以下に添付図面を参照して、本発明に係る押釦装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。尚、以下においては、本発明に係る押釦装置は、自動販売機に適用されるものとして説明する。
図1は、本発明の実施の形態である押釦装置を適用した自動販売機を示したものである。ここで例示する自動販売機1は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却もしくは加熱した状態で販売するもので、自動販売機本体1aを備えて成るものである。自動販売機本体1aは、筐体であり、本体キャビネット2および外扉3を備えている。
本体キャビネット2は、複数の鋼板を組み合わせることによって構成したもので、前面が開口した断熱構造の箱状を成している。図には明示していないが、この本体キャビネット2の内部には、商品収納ラックを介して複数の商品が収納してある。外扉3は、本体キャビネット2の前面開口を閉塞するためのもので、開閉可能となる態様で本体キャビネット2の一側縁部に保持させてある。
この外扉3の前面パネル(自動販売機本体1aの前面)には、紙幣投入口4、硬貨投入口5、表示部6、商品取出口7が設けてある。紙幣投入口4は、利用者が紙幣を投入するための開口であり、また硬貨投入口5は、利用者が硬貨を投入するための開口であり、それぞれ前面パネルの高さ方向中間位置に設けてある。これら紙幣投入口4や硬貨投入口5を通じて投入された貨幣は、図示せぬ貨幣処理装置において適宜処理されることになる。貨幣処理装置は、紙幣投入口4や硬貨投入口5を通じて投入された貨幣が正規なものであるか否かを判別し、正規なものとして判別した貨幣を内部に取り込む一方、正規な貨幣として判別できなかった場合、並びに投入操作の後に返却レバー8が操作された場合、それぞれ貨幣を返却するためのものである。尚、紙幣投入口4は、利用者に対して紙幣を返却する際の紙幣返却口としても機能する。これに対して硬貨投入口5から投入した硬貨は、硬貨返却口9を通じて利用者に返却されることになる。表示部6は、利用者が投入した貨幣の入金額、釣銭の金額等々、商品を販売する上で必要となる各種情報を外部に表示するためのものであり、例えば液晶表示器によって構成してある。商品取出口7は、本体キャビネット2から払い出された商品を利用者が取り出すための開口であり、前面パネルの最下部に設けてある。
また、外扉3の前面パネルには、その上方部にディスプレイウィンドウ10が設けてある。ディスプレイウィンドウ10は、前面が透明板11によって覆われた窓であり、その内部に左右方向に沿って商品見本12を陳列した陳列棚13が複数段設けてある。各陳列棚13の商品見本12は、透明板11を通じて外部から視認することが可能である。
透明板11の前面には、それぞれの陳列棚13に対応して販売商品を選択するための押釦装置20が設けてある。押釦装置20は、押釦ユニット30と、コントローラ40とを備えて構成してある。押釦ユニット30は、ケーシング31と、ケーシング31に対して操作可能に配設した複数の押釦スイッチ32とを備えたものである。この押釦ユニット30は、その複数組が支持部材によって透明板11に支持されることにより、利用者に対して各商品見本12に対応した押釦スイッチ32を個別に提供するためのものである。
図2および図3は、図1に示した自動販売機に適用する押釦装置の押釦ユニットを示したものである。尚、図1においては、ケーシング31に6個の押釦スイッチ32を備えた押釦ユニット30を示してあるが、以下の説明においては便宜上、ケーシング31に2個の押釦スイッチ32を備えた押釦ユニット30について説明する。
図2および図3に示したように、押釦ユニット30のケーシング31は、ベース部材311とカバー部材312とを備えて構成してある。
ベース部材311は、矩形の板状を成すもので、その表面周縁に枠部311aを有するとともに、枠部311aに装着溝311bを有している。枠部311aは、ベース部材311の各辺に沿って設けた矩形枠状を成すもので、ベース部材311の表面から表面側に向けて突設している。装着溝311bは、枠部311aの突出端面に形成した狭幅の凹所であり、無端の矩形状に形成してある。
カバー部材312は、ベース部材311の表面を覆うためのもので、前板部312a、一対の段状部312bおよび一対の側板部312cを有している。前板部312aは、長手方向に沿う軸心を中心とした円弧状の横断面を有する部分であり、2つの釦挿通孔312dを有している。釦挿通孔312dは、後述する押釦スイッチ32の操作部材325を外部に露出させるためのものである。本実施の形態では、カバー部材312の長手方向に沿って横長となり、かつ互いに同一の大きさとなる楕円形状の釦挿通孔312dを、カバー部材312の長手方向に沿って互いに並設するように形成してある。段状部312bは、横断面が前板部312aよりも小径の円弧筒状を成すもので、前板部312aの長手方向両端部に形成してある。図からも明らかなように、段状部312bは、それぞれ円弧状に膨出する外表面が前板部312aの外表面よりも低くなる態様で前板部312aに連設してある。側板部312cは、段状部312bの端面開口を閉塞するためのもので、段状部312bの横断面形状にしたがった外形の平板状を成している。このカバー部材312は、前板部312a、段状部312bおよび側板部312cによって構成される矩形状の開口をベース部材311によって閉塞することのできる大きさに構成してある。尚、カバー部材312には、裏面側から光を照射した場合に、その光が表面側に透過しないように、遮光性を有した材料により成形する、あるいは遮光性を有した塗料を施す、等の処理が施してある。
一方、押釦ユニット30の押釦スイッチ32は、配線基板321、リフレクタ部材322、パッキン323、表示板324および操作部材325を順次重ね合わせて構成したものである。
配線基板321は、2つ(複数)の押釦スイッチ32に対して1つ用意したもので、上述したベース部材311の枠部311aに収容することができる大きさの矩形状に成形してある。この配線基板321の表面には、長手方向に略二等分したそれぞれの部分に各押釦スイッチ32の実装領域が構成してあり、各実装領域にそれぞれ接点部材326、第1光源(主光源)327、第2光源(補助光源)328、第3光源329等の押釦スイッチ32で個別に必要となる個別電子部品が実装してある一方、両実装領域の境界となる部位に2つの押釦スイッチ32で共通に用いる集積回路素子330等の共通電子部品が実装してある。
接点部材326は、押圧操作された場合に配線基板321に構成された所望の電子回路をON状態に切り換えるもので、それぞれの押釦スイッチ32に2つずつ設けてある。本実施の形態では、互いの間にカバー部材312に形成した釦挿通孔312dの長径と略同等の間隔を確保した状態で各実装領域の両端部にそれぞれ接点部材326を配置するようにしている。
第1光源327、第2光源328および第3光源329は、明滅状態の相違によって自動販売機1の状態を報知するためのもので、それぞれ複数の発光素子、例えば発光ダイオードによって構成してある。より具体的には、第1光源327は、青色の発光色を呈する第1青色発光ダイオード(第1発光素子)327aと、赤色の発光色を呈する第1赤色発光ダイオード(第2発光素子)327bとを各実装領域の一端部側に互いに配線基板321の長手方向に並設することによって構成してある。第2光源328は、緑色の発光色を呈する第2緑色発光ダイオード328aを第1光源327の上部側に配設することによって構成してある。第3光源329は、赤色の発光色を呈する第3赤色発光ダイオード329aと、橙色の発光色を呈する第3橙色発光ダイオード329bとを各実装領域の他端部側に互いに配線基板321の短手方向に並設することによって構成してある。
集積回路素子330は、それぞれの実装領域に配置した接点部材326が押圧操作された場合に個別の作動信号を後述するコントローラ40に出力する一方、コントローラ40から指令が与えられた場合、この指令に応じてそれぞれの実装領域に配置した第1光源327、第2光源328および/または第3光源329を明滅させるためのものである。第1光源327、第2光源328および第3光源329の明滅については後述する。
リフレクタ部材322は、それぞれの押釦スイッチ32に個別に設けたもので、遮光性を有した材料により、配線基板321の各実装領域において接点部材326の間に収容することができ、かつカバー部材312に形成した釦挿通孔312dに遊嵌することのできる楕円形状に形成してある。個々のリフレクタ部材322には、第1光源327および第2光源328に対応する部位に第1反射面322aが設けてある一方、第3光源329の第3赤色発光ダイオード329aおよび第3橙色発光ダイオード329bに対応する部位にそれぞれ個別の第2反射面322bが設けてある。
第1反射面322aは、リフレクタ部材322の表面に楕円形状の開口を有し、この開口から楕円錐状に窪んだ凹部であり、その頂点部分に第1光通過孔322cを有している。第1光通過孔322cは、第1青色発光ダイオード327a、第1橙色発光ダイオード327bおよび第2緑色発光ダイオード328aを含む大きさに形成した円形状を成すもので、その内部に導光部材3220を保持している。導光部材3220は、透光性を有した材料により、第1反射面322aの第1光通過孔322cに嵌合する円柱状に形成したものである。この導光部材3220には、リフレクタ部材322の表面側に位置する端面に円錐状の凹部を形成することによって光発散面3220aが構成してある一方、リフレクタ部材322の裏面側に位置する端面を湾曲凹状に形成することによって光散乱面3220bが構成してある。
第2反射面322bは、リフレクタ部材322の表面にそれぞれ矩形状の開口を有し、個々の開口から四角錐状に窪んだ凹部であり、それぞれの頂点部分に第2光通過孔322dを有している。第2光通過孔322dは、第3赤色発光ダイオード329aおよび第3橙色発光ダイオード329bをそれぞれ個別に含む大きさに形成した矩形状を成すものである。
図には明示していないが、リフレクタ部材322には、少なくとも第1反射面322aおよび第2反射面322bに光反射性に富むアルミニウムもしくはアルミニウム合金が蒸着してある。
パッキン323は、2つ(複数)の押釦スイッチ32に対して1つ用意したもので、例えばシリコーン系ゴム等のように透光性および弾性を有した材料により、基部323aが配線基板321と同等の大きさを有した矩形の外形形状に成形してある。このパッキン323には、突条部323b、釦装着部323c、部品収容部323dおよびスプリング部323eが一体成形してある。
突条部323bは、基部323aの裏面周縁から各辺に沿う態様で突設した無端の矩形状を成す部分であり、ベース部材311の装着溝311bに対応して構成してある。図には明示していないが、この突条部323bの突出端部は、装着溝311bの幅よりも僅かに大きな板厚を有するように構成してある。
釦装着部323cは、基部323aの裏面において配線基板321の各実装領域に対応する部位にそれぞれリフレクタ部材322を嵌挿することのできる楕円形状の開口を有し、該開口から基部323aの表面側に向けて突設した部分であり、個々の突出端面が閉塞した楕円の筒状を成している。
部品収容部323dは、配線基板321に実装した接点部材326や集積回路素子330等、突出量が大きい電子部品との干渉を避けるための部分であり、これらの電子部品に対応する部位に基部323aから表面側に突出し、かつ電子部品を覆う態様で形成してある。具体的には、パッキン323の長手方向両端部、並びに釦装着部323cの相互間にそれぞれ釦装着部323cに連続する態様で部品収容部323dを形成してある。これらの部品収容部323dには、接点部材326に対応する部位にそれぞれ操作突起部323fが設けてある。操作突起部323fは、部品収容部323dにおいて裏面側に向く面から互いに同一の長さをもって円柱状に突設したものである。
スプリング部323eは、所望とする弾性復元力を維持した状態で、他の部分よりも弾性変形し易いように薄肉に成形した部分であり、基部323aと釦装着部323cとの間、並びに基部323aと部品収容部323dとの間に構成してある。
表示板324は、透光性を有した材料から成るフィルム材によって釦装着部323cの突出端面と略同一の形状に成形したもので、それぞれの押釦スイッチ32に個別に設けてある。図には明示していないが、個々の表示板324には、リフレクタ部材322の2つの第2反射面322bに対応する部位にそれぞれ抜き文字が形成してある。抜き文字は、例えば他の部分に塗装を施す等、透光性を低下させる処理を施すことにより、表示板324に光を透過させた場合に文字部分を浮き上がるようにしたもので、本実施の形態では、第3赤色発光ダイオード329aの第2反射面322bに対応する部位に「売切」と表示するように構成する一方、第3橙色発光ダイオード329bの第2反射面322bに対応する部位に「準備中」を表示するように構成してある。
操作部材325は、それぞれの押釦スイッチ32に個別に設けたもので、透光性を有した材料により、釦基部325aがカバー部材312の前板部312aに形成した釦挿通孔312dよりも大きく、配線基板321の実装領域に実装した2つの接点部材326を覆うに充分な幅および長さを有した矩形の外形形状に成形してある。釦基部325aの外表面は、カバー部材312の内表面に倣って円弧状に膨出している。個々の操作部材325には、それぞれ釦基部325aの中央部に操作部325bが設けてある。操作部325bは、操作部材325の裏面にパッキン323の釦装着部323cおよび表示板324を嵌挿することのできる楕円形状の開口を有し、該開口から釦基部325aの表面側に向けて楕円の筒状に突設した部分であり、カバー部材312の釦挿通孔312dに嵌挿できる外形寸法に構成してある。釦基部325aの外表面からの操作部325bの突出高さは、カバー部材312の板厚よりも僅かに大きく構成してあり、また操作部325bの個々の先端面は、押圧操作面325cとして閉塞してある。
上記のような構成を有する押釦ユニット30は、例えば以下のようにして組み立てることができる。まず、パッキン323に設けた釦装着部323cの内部にリフレクタ部材322を嵌挿させるとともに、釦装着部323cの突出端面に表示板324を重ね合わせた状態でこれらを操作部材325の裏面側から操作部325bの内部に嵌挿させることにより、リフレクタ部材322、パッキン323、表示板324および操作部材325を一体化させる。その後、ベース部材311の枠部311aに配線基板321を収容させた状態で装着溝311bにパッキン323の突条部323bを圧入すれば、ベース部材311と操作部材325との間にパッキン323のスプリング部323eを介在させた状態でベース部材311に操作部材325が保持される。
この場合、配線基板321に実装した接点部材326には、それぞれパッキン323の操作突起部323fを介して操作部材325の釦基部325aが対向配置された状態にある。この状態からスプリング部323eの弾性力に抗して操作部材325の押圧操作面325cをに押圧力を与えれば、パッキン323の操作突起部323fを介して釦基部325aの裏面により接点部材326を押圧操作することができる。操作部材325の押圧操作面325cに与えた押圧力を除去すると、スプリング部323eの弾性復元力によって操作部材325が配線基板321から離隔移動し、接点部材326の押圧操作を解除することができる。
また、配線基板321に実装した第1光源327および第2光源328には、リフレクタ部材322に設けた導光部材3220が対向配置された状態にあるとともに、第3光源329には、それぞれ第2反射面322bに通じる第2光通過孔322dが対向位置に配置された状態にある。
コントローラ40は、図4に示したように、主制御部41と、通信処理部42と、貨幣処理管理部43と、商品管理部44と、光源管理制御部45と、商品払出制御部46とを備えて構成してある。
主制御部41は、例えばROMやRAM等のメモリ47に格納されたプログラムやデータに基づいてコントローラ40の動作を統括的に制御するものである。通信処理部42は、外部の各端末機器との間で各種指令または各種信号の入出力を行うものである。
貨幣処理管理部43は、上記貨幣処理装置が正規なものとして取り込んだ貨幣が商品の販売価格以上になったか否かを管理するものである。商品管理部44は、本体キャビネット2の内部に収容された商品のうち、既に在庫が無くなって売切状態に該当する商品の存否、並びに現在冷却中あるいは現在加温中のために販売準備状態に該当する商品の存否を管理するものである。より具体的に説明すると、本体キャビネット2の内部に配設された売切検出部(図示せず)からの売切信号を入力したか否か、並びに本体キャビネット2の内部に配設された準備中検出部(図示せず)からの準備中信号を入力したか否かを確認するものである。
光源管理制御部45は、第1光源327、第2光源328および第3光源329の明滅を制御、すなわち第1光源327、第2光源328および第3光源329のそれぞれの駆動、つまり点灯および消灯を制御するものである。
具体的に説明すると、光源管理制御部45は、貨幣処理管理部43を通じて貨幣処理装置が取り込んだ貨幣が商品の販売価格以上になったと判断された場合には、該当する商品の商品見本12に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子330に対して、通信処理部42を通じて第1光源点灯指令を出力するものである。これにより、集積回路素子330は、第1青色発光ダイオード327aまたは第1赤色発光ダイオード327bを点灯させることになる。
また、光源管理制御部45は、貨幣処理装置に商品販売価格以上の貨幣が取り込まれる前に通信処理部42を通じて集積回路素子330からの作動信号が入力された場合には、該集積回路素子330に対して、通信処理部42を通じて第2光源点灯指令を出力するものである。これにより、集積回路素子330は、該当する第2緑色発光ダイオード328aを点灯させることになる。
一方、商品管理部44を通じて、売切状態に該当する商品が確認された場合、あるいは販売準備状態に該当する商品が確認された場合には、光源管理制御部45は、該当商品の商品見本12に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子330に対して、通信処理部42を通じて第3光源点灯指令を出力するものである。これにより、集積回路素子330は、第3赤色発光ダイオード329aまたは第3橙色発光ダイオード329bを点灯させることになる。
更に、光源管理制御部45は、貨幣処理管理部43を通じて貨幣処理装置が取り込んだ貨幣が商品の販売価格以上になったと判断された場合において、該当する商品の中にメモリ47に予め設定された特定のお奨め商品(以下、特定商品ともいう)が含まれているときには、該特定商品の商品見本12に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子330に対して、通信処理部42を通じて第1光源特定点灯指令を出力するものである。これにより、集積回路素子330は、第1青色発光ダイオード327aおよび第1赤色発光ダイオード327bのいずれか一方を点灯させるとともに、他方を点滅させることになる。より詳細に説明すると、集積回路素子330は、特定商品が冷温状態に保持した商品(コールド商品)の場合には、第1青色発光ダイオード327aを点灯させる一方、第1赤色発光ダイオード327bを点滅させ、特定商品が暖温状態に保持した商品(ホット商品)の場合には、第1赤色発光ダイオード327bを点灯させる一方、第1青色発光ダイオード327aを点滅させる。
商品払出制御部46は、本体キャビネット2の内部に収容された商品を払い出すための商品払出機構(図示せず)の動作を制御するもので、具体的には、通信処理部42を通じて集積回路素子330から作動信号を入力した場合に、該当する商品に応じた商品払出機構を動作させるものである。これにより、該当商品は、商品取出口7まで払い出されることになる。
以上のような構成を有する押釦装置20は、次のような動作を行う。ここでは、コントローラ40の主制御部41の処理内容を中心にして押釦装置20の動作について説明する。
コントローラ40の主制御部41は、商品管理部44を通じて売切状態に該当する商品を確認した場合、あるいは商品管理部44を通じて準備中状態に該当する商品を確認した場合には、売切状態に該当する商品に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子330に第3赤色発光ダイオード点灯指令、あるいは準備中状態に該当する商品に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子330に第3橙色発光ダイオード点灯指令を、それぞれ光源管理制御部45および通信処理部42を通じて出力する。これにより、集積回路素子330は、第3赤色発光ダイオード329aまたは第3橙色発光ダイオード329bを点灯させる。そうすると、第3赤色発光ダイオード329aまたは第3橙色発光ダイオード329bからの出射光が、対応する第2光通過孔322dを通過し、第2反射面322bで反射した後、パッキン323、表示板324および操作部材325の押圧操作面325cを順次透過することになり、この透過光を外部から視認することができる。その際、第3赤色発光ダイオード329aからの出射光は、操作部材325の押圧操作面325cにおいて表示板324に設けた「売切」の抜き文字を浮き上がらせ(図5参照)、第3橙色発光ダイオード329bからの出射光は、操作部材325の押圧操作面325cにおいて表示板324に設けた「準備中」の抜き文字を浮き上がらせるようになる(図6参照)。従って、販売する商品が無くなった場合に対応する押釦スイッチ32の第3赤色発光ダイオード329aを点灯させれば、また販売する商品が適温状態に至っていない場合に対応する押釦スイッチ32の第3橙色発光ダイオード329bを点灯させれば、自動販売機1の運転状態を利用者に明示することができる。
そのように商品管理部44が売切状態および準備中状態を確認していない商品に対しては、押釦装置20は次のような動作を行う。図7は、売切状態および準備中状態が確認されていない商品についてのコントローラの主制御部の処理内容を示したフローチャートである。かかる図7を用いて押釦装置20の動作について説明する。
コントローラ40の主制御部41は、貨幣処理管理部43を通じて貨幣処理装置が取り込んだ貨幣が商品の販売価格以上になったか否かを確認し(ステップS101)、取り込んだ貨幣が商品の販売価格以上になった場合には、販売可能商品の中にメモリ47に予め設定された特定商品が含まれているか否かを確認する(ステップS102)。
そして、特定商品が含まれていない場合には、販売可能商品に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子330に対して、光源管理制御部45および通信処理部42を通じて第1光源点灯指令を出力する(ステップS103)。これにより、集積回路素子330は、該当商品の温度状態に応じて、第1青色発光ダイオード327aまたは第1赤色発光ダイオード327bを点灯させる。そうすると、第1青色発光ダイオード327aまたは第1赤色発光ダイオード327bからの出射光が、導光部材3220を通過する際に光発散面3220aによって発散され、さらに光散乱面3220bによってリフレクタ部材322の第1反射面322aに導かれ、第1反射面322aで反射した後にパッキン323、表示板324および操作部材325の押圧操作面325cを順次同時に透過することになり、この透過光を外部から視認することができる。従って、販売可能な商品を利用者に明示することができるようになる。
その後、主制御部41は、利用者により商品が選択されたか否か、すなわち通信処理部42を通じて作動信号を入力したか否かを確認し(ステップS104)、該作動信号を入力した場合には、商品払出制御部46を通じて該当商品の払い出しを行う(ステップS105)。これにより今回の処理を終了する。
一方、上記ステップS102において、特定商品が含まれている場合には、該特定商品に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子330に対して、光源管理制御部45および通信処理部42を通じて第1光源特定点灯指令を出力する(ステップS106)。これにより、集積回路素子330は、特定商品の温度状態に応じて、第1青色発光ダイオード327aおよび第1赤色発光ダイオード327bのいずれか一方を点灯させるとともに、他方を点滅させる。より詳細には、特定商品がコールド商品の場合には、第1青色発光ダイオード327aを点灯させる一方、第1赤色発光ダイオード327bを点滅させ、特定商品がホット商品の場合には、第1赤色発光ダイオード327bを点灯させる一方、第1青色発光ダイオード327aを点滅させる。そうすると、第1青色発光ダイオード327aおよび/または第1赤色発光ダイオード327bからの出射光が、リフレクタ部材322の第1反射面322aで反射した後にパッキン323、表示板324および操作部材325の押圧操作面325cを順次同時に透過する。これにより、特定商品がコールド商品の場合には、青色と紫色とが交互に示される透過光を外部から視認することができる一方、特定商品がホット商品の場合には、赤色と紫色とが交互に示される透過光を外部から視認することができる。つまり、特定のお奨め商品を確実に利用者にアピールすることができる。
その後、主制御部41は、利用者により商品が選択されたか否か、すなわち通信処理部42を通じて作動信号を入力したか否かを確認し(ステップS107)、該作動信号を入力した場合には、商品払出制御部46を通じて該当商品の払い出しを行う(ステップS105)。これにより今回の処理を終了する。
ところで、貨幣処理管理部43を通じて貨幣処理装置が取り込んだ貨幣が商品の販売価格以上になったことが確認されないで、通信処理部42を通じて作動信号を入力した場合、すなわち貨幣処理装置に商品の販売価格以上の貨幣が投入される前に利用者により商品が選択された場合、つまり商品が先選択された場合には(ステップS101およびステップS108)、主制御部41は、該当商品の商品見本12に対応した押釦スイッチ32を有する押釦ユニット30の集積回路素子330に対して、光源管理制御部45および通信処理部42を通じて第2光源点灯指令を出力する(ステップS109)。これにより、集積回路素子330は、第2緑色発光ダイオード328aを点灯させる。そうすると、第2緑色発光ダイオード328aからの出射光が、導光部材3220を通過する際に光発散面3220aによって発散され、さらに光散乱面3220bによってリフレクタ部材322の第1反射面322aに導かれ、第1反射面322aで反射した後にパッキン323、表示板324および操作部材325の押圧操作面325cを順次同時に透過することになり、この透過光を外部から視認することができる。従って、先選択された商品を利用者に明示することができるようになる。
その後、主制御部41は、貨幣処理管理部43を通じて貨幣処理装置が取り込んだ貨幣が商品の販売価格以上になったことを確認し(ステップS110)、取り込んだ貨幣が商品の販売価格以上になった場合には、商品払出制御部46を通じて該当商品の払い出しを行う(ステップS105)。これにより今回の処理を終了する。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る押釦装置20によれば、押釦スイッチ32が、商品販売価格以上の貨幣が投入されたことにより商品の払い出しが可能になった場合に駆動する第1光源327だけでなく、商品販売価格以上の貨幣が投入される前に押釦スイッチ32が押圧された場合に駆動し、かつ第1光源327とは異なる色を呈する第2光源328とをそれぞれの出射光が透過可能となる態様で備えて成るので、いわゆる先選択をされた場合にも確実に表示することができる。
上記押釦装置20によれば、本体キャビネット2に収容された商品の払い出しが可能になった場合に、予め設定された特定商品に対応する押釦スイッチ32の第1光源327を交互に点灯させるので、特定商品を確実にアピールすることができる。従って、お奨め商品の販売向上を促進することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、上述の実施の形態では、商品の払い出しが可能な状態の場合に限って第1光源327を交互に点灯させたが、本発明では、商品の払い出しが可能な状態だけでなく、貨幣が投入される前の待機状態の場合にも同様に第1光源を交互にさせても良い。これによっても特定商品を確実にアピールすることができる。
また、上述の実施の形態では、第1光源327、第2光源328および第3光源329からの出射光が、いずれも操作部材325の押圧操作面325cを透過する構成の押釦装置20について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、主光源(第1光源)および補助光源(第2光源)からの出射光が操作部材の押圧操作面を透過する構成であれば、第3光源からの出射光は、操作部材の押圧操作面以外の部分から透過する構成であっても良い。
更に、上述の実施の形態では、第2光源(補助光源)328として第2緑色発光ダイオード328aから構成されたものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、補助光源は、主光源(第1光源)が呈する色と異なる色を呈するものであれば良い。