JP2006105403A - 直動案内軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンドキャップ2Bの外面側に、エンドキャップ2Bに近い側から、補強板10,潤滑剤含有部材11及びサイドシール12を重ね合わせた状態で固定する。補強板10はエンドキャップ2Bの外形に合わせたほぼコ字形状の鋼板であり、案内レール1とは非接触である。サイドシール12は、エンドキャップ2Bの外形に合わせたほぼコ字形状の鋼板と、この鋼板と相似の形状を有してその外面に一体的に成形されたグリース含有ポリウレタンゴムとから構成され、内周部にリップ部13を有する。潤滑剤含有部材11は、エンドキャップ2Bの外形に合わせたほぼコ字形状に形成されていて、そのコ字形状の内側の面は、リップ部13と同様に、案内レール1の断面形状に合わせて案内レール1の上面1a及び外側面1bに摺接可能な形状となっている。
【選択図】 図2
Description
即ち、特許文献1にあっては、案内レール外面と、その案内レールに沿って移動するスライダ内面との間に、潤滑剤含有のゴム又は合成樹脂により形成されたシールリップ部を有するシール装置を介在させていて、そのシールリップ部が案内レールの外面と接触して、スライダ内面と案内レール外面との間のすき間の開口をシールするようにしている。そして、シール装置のシールリップ部が潤滑剤含有のゴム又は合成樹脂から形成されて、そのシールリップ部が自己潤滑性を有しているため、シール自体に含有されている潤滑剤が徐々にしみ出てシール摩擦面に自動的に供給され、シールリップ部の磨耗が抑制される、という作用効果を得ることができる。
この発明は、このような従来の技術が有する未解決の課題に着目してなされたものであって、転動体の滑らかな転がり運動を維持することができる潤滑剤を、恒常的に供給することができる直動案内軸受装置を提供することを目的としている。
さらに、請求項6に係る発明は、上記請求項4又は請求項5に係る発明である直動案内軸受装置において、前記案内レールの軸方向と直角な方向への前記潤滑剤含有部材の変形が可能となるような取付手段を有することとした。
また、潤滑剤含有部材そのものを、スライダ端面と板状部材との間に挟み込む構造であるため、シールリップ部に潤滑剤を含有させるのとは異なり、転動体の転がりを長期間維持するのに十分な量の潤滑剤を含有させ得る大きさとすることが容易であるし、潤滑剤含有部材を鋼板等に接着する手間も不要であるから、組み立てが容易である。
請求項3に係る発明にあっては、潤滑剤含有部材は、案内レールと直交する方向への変形が許容されるように取り付けられるため、潤滑剤含有部材が磨耗しても、潤滑剤含有部材を常時案内レールに接触させることが可能となる。
請求項6に係る発明にあっては、潤滑剤含有部材は、案内レールと直交する方向への変形が許容されるように取り付けられるため、潤滑剤含有部材が磨耗しても、潤滑剤含有部材を常時案内レールに接触させることが可能となる。
先ず、ゴムに潤滑剤を含有させてなる潤滑剤含有部材の場合には、例えば、グリースを含有した状態で硬化したポリウレタンゴムが適用できる。
ポリウレタンゴムは、ポリイソシアネートと活性水素化合物との反応により生成する化合物であり、ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等を使用できる。
上記合成樹脂の群は、基本構造は同じでその平均分子量が異なっており、1×103 〜5×106 の範囲におよんでいる。その中で、平均分子量1×103 〜1×106 という比較的低分子量のものと、1×106 〜5×106 という超高分子量のものとを、単独もしくは必要に応じて混合して用いる。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド,ポリカーボネート,ポリブチレンテレフタレート,ポリフェニレンサルファイド,ポリエーテルスルホン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリアミドイミド,ポリスチレン,ABS樹脂等の各樹脂を使用することができる。
熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂,尿素樹脂,メラミン樹脂,フェノール樹脂,ポリイミド樹脂,エポキシ樹脂等の各樹脂を使用することができる。
更に、ポリオレフィン系樹脂とそれ以外の樹脂とを、より均一な状態で分散させるために、必要に応じて適当な相溶化剤を加えてあっても良い。
また、機械的強度を向上させるために、充填材を添加してもよい。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカーやホウ酸アルミニウムウィスカー等の無機ウィスカー類、或いはガラス繊維やアスベスト、金属繊維等の無機繊維類及びこれらを布状に編組したもの、また有機化合物では、カーボンブラック、黒鉛粉末、カーボン繊維、アラミド繊維やポリエステル繊維等を添加してもよい。
以上の全ての添加剤(ポリフレフィン+油以外)の添加量としては、添加剤全体として、成形原料全量の20重量%以下であることが、潤滑剤の供給能力を維持する上で好ましい。
また、請求項4、5、6に係る発明にあっても、潤滑剤含有部材を案内レールに常時接触させることができるから、潤滑剤含有部材からしみ出た潤滑剤を、安定的に案内レールを介して転動体に供給することができ、転動体の滑らかな転がりをより確実に維持できるという効果がある。
そして、請求項7に係る発明によれば、潤滑剤含有部材は案内レールに安定的に接触させることができるから、さらに安定的に潤滑剤を案内レールを介して転動体に供給することができるという効果がある。
図1乃至図8は、本発明の第1の実施の形態を示す図である。先ず、構成を説明すると、本実施の形態の直動案内軸受装置は、その斜視図である図1に示すように、外面に転動体転動溝3A,3Bを有して軸方向に延びる案内レール1と、その案内レール1を跨いで組み付けられたスライダ2と、を備えている。
また、サイドシール12は、エンドキャップ2Bの外形に合わせたほぼコ字形状の鋼板と、この鋼板と相似の形状を有してその外面に一体的に成形されたグリースを含有したポリウレタンゴムとから構成されている。
即ち、機台に固定した案内レール1上をスライダ2が移動すると、スライダ2内の転動体は転動体転動路内を転動しつつスライダ2の移動方向にスライダ2より遅い速度で移動し、一端側の湾曲路でUターンして転動体戻し路を逆方向に転動しつつ移動し、他端側の湾曲路で逆Uターンして転動体転動路内に戻る循環を繰り返す。
特に、本実施の形態では、潤滑剤含有部材11の連結部11Cに形成される貫通孔11cの上面側を切り欠いて開放しているため、図8(a)に示すように、袖部11A及び11Bを容易に左右に押し広げることができるから、この潤滑剤含有部材11を案内レール1を跨がせて取り付ける作業も容易に行える。
また、潤滑剤含有部材11は、補強板10及びサイドシール12間に挟み込んで配設される部材であるから、転動体の転がりを長期間維持するのに十分な量の潤滑剤を含有させ得る大きさとすることが容易である。しかも、潤滑剤含有部材11を鋼板等の他の部材に固着する構造ではないから、消耗品である潤滑剤含有部材11の部品コストを低減することができるし、配設の際の手間も簡単であるという利点がある。
また、潤滑剤含有部材11からしみ出た潤滑剤は、サイドシール12の案内レール1と接触するリップ部13にも供給されるから、そのリップ部13の磨耗を低減するのにも役立つし、特に本実施の形態では、リップ部13をグリースを含有した状態で硬化したポリウレタンゴムから成形しているため、それ自身からも潤滑剤が供給され、より一層リップ部13の磨耗が低減できる。すると、リップ部13の磨耗が最小限に抑えられるから、リップ部13によるシール性が長期間維持され、本体2A側への異物の侵入が防止され、直動案内軸受装置自体の長寿命化も図れるという利点がある。
ここで、本実施の形態では、サイドシール12が板状部材に対応し、補強板10が他の板状部材に対応し、リング状部材16が付勢手段に対応する。
即ち、本実施の形態にあっては、上記第1の実施の形態と同等の構造の直動案内軸受装置において、潤滑剤含有部材11の形状を変更したものである。
具体的には、潤滑剤含有部材11の正面図である図9に示すように、袖部11A及び11Bに、取付用ネジが貫通する貫通孔11a,11bに連続し且つ袖部11A及び11Bの外側面側及び先端側が開放するように、切欠き20A,20Bを形成するとともに、貫通孔11a,11bに嵌め込まれるリング状部材15A,15Bの内径を、取付用ネジ17A,17Bのねじ部の外径よりも大きくしている。その他の構成は、上記第1の実施の形態と同様である。
その他の作用効果は、上記第1の実施の形態と同様である。
図11乃至図17は本発明の第3の実施の形態を示す図である。なお、上記各実施の形態と同様の部材及び部位には、同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
具体的には、スライダ2の端部の組み立て状態を示す斜視図である図11及び潤滑剤含有部材11の正面図である図12(a),側面図である図12(b)に示すように、潤滑剤含有部材11の貫通孔11cを省略するとともに、その潤滑剤含有部材11のサイドシール12側の表面に、潤滑剤含有部材11の凹部を取り囲むようにほぼコ字形に連続した凹溝30を形成していて、その凹溝30内には、正面図である図13(a)及び底面図である(b)に示すような付勢手段としての弾性体31を嵌め込んでいる。
その他の構成は上記第1の実施の形態と同様である。ただし、本実施の形態では、潤滑剤含有部材11の貫通孔11cを省略したことに対応して、補強板10の貫通孔10c及びサイドシール12の貫通孔12cをも省略して、グリースニップルを設けないこととしているが、上記第1の実施の形態のように各貫通孔10c,11c,12cを形成し、通常はグリースニップル取付孔は盲プラグで塞ぎ、必要に応じて適時にここを開けてグリース等の潤滑剤をスライダ内に供給するようにしても良い。
しかも、付勢力を発生する弾性体31を、潤滑剤含有部材11の凹部を囲むように配設し、その弾性体31の先端部を袖部11A,11Bの先端部近傍まで至らせているため、その弾性体による付勢力を、より確実に袖部11A,11Bに伝えることができるという利点がある。
即ち、この第4の実施の形態の構成は、基本的には上記第3の実施の形態と同様であって、異なるのは、潤滑剤含有部材11の連結部11C上面に、上方に開放したほぼ長方形の切欠き11Dを形成して点である。
図19乃至図22は本発明の第5の実施の形態を示す図である。なお、上記各実施の形態と同様の部材及び部位には、同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
このような構成であっても、図21(a)に示すように、弾性体34が袖部11A及び11Bを案内レール1に向けて付勢するから、潤滑剤含有部材11を安定的に案内レール1に密着させることができるし、図21(b)に示すように、リング状部材15A,15Bは上記第1の実施の形態と同様に潤滑剤含有部材11の表面から突出するため、潤滑剤含有部材11の変形はスムーズに行えるようになっている。従って、この第5の実施の形態にあっても、上記第3の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
図23は本発明の第6の実施の形態を示す図であって、潤滑剤含有部材11の正面図である。
即ち、この第6の実施の形態の構成は、基本的には上記第3の実施の形態と同様であって、異なるのは、潤滑剤含有部材11の連結部11C上面に、上方に開放したほぼ長方形の切欠き11Dを形成して点であり、これにより、上記第4の実施の形態と同様の作用効果が得られるようにしている。その他の作用効果は、上記第5の実施の形態と同様である。
即ち、本実施の形態にあっては、潤滑剤含有部材11の正面図である図24に示すように、潤滑剤含有部材11の連結部11Cに、その潤滑剤含有部材11の幅方向に延びる直線状の凹溝37を形成している。そして、その凹溝37に、正面図である図25(a)及び底面図である図25(b)に示すような付勢手段としての弾性体38を嵌め込むようになっている。
このような構成であっても、弾性体38の弾性復元力によって潤滑剤含有部材11の連結部11Cが内側に湾曲されようとするから、袖部11A,11Bを案内レール1に押し付ける付勢力が発生する。よって、上記第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
即ち、本実施の形態にあっては、潤滑剤含有部材11の正面図である図27に示すように、潤滑剤含有部材11の連結部11Cに、左右方向に長い長方形の貫通孔39を形成している。なお、潤滑剤含有部材11の上部側には、この貫通孔39に通じるように切欠き11Eを形成している。
このような構成であっても、切欠き11Eにより連結部11Cの左右方向の剛性が小さくなっているとともに、コイルスプリング40の弾性復元力によって潤滑剤含有部材11Cの連結部11Cが左右に押し広げられようとするから、袖部11A,11Bを案内レール1に押し付ける付勢力が発生する。よって、上記第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
即ち、本実施の形態にあっては、潤滑剤含有部材11の袖部11A,11B内に、上下方向に延びて袖部11A,11B先端側に開放するスリット41A,41Bを形成するとともに、そのスリット41A,41Bの途中に、左右方向に長い長方形の貫通孔42A,42Bを形成し、その貫通孔42A,42B内に、伸縮方向を左右方向に向け且つ若干圧縮した状態の付勢手段としてのコイルスプリング43A,43Bを収容している。
図31は本発明の第10の実施の形態を示す図であり、図31(a)〜(d)は潤滑剤含有部材11の貫通孔11cに嵌め込まれるリング状部材16の変形例を示す斜視図である。なお、リング状部材16以外の構成は、上記第1の実施の形態と同様である。
即ち、本実施の形態にあっては、潤滑剤含有部材11の連結部11Cの両袖部11A,11Bよりの位置に計二つの貫通孔11cを形成し、各貫通孔11cに上記第10の実施の形態で示したスリット16aを有するリング状部材16を嵌め込んでいる。
また、上記各実施の形態の構成において、補強板10を省略し、潤滑剤含有部材11をエンドキャップ2Bとサイドシール12との間に挟み込んで配設してもよいし、潤滑剤含有部材11は実質的にシール装置としても機能するから、サイドシール12の代わりに補強板10と同様の鋼板を補強板又はプロテクターとして配設してもよい。場合によっては、潤滑剤含有部材11とエンドキャップ2Bとの間に、補強板10に代えてサイドシール12を配設してもよい。
そして、本発明が適用できる直動案内軸受装置は、上述した実施の形態のタイプに限定されるものではなく、例えば負荷転動体転動溝が片側二条以外のものでもよいし、転動体がボールではなく例えばころであってもよい。
1a 上面
1b 側面
2 スライダ
2A 本体
2B エンドキャップ
3A,3B 転動体転動溝
10 補強板(板状部材)
11 潤滑剤含有部材
11A,11B 袖部
11C 連結部
11a〜11c 貫通孔
12 サイドシール(板状部材)
13 リップ部
15A,15B リング状部材
16 リング状部材(付勢手段)
16A 円柱状部材(付勢手段)
17A,17B 取付用ネジ
20A,20B 切欠き
31,34,38 弾性体(付勢手段)
40,43A,43B コイルスプリング(付勢手段)
Claims (7)
- 外面に転動体転動溝を有して軸方向に延びる案内レールにスライダが遊嵌され、該スライダは前記案内レールの転動体転動溝に対向する負荷転動体転動溝及びこの負荷転動体転動溝の両端部に湾曲路を介して連結された転動体戻し路からなる転動体循環路を備え、該転動体循環路に前記案内レールに沿って前記スライダを相対移動させる多数の転動体が装填された直動案内軸受装置において、
潤滑剤含有のゴム又は合成樹脂からなる潤滑剤含有部材を、前記スライダの端部に、該スライダの端面と板状部材との間に挟み込み且つ前記潤滑剤含有部材の少なくとも一部が前記案内レールに接触した状態で取り付けたことを特徴とする直動案内軸受装置。 - 前記スライダの端面と前記潤滑剤含有部材との間に、他の板状部材を挟み込んだ請求項1記載の直動案内軸受装置。
- 前記案内レールの軸方向と直角な方向への前記潤滑剤含有部材の変形が可能となるような取付手段を有する請求項1又は請求項2記載の直動案内軸受装置。
- 外面に転動体転動溝を有して軸方向に延びる案内レールにスライダが遊嵌され、該スライダは前記案内レールの転動体転動溝に対向する負荷転動体転動溝及びこの負荷転動体転動溝の両端部に湾曲路を介して連結された転動体戻し路からなる転動体循環路を備え、該転動体循環路に前記案内レールに沿って前記スライダを相対移動させる多数の転動体が装填された直動案内軸受装置において、
潤滑剤含有のゴム又は合成樹脂からなる潤滑剤含有部材を、前記スライダの端部に、該スライダの端面と板状部材との間に挟み込んだ状態で取り付けるとともに、
前記潤滑剤含有部材を前記案内レールに押し付ける付勢力を発生する付勢手段を備えたことを特徴とする直動案内軸受装置。 - 前記スライダの端面と前記潤滑剤含有部材との間に、他の板状部材を挟み込んだ請求項4記載の直動案内軸受装置。
- 前記案内レールの軸方向と直角な方向への前記潤滑剤含有部材の変形が可能となるような取付手段を有する請求項4又は請求項5記載の直動案内軸受装置。
- 前記潤滑剤含有部材を、前記案内レールを跨ぐほぼコ字形とするとともに、前記潤滑剤含有部材に外力を与えていない状態で、その潤滑剤含有部材のコ字形の凹部内底面を、袖部側よりも中央部が突き出る円弧形状とした請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の直動案内軸受装置。
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