JP2006099469A - 発電設備運転制御システムおよびその運転制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発電設備制御システムおよびその方法を提供する。
【解決手段】発電設備運転制御システム1は、発電設備・機器2の観測点に設けたセンサーからの状態量を入手し、当該観測部位の異常を検知する異常検知手段3と、この異常検知手段によって検知された異常内容に基づいて運転パターンを予め設定しておき、実際に入力された異常信号から発電設備・機器2の運転モードを選択し、出力する運転モード選択手段4と、運転モード選択手段4が選択した運転モードへの移行を自動で行うか手動で行うかを切り替える自動/手動切替手段5と、この運転モード選択手段で選択された運転パターンに基づいて発電設備・機器2の運転状態を制御する運転制御手段6とを具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】発電設備運転制御システム1は、発電設備・機器2の観測点に設けたセンサーからの状態量を入手し、当該観測部位の異常を検知する異常検知手段3と、この異常検知手段によって検知された異常内容に基づいて運転パターンを予め設定しておき、実際に入力された異常信号から発電設備・機器2の運転モードを選択し、出力する運転モード選択手段4と、運転モード選択手段4が選択した運転モードへの移行を自動で行うか手動で行うかを切り替える自動/手動切替手段5と、この運転モード選択手段で選択された運転パターンに基づいて発電設備・機器2の運転状態を制御する運転制御手段6とを具備する。
【選択図】 図1
Description
本発明は発電設備運転制御システムに係わり、特に一定時間無人運転を行うことを可能とする発電設備運転制御システムおよびその運転制御方法に関する。
火力発電設備等の発電設備では、発電所内に発電設備の運転状態を監視する運転員がいない場合であっても、安全に発電設備を運転させるべく、発電設備の運転に関係する状態量を検出し、検出した状態量が予め設定された閾(しきい)値を超えているか否かにより発電設備の運転制御を行う発電設備運転制御システムを設けている。
このような従来の発電設備運転制御システムでは、発電設備の運転に関係する状態量が閾値以下(または未満)となるように発電設備機器の制御を行うことで、安全に発電設備を運転させるように図っている。
上述した技術の詳細は、例えば、特許文献1に記載される。
特開平10−228301号公報
上記特許文献1に記載のように火力発電設備の場合は、故障要因が多く存在し、警報要因の数も多いものでは1000以上となるため、無人運転時に異常が発生することも少ない。
しかしながら、警報要因には、発電設備の運転上支障がない程度の軽微なものから即座に停止しないと発電設備に支障をきたす重度のものまで幅広くある。
したがって、発電設備の運転を制御する場合、状況に応じた適切な対応を採ることが必要となるが、従来の発電設備運転制御システムでは、1つの警報要因に対して1つの対応を採るため、場合によっては、状況に応じた適切な対応を採ることができない場合が生じ得る。例えば、検知される異常の内容が同じであっても、運転員がいる場合といない場合等状況が異なれば、採るべき対応は必ずしも一致せず、一方の場合では適切な対応であっても、他方の場合では必ずしも適切な対応とならない場合も起こり得る。
そこで、上述した事情を考慮して、本発明は、運転員を必要とすることなく、異常発生時に発電設備の安全性の向上および稼働率をできるだけ高く維持する観点から見て、より適切な運転を行い得る発電設備制御システムおよびその運転制御方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、異常の発生した時間帯や運転員の人数等の状況の変化を考慮した柔軟な対応を採り得る発電設備制御システムおよびその運転制御方法を提供することにある。
本発明に係る発電設備運転制御システムは、上述した課題を解決するため、請求項1に記載したように、発電設備・機器の観測点に設けたセンサーからの状態量を入手し、当該観測部位の異常を検知する異常検知手段と、この異常検知手段によって検知された異常内容に基づいて運転パターンを予め設定しておき、実際に入力された異常信号から前記発電設備・機器の運転モードを選択し、出力する運転モード選択手段と、この運転モード選択手段で選択された運転パターンに基づいて前記発電設備・機器の運転状態を制御する運転制御手段とを具備することを特徴とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る発電設備運転制御システムは、請求項5に記載したように、前記運転モード選択手段は、予め設定される複数の運転モードの中から1つの運転モードを選択した旨を信号出力する運転モード選択部を備え、この運転モード選択部は、通常時の運転状態を維持する運転モードを選択する通常運転維持モード選択部と、現在の運転状態を保持する運転モードを選択する状態保持モード選択部と、前記発電設備・機器の負荷を現状から予め設定された負荷に降下する運転モードを選択する負荷降下モード選択部と、前記発電設備・機器の通常停止動作を行う運転モードを選択する通常停止モード選択部と、前記発電設備・機器の緊急停止動作を行う運転モードを選択する緊急停止モード選択部とを備えることを特徴とする。
本発明に係る発電設備運転制御システムは、上述した課題を解決するため、請求項8に記載したように、前記運転モード選択手段は、運転モードを選択する複数の判定ロジックを有し、運転モード判定時に、これら複数の判定ロジックのうち状況の変化に応じて適する1つの判定ロジックを選択する運転モード判定部を備えることを特徴とする。
本発明に係る発電設備の運転制御方法は、上述した課題を解決するため、請求項9に記載したように、発電設備・機器の異常を検知する異常検知ステップと、この異常検知ステップで検知された異常内容に基づき前記発電設備・機器の運転モードを選択する運転モード選択ステップと、この運転モード選択ステップで選択された運転モードに移行するべく前記発電設備・機器の運転制御を行う運転制御ステップとを備えることを特徴とする。
本発明に係る発電設備運転制御システムおよびその運転制御方法によれば、運転員を必要とすることなく、異常発生時に発電設備の安全性の向上および稼働率をできるだけ高く維持する観点から見て、より適切な運転モードを自動的に選択して移行することができる。従って、運転員の削減、換言すれば、運転員の人件費の節約に寄与することができ、発電設備の経済性を向上することができる。
また、複数の判定基準で選択すべき運転モードの判定を行うことができるので、異常の発生した時間帯や運転員の人数等の状況の変化に応じて運転モードの判定を行うことができ、無人運転時においても、より望ましいと考えられる対応を採ることができる。
以下、本発明に係る発電設備運転制御システムおよびその運転制御方法を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1に本発明の第1の実施形態に係る発電設備運転制御システムの一実施例である発電設備運転制御システム1の構成を概略的に表した概略構成図を示す。
図1に本発明の第1の実施形態に係る発電設備運転制御システムの一実施例である発電設備運転制御システム1の構成を概略的に表した概略構成図を示す。
図1によれば、発電設備運転制御システム1は、発電設備・機器2の異常を検知する異常検知手段3と、発電設備・機器2の運転モードを選択する運転モード選択手段4と、運転モード選択手段4が選択した運転モードへの移行を自動で行うか手動で行うかを切り替える自動/手動切替手段5と、発電設備・機器2の運転状態を制御する運転制御手段6とを具備する。
また、発電設備運転制御システム1は、異常検知手段3、運転モード選択手段4、自動/手動切替手段5および運転制御手段6から出力される各情報を管理するべくコンピュータとしての管理用計算機7をさらに具備し、管理用計算機7は、異常検知手段3、運転モード選択手段4、自動/手動切替手段5および運転制御手段6の各々とインターフェースを介して送受信可能に接続されている。
発電設備運転制御システム1の異常検知手段3は、発電設備・機器2の各所に設置したセンサーから状態量(例えば、温度,圧力…等)を取得し、取得した状態量が通常運転時の範囲を逸脱した状態にある場合、異常と判断して異常を検知する。そして、異常を検知した旨の情報(以下、異常検知情報とする)は、異常検知信号として運転モード選択手段4へ出力される。
運転モード選択手段4は、異常検知手段3から受信した異常検知信号に基づき運転モードを選択する。選択された運転モードの情報(以下、選択運転モード情報とする)は、運転モード選択信号として自動/手動切替手段5へ出力されると共に、外部の装置、例えば、中央給電指令所9へ出力される。
自動/手動切替手段5は、運転モード判定手段4の判定結果を受けて、運転モードの移行を手動で行うか自動で行うかを切り替える。自動/手動切替手段5において、運転モード選択手段4が選択した運転モードへの移行が自動的になされる場合(自動移行の場合)、運転モード選択手段4から入力された運転モード選択信号を運転制御手段6へ出力する。
尚、図1に示す発電設備運転制御システム1は、自動/手動切替手段5において自動移行が選択されている場合を表している。一方、自動/手動切替手段5において手動移行が選択されているには、ユーザが発電設備・機器2の運転操作を行い、直接的に選択運転モード情報を運転制御手段6に入力する。
運転制御手段6は、中央給電指令所9から出力される負荷の指令値を受け取るように構成され、受け取った負荷値となるように制御対象となる発電設備・機器2の機器を制御する。また、運転制御手段6は、運転モード選択手段4から出力された選択運転モード情報に基づき、運転制御信号を制御対象となる発電設備・機器2の機器へ制御信号を送信する。
管理用計算機7は、異常検知手段3、運転モード選択手段4、自動/手動切替手段5および運転制御手段6から出力される各情報を受け取り、記録して保存したり、表示手段(図は省略)に表示させたりすることができる。すなわち、異常検知信号、運転モード選択信号、運転モード移行の切替方式の選択状態および運転制御信号を記録して保存したり、事後的に読み出して表示手段に表示させることができる。
図2は、発電設備運転制御システム1の詳細構成図である。尚、図2に示す発電設備運転制御システム1においては、図を簡略化する観点から管理用計算機7を省略している。
図2によれば、発電設備運転制御システム1の異常検知手段3は、発電設備・機器2を構成する設備・機器の状態量を検知すべく各所の観測点に少なくとも1つ以上の異常検知装置11を備えている。異常検知装置11が取得する発電設備・機器2の運転に関する様々な状態量には、異常が検知されてもほとんど問題がない状態量から異常が検知されると即座に運転を停止しないと発電設備・機器2にとって致命的となる状態量まで幅広くある。また、例えば、発電設備・機器2が火力発電の設備の場合、異常を検知する状態量が1000点以上と膨大な点数となることもある。
このため、発電設備運転制御システム1では、無人化運転に適切に対応できるように例えば、後述する複数(5つ)の運転状態(運転モード)を設定し、異常検知装置11から出力される異常検知信号に対して設定した運転モードの1つを選択するように運転モード選択手段4を構成する。
異常検知装置11としては様々の装置が考えられるが、例えば、発電設備運転制御システム1では、既存の発電設備・機器2で一般的に使用されている警報システム(以下、単に既存警報システムとする)に採用される異常検知装置11を利用する。
尚、発電設備運転制御システム1では、既存警報システムを異常検知手段3としてそのまま採用している。既存警報システムを異常検知手段3としてそのまま採用するのは、既存警報システムが、既存の発電設備・機器2で一般的に使用される異常検知装置11を少なくとも1つ以上有する構成であり、これらの異常検知装置11は、技術的に確立され実績も豊富であること、また、既存警報システムとしても、信頼性が高く、新規な投資が不要となる利点があることによる。
運転モード選択手段4は、例えば、通常運転維持、状態保持、負荷降下、通常停止および緊急停止の5つの運転モードが設定されている。運転モード選択手段4は、異常検知装置11から取得した1つ以上の異常検知信号によってどの設備・機器のどのような異常であるかを判定し、上記5つの運転モードのうち適当な1つの運転モードを選択するように構成される。
尚、運転モードの数を5つとしたのは、例えば、2つ(通常運転維持、通常停止)のように少ないと、負荷の低下で対応できるような状態の場合であっても、通常停止とせざるを得ないため、発電設備・機器2の稼働率が低下する問題を招来するからである。また、例えば、50個のように多過ぎると、異常検知装置11との対応付けや運転モードの判定プログラム(後述する他の実施形態の場合)が複雑化するため、修理作業や維持作業が困難となるからである。
従って、発電設備・機器2の稼働率を低下させないために、運転モード選択手段4では、運転モードの数を少なくとも3個以上とし、また、異常検知装置11との対応付け等を単純化する観点から複雑とならない範囲内で運転モードの個数を定める。設定する運転モード数の上限は、状況で異なるが、目安としては、15個以下が好ましく、より好ましくは10個以下、さらに好ましくは7個以下である。
また、運転モード選択手段4は、より詳細に説明すれば、上記5つの運転モードを選択した旨を信号出力する運転モード選択部として、通常運転維持モード選択部13、状態保持モード選択部14、負荷降下モード選択部15、通常停止モード選択部16および緊急停止モード選択部17を備える。
通常運転維持モード選択部13は、予め設定された運転モードのうち通常運転維持の運転モード(以下、通常運転維持モードとする)を選択し、運転モードが通常運転維持モードである旨の選択運転モード情報として運転モード選択信号を出力する。ここで、通常運転維持モードとは、通常時の運転状態を維持する運転モードであり、中央給電指令所9からの指令通りの負荷値となるように発電設備・機器2を運転する運転モードである。
状態保持モード選択部14は、予め設定された運転モードのうち状態保持の運転モード(以下、状態保持モードとする)を選択し、運転モードが状態保持モードである旨の選択運転モード情報として運転モード選択信号を出力する。ここで、状態保持モードとは、現在の運転状態を保持する運転モードであり、中央給電指令所9から負荷増加の指令があっても現在の負荷を維持する。
負荷降下モード選択部15は、予め設定された運転モードのうち負荷降下の運転モード(以下、負荷降下モードとする)を選択し、運転モードが負荷降下モードである旨の選択運転モード情報として運転モード選択信号を出力する。ここで、負荷降下モードとは、発電設備・機器2の負荷を現状から予め設定された負荷(例えば、定格負荷の50%)に降下する運転モードである。
通常停止モード選択部16は、予め設定された運転モードのうち発電設備・機器2が通常である場合において通常行う停止動作(以下、通常停止動作とする)を行う運転モード(以下、通常停止モードとする)を選択し、運転モードが通常停止モードである旨の選択運転モード情報として運転モード選択信号を出力する。ここで、通常停止モードとは、発電設備・機器2が通常の場合に行う停止動作を実行する運転モードである。
緊急停止モード選択部17は、予め設定された運転モードのうち発電設備・機器2が運転を継続すると危機的な状況となるような異常が検出された場合における停止動作(以下、緊急停止動作とする)を行う緊急停止の運転モード(以下、緊急停止モードとする)を選択し、運転モードが緊急停止モードである旨の選択運転モード情報として運転モード選択信号を出力する。ここで、緊急停止モードとは、発電設備・機器2が緊急時に行う停止動作を実行する運転モードである。
運転モード選択手段4が異常検知装置11から取得した異常検知信号(異常検知情報)に対して運転モードを選択するためには、各異常検知装置11と設定した運転モードとを予め対応付ける必要がある。
そこで、運転モード選択手段4は、各異常検知装置11と設定した運転モードとを予め対応付けるべく、各異常検知装置11から出力される異常検知信号が対応する運転モードを選択する運転モード選択部(通常運転維持モード選択部13、状態保持モード選択部14、負荷降下モード選択部15、通常停止モード選択部16および緊急停止モード選択部17のいずれか)に入力されるように構成される。
また、運転モード選択手段4は、運転モード選択部が選択した運転モードを、例えば、中央給電指令所9等の予め設定された外部の通知先に通知する選択運転モード通知部18をさらに備える。
選択運転モード通知部18には、通常運転維持モード選択部13、状態保持モード選択部14、負荷降下モード選択部15、通常停止モード選択部16および緊急停止モード選択部17から出力される運転モード選択信号が入力される。選択運転モード通知部18は、入力された運転モード選択信号を、例えば、中央給電指令所9等の予め設定された外部に通知する。
自動/手動切替手段5は、切替スイッチ20を備え、切替スイッチ20のONとOFFとを切り替えることで、運転モード選択手段4から出力される運転モード選択信号を運転制御手段6に伝送する経路を確保する(切替スイッチ20がONの場合)、または遮断することができる(切替スイッチ20がOFFの場合)。OFFの場合は、運転員の判断により運転制御手段を操作する。
運転制御手段6は、発電設備・機器2の負荷を制御する負荷制御装置23と、発電設備・機器2の起動および通常時における停止動作を行う起動/停止装置24と、発電設備・機器2の緊急時における停止動作を行う緊急停止装置25とを備える。
負荷制御装置23は、通常時は、中央給電指令所9からの負荷指令に応じた負荷となるように発電設備・機器2の負荷制御を行う。
また、負荷制御装置23は、運転モード選択手段4の状態保持モード選択部13および負荷降下モード選択部14から出力された運転モード選択信号を自動/手動切替手段5を経由して入力する自動運転の場合、または、手動運転の場合、状態保持モードまたは負荷降下モードとする運転制御信号を発電設備・機器2へ出力する。
起動/停止装置24は、運転モード選択手段4の通常停止モード選択部15から出力された運転モード選択信号を自動/手動切替手段5を経由して入力する自動運転の場合、または、通常停止モードを選択する手動運転の場合、通常停止モードとする運転制御信号を発電設備・機器2へ出力する。
緊急停止装置25は、運転モード選択手段4の緊急停止モード選択部15から出力された運転モード選択信号を自動/手動切替手段5を経由して入力する自動運転の場合、または、緊急停止モードを選択する手動運転の場合、緊急停止モードとする運転制御信号を発電設備・機器2へ出力する。
このように構成される発電設備運転制御システム1では、発電設備・機器2に異常が発生した場合に、自動/手動切替手段5をONとすれば、運転制御手段6が運転モード選択信号を受信して、受信した運転モード選択信号に基づき運転モード選択手段4が選択した運転モードを自動的に選択することができる。すなわち、運転員(ユーザ)が介在することなく運転モードを選択することができ、例えば、発電設備・機器2の運転の継続や安全な停止等の適切な運転制御を行うことができるので、発電設備・機器2の運転無人化を図ることができる。
また、異常検知手段3として既存の発電設備・機器2で広く使用されている異常検知装置11を備える警報システムを採用することで、新規な異常検知装置11を購入する費用が不要となるだけではなく、信頼性をより高めることができる。
さらに、選択し得る運転モードを、少な過ぎず、多過ぎずある程度の個数(例えば、5つ)用意することで、発電設備・機器2の稼働率の低下を必要最小限度に食い止めることができ、運用性を確保することができる。
一方、発電設備運転制御システム1は、運転モード選択手段4が選択した運転モードが通常運転継続モード以外の場合、運転制御手段6が運転モード選択信号を受信して、受信した運転モード選択信号に基づき運転モードを選択する際に、併せて、選択した運転モードがどの運転モードであるかを中央給電指令所9に通知するので、中央給電指令所9では、例えば、図に示していない他の発電設備に起動指令を発する等の安定した電力を供給するための対応策を迅速に策することができ、安定した電力供給に寄与することができる。
また、発電設備運転制御システム1では、自動/手動切替手段5を具備しているので、発電設備・機器2の無人運転と有人運転との切り替えが可能となる。従って、一部時間帯で発電設備・機器2を無人運転することができ、発電設備・機器2の運転に要する人員の削減、すなわち、人件費の削減に貢献することができる。
さらに、運転モード選択信号を管理用計算機7が受信し、運転モード選択手段4の選択した運転モードを表示手段に表示するので、運転員が発電設備・機器2の運転制御を行う際に、運転モード選択手段4が選択した運転モードを確認しつつ運転操作を行うことができ、運転モードの選択ミスの減少、すなわち、より安全な発電設備・機器2の運用に寄与することができる。
他方、発電設備運転制御システム1では、管理用計算機7を具備し、管理用計算機7が異常検知手段3、運転モード選択手段4、自動/手動切替手段5および運転制御手段6から出力される各情報(異常検知信号、運転モード選択信号、運転モード移行の切替方式の選択状態および運転制御信号)を受け取り、記録して保存することができる。従って、事後的に記録したデータを読み出して表示手段に表示させることができ、運転員が異常発生原因の究明のために行う検証作業に貢献することができる。
尚、発電設備運転制御システム1では、自動/手動切替手段5を具備しているが、必ずしも、自動/手動切替手段5を具備していなくても良く、発電設備運転制御システム1が自動/手動切替手段5を具備していなくても、発電設備・機器2の運転無人化を図ることはできる。
また、発電設備運転制御システム1では、運転モード選択手段4(選択運転モード通知部18)が運転モードを移行する場合、選択した運転モードが中央給電指令所9でもわかるように運転モードを移行する旨の情報を中央給電指令所9に提供しているが、情報提供先は必ずしも移行予定の運転モードの情報提供先は中央給電指令所9に限定する必要なはく、例えば、異常が火災の場合は発電設備・機器2の管轄消防署等にも併せて提供するようにしてもよい。
運転モード選択手段4が運転モードを移行する旨の情報を中央給電指令所9以外にも通知(情報提供)することによる利点は、発電設備・機器2に発生する異常が単に発電設備・機器2を停止するだけではなく、例えば、火災の場合には消防署に連絡するなど他の機関への通報が必要となる異常が検知された場合であっても、無人運転時にも必要な連絡を自動的に行うことができるので、有人運転時の場合と同様に発電設備・機器2の運用における信頼性を確保することができることである。
尚、発電設備運転制御システム1において、運転モード選択手段4が移行予定の運転モードの情報を中央給電指令所9等の外部に提供しない場合、運転モード選択手段4は、移行予定の運転モードの情報を外部に提供する選択運転モード通知部18を備えていなくても差し支えない。
さらに、異常検知手段3、運転モード選択手段4、自動/手動切替手段5および運転制御手段6から出力される各情報(異常検知信号、運転モード選択信号、運転モード移行の切替方式の選択状態および運転制御信号)を記録して保存する必要がないのであれば、発電設備運転制御システム1は、管理用計算機7を必ずしも具備していなくても良い。
次に、本発明に係る発電設備・機器2の運転制御方法(以下、発電設備運転制御方法とする)について説明する。
発電設備運転制御方法は、発電設備運転制御システム1が発電設備運転制御を行うことでなされる。ここでは、発電設備運転制御システム1の自動/手動切替手段5がON、すなわち、運転モード選択手段4から出力される運転モード選択信号が運転制御手段6に入力される場合を想定して説明する。
発電設備運転制御は、発電設備・機器2の異常を検知する異常検知ステップと、異常検知ステップで検知された異常内容に基づき発電設備・機器2の運転モードを選択する運転モード選択ステップと、運転モード選択ステップで選択された運転モードに移行するべく発電設備・機器2の運転制御を行う運転制御ステップとを備える。
発電設備運転制御システム1において、発電設備運転制御がなされると、まず、異常検知ステップがなされる。異常検知ステップでは、異常検知手段3が発電設備・機器2の異常を検知する。そして、異常検知手段3の異常検知装置11が異常を検知すると、異常を検知した異常検知装置11から異常検知信号が出力される。異常を検知した異常検知装置11から異常検知信号が出力されると、異常検知ステップは完了する。
異常検知ステップが完了し、運転モード選択手段4が異常検知信号を受信すると、続いて、運転モード選択ステップがなされる。運転モード選択ステップでは、異常検知信号を受信した運転モード選択手段4の運転モード選択部(通常運転維持モード選択部13、状態保持モード選択部14、負荷降下モード選択部15、通常停止モード選択部16および緊急停止モード選択部17)のいずれかが運転モード選択信号を出力する。運転モード選択手段4から運転モード選択信号が出力されると、運転モード選択ステップは完了する。
運転モード選択ステップが完了し、運転制御手段6が運転モード選択手段4から出力運転モード選択信号を受信すると、続いて、運転制御ステップがなされる。運転制御ステップでは、出力運転モード選択信号を受信した運転制御手段6が、運転モード選択手段4が選択した運転モードとなるように運転制御信号を出力して発電設備・機器2の負荷を制御する。運転制御手段6が発電設備・機器2の負荷を制御する運転制御信号を出力すると、運転制御ステップは完了し、運転制御ステップの完了をもって、運転制御の全ステップを完了する。
このような運転制御を経てなされる発電設備運転制御方法によれば、発電設備・機器2に異常が発生した場合に、異常検知ステップ、運転モード選択ステップおよび運転制御ステップを順次に行うことで、発生した異常に応じて発電設備・機器2の適切なモードの運転制御を行うことができる。
また、異常検知ステップ、運転モード選択ステップおよび運転制御ステップは、発電設備運転制御システム1が、運転員(ユーザ)が介在することなく順次に行うことができるので、発電設備・機器2の運転無人化を図ることができる。
尚、運転モード選択ステップにおいて、運転モード選択手段4は、運転モード選択信号を出力するだけでなく、中央給電指令所9等の発電設備・機器2の外部に運転モード選択信号等の運転モード選択情報を併せて提供しても構わない。
また、異常検知ステップにおいて異常検知信号の記録を、運転モード選択ステップにおいて運転モード選択信号の記録を、運転制御ステップで運転制御信号の記録を併せて行うようにしても構わない。さらに、運転モード移行の切替方式の選択状態を自動/手動切替手段5から取得する自動/手動切替状態記録ステップが付加されていても構わない。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る発電設備運転制御システムの一実施例である発電設備運転制御システム1Aは、図1に示す発電設備運転制御システム1に対して、運転モード選択手段4を具備する代わりに、運転モード判定選択手段30を具備する点で相違するが、その他の点は実質的に同一である。すなわち、図1において、発電設備運転制御システム1を発電設備運転制御システム1Aに、運転モード選択手段4を運転モード判定選択手段30に読み替えれば、読み替えた図1が発電設備運転制御システム1Aの構成を概略的に表す概略構成図となる。
本発明の第2の実施形態に係る発電設備運転制御システムの一実施例である発電設備運転制御システム1Aは、図1に示す発電設備運転制御システム1に対して、運転モード選択手段4を具備する代わりに、運転モード判定選択手段30を具備する点で相違するが、その他の点は実質的に同一である。すなわち、図1において、発電設備運転制御システム1を発電設備運転制御システム1Aに、運転モード選択手段4を運転モード判定選択手段30に読み替えれば、読み替えた図1が発電設備運転制御システム1Aの構成を概略的に表す概略構成図となる。
図3に発電設備運転制御システム1Aが具備する運転モード判定選択手段30の構成を表した構成図を示す。
図2および図3によれば、運転モード判定選択手段30は、運転モード選択部を備える運転モード選択手段4に対して、入力される異常検知信号からいずれの運転モードを選択するかを判定する運転モード判定部32をさらに備える点で相違するが、その他の点は実質的に異ならないことから、同一の符号を付して説明を省略する。
図3によれば、発電設備運転制御システム1Aは、異常検知手段3、運転モード判定選択手段30、自動/手動切替手段5、運転制御手段6および管理用計算機7を具備し、発電設備運転制御を行い得るように構成される。発電設備運転制御システム1Aの運転モード判定選択手段30は、通常運転維持モード選択部13、状態保持モード選択部14、負荷降下モード選択部15、通常停止モード選択部16、緊急停止モード選択部17および選択運転モード通知部18に加え、運転モード判定部32をさらに備える。
運転モード判定選択手段30の運転モード判定部32は、異常検知装置11と選択する運転モード(運転モード選択部)との対応関係を表したテーブルデータを有し、異常検知信号を受信すると、テーブルデータを参照して異常検知信号に対応する運転モードを判定することができるように構成される。
運転モード判定部32が参照するテーブルデータの内容を表すテーブルデータ表は、後述する図7のテーブルデータ表40において、設定状態欄41が1つになったものである。図7によれば、設定状態欄41が1つであれば、異常検知装置11に対して、選択する運転モードは一義的に決まるので、運転モード判定部32は、異常を検知した異常検知装置11がわかれば、選択する運転モードを一義的に判定することができる。
また、運転モード判定部32は、運転モードの判定を行うと、判定した運転モードが選択されるように、判定した運転モードが選択されたことを意味する運転モード選択信号を出力する運転モード選択部に運転モードの判定結果を異常検知信号と同様の信号として運転モード選択部に与えることができるように構成される。
従って、運転モード判定部32は、異常検知信号を受信すると、対応付けられた1の運転モードを判定し、判定した運転モードを選択するべく、運転モードの判定結果を該当する運転モード選択部のいずれかに与えることができる。
例えば、発電設備・機器2のタービンの軸受温度が通常の範囲よりもかなり高温となっている(発電設備・機器2またはタービンに致命的なダメージが生じた緊急事態と考えられる)ことを検知する異常検知装置11からの異常検知信号を運転モード判定部32が受信した場合を想定する。また、運転モード判定部32が参照するテーブルデータにおいて、発電設備・機器2のタービンの軸受温度が通常の範囲よりもかなり高温となっていることを検知する異常検知装置11と対応する運転モードは緊急停止モードであるとする。
この場合、運転モード判定部32は、異常検知信号を受信すると、対応する運転モードとして緊急停止モードと判定する。そして、緊急停止モードを選択するという運転モード判定結果を緊急停止モード選択部17に与える。そして、運転モード判定結果を受け取った緊急停止モード選択部17は、運転モード選択信号を出力し、出力された運転モード選択信号が運転制御手段6の緊急停止装置25に受信される。緊急停止装置25が行う動作は、発電設備運転制御システム1の場合と同様である。
一方、発電設備運転制御システム1Aは、発電設備運転制御システム1と同様に発電設備運転制御を行う。
図3に示す発電設備運転制御システム1Aが行う発電設備運転制御と、図2に示す発電設備運転制御システム1が行う発電設備運転制御とでは、運転モード選択ステップの代わりに、運転モード選択ステップに対して運転モード判定部32が運転モードを判定する処理ステップを付加した運転モード判定選択ステップがなされる点において相違するがその他の点は実質的に同一である。
発電設備運転制御システム1Aによれば、発電設備運転制御システム1に対して、運転モード選択手段4の代わりに運転モード判定選択手段30を具備することで、発電設備運転制御システム1によって得られる効果に加え、発電設備運転制御システム1で要する初期設定段階での異常検知装置11とこの異常検知装置11に対応する運転モード選択部との対応付け(電気的接続作業)における煩わしさを解消することができる。
また、発電設備運転制御システム1Aでは、異常検知装置11と運転モードとを関連付けたテーブルデータを設定し、運転モード判定部32が設定したテーブルデータを参照するように構成されるので、運転モードの判定を運転モード判定部32に実行させることができるとともに、運転モード数や対応する運転モードの変更等の設定変更の際に要する手間をより少なくすることができる。
さらに、事前にテーブルデータを作成して異常種別から運転モードを一義的に決定しておくロジック方式を採用することにより、事前に運転モードの判定を行う判定ロジックを吟味、評価することができるので、発電設備・機器2の運用計画を行う上で、または、信頼性を確保する上で有利となる。
尚、発電設備運転制御システム1Aでも、発電設備運転制御システム1と同様に、必ずしも、自動/手動切替手段5を具備していなくても良いし、運転モード選択手段4が、移行予定の運転モードの情報を中央給電指令所9に提供するように構成されていなくても良いし、異常検知信号、運転モード選択信号、運転モード移行の切替方式の選択状態および運転制御信号を記録して保存する必要がないのであれば、管理用計算機7を具備していなくても良い。この点は、後述する他の発電設備運転制御システム1B,1Cについても同様である。
また、発電設備運転制御システム1Aが行う発電設備運転制御についても、発電設備運転制御システム1が行う発電設備運転制御と同様に、運転モード選択ステップにおいて、中央給電指令所9等の予め設定された外部に運転モード選択信号等の運転モード選択情報の提供を併せて行うようにしても構わない。
また、異常検知ステップにおいて異常検知信号の記録を、運転モード選択ステップにおいて運転モード選択信号の記録を、運転制御ステップで運転制御信号の記録を併せて行うようにしても構わない。さらに、運転モード移行の切替方式の選択状態を自動/手動切替手段5から取得する自動/手動切替状態記録ステップが付加されていても構わない。
これらの点は、後述する他の発電設備運転制御システム1B,1Cが行う発電設備運転制御についても同様である。
[第3の実施形態]
図4に本発明の第3の実施形態に係る発電設備運転制御システムの一実施例である発電設備運転制御システム1Bが具備する運転モード選択手段4Aの構成を表した構成図を示す。
図4に本発明の第3の実施形態に係る発電設備運転制御システムの一実施例である発電設備運転制御システム1Bが具備する運転モード選択手段4Aの構成を表した構成図を示す。
図2および図4によれば、発電設備運転制御システム1Bは、発電設備運転制御システム1に対して、運転モード選択手段4を具備する代わりに運転モード選択手段4Aを具備する点において相違するが、その他の点は実質的に異ならないので、同一の符号を付して説明を省略する。
図4によれば、発電設備運転制御システム1Bは、異常検知手段3、運転モード選択手段4A、自動/手動切替手段5、運転制御手段6および管理用計算機7を具備し、発電設備運転制御を行い得るように構成される。
運転モード選択手段4Aは、運転モード選択手段4における負荷降下モード選択部15および通常停止モード選択部16の代わりにそれぞれ負荷降下モード選択部15Aおよび通常停止モード選択部16Aを備える。すなわち、運転モード選択手段4Aは、通常運転維持モード選択部13、状態保持モード選択部14、負荷降下モード選択部15A、通常停止モード選択部16A、緊急停止モード選択部17および選択運転モード通知部18を備える。
負荷降下モード選択部15Aおよび通常停止モード選択部16Aは、異常が発生した機器や設備の停止や発電設備・機器2の負荷を降下させる場合において、通常停止や負荷の降下を開始するまでの時間(以下、猶予時間とする)を何通りか定められている。
これは、異常が発生した機器や設備の通常停止や発電設備・機器2の負荷を降下させる場合、電力系統としては、他の停止中の発電設備(図外)を起動するなどして不足する負荷を補わなくてはならないが、一般に発電設備の起動には時間を要するので、突然、停止や負荷の降下が発生すると、その対処が困難となるからである。
そこで、負荷降下モード選択部15Aおよび通常停止モード選択部16Aでは、停止や負荷の降下が発生するまでの時間が長ければ長いほど減少する負荷を補うことが容易となることに鑑みて、異常が発生した機器や設備の停止や発電設備・機器2の負荷を降下させる場合に、猶予時間を設けて、負荷減少の影響を最小にするように図っている。
図5は、負荷降下モード選択部15Aに関する猶予時間τの説明図である。尚、図5において、横軸は時間[t]であり、縦軸は、負荷[MW]である。また、t=0を運転モード選択手段4Aが異常検知信号を受信した時点とする。
図5によれば、負荷降下モード選択部15Aでは、猶予時間τが、例えば、τ=0,1,3[hour]のように異なる時間で複数個設定される。負荷降下モード選択部15Aは、異常検知信号を受信してから設定された猶予時間τ後に運転モード選択信号(負荷降下モード選択信号)を出力するように構成される。
より具体的には、負荷降下モード選択部15Aは、負荷降下モード選択部15に対して、猶予時間を生じさせる猶予時間発生部34をさらに有し、例えば、図5に示すように、第1の猶予時間τ1(τ1=0)を発生させる第1の猶予時間発生部34A、第2の猶予時間τ2(τ2=1)を発生させる第2の猶予時間発生部34Bおよび第1の猶予時間τ3(τ3=3)を発生させる第3の猶予時間発生部34Cを有する。
負荷降下モード選択部15Aでは、異常検知装置11から送信された異常検知信号を第1の猶予時間発生部34A、第2の猶予時間発生部34Bおよび第3の猶予時間発生部34Cのいずれかが受信するように構成される。つまり、負荷降下モード選択部15Aは、検知される異常内容、すなわち、異常を検知する異常検知装置11によって、異なる猶予時間τ1,τ2,τ3を発生させることができる。
一方、通常停止モード選択部16Aについては、図5において示されていないが、負荷降下モード選択部15Aの場合と同様である。つまり、通常停止モード選択部16Aは、通常停止モード選択部16に加え、猶予時間発生部34として、例えば、図5に示すように、第1の猶予時間発生部34A、第2の猶予時間発生部34Bおよび第3の猶予時間発生部34Cをさらに有するように構成される。
発電設備運転制御システム1Bによれば、発電設備運転制御システム1に対して、負荷降下モード選択部15および通常停止モード選択部16を備える運転モード選択手段4の代わりに負荷降下モード選択部15Aおよび通常停止モード選択部16Aを備える運転モード選択手段4Aを具備することで、発電設備運転制御システム1によって得られる効果に加え、比較的軽度の異常発生時に、電力系統に与える影響を最小限に食い止めつつ、無人運転を行うことができる。
また、負荷降下モードや通常停止モード等の発電設備・機器2の負荷を減少させるような運転モードを選択する場合に、負荷降下モード選択部15Aおよび通常停止モード選択部16Aでは、発生した異常の内容によって負荷の減少を開始するまでの猶予時間を設定できるので、電力系統に接続される他の発電設備(図外)によるバックアップを最大限期待することができ、異常発生が電力系統に与える悪影響を最小限に食い止めることができる。
尚、負荷降下モード選択部15Aおよび通常停止モード選択部16Aは、ユーザのスイッチ切り替え操作によりスイッチの切り替えを自在に行う切替スイッチ(図を省略)を設けて、ユーザのスイッチ切り替え操作により異常検知信号の入力先を第1の猶予時間発生部34A、第2の猶予時間発生部34Bおよび第3の猶予時間発生部34Cのいずれかに切り替え可能に構成されていても構わない。
[第4の実施形態]
図6に本発明の第4の実施形態に係る発電設備運転制御システムの一実施例である発電設備運転制御システム1Cが具備する運転モード判定選択手段30Aの構成を表した構成図を示す。
図6に本発明の第4の実施形態に係る発電設備運転制御システムの一実施例である発電設備運転制御システム1Cが具備する運転モード判定選択手段30Aの構成を表した構成図を示す。
図3および図6によれば、発電設備運転制御システム1Cは、運転モード判定選択手段30を具備する発電設備運転制御システム1Aに対して、運転モード判定選択手段30Aを具備する点で相違するが、その他の点は実質的に異ならないので、同一の符号を付して説明を省略する。
発電設備運転制御システム1Cは、異常検知手段3、運転モード判定選択手段30A、自動/手動切替手段5、運転制御手段6および管理用計算機7を具備し、発電設備運転制御を行い得るように構成される。発電設備運転制御システム1Cの運転モード判定選択手段30Aは、運転モード判定選択手段30に対し、運転モード判定部32の代わりに運転モード判定部32Aを備える点で相違する。
運転モード判定部32Aと運転モード判定部32との相違は、運転モード判定部32が1つの異常検知信号に対して1つの運転モードを判定するのに対して、運転モード判定部32Aでは、1つ異常検知信号に対して複数の運転モードを判定する点にある。つまり、運転モード判定部32および運転モード判定部32Aが運転モードを判定する際の判定基準となる判定ロジックが1つであるか複数であるかが両者の相違点である。運転モードを判定する判定基準は、参照するテーブルデータの異常検知装置11と選択する運転モード(運転モード判定部)との対応付けの仕方で決まる。
図7に、運転モード判定部32Aが参照するテーブルデータの内容をテーブルデータ表40として表した説明図を示す。
図7に示すテーブルデータ表40では、異常検知手段3が備える各異常検知装置11(第1の異常検知装置〜第nの異常検知装置:nは任意の自然数)と対応する、例えば、4つ等の複数の異なる状態を表す設定状態欄41(41a,41b,41c,41d)を有し、設定状態欄41には、例えば、4つの異なる状態の一例として、1日の時間帯を任意に区切った4つの時間帯(第1の時間帯〜第4の時間帯)が設定される。
図7によれば、設定状態欄41aには第1の時間帯として0時〜6時が、設定状態欄41bには第2の時間帯として6時〜8時が、設定状態欄41cには第3の時間帯として8時〜18時が、設定状態欄41dには、第4の時間帯として18時〜24時がそれぞれ設定される。
各設定状態欄41a,41b,41c,41dには、異常検知手段3が備える各異常検知装置11と対応する運転モード、すなわち、受信した異常検知信号の送信先となる運転モード選択部(通常運転維持モード選択部13、状態保持モード選択部14、負荷降下モード選択部15、通常停止モード選択部16および緊急停止モード選択部17のいずれか)が設定される。尚、図7において設定状態欄41に設定される運転モードは、モードを省略して示す。
従って、運転モード判定部32Aが図7に示すテーブルデータ表40を表すテーブルデータを参照するものとし、第1の異常検知装置11が異常を検知した場合、図7に示すテーブルデータ表40によれば、運転モード判定部32Aは、異常を検知した時間帯が0時〜6時であれば通常停止モードを、8時〜18時であれば通常運転維持モードを選択する運転モードとして判定することになる。
同じ異常を検知した場合でも時間帯に応じて選択する運転モードを複数判定することができるという長所は、発電設備・機器2を運転する際に有人運転と無人運転とを組み合わせて行う場合に有効である。
例えば、夜間は無人運転を行い、昼間は有人運転を行う場合、無人運転開始直後に発生した異常については、翌朝までは無人運転が継続するので安全側の対応が望ましいと考えられる。逆に、翌朝近くの無人運転期間終了間際に発生した異常については、有人運転が開始されれば運転員による様々な対応が可能となることを考慮すれば、有人運転に移行するまでの少ない時間をできるだけ負荷を減らさない方向の対応が望ましいと考えられる。
そこで、発電設備運転制御システム1Cでは、異常の発生した時間帯や運転員の人数等の状況の変化に応じて運転モードの判定ができるように、発生した異常が同じであれば、同じ判定結果となる運転モード判定部32の代わりに、運転モード判定部32Aを具備する構成としている。
発電設備運転制御システム1Cによれば、運転モード判定部32Aを具備することで、同じ異常が発生した場合であっても、異常の発生した時間帯や運転員の人数等の状況の変化に応じて運転モードの判定を行うことができ、無人運転時においても、より望ましいと考えられる対応を採ることができる。
尚、図7に示す設定状態欄41は、1日の時間帯が設定されているが、これは、一例に過ぎず、例えば、運転員の人数や、月日や、気温や湿度等、様々な範疇で想定可能であり時間帯に限定されるものではない。
以上、本発明に係る発電設備運転制御システムおよびその運転制御方法によれば、運転員を必要とすることなく、異常発生時に発電設備・機器2の安全性の向上および稼働率をできるだけ高く維持する観点から見て、より適切な運転モードを自動的に選択して移行することができる。従って、運転員の削減、換言すれば、運転員の人件費の節約に寄与することができ、発電設備・機器2の経済性を向上することができる。
また、異常検知手段3として、専用の異常検知装置11を必要とせず、異常検知装置11を複数備える従来(公知)の警報システムを利用することで、より経済的な発電設備運転制御システムを構築することができる。
さらに、選択し得る運転モードを、少な過ぎず、多過ぎずある程度の個数(例えば、5つ)用意することで、発電設備・機器2の稼働率の低下を必要最小限度に食い止めることができ、運用性を確保することができる。また、運転モード判定選択手段30,30Aを具備する場合、運転モードを判定する判定ロジックの複雑化および肥大化を回避することができるので、運転モード判定選択手段30,30Aの作成および維持費用を抑制でき、発電設備・機器2の経済性の維持に貢献することができる。
一方、運転モード選択手段4が選択した運転モードが通常運転継続モード以外の場合、運転制御手段6が運転モード選択信号を受信して、受信した運転モード選択信号に基づき運転モードを選択する際に、併せて、選択した運転モードがどの運転モードであるかを中央給電指令所9に通知することができる。
従って、発電設備・機器2が無人運転時においても、中央給電指令所9では、例えば、図外の他の発電設備に起動指令を発する等の安定した電力を供給するための対応策を迅速に策することができ、電力系統の供給信頼性を向上に寄与することができる。
また、自動/手動切替手段5を具備することで、発電設備・機器2の無人運転と有人運転との切り替えが可能となるので、一部時間帯で発電設備・機器2を無人運転することができ、発電設備・機器2の運転に要する人員の削減、すなわち、人件費の削減に貢献することができる。さらに、有人運転時においても、運転モード選択手段4が選択する運転モードを運転員が知ることができるので、運転員の異常対応を支援することができ、発電設備・機器2の信頼性を向上に寄与することができる。
他方、運転モード選択信号を管理用計算機7が受信し、運転モード選択手段4の選択した運転モードを表示手段に表示するので、運転員が発電設備・機器2の運転制御を行う際に、運転モード選択手段4が選択した運転モードを確認しつつ運転操作を行うことができ、運転モードの選択ミスの減少、すなわち、より安全な発電設備・機器2の運用に寄与することができる。
また、管理用計算機7では、異常検知手段3、運転モード選択手段4、自動/手動切替手段5および運転制御手段6から出力される各情報を受け取り、記録して保存することができるので、事後的に記録したデータを読み出して表示手段に表示させることができ、運転員が異常発生原因の究明のために行う検証作業に貢献することができる。
運転モード判定選択手段30,30Aを具備する場合、予め設定した判定ロジックによって異常発生時の運転モードの選択を行うので、より信頼性の高い無人運転を行うことに寄与できる。また、異常発生内容と選択する運転モードとの関係について、事前に十分検証できるので、従来の発電設備運転制御システムよりも信頼性を高めることができる。
また、運転モード判定選択手段30Aを具備する場合においては、複数の判定基準で選択すべき運転モードの判定を行うことができるので、異常の発生した時間帯や運転員の人数等の状況の変化に応じて運転モードの判定を行うことができ、無人運転時においても、より望ましいと考えられる対応を採ることができる。
運転モード選択手段4Aを具備する場合、発生した異常の内容によって負荷減少を開始するまでの猶予時間を設定できるので、電力系統に接続される他の発電設備によるバックアップを最大限期待することができ、異常発生が電力系統に与える影響を最小限化することができる。
尚、本発明に係る発電設備運転制御システムでは、制御対象となる発電設備・機器2は必ずしも単一である必要はない。また、上述した実施の形態に係るシステムに限定されず、異なる実施の形態に係る発電設備運転制御システムを組み合わせたものも包含される。
例えば、運転モード選択手段4Aに運転モード判定部32をさらに備えて構成される運転モード判定選択手段を具備する発電設備運転制御システムは、発電設備運転制御システム1Aおよび発電設備運転制御システム1Bの構成要素を組み合わせて構成される発電設備運転制御システムであり、本発明に係る発電設備運転制御システムとして包含される。
1,1A,1B,1C 発電設備運転制御システム
2 発電設備
3 異常検知手段
4,4A 運転モード選択手段
5 自動/手動切替手段
6 運転制御手段
7 管理用計算機
9 中央給電指令所
11 異常検知装置
13 通常運転維持モード選択部
14 状態保持モード選択部
15,15A 負荷降下モード選択部
16,16A 通常停止モード選択部
17 緊急停止モード選択部
18 選択運転モード通知部
20 切替スイッチ
23 負荷制御装置
24 起動/停止装置
25 緊急停止装置
30,30A 運転モード判定選択手段
32,32A 運転モード判定部
34 猶予時間発生部
40 テーブルデータ表
41 設定状態欄
2 発電設備
3 異常検知手段
4,4A 運転モード選択手段
5 自動/手動切替手段
6 運転制御手段
7 管理用計算機
9 中央給電指令所
11 異常検知装置
13 通常運転維持モード選択部
14 状態保持モード選択部
15,15A 負荷降下モード選択部
16,16A 通常停止モード選択部
17 緊急停止モード選択部
18 選択運転モード通知部
20 切替スイッチ
23 負荷制御装置
24 起動/停止装置
25 緊急停止装置
30,30A 運転モード判定選択手段
32,32A 運転モード判定部
34 猶予時間発生部
40 テーブルデータ表
41 設定状態欄
Claims (9)
- 発電設備・機器の観測点に設けたセンサーからの状態量を入手し、当該観測部位の異常を検知する異常検知手段と、
この異常検知手段によって検知された異常内容に基づいて運転パターンを予め設定しておき、実際に入力された異常信号から前記発電設備・機器の運転モードを選択し、出力する運転モード選択手段と、
この運転モード選択手段で選択された運転パターンに基づいて前記発電設備・機器の運転状態を制御する運転制御手段とを具備することを特徴とする発電設備運転制御システム。 - 前記運転モード選択手段が選択した運転モードへの移行を自動で行うか手動で行うかを切り替える自動/手動切替手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の発電設備運転制御システム。
- 前記異常検知手段、運転モード選択手段および運転制御手段の各々とインターフェースを介して送受信可能に接続されており、前記異常検知手段、運転モード選択手段および運転制御手段から出力される情報を記録し保存可能に構成されており、必要時に保存した情報を読み出して表示手段に表示可能に構成される管理用計算機をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の発電設備運転制御システム。
- 前記運転モード選択手段は、予め設定される複数の運転モードの中から1つの運転モードを選択した旨を信号出力する運転モード選択部と、
前記運転モード選択部が選択した運転モードを予め設定した通知先に通知する選択運転モード通知部とを備えることを特徴とする請求項1記載の発電設備運転制御システム。 - 前記運転モード選択手段は、予め設定される複数の運転モードの中から1つの運転モードを選択した旨を信号出力する運転モード選択部を備え、
この運転モード選択部は、通常時の運転状態を維持する運転モードを選択する通常運転維持モード選択部と、
現在の運転状態を保持する運転モードを選択する状態保持モード選択部と、
前記発電設備・機器の負荷を現状から予め設定された負荷に降下する運転モードを選択する負荷降下モード選択部と、
前記発電設備・機器の通常停止動作を行う運転モードを選択する通常停止モード選択部と、
前記発電設備・機器の緊急停止動作を行う運転モードを選択する緊急停止モード選択部とを備えることを特徴とする請求項1記載の発電設備運転制御システム。 - 前記負荷降下モード選択部および通常停止モード選択部は、信号出力するまでの猶予時間を発生させる猶予時間発生部を各々さらに有することを特徴とする請求項5記載の発電設備運転制御システム。
- 前記負荷降下モード選択部および通常停止モード選択部は、信号出力するまでの猶予時間を発生させる猶予時間発生部を各々にさらに有し、前記猶予時間発生部は、予め設定された異なる複数の猶予時間の中から選択される1つの猶予時間を発生可能に構成されることを特徴とする請求項5記載の発電設備運転制御システム。
- 前記運転モード選択手段は、運転モードを選択する複数の判定ロジックを有し、運転モード判定時に、これら複数の判定ロジックのうち状況の変化に応じて適する1つの判定ロジックを選択する運転モード判定部を備えることを特徴とする請求項1記載の発電設備運転制御システム。
- 発電設備・機器の異常を検知する異常検知ステップと、
この異常検知ステップで検知された異常内容に基づき前記発電設備・機器の運転モードを選択する運転モード選択ステップと、
この運転モード選択ステップで選択された運転モードに移行するべく前記発電設備・機器の運転制御を行う運転制御ステップとを備えることを特徴とする発電設備・機器の運転制御方法。
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JP2004285252A JP2006099469A (ja) | 2004-09-29 | 2004-09-29 | 発電設備運転制御システムおよびその運転制御方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2015001594A1 (ja) * | 2013-07-01 | 2015-01-08 | 株式会社日立製作所 | 制御システム、制御方法及びコントローラ |
-
2004
- 2004-09-29 JP JP2004285252A patent/JP2006099469A/ja active Pending
Cited By (2)
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