とする塗工液を支持体上に塗工して塗工層を設け、塗工層をキャストドラムに圧着して光沢仕上げする方法であり、この光沢塗工層が上記インク受理層となる。
キャストコート法としては、(1)塗工層が湿潤状態にある間に、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着して乾燥するウェットキャスト法(直接法)、(2)湿潤状態の塗工層を一旦乾燥又は半乾燥した後に再湿潤液により膨潤可塑化させ、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着し乾燥するリウェット法、(3)湿潤状態の塗工層を凝固処理によりゲル状態にして、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着し乾燥するゲル化キャスト法(凝固法)、の3種類がある。各方法の原理は、湿潤状態の塗工層を鏡面仕上げの面に押し当てて、塗工層表面に光沢を付与するという点では同一である。
本発明においては、インクジェット用記録媒体の最表面のインク受理層をキャストコート法で形成することによって、インク受理層に光沢を付与する。好ましくは、銀塩写真に匹敵する面感、光沢を付与することが可能であるという点で、ゲル化キャストコート法(凝固法)を用いる。
キャストコート法は、例えば以下のようにして行う。まず、インク受理層となる塗工液を支持体に塗布する。次に、処理液を塗工層に塗布し、塗工層を湿潤状態にさせる。そして、湿潤状態の塗工層を、加熱した鏡面仕上げ面に圧着し乾燥することにより、インク受理層を形成し、その表面に光沢を付与する。処理液を塗布する際の塗工層は、湿潤状態であっても乾燥状態であってもよいが、特に湿潤状態とした場合には鏡面仕上げ面を写し取りやすく、塗工層表面の微小な凹凸を少なくすることができるので、得られたインク受理層に銀塩写真並の光沢感を付与させ易くなる。処理液を塗布する方法としてはロール、スプレー、カーテン方式等があげられるが、特に限定されない。
(ゲル化キャスト法)
次に、ゲル化キャスト法を用いる場合について説明する。この方法は、上記キャストコート法において、上記塗工層を塗布後、未乾燥の塗工層を凝固液によってゲル化させてから、加熱した鏡面仕上げ面に圧着、乾燥するものである。凝固液を塗布する際に塗工層が乾燥状態であると鏡面ドラム表面を写し取ることが難しく、得られたインク受理層表面に微小な凹凸が多くなり、銀塩写真並の光沢感を得にくい。
凝固液としては、湿潤状態の塗工層中の水系結着剤を凝固する作用を持つもの、例えば、蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩酸、硫酸等のカルシウム、亜鉛、マグネシウム等の各種の塩の溶液が用いられる。特に、水系結着剤としてポリビニルアルコールを用いた場合には、凝固液としてホウ酸とホウ酸塩とを含有する液を用いることが好ましい。ホウ酸とホウ酸塩とを混合して用いることにより、凝固時の塗工層固さを適度なものとすることが容易となり、インク受理層に良好な光沢感を付与できる。凝固液を塗布する方法は、塗工層に塗布できる限り特に制限されず、公知の方法(例えばロール方式、スプレー方式、カーテン方式等)の中から適宜選択することができる。
又、上記塗工液及び/又は凝固液には、必要に応じて剥離剤を添加することができる。剥離剤の融点は90〜150℃であることが好ましく、特に95〜120℃であることが好ましい。上記の温度範囲においては、剥離剤の融点が鏡面仕上げ面の温度とほぼ同等であるため、剥離剤としての能力が最大限に発揮される。剥離剤は上記特性を有していれば特に限定されるものではないが、ポリエチレン系のワックスエマルジョンを用いることが好ましい。
(インク)
本発明のインクジェット用記録用紙に使用されるインクとしては、像を形成するための色素と、該色素を溶解または分散する液媒体とを必須成分とし、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整剤、防かび剤、記録剤の溶解または分散安定化剤等を添加して調整したものが挙げられる。
インクに使用される色素(記録剤)としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料、及び各種顔料等があげられるが、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。色素の含有量は、液媒体成分の種類、インクに要求される特性などに応じて決定されるが、従来のインク中と同様に、液媒体の0.1〜20質量%程度の割合になるように色素を含有させてよい。
インクの液媒体としては、水、及び水溶性の各種有機溶剤が挙げられる。水溶性の有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、、ポロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン等のエーテル類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;などが挙げられる。
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、特に明示しない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
(支持体の製造)
叩解度285mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−に対し、タルク10部、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤0.1部、及び歩留向上剤0.02部を添加し、抄紙機で抄紙した。抄紙の際、デンプンを紙の両面に片面当り固形分で2.5g/mとなるように塗布し、坪量170g/m2の支持体を得た。
(インク受理層の形成)
この支持体の片面に、下記塗工液Aを用いて塗工量が8g/mとなるようにブレードコーターで塗工し、140℃で送風乾燥した。次に、塗工液Aを塗工した面に、ロールコーターを用いて塗工液Bを20g/m塗工し、塗工層が湿潤状態にある間に、凝固液Cを塗工層に塗布して塗工層を凝固させた。次いで、プレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に塗工層を圧着して鏡面を写し取り、198g/mのインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液A:顔料として沈降法シリカ(ファインシールX−37B:株式会社トクヤマ社製の湿式法シリカ、比表面積287m/g)100部を配合し、結着剤としてスチレンブタジエンラテックス(LX438C:住友化学工業株式会社製の商品名)5部及びポリビニルアルコール(PVA117:株式会社クラレ社製の商品名)24部を配合し、サイズ剤(ポリマロン360:荒川化学工業株式会社製の商品名)5部を配合して濃度20%の水性塗工液を調製した。
塗工液B:顔料として、ピーナツ状のコロイダルシリカ(クォートロンPL−1:扶桑化学工業株式会社、一次粒径14nm、二次粒径33.4nm、一次粒径に対する二次粒径の比が2.39)50部と、沈降法シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ社製の湿式法シリカ、比表面積275m/g)50部とを配合し、結着剤として部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−617:株式会社クラレの商品名、ケン化度95%、重合度1700)20部を配合し、さらに離型剤(メイカテックスHP50:明成化学工業社製)を2部配合して濃度27%の塗工液を調製した。
凝固液C:(ホウ砂/ホウ酸)で表される配合比が2で、ホウ砂をNa24で換算し、ホウ酸をH3BOで換算した時の濃度を6%とし、離型剤(メイカテックスHP50:明成化学工業社製)0.25%、浸透剤(パイオニンD−3120−W:竹本油脂株式会社製の商品名)0.5%、及びpH調整剤としてリンゴ酸0.25%を配合して凝固液を調製した。
塗工液Bにおいて、上記コロイダルシリカ(クォートロンPL−1)の代わりに、コロイダルシリカ(クォートロンPL−2:扶桑化学工業株式会社、一次粒径22.9nm、二次粒径51.0nm、一次粒径に対する二次粒径の比が2.23)を50部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記コロイダルシリカ(クォートロンPL−1)の代わりに、コロイダルシリカ(クォートロンPL−3:扶桑化学工業株式会社、一次粒径35.6nm、二次粒径65.0nm、一次粒径に対する二次粒径の比が1.83)を50部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記沈降法シリカ(ファインシールX−37、比表面積275m/g)の代わりに、沈降法シリカ(ファインシールX−37B:株式会社トクヤマ社製の湿式法シリカ、比表面積287m/g)を50部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記コロイダルシリカ(クォートロンPL−2)の配合量を70部に変更し、上記沈降法シリカ(ファインシールX−37)の配合量を30部に変更し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記コロイダルシリカ(クォートロンPL−2)の配合量を60部に変更し、上記沈降法シリカ(ファインシールX−37)の配合量を40部に変更し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記コロイダルシリカ(クォートロンPL−2)の配合量を60部に変更し、上記沈降法シリカ(ファインシールX−37)の配合量を20部に変更し、さらに顔料として、比表面積約200m/gの気相法シリカ(アエロジル200V:日本アエロジル株式会社の商品名)を20部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−617)の代わりに、部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−624:株式会社クラレの商品名、ケン化度95%、重合度2400)を20部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−617)の代わりに、部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−217:株式会社クラレの商品名、ケン化度88%、重合度1700)を20部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−617)の代わりに、完全ケン化ポリビニルアルコール(PVA−117:株式会社クラレの商品名、ケン化度98%、重合度1700)を20部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−617)の配合量を15部に変更し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−617)の配合量を25部に変更し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−617)の配合量を10部に変更し、さらに、完全ケン化ポリビニルアルコール(PVA−113:株式会社クラレの商品名、ケン化度98.5%、重合度1300)を10部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−617)の配合量を10部に変更し、さらに、完全ケン化ポリビニルアルコール(PVA−105:株式会社クラレの商品名、ケン化度98.5%、重合度500)を10部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
塗工液Bにおいて、上記部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−617)の配合量を10部に変更し、さらに、完全ケン化ポリビニルアルコール(PVA−105:株式会社クラレの商品名、ケン化度98.5%、重合度500)を10部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例7とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
<比較例1>
塗工液Bにおいて、上記コロイダルシリカ(クォートロンPL−1)の代わりに、球状のコロイダルシリカ(シリカドール30:日本化学工業株式会社の商品名、一次粒径10〜20nmで二次粒子に凝集しないもの)を70部配合し、上記沈降法シリカ(ファインシールX−37、比表面積275m/g)の配合量を30部とし、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
<比較例2>
塗工液Bにおいて、上記沈降法シリカ(ファインシールX−37)を配合せず、代わりに気相法シリカ(アエロジル200V:日本アエロジル株式会社の商品名、比表面積約200m2/g)を30部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと以外は、実施例5とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
<比較例3>
塗工液Bにおいて、上記部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−617)の代わりに、ポリウレタン樹脂(TAP309:荒川化学工業株式会社の商品名)を20部配合し、濃度27%の塗工液を調製したこと、及び上記凝固液Cの代わりに以下の凝固液Dを使用したこと以外は、実施例5とまったく同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
凝固液D:蟻酸カルシウム5%、離型剤(メイカテックスHP50:明成化学工業社製)0.25%、浸透剤(パイオニンD−3120−W:竹本油脂株式会社製の商品名)0.5%を配合して凝固液を調製した。
<評価方法>
各実施例及び比較例のインクジェット記録用キャストコート紙を試料に用い、以下の方法で評価した。
1)コロイダルシリカの特性
1−1)一次粒子径の測定
塗工液Bに用いたコロイダルシリカの比表面積を窒素吸着法により測定し、以下の(1)式に従い一次粒子径を計算により求めた。
d=6000/(ρ×S)
但し、(1)式中、d:一次粒子径(nm)、ρ:シリカの密度(=2.2g/m)、S:比表面積(m/g)を表す。
1−2)二次粒子径の測定
MALVERN INSTRUMENTS社製のZETASIZER 3000HASを用いて測定した。
2)光沢度
光沢度計(村上色彩技術研究所製、True GLOSS GM−26PRO)を用い、ISO 8254−1に従って、75°鏡面光沢度と20°鏡面光沢度を測定した。
3)印字適性
3−1)印字濃度
インクジェットプリンターとして、染料インクプリンター(PM−950C、セイコーエプソン社製)、及び顔料インクプリンター(PX−G900、セイコーエプソン社製)をそれぞれ用いた。各プリンターにより、試料に黒、シアン、マゼンタ、イエローをベタ印字し、印字濃度をマクベス濃度計(Gretag Macbeth社製、RD−19)で測定した。測定した印字濃度に応じて、以下の総合評価を行った。染料インクでの評価と顔料インクでの総合評価が共に△以上であれば実用上問題がない。
(染料インク)
◎:印字濃度4色の合計が9.0以上
○:印字濃度4色の合計が8.5以上9.0未満
△:印字濃度4色の合計が8.1以上8.5未満
×:印字濃度4色の合計が8.1未満
(顔料インク)
◎:印字濃度4色の合計が5.0以上
○:印字濃度4色の合計が4.5以上5.0未満
△:印字濃度4色の合計が4.1以上4.5未満
×:印字濃度4色の合計が4.1未満
3−2)インク吸収性
インクジェットプリンターとして、染料インクプリンター(PM−950C、セイコーエプソン社製)、及び顔料インクプリンター(PM−4000px、セイコーエプソン社製)をそれぞれ用いた。上記ベタ印字部の各色境界部の滲み(境界滲み)、及びムラ(シアンベタ印字部分)の程度を5段階評価で目視評価した。目視評価5が最も優れ(滲み、ムラがない)、目視評価1が最も劣る(著しい滲み及びムラがある)ものとした。境界滲み及びムラについてそれぞれ目視評価を行い、これらの総合評価を以下の指標で行った。総合評価が△以上であれば実用上問題がない。
◎:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価がいずれも5である
○:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価がいずれも4.5以上である
△:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価のいずれかが4である
×:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価のいずれかが3.5以下である
得られた結果を表1、2に示す。
Figure 2006110985
Figure 2006110985
表1及び表2から明らかなように、各実施例の場合、光沢度に優れるとともに、染料インク及び顔料インクのいずれを用いても印字適性(印字濃度、インク吸収性)が良好であった。
特に、インク受理層にさらに気相法シリカを含有させた実施例7、15の場合、染料インク印字時のベタ部印字ムラがなく、インク吸収性の評価が最も良好であった。
また、インク受理層の結着剤として、部分ケン化PVAと完全ケン化PVAを併用した実施例13〜15の場合、光沢度、染料インク及び顔料インクの印字適性は他の実施例と同等であり、さらに、インク受理層用塗工液の調製や管理が他の実施例に比べて容易であり、生産性の点で優れたものとなった。
一方、二次粒子として凝集せず、球状のコロイダルシリカを使用した比較例1の場合、顔料インク及び染料インクを用いた際の印字濃度がいずれも劣ったものとなった。
気相法シリカを使用した比較例2の場合、顔料インクのインク吸収性が劣り、バインダーとしてウレタンを使用した比較例3の場合、印字濃度だけでなくインク吸収性(境界滲み)も劣るものであった。

Claims (5)

  1. 支持体の少なくとも一方の面に、顔料及び結着剤を含むインク受理層を設けたインクジェット用記録媒体であって、前記顔料はコロイダルシリカと湿式法で製造された合成非晶質シリカとを含有し、前記コロイダルシリカの一次粒子径が5〜55nmで、かつ前記コロイダルシリカの一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜3.0であり、前記結着剤はポリビニルアルコールを含有するインクジェット用記録媒体。
  2. (前記コロイダルシリカの質量/前記湿式法で製造された合成非晶質シリカの質量)で表される比が30/70〜85/15である請求項1に記載のインクジェット用記録媒体。
  3. 前記インク受理層を設けた側の75°鏡面光沢度が70%以上である請求項1又は2に記載のインクジェット用記録媒体。
  4. 前記インク受理層がキャストコート法により設けられてなる請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
  5. 前記インク受理層中の顔料が、さらに気相法シリカを含有する請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
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