JP2006108223A - 比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法 - Google Patents

比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法 Download PDF

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Muneaki Watanabe
宗明 渡辺
Ryoji Nakayama
亮治 中山
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Abstract

【課題】比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法を提供する。
【解決手段】軟磁性金属粉末または酸化処理した軟磁性金属粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を、温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの真空または不活性ガス雰囲気中で加熱することによりマグネシウム被覆軟磁性粉末を作製し、このマグネシウム被覆軟磁性粉末を酸化性雰囲気中に放置するかまたは酸化性雰囲気中で加熱することにより酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末を作製し、この酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末に酸化ケイ素を添加し混合して混合物を作製し、この混合物を圧縮成形して成形体を作製した後これを焼成する。
【選択図】 なし

Description

この発明は、比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材を製造する方法に関するものであり、この焼結複合軟磁性材はアクチュエータ、ヨークなど各種電磁気回路部品に使用される。
アクチュエータ、ヨークなど各種電磁気回路部品に使用される軟磁性材は、鉄損が小さいことが要求されるため、電気抵抗が高く、ヒステリシス損を小さくするために保磁力が小さいことが要求されることは一般に知られていることである。さらに、近年、電磁気回路の小型化、高応答化が求められているところから、磁束密度がより高いことも重要視されている。
かかる軟磁性材からなる磁芯材の一例として軟磁性金属粉末と、シリコーン樹脂またはシランカップリング剤の少なくとも一方と、MgCO粉末またはMgO粉末の少なくとも一方とを混合した混和物を圧縮成形し、得られた成形体を焼成する焼結複合軟磁性材の製造方法が知られている(特許文献1参照)。
そして、前記金属軟磁性磁粉末としては、鉄粉末、絶縁処理鉄粉末、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末などが一般に知られている。
特開2003−217919号公報
しかし、前記従来の方法で得られた焼結複合軟磁性材は十分な強度が得られないという欠点があった。
そこで、本発明者らは、かかる課題を解決すべく研究を行った結果、
(イ)軟磁性金属粉末または酸化処理した軟磁性金属粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの真空もしくは不活性ガス雰囲気中で加熱すると、軟磁性金属粉末または酸化処理した軟磁性金属粉末の表面にMgが拡散して密着したMg被覆軟磁性金属粉末が形成され、このMg被覆軟磁性金属粉末を引き続いて酸化性雰囲気中、温度:50〜400℃で加熱すると、軟磁性金属粉末または酸化処理した軟磁性金属粉末表面にMgO絶縁被膜を有する酸化マグネシウム被覆複合軟磁性金属粉末が得られ、この酸化マグネシウム被覆複合軟磁性金属粉末は、軟磁性金属粉末の表面とMgO絶縁被膜とが拡散層を介して接合しているために軟磁性金属粉末または酸化処理した軟磁性金属粉末表面に対するMgO絶縁被膜の密着性が格段に優れたものとなり、このMgO被覆軟磁性金属粉末に酸化ケイ素を添加し混合して混合物を作製し、この混合物を圧縮成形したのち焼成すると、MgO被覆軟磁性金属粉末のMgOは酸化ケイ素と反応してMgOとSiOの複合酸化物が形成され、軟磁性金属粒の粒界に高抵抗を有するMgOとSiOの複合酸化物が介在した比抵抗に優れた焼結複合軟磁性材が得られるとともにMgO被覆軟磁性金属粉末は大部分が酸化ケイ素を介して焼結されるために機械的強度の優れた焼結複合軟磁性材を製造することができる、
(ロ)この場合、酸化ケイ素が主体となって焼結されるために比較的低温で焼結することができるところから保磁力を小さく保つことができ、したがって、ヒステリシス損の少ない焼結複合軟磁性材を製造することができる、
(ハ)前記軟磁性金属粉末は、鉄粉末、絶縁処理鉄粉末、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末またはFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末の内のいずれであっても良い、
(ニ)前記焼成は、不活性ガス雰囲気または酸化性ガス雰囲気中、温度:400〜1300℃で行われることが好ましい、などの研究結果が得られたのである。
この発明は、かかる研究結果に基づいてなされたものであって、
(1)軟磁性金属粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を、温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの真空または不活性ガス雰囲気中で加熱することによりマグネシウム被覆軟磁性粉末を作製し、このマグネシウム被覆軟磁性粉末を酸化性雰囲気中に放置するかまたは酸化性雰囲気中で加熱することにより酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末を作製し、この酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末に酸化ケイ素を添加し混合して混合物を作製し、この混合物を圧縮成形して成形体を作製した後これを焼成することを特徴とする比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法、
(2)酸化処理した軟磁性金属粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を、温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの真空または不活性ガス雰囲気中で加熱することによりマグネシウム被覆軟磁性粉末を作製し、このマグネシウム被覆軟磁性粉末を酸化性雰囲気中に放置するかまたは酸化性雰囲気中で加熱することにより酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末を作製し、この酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末に酸化ケイ素を添加し混合して混合物を作製し、この混合物を圧縮成形したのち焼成する比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法、
(3)前記(2)記載の酸化処理は、酸化雰囲気中、温度:40〜500℃で加熱処理するか、または蒸留水中もしくは純水中、温度:50〜100℃で加熱処理する比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法、
(4)前記マグネシウム被覆軟磁性粉末を酸化性雰囲気中で加熱することにより酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末を作製する温度は50〜400℃の範囲内で行う前記(1)、(2)または(3)記載の比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法、
(5)前記混合物は、酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末に0.5μm以下の二酸化ケイ素粉末を添加して混合するかまたは酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末にシリケート溶液を添加し混合したのち乾燥することにより製造する前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法、
(6)前記成形体の焼成は、不活性ガス雰囲気中または大気を含む酸化性雰囲気中、温度:400〜1300℃で行われる前記(1)、(2)、(3)、(4)または(5)記載の比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法、
(7)前記軟磁性金属粉末は、鉄粉末、絶縁処理鉄粉末、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末またはFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末である前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)または(6)記載の比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法、
に特徴を有するものである。
この発明の焼結複合軟磁性材の製造方法において、Mg被覆軟磁性金属粉末を製造するために軟磁性金属粉末に添加し混合するMg粉末の量は0.05〜2質量%の範囲内にあることが一層好ましい。その理由は、軟磁性金属粉末に対するMg粉末の添加量が0.05質量未満では形成されるMg被膜の量が不十分であり、したがって、十分な量のMgO絶縁皮膜が得られないからであり、一方、2質量%を越えて添加すると、Mg被膜の厚さが厚くなり過ぎてMgO絶縁被膜の量が多くなりすぎ、この酸化マグネシウム被覆複合軟磁性金属粉末を燒結して得られた複合軟磁性材の磁束密度が低下するようになるので好ましくいないからである。
軟磁性金属粉末または酸化処理した軟磁性金属粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの真空または不活性ガス雰囲気中で加熱する。ここで加熱雰囲気を圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの真空または不活性ガス雰囲気としたのは圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気であって高真空と言える雰囲気を含むからである。
また、加熱温度を150〜1100℃にした理由は、温度:150℃未満では圧力を1×10−12MPa未満にする必要があり、工業的に困難でありまた効果的でなく、一方、温度:1100℃を越えるとMgのロスが多いために好ましくなく、さらに圧力が1×10−1MPaを越えると、Mg被膜の被覆効率が低下し、また形成されるMg被膜の厚さが不均一となるので好ましくないことによるものである。軟磁性金属粉末とMg粉末の混合粉末の加熱温度の一層好ましい範囲は300〜900℃であり、雰囲気圧力の一層好ましいは範囲は1×10−10〜1×10−2MPaである。
前記磁性金属粉末または酸化処理した軟磁性金属粉末とMg粉末の混合粉末はかかる条件で転動しながら加熱することが一層好ましく、かかる条件で加熱すると軟磁性金属粉末または酸化処理した軟磁性金属粉末の表面にMg被膜が形成されてMg被覆軟磁性金属粉末が形成され、Mg被覆軟磁性金属粉末を製造することができる。
このMg被覆軟磁性金属粉末は大気中などの酸化性雰囲気中に放置するだけでMg層が酸化し、表面にMgO絶縁被膜が形成されたMgO被覆軟磁性金属粉末が得られるが、軟磁性金属粉末の表面に形成されたMg層を十分に酸化するためには酸化性雰囲気中で高温で保持することが好ましく、その温度は50℃以上が好ましいが、400℃を越えて加熱すると焼結が始まるので好ましくない。したがって、酸化温度は50〜400℃に定めた。
かかる条件で作製したMgO被覆軟磁性金属粉末に酸化ケイ素を添加して混合物を作製し、この混合物を圧縮成形して圧粉体を作製し、この圧粉体を温度:400〜1300℃、酸化性雰囲気中または不活性ガス雰囲気中で燒結して複合軟磁性材を作製する。この温度範囲は軟磁性金属粉末の組成によって多少異なるが、焼結温度として特に新規なものではなく通常の焼結温度の範囲内である。前記混合物は、酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末に0.5μm以下の酸化ケイ素粉末を0.05〜1質量%添加して混合するかまたは酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末にシリケート溶液をSiO換算で0.05〜1質量%添加し混合したのち乾燥することにより製造することが好ましい。この時の乾燥温度は50〜150℃の範囲内の温度が一層好ましい。
この発明の複合軟磁性金属粉末の製造方法で使用する軟磁性金属粉末は、従来から一般に知られている鉄粉末、絶縁処理鉄粉末、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末であり、一層具体的には、鉄粉末は純鉄粉末であり、絶縁処理鉄粉末はリン酸塩被覆鉄粉末であり、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末はP:0.6%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−P系鉄基軟磁性合金粉末であり
Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末はAl:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−15%Alからなる組成を有するアルパーム粉末)であり、
Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末はNi:35〜85%を含有し、必要に応じてMo:5%以下、Cu:5%以下、Cr:2%以下、Mn:0.5%以下の内の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるニッケル基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−49%Ni粉末)であり、
Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末はCr:1〜20%を含有し、必要に応じてAl:5%以下、Ni:5%以下の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末は、Si:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末は、Si:0.1〜10%、Al:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末でり、
Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末は、Co:0.1〜52%、V:0.1〜3%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末(以上、%は質量%を示す)であることが好ましい。
そして、これら軟磁性金属粉末は平均粒径:5〜500μmの範囲内にある軟磁性金属粉末を使用することが好ましい。その理由は、平均粒径が5μmより小さすぎると、粉末の圧縮性が低下し、軟磁性金属粉末の体積割合が低くなるために磁束密度の値が低下するので好ましくなく、一方、平均粒径が500μmより大きすぎると、軟磁性金属粉末内部の渦電流が増大して高周波における透磁率が低下することによるものである。
この発明の方法で作製した焼結複合軟磁性材は、比抵抗および機械的強度の一層優れた焼結複合軟磁性材を得ることができ、電気・電子産業上優れた効果をもたらすものである。
軟磁性金属粉末の原料粉末として、いずれも平均粒径:70μmを有する、
純鉄粉末(以下、この純鉄粉末を原料粉末Aという)、
リン酸塩被覆鉄粉末(以下、このリン酸塩被覆鉄粉末を原料粉末Bという)、
P:0.6質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−P系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−P系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Cという)、
Al:10質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Dという)、
Ni:49質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Eという)、
Cr:10質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Fという)、
Si:3質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このアトマイズFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Gという)、
Si:3質量%、Al:3質量を含有し、残部:FeからなるアトマイズFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Hという)、
Co:30%、V:2%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Iという)を用意した。
さらに、平均粒径:30μmのMg粉末、平均粒径:5μmのMgO粉末、平均粒径:0.1μmのSiO2粉末およびシリケート溶液を用意した。
実施例1
原料粉末A(純鉄粉末)を大気中、温度:200℃に保持することにより酸化処理した原料粉末Aを作製し、この酸化処理した原料粉末Aに対してMg粉末:0.2質量%の配合割合となるように配合し、この配合粉末を表1に示される雰囲気中および温度に保持し転動しながら混合するMg膜形成処理を施すことによりMg被覆軟磁性金属粉末を作製した。このMg被覆軟磁性金属粉末にさらに大気中、表1に示される温度で加熱する酸化処理を施すことによりMgO被覆軟磁性金属粉末を作製した。
得られたMgO被覆軟磁性金属粉末にシリケート溶液をSiO換算で表1に示される割合に配合し混合して表1に示される配合組成を有する混合物を作製し、これら混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃で30分保持の条件の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製し、本発明法1〜6および比較法1〜5を実施した。この本発明法1〜6および比較法1〜5で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表1に示した。
従来例1
先に用意した酸化処理した原料粉末Aに対してMgO粉末およびSiO粉末を、MgO粉末:0.34質量%、SiO粉末:0.15質量%、残部:酸化処理した原料粉末Aという配合割合となるように配合し、この配合粉末を大気中で転動しながら撹拌し、混合物を作製した。得られた混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃で30分保持の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製することにより従来法1を実施した。この従来法1で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表1に示した。
Figure 2006108223
表1に示される結果から、本発明法1〜6で作製した焼結複合軟磁性材は従来法1で作製した焼結複合軟磁性材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法1〜5で作製した焼結複合軟磁性材は比抵抗の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例2
原料粉末B(リン酸塩被覆鉄粉末)に対して、Mg粉末:0.1質量%の配合割合となるように配合し、この配合粉末を表2に示される雰囲気および温度に保持し転動しながら混合するMg膜形成処理を施すことによりMg被覆軟磁性金属粉末を作製した。このMg被覆軟磁性金属粉末にさらに大気中、表2に示される温度で加熱する酸化処理を施すことによりMgO被覆軟磁性金属粉末を作製した。
得られたMgO被覆軟磁性金属粉末にシリケート溶液をSiO換算で表2に示される割合に配合し混合して表2に示される配合組成を有する混合物を作製し、これら混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃で30分保持の条件の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製し、本発明法7〜12および比較法6〜10を実施した。この本発明法7〜12および比較法6〜10で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表2に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表2に示した。
従来例2
先に用意した原料粉末Bに対してMgO粉末およびSiO粉末を、MgO粉末:0.17質量%、SiO粉末:0.05質量%、残部:原料粉末Bという配合割合となるように配合し、この配合粉末を大気中で転動しながら撹拌し、混合物を作製した。得られた混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃で30分保持の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製することにより従来法2を実施した。この従来法2で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表2に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表2に示した。
Figure 2006108223
表2に示される結果から、本発明法7〜12で作製した焼結複合軟磁性材は従来法2で作製した焼結複合軟磁性材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法6〜10で作製した焼結複合軟磁性材は比抵抗の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例3
原料粉末C(Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末)をO:10%、Ar:90%からなる混合ガス雰囲気中、温度:100℃に保持することにより酸化処理した原料粉末Cを作製し、この酸化処理した原料粉末Cに対してMg粉末:0.5質量%の配合割合となるように配合し、この配合粉末を表3に示される雰囲気および温度に保持し転動しながら混合するMg膜形成処理を施すことによりMg被覆軟磁性金属粉末を作製した。このMg被覆軟磁性金属粉末にさらに大気中、表3に示される温度で加熱する酸化処理を施すことによりMgO被覆軟磁性金属粉末を作製した。
得られたMgO被覆軟磁性金属粉末にシリケート溶液をSiO換算で表3に示される割合に配合し混合して表3に示される配合組成となるように配合し混合して混合物を作製し、これら混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:400℃で30分保持の条件の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製し、本発明法13〜18および比較法11〜15を実施した。この本発明法13〜18および比較法11〜15で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表3に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表3に示した。
従来例3
先に用意した酸化処理した原料粉末Cに対してMgO粉末およびSiO粉末を、MgO粉末:0.83質量%、SiO粉末:0.1質量%、残部:酸化処理した原料粉末Cという配合割合となるように配合し、この配合粉末を大気中で転動しながら撹拌し、混合物を作製した。得られた混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:400℃で30分保持の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製することにより従来法3を実施した。この従来法3で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表3に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表3に示した。
Figure 2006108223
表3に示される結果から、本発明法13〜18で作製した焼結複合軟磁性材は従来法3で作製した焼結複合軟磁性材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法11〜15で作製した焼結複合軟磁性材は比抵抗の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例4
原料粉末D(Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末)をO:5%、N:95%からなる混合ガス雰囲気中、温度:500℃に保持することにより酸化処理した原料粉末Dを作製し、この酸化処理した原料粉末Dに対してMg粉末:0.1質量%の配合割合となるように配合し、この配合粉末を表4に示される雰囲気および温度に保持し転動しながら混合するMg膜形成処理を施すことによりMg被覆軟磁性金属粉末を作製した。このMg被覆軟磁性金属粉末にさらに大気中、表4に示される温度で加熱する酸化処理を施すことによりMgO被覆軟磁性金属粉末を作製した。
得られたMgO被覆軟磁性金属粉末にシリケート溶液をSiO換算で表4に示される割合に配合し混合して表4に示される配合組成を有する混合物を作製し、これら混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:800℃で30分保持の条件の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製し、本発明法19〜24および比較法16〜20を実施した。この本発明法19〜24および比較法16〜20で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表4に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表4に示した。
従来例4
先に用意した酸化処理した原料粉末Dに対してMgO粉末およびSiO粉末を、MgO粉末:0.17質量%、SiO粉末:0.3質量%、残部:原料粉末Dという配合割合となるように配合し、この配合粉末を大気中で転動しながら撹拌し、混合物を作製した。得られた混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:800℃で30分保持の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製することにより従来法4を実施した。この従来法4で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表4に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表4に示した。
Figure 2006108223
表4に示される結果から、本発明法19〜24で作製した焼結複合軟磁性材は従来法4で作製した焼結複合軟磁性材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法16〜20で作製した焼結複合軟磁性材は比抵抗の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例5
原料粉末E(Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末)をO:70%、N:30%からなる混合ガス雰囲気中、温度:500℃に保持することにより酸化処理した原料粉末Eを作製し、この酸化処理した原料粉末Eに対してMg粉末:0.05質量%の配合割合となるように配合し、この配合粉末を表5に示される雰囲気および温度に保持し転動しながら混合するMg膜形成処理を施すことによりMg被覆軟磁性金属粉末を作製した。このMg被覆軟磁性金属粉末にさらに大気中、表5に示される温度で加熱する酸化処理を施すことによりMgO被覆軟磁性金属粉末を作製した。
得られたMgO被覆軟磁性金属粉末にシリケート溶液をSiO換算で表5に示される割合に配合し混合して表5に示される配合組成を有する混合物を作製し、これら混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:1000℃で30分保持の条件の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製し、本発明法25〜30および比較法21〜25を実施した。この本発明法25〜30および比較法21〜25で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表5に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表5に示した。
従来例5
先に用意した酸化処理した原料粉末Eに対してMgO粉末およびSiO粉末を、MgO粉末:0.083質量%、SiO粉末:1質量%、残部:原料粉末Eという配合割合となるように配合し、この配合粉末を大気中で転動しながら撹拌し、混合物を作製した。得られた混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:1000℃で30分保持の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製することにより従来法5を実施した。この従来法5で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表5に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表5に示した。
Figure 2006108223
表5に示される結果から、本発明法25〜30で作製した焼結複合軟磁性材は従来法5で作製した焼結複合軟磁性材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法21〜25で作製した焼結複合軟磁性材は比抵抗の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例6
原料粉末F(Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末)を大気中、温度:500℃に保持することにより酸化処理した原料粉末Fを作製し、この酸化処理した原料粉末Fに対してMg粉末:0.05質量%の配合割合となるように配合し、この配合粉末を表6に示される雰囲気および温度に保持し転動しながら混合するMg膜形成処理を施すことによりMg被覆軟磁性金属粉末を作製した。このMg被覆軟磁性金属粉末にさらに大気中、表6に示される温度で加熱する酸化処理を施すことによりMgO被覆軟磁性金属粉末を作製した。
得られたMgO被覆軟磁性金属粉末にSiO粉末を配合し混合して表6に示される配合組成を有する混合物を作製し、これら混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:1200℃で30分保持の条件の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製し、本発明法31〜36および比較法26〜30を実施した。この本発明法31〜36および比較法26〜30で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表6に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表6に示した。
従来例6
先に用意した酸化処理した原料粉末Fに対してMgO粉末およびSiO粉末を、MgO粉末:0.14質量%、SiO粉末:0.7質量%、残部:原料粉末Fという配合割合となるように配合し、この配合粉末を大気中で転動しながら撹拌し、混合物を作製した。得られた混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:1200℃で30分保持の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製することにより従来法6を実施した。この従来法6で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表6に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表6に示した。
Figure 2006108223
表6に示される結果から、本発明法31〜36で作製した焼結複合軟磁性材は従来法6で作製した焼結複合軟磁性材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法26〜30で作製した焼結複合軟磁性材は比抵抗の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例7
原料粉末G(Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末)に対して、Mg粉末:1質量%の配合割合となるように配合し、この配合粉末を表7に示される雰囲気および温度に保持し転動しながら混合するMg膜形成処理を施すことによりMg被覆軟磁性金属粉末を作製した。このMg被覆軟磁性金属粉末にさらに大気中、表7に示される温度で加熱する酸化処理を施すことによりMgO被覆軟磁性金属粉末を作製した。
得られたMgO被覆軟磁性金属粉末にシリケート溶液をSiO換算で表7に示される割合に配合し混合して表7に示される配合組成を有する混合物を作製し、これら混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:1000℃で30分保持の条件の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製し、本発明法37〜42および比較法31〜35を実施した。この本発明法37〜42および比較法31〜35で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表7に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表7に示した。
従来例7
先に用意した原料粉末Gに対してMgO粉末およびSiO粉末を、MgO粉末:1.66質量%、SiO粉末:0.1質量%、残部:原料粉末Gという配合割合となるように配合し、この配合粉末を大気中で転動しながら撹拌し、混合物を作製した。得られた混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:1000℃で30分保持の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製することにより従来法7を実施した。この従来法7で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表7に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表7に示した。
Figure 2006108223
表7に示される結果から、本発明法37〜42で作製した焼結複合軟磁性材は従来法7で作製した焼結複合軟磁性材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法31〜35で作製した焼結複合軟磁性材は比抵抗の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例8
原料粉末H(Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末)をO:30%、Ar:70%からなる混合ガス雰囲気中、温度:100℃に保持することにより酸化処理した原料粉末Hを作製し、この酸化処理した原料粉末Hに対してMg粉末:0.7質量%の配合割合となるように配合し、この配合粉末を表8に示される雰囲気および温度に保持し転動しながら混合するMg膜形成処理を施すことによりMg被覆軟磁性金属粉末を作製した。このMg被覆軟磁性金属粉末にさらに大気中、表8に示される温度で加熱する酸化処理を施すことによりMgO被覆軟磁性金属粉末を作製した。
得られたMgO被覆軟磁性金属粉末にSiO粉末を配合し混合して表8に示される配合組成を有する混合物を作製し、これら混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:900℃で30分保持の条件の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製し、本発明法43〜48および比較法36〜40を実施した。この本発明法43〜48および比較法36〜40で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
従来例8
先に用意した原料粉末Hに対してMgO粉末およびSiO粉末を、MgO粉末:1.17質量%、SiO粉末:0.5質量%、残部:原料粉末Hという配合割合となるように配合し、この配合粉末を大気中で転動しながら撹拌し、混合物を作製した。得られた混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:900℃で30分保持の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製することにより従来法8を実施した。この従来法8で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
Figure 2006108223
表8に示される結果から、本発明法43〜48で作製した焼結複合軟磁性材は従来法8で作製した焼結複合軟磁性材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法36〜40で作製した焼結複合軟磁性材は比抵抗の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例9
原料粉末I(Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末)を80℃の蒸留水に浸漬し加熱することにより酸化処理した原料粉末Iを作製し、この酸化処理した原料粉末Iに対してMg粉末:2質量%の配合割合となるように配合し、この配合粉末を表9に示される雰囲気および温度に保持し転動しながら混合するMg膜形成処理を施すことによりMg被覆軟磁性金属粉末を作製した。このMg被覆軟磁性金属粉末にさらに大気中、表9に示される温度で加熱する酸化処理を施すことによりMgO被覆軟磁性金属粉末を作製した。
得られたMgO被覆軟磁性金属粉末にSiO粉末を配合し混合して表9に示される配合組成を有する混合物を作製し、これら混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:1300℃で30分保持の条件の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製し、本発明法49〜54および比較法41〜45を実施した。この本発明法49〜54および比較法41〜45で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表9に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表9に示した。
従来例9
先に用意した原料粉末Iに対してMgO粉末およびSiO粉末を、MgO粉末:3.32質量%、SiO粉末:0.05質量%、残部:原料粉末Iという配合割合となるように配合し、この配合粉末を大気中で転動しながら撹拌し、混合物を作製した。得られた混合物を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:1300℃で30分保持の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材を作製することにより従来法9を実施した。この従来法9で得られた板状焼結体からなる焼結複合軟磁性材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる焼結複合軟磁性材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表9に示した。
Figure 2006108223
表9に示される結果から、本発明法49〜54で作製した焼結複合軟磁性材は従来法9で作製した焼結複合軟磁性材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法41〜45で作製した焼結複合軟磁性材は比抵抗の特性が劣るので好ましくないことが分かる。

Claims (7)

  1. 軟磁性金属粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を、温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの真空または不活性ガス雰囲気中で加熱することによりマグネシウム被覆軟磁性粉末を作製し、このマグネシウム被覆軟磁性粉末を酸化性雰囲気中に放置するかまたは酸化性雰囲気中で加熱することにより酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末を作製し、この酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末に酸化ケイ素を添加し混合して混合物を作製し、この混合物を圧縮成形したのち焼成することを特徴とする比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法。
  2. 酸化処理した軟磁性金属粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を、温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの真空または不活性ガス雰囲気中で加熱することによりマグネシウム被覆軟磁性粉末を作製し、このマグネシウム被覆軟磁性粉末を酸化性雰囲気中に放置するかまたは酸化性雰囲気中で加熱することにより酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末を作製し、この酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末に酸化ケイ素を添加し混合して混合物を作製し、この混合物を圧縮成形したのち焼成することを特徴とする比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法。
  3. 請求項2記載の酸化処理は、酸化雰囲気中、温度:40〜500℃で加熱処理するか、または蒸留水中もしくは純水中、温度:50〜100℃で加熱処理することを特徴とする比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法。
  4. 前記マグネシウム被覆軟磁性粉末を酸化性雰囲気中で加熱することにより酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末を作製する温度は50〜400℃の範囲内で行うことを特徴とする請求項1、2または3記載の比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法。
  5. 前記混合物は、酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末に0.5μm以下の二酸化ケイ素粉末を添加して混合するかまたは酸化マグネシウム被覆軟磁性粉末にシリケート溶液を添加し混合したのち乾燥することにより製造することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法。
  6. 前記成形体の焼成は、不活性ガス雰囲気中または大気を含む酸化性雰囲気中、温度:400〜1300℃で行われることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法。
  7. 前記軟磁性金属粉末は、鉄粉末、絶縁処理鉄粉末、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末またはFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の比抵抗および機械的強度に優れた焼結複合軟磁性材の製造方法。
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