JP2006105605A - 距離センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 検出対象物7が未知であることに制約されることなく検出対象物7までの距離を正確に計測すること。
【解決手段】 診断素子3から受光素子5に診断光を異なる光量で投射し、受光素子5から出力される受光信号のピークレベルPx毎の補正時間Txを事前にサンプリングする。補正時間Txとは診断光を投光してから受光信号が基準信号に到達するまでの所要時間を称し、ピークレベルPxとは受光信号のピーク値を称するものであり、検出対象物7までの距離を測定するときには投光素子2が投光開始してから受光信号が基準信号に到達するまでの受光時間および受光信号のピーク値を測定する。そして、サンプリングデータからピーク値の測定結果に応じたピークレベルPxを取得し、ピークレベルPxの取得結果に応じた補正時間Txを取得し、受光時間Tの測定結果を補正時間Txの取得結果に基いて補正する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、投光素子が投光開始してから受光素子が検出対象物からの反射光を受光するまでの所要時間に基いて検出対象物までの距離を測定する距離センサに関する。
上記距離センサには、受光素子の受光波形を数式化し、数式に実測データを投入することに基いて検出対象物までの距離を補正する構成のものがある。
特開平4−339289号公報
上記従来構成の場合、検出対象物の反射率に応じた数式を選択的に使用することで検出対象物の反射率の相違が排除された測定結果を得ることができる。しかしながら、未知の検出対象物には適切な数式が存在しないので、距離の補正処理を正確に行うことができない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出対象物が未知であることに制約されることなく検出対象物までの距離を正確に計測することができる距離センサを提供することにある。
請求項1記載の距離センサは、1)投光素子と2)受光素子と3)診断素子と4)ピーク検出手段と5)計時手段と6)駆動手段と7)補正データ設定手段と8)センシング手段とを備えたものであり、1)投光素子〜8)センシング手段の詳細は次の通りである。
1)投光素子:検出対象物に距離測定用の測距光を投射するものである。
2)受光素子:検出対象物から反射される測距光を受光するものである。
3)診断素子:受光素子に自己診断用の診断光を投射するものである。
4)ピーク検出手段:受光素子の検出結果のピークレベルを投光素子の単独発光時および診断素子の単独発光時の双方で検出するものである。
5)計時手段:投光素子が投光開始してから受光素子が受光するまでの所要時間および診断素子が投光開始してから受光素子が受光するまでの所要時間を測定するものであり、受光素子が受光したことは受光素子の受光レベルが基準レベルに到達することに基いて判断することが好ましい。
6)駆動手段:診断素子および投光素子を択一的に駆動するものであり、診断素子の単独駆動時を設定時と称し、投光素子の単独駆動時を測定時と称する。
7)補正データ設定手段:投光素子の発光停止状態で診断素子から受光素子に診断光を異なる光量で投射し、所要時間およびピークレベルを診断光の光量毎に取得するものである。この補正データ設定手段は診断光の光量毎の所要時間の取得結果に基いてピークレベル毎の補正データを設定するものであり、補正データとは所要時間の取得結果そのものであっても良く、所要時間の取得結果を加工することに基いて得られる加工データであっても良い。即ち、補正データ設定手段は検出対象物の種類をピークレベルとして仮想的に規定し、補正データを仮想的な検出対象物毎の時間データとして保有するものであり、診断素子から受光素子に診断光を異なる光量で実際に投射することに基いて仮想的な検出対象物毎の時間データを作成するところに特徴を有している。
8)センシング手段:投光素子を診断素子の発光停止状態で駆動することに基いて投光素子から検出対象物に測距光を投射し、所要時間の測定結果およびピークレベルの検出結果を取得するものである。このセンシング手段はピークレベルの検出結果に応じた補正データの事前設定結果に基いて所要時間の検出結果を補正した結果から検出対象物までの距離を測定する。
請求項2記載の距離センサは、診断素子が単独発光するときの所要時間の取得結果を補正データ設定手段が加工することに基いて補正データを設定するものである。具体的には基準時間と所要時間との差を補正データとして設定するものであり、基準時間とは検出対象物が基準距離に存在することを想定して予め設定されたものである。
請求項3記載の距離センサは、補正データが存在しない中間データの処理内容を言及したものであり、ピークレベルの実測結果に合致する補正データが存在しないときにはピークレベルの実測結果の近傍の補正データを演算処理することに基いて補正データを生成するものである。この場合、センシング手段がピークレベルの取得結果を演算式に投入することに基いてピークレベルの取得結果に応じた補正データを得ることが好ましい。この演算式は補正データ設定手段がピークレベルの取得結果毎に設定した補正データに基いて設定するものであり、ピークレベルおよび補正データを変数としている。
請求項4記載の距離センサは、複数の受光素子毎に補正データの設定処理および検出対象物までの測距処理を行うものであり、複数の受光素子とは一次元または二次元の受光領域を有するものである。
請求項5記載の距離センサは、設定時および測定時に状態を切換える切換え手段を設けたものである。これら設定時および測定時とは診断素子のみを駆動するモードおよび投光素子のみを駆動するモードを称するものであり、補正データの設定は設定モードで行われ、検出対象物までの距離測定は測定モードで行われる。この切換え手段は使用者が手動操作することに基いて設定時および測定時を切換える操作手段・使用者が操作することなく設定時および測定時を自動的に切換える手段の双方を含む。
請求項1に係る発明によれば、診断素子から受光素子に診断光を異なる光量で実際に投射し、補正データとしてピークレベル毎の時間データを設定しているので、検出対象物が未知であることに制約されることなく検出対象物までの距離を正確に計測することができる。しかも、補正データとして受光素子の応答速度および応答感度等の個体差を含んだものが設定される。このため、所要時間の実測結果を補正データに基いて補正し、所要時間の補正結果に基いて検出対象物までの距離を測定することで受光素子の個体差を排除できるので、検出対象物までの距離を受光素子の個体差に拘らず正確に測定できる。
請求項2に係る発明によれば、基準時間の設定結果と所要時間の測定結果との差をピークレベル毎の補正データとして設定している。このため、投光素子から検出対象物に測距光を投射して距離を実測するときに所要時間の測定結果に補正データを加算または減算する程度で所要時間の測定結果を補正することができるので、検出対象物までの距離を実測するときの処理内容が簡単になる。
請求項3に係る発明によれば、ピークレベルの実測結果に合致する補正データが存在しないときにはピークレベルの実測結果の近傍の補正データを演算処理することに基いて補正データを生成しているので、ピークレベルの実測結果に高精度で整合する補正データを生成することができる。
センサケース1内には、図1に示すように、投光素子2および診断素子3が収納されている。これら投光素子2および診断素子3はビーム状の赤外線を投射する同一の赤外線LEDから構成されたものであり、投光レンズ4は投光素子2から投射された赤外線をセンサケース1の前方に距離測定用の測距光として発散する。この投光レンズ4はセンサケース1に固定されたものであり、センサケース1の前方に3次元の投光領域を生成する。
センサケース1内には受光素子5が収納されており、診断素子3から投射された赤外線は受光素子5に診断光として直接的に照射される。この受光素子5はフォトダイオードからなるものでありり、受光光量に応じた電流レベルの検出信号を出力する。この受光素子5の前方には受光レンズ6が配置されている。この受光レンズ6はセンサケース1に固定されたものであり、投光領域内の検出対象物7から反射された赤外線を集光して受光素子5に照射する。
センサケース1内には距離計測回路10が収納されている。この距離計測回路10は検出物体7に至る距離を計測するものであり、図2に示すように、投光回路11と投光回路12と受光回路13とピークホールド回路14と比較回路15と制御回路16と出力回路17を有している。投光回路11は投光素子2に投光信号を出力するものであり、投光素子2は投光回路11から投光信号が与えられることに基いて投光領域内に固定的な一定光量の測距光を投射する。
投光回路12は診断素子3に投光信号を出力するものであり、診断素子3は投光回路12から投光信号が与えられることに基いて受光素子5に診断光を投射する。この投光回路12はセレクターを有している。このセレクターは複数の抵抗を診断素子3に選択的に接続するものであり、複数の抵抗を診断素子3に選択的に接続することに基いて投光信号の電流値を変化させ、診断光の光量を段階的に調整する。
受光回路13は受光素子5から出力される検出信号を電圧レベルの受光信号に変換するものである。この受光回路13は受光信号の変換結果をピークホールド回路14に出力するものであり、ピークホールド回路14は受光回路13から出力される受光信号のピーク値に応じた電圧レベルのピーク信号を出力する。比較回路15は受光回路13から出力される受光信号を基準信号と比較するものであり、受光信号が基準信号に到達した場合に計時停止信号を出力する。
制御回路16はマイクロコンピュータを主体に構成されたものであり、CPU18とROM19とRAM20を有している。この制御回路16は投光回路11および投光回路12の双方に投光開始信号および投光停止信号を個別に出力するものであり、投光回路11および投光回路12は投光開始信号の入力に同期して投光信号を出力開始し、投光停止信号の入力に同期して投光信号を出力停止する。この制御回路16は投光回路12にセレクト信号を出力するものであり、投光回路12はセレクト信号に応じた抵抗を選択的に有効化することに基いて投光信号の電流レベルを調整する。
制御回路16はピーク検出手段と計時手段と駆動手段と補正データ設定手段とセンシング手段と切換え手段に相当するものであり、ピークホールド回路14からのピーク信号および比較回路15からの計時停止信号に基いて検出対象物7までの距離Lを測定し、距離Lの測定結果を出力回路17を通してディスプレイ等の外部機器21に出力する。この制御回路16は自己診断手段に相当するものであり、受光素子5の異常を検出したときには出力回路17を通して外部機器21に故障信号を出力し、距離Lの測定処理が正常に行われていないことを検出したときには出力回路17を通して外部機器21に測定異常信号を出力する。この一連の処理はCPU18がROM19に予め記録された制御プログラムに基いて実行するものであり、制御プログラムの詳細は次の通りである。
制御回路16のCPU18は図3のステップS1へ移行すると、サンプリングフラグの設定状態を判断する。ここでサンプリングフラグがオフされていることを検出したときにはステップS2でサンプリング処理を実行し、ステップS3でサンプリングフラグをオンする。そして、ステップS1でサンプリングフラグのオンを検出し、ステップS4でチェック処理を実行した後にステップS5で測距処理を実行する。
サンプリング処理は診断素子3の投光量を段階的に変化させながら補正時間TxおよびピークレベルPxをサンプリングするものであり、投光素子2の投光停止状態で行われる。補正時間Txは、図4に示すように、診断素子3が発光してから受光信号が基準信号に到達するまでの所要時間を称し、ピークレベルPxは受光信号のピーク値を称するものであり、いずれも診断素子3の投光量に応じて変化する。これら補正時間TxおよびピークレベルPxは検出対象物7の反射率・受光素子5の応答速度・受光素子5の応答感度等に応じてばらつくものであり、チェック処理および測距処理ではサンプリングデータに基いて測定データが補正されることに基いてばらつきが是正される。以下、サンプリング処理〜測距処理について説明する。
1.サンプリング処理
制御回路16のCPU18は図5のステップS11へ移行すると、カウンタNを「0」にリセットする。このカウンタNは診断素子3の投光量を段階的に変化させるパラメータとして機能するものであり、CPU18はステップS11でカウンタNをリセットしたときにはステップS12でタイマTを「0」にリセットする。このタイマTは補正時間Txを計測するものであり、CPU18ステップS12でタイマTをリセットしたときにはステップS13でカウンタNに「1」を加算し、ステップS14へ移行する。
CPU18はステップS14へ移行すると、カウンタNの加算結果に基いてセレクト信号を設定する。そして、ステップS15で投光回路12にセレクト信号の設定結果を出力し、ステップS16で投光回路12に投光開始信号を出力することに基いて診断素子3から受光素子5にカウンタNの加算結果に応じた光量の診断光を照射する。
CPU18はステップS16で診断素子3を発光させると、ステップS17でタイマTをスタートさせ、ステップS18で計時停止信号の有無を判断する。この計時停止信号は比較回路15が「受光信号≧基準信号」を検出することに基いて出力するものであり、CPU18はステップS18で計時停止信号を検出したときにはステップS19でタイマTを停止させ、ステップS20でタイマTの計測結果を補正時間Txにセットする。この補正時間Txは基準距離「0」で存在する検出対象物7を想定したものであり、検出対象物7が基準距離「0」で存在するときには受光信号が基準信号に到達するまでに要する時間が投光量の大小に拘らず理論的に「0」になる。即ち、補正時間Txは診断素子3と受光素子5との距離を「0」としたものであり、理論的な所要時間「0」を基準時間としたときの実測時間Tと基準時間との差に相当する。
CPU18はステップS20で補正時間Txをセットすると、ステップS21でピークホールド回路14からのピーク信号を検出し、ステップS22で今回のピーク信号を前回のピーク信号と比較する。ここで「前回のピーク信号=今回のピーク信号」を検出したときにはステップS23へ移行し、投光回路12に投光停止信号を出力することに基いて診断素子3を発光停止させる。そして、ステップS24で今回のピーク信号をピークレベルPxにセットし、ステップS25で補正時間Txの設定結果およびピークレベルPxの設定結果をRAM20に対応付けて格納することに基いてサンプリングデータを得る。
CPU18はステップS25でサンプリングデータをRAM20に格納すると、ステップS26でカウンタNの加算結果をROM19に予め記録された最大値Nmaxと比較する。ここで「N<Nmax」を検出したときにはステップS12に復帰し、ステップS12〜S26を繰返す。即ち、サンプリング処理では診断素子3の投光量が段階的に変化し、図6に示すように、投光量に応じた補正時間TxおよびピークレベルPxが段階的にサンプリングされる。
2.チェック処理
制御回路16のCPU18は図7のステップS31へ移行すると、タイマTを「0」にリセットする。そして、ステップS32へ移行し、カウンタNにチェック値をセットする。このチェック値とは制御回路16のROM19に予め記録された固定値を称するものであり、CPU18はステップS32でカウンタNにチェック値をセットしたときにはステップS33でカウンタNの設定結果に基いてセレクト信号を設定し、ステップS34へ移行する。
CPU18はステップS34へ移行すると、投光回路12にセレクト信号の設定結果を出力することに基いて診断素子3の投光量をチェック値に設定する。そして、ステップS35でタイマTをスタートさせ、ステップS36でタイマTの計測結果をROM19に予め記録された遅延時間Tdと比較する。ここでタイマTの計測結果が遅延時間Tdに到達したことを検出したときにはステップS37へ移行し、投光回路12に投光開始信号を出力することに基いて診断素子3から受光素子5にチェック光量の診断光を直接的に照射する。
即ち、診断素子3はタイマTの計測開始から遅延時間Tdだけ遅れて発光するものであり、受光素子5にはタイマTの計測開始から遅延時間Tdだけ遅れて診断光が照射される。この遅延時間Tdは投光素子2から投射された測距光が検出対象物7によって反射されることに基いて受光素子5に入射される時間を想定したものであり、検出対象物7が仮想距離Loで存在している状態を擬似的に生成するものである。
CPU18はステップS37で診断素子3を発光させると、ステップS38で計時停止信号の有無を判断する。ここで計時停止信号がないことを検出したときにはステップS39へ移行し、タイマTの計測値を上限値Tmaxと比較する。この上限値Tmaxは制御回路16のROM19に予め記録された固定値を称するものであり、CPU18はステップS39で「T≧Tmax」を検出したときにはステップS40へ移行する。
CPU18はステップS40へ移行すると、投光回路12に投光停止信号を出力することに基いて診断素子3を発光停止させる。そして、ステップS41でタイマTを停止させ、ステップS42で出力回路17に故障信号を出力して処理を終える。即ち、受光素子5が断線および導通不良等の故障状態にあるときには上限時間Tmaxが経過しても受光信号が基準信号に到達せず、出力回路17を通して外部機器21に故障信号が与えられることに基いて受光素子5の故障が報知される。
CPU18はステップS38で計時停止信号を検出すると、ステップS43でタイマTを停止させる。そして、ステップS44およびステップS45を繰返すことに基いて今回のピーク信号と前回のピーク信号とを比較し、ステップS45で「前回のピーク信号=今回のピーク信号」を検出したときにはステップS46へ移行する。
CPU18はステップS46へ移行すると、投光回路12に投光停止信号を出力することに基いて診断素子3を発光停止させる。そして、ステップS47でサンプリングデータの格納結果から今回のピーク信号に最も近いピークレベルPxを検出した後にピークレベルPxの検出結果に応じた補正時間Txを検出し、ステップS48でタイマTの計測結果から補正時間Txの検出結果を減算する。このタイマTの計測結果は受光素子5が診断光を受光したことが確定するまでに要する受光時間に相当するものであり、CPU18は受光時間Tの実測値から補正時間Txのサンプリング結果を減算することに基いて受光時間Tを補正し、ステップS49で受光時間Tの補正結果に基いて擬似的な距離Lを演算する。
CPU18はステップS49で擬似的な距離Lを演算すると、ステップS50で擬似的な距離Lの演算結果をROM19に予め記録された下限許容値「Lo−ΔLo」および上限許容値「Lo+ΔLo」と比較する。ここで「Lo−ΔLo≦L≦Lo+ΔLo」を検出したときには距離Lの測定処理が正常に行われていると判断し、チェック処理を終える。また、ステップS50で「Lo−ΔLo>L」および「L>Lo+ΔLo」のいずれか一方を検出したときには距離Lの測定処理が正常に行われていないと判断する。そして、ステップS51で出力回路17を通して外部機器21に測定異常信号を出力し、距離Lの測定動作が正常に行われていないことを報知する。即ち、チェック処理とはハードウェア的な異常の有無およびソフトウェア的な異常の有無を測距処理に先立って事前確認するものである。
3.測距処理
制御回路16のCPU18は図8のステップS61へ移行すると、タイマTを「0」にリセットする。そして、ステップS62へ移行し、投光回路11に投光開始信号を出力することに基いて投光素子2から投光領域内に測距光を投射する。次に、ステップS63でタイマTをスタートさせ、ステップS64で計時停止信号の有無を判断する。
CPU18はステップS64で計時停止信号がないことを検出すると、ステップS65でタイマTの計測値を上限値Tmaxと比較する。ここで「T≧Tmax」を検出したときには投光素子2の投光領域内に検出対象物7が存在しないと判断し、ステップS66で投光回路11に投光停止信号を出力することに基いて投光素子2を発光停止させる。そして、ステップS67でタイマTを停止させ、ステップS61に復帰する。
CPU18はステップS64で計時停止信号を検出すると、ステップS68でタイマTを停止させる。そして、ステップS69およびステップS70を繰返すことに基いて今回のピーク信号と前回のピーク信号とを比較し、ステップS70で「前回のピーク信号=今回のピーク信号」を検出したときにはステップS71へ移行する。
CPU18はステップS71へ移行すると、投光素子2を発光停止させる。そして、ステップS72でサンプリングデータの格納結果から今回のピーク信号に最も近いピークレベルPxを検出した後にピークレベルPxの検出結果に応じた補正時間Txを検出し、ステップS73でタイマTの計測結果から補正時間Txの検出結果を減算する。このタイマTの計測結果は受光素子5が測距光を受光したことが確定するまでに要する受光時間に相当するものであり、CPU18は受光時間Tの実測値から補正時間Txのサンプリング結果を減算することに基いて受光時間Tを補正する。次にステップS74で受光時間Tの補正結果に基いて距離Lを演算し、ステップS75で距離Lの演算結果を出力回路17を通して外部機器21に出力し、ステップS61に復帰する。
上記実施例1によれば、診断素子3から受光素子5に診断光を異なる光量で実際に投射し、補正データとしてピークレベルPx毎の補正時間Txを設定したので、検出対象物7が未知であることに制約されることなく検出対象物7までの距離Lを正確に計測することができる。しかも、補正データとして受光素子5の応答速度および応答感度等の個体差を含んだものを設定した。このため、受光時間Tの実測結果を補正時間Txに基いて補正し、受光時間Tの補正結果に基いて検出対象物7までの距離Lを演算することで受光素子5の個体差を排除できるので、検出対象物7までの距離Lを受光素子5の個体差に拘らず正確に測定できる。
サンプリング処理でタイマTの測定結果と基準時間の設定結果「0」との差をピークレベルPx毎の補正データTxとして設定した。このため、チェック処理および測距処理で距離Lを実測するときに受光時間Tの測定結果から補正データTxを減算することに基いて受光時間Tの測定結果を補正することができるので、制御回路16の処理内容が簡単になる。
制御回路16がサンプリング処理および測距処理を自動的に切換える構成とした。このため、使用者がサンプリング処理および測距処理を手動操作で切換える必要がなくなるので、利便性が向上する。
制御回路16のCPU18は図9のステップS26で「N=Nmax」を検出すると、ステップS27で演算式を設定してRAM20に格納する。下記(1)式はCPU18がステップS27で設定する演算式を示すものである。この演算式はピークレベルPxおよび補正時間Txを変数とし、KおよびCを定数とするものであり、図10に示すように、Px−Tx座標上で隣接するサンプリングデータ相互間で設定される。即ち、CPU18は図9のステップS27で「Nmax」個のサンプリングデータに対して「Nmax−1」個の演算式を設定する。
Tx=K*Px+C ・・・・・・・(1)
CPU18は図7のステップS47および図8のステップS72へ移行すると、今回のピーク信号に応じた演算式を選択する。この今回のピーク信号に応じた演算式とは今回のピーク信号を含む範囲内で設定された演算式を称するものであり、例えば今回のピーク信号が「Pa」であるときには、図10に示すように、サンプリングデータN1およびサンプリングデータN2に基いて設定された演算式が選択される。
CPU18は図7のステップS47および図8のステップS72で演算式を選択すると、演算式の選択結果に今回のピーク信号を投入することに基いて補正時間Txを算出する。そして、図7のステップS48および図8のステップS73で受光時間Tの測定結果から補正時間Txの算出結果を減算することに基いて受光時間Tを補正し、受光時間Tの補正結果に基いて距離Lを演算する。
上記実施例2によれば、ピークレベルPxおよび補正時間Txを変数とする演算式を設定し、投光素子2の単独発光時のピーク信号を演算式に投入することに基いてピーク信号に応じた補正時間Txを算出した。即ち、ピーク信号に合致する補正時間Txが存在しないときにはピーク信号の前後の補正時間Txを演算処理することに基いて補正時間Txを生成したので、ピーク信号に完全一致するピークレベルPxが存在しないときでもピーク信号に高精度で整合する補正時間Txを設定することができる。
制御回路16のROM19には基準時間テーブルが記録されている。この基準時間テーブルは診断素子3から投射される診断光の光量Nと基準時間Toとの関係を示すものであり、基準時間Toとは基準距離Loで離間する検出対象物7を仮想したときに受光信号が基準信号に到達するまでの所要時間を称する。下記(2)式は基準時間Toの演算式を示すものであり、基準時間テーブルの記録データToは下記(2)を用いて予め算出されたものである。
Lo=To*C1(C1は定数) ・・・・・・・・・・・(2)
CPU18は図11のステップS19でタイマTを停止させると、ステップS28で基準時間テーブルからカウンタNの設定結果に応じた基準時間Toを取得し、基準時間Toの取得結果からタイマTの測定結果を減算する。そして、ステップS20へ移行し、補正時間TxにステップS28の減算結果「To−T」をセットする。即ち、CPU18はステップS25でピークレベルPx毎の差分データTx(To−T)をRAM20にサンプリングデータとして格納する。
CPU18は図7のステップS47および図8のステップS72へ移行すると、RAM20のサンプリングデータから今回のピーク信号に最も近いピークレベルPxを検出し、ピークレベルPxの検出結果に応じた差分データTxを検出する。そして、図7のステップS48および図8のステップS73で受光時間Tの測定結果に差分データTxを加算することに基いて受光時間Tの測定結果を補正し、図7のステップS49および図8のステップS74で受光時間Tの補正結果に基いて距離Lを演算する。
上記実施例3においては、制御回路16がピーク信号の検出結果に最も近いピークレベルPxを検出し、ピークレベルPxの検出結果に応じた差分データTxを検出する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば実施例2のように、ピークレベルPxおよび補正時間Txを変数とする演算式を設定し、ピーク信号の検出結果を演算式に投入することに基いて補正時間Txを算出する構成としても良い。
センサケース1内には、図12に示すように、受光素子アレイ30が収納されている。この受光素子アレイ30は複数の受光素子5を上下方向に一列に配置したものであり、検出対象物7から反射される測距光および診断素子3から投射される診断光は複数の全ての受光素子5によって受光される。これら複数の受光素子5には受光回路13とピークホールド回路14と比較回路15が個別に接続されており、制御回路16は図5のサンプリング処理を複数の受光素子5毎に行うことに基いて図6のサンプリングデータを複数の受光素子5毎に設定する。そして、図7のチェック処理を複数の受光素子5毎に実行し、断線等の故障の有無および測定異常の有無を複数の受光素子5毎にチェックする。次に、図8の測距処理を複数の受光素子5毎に実行し、複数の受光素子5毎に受光時間Tをサンプリングデータの設定結果に基いて補正することで距離Lを演算し、複数の受光素子5毎の距離Lの演算結果を出力回路17を通して外部機器21に出力する。
上記実施例4においては、複数の受光素子5が一列に配列された一次元の受光素子アレイ30を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば複数列に配列された二次元の受光素子アレイを用いても良い。
上記実施例1〜実施例4においては、サンプリング処理で診断素子3から投射される診断光の光量を段階的に変化させたが、これに限定されるものではなく、例えば連続的に変化させても良い。
上記実施例1〜実施例4においては、受光回路13から出力される受光信号をピークホールドするピークホールド回路14を設け、制御回路16がピークホールド回路14から出力されるピーク信号に基いてピークレベルPxを検出する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば制御回路16が受光信号のピーク値をソフトフェア的に検出する構成としても良い。
上記実施例1〜実施例4においては、受光回路13から出力される受光信号を基準信号と比較する比較回路15を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば制御回路16がソフトフェア的に受光信号と基準信号とを比較する構成としても良い。
上記実施例1〜実施例4においては、制御回路16のCPU18が受光時間Tの補正結果に基いて検出対象物7までの距離Lを演算する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば制御回路16のROM19に受光時間Tと距離Lとの関係を予め記録しておき、制御回路16のCPU18が受光時間Tの補正結果に応じた距離Lを記録データから表引きする構成としても良い。
上記実施例1〜実施例4においては、制御回路16がサンプリングフラグがオフされた使用初期にサンプリング処理を1回だけ行う構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば設定時間が経過する毎にサンプリング処理を自動的に行い、サンプリングデータを更新する構成としても良い。
上記実施例1〜実施例4においては、制御回路16がサンプリング処理および測距処理を自動的に切換える構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば操作スイッチの操作内容に応じて切換える構成としても良い。この操作スイッチは使用者が手動操作するものであり、センサケース1に装着することが好ましい。
本発明の実施例1を示す図(センサケースの内部構成を示す図) 電気的構成を示すブロック図 制御回路の制御内容を示すフローチャート (a)は受光信号を示す図、(b)は投光信号を示す図 制御回路のサンプリング処理を示すフローチャート サンプリングデータの格納結果を示す図 制御回路のチェック処理を示すフローチャート 制御回路の測距処理を示すフローチャート 本発明の実施例2を示す図5相当図 演算式の設定原理を説明するための図 本発明の実施例3を示す図5相当図 本発明の実施例4を示す図2相当図
符号の説明
2は投光素子、3は診断素子、5は受光素子、7は検出対象物、16は制御回路(ピーク検出手段,計時手段,駆動手段,補正データ設定手段,センシング手段,切換え手段)を示している。

Claims (5)

  1. 検出対象物に距離測定用の測距光を投射する投光素子と、
    前記検出対象物から反射される測距光を受光する受光素子と、
    前記受光素子に自己診断用の診断光を投射する診断素子と、
    前記受光素子の受光レベルのピークレベルを検出するピーク検出手段と、
    前記投光素子および前記診断素子の一方が投光開始してから前記受光素子で受光されるまでの所要時間を測定する計時手段と、
    設定時においては前記診断素子のみを駆動し、測定時においては前記投光素子のみを駆動する駆動手段と、
    前記設定時において、前記駆動手段によって前記診断素子のみを駆動することによって複数の異なる光量で診断光を投射させたときに前記計時手段で測定される所要時間と前記ピーク検出手段で検出されるピークレベルとを前記診断光の光量毎に取得し、前記診断光の光量毎に前記ピークレベルごとの補正データを前記所要時間に基いて設定する補正データ設定手段と、
    前記測定時において、前記駆動手段によって前記投光素子のみを駆動することによって前記投光素子から前記検出対象物に測距光を投射させたときに前記計時手段で測定される所要時間と前記ピーク検出手段で検出されるピークレベルとを取得するセンシング手段とを備え、
    前記センシング手段は、前記ピークレベルに応じた補正データに基いて前記所要時間を補正した結果に基いて前記検出対象物までの距離情報を生成することを特徴とする距離センサ。
  2. 前記補正データ設定手段は、前記ピークレベルに応じた補正データとして、前記検出対象物までの距離に応じて予め設定された基準時間と前記計時手段で求められた所要時間との差を設定することを特徴とする請求項1記載の距離センサ。
  3. 前記補正データ設定手段は、前記測定時のピークレベルに合致する補正データが存在しないときには前記測定時のピークレベルの近傍の補正データを演算処理することに基いて補正データを生成することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の距離センサ。
  4. 前記検出対象物から反射される測距光を受光する一次元または二次元の複数の受光素子を備え、
    前記複数の受光素子は、前記診断素子から診断光が投射されるものであり、
    前記ピーク検出手段は、受光レベルのピークレベルを前記複数の受光素子毎に検出するものであり、
    前記計時手段は、前記診断素子が投光開始してから受光素子で受光されるまでの所要時間を前記複数の受光素子毎に測定するものであり、
    前記補正データ設定手段は、前記診断光の光量毎に前記ピークレベルごとの補正データを前記所要時間に基いて設定する処理を前記複数の受光素子毎に行うものであり、
    前記センシング手段は、前記ピークレベルに応じた補正データに基いて前記所要時間を補正した結果に基いて前記検出対象物までの距離情報を生成する処理を前記複数の受光素子毎に行うものである
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の距離センサ。
  5. 前記診断素子のみを駆動する設定時および前記投光素子のみを駆動する測定時に状態を切換える切換え手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の距離センサ。

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