JP6030397B2 - カプロラクタム及びその製造法 - Google Patents
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しかしながら、上記(1)〜(4)のいずれの反応においても、リジン及び/またはリジンの塩を原料とし、リジンの2位のアミノ基を選択的に脱離する方法については開示も示唆もされていない。
(1)3−メチル−ε−カプロラクタムの含有率が0.004質量%以下であることを特徴とするε−カプロラクタム。
(2)7−メチル−ε−カプロラクタムの含有率が0.025質量%以下であることを特徴とする(1)記載のε−カプロラクタム。
(3)(1)又は(2)記載のε−カプロラクタムを用いて重合されたことを特徴とするポリアミド6。
(4)リジン及び/またはリジンの塩を原料とし、6−アミノ−2−クロロカプロン酸及び6−アミノカプロン酸を経由することを特徴とする(1)又は(2)記載のε−カプロラクタムの製造方法。
(5)リジン及び/またはリジンの塩を原料とし、酸性条件下、ジアゾ化剤及び塩素源と反応させることを特徴とする(4)記載の6−アミノ−2−クロロカプロン酸の製造方法。
(6)前記リジン及び/又はリジンの塩が、バイオマス由来であることを特徴とする(4)又は(5)記載の6−アミノ−2−クロロカプロン酸の製造方法。
(7)前記ジアゾ化剤が、亜硝酸アルカリ金属塩、炭素数2〜6の亜硝酸アルキルエステル、塩化ニトロシル、ニトロシル硫酸、一酸化窒素およびこれらの混合物からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする(5)又は(6)記載の6−アミノ−2−クロロカプロン酸の製造方法。
(8)前記塩素源が、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化ニッケル、塩素、塩酸、塩化チオニル、塩化アルキル、N−クロロスクシイミドである(5)〜(7)いずれかに記載の6−アミノ−2−クロロカプロン酸の製造方法。
(9)前記6−アミノ−2−クロロカプロン酸を脱ハロゲン化することを特徴とする(4)記載の6−アミノカプロン酸の製造方法。
(10)前記脱ハロゲン化方法が接触水素化であることを特徴とする(9)記載の6−アミノカプロン酸の製造方法。
(11)前記6−アミノカプロン酸を溶媒中で加熱して脱水環化縮合することを特徴とする(4)記載のε−カプロラクタムの製造方法。
(12)前記溶媒がアルコールであることを特徴とする(11)記載のε−カプロラクタムの製造方法。
(13)前記アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする(12)記載のε−カプロラクタムの製造方法。
(14)前記加熱温度が150〜230℃であることを特徴とする(11)〜(13)いずれかに記載のε−カプロラクタムの製造方法。
本発明の6−アミノ−2−クロロカプロン酸の製造方法(以下、クロロ化反応と略する場合がある)は、リジン及び/またはリジンの塩を原料とし、酸性条件下、ジアゾ化剤及び塩素源と反応させることが必要である。
本発明の6−アミノカプロン酸の製造方法(以下、脱ハロゲン化反応と略する場合がある)は、前記6−アミノ−2−クロロカプロン酸を用い脱ハロゲン化することにより6−アミノカプロン酸を製造することが必要である。
本発明のε−カプロラクタムの製造方法は、6−アミノカプロン酸を溶媒中で加熱して脱水環化縮合することが必要である。該反応には溶媒を用いることが必要であり、極性溶媒が好ましく、アルコール溶媒がより好ましい。中でもエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールに例示されるアルコール溶媒が特に好ましい。
得られたε-カプロラクタムは精製することが好ましい。精製方法としては、再結晶、晶析、蒸留、昇華、カラム分離などが挙げられ、再結晶、晶析、蒸留が好ましく用いられる。
本発明においては、合成後、冷却する前に減圧蒸留した方が製造コストを抑えられるので好ましい。なお、通常の経済的な方法では、石油由来のε-カプロラクタムから7−メチル−ε−カプロラクタム、3−メチル−ε−カプロラクタムを除くことは困難である。
上記の方法で得られたε-カプロラクタムの純度は95〜100wt%が好ましく、98〜100wt%がより好ましく、99.9〜99.999wt%がさらに好ましい。純度が低すぎると、重合時に反応速度が低下したり、分子量が上がらなくなったり、ゲル化したり、加工性が悪くなるなどするために好ましくない。純度が高すぎると、精製に費用がかかり、製造コストが高くなるために望ましくない。
ε−カプロラクタム中の3−メチル−ε−カプロラクタムの含有量は、以下のHPLC条件にて分取したサンプルを1H−NMRにて分析した。なお、該HPLC分析条件での3−メチル−ε−カプロラクタムの保持時間は12.12minであった。また1H−NMR分析は常法により行った。
カラム:ODS(C18)
移動層:メタノール:水=30(vol%):70(vol%)
流速 :0.7ml/min
検出 :UV(210nm)
試料量:280μg(70wt%×0.4μL)
なお、検出限界は、10ppmであった。
上記3−メチル−ε−カプロラクタムと同様の分析条件にて含有量を特定した。なお、7−メチル−ε−カプロラクタムの該保持時間は10.16minであった。
実施例1
内容量300mLの三ツ口フラスコにリジン塩酸塩(協和発酵フーズ社製、商品名:L−リジン協和(バイオマス由来))9.1gと5M 塩酸水溶液65mLを仕込み、0℃まで冷却した。これにあらかじめ0℃まで冷却しておいた22wt%亜硝酸水溶液20mLを1分間に1mLずつ滴下し、反応させた。滴下終了後、0℃で3時間静置し、常温で一晩放置して反応を進行させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を加え反応液のpHを1.6に調製した後、ジエチルエーテル20mLにより液液分離を行った。得られた水層を減圧乾燥して得られたサンプルを1H−NMRとLC/MSで分析したところ、6−アミノ−2−クロロカプロン酸が85mol%含まれていることを確認した。なお、7−メチル−ε−カプロラクタム及び3−メチル−ε−カプロラクタム由来のピークは見られなかった。
塩酸水溶液の濃度を5Mから10Mへ変更した以外は実施例1と同様の方法により6−アミノ−2−クロロカプロン酸を得た。1H−NMRとLC/MSで分析したところ、6−アミノ−2−クロロカプロン酸が94mol%含まれていることを確認した。なお、7−メチル−ε−カプロラクタム及び3−メチル−ε−カプロラクタム由来のピークは見られなかった。
リジン塩酸塩の量を9.1gから27.3gへ変更した以外は実施例1と同様の方法により6−アミノ−2−クロロカプロン酸を得た。1H−NMRとLC/MSで分析したところ、6−アミノ−2−クロロカプロン酸が72mol%含まれていることを確認した。なお、7−メチル−ε−カプロラクタム及び3−メチル−ε−カプロラクタム由来のピークは見られなかった。
実施例5
実施例1で得られた6−アミノ−2−クロロカプロン酸1wt%水溶液を、連続水素化反応装置(ThalesNano社製H−Cube、ThalesNano社製触媒カートリッジ(10%Pd/C))を用い、温度50℃、フルH2モード、流速1mL/minの条件で水素化した。得られたサンプルを1H−NMRで分析したところ、6−アミノ−2−クロロカプロン酸が6−アミノカプロン酸に定量的に変換されていることを確認できた。
実施例2にて得られた6−アミノ−2−クロロカプロン酸1wt%水溶液を用いた以外は実施例5と同様にして水素化した。得られたサンプルを1H−NMRで分析したところ、6−アミノ−2−クロロカプロン酸が6−アミノカプロン酸に定量的に変換されていることを確認できた。
実施例7
実施例5にて得られたアミノカプロン酸3.95gをtetra−EG(和光純薬工業社製試薬)120gに溶解し、ディーンスターク管を取り付けた300mL丸底フラスコ中で185℃で2時間加熱した。反応後、100Pa、135℃で減圧蒸留した。得られたサンプルを1H−NMRで分析したところ、アミノカプロン酸を定量的にε−カプロラクタムに変換できていることを確認できた。また、得られたε−カプロラクタムを上記HPLC及び1H−NMRで分析したところ、7−メチル−ε−カプロラクタム及び3−メチル−ε−カプロラクタム由来のピークは見られなかった。
実施例6にて得られた6−アミノカプロン酸を用いた以外は実施例7と同様にして水素化した。得られたサンプルを1H−NMRで分析したところ、6−アミノ−2−クロロカプロン酸がアミノカプロン酸に定量的に変換されていることを確認できた。また、得られたε−カプロラクタムを上記HPLC及び1H−NMRで分析したところ、7−メチル−ε−カプロラクタム及び3−メチル−ε−カプロラクタム由来のピークは見られなかった。
三菱化学製の石油由来のカプロラクタムを上記HPLC及び1H−NMRで分析したところ、7−メチル−ε−カプロラクタムを0.027質量%、3−メチル−ε−カプロラクタムを0.005質量%含んでいた。
Claims (11)
- リジン及び/またはリジンの塩を原料とし、6−アミノ−2−クロロカプロン酸及び6−アミノカプロン酸を経由することを特徴とするε−カプロラクタムの製造方法。
- リジン及び/またはリジンの塩を原料とし、酸性条件下、ジアゾ化剤及び塩素源と反応させることを特徴とする請求項1記載の6−アミノ−2−クロロカプロン酸の製造方法。
- 前記リジン及び/またはリジンの塩が、バイオマス由来であることを特徴とする請求項1又は2記載の6−アミノ−2−クロロカプロン酸の製造方法。
- 前記ジアゾ化剤が、亜硝酸アルカリ金属塩、炭素数2〜6の亜硝酸アルキルエステル、塩化ニトロシル、ニトロシル硫酸、一酸化窒素およびこれらの混合物からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする請求項2又は3記載の6−アミノ−2−クロロカプロン酸の製造方法。
- 前記塩素源が、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化ニッケル、塩素、塩酸、塩化チオニル、塩化アルキル、N−クロロスクシイミドである請求項2〜4いずれか1項に記載の6−アミノ−2−クロロカプロン酸の製造方法。
- 前記6−アミノ−2−クロロカプロン酸を脱ハロゲン化することを特徴とする請求項1記載の6−アミノカプロン酸の製造方法。
- 前記脱ハロゲン化方法が接触水素化であることを特徴とする請求項6記載の6−アミノカプロン酸の製造方法。
- 前記6−アミノカプロン酸を溶媒中で加熱して脱水環化縮合することを特徴とする請求項1記載のε−カプロラクタムの製造方法。
- 前記溶媒がアルコールであることを特徴とする請求項8記載のε−カプロラクタムの製造方法。
- 前記アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項9記載のε−カプロラクタムの製造方法。
- 前記加熱温度が150〜230℃であることを特徴とする請求項8〜10いずれか1項に記載のε−カプロラクタムの製造方法。
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