JP2006057157A - 金属軟磁性磁心材の製造方法およびその方法で製造した金属軟磁性磁心材 - Google Patents
金属軟磁性磁心材の製造方法およびその方法で製造した金属軟磁性磁心材 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】アクチュエータ、ヨークなど各種電磁気回路部品に使用される金属軟磁性磁心材の製造方法を提供する。
【解決手段】軟磁性金属粉末にシリケート溶液にて軟磁性金属粉末表面を浸潤させたのち、撹拌乾燥を行い、プレス成形後、焼成することにより金属軟磁性磁心材を製造する方法において、前記シリケート溶液は、アルコキシシランのアルコール希釈溶液に水および反応促進のための酸を添加し、その後、アンモニアを添加してpH:3以上でかつ粘度:1〜10mPa・sとなるように調整したシリケート溶液であることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】軟磁性金属粉末にシリケート溶液にて軟磁性金属粉末表面を浸潤させたのち、撹拌乾燥を行い、プレス成形後、焼成することにより金属軟磁性磁心材を製造する方法において、前記シリケート溶液は、アルコキシシランのアルコール希釈溶液に水および反応促進のための酸を添加し、その後、アンモニアを添加してpH:3以上でかつ粘度:1〜10mPa・sとなるように調整したシリケート溶液であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
この発明は、アクチュエータ、ヨークなど各種電磁気回路部品に使用される金属軟磁性磁心材の製造方法に関するものである。
アクチュエータ、ヨークなど各種電磁気回路部品に使用される金属軟磁性磁心材は、鉄損が小さいことが要求されるため、電気抵抗が高く、保磁力が小さいことが要求されることは一般に知られていることである。さらに、近年、電磁気回路の小型化、高応答化が求められているところから、磁束密度がより高いことも重要視されている。
かかる金属軟磁性磁芯材は一般に積層鋼板が使われており、積層鋼板は磁束密度および電気抵抗が共に良好であるが、複雑な形状部品の作製が困難であるところから、複雑な形状部品を作製するには金属軟磁性粉末を絶縁性バインダーと共にプレス成形し焼成して作製している。この時使用する絶縁性バインダーの一例としてSiO2が知られており、SiO2が3.9wt%以下を含有させ固化成形させた金属軟磁性磁心材が知られている。
かかる金属軟磁性磁芯材は一般に積層鋼板が使われており、積層鋼板は磁束密度および電気抵抗が共に良好であるが、複雑な形状部品の作製が困難であるところから、複雑な形状部品を作製するには金属軟磁性粉末を絶縁性バインダーと共にプレス成形し焼成して作製している。この時使用する絶縁性バインダーの一例としてSiO2が知られており、SiO2が3.9wt%以下を含有させ固化成形させた金属軟磁性磁心材が知られている。
前記SiO2を3.9wt%以下を含む金属軟磁性磁心材は、エチルシリケート溶液に軟磁性金属粉末を添加混合し、得られた混合粉末を200℃以下の温度において撹拌乾燥を行い、この乾燥した混合粉末をプレス成形したのち、600℃以下で焼成を行うことによって製造する。前記エチルシリケート溶液は、SiO2を濃縮させた市販のエチルシリケートにアルコールを添加し、水を加えて加水分解することにより製造する(特許文献1参照)。前記エチルシリケートは、アルコキシシランにアルコールを添加し希釈し、これに水を添加して加水分解を起させることにより得られ、加水分解を起させるための促進剤として硝酸、塩酸、硫酸、酢酸などの酸を添加することにより製造する。前記金属軟磁性磁心材の製造に使用されるエチルシリケート溶液は、粘度:20〜300mPa・sの範囲内のエチルシリケート溶液が使用されている。
そして、金属軟磁性磁粉末としては、鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、絶縁処理鉄粉末、Fe−P基軟磁性合金粉末などが知られている。
前述のように、SiO2:3.9wt%以下を含む金属軟磁性磁心材はすでに知られており、特許文献1の実施例に示されるように、SiO2換算量比(以下、量比)が1質量%以下では比抵抗の低下が大きく、実質約2質量%のSiO2量が必要とされている。このため磁束密度も低く、あまり磁束密度や機械強度を必要としないノイズフィルターやチョークコイル等の用途に限定されていた。SiO2含有量が少ない金属軟磁性磁心材であるほど磁束密度が向上するところから、金属軟磁性磁心材に含まれるSiO2の含有量は少ないほど好ましいが、SiO2含有量が少ないほど比抵抗低下し、金属軟磁性磁心材としての特性が低下するようになるので好ましくない。したがって、SiO2量比が少なくても特性が劣ることのない金属軟磁性磁心材の製造方法の開発が望まれていた。
また、アルコキシシランのアルコール希釈溶液に水を添加し、必要に応じて硝酸、塩酸、硫酸、酢酸などの酸を添加して加水分解を起させることにより得られたエチルシリケート溶液は、一般に、pHが低く、通常のエチルシリケート溶液のpHは2以下の強い酸性を呈し、この強い酸性のエチルシリケート溶液を軟磁性金属粉末に混合して得られた混合物の表面を200℃以下の温度において撹拌乾燥を行い、プレス成形後、600℃以下で焼成を行うことによって得られた金属軟磁性磁心材は、金属軟磁性磁心材に含まれる軟磁性金属粉末の表面が腐食しやすく、そのために金属軟磁性磁心材としての特性が低下するという問題があった。
また、アルコキシシランのアルコール希釈溶液に水を添加し、必要に応じて硝酸、塩酸、硫酸、酢酸などの酸を添加して加水分解を起させることにより得られたエチルシリケート溶液は、一般に、pHが低く、通常のエチルシリケート溶液のpHは2以下の強い酸性を呈し、この強い酸性のエチルシリケート溶液を軟磁性金属粉末に混合して得られた混合物の表面を200℃以下の温度において撹拌乾燥を行い、プレス成形後、600℃以下で焼成を行うことによって得られた金属軟磁性磁心材は、金属軟磁性磁心材に含まれる軟磁性金属粉末の表面が腐食しやすく、そのために金属軟磁性磁心材としての特性が低下するという問題があった。
そこで、本発明者らは、かかる課題を解決すべく研究を行った結果、
(イ)シリケート溶液に加える純水量を、純水量/シリケート溶液中のSi量の比(H2O/Si):1.5〜3となるように調整して粘度:10mPa・s以下のエチルシリケート溶液を作製し、かかる粘度:10mPa・s以下のエチルシリケート溶液にて軟磁性金属粉末表面を浸潤させたのち、撹拌乾燥を行い、プレス成形後、焼成すると、SiO2量比が1質量%以下の少量のSiO2を含む金属軟磁性磁心材を製造することができる、
(ロ)しかし、純水量/シリケート溶液中のSi量の比(H2O/Si):1.5未満となるように調整して得られたエチルシリケート溶液は、その粘度が1mPa・s未満となり、この粘度を有するエチルシリケート溶液により軟磁性金属粉末表面を浸潤させたのち、撹拌乾燥を行い、プレス成形後、焼成することにより得られた金属軟磁性磁心材は、十分な比抵抗が得られない、
(ハ)また、アルコキシシランのアルコール希釈溶液に水を添加し、必要に応じて硝酸、塩酸、硫酸、酢酸などの酸を添加して加水分解を促進させることにより得られた通常のエチルシリケート溶液はpH:2以下の強酸性であるから、これにアンモニアを添加してpHを高めてpH:3以上のエチルシリケート溶液を作製し、かかるpH:3以上に保持されたエチルシリケート溶液を使用することにより得られた金属軟磁性磁心材は、金属軟磁性磁心材に含まれる軟磁性金属粉末表面の腐食を阻止することができ、密着性の高い良好な被膜が得られ、この被覆粉末を用いて製造した金属軟磁性磁心材は高磁束密度で機械強度が優れるなどの研究結果が得られたのである。
(イ)シリケート溶液に加える純水量を、純水量/シリケート溶液中のSi量の比(H2O/Si):1.5〜3となるように調整して粘度:10mPa・s以下のエチルシリケート溶液を作製し、かかる粘度:10mPa・s以下のエチルシリケート溶液にて軟磁性金属粉末表面を浸潤させたのち、撹拌乾燥を行い、プレス成形後、焼成すると、SiO2量比が1質量%以下の少量のSiO2を含む金属軟磁性磁心材を製造することができる、
(ロ)しかし、純水量/シリケート溶液中のSi量の比(H2O/Si):1.5未満となるように調整して得られたエチルシリケート溶液は、その粘度が1mPa・s未満となり、この粘度を有するエチルシリケート溶液により軟磁性金属粉末表面を浸潤させたのち、撹拌乾燥を行い、プレス成形後、焼成することにより得られた金属軟磁性磁心材は、十分な比抵抗が得られない、
(ハ)また、アルコキシシランのアルコール希釈溶液に水を添加し、必要に応じて硝酸、塩酸、硫酸、酢酸などの酸を添加して加水分解を促進させることにより得られた通常のエチルシリケート溶液はpH:2以下の強酸性であるから、これにアンモニアを添加してpHを高めてpH:3以上のエチルシリケート溶液を作製し、かかるpH:3以上に保持されたエチルシリケート溶液を使用することにより得られた金属軟磁性磁心材は、金属軟磁性磁心材に含まれる軟磁性金属粉末表面の腐食を阻止することができ、密着性の高い良好な被膜が得られ、この被覆粉末を用いて製造した金属軟磁性磁心材は高磁束密度で機械強度が優れるなどの研究結果が得られたのである。
この発明は、かかる研究結果に基づいてなされたものであって、
(1)軟磁性金属粉末にシリケート溶液にて軟磁性金属粉末表面を浸潤させたのち、撹拌乾燥を行い、プレス成形後、焼成することにより金属軟磁性磁心材を製造する方法において、前記シリケート溶液はpHが3以上でありかつ粘度が1〜10mPa・sの範囲内にあるシリケート溶液を使用することを特徴とする金属軟磁性磁心材の製造方法。
(2)軟磁性金属粉末にシリケート溶液にて軟磁性金属粉末表面を浸潤させたのち、撹拌乾燥を行い、プレス成形後、焼成することにより金属軟磁性磁心材を製造する方法において、前記シリケート溶液は、アルコキシシランのアルコール希釈溶液に水および反応促進のための酸を添加し、その後、アンモニアを添加してpH:3以上でかつ粘度:1〜10mPa・sとなるように調整したシリケート溶液である金属軟磁性磁心材の製造方法、
(3)前記シリケート溶液は、エチルシリケート、プロピルシリケートまたはブチルシリケートである前記(1)または(2)記載の金属軟磁性磁心材の製造方法、に特徴を有するものである。
(1)軟磁性金属粉末にシリケート溶液にて軟磁性金属粉末表面を浸潤させたのち、撹拌乾燥を行い、プレス成形後、焼成することにより金属軟磁性磁心材を製造する方法において、前記シリケート溶液はpHが3以上でありかつ粘度が1〜10mPa・sの範囲内にあるシリケート溶液を使用することを特徴とする金属軟磁性磁心材の製造方法。
(2)軟磁性金属粉末にシリケート溶液にて軟磁性金属粉末表面を浸潤させたのち、撹拌乾燥を行い、プレス成形後、焼成することにより金属軟磁性磁心材を製造する方法において、前記シリケート溶液は、アルコキシシランのアルコール希釈溶液に水および反応促進のための酸を添加し、その後、アンモニアを添加してpH:3以上でかつ粘度:1〜10mPa・sとなるように調整したシリケート溶液である金属軟磁性磁心材の製造方法、
(3)前記シリケート溶液は、エチルシリケート、プロピルシリケートまたはブチルシリケートである前記(1)または(2)記載の金属軟磁性磁心材の製造方法、に特徴を有するものである。
前記シリケート溶液のpH:3以上でかつ粘度を1〜10mPa・sとなるように調整するには、加える純水量を、純水量/シリケート溶液中のSi量の比(H2O/Si):1.5〜3の範囲内にし、さらにアンモニアを添加してpHを調整する。かかるシリケート溶液にて軟磁性金属粉末表面を浸潤させたのち、撹拌乾燥を行うが、攪拌乾燥は温風で行うことが好ましく、その際の温風温度は50〜150℃の範囲内にあることが好ましい。
この発明の金属軟磁性磁心材では、絶縁物層としてSiO2量比で0.01〜1質量%になる様に含有することが好ましい。
この発明で使用するシリケート溶液のpH:3以上でかつ粘度を1〜10mPa・s(1層好ましくは1.5〜4mPa・s)となるように定めた理由は、シリケート溶液のpHが3未満では軟磁性金属粉末の腐食の影響により、得られる金属軟磁性磁心材の特性が低下するので好ましくないからであり、また、粘度が1mPa・s未満のシリケート溶液を使用して金属軟磁性磁心材を製造すると、得られる金属軟磁性磁心材の比抵抗が極端に低下するので好ましくなく、一方、粘度が10mPa・sを越えるシリケート溶液を使用すると、被覆粉末の圧縮性が低下して高密度の金属軟磁性磁心材が得られず、したがって、金属軟磁性磁心材の特性が低下するので好ましくないことによるものである。
この発明の金属軟磁性磁心材では、絶縁物層としてSiO2量比で0.01〜1質量%になる様に含有することが好ましい。
この発明で使用するシリケート溶液のpH:3以上でかつ粘度を1〜10mPa・s(1層好ましくは1.5〜4mPa・s)となるように定めた理由は、シリケート溶液のpHが3未満では軟磁性金属粉末の腐食の影響により、得られる金属軟磁性磁心材の特性が低下するので好ましくないからであり、また、粘度が1mPa・s未満のシリケート溶液を使用して金属軟磁性磁心材を製造すると、得られる金属軟磁性磁心材の比抵抗が極端に低下するので好ましくなく、一方、粘度が10mPa・sを越えるシリケート溶液を使用すると、被覆粉末の圧縮性が低下して高密度の金属軟磁性磁心材が得られず、したがって、金属軟磁性磁心材の特性が低下するので好ましくないことによるものである。
この発明の金属軟磁性磁心材の製造方法で使用する軟磁性金属粉末は、従来から一般に知られている鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、絶縁処理鉄粉末、Fe−P基軟磁性合金粉末である。一層具体的には、
鉄粉末は純鉄粉末であり、
Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末はAl:0.1〜20を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−15%Alからなる組成を有するアルパーム粉末)であり、
Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末はNi:35〜85%を含有し、必要に応じてMo:5%以下、Cu:5%以下、Cr:2%以下、Mn:0.5%以下の内の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるニッケル基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−49%Ni粉末)であり、
Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末はCr:1〜20%を含有し、必要に応じてAl:5%以下、Ni:5%以下の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末は、Si:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末は、Si:0.1〜10%、Al:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末は、Co:0.1〜52%、V:0.1〜3%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末であり、
絶縁処理鉄粉末は市販の絶縁処理鉄粉末で、例えば、ヘガネス社のソマロイ粉末であり、
Fe−P基軟磁性合金粉末はP:0.5〜1%含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−P基軟磁性合金粉末(以上、%は質量%を示す)(例えば、Fe−0.5%Pからなる組成の合金粉末)であることが好ましい。
したがって、この発明は、
(4)前記軟磁性金属粉末は、鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、絶縁処理鉄粉末またはFe−P基軟磁性合金粉末である前記(1)、(2)または(3)記載の金属軟磁性磁心材の製造方法、
(5)前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の方法により得られた金属軟磁性磁心材、に特徴を有するものである。
鉄粉末は純鉄粉末であり、
Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末はAl:0.1〜20を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−15%Alからなる組成を有するアルパーム粉末)であり、
Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末はNi:35〜85%を含有し、必要に応じてMo:5%以下、Cu:5%以下、Cr:2%以下、Mn:0.5%以下の内の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるニッケル基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−49%Ni粉末)であり、
Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末はCr:1〜20%を含有し、必要に応じてAl:5%以下、Ni:5%以下の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末は、Si:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末は、Si:0.1〜10%、Al:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末は、Co:0.1〜52%、V:0.1〜3%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末であり、
絶縁処理鉄粉末は市販の絶縁処理鉄粉末で、例えば、ヘガネス社のソマロイ粉末であり、
Fe−P基軟磁性合金粉末はP:0.5〜1%含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−P基軟磁性合金粉末(以上、%は質量%を示す)(例えば、Fe−0.5%Pからなる組成の合金粉末)であることが好ましい。
したがって、この発明は、
(4)前記軟磁性金属粉末は、鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、絶縁処理鉄粉末またはFe−P基軟磁性合金粉末である前記(1)、(2)または(3)記載の金属軟磁性磁心材の製造方法、
(5)前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の方法により得られた金属軟磁性磁心材、に特徴を有するものである。
そして、これら軟磁性金属粉末は平均粒径:5〜500μmの範囲内にある軟磁性金属粉末を使用することが好ましい。その理由は、平均粒径が5μmより小さすぎると、粉末の圧縮性が低下し、軟磁性金属粉末の体積割合が低くなるために磁束密度の値が低下するので好ましくなく、一方、平均粒径が500μmより大きすぎると、軟磁性金属粉末内部の渦電流が増大して高周波における透磁率が低下することによるものである。
この発明の金属軟磁性磁心材の製造方法によると、絶縁物層としてSiO2:0.01〜1質量%の極めて少ないSiO2量比を含有する金属軟磁性磁心材を金属軟磁性磁心材として必要な磁気特性を低下させることなく作製することができ、さらに金属軟磁性磁心材に含まれる軟磁性金属粉末の腐食による金属軟磁性磁心材の特性の低下を阻止することができるなど優れた効果をもたらすものである。
軟磁性金属粉末の原料粉末として、いずれも平均粒径:70μmを有する、
純鉄粉末(以下、この純鉄粉末を原料粉末Aという)、
Al:10質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Bという)、
Ni:49質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Cという)、
Cr:10質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Dという)、
Si:3質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このアトマイズFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Eという)、
Si:3質量%、Al:3質量を含有し、残部:FeからなるアトマイズFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Fという)、
Co:30%、V:2%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Gという)を用意した。
さらに、平均粒径:280μmを有する絶縁処理鉄粉末(以下、この絶縁処理鉄粉末を原料粉末Hという)
平均粒径:70μmを有するP:0.6%、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−P基軟磁性合金粉末(以下、このFe−P基軟磁性合金粉末を原料粉末Iという)を用意した。
さらに、市販のエチルシリケート、プロピルシリケートまたはブチルシリケートを用意し、さらに純水およびアンモニアを用意した。
純鉄粉末(以下、この純鉄粉末を原料粉末Aという)、
Al:10質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Bという)、
Ni:49質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Cという)、
Cr:10質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Dという)、
Si:3質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このアトマイズFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Eという)、
Si:3質量%、Al:3質量を含有し、残部:FeからなるアトマイズFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Fという)、
Co:30%、V:2%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末(以下、このFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末を原料粉末Gという)を用意した。
さらに、平均粒径:280μmを有する絶縁処理鉄粉末(以下、この絶縁処理鉄粉末を原料粉末Hという)
平均粒径:70μmを有するP:0.6%、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−P基軟磁性合金粉末(以下、このFe−P基軟磁性合金粉末を原料粉末Iという)を用意した。
さらに、市販のエチルシリケート、プロピルシリケートまたはブチルシリケートを用意し、さらに純水およびアンモニアを用意した。
本発明法1〜9、比較法1〜9および従来法1〜9
プロピルシリケートのプロパノール希釈溶液に、さらに純水を表1〜表1−2に示されるH2O/Siの値となるように添加し、所定量の硝酸を触媒として加えた後、さらにアンモニアを添加して表1〜表1−2に示されるpHおよび粘度を有するプロピルシリケート溶液を作製した。かかるプロピルシリケート溶液をSiO2換算で表1〜表1−2に示されるように秤量したのち原料粉末A〜Iが十分に浸潤するようにプロパノールを添加し希釈した。このプロパノールを添加し希釈したプロピルシリケート溶液に前記原料粉末A〜Iを投入し、十分浸潤するように混合し混合粉末を作製した。次に、この混合粉末を表1〜表1−2に示される温度の温風で乾燥してシリケート被覆物が軟磁性金属粉末の表面に形成した酸化物被覆軟磁性金属粉末を作製した。
プロピルシリケートのプロパノール希釈溶液に、さらに純水を表1〜表1−2に示されるH2O/Siの値となるように添加し、所定量の硝酸を触媒として加えた後、さらにアンモニアを添加して表1〜表1−2に示されるpHおよび粘度を有するプロピルシリケート溶液を作製した。かかるプロピルシリケート溶液をSiO2換算で表1〜表1−2に示されるように秤量したのち原料粉末A〜Iが十分に浸潤するようにプロパノールを添加し希釈した。このプロパノールを添加し希釈したプロピルシリケート溶液に前記原料粉末A〜Iを投入し、十分浸潤するように混合し混合粉末を作製した。次に、この混合粉末を表1〜表1−2に示される温度の温風で乾燥してシリケート被覆物が軟磁性金属粉末の表面に形成した酸化物被覆軟磁性金属粉末を作製した。
得られた酸化物被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、表1〜表1−2に示される温度で30分保持の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる金属軟磁性磁心材を作製し、本発明法1〜9、比較法1〜9および従来法1〜9を実施した。この本発明法1〜9、比較法1〜9および従来法1〜9で得られた板状焼結体からなる金属軟磁性磁心材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表1〜表1−2に示し、さらにリング状焼結体からなる金属軟磁性磁心材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表1〜表1−2に示した。
表1〜表1−2に示される結果から、本発明法1で作製した金属軟磁性磁心材は従来法1で作製した金属軟磁性磁心材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法1で作製した金属軟磁性磁心材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
同様にして、本発明法2で作製した金属軟磁性磁心材と従来法2で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法3で作製した金属軟磁性磁心材と従来法3で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法4で作製した金属軟磁性磁心材と従来法4で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法5で作製した金属軟磁性磁心材と従来法5で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法6で作製した金属軟磁性磁心材と従来法6で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法7で作製した金属軟磁性磁心材と従来法7で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法8で作製した金属軟磁性磁心材と従来法8で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法9で作製した金属軟磁性磁心材と従来法9で作製した金属軟磁性磁心材、
をそれぞれ比較すると、本発明法2〜9で作製した金属軟磁性磁心材は従来法2〜9で作製した金属軟磁性磁心材と比較して、それぞれ抗折強度、磁束密度および比抵抗が優れていることが分かる。しかし、比較法2〜9で作製した金属軟磁性磁心材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
同様にして、本発明法2で作製した金属軟磁性磁心材と従来法2で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法3で作製した金属軟磁性磁心材と従来法3で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法4で作製した金属軟磁性磁心材と従来法4で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法5で作製した金属軟磁性磁心材と従来法5で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法6で作製した金属軟磁性磁心材と従来法6で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法7で作製した金属軟磁性磁心材と従来法7で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法8で作製した金属軟磁性磁心材と従来法8で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法9で作製した金属軟磁性磁心材と従来法9で作製した金属軟磁性磁心材、
をそれぞれ比較すると、本発明法2〜9で作製した金属軟磁性磁心材は従来法2〜9で作製した金属軟磁性磁心材と比較して、それぞれ抗折強度、磁束密度および比抵抗が優れていることが分かる。しかし、比較法2〜9で作製した金属軟磁性磁心材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
本発明法10〜18、比較法10〜18および従来法10〜18
市販のエチルシリケートに純水を表2〜表2−2に示されるH2O/Siの値となるように添加し、所定量の硝酸を触媒として加えた後、さらにアンモニアを添加して表2〜表2−2に示されるpHおよび粘度を有するエチルシリケート溶液を作製した。かかるエチルシリケート溶液をSiO2換算で表2〜表2−2に示されるように秤量したのち原料粉末A〜Iが十分に浸潤するようにエタノールを添加し希釈した。このエタノールを添加し希釈したエチルシリケート溶液に前記原料粉末A〜Iを投入し、十分浸潤するように混合し混合粉末を作製した。次に、この混合粉末を表2〜表2−2に示される温度の温風で乾燥してシリケート被覆物が軟磁性金属粉末の表面に形成した酸化物被覆軟磁性金属粉末を作製した。
市販のエチルシリケートに純水を表2〜表2−2に示されるH2O/Siの値となるように添加し、所定量の硝酸を触媒として加えた後、さらにアンモニアを添加して表2〜表2−2に示されるpHおよび粘度を有するエチルシリケート溶液を作製した。かかるエチルシリケート溶液をSiO2換算で表2〜表2−2に示されるように秤量したのち原料粉末A〜Iが十分に浸潤するようにエタノールを添加し希釈した。このエタノールを添加し希釈したエチルシリケート溶液に前記原料粉末A〜Iを投入し、十分浸潤するように混合し混合粉末を作製した。次に、この混合粉末を表2〜表2−2に示される温度の温風で乾燥してシリケート被覆物が軟磁性金属粉末の表面に形成した酸化物被覆軟磁性金属粉末を作製した。
得られた酸化物被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、表2〜表2−2に示される温度で30分保持の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる金属軟磁性磁心材を作製し、本発明法10〜18、比較法10〜18および従来法10〜18を実施した。この本発明法10〜18、比較法10〜18および従来法10〜18で得られた板状焼結体からなる金属軟磁性磁心材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表2〜表2−2に示し、さらにリング状焼結体からなる金属軟磁性磁心材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表2〜表2−2に示した。
表2〜表2−2に示される結果から、本発明法10で作製した金属軟磁性磁心材は従来法10で作製した金属軟磁性磁心材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が優れていることが分かる。しかし、比較法10で作製した金属軟磁性磁心材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
同様にして、本発明法11で作製した金属軟磁性磁心材と従来法11で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法12で作製した金属軟磁性磁心材と従来法12で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法13で作製した金属軟磁性磁心材と従来法13で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法14で作製した金属軟磁性磁心材と従来法14で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法15で作製した金属軟磁性磁心材と従来法15で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法16で作製した金属軟磁性磁心材と従来法16で作製した金属軟磁性磁心材、
をそれぞれ比較すると、本発明法11〜18で作製した金属軟磁性磁心材は従来法11〜18で作製した金属軟磁性磁心材に比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法11〜18で作製した金属軟磁性磁心材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
同様にして、本発明法11で作製した金属軟磁性磁心材と従来法11で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法12で作製した金属軟磁性磁心材と従来法12で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法13で作製した金属軟磁性磁心材と従来法13で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法14で作製した金属軟磁性磁心材と従来法14で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法15で作製した金属軟磁性磁心材と従来法15で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法16で作製した金属軟磁性磁心材と従来法16で作製した金属軟磁性磁心材、
をそれぞれ比較すると、本発明法11〜18で作製した金属軟磁性磁心材は従来法11〜18で作製した金属軟磁性磁心材に比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法11〜18で作製した金属軟磁性磁心材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
本発明法19〜27、比較法19〜27および従来法19〜27
市販のブチルシリケートに純水を表3〜表3−2に示されるH2O/Siの値となるように添加し、所定量の塩酸を触媒として加えた後、さらにアンモニアを添加して表3〜表3−2に示されるpHおよび粘度を有するブチルシリケート溶液を作製した。かかるブチルシリケート溶液をSiO2換算で表3〜表3−2に示されるように秤量したのち原料粉末A〜Iが十分に浸潤するようにブタノールを添加し希釈した。このブタノールを添加し希釈したブチルシリケート溶液に前記原料粉末A〜Iを投入し、十分浸潤するように混合し混合粉末を作製した。次に、この混合粉末を表3〜表3−2に示される温度の温風で乾燥してシリケート被覆物が軟磁性金属粉末の表面に形成した酸化物被覆軟磁性金属粉末を作製した。
市販のブチルシリケートに純水を表3〜表3−2に示されるH2O/Siの値となるように添加し、所定量の塩酸を触媒として加えた後、さらにアンモニアを添加して表3〜表3−2に示されるpHおよび粘度を有するブチルシリケート溶液を作製した。かかるブチルシリケート溶液をSiO2換算で表3〜表3−2に示されるように秤量したのち原料粉末A〜Iが十分に浸潤するようにブタノールを添加し希釈した。このブタノールを添加し希釈したブチルシリケート溶液に前記原料粉末A〜Iを投入し、十分浸潤するように混合し混合粉末を作製した。次に、この混合粉末を表3〜表3−2に示される温度の温風で乾燥してシリケート被覆物が軟磁性金属粉末の表面に形成した酸化物被覆軟磁性金属粉末を作製した。
得られた酸化物被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、表3〜表3−2に示される温度で30分保持の焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる金属軟磁性磁心材を作製し、本発明法19〜27、比較法19〜27および従来法19〜27を実施した。この本発明法19〜27、比較法19〜27および従来法19〜27で得られた板状焼結体からなる金属軟磁性磁心材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表3〜表3−2に示し、さらにリング状焼結体からなる金属軟磁性磁心材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表3〜表3−2に示した。
表3〜表3−2に示される結果から、本発明法19で作製した金属軟磁性磁心材は従来法19で作製した金属軟磁性磁心材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が優れていることが分かる。しかし、比較法19で作製した金属軟磁性磁心材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
同様にして、本発明法20で作製した金属軟磁性磁心材と従来法20で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法21で作製した金属軟磁性磁心材と従来法21で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法22で作製した金属軟磁性磁心材と従来法22で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法23で作製した金属軟磁性磁心材と従来法23で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法24で作製した金属軟磁性磁心材と従来法24で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法25で作製した金属軟磁性磁心材と従来法25で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法26で作製した金属軟磁性磁心材と従来法26で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法27で作製した金属軟磁性磁心材と従来法27で作製した金属軟磁性磁心材、
をそれぞれ比較すると、本発明法20〜27で作製した金属軟磁性磁心材は従来法20〜27で作製した金属軟磁性磁心材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法20〜27で作製した金属軟磁性磁心材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
同様にして、本発明法20で作製した金属軟磁性磁心材と従来法20で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法21で作製した金属軟磁性磁心材と従来法21で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法22で作製した金属軟磁性磁心材と従来法22で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法23で作製した金属軟磁性磁心材と従来法23で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法24で作製した金属軟磁性磁心材と従来法24で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法25で作製した金属軟磁性磁心材と従来法25で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法26で作製した金属軟磁性磁心材と従来法26で作製した金属軟磁性磁心材、
本発明法27で作製した金属軟磁性磁心材と従来法27で作製した金属軟磁性磁心材、
をそれぞれ比較すると、本発明法20〜27で作製した金属軟磁性磁心材は従来法20〜27で作製した金属軟磁性磁心材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法20〜27で作製した金属軟磁性磁心材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
Claims (5)
- 軟磁性金属粉末にシリケート溶液にて軟磁性金属粉末表面を浸潤させたのち、撹拌乾燥を行い、プレス成形後、焼成することにより金属軟磁性磁心材を製造する方法において、前記シリケート溶液はpHが3以上でありかつ粘度が1〜10mPa・sの範囲内にあるシリケート溶液を使用することを特徴とする金属軟磁性磁心材の製造方法。
- 軟磁性金属粉末にシリケート溶液にて軟磁性金属粉末表面を浸潤させたのち、撹拌乾燥を行い、プレス成形後、焼成することにより金属軟磁性磁心材を製造する方法において、前記シリケート溶液は、アルコキシシランのアルコール希釈溶液に水および反応促進のための酸を添加し、その後、アンモニアを添加してpH:3以上でかつ粘度:1〜10mPa・sとなるように調整したシリケート溶液を使用することを特徴とする金属軟磁性磁心材の製造方法。
- 前記シリケート溶液は、エチルシリケート、プロピルシリケートまたはブチルシリケートであることを特徴とする請求項1または2、3記載の金属軟磁性磁心材の製造方法。
- 前記軟磁性金属粉末は、鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、絶縁処理鉄粉末またはFe−P基軟磁性合金粉末であることを特徴とする請求項1または2記載の金属軟磁性磁心材の製造方法。
- 請求項1〜4の製造方法で得られた金属軟磁性磁心材。
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JP2008153611A (ja) * | 2006-11-20 | 2008-07-03 | Denso Corp | 点火コイル及びその製造方法 |
JP2017179316A (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-05 | 三菱マテリアル株式会社 | シリカ系絶縁皮膜形成用コーティング液およびその製造方法 |
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-
2004
- 2004-08-23 JP JP2004242062A patent/JP2006057157A/ja not_active Withdrawn
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