JP2006105126A - 多槽式オイルパン構造 - Google Patents

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Hideo Kobayashi
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Kunihiko Hayashi
邦彦 林
Koji Karita
孝司 苅田
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泰一 森
Chika Kanba
千佳 神庭
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Abstract

【課題】 エンジンの冷間始動時のエンジンオイル早期昇温が可能であり、エンジンオイルの劣化進行の回避、及び、極低油温時にエンジンオイルの循環量が不足する事態の回避が可能な多槽式オイルパン構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 多槽式オイルパン(1)は、メインオイルパン(3)、メインオイルパン(3)内に複数の凹状の室(10、11、12)を形成するサブオイルパン(4、5)、サブオイルパン(4、5)に取り付けた高油温時に開放する第一の開閉弁(6、8)、サブオイルパン(4)に取り付けた極低油温時に開放する第二の開閉弁(7)、オイルストレーナ(13)を有する。第一の開閉弁(6、8)を開くことにより、エンジンオイル温度の過上昇、劣化進行を回避できる。さらに、極低油温時に第二の開閉弁(7)を開くことによりエンジンオイルの循環量が不足する事態を回避できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エンジンブロックの下側に設け、エンジンオイルを貯留させるオイルパンの構造に関する。
従来から、エンジンの潤滑・冷却にはエンジンオイルが用いられている。このエンジンオイルは、エンジンの下部に設けられたオイルパンに貯留され、オイルポンプによってエンジン各部に循環される。エンジン各部を循環したエンジンオイルは、下方のオイルパン内に滴下する。そして、オイルパン内に滴下したエンジンオイルは、再度オイルポンプによってエンジン各部に循環される。この間、エンジンオイルはエンジン各部から熱を受け取って各部を冷却する。また、エンジンオイルは、エンジン各部で油膜を形成して各部品間の潤滑を促進すると共に、部品の酸化を防止するなどの役目もある。
ここで、エンジンの冷間始動直後は、オイルパン内部に貯留されたエンジンオイルも冷えており、粘度も高く、エンジン各部を循環して各部を潤滑させるのに適した状態ではない。そこで、冷間始動直後は、できるだけ早くエンジンオイルを昇温させて適度な粘度を有する状態にさせたい。このために、オイルパンを複数の区画に分け、冷間始動直後は一方の区画内のエンジンオイルが循環されやすい状況を作り、この区画内のエンジンオイルをより早期に昇温させて好ましい状態とすることが既に検討されている(特許文献1)。
また、エンジンオイルの早期昇温は、フリクションの早期低減による燃費向上にも寄与するものであり、近年の燃費向上に対する強い要望からも改善が望まれる点である。この点を考慮して、特許文献2のようなオイルパン構造の提案もされている。特許文献2の提案では、エンジンオイルの昇温を効果的に行うべく、エンジンオイルの吸込口が配置される主室と吸込口が配置されない副室とに仕切るオイルパンセパレータをオイルパン内に設け、主室と副室とを連通させる連通孔を有する構成を採用している。このような連通孔は、エンジンオイルの粘度変化を利用して副室と主室との間のエンジンオイルの導通を制御するようになっている。
特開2001−152825号公報 特開2003−222012号公報
然しながら、エンジンオイルの早期昇温を重視し、少量のオイルを循環させ続けるとエンジンオイルの温度が上昇しすぎ、一部のオイルの劣化を早めることになりかねない。このため、あまりに少量のエンジンオイルを循環させ続けるのは得策ではない。また、極低油温時、例えばエンジンオイルの温度が−10℃である場合等は、エンジンオイルの粘度が高く、エンジン各部を循環したエンジンオイルが再びオイルパンに戻ってくるまでに非常に時間がかかり、エンジンオイルの循環量が追いつかないという現象が生じ得る。特に、エンジンオイルの早期昇温を図るべく冷間始動時のエンジンオイルの循環量を少量としておくと、エンジンオイルの循環量が追いつかず、最悪の場合、エアを吸ってしまうおそれもある。すなわち、エンジンの冷間始動時には、少量のエンジンオイルを循環させて早期昇温を達成したいが、その一方で、エンジンの冷間始動初期に循環させるエンジンオイルが少量であることに起因してエンジンオイルの劣化の問題や、エンジンオイルの循環量が不足するおそれを有している。
特許文献2のオイルパン構造は、エンジンオイルの温度の変化に基づくエンジンオイルの粘度の変化に伴って主室と副室との間でエンジンオイルの導通がされるようになっている。しかし、連通孔の径や主室の容積の相違によってエンジンオイル昇温の効果が異なり、燃費への影響も異なってくる。実際の使用に際しては、低粘度から高粘度の各種エンジンオイルが使用されるため、常に燃費に対して最良の状態に保っておくのは困難である。特許文献2では使用されるエンジンオイルの特性に応じて連通孔の数や大きさ等を自由に変えられるように嵌め込み式とすることも提案されているが、これも一々使用しているエンジンオイルの特性に合わせた変更作業が必要となり面倒である。さらに、特許文献2に提案のオイルパン構造は、極低油温時であって、主室(エンジンブロックに近い側の室)と副室双方のエンジンオイルの粘度とも高い場合に、両室間でエンジンオイルの導通を行うためには連通孔の径を大きくしたり、主室内容積を大きくしたりしておく必要がある。
そこで、本発明は、エンジンの冷間始動時のエンジンオイル早期昇温が可能であり、エンジンオイルの劣化進行の回避、及び、極低油温時にエンジンオイルの循環量が不足する事態の回避が可能な多槽式オイルパン構造を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するための本発明の多槽式オイルパン構造は、エンジンブロック下部に設けられるメインオイルパンと、凹部を有し、前記メインオイルパンの内部に設けて当該メインオイルパン内に複数の凹状の室を形成するサブオイルパンと、当該サブオイルパンに取り付けられる開閉弁とを有し、前記サブオイルパンによって仕切られた両室が、高油温時及び極低油温時に前記開閉弁が開放されることによって連通することを特徴とする(請求項1)。
このような多槽式オイルパン構造では、前記開閉弁として、高油温時に開放状態となって前記サブオイルパンによって仕切られた両室を連通させる第一の開閉弁と、極低油温時に開放状態となって前記サブオイルパンによって仕切られた両室を連通させる第二の開閉弁とを備えた構成とすることができる(請求項2)。
さらに、前記サブオイルパンを、前記エンジンブロック側から順に上下方向に複数枚設けて前記複数の凹状の室を形成した構成とすることが望ましく(請求項3)、このような構成とした場合には、前記複数の凹状の室のうち、前記エンジンブロックの内部と連通する室内にオイルストレーナを配置した構造とする(請求項4)。
また、このような構成の多槽式オイルパン構造では、前記第一の開閉弁を前記複数枚のサブオイルパンにそれぞれ取り付け、当該第一の開閉弁の作動油温を前記エンジンブロックから遠ざかった位置に設けたサブオイルパンに取り付けた前記第一の開閉弁ほど高温に設定した構成とすることができ(請求項5)、さらに、前記第二の開閉弁についても、前記第二の開閉弁を前記複数枚のサブオイルパンに取り付け、当該第二の開閉弁の作動油温を前記エンジンブロックから遠ざかった位置に設けたサブオイルパンに取り付けた前記第二の開閉弁ほど低温に設定した構成とすることができる(請求項6)。
以上のような構成の多槽式オイルパン構造において、前記第二の開閉弁を前記サブオイルパンに対して着脱自在とし、当該第二の開閉弁を装着しない取付孔は閉塞部材で閉塞される構成とすることができる(請求項7)。
このように本発明の開閉弁は、高油温時に開放状態となって前記サブオイルパンによって仕切られた両室を連通させる第一の開閉弁と、極低油温時に開放状態となって前記サブオイルパンによって仕切られた両室を連通させる第二の開閉弁とを備えた構成とすることができるが、このような第一の開閉弁と第二の開閉弁双方の機能を併せ持った一の開放弁を採用することもできる。すなわち、前記開閉弁として、ケース内にサーモワックスが充填され、当該サーモワックスの膨張収縮に伴って軸方向に沿って移動可能なピストンと、当該ピストンを形成する前記ケースと一体であり、外周縁部をシール部とした弁体と、前記ピストンの軸方向に沿った移動に伴って移動する前記弁体の前記シール部が所定区間に亘って摺接するように形成された摺接面と、を有する開閉弁を採用することができる(請求項8)。
さらに、前記サブオイルパンは、当該サブオイルパンによって仕切られた両室を連通して空気及び/又はオイルを流通させる連通孔を備えた構成とすることができ(請求項9)、この連通孔のうち、前記エンジンブロックの内部と連通する室を形成する前記サブオイルパンに設けた前記連通孔については、その上側に庇を設けた構成とすることが望ましい(請求項10)。
また、凹部を有する前記複数枚のサブオイルパンは、それぞれのサブオイルパンの周縁部で接合して一体化し、前記メインオイルパン内に取り付けられている構成とすることができる(請求項11)。
また、このような多槽式オイルパン構造では、前記メインオイルパン内に二枚のサブオイルパンを設けてエンジンブロック側から順に第一室、第二室、第三室を設け、極低油温時には前記第一室と前記第二室とを連通させ、高油温時には、油温上昇に伴って前記第一室と前記第二室、当該第二室と前記第三室とを順次連通させるようにすることができる(請求項12)。
本発明によれば、メインオイルパンの内部に複数の凹状の室を形成するサブオイルパンと、このサブオイルパンに取り付けられる開閉弁とを有し、サブオイルパンによって仕切られた両室が、高油温時及び極低油温時に前記開閉弁が開放されることによって連通する構成としたので、オイルパン内のエンジンオイルの温度変化に伴い、状況に応じてオイルストレーナに適切な量のエンジンオイルが吸い込まれるようになる。これにより、エンジンの冷間始動時のエンジンオイル早期昇温が可能となり、エンジンオイルの劣化進行の回避、及び、極低油温時にエンジンオイルの循環量が不足する事態の回避をすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
まず、本発明の多槽式オイルパン構造を有する多槽式オイルパン1について図を参照しつつ説明する。図1は、多槽式オイルパン1をエンジンブロック2の下部に取り付けた状態の断面図である。多槽式オイルパン1は、図2(b)に示すようにドレーンプラグ14を備えたメインオイルパン3の内側に、凹部4aを有する第一サブオイルパン4と、凹部5aを有する第二サブオイルパン5とを配設してメインオイルパン3の内側に3層の室、第一室10、第二室11、第三室12を形成している。第一サブオイルパン4、第二サブオイルパン5はそれぞれ連通孔4b、5bを有している。この連通孔4b、5bは、図1に示すように第一サブオイルパン4、第二サブオイルパン5をメインオイルパン3内に配設したときに、図1中、点線で示したエンジンオイルの上限レベルよりもわずかに上側に位置するように設けてある。また、第一サブオイルパン4の連通孔4bの上側には、庇4cを設けてある。
第一サブオイルパン4及び第二サブオイルパン5は図2(b)に示すようにメインオイルパン3内に配設するが、このような状態とするために、まず図3(a)に示すように別個に成形した第一サブオイルパン4と第二サブオイルパン5とを準備し、これらの周縁部を接合して図3(b)に示すように一体化する。このようにして一体化した第一サブオイルパン4及び第二サブオイルパン5を図2(a)に示すようにメインオイルパン3内に収容し、接合すれば図2(b)に示す状態となり、図1に示すように、エンジンブロック2側から順に上下方向に第一室10、第二室11、第三室12を形成することができる。このように第一サブオイルパン4及び第二サブオイルパン5を一体化した後にメインオイルパン3内へ接合するようにすれば、第一サブオイルパン4、第二サブオイルパン5をそれぞれ別個にメインオイルパン3へ接合する場合と比較して接合作業が容易となる。
第一サブオイルパン4には第一サーモバルブ6と第二サーモバルブ7が取り付けられている。この第一サーモバルブ6は、本発明の第一の開閉弁に相当するものである。図4は、第一サーモバルブ6の正面図である。第一サーモバルブ6は、板体6aに設けた穴6a1へ弁体6bを押し付け、又は、離間させて開放、閉塞を行うものである。第一サーモバルブ6は、弁体6bの一方に穴6a1を閉塞する向きに付勢するスプリング6cを備えている。また、弁体6bの他方にはサーモワックスを内蔵したピストン6dを備えている。このサーモワックスが周囲の温度上昇に伴って膨張するとピストン6dが弁体6bを矢示9の方向に押し下げて穴6a1を開放する。すなわち、サーモワックスが膨張する温度に達するまではスプリング6cに付勢された弁体6bは穴6a1を閉塞しており、温度が上昇し、サーモワックスが膨張してピストン6dが押し下げられると弁体6bは穴6a1を開放する。ここで、第一サーモバルブ6が内蔵するサーモワックスは70℃まで上昇すると膨張を開始し、穴6a1を開放するものを採用した。
一方、第二サーモバルブ7は、本発明の第二の開閉弁に相当するものである。図5は、第二サーモバルブ7の正面図である。第二サーモバルブ7は、板体7aに設けた穴7a1へ弁体7bを押し付け、又は、離間して開放、閉塞を行うものである。この点、第二サーモバルブ7と第一サーモバルブ6とは共通している。但し、図4と図5とを比較すると明らかなように、第一サーモバルブ6の板体6aと第二サーモバルブ7の板体7aとでは配置が異なり、両者の板体に対する弁体の位置が異なっている。このため、第二サーモバルブ7では、弁体7bの一方に穴7a1を開放する向きに付勢するスプリング7cを備え、また、弁体7bの他方にサーモワックスを内蔵したピストン7dを備えた構成となっている。このような構成の第二サーモバルブ7では、このサーモワックスが周囲の温度上昇に伴って膨張するとピストン7cが弁体7bを矢示21の方向に押し下げて穴7a1を閉塞する。すなわち、第二サーモバルブ7は温度の変化に対して第一サーモバルブ6とは逆の動作をし、サーモワックスが膨張する温度に達するまではスプリング7cに付勢された弁体7bは穴7a1を開放しており、温度が上昇しサーモワックスが膨張してピストン7cを押し下げると弁体7bは穴7a1を閉塞する。ここで、第二サーモバルブ7が内蔵するサーモワックスは−10℃まで上昇すると膨張を開始して穴7a1を閉塞するものを採用した。
第二サブオイルパン5には第三サーモバルブ8が取り付けられている。この第三サーモバルブ8の基本的な構造は図4に示した第一サーモバルブ6と同様であるので、その詳細な説明は省略するが、第三サーモバルブ8と第一サーモバルブ6とでは作動温度が異なっている。すなわち、内蔵しているサーモワックスの温度特性が異なっている。第一サーモバルブ6が内蔵するサーモワックスは周囲の温度が70℃まで上昇したときに膨張し始め、穴6a1を開放するのに対し、第三サーモバルブ8が内蔵するサーモワックスは周囲の温度が80℃まで上昇したときに膨張し始め、穴6a1に相当する穴を開放するようになっている。すなわち、エンジンブロック2から遠い位置に配置した第三サーモバルブ8の方がエンジンブロック2から近い位置に配置した第一サーモバルブ6よりも高温の状態で作動する。
以上のように第一サーモバルブ6と第二サーモバルブ7を取り付けた第一サブオイルパン4によって形成されエンジンブロック2の内部と連通する第一室10には図1に示すようにオイルストレーナ13を配置する。ここで、オイルストレーナ13は、極低油温時に開放状態となる第二サーモバルブ7を介して第一室10と第二室11との間を流通する粘度の高いエンジンオイルを効率よく吸い上げるべく、吸込口13aが第二サーモバルブ7の近傍に来るように配置している。
なお、以上のように構成した多槽式オイルパン1は、第一室10と第二室11とが連通孔4bで連通し、第二室11と第三室12とが連通孔5bで連通しているので、多槽式オイルパン1内の各室の内部気圧はほぼ均一である。
次に、このような多槽式オイルパン1の動作につき、エンジンオイルの状態毎に各構成要素の機能、働き等を説明しつつ詳述する。
[エンジンオイル注入時]
図6は、エンジンオイル注入時のエンジンオイルの動きを説明する説明図である。また、図11は、第一サーモバルブ6、第二サーモバルブ7、第三サーモバルブ8の開閉状態と温度との関係を示す説明図である。エンジンオイルの注入作業は、第一サーモバルブ6、第二サーモバルブ7、第三サーモバルブ8すべてを「閉塞」した状態で行う。エンジンブロック2の上方から注入したエンジンオイルはエンジンブロック2内を流下し、矢示15のように、まず、第一室10内に流入し、第一室10内に溜まる。このとき、第一サブオイルパン4の連通孔4bの上側には庇4cを設けてあるので、エンジンブロック2内を流下してきたエンジンオイルが直接第二室11に入り込むことはない。
第一室10にエンジンオイルが充填され、上限レベルに達すると、それ以上に流下してきた分のエンジンオイルは連通孔4bを通って矢示16のように第二室11へ流入する。さらに、第二室11にエンジンオイルが充填され、上限レベルに達すると、それ以上に流入してきた分のエンジンオイルは連通孔5bを通って、矢示17のように第三室12へ流入する。このように、第三室12までエンジンオイルを充填すれば、エンジンオイル注入作業は完了する。
[エンジンオイル温度<−10℃の場合]
次に、多槽式オイルパン1内のエンジンオイルの温度が−10℃を下回る場合について図7を参照しつつ説明する。エンジンオイルの温度が−10℃を下回る場合は、図11から明らかなように、第一サーモバルブ6と第三サーモバルブ8は閉塞しているが、第二サーモバルブ7は開放している。このような状態で、エンジンを始動させると、第一室10内に吸込口13aが配置されたにオイルストレーナ13によって第一室10及び第二サーモバルブ7が開放されたことによって第一室10と通じている第二室11内のエンジンオイルが吸い上げられる。このため、図7に示すように、第一室10と第二室11の油面が低下する。
エンジンオイルの温度が−10℃を下回るような極低油温時はエンジンオイルの粘度がかなり高く、オイルストレーナ13によって吸い上げられ、エンジンブロック2内を循環するエンジンオイルが再び多槽式オイルパン1(第一室10)に戻ってくるまでに長時間を要する。このため、このような条件下で、仮に、第一室10内のエンジンオイルのみを循環させると、オイルストレーナ13により吸い上げられたエンジンオイルが多槽式オイルパン1に戻らず、エンジンオイルの循環量が不足する事態が生じ得る。このような事態に陥るとオイルストレーナ13がエアを吸ってしまいエンジンに損傷を与えることになりかねない。そこで、本実施例では、極低油温時に第二サーモバルブ7を開放して第二室11内のエンジンオイルも循環できるようにしたので、極低油温時でもエンジンオイルの循環量が不足することがない。また、本実施例の多槽式オイルパン1では、オイルストレーナ13を第二サーモバルブ7の近傍に配置しているので、粘度が高い状態のエンジンオイルであっても第二サーモバルブ7を通じて矢示18のように第二室11から効率よくエンジンオイルを吸い上げることができる。
[−10℃≦エンジンオイル温度<70℃の場合]
次に、多槽式オイルパン1内のエンジンオイルの温度が−10℃以上で70℃を下回る場合について図8を参照しつつ説明する。エンジンオイルの温度が−10℃以上で70℃を下回る場合は、図11から明らかなように、第一サーモバルブ6、第二サーモバルブ7、第三サーモバルブ8は全て閉塞している。このような状態で、エンジンを始動させると、第一室10内に吸込口13aが配置されたオイルストレーナ13によって第一室10内のエンジンオイルのみが吸い上げられてエンジンブロック2中を循環する。このため、図8に示すように、第一室10の油面のみが低下する。
エンジンオイルの温度が−10℃以上の場合は、エンジンオイルの粘度が高いことに起因してエンジンオイルの循環量が不足するという事態は起きにくい。従って、このような温度条件の場合は、エンジンオイルの循環量不足を考慮するよりは、より少ない量のエンジンオイルを循環させてエンジンオイルの早期昇温を図り、一刻も早く完全暖機状態とすることが望ましい。そこで、本実施例では第一サーモバルブ6、第二サーモバルブ7を閉塞して、第一室10内の少量のエンジンオイルのみを循環させるようにしたので、エンジンオイルの早期昇温が可能である。
以上のように、エンジンオイルの早期昇温を実現するためには、エンジン始動時に循環させるエンジンオイルを第一室10内の少量のエンジンオイルのみとすることが都合が良い。ここで、第二室11内、第三室12内にはエンジン始動時の循環には供されないものの、エンジンオイルが貯留されている。これらの第二室11内、第三室12内のエンジンオイルは、第二室11、第三室12が第一室10の周囲に配置されていることから、第一室10内のエンジンオイルの保温機能を有する。このため、エンジンを再始動させるまで第一室10内のエンジンオイルが保温され、再始動時のエンジンオイルの昇温を素早く行うことができる。
[70℃≦エンジンオイル温度<80℃の場合]
次に、多槽式オイルパン1内のエンジンオイルの温度が70℃以上で80℃を下回る場合について図9を参照しつつ説明する。エンジンオイルの温度が70℃以上で80℃を下回る場合は、図11から明らかなように、第一サーモバルブ6は開放し、第二サーモバルブ7、第三サーモバルブ8は閉塞している。このような状態の場合、第一室10内に吸込口13aが配置されたにオイルストレーナ13によって第一室10及び第一サーモバルブ6が開放されたことによって第一室10と通じている第二室11内のエンジンオイルが吸い上げられる。このため、図9に示すように、第一室10と第二室11の油面が低下する。
エンジンオイルの温度が70℃以上で80℃付近となれば、ほぼ暖機が完了する。ここで、エンジンオイルの温度があまりに高温となることはエンジンオイルの劣化を早め、エンジンオイル本来の性能を発揮できなくなるので好ましくない。本実施例の多槽式オイルパン1では、前記のようにエンジンオイル温度が70℃に達するまでは、第一室10内の少量のエンジンオイルのみを循環させている。このように少量のエンジンオイルのみを循環させることは、早期昇温には好都合であるが、ある程度の温度上昇が進んだときには、今度は温度が上昇しすぎるおそれがある。エンジンオイルの温度が上昇しすぎれば、エンジンオイルの劣化を進行させることともなる。そこで、本実施例では、ほぼ暖機が完了する時点で第一サーモバルブ6を開放して第二室11内のエンジンオイルも矢示19のように第一室10内へ流入させて混合し、循環できるようにしたので、エンジンオイル温度の過上昇を防止することができる。
[80℃≦エンジンオイル温度の場合]
次に、多槽式オイルパン1内のエンジンオイルの温度が80℃以上である場合について図10を参照しつつ説明する。エンジンオイルの温度が80℃以上である場合は、図11から明らかなように、第一サーモバルブ6は開放、第二サーモバルブ7は閉塞、第三サーモバルブ8は開放した状態となっている。このような状態の場合、第一室10内に吸込口13aが配置されたにオイルストレーナ13によって第一室10及び第一サーモバルブ6が開放されたことによって第一室10と通じている第二室11、第三サーモバルブ8が開放されたことによって第二室11と通じている第三室12内のエンジンオイルが矢示20のように吸い上げられる。このため、図10に示すように、第一室10、第二室11、第三室12の全ての室の油面が低下する。
エンジンオイルの温度が80℃以上である状態は、完全に暖機が完了した状態であり、これ以上の温度上昇は避けなければならない。従って、エンジンオイル温度の過上昇を回避するためには、これまでとは逆に、エンジンオイルを冷却する必要がある。そこで、本実施例では、エンジンオイルの温度が過上昇の傾向にあるときは、第一サーモバルブ6、第三サーモバルブ8を開放して矢示20のようにメインオイルパン3内にあるエンジンオイルを全て第一室10内に流入できるようにして混合し、循環させるようにしたので、エンジンオイルを冷却し、エンジンオイル温度の過上昇を抑制して、適正なエンジンオイルの温度を維持することができる。
なお、このように完全暖機をし、第一サーモバルブ6、第三サーモバルブ8が開放された状態のときにドレーンプラグ14を取り去れば、多槽式オイルパン1内のエンジンオイルをほぼ完全に抜き取ることができる。
以上、説明した本実施例の特徴とをまとめると以下の如くである。
(1) 多槽式オイルパン1内のエンジンオイルの温度がさほど高くない場合は、第一室10のエンジンオイルのみを循環させて早期昇温が可能である。
(2) エンジンオイルの温度が過上昇傾向のときには、循環させるエンジンオイルの量を増加してエンジンオイルの冷却をすることができる。これによりエンジンオイルの劣化の進行を遅らせることができる。
(3) エンジンオイルの温度が極低温のときは、循環させるエンジンオイルの量を増加してエンジンオイルの高い粘度に起因して生じるエンジンオイルの循環量不足を回避することができる。
(4) 第一室10の周囲に第二室11、第三室12が形成されており、第一室10内のエンジンオイルが第二室11、第三室12内のエンジンオイルによって保温される。
(5) 複数の室を設け、エンジンオイルの温度に応じて段階的に循環させるエンジンオイルの量を変化させることができる。すなわち、過上昇状態のエンジンオイルを冷却するために一度に大量のエンジンオイルを混合し、循環させると、冷却しすぎるおそれがあるが、本発明によれば、段階的にエンジンオイルの量を変化させ、適正な温度を維持することができる。
(6) エンジンオイルの温度に応じ、循環させるエンジンオイルの量を変化させる装置は、温度に応じて膨張伸縮するサーモワックスを用いたサーモバルブであるので、弁の開閉のための複雑な制御を要しない。
上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
例えば、前記実施例ではサブオイルパンを第一サブオイルパン4と第二サブオイルパン5の2枚とし、メインオイルパン3内に3つの室、第一室10、第二室11、第三室12を形成したが、これ以上の枚数のサブオイルパンを備え、これ以上の室数を備えるようにしても良い。
また、前記実施例では、図2に示すように第一サブオイルパン4と第二サブオイルパンを接合し一体化したものをメインオイルパン3内へ装着するようにしたが、サブオイルパンを一体化せず、別々にメインオイルパン3内へ取り付けるようにしても良い。
また、前記実施例では、極低油温時に開放状態となる第二の開放弁は、第一サブオイルパン4に取り付けた第二サーモバルブ7のみであるが、第二サブオイルパン5にも取り付けても良い。このように、複数の第二の開閉弁を取り付ける場合には、各第二の開閉弁の作動温度はエンジンブロック2から遠ざかった位置に設けたサブオイルパンに取り付けた第二の開放弁ほど、すなわち、第一サブオイルパン4に取り付けた第二の開閉弁(第二サーモバルブ7)よりも第二サブオイルパン5に取り付ける第二の開放弁の方がより低温時に開放するようにする。第二の開閉弁の役割は、極低油温時のエンジンオイルの循環量不足を解消することであるが、このような構成とすれば、温度がかなり低くなり、第二室11内のエンジンオイルを循環させても未だ循環量が不足するというような状態に陥った場合でも、第三室12のエンジンオイルも循環させて、循環量不足を解消することができる。
自動車は、このような極低油温時での使用を配慮しなければならない地域がある一方で、場合によっては、極低油温時の使用は考慮しなくても良い場合もある。前記実施例では、エンジンオイル温度が−10℃となった場合に第二サーモバルブ7を作動させて極低油温時のエンジンオイルの潤滑量不足を解消しているが、このような状況にならない地域で使用する自動車には、第二サーモバルブ7は不要である。そこで、第二サーモバルブ7を第二サブオイルパン5に対して着脱自在としておき、第二サーモバルブ7を取り去った後の取付孔を、例えば、ボルト等の閉塞部材で閉塞できるようにすることもできる。このようにしておけば、寒冷地仕様の多槽式オイルパン1には第二サーモバルブ7を装着し、それ以外は、第二サーモバルブ7の取付孔をボルト等の閉塞部材で閉塞しておくといった作り分けをすることができる。
なお、上記実施例では、−10℃、0℃、70℃、80℃といった温度を設定して説明したが、これらの数値は一例であり、使用地域や、使用するエンジンオイルの種類等の種々の条件に応じて変更することができる。また、本発明における「高油温時」や「極低油温時」との概念も、ある特定の固定された温度域を指すものではなく、エンジンオイルの種類等応じて適宜対象となる温度域が異なるものである。
また、前記実施例では、高油温時に開放状態となって前記サブオイルパンによって仕切られた両室を連通させる弁(第一の開閉弁)と、これとは別個の極低油温時に開放状態となって前記サブオイルパンによって仕切られた両室を連通させる弁(第二の開閉弁)とを備えた構成となっているが、双方の機能を併せ持った一の開放弁を採用することもできる。
図13は、極低油温時及び高油温時の双方のときに開放状態となる第四サーモバルブ31を装着した多槽式オイルパン30の断面図である。第四サーモバルブ31は、図1における第一サーモバルブ6及び第二サーモバルブ7双方の機能を有しているため、多槽式オイルパン30には第一サーモバルブ6及び第二サーモバルブ7は装着されていない。このような第四サーモバルブ31の構成及び動作を、図13を参照しつつ説明する。
第四サーモバルブ31は、ケース32内にサーモワックス32aが充填され、このサーモワックス32aの膨張収縮に伴って軸方向に沿って移動可能なピストン33、このピストン33を形成するケース32と一体であり、外周縁部をシール部34aとした弁体34を備えている。さらに、第四サーモバルブ31は、サーモワックス32a内に一端側を挿入した状態に配置されるシャフト37、このシャフト37を支持するフレーム35を備えている。このフレーム35には、図に示すように内側に迫り出した摺接面36が形成されている。この摺接面36は、ピストン33の軸方向に沿った移動に伴って移動する弁体34のシール部34aが所定区間に亘って摺接するものである。さらに、フレーム35と弁体34との間にはスプリング38が挟持されている。
以上のように構成される第四サーモバルブ31の動作を図11に示した温度区分に従って説明する。まず、第一室10内のエンジンオイル温度が−10℃を下回る極低油温時には、図13(a)に示すようにピストン33はフレーム35内に収容された状態となっており、弁体34のシール部34aと摺接面36とは離間している。すなわち、第四サーモバルブ31は矢示39で示すようにエンジンオイルの流通を許容した状態となっている。このため、エンジンオイルは第二室11から第一室10内へ流入できる。
次にエンジンオイルの温度が−10℃以上で70℃を下回る場合は、図13(b)に示すようにサーモワックス32aが膨張することによりシャフト37がケース32内から相対的に押し出され、ピストン33は矢示40で示す方向に移動し先端側がフレーム35から迫り出す。このとき、弁体34のシール部34aは摺接面36と摺接している。すなわち、第四サーモバルブ31はエンジンオイルの流通を停止させた状態となっている。このため、エンジンオイルの第二室11から第一室10内への流入は妨げられている。
次にエンジンオイルの温度が70℃以上で80℃を下回る場合は、図13(c)に示すようにサーモワックス32aがさらに膨張することによりシャフト37がケース32内から相対的にさらに押し出され、ピストン33は矢示41で示す方向にさらに移動する。このとき、弁体34のシール部34aは摺接面36を通りすぎ、両者は離間した状態となる。すなわち、第四サーモバルブ31は矢示42で示すようにエンジンオイルの流通を許容した状態となっている。このため、エンジンオイルは第二室11から第一室10内へ流入できる。
第四サーモバルブ31は、以上説明したような動作をすることによりエンジンオイルの温度域に応じてエンジンの潤滑に供される適切な量のエンジンオイルを確保することができる。なお、スプリング38はエンジンオイルの油温上昇に伴って押し縮められるが、エンジンオイル油温が低下していくときはスプリング38の弾性により弁体34(ピストン33)を速やかに移動させることができる。
実施例の多槽式オイルパンをエンジンブロックの下部に取り付けた状態の断面図である。 (a)は、第一サブオイルパンと第二サブオイルパンとを一体化し、メインオイルパン内に装着する状態の説明図であり、(b)は、(a)の状態から、一体化した第一サブオイルパンと第二サブオイルパンとをメインオイルパン内に装着した状態の断面図である。 (a)は、第一サブオイルパンと第二サブオイルパンとを一体化する様子の説明図であり、(b)は、一体化した第一サブオイルパンと第二サブオイルパンの断面図である。 温度上昇時に開弁する第一サーモバルブの正面図である。 温度下降時に開弁する第二サーモバルブの正面図である。 エンジンオイル注入時のエンジンオイルの動きを説明する説明図である。 エンジンオイル温度<−10℃の場合のエンジンオイルの動きを説明する説明図である。 −10℃≦エンジンオイル温度<70℃の場合のエンジンオイルの動きを説明する説明図である。 70℃≦エンジンオイル温度<80℃の場合のエンジンオイルの動きを説明する説明図である。 80℃≦エンジンオイル温度の場合のエンジンオイルの動きを説明する説明図である。 第一サーモバルブ、第二サーモバルブ、第三サーモバルブの開閉状態と温度との関係を示す説明図である。 本発明の多槽式オイルパンをエンジンブロックの下部に取り付けた状態の断面図である。 図12に示した多槽式オイルパンに装着した第四サーモバルブの温度変化に伴う開閉状態を示す説明図である。
符号の説明
1、30 多槽式オイルパン
2 エンジンブロック
3 メインオイルパン
4 第一サブオイルパン
4a 凹部
4b 連通孔
4c 庇
5 第二サブオイルパン
5a 凹部
5b 連通孔
6 第一サーモバルブ
7 第二サーモバルブ
8 第三サーモバルブ
10 第一室
11 第二室
12 第三室
13 オイルストレーナ
13a 吸込口
14 ドレーンプラグ
31 第四サーモバルブ
32 ケース
33 サーモワックス
34 弁体
34a シール部
36 摺接面
37 シャフト
38 スプリング

Claims (12)

  1. エンジンブロック下部に設けられるメインオイルパンと、
    凹部を有し、前記メインオイルパンの内部に設けて当該メインオイルパン内に複数の凹状の室を形成するサブオイルパンと、
    当該サブオイルパンに取り付けられる開閉弁とを有し、
    前記サブオイルパンによって仕切られた両室が、高油温時及び極低油温時に前記開閉弁が開放されることによって連通することを特徴とする多槽式オイルパン構造。
  2. 前記開閉弁として、高油温時に開放状態となって前記サブオイルパンによって仕切られた両室を連通させる第一の開閉弁と、
    極低油温時に開放状態となって前記サブオイルパンによって仕切られた両室を連通させる第二の開閉弁とを備えたことを特徴とする請求項1記載の多槽式オイルパン構造。
  3. 前記サブオイルパンを、前記エンジンブロック側から順に上下方向に複数枚設けて前記複数の凹状の室を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の多槽式オイルパン構造。
  4. 前記複数の凹状の室のうち、前記エンジンブロックの内部と連通する室内にオイルストレーナを配置したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の多槽式オイルパン構造。
  5. 前記第一の開閉弁を前記複数枚のサブオイルパンにそれぞれ取り付け、当該第一の開閉弁の作動油温を前記エンジンブロックから遠ざかった位置に設けたサブオイルパンに取り付けた前記第一の開閉弁ほど高温に設定したことを特徴とする請求項3又は4記載の多槽式オイルパン構造。
  6. 前記第二の開閉弁を前記複数枚のサブオイルパンに取り付け、当該第二の開閉弁の作動油温を前記エンジンブロックから遠ざかった位置に設けたサブオイルパンに取り付けた前記第二の開閉弁ほど低温に設定したことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項記載の多槽式オイルパン構造。
  7. 前記第二の開閉弁を前記サブオイルパンに対して着脱自在とし、当該第二の開閉弁を装着しない取付孔は閉塞部材で閉塞されることを特徴とした請求項2乃至6のいずれか一項記載の多槽式オイルパン構造。
  8. 請求項1記載の多槽式オイルパン構造において、
    前記開閉弁は、ケース内にサーモワックスが充填され、当該サーモワックスの膨張収縮に伴って軸方向に沿って移動可能なピストンと、
    当該ピストンを形成する前記ケースと一体であり、外周縁部をシール部とした弁体と、
    前記ピストンの軸方向に沿った移動に伴って移動する前記弁体の前記シール部が所定区間に亘って摺接するように形成された摺接面と、
    を有することを特徴とした多槽式オイルパン構造。
  9. 前記サブオイルパンは、当該サブオイルパンによって仕切られた両室を連通して空気及び/又はオイルを流通させる連通孔を備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の多槽式オイルパン構造。
  10. 請求項9記載の多槽式オイルパン構造において、前記エンジンブロックの内部と連通する室を形成する前記サブオイルパンに設けた前記連通孔の上側に庇を設けたことを特徴とする多槽式オイルパン構造。
  11. 凹部を有する前記複数枚のサブオイルパンは、それぞれのサブオイルパンの周縁部で接合して一体化し、前記メインオイルパン内に取り付けられていることを特徴とする請求項3乃至10のいずれか一項記載の多槽式オイルパン構造。
  12. 前記メインオイルパン内に二枚のサブオイルパンを設けてエンジンブロック側から順に第一室、第二室、第三室を設け、極低油温時には前記第一室と前記第二室とを連通させ、高油温時には、油温上昇に伴って前記第一室と前記第二室、当該第二室と前記第三室とを順次連通させることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項記載の多槽式オイルパン構造。
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