以下、本発明の実施の形態について、図1又は図4を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る媒体処理装置としてのカード処理装置1の構成例を示す模式的断面図である。カード処理装置1は、取引装置、例えば駅に設置される自動精算機(自動券売機を含む)に内蔵され、カード状の媒体を処理する装置である。このような自動精算機は、乗車券等を精算するものである。なお、自動精算機は、本実施の形態に係るカード処理装置1、硬貨を処理する硬貨処理装置(不図示)、紙幣を処理する紙幣処理装置(不図示)、券類を発券する発券装置(不図示)等を備え、さらに利用者の操作を受け付ける接客部(不図示)を備える。カード処理装置1は、自動精算機に内蔵される際には、例えば利用者が、自動精算機の正面に形成された接客部(不図示)から、後述の挿入部20にカード状の媒体を挿入できる位置に内蔵される。なお、本図中太線はカード状の媒体の搬送経路を示している。
ここでカード状の媒体は、例えば、メダルや硬貨等の略円形状の媒体とは異なる略四角形状の媒体であり、典型的には、略長方形板状の媒体である。カード状の媒体は、弾性を有する軟らかい媒体でもよいし、剛性を有する硬い媒体でもよい。カード状の媒体には、例えば、乗車券や回数券等のエドモンソン券、大型券、定期券やプリペードカード等のPET券、ICカードがある。
エドモンソン券の寸法は、縦57.5mm、横30mm、厚さ0.19mm程度である。大型券の寸法は、縦85mm、横57.5mm、厚さ0.19mm程度である。PET券の寸法は、縦85mm、横57.5mm、厚さ0.22mmである。ICカードの寸法は、縦85.6mm,横53.98mm、厚さ0.76mm程度である。
エドモンソン券、大型券は、紙状のカード媒体であり、表面が感熱紙になっており、サーマルヘッド(不図示)により、表面に印刷情報を印刷できるものである。また、エドモンソン券、大型券は、裏面に磁気情報の書き込みが可能な媒体である。PET券は、プラスティックのカード媒体であり、例えば、定期券や裏面に磁気記録層が形成され、さらに磁気記録層の上に感熱紙層が形成されたいわゆるプリペイドカードである。プリペイドカードは、その裏面に磁気ヘッド(不図示)によりカードの情報としての磁気情報が記録でき、さらにサーマルヘッド(不図示)により印字可能な媒体である。ICカードは、剛性を有するカード媒体であり、内部にCPUやRAM、ROM等のメモリが格納されており、当該メモリにカード情報を記憶している。ICカードは、カード情報の書換えを電磁波を用いて行うことが可能であるため、非接触式カードと呼ばれている。なお、ICカードは、規格としてISO14443(JIS X6322)が定められている。
本実施の形態では、カード状の媒体にはエドモンソン券、大型券、PET券、ICカードがあるものとして説明する。なお、以下の説明では、エドモンソン券、大型券、PET券、ICカードを特に分けて説明する必要のない場合には、これらをまとめて単にカード2という。
また、カード処理装置1は、例えば利用者により挿入されるカード2の受付処理、利用者の購入操作等によるカード2の残金の更新を行なうカードの更新処理が行なえるものである。また、カード処理装置1は、カード2の受付処理で、カード2を1枚ずつ挿入することで、エドモンソン券、大型券合わせて最大3枚、PET券は最大4枚、ICカードは最大2枚まで受付可能である。エドモンソン券、大型券、PET券が組み合わせて挿入された場合は、エドモンソン券、大型券、PET券合わせて最大5枚、かつ5枚の内エドモンソン券、大型券が最大3枚又はPET券が最大3枚まで受付可能である。
カード処理装置1は、利用者からのカード2の挿入を受け付け、また処理されたカード2の返却を行う挿入部20と、挿入部20から挿入されたカード2を整列させる整列部30と、挿入されたカード2の磁気情報に関する各種処理を行うエンコード部50と、カード2、ここではプリペードカードの利用目安となる位置に穴を開ける処理を行うカードパンチ部60と、カード2に利用情報の印字を行う印字部70と、カード2、ここではエドモンソン券である回数券が再度使用できないように穴を開ける処理を行う回数券パンチ部80と、廃券処理したエドモンソン券、大型券を回収・保管する廃券回収部90と、挿入されたICカードのメモリに記憶されているカード情報の読み込み、書き込み等のカード情報に関する各種処理を行うアンテナ部110とを備える。
カード処理装置1は、さらに処理の終わったPET券、ICカードをストッパー部130と協動して集積する集積部140と、挿入部20で取り忘れられたカード2を回収・保管する取忘回収部150と、挿入部20より受け付けたカード2をカード処理装置1内の各部に搬送する搬送装置200と、搬送装置200により搬送されるカード2を保留する保留部300と、上記各構成を制御し、カード処理装置1の全体を制御する制御部160とを備えている。なおここでは、搬送装置200は、その搬送経路を図中太線で示している。
以下、上記各構成について詳細に説明する。
まず、搬送装置200は、複数の搬送ローラ、プーリ、複数の搬送ベルト等を備え、正逆両方向にカード2を搬送するように構成される。搬送装置200は、第1の搬送部としての第1の搬送路210、第2の搬送部としての第2の搬送路220を含んで構成される。さらに、本実施の形態では、搬送装置200は、第3の搬送路230、第4の搬送路240、第5の搬送路250、第6の搬送路260、第7の搬送路270を含んで構成されている。また、搬送装置200には、複数の保留部300が配設されている。
まず、第3の搬送路230は、挿入部20のカード2が挿入される側とは反対側に、カード2の搬送方向が略水平となるように配設されている。第3の搬送路230は、挿入部20に挿入されたカード2を、挿入部20とは反対側に配設される第2の搬送路220又は第4の搬送路240に搬送するように構成される。さらに、第3の搬送路230は、第2の搬送路220又は第4の搬送路240より搬送されるカード2を受け取り、挿入部20へ搬送するものでもある。
第2の搬送路220は、第3の搬送路230による搬送方向と交差する方向、典型的には、第3の搬送路230に対して傾斜を有した方向であり、さらに詳細には第3の搬送路230に対して鉛直上方向で挿入部20から離れる方向にカード2を搬送するように構成される。第2の搬送路220は、第3の搬送路230によって搬送されるカード2を受け取り、第3の搬送路230とは反対側に配設される第1の搬送路210又は第6の搬送路260に搬送するように構成される。さらに、第2の搬送路220は、第1の搬送路210又は第6の搬送路260より搬送されるカード2を受け取り、第3の搬送路230へ搬送するものでもある。なお、第2の搬送路220には、後述するエンコード部50が配設されている。
第1の搬送路210は、第2の搬送路220による搬送方向に対して略平行な方向、典型的には、第2の搬送路220による搬送方向と略一直線になる方向にカード2を搬送するように構成される。第1の搬送路210は、後述するように他の搬送路とは異なった構成となっている。第1の搬送路210は、第2の搬送路220によって搬送されるカード2を受け取り、第2の搬送路220とは反対側に配設される第5の搬送路250に搬送するように構成される。さらに、第1の搬送路210は、第5の搬送路250より搬送されるカード2を受け取り、第2の搬送路220へ搬送するものでもある。なお、第1の搬送路210には、第2の搬送路220側から順に後述するカードパンチ部60、印字部70が配設されている。
第4の搬送路240は、第3の搬送路230による搬送方向に対して略平行な方向、典型的には、第3の搬送路230による搬送方向と略一直線になる方向にカード2を搬送するように構成される。第4の搬送路240は、第3の搬送路230によって搬送されるカード2を受け取り、第3の搬送路230とは反対側に配設される後述の第9の保留部390に搬送するように構成される。なお、第4の搬送路240には、第3の搬送路230と第9の保留部390との間に後述するアンテナ部110が配設されている。さらに、第4の搬送路240は、アンテナ部110により処理されたカード2を第3の搬送路230へ搬送するものでもある。
第5の搬送路250は、第1の搬送路210による搬送方向と交差する方向、典型的には、搬送方向が略水平方向で挿入部20から離れる方向にカード2を搬送するように構成される。第5の搬送路250は、第1の搬送路210によって搬送されるカード2を受け取り、第1の搬送路210とは反対側に配設される後述の第1の保留部310に搬送するように構成される。さらに、第5の搬送路250は、第1の保留部310により保留されたカード2を第1の搬送路210へ搬送するものでもある。
第6の搬送路260は、第2の搬送路220による搬送方向と交差する方向で挿入部20から離れる方向にカード2を搬送するように構成される。第6の搬送路260は、複数の折れ曲がりを有しており、第2の搬送路220によって搬送されるカード2を受け取り、第2の搬送路220とは反対側に配設され、典型的には挿入部20を正面とするとカード処理装置1内の背面側に配設される後述の廃券回収部90に搬送するように構成される。さらに、第6の搬送路260は、例えば、後述の第4の保留部340に保留されるカード2を第2の搬送路220又は次に説明する第7の搬送路270に搬送するものでもある。
第7の搬送路270は、第6の搬送路260の中間から分岐するように配設され、第6の搬送路260による搬送方向と交差する方向、典型的には、第6の搬送路260に対して傾斜を有した方向であり、さらに詳細には第6の搬送路260に対して鉛直下方向で挿入部20に近づく方向にカード2を搬送するように構成される。第7の搬送路270は、第6の搬送路260によって搬送されるカード2を受け取り、第6の搬送路260とは反対側に配設される後述の第7の保留部370に搬送するように構成される。さらに、第7の搬送路270は、第7の保留部370により保留されたカード2を第6の搬送路260へ搬送するものでもある。なお、第7の搬送路270には、第6の搬送路260と第7の保留部370との間、より具体的には後述の第3の振分部43と第7の保留部370との間に後述する回数券パンチ部80が配設されている。
さらに言えば、第1の搬送路210、第2の搬送路220は共通の駆動機281(例えばステッピングモータ)、第3の搬送路230は駆動機283、第4の搬送路240は駆動機284、第5の搬送路250は駆動機285、第6の搬送路260は駆動機286、第7の搬送路270は駆動機287によって駆動することでカード2を搬送するように構成される。
搬送装置200に配設される保留部300は、搬送装置200の搬送経路上にあるカード2を一時保留するものである。保留部300は、カード2の保留状態を、外から目視可能な構成となっている。また、挿入部20よりカード2が複数枚挿入されたときの退避エリアでもある。本実施の形態では、保留部300は、第5の搬送路250の搬送経路上の第1の搬送路210とは反対側に配設される第1の保留部310、第5の搬送路250の搬送経路上の第1の搬送路210と第1の保留部310との間に配設される第2の保留部320、第1の搬送路210の搬送経路上の印字部70と第5の搬送路250との間に配設される第3の保留部330、第6の搬送路260の搬送経路上、廃券回収部90と第3の振分部43との間の略垂直な部分に配設される第4の保留部340、第6の搬送路260の搬送経路上の第3の振分部43近傍に配設される第5の保留部350、第7の搬送路270の搬送経路上の第3の振分部43と回数券パンチ部80との間に配設される第6の保留部360、第7の搬送路270の搬送経路上の第6の搬送路260とは反対側に配設される第7の保留部370、第4の搬送路240の搬送経路上のアンテナ部が設置されている部分に配設される第8の保留部380、第4の搬送路240の搬送経路上の第3の搬送路230とは反対側に配設される第9の保留部390を含んで構成される。なお、これらの保留部を特に分けて説明する必要のない場合には単に保留部300という。
典型的には、第1の保留部310、第2の保留部320、第3の保留部330は、PET券を保留し、第4の保留部340、第5の保留部350、第6の保留部360、第7の保留部370は、エドモンソン券、大型券を保留し、第8の保留部380、第9の保留部390は、ICカードを保留する。また、複数のPET券が挿入された際には、1枚目は第1の保留部310、2枚目は第2の保留部320、3枚目のは第3の保留部330というように順に保留される。複数のエドモンソン券、大型券が挿入された際には、1枚目は第4の保留部340、2枚目は第5の保留部350に保留され、3枚目が挿入されると、第5の保留部350に保留されている2枚目のエドモンソン券又は大型券が第6の保留部360に搬送、保留され、第5の保留部350に3枚目のエドモンソン券又は大型券が保留される。また、第7の保留部370には、1枚目に乗車券、2枚目に第1の回数券が挿入され、さらに3枚目に第2の回数券が挿入された際に、第1の回数券が一時的に保留される。また、複数のICカードが挿入された際には、1枚目は第8の保留部380に保留され、2枚目が挿入されると、第8の保留部380に保留されている1枚目のICカードが第9の保留部390に搬送、保留され、第8の保留部380に2枚目のICカードが保留される。なお、第5の保留部350には、PET券が連続して4枚挿入された際に4枚目のPET券が保留されることがある。
図2は、本発明の実施の形態に係るカード処理装置1の第5の搬送路250、第1の保留部310、第2の保留部320を示す図であり、(a)は平面図、(b)、(c)は側面図である。図2(a)に示すように、第5の搬送路250は、カード2を案内する上搬送ベルト251と、上搬送ベルト251に対向する下搬送ベルト252とを有し、カード2を上搬送ベルト251と下搬送ベルト252との間に挟持して搬送するように構成される。上搬送ベルト251は、搬送方向に対して水平方向に並べられる複数のプーリ251aに張架され、下搬送ベルト252は、同じく搬送方向に対して水平方向に並べられる複数のプーリ252aに張架される。本実施の形態では、下搬送ベルト252のプーリ252aは、不図示のベルト等を介して駆動機285(図1参照)から駆動力が伝達されて回転駆動するように構成されており、上搬送ベルト251は、下搬送ベルト252の駆動に従って従動する。
第5の搬送路250には、ストッパー311が配設されている。ストッパー311は、図2(b)に示すように、略L字型の短辺が第5の搬送路250のカード2を挟持する面と略垂直に交わるように配設される。さらに、ストッパー311の略L字型の短辺と反対側には、ローラ312が配設されている。また、ストッパー311には回動部材313が取り付けられており、当該回動部材313は、不図示のストッパー駆動手段(例えば、ソレノイド)に接続されている。ストッパー311は、ストッパー駆動手段の駆動により略L字型の短辺が略円弧状に軌跡を描くように鉛直方向上下に移動する。ストッパー駆動手段の駆動は、制御部160(図1参照)によって制御される。第5の搬送路250上のストッパー311の略L字型の短辺を境界として第1の搬送路210側、すなわち上流側(図中左側)の部分が第2の保留部320、下流側(図中右側)の部分が第1の保留部310である。
ストッパー311は、図2(c)に示すように、通常では略L字型の短辺の先端が第5の搬送路250のカード2を挟持する面よりも下方に退避しており、このときローラ312は、下搬送ベルト252のカード2を挟持する面の裏側に当接して、下搬送ベルト252を上搬送ベルト251に付勢している。したがって、上搬送ベルト251と下搬送ベルト252とがカード2を挟持する力(すなわちグリップ力)は充分となる。ストッパー311は、第1の保留部310、第2の保留部320にPET券を一時的に保留する際、典型的には、下流方向に移動する1枚目のカード2が略L字型の短辺を通過した際に、図2(b)に示すように、ストッパー駆動手段の駆動により略L字型の短辺の先端が搬送経路の上側に突出する。このとき、ローラ312は、下方に移動し、上搬送ベルト251と下搬送ベルト252とのグリップ力が減少する。ストッパー311の下流方向には、カード処理装置1の筐体を形成する壁314(図1参照)が存在するので、カード2は当該壁314に当接し、第1の保留部310に保留される。また前記グリップ力も減少しており、カード2は上搬送ベルト251と下搬送ベルト252との間で摺動するため、折れ曲がったりすることはない。2枚目のカード2が、第5の搬送路250に搬送されてくると、カード2は搬送経路の上側に突出しているストッパー311の略L字型の短辺の先端に当接し、これ以上奥には搬送されず、第2の保留部320に保留される。第1の保留部310、第2の保留部320は以上のように構成することで、第5の搬送路250上に2枚のカード2を保留することができる。言い換えれば、第5の搬送路250の駆動を停止せずに、第5の搬送路250上に1枚のカード2を保留しながら、別のカード2を第5の搬送路250によって搬送し、さらに保留することができる。
図3は、本発明の実施の形態に係るカード処理装置1の第1の搬送路210、第3の保留部330を示す正面図であり、(a)は第3の保留部330がカード2を保留していない状態、(b)は第3の保留部330がカード2を保留している状態を示す図である。
さらに図4は、本発明の実施の形態に係るカード処理装置1の第1の搬送路210、第3の保留部330を示す図であり、(a)は図3(b)の矢印Aに示す矢視図、(b)は図4(a)のb−bで示す断面図である。なお、本図では、第1の搬送路210の上流側に配設される第2の搬送路220も部分的に図示しているが、分かり易くするため、便宜上、第1の搬送路210と第2の搬送路220との間に配設される要素(例えば、第2の振分部42等)については図示を省略している。
以下、図3、図4を参照して第1の搬送路210、第3の保留部330について説明する。なお、図3では後述する側壁213a、213bの図示は省略してある。
図3(a)、(b)に示すように、第1の搬送路210は、駆動可能に構成される第1の駆動ガイドとしての駆動ローラ211aと、駆動ローラ211aと対向して配設され、駆動ローラ211aの駆動に伴って従動する第1の従動ガイドとしての従動ローラ212aを含んで構成される。本実施の形態では、第1の搬送路210は、同様にもう一組の駆動ローラ211b、従動ローラ212bも備えている。駆動ローラ211a、211bと従動ローラ212a、212bは、ともに略円筒状に形成され、径方向の中心を回転軸線として回転する回転ローラである。なお、ここで、略円筒状とは、外周が曲面状(断面が略円状)となっているものを広く含み、例えば略円柱状も含む。駆動ローラ211aと駆動ローラ211bとは、搬送方向に対して回転軸線が垂直となり、搬送方向に沿って並べて配設される。なお、ここでは、駆動ローラ211aが上流側、すなわち第2の搬送路220側となるように配設されている。従動ローラ212aと従動ローラ212bも、同様に、搬送方向に対して回転軸線が垂直となり、搬送方向に沿って並べて配設される。また、駆動ローラ211a、211bと従動ローラ212a、212bは、それぞれ搬送方向に対して垂直な方向に対向するように配設される。第1の搬送路210は、駆動ローラ211aと従動ローラ212a、駆動ローラ211bと従動ローラ212bによりカード2を挟持して搬送するものである。
図4(a)に示すように、第1の搬送路210は、搬送方向に沿って駆動ローラ211a等の回転軸線に対して垂直に形成された側壁213a、213bを備えている。側壁213aと側壁213bとは、駆動ローラ211a等の回転軸線と平行な方向にカード2の横幅、典型的にはPET券の横幅(57.5mm程度)よりも若干広い間隔を開けて配設される。側壁213a、213bは、駆動ローラ211aと従動ローラ212a、駆動ローラ211bと従動ローラ212bにより挟持して搬送されるカード2が脱線していかないように搬送を補助するものである。
図4(b)に示すように、駆動ローラ211aは、略円筒状に形成されるシャフト214aに径方向が一致するように取り付けられている。シャフト214aは、側壁213a側から側壁213aを貫通して一端が側壁213bに回転可能に支持される。シャフト214aのもう一方の端部(側壁213a側の端部)には、プーリ215aが取り付けられている。同様に駆動ローラ211bは、シャフト214bに取り付けられており、シャフト214bの側壁213a側の端部には、プーリ215bが取り付けられている。プーリ215a、215bは、不図示のベルト等を介して駆動ローラ211a、211bを駆動する駆動手段としての駆動機281(図1参照)から駆動力が伝達されて回転駆動するように構成されており、これにより、シャフト214a、214b、駆動ローラ211a、211bが回転駆動するように構成される。
図3(a)、(b)に示すように、従動ローラ212a、212bは、50N程度の力で駆動ローラ211a、211b方向に付勢されて取り付けられている。具体的には、従動ローラ212aは、側壁213a(図4参照)側の端部を略V字型に形成された支持部材216aの略V字型の一端に回転可能に支持されている。支持部材216aの略V字型の角の部分には略円筒状に形成された回転軸217aが支持部材216aに対して垂直となるように取り付けられている。回転軸217aは、側壁213a(図4参照)に回転可能に取り付けられており、これにより、支持部材216aは、回転軸217aを回転中心として回動可能に構成される。また、支持部材216aの略V字型のもう一方の端にはバネ218aが取り付けられており、バネ218aのもう一方の端部は不図示のピン等により側壁213a(図4参照)に固定されている。バネ218aは当該支持部材216aの一方の端を従動ローラ212a側に引き寄せる方向に付勢している。これにより、支持部材216aは、回転軸217aを回転中心として図中反時計回りに回転するように付勢され、従動ローラ212aは駆動ローラ211a方向に付勢される。従動ローラ212bも、同様に、支持部材216bに回転可能に支持されている。支持部材216bは、回転軸217bを介して側壁213a(図4参照)に取り付けられ、バネ218bによって付勢されており、これにより従動ローラ212bも駆動ローラ211b方向に付勢される。なお、支持部材216bは、支持部材216aと比較して略V字型の角の部分が突起しており、本図中では略T字型に近い形状に図示しているが機能的には支持部材216aとほぼ同様である。
続けて図3、図4を参照して第3の保留部330について説明する。図3(a)、(b)に示すように、第3の保留部330は、駆動ローラ211a、211bと従動ローラ212a、212bとの間に配設される分離ガイドとしての2つの保留板331a、331bを有し、カード2を駆動ローラ211a、211bから引き離す分離手段である。第3の保留部330は、さらに制御部160(図1参照)によって制御されるソレノイド332を備えている。
図3(a)、(b)に示すように、2つの保留板331a、331bは、略長方形状の板金等の両先端部を30度程度に曲げ加工されて形成される。2つの保留板331a、331bは、上述したように駆動ローラ211a、211bと従動ローラ212a、212bとの間に、従動ローラ212a、212bと接するように配設される。さらに2つの保留板331a、331bは、折れ曲がった先端が駆動ローラ211a、211b側を向くように配設される。また、保留板331aと保留板331bとは、搬送方向に対して垂直な方向に駆動ローラ211a、211bが露出する程度に間隔を開けて、側壁213a側に保留板331a、側壁213b側に保留板331bとなるように配設されている(図4(b)参照)。例えば、第2の搬送路220から搬送されてくるカード2は、従動ローラ212a、212bと2つの保留板331a、331bとの間に導入される。なお、保留板331a、331bの先端が駆動ローラ211a、211b側に曲がっていることでカード2を従動ローラ212a、212bと2つの保留板331a、331bとの間に導入しやすい構成となっている。
図3(a)、(b)に示すように、2つの保留板331a、331bの駆動ローラ211a、211b側の面には、板金等を略L字型に曲げ加工して形成される保留板支持部材333が取り付けられている。保留板支持部材333の保留板331a、331bに対して略垂直の面は、当該面の2辺を保留板支持部材334a、334bによって支持されている(図4(a)も参照)。さらに、保留板支持部材334aと保留板支持部材334bとの間には略円筒状に形成された2つのピン335a、335bが、保留板支持部材334a、334bに対して略垂直になるように取り付けられている(図4(a)も参照)。ピン335a、335bは、それぞれ両端部が保留板支持部材334a、334bを貫通しており、当該両端部を各々略コの字型に形成された保留板支持部材336a、336bにより回転可能に支持されている(図4(b)も参照)。さらに、保留板支持部材336a、336bには、ピン335a、335bが貫通している面を、同様に貫通するピン337a、337bが配設されている。保留板支持部材336a、336bは、ピン337a、337bを中心に回転可能に支持されている。ただし、ピン337a、337bは、側壁213aに固定的に取り付けられている点で、ピン335a、335bと異なる。なお、ピン335aのほぼ中央には、後述するブラケット332aの当接面332cと当接する転がりベアリング339が取り付けられている。
さらに、図3(a)、(b)に示すように、保留板支持部材336bの側壁213a(図4参照)側の面には、ピン338aが固定的に取り付けられており、ピン338aにはバネ338bが取り付けられている。バネ338bのもう一方の端部は不図示のピン等により側壁213a(図4参照)に固定されている。バネ338bは保留板支持部材336bを駆動ローラ211a、211bから離れる方向に付勢している。これにより、保留板支持部材336bに連結されている保留板支持部材333、334a、334b、336aも駆動ローラ211a、211bから離れる方向に付勢され、保留板331a、331bは駆動ローラ211a、211bに向かって付勢される。
また、図4(a)に示すように、ソレノイド332は、ソレノイド332と駆動ローラ211a、211bとの間に従動ローラ212a、212bが位置するように、側壁213aに配設されている。ソレノイド332には、略長方形の棒状の板金等を略L字型に曲げ加工して形成されたブラケット332aが接続されている。ブラケット332aは、略L字型の短辺が側壁213aと略垂直になるように配設される。また、ブラケット332aは、略L字型の短辺のソレノイド332側の当接面332cが転がりベアリング339と若干の隙間を開けて対向するように配設される。より具体的には、ブラケット332aには、長穴状のスリット332a’が形成されている(図3(a)、(b)も参照)。ブラケット332aは、2つのビス332bが当該スリット332a’にワッシャー等を介して挿入されるようにして側壁213aに取り付けられる。2つのビス332bは、従動ローラ212a、212bが付勢されている方向(図4(a)に示すM方向)に並んでおり、これにより、ブラケット332aは、ソレノイド332の駆動に伴って、スリット332a’の大きさの範囲で、M方向にスライドするように構成される。なお、本実施の形態では、ブラケット332aは、側壁213aを挟んで第1の搬送路210等が配設されている空間とは反対側の空間に配設されているが、側壁213aのブラケット332aに対応する部分にスリット213a’が形成されているので、ブラケット332aのスライドを妨害することはない。
図3(a)は、ブラケット332aの先端がソレノイド332から最も離れた位置にスライドした状態を示している。この場合、ブラケット332aの当接面332cは、転がりベアリング339と当接せず、従って上述したように、保留板支持部材333、334a、334b、336a、336bは、バネ338bによって駆動ローラ211a、211bから離れる方向に付勢されており、保留板331a、331bは駆動ローラ211a、211bに向かって付勢されるている。従動ローラ212a、212b、保留板331a、331bが、駆動ローラ211a、211bに向かって付勢されていることで、従動ローラ212a、212bと2つの保留板331a、331bとの間に導入されるカード2は、従動ローラ212a、212bと駆動ローラ211a、211bとによって挟持され搬送される。
図3(b)は、ブラケット332aの先端がソレノイド332から最も近づいた位置にスライドした状態を示している。この場合、ブラケット332aの当接面332cは、転がりベアリング339と当接する。転がりベアリング339は、当接面332cとともにソレノイド332側に引き寄せられる。従って、転がりベアリング339が取り付けられているピン335a、ピン335aに連結されている保留板支持部材333、334a、334b、336a、336b等も、バネ338bによる付勢力をキャンセルさせながら、さらにソレノイド332側に引き寄せられ、保留板331a、331bも駆動ローラ211a、211bから引き離される。従動ローラ212a、212bは、駆動ローラ211a、211bに向かって付勢されているものの、保留板331a、331bとともに駆動ローラ211a、211bから引き離されることで、従動が停止する。さらに、従動ローラ212a、212bと保留板331a、331bとの間に導入されるカード2も、駆動ローラ211a、211bから引き離される。したがって、カード2は駆動を続ける駆動ローラ211a、211bによって搬送されずに、従動ローラ212a、212bと保留板331a、331bとの間に挟持されたまま保留される。
ソレノイド332は、汎用形ソレノイドに永久磁石を内蔵させた自己保持型ソレノイドであり、無通電状態でも永久磁石の磁力による吸着保持力が得られるため、第3の保留部330でのカード2の長時間の連続保留が可能である。ソレノイド332は、配線を介して制御部160に接続されており、制御部160により制御される。ソレノイド332は、典型的には、カード検知器20bによって複数のPET券が挿入されたと検出された際に、制御部160から第3の保留部330でカード2を保留する旨の信号を受信し、非通電時状態から、通電状態に移行する。
なお、本実施の形態に係るカード処理装置1(図1参照)の搬送装置200(図1参照)では、図3、図4で説明した第1の搬送路210以外の第2の搬送路220、第3の搬送路230、第4の搬送路240、第6の搬送路260、第7の搬送路270は、上述した第5の搬送路250とほぼ同様な構成であり、搬送ベルトによってカード2を挟持して搬送するように構成される。
例えば、第2の搬送路220は、図3に示すように、図2で上述した第5の搬送路250と同様に、駆動可能に構成された第2の駆動ガイドとしての下搬送ベルト222を備える。ただし、第2の搬送路210は、下搬送ベルト222に対向して配設される上搬送ベルト221が駆動可能に構成される第3の駆動ガイドであり、カード2は第2の駆動ガイドとしての下搬送ベルト222と当該第3の駆動ガイドとしての上搬送ベルト221との間に挟持されて搬送される点で第5の搬送路250(図2参照)とは異なる。すなわち、第5の搬送路250(図2参照)では、下搬送ベルト252(図2参照)は駆動ガイド、上搬送ベルト251(図2参照)は従動ガイドであるのに対して、第2の搬送路220では、下搬送ベルト222、上搬送ベルト221とも駆動可能に構成される駆動ガイドである。このように構成することで、第2の搬送路210は、ベルトを用いた簡易な構成の搬送路でありながら、下搬送ベルト222と上搬送ベルト221との間でカード2を挟持する力(グリップ力)が安定するので、ある程度精度よくカード2を搬送することができる。従って、後述するエンコード部50によるカード2の処理がしやすくなる。
さらに、下搬送ベルト222、上搬送ベルト221はともに、第1の搬送路210の駆動ローラ211a、211bを駆動する駆動手段としての駆動機281(図1参照)で共通に駆動される。このように構成すると、第2の搬送路220の下搬送ベルト222、上搬送ベルト221はともに、駆動ローラ211a、211bと共通の駆動機281によって駆動されるので、カード処理装置1を小型化することができる。さらに、上述した第3の保留部330で保留されるカード2は、駆動ローラ211a、211bから引き離されて保留されるので、第3の保留部330でカード2を保留しながら、第2の搬送路220の下搬送ベルト222、上搬送ベルト221の駆動を継続することができ、第2の搬送路220でのカード2の搬送を継続することができる。
なお、上搬送ベルト221は、搬送方向に対して水平方向に並べられるプーリ221aに張架され、下搬送ベルト222は、同じく搬送方向に対して水平方向に並べられるプーリ222aに張架される。下搬送ベルト222のプーリ222aは、不図示のベルト等を介して駆動機281(図1参照)から駆動力が伝達されて回転駆動するように構成されており、上搬送ベルト221のプーリ221aも、同様に不図示のベルト等を介して駆動機281(図1参照)から駆動力が伝達されて回転駆動するように構成される。
なおここで、図3、図4で上述した第1の搬送路210を他の搬送路とは異なり、搬送ベルト等を用いない構成したのは、例えばカード処理装置1の小型化のためである。例えば、後述するカードパンチ部60を他の搬送路、典型的には、後述するように第2の搬送路220と、第1の搬送路210との境界に配置することができるので、各構成を効率良く配置でき、小型化が可能になる。また、第1の搬送路210は、駆動ローラ211a、211bと従動ローラ212a、212bとでカード2を挟持して搬送することで、他の搬送路と比較して、搬送の精度を向上させることができる。さらに、第1の搬送部210に沿うように配設され、カード2に処理を施す処理部としての後述する印字部70のように、カード2に直接接触して各種処理を行うような場合にも、第1の搬送路210のような構成であれば、例えば搬送ベルト等に邪魔されずに精度よく印字等ができる。
また、カード2を一時的に保留する保留部を以上で説明した第3の保留部330のように構成すると、第1の保留部310(図2参照)のように、ストッパー311(図2参照)の下流方向に、カード2を保留する際にカード2と当接する壁314(図1参照)のようなものを設ける必要がない。すなわち、当該第3の保留部330は、例えば、搬送路の端部以外の部分にも比較的小型な構成で設けることができ、汎用性にも優れている。例えば、当該第3の保留部330と同様の構成の保留部を搬送路の中央付近に配設することで、カード2を保留しながら、当該搬送路で別のカード2を搬送し続けることが容易にできる。
なお、第4の保留部340、第5の保留部350、第6の保留部360、第7の保留部370、第8の保留部380、第9の保留部390は、上述した第1の保留部310、第2の保留部320、第3の保留部330のいずれかと同様な構成としてもよいし、例えば、各保留部が配設される搬送路を、さらに複数の部分的な搬送路に分割して、分割した搬送路の内の1つの搬送路の駆動源を他の搬送路から独立した駆動源とし、当該搬送路の駆動のみを停止することでカード2を保留するように構成してもよい。ここでは詳細な説明は省略する。
図1に戻って説明を続ける。搬送装置200は、カード2の搬送経路を切り換え可能な第1の振分部41、第2の振分部42、第3の振分部43を備えている。第1の振分部41、第2の振分部42、第3の振分部43は、それぞれカード2を振り分ける振分爪と、制御部160に制御され振分爪を駆動する振分爪駆動手段(例えば、ソレノイド)とを有している。第1の振分部41は、第3の搬送路230と第2の搬送路220との間の交差する部分に配設される。また、第1の振分部41は、第3の搬送路230と第4の搬送路240との間の部分に配設されるということもできる。すなわち、第1の振分部41は、第3の搬送路230、第2の搬送路220、第4の搬送路240の間に配設される。第2の振分部42は、第2の搬送路220と第1の搬送路210との間の交差する部分に配設される。また、第2の振分部42は、第2の搬送路220と第6の搬送路260との間の部分に配設されるということもできる。すなわち、第2の振分部42は、第2の搬送路220、第1の搬送路210、第6の搬送路260の間に配設される。第3の振分部43は、第7の搬送路270が第6の搬送路260から分岐する部分に配設されている。言い換えれば、第3の振分部43は、第6の搬送路260と第7の搬送路270との間の部分に配設されている。また、第1の振分部41、第2の振分部42、第3の振分部43は、カード2の種類、あるいは処理の種類に応じて搬送経路を切り換えるように、制御部160により動作を制御されている。
第1の振分部41は、エドモンソン券、大型券、PET券とICカードを振り分けるように構成、制御される。第1の振分部41は、典型的には、挿入部20に挿入されたカード2がエドモンソン券、大型券、PET券の場合には、制御部160の信号により振分爪が第4の搬送路240への進入を遮断するように第4の搬送路240側に回動し、カード2を第2の搬送路220に搬送可能にする。さらに、第1の振分部41は、カード2がICカードの場合には、制御部160の信号により振分爪が第2の搬送路220への進入を遮断するように第2の搬送路220側に回動してカード2を第4の搬送路240方向に搬送可能にする。なお、エドモンソン券、大型券、PET券を第2の搬送路220から第3の搬送路230に搬送する際、ICカードを第4の搬送路240から第3の搬送路230に搬送する際もほぼ同様である。
第2の振分部42は、エドモンソン券、大型券、PET券が連続して4枚挿入された際の4枚目のPET券とPET券が連続して4枚挿入された際の4枚目のPET券以外のPET券を振り分けるように構成、制御される。第2の振分部42は、典型的には、第2の搬送路220によって搬送されるカード2がエドモンソン券、大型券、PET券が連続して4枚挿入された際の4枚目のPET券の場合には、制御部160の信号により振分爪が第1の搬送路210への進入を遮断するように第1の搬送路210側に回動し、カード2を第6の搬送路260方向に搬送可能にする。さらに、第2の振分部42は、カード2がPET券が連続して4枚挿入された際の4枚目のPET券以外のPET券の場合には、制御部160の信号により振分爪が第6の搬送路260への進入を遮断するように第6の搬送路260側に回動してカード2を第1の搬送路210方向に搬送可能にする。なお、エドモンソン券、大型券、PET券が連続して4枚挿入された際の4枚目のPET券を第6の搬送路260から第2の搬送路220に搬送する際、PET券が連続して4枚挿入された際の4枚目のPET券以外のPET券を第1の搬送路210から第2の搬送路220に搬送する際もほぼ同様である。
第3の振分部43は、エドモンソン券、大型券を回数券パンチ部80で処理するものとしないものとに振り分けるように構成、制御される。第3の振分部43は、典型的には、第6の搬送路260によって廃券回収部90側から第2の搬送路220の方向に搬送されるカード2が回数券パンチ部80で処理するものである場合には、制御部160の信号により振分爪が第6の搬送路260を遮断するように第6の搬送路260側に回動し、カード2を第7の搬送路270方向に搬送可能にする。さらに、第3の振分部43は、カード2が回数券パンチ部80で処理するものでない場合には、制御部160の信号により振分爪が第7の搬送路270への進入を遮断するように第7の搬送路270側に回動してカード2を第6の搬送路260上で搬送可能にする。
なお、第1の振分部41、第2の振分部42、第3の振分部43の各振分爪は、複数の部材によって構成してもよい。この場合、例えば、鉛直方向上側の上振分爪と、鉛直方向下側の下振分爪との鉛直方向への開閉によって搬送経路を切り換えるようにすればよい。
次に、挿入部20は、利用者からのカード2の挿入を受け付けるものであり、例えば前記接客部からのカード2の挿入ガイドとなる挿入口20aと、挿入されたカード2の種類を識別するカード検知器20bを有している。挿入口20aは、4種類のカード2、すなわち、エドモンソン券、大型券、PET券、ICカードを挿入することができる幅に形成されている。エドモンソン券、大型券、PET券、ICカードを挿入することができる幅とは、例えば、PET券又は大型券の横幅(約57.5mm)よりもやや大きい幅である。カード検知器20bは、例えば、複数のフォトセンサ等を用い、挿入されたカード2の枚数の検出も行なえるように構成されている。カード検知器20bは、挿入されたカード2の種類、枚数に関する信号を制御部160に送信するように構成される。さらに、挿入部20は、利用者からのカード2の挿入を受け付けるだけでなく、例えば挿入を受け付けたカード2を送出(返却)できるものである。言い換えれば、カード処理装置1内にあるカード2を挿入口20aから外部(利用者)へ送出できるものである。挿入部20の下流側には整列部30が配設されている。なお、下流側とは、挿入部20に挿入されたカード2を装置内に取り込む方向である。
整列部30は、挿入部20から挿入されたカード2の幅寄せ(片寄せ)を行なうように構成される。整列部30は、上述した第3の搬送路230と、板状に形成され、第3の搬送路230に沿うように、かつ、第3の搬送路230のカード2を挟持する面に対して略垂直となるように配設される基準ガイド面と、偏心して回転し、当該第3の搬送路230を挟んで基準ガイド面とは反対側に配設される偏心回転ローラを備える。整列部30は、挿入されたカード2を基準ガイド面に沿って長手方向が搬送方向と略平行となるように整列する。ここで、整列部30は、カード検知器20bによって識別されたカード2の種類に応じて適宜偏心回転ローラの位置を移動させるソレノイド等も備える。例えば、挿入されたカード2がエドモンソン券である場合、制御部160は偏心回転ローラを退避させず、これにより、例えば、エドモンソン券が搬送方向に対して長辺方向が垂直となるように横向きに挿入された場合でも、偏心回転ローラと接触しながら、基準ガイド面側に押し出されるようにして基準ガイド面に沿って搬送、整列される。
エンコード部50は、上述したように第2の搬送路220の搬送経路上に配設されている。エンコード部50は、第2の搬送路220の搬送により搬送されるカード2に磁気情報処理を行うものである。磁気情報処理とは、カード2、典型的にはエドモンソン券、大型券の磁気情報の読み込み、PET券の磁気情報の読み込み・書き込み等を行う処理である。エンコード部50は、カード2に磁気情報の読み込み・書き込み行なえる磁気ヘッドを有している。磁気情報は、カード2の残金を含む情報を含んでいる。また、エンコード部50は、後述のパンチ情報を読み取ることができるように構成されている。
カードパンチ部60は、上述したように第1の搬送路210の搬送経路上に配設されている。カードパンチ部60は、第1の搬送路210により搬送されるカード2、典型的には、PET券であるプリペードカードに第1の穿孔処理を行なうものである。第1の穿孔処理とは、カードにカード情報としてのパンチ情報を記録する処理、例えばプリペードカードの残金の情報を示す孔をプリペードカードに設ける処理である。なお、この孔により示されるプリペードカードの残金の情報は、カードの利用目安となる所定の位置に行なわれる。カードパンチ部60は、プリペードカードに穿孔するパンチ機構と、搬送されるプリペードカードを検知する検知器を有している。パンチ機構は、プリペードカードに穿孔する穿孔ピンを有している。穿孔ピンは、鋭利な先端を有し、ソレノイドの駆動によりプリペードカードに穿孔できる。
印字部70は、上述したように第1の搬送路210の搬送経路上、カードパンチ部60の下流側に配設されている。印字部70は、第1の搬送路210により搬送されるカード2、典型的には、PET券であるプリペードカードに印字処理を行なうものである。印字処理とは、プリペードカードに利用情報を記録する処理、例えばプリペードカードの残金の情報を示す印字を行なう処理である。印字部70は、プリペードカードへの印字を行なうサーマルヘッドを有している。
回数券パンチ部80は、上述したように第7の搬送路270の搬送経路上、第3の振分部43と後述の第7の保留部370との間に配設されている。回数券パンチ部80は、第7の搬送路270により搬送されるカード2、典型的には、ここではエドモンソン券である回数券に第2の穿孔処理を行なうものである。第2の穿孔処理とは、回数券に再度使用できないように孔を設ける処理である。回数券パンチ部80は、カードパンチ部60とほぼ同様な構成をしているので、ここでは説明を省略する。
廃券回収部90は、上述したように第6の搬送路260の第2の搬送路220とは反対側の端部に配設されている。廃券回収部90は、第6の搬送路260により搬送され、廃券処理されるエドモンソン券、大型券を回収、保管するものであり、エドモンソン券、大型券を収納する収納受皿を有している。廃券処理とは、例えばエンコード部50による磁気情報処理を終えたエドモンソン券である乗車券、大型券、回数券パンチ部80による第2の穿孔処理が施されたエドモンソン券である回数券を廃棄する処理である。
アンテナ部110は、上述したように第4の搬送路240の第3の搬送路230とは反対側の端部に配設されている。アンテナ部110は、挿入されたICカードのメモリに記憶されているカード情報の読み込み、書き込み等のカード情報に関する各種処理を行う。カード情報は、例えば金銭決済情報、残高金額やカードID番号等の情報を含んでいる。残高金額は、ICカードに入金(積み増し)されている金額から利用した金額(精算した金額)を差し引いた金額である。カード情報は、例えばビット列で記録され、電磁波を用いて非接触で読み出し又は書き込みできるものである。アンテナ部110は、ICカードとの間で電磁波を送受信する機能を有し、さらに、カードリーダライタを備える。当該カードリーダライタは、ICカードに書き込まれたカード情報を読み込んだり、書き換えたりするもので、例えば所定周波数帯域の電磁波をカード情報の授受に用いる。なお、本実施の形態のように、アンテナ部110を挿入部20から水平に移動した部分に配設すると、剛性を有するICカードが搬送される際に曲がったりすることがないので破損してしまうことがない。
集積部140は、第3の搬送路230の搬送経路上、整列部30と第1の振分部41との間に配設されている。集積部140は、板金等を略L字型に曲げて形成されたストッパー部130と協動して、各処理を施され、第3の搬送路230により挿入部20に向かって搬送さるPET券、ICカードを集積するものである。集積部140に集積されたPET券、ICカードは、一括して挿入口20aに搬送される。ただし、利用者が取り消しボタンを押して、カード処理装置1による処理をキャンセルした場合は、PET券、ICカードは集積せずに一枚ずつ挿入口20aに搬送される。ストッパー部130は、上述したストッパー311(図2参照)と同様に、略L字型の短辺が第3の搬送路230の搬送経路と略垂直に交わるように配設される。ストッパー部130は、通常では略L字型の短辺の先端が第3の搬送路230の搬送経路よりも下方に退避しており、集積部140にPET券、ICカードを集積する際に、ソレノイドによって駆動されて当該先端が搬送経路の上側に突出し、略L字型の短辺にPET券、ICカードを当接させて一時保留する。
取忘回収部150は、第4の搬送路240の搬送経路上、第1の振分部41とアンテナ部110との間、典型的には、第1の振分部41の直下流に配設されている。取忘回収部150は、挿入部20で取り忘れられたカード2を回収するもので、カード2を収納する収納受皿を有している。
制御部160は、カード検知器20bから送信されるカード2の種類、枚数に関する信号に基づいて、駆動機281(図1参照)やソレノイド332(図3参照)等の駆動を制御する。さらに、制御部160は、カード処理装置1内での各種信号、情報(上述したカード情報、パンチ情報、利用情報、印刷情報、磁気情報等)の入出力を行いカード処理装置1の各部の動作を制御するように構成されており、ここでは、電源装置と一体に構成されている。制御部160は、例えばパソコンやマイコンなどのコンピュータであり、カード処理装置1の内部にあってもよいし、外部にあってもよい。また、制御部160は、上位装置、例えば自動精算機等との信号、情報の入出力を行い、精算等の処理に応じてカード処理装置1の各部の動作を制御する。
次に、図1を参照してカード処理装置1の動作について説明する。まず、カード処理装置1は、挿入部20の挿入口20aより挿入されるカード2を受け付け取り込み、カード検知器20bによりカード2の種類を識別し、整列部30で整列する。識別の結果、挿入されたカード2がエドモンソン券、大型券、PET券の場合は、カード処理装置1は、第1の振分部41を駆動して、第2の搬送路220への搬送を可能な状態として、カード2をエンコード部50へ搬送する。さらに、カード処理装置1は、エンコード部50でカード2の磁気情報を読み取り、カード2は第1の保留部310、第2の保留部320、第3の保留部330、第4の保留部340、第5の保留部350、第6の保留部360、第7の保留部370のいずれかで保留される。識別の結果、挿入されたカード2がICカードの場合は、カード処理装置1は、第1の振分部41を駆動して、第4の搬送路240への搬送を可能な状態として、カード2をアンテナ部110へ搬送する。カード処理装置1は、アンテナ部110でICカードのカード情報を読み取り、ICカードはそのまま第8の保留部380で保留される。その後2枚目のICカードが挿入されると、1枚目のICカードは第9の保留部390に搬送され、そこで保留される。2枚目のICカードは、第8の保留部380で保留される。
ここからは、より具体的な動作例として、1枚目にPET券である定期券、2枚目にPET券であるプリペードカード、3枚目にさらに別のプリペードカード、4枚目にエドモンソン券である回数券が挿入される場合のカード処理装置1の動作について説明する。
まず、1枚目のカード2として定期券が挿入されると、定期券は上述したようにエンコード部50で磁気情報を読み取られ、第1の保留部310に搬送される。その後、カード処理装置1は、制御部160の制御により、不図示のストッパー駆動手段を駆動してストッパー311(図2参照)を動かし、第1の保留部310で定期券を保留する。次に、2枚目のカード2として精算用の第1のプリペードカードが挿入されると、第1のプリペードカードは、上述したようにエンコード部50で磁気情報を読み取られ、第2の保留部320に搬送される。このとき、第1の保留部310は既に定期券を保留している状態にあり、ストッパー311(図2参照)の略L字型の短辺の先端が搬送経路の上側に突出している。第2の保留部320に搬送されてくる第1のプリペードカードは、ストッパー311の略L字型の短辺の先端に当接し、これ以上奥には搬送されず、第2の保留部320に保留される。カード処理装置1は、第2の保留部320に第1のプリペードカードを保留すると、制御部160の制御により第5の搬送路250の駆動を停止する。
さらに、3枚目のカード2として精算用の第2のプリペードカードが挿入されると、第2のプリペードカードは、上述したようにエンコード部50で磁気情報を読み取られ、第3の保留部330に搬送される。その後、制御部160の制御により、ソレノイド332(図3参照)を駆動して、従動ローラ212a、212b(図3参照)、保留板331a、331b(図3参照)を駆動ローラ211a、211b(図3参照)から引き離し、従動ローラ212a、212bと保留板331a、331bの間に第2のプリペードカードを挟持して、そのまま第3の保留部330に保留する。
さらに、4枚目のカード2として精算用の回数券が挿入されると、回数券は上述したようにエンコード部50で磁気情報を読み取られる。さらに、カード処理装置1は、第2の振分部42を駆動して、第6の搬送路260への搬送を可能な状態として、回数券を第4の保留部340に搬送し、当該第4の保留部340で保留する。このとき、回数券を第6の搬送路260へ搬送するために第2の搬送路220は駆動を続けており、従って共通の駆動機281によって駆動される第1の搬送路210も駆動し続けている。しかしながら、第3の保留部330では、第2のプリペードカードは駆動ローラ211a、211b(図3参照)から引き離されて保留されているため、そのまま第3の保留部330で保留し続けられる。
カード2の取り込みが終わり、種々の処理が終了すると、第4の保留部340に保留されている回数券は、回数券パンチ部80に搬送されて第2の穿孔処理が行われる。その後、回数券は、廃券回収部90に搬送され回収、保管される。第3の保留部330に保留されている第2のプリペードカードは、印字部70で印字処理が行われ、カードパンチ部60で第1の穿孔処理が行なわれ、エンコード部50で磁気情報を書き込まれ(このとき第2のプリペードカードの残額は0円である)、集積部140へ搬送される。このとき、カード処理装置1は、制御部160の制御により、ソレノイド332(図3参照)を駆動して、従動ローラ212a、212b(図3参照)、保留板331a、331b(図3参照)を駆動ローラ211a、211b(図3参照)の方向に移動させて、第1の搬送路210でのカード2の搬送が可能である状態に戻している。
次に、カード処理装置1は、制御部160の制御により第5の搬送路250の駆動を開始する。第2の保留部320に保留されている第1のプリペードカードは、印字部70で印字処理が行われ、カードパンチ部60で第1の穿孔処理が行なわれ、エンコード部50で磁気情報を書き込まれ(このとき第1のプリペードカードの残額は0円である)、集積部140へ搬送される。この際、第1の保留部310に保留されている定期券は、ストッパー311(図2参照)の略L字型の短辺の先端に当接し、搬送されない。
次に、カード処理装置1は、制御部160の制御によりストッパー311(図2参照)を動かし、第1の保留部310に保留されている定期券を、そのまま集積部140へ搬送する。集積部140に第2のプリペードカード、第1のプリペードカード、定期券の順で集積されたカード2は、一括して挿入部20の挿入口20aに搬送され、排出される。その後、本カード処理装置1が、例えば自動精算機に内蔵されているのであれば、自動精算機に組み込まれている券発券装置等から精算済みであることを示す券が発券される。
以上で説明した本発明の実施の形態に係るカード処理装置1によれば、第1の搬送路210は、駆動ローラ211a、211bと従動ローラ212a、212bとの間にカード状の媒体を挟持して搬送し、第3の保留部330は、カード2を保留する際に当該カード2を駆動ローラ211a、211bから引き離す。さらに、カード2が駆動ローラ211a、211bから引き離される際に、従動ローラ212a、212bの従動は停止し、第3の保留部330はカード2を従動ローラ212a、212bと保留板331a、331bとの間に保留する。従って、カード処理装置1は、駆動ローラ211a、211bの駆動状況にかかわらず、すなわち、駆動ローラ211a、211bの駆動を停止せずに、カード2を容易に一時的に保留することができる。
以上で説明した本発明の実施の形態に係るカード処理装置1によれば、第2の搬送路220は、下搬送ガイド222と上搬送ガイド221との間にカード2を挟持して搬送する。さらに、駆動ローラ211a、211bと下搬送ガイド222、上搬送ガイド221は、共通の駆動機281によって駆動されるのでカード処理装置1を小型化することができる。さらに、第3の保留部330で保留されるカード2は、当該カード2を駆動ローラ211a、211bから引き離されて保留するので、カード処理装置1は、第3の保留部330でカード2を保留しながら、第3の保留部330が配設される第1の搬送路210と共通の駆動源によって駆動される第2の搬送路220でのカード2の搬送を続けることができる。
なお、本発明の実施の形態であるカード処理装置1は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、第1の搬送部としての第1の搬送路210の第1の駆動ガイドは、略円筒状に形成された回転ローラである駆動ローラ211a、211bとして説明したが、搬送ベルトによって構成してもよい。同様に第1の搬送路210の第1の従動ガイドは、略円筒状に形成された回転ローラである従動ローラ212a、212bとして説明したが、搬送ベルトによって構成してもよい。さらに、第1の搬送路210の第1の駆動ガイドは、第2の搬送部としての第2の搬送路220の第2の駆動ガイドと共通の下搬送ベルト222としてもよい。
以上の説明では、従動ローラ212a、212bは、カード2が駆動ローラ211a、211bから引き離された後に従動が停止するものとして説明したが、カード2が駆動ローラ211a、211bから引き離される際であれば、カード2が駆動ローラ211a、211bから引き離される少し前に停止してもよい。すなわち、駆動ローラ211a、211bの駆動を瞬間的に停止し、従動ローラ212a、212bの従動を一旦停止した後に、カード2を駆動ローラ211a、211bから引き離し、その後駆動ローラ211a、211bの駆動を再開してもよい。この場合、カード2の保留位置がずれずに、確実にカード2を保留することができる。
さらに、以上の説明では、第2の搬送部として第2の搬送路220は、第2の駆動ガイドとしての下搬送ベルト222と対向して配設され、駆動可能に構成される第3の駆動ガイドとしての上搬送ベルト221を有し、媒体としてのカード2を下搬送ベルト222と当該上搬送ベルト221との間に挟持して搬送するように構成するものとして説明したが、上搬送ベルト221は下搬送ベルト222の駆動に伴って従動する従動ガイドとしてもよい。すなわち、カード処理装置1は、第1の駆動ガイドとしての駆動ローラ211a、211bを駆動する駆動手段としての駆動機281と、駆動可能に構成される第2の駆動ガイドとしての下搬送ベルト222と、当該下搬送ベルト222と対向して配設され、下搬送ベルト222の駆動に伴って従動する第2の従動ガイドとしての上搬送ベルト221とを有し、カード2を下搬送ベルト222と上搬送ベルト221との間に挟持して搬送する第2の搬送部としての第2の搬送路220とを備え、駆動機281は、下搬送ベルト222を駆動するように構成してもよい。この場合、カード処理装置1をより単純な構成とすることができ、生産効率のよいカード処理装置1とすることができる。