JP2006104099A - ドデカンジカルボン酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、従来技術の問題点を解決してドデカンジカルボン酸を選択的かつ簡便に製造できるドデカンジカルボン酸の新規な製造方法を提供することを課題とする。即ち、本発明は、目的物を高収率及び高純度で得ることができ、同時に低炭素数ジカルボン酸による品質低下を抑えることができ、更に酸化反応による副生物の生成やそれ伴う後処理などの諸問題を引き起こすことのない、ドデカンジカルボン酸の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の課題は、デカン−1,10−ジカルボンイミドを加水分解することを特徴とするドデカンジカルボン酸の製造方法により解決される。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の課題は、デカン−1,10−ジカルボンイミドを加水分解することを特徴とするドデカンジカルボン酸の製造方法により解決される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ドデカンジカルボン酸を選択的かつ簡便に製造できるドデカンジカルボン酸の新規な製造方法、特に酸化反応以外の方法によるドデカンジカルボン酸の製造方法に関する。
従来、ドデカンジカルボン酸の製造方法としては、(1)シクロドデカノンやシクロドデカノール(又はこれらの混合物)を液相で分子状酸素により酸化する方法(特許文献1など)、(2)同原料を硝酸により酸化する方法(特許文献2、特許文献3など)、(3)シクロドデセンをオゾンにより酸化する方法(特許文献4、特許文献5など)など、炭素数12の化合物を酸化する方法が知られている。
しかし、第1の方法では、空気等の安価な酸化剤が使用できるものの、ドデカンジカルボン酸の収率が75%程度と低い、炭素鎖の切断された低炭素数ジカルボン酸(ウンデカンジカルボン酸、デカンジカルボン酸等)が相当量(5〜20%程度)副生してその分離が困難である、更には分離困難なこれら副生物が混入するためにドデカンジカルボン酸の品質が低下するなどの問題があった。
第2の方法では、第1の方法と同様に、低炭素数ジカルボン酸による品質低下の問題に加えて、地球温暖化の原因物質である亜酸化窒素が副生する、そしてその処理設備が必要になるといった問題があった。更に、大過剰の硝酸(基質の6〜15倍モル量)を使用するため、未反応の硝酸の処理やそのリサイクルのために製造コストが増大するという問題もあった。
また、第3の方法では、酸素からオゾンを発生させるのに煩雑な設備とエネルギーが必要であり、第1の方法や第2の方法と同様に種々の炭素数12未満の低炭素数ジカルボン酸が副生するためにドデカンジカルボン酸の品質が低下するという問題があった。
本発明は、従来技術の問題点を解決してドデカンジカルボン酸を選択的かつ簡便に製造できるドデカンジカルボン酸の新規な製造方法を提供することを課題とする。即ち、本発明は、目的物を高収率及び高純度で得ることができ、同時に低炭素数ジカルボン酸による品質低下を抑えることができ、更に酸化反応による副生物の生成やそれ伴う後処理などの諸問題を引き起こすことのない、ドデカンジカルボン酸の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、13員環ジカルボン酸イミド(デカン−1,10−ジカルボンイミド)を原料とすることにより本発明の課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の課題は、以下の発明により解決される。
1.デカン−1,10−ジカルボンイミドを加水分解することを特徴とする、ドデカンジカルボン酸の製造方法。
2.塩基存在下でデカン−1,10−ジカルボンイミドを加水分解する、前記1記載のドデカンジカルボン酸の製造方法。
3.水溶性塩基をデカン−1,10−ジカルボンイミド1当量に対して少なくとも1当量使用する、前記2記載のドデカンジカルボン酸の製造方法。
4.デカン−1,10−ジカルボンイミドが1,1’−パーオキシジシクロヘキシルアミンを200〜500℃の高温下に液相又は超臨界状態で熱分解して得られるものである、前記1又は2記載のドデカンジカルボン酸の製造方法。
2.塩基存在下でデカン−1,10−ジカルボンイミドを加水分解する、前記1記載のドデカンジカルボン酸の製造方法。
3.水溶性塩基をデカン−1,10−ジカルボンイミド1当量に対して少なくとも1当量使用する、前記2記載のドデカンジカルボン酸の製造方法。
4.デカン−1,10−ジカルボンイミドが1,1’−パーオキシジシクロヘキシルアミンを200〜500℃の高温下に液相又は超臨界状態で熱分解して得られるものである、前記1又は2記載のドデカンジカルボン酸の製造方法。
本発明により、酸化反応以外の方法によるドデカンジカルボン酸の製造が可能になるため、従来技術の問題点を解決して選択的かつ簡便にドデカンジカルボン酸を製造できるようになる。即ち、本発明によれば、従来のように分離困難な低炭素数ジカルボン酸の副生を引き起こすことが殆どないため、ドデカンジカルボン酸を高収率及び高純度で得ることができ、低炭素数ジカルボン酸の混入による品質低下を抑えることも可能になる。更に、酸化反応による副生物の生成がないことからそれに伴う後処理などの諸問題を引き起こすこともなく、ドデカンジカルボン酸を製造することができる。
また、本発明では、原料のデカン−1,10−ジカルボンイミドを特に1,1’−パーオキシジシクロヘキシルアミンを液相又は超臨界状態で熱分解して得ることにより、原料の製造も含めて、工業的に効率的なドデカンジカルボン酸の製造プロセスを構築することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
デカン−1,10−ジカルボンイミド(以下、DCIと略記する)は下式で表される化合物であり、本発明では、このDCIを加水分解することによりドデカンジカルボン酸を選択的かつ簡便に得ることができる。
デカン−1,10−ジカルボンイミド(以下、DCIと略記する)は下式で表される化合物であり、本発明では、このDCIを加水分解することによりドデカンジカルボン酸を選択的かつ簡便に得ることができる。
DCIの加水分解において、水は、DCIに対して少なくとも2倍モル使用すればよいが、溶媒となることも考慮して、DCIに対して2〜10000倍モル、更には5〜500倍モルの範囲で使用するのが好ましい。反応温度は特に制限されないが、工業的な見地からすれば室温から水の沸点までの範囲とするのが好ましい。反応圧力、反応雰囲気、反応形式なども特に制限されず、例えば、常圧、バッチ式、窒素又は空気雰囲気下で行うことができる。溶媒は特に必要とされないが、必要に応じて、水に可溶の非プロトン性溶媒(アセトニトリル等)を使用してもよい。
DCIの加水分解では塩基を存在させることが好ましく、塩基は反応を促進するものであればどのようなものでも差し支えない。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、ランタノイド金属の水酸化物などの水溶性無機塩基が塩基として好適に使用できる。塩基の使用量は、DCI1当量に対して少なくとも1当量、更には1〜10当量、特に1〜2当量であることが好ましい。
前記のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物としては、NaOH、KOH、RbOH、CsOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2などが挙げられ、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩としては、Na2CO3、K2CO3、CaCO3などが挙げられる。また、ランタノイド金属の水酸化物としては、Y(OH)3、La(OH)3、Ce(OH)3、Sm(OH)3などが挙げられる。
反応終了後、生成したドデカンジカルボン酸は、例えば、水溶性塩基触媒を使用した場合はその塩として溶解しているため、酸の添加などにより反応液を中和してドデカンジカルボン酸を遊離させ、常法(濾過、遠心分離、晶析など)により単離することができる。
本発明で使用するDCIは、例えば、1,1’−パーオキシジシクロヘキシルアミン(以下、PXAと略記する)の熱分解により得ることができる。このとき、熱分解は200〜500℃(特に250〜400℃、更には250〜350℃)の高温下に液相又は超臨界状態で行うことが好ましく、DCIは得られた熱分解反応液から晶析又は蒸留により分離することが好ましい。これにより、副生物を殆ど含まない高純度(99%以上、特に99.5%以上)のDCIを高選択率及び高収率で容易に得ることができる。なお、PXAはシクロヘキサノンから公知の方法により得ることができる。
前記のPXAの熱分解において、反応圧力はその反応温度で液相又は超臨界状態を維持して反応させることができる範囲であればよく、通常は100MPaG以下、好ましくは1〜50MPaG、更に好ましくは1〜30MPaGである。また、反応時間は特に長時間を要する必要はなく、通常は数分以内であればよく、例えば1分以内、更には30秒以内であってもよい。反応器はPXAを高温下に液相又は超臨界状態で熱分解できるものであれば特に制限されず、例えば、短時間に連続的に反応を行うことができるプラグフロー型の反応器が好ましく挙げられる。
なお、PXAの熱分解では、熱分解において熱的及び化学的に安定である溶媒を使用することができ、例えば、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン等)、ハロゲン化炭化水素(ジロロメタン、クロロベンゼン等)、ケトン(アセトン、シクロヘキサノン等)、エーテル(テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等)、ニトリル(アセトニトリル、ベンゾニトリル等)、N−置換アミド(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、ラクタム(N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム等)が使用できる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、ドデカンジカルボン酸及びDCIの純度は液体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィーによりそれぞれ求めた。分析条件を以下に示す。
〔ドデカンジカルボン酸〕
・カラム:TSK−GEL ODS−80TM(東ソー製)
・溶離液:アセトニトリル(45重量%)−水(55重量%)−85%リン酸(0.1重量%)
・流量:0.8ml/min
・カラム温度:40℃
・検出:UV(210nm)
・カラム:TSK−GEL ODS−80TM(東ソー製)
・溶離液:アセトニトリル(45重量%)−水(55重量%)−85%リン酸(0.1重量%)
・流量:0.8ml/min
・カラム温度:40℃
・検出:UV(210nm)
〔DCI〕
・カラム:キャピラリーカラムTC−1(ジーエルサイエンス製)
・キャリヤー:ヘリウム(10ml/min)
・カラム温度:75〜250℃(5℃/分で昇温)
・注入口温度:240℃
・検出器温度:250℃
・カラム:キャピラリーカラムTC−1(ジーエルサイエンス製)
・キャリヤー:ヘリウム(10ml/min)
・カラム温度:75〜250℃(5℃/分で昇温)
・注入口温度:240℃
・検出器温度:250℃
〔参考例1〕DCIの製造
内径0.5mm、長さ128cmのSUS製チューブ状反応管(内容積0.25ml)を槽内の温度を250℃に制御した恒温槽に設置し、PXA濃度10重量%のPXA−トルエン溶液を1.25ml/minの速度でポンプにより8時間送液した(滞留時間12秒)。このとき、反応圧力は反応管出口に設置した圧力弁で10MPaGに制御することにより、反応管内を液相に維持した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、PXA転化率は99.65%、DCI選択率は55.3%、シアノウンデカン酸選択率は2.1%であった。次いで、反応液を0℃まで冷却して析出した結晶を分離し、DCI(純度99.7%)17.3gを得て実施例に使用した。
内径0.5mm、長さ128cmのSUS製チューブ状反応管(内容積0.25ml)を槽内の温度を250℃に制御した恒温槽に設置し、PXA濃度10重量%のPXA−トルエン溶液を1.25ml/minの速度でポンプにより8時間送液した(滞留時間12秒)。このとき、反応圧力は反応管出口に設置した圧力弁で10MPaGに制御することにより、反応管内を液相に維持した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、PXA転化率は99.65%、DCI選択率は55.3%、シアノウンデカン酸選択率は2.1%であった。次いで、反応液を0℃まで冷却して析出した結晶を分離し、DCI(純度99.7%)17.3gを得て実施例に使用した。
〔実施例1〕
冷却管付き50ml容丸底フラスコに、DCI:NaOH(モル比)が1:4となるように、DCI2.56g(12.1mmol)、30%NaOH水溶液6.47g(48.5mmol)、及び水22.33gを加え、オイルバスで加温して還流下で3時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却して70%硫酸で中和し、析出した結晶を濾別して50℃で一昼夜減圧乾燥し、結晶2.72gを得た。この結晶は、液体クロマトグラフィー、NMR、IR、元素分析により、ドデカンジカルボン酸と同定され、その単離収率は97.4%で、純度は99.1%であった。
冷却管付き50ml容丸底フラスコに、DCI:NaOH(モル比)が1:4となるように、DCI2.56g(12.1mmol)、30%NaOH水溶液6.47g(48.5mmol)、及び水22.33gを加え、オイルバスで加温して還流下で3時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却して70%硫酸で中和し、析出した結晶を濾別して50℃で一昼夜減圧乾燥し、結晶2.72gを得た。この結晶は、液体クロマトグラフィー、NMR、IR、元素分析により、ドデカンジカルボン酸と同定され、その単離収率は97.4%で、純度は99.1%であった。
〔実施例2〕
DCI:NaOH(モル比)が1:3になるように30%NaOH水溶液の使用量を変えた以外は、実施例1と同様に反応を行った。その結果、ドデカンジカルボン酸の単離収率は98.2%で、純度は96.9%であった。
DCI:NaOH(モル比)が1:3になるように30%NaOH水溶液の使用量を変えた以外は、実施例1と同様に反応を行った。その結果、ドデカンジカルボン酸の単離収率は98.2%で、純度は96.9%であった。
〔実施例3〕
DCI:NaOH(モル比)が1:2.5になるように30%NaOH水溶液の使用量を変えた以外は、実施例1と同様に反応を行った。その結果、ドデカンジカルボン酸の単離収率は96.8%で、純度は94.0%であった。
DCI:NaOH(モル比)が1:2.5になるように30%NaOH水溶液の使用量を変えた以外は、実施例1と同様に反応を行った。その結果、ドデカンジカルボン酸の単離収率は96.8%で、純度は94.0%であった。
〔実施例4〕
DCI:KOH(モル比)が1:4となるようにNaOH水溶液をKOH水溶液に変えた以外は、実施例1と同様に反応を行った。その結果、ドデカンジカルボン酸の単離収率は97.9%で、純度は98.4%であった。
DCI:KOH(モル比)が1:4となるようにNaOH水溶液をKOH水溶液に変えた以外は、実施例1と同様に反応を行った。その結果、ドデカンジカルボン酸の単離収率は97.9%で、純度は98.4%であった。
本発明により、非常に効率的なドデカンジカルボン酸の製造方法を構築できる。なお、ドデカンジカルボン酸は、ポリマー原料やファインケミカルズ出発原料として有用な化合物である。
Claims (4)
- デカン−1,10−ジカルボンイミドを加水分解することを特徴とする、ドデカンジカルボン酸の製造方法。
- 塩基存在下でデカン−1,10−ジカルボンイミドを加水分解する、請求項1記載のドデカンジカルボン酸の製造方法。
- 水溶性塩基をデカン−1,10−ジカルボンイミド1当量に対して少なくとも1当量使用する、請求項2記載のドデカンジカルボン酸の製造方法。
- デカン−1,10−ジカルボンイミドが1,1’−パーオキシジシクロヘキシルアミンを200〜500℃の高温下に液相又は超臨界状態で熱分解して得られるものである、請求項1又は2記載のドデカンジカルボン酸の製造方法。
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JP2004291280A JP2006104099A (ja) | 2004-10-04 | 2004-10-04 | ドデカンジカルボン酸の製造方法 |
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JP2015522594A (ja) * | 2012-07-19 | 2015-08-06 | ロディア オペレーションズRhodia Operations | 二酸化合物を製造する方法 |
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2004
- 2004-10-04 JP JP2004291280A patent/JP2006104099A/ja active Pending
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