JP2006098958A - 異方性色素膜用色素組成物、異方性色素膜及び偏光素子 - Google Patents

異方性色素膜用色素組成物、異方性色素膜及び偏光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】欠陥の少ない、高い二色性を示す異方性色素膜を形成することができる異方性色素膜用色素組成物と、この異方性色素膜用色素組成物を用いて形成された異方性色素膜と、この異方性色素膜を用いた偏光素子を提供する。
【解決手段】糖類及び色素を含有する異方性色素膜用色素組成物。この異方性色素膜用色素組成物を用いて形成された異方性色素膜。この異方性色素膜を用いた偏光素子。糖類は、異方性色素膜中で色素分子と固溶し、色素会合体の会合度を向上させ、その結果として色素の分子配向を高めることで、二色性を高める。

Description

本発明は、調光素子や液晶素子(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)の表示素子に具備される偏光板等に有用な、高い二色性を示す異方性色素膜を形成することができる異方性色素膜用色素組成物と、この異方性色素膜用色素組成物を用いて形成された異方性色素膜、及びこの異方性色素膜を用いた偏光素子に関するものである。
LCDでは、表示における旋光性や複屈折性を制御するために、直線偏光板や円偏光板が用いられている。OLEDにおいても、外光の反射防止のために、円偏光板が使用されている。従来、これらの偏光板(偏光素子)には、ヨウ素が二色性物質として広く使用されてきた。しかしながら、ヨウ素は昇華性が大きいために、偏光板に使用した場合、その耐熱性や耐光性が十分ではないという欠点があった。
そのため、例えば特許文献1、非特許文献1及び2では、有機系の色素を含有する溶液を基材上に塗布することにより製造される偏光膜が検討されている。しかし、この様な有機系の色素を用いた偏光板は、上記のヨウ素を用いた偏光板に比べると欠陥が多く、二色性がかなり劣るという問題点があった。
米国特許第2,400,877号明細書 Dreyer,J.F., Phys. And Colloid Chem., 1948, 52, 808.,"The Fixing of Molecular Orientation" Dreyer,J.F., Journal de Physique, 1969, 4, 114., "Light Polarization From Films of Lyotropic Nematic Liquid Crystals"
本発明は、欠陥の少ない、高い二色性を示す異方性色素膜を形成することができる異方性色素膜用色素組成物と、この異方性色素膜用色素組成物を用いて形成された異方性色素膜と、この異方性色素膜を用いた偏光素子を提供することにある。
本発明の異方性色素膜用色素組成物は、糖類及び色素を含有することを特徴とする。
即ち、本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、色素組成物中に糖類を含有させたものを使用して異方性色素膜を形成すると、欠陥が少なく、高い二色性を示す異方性色素膜が得られることを見出し、本発明に到達した。
糖類を含むことにより、異方性色素膜の二色性が向上する作用機構の詳細は明らかではないが、糖類は、異方性色素膜中で色素分子と固溶し、色素会合体の会合度を向上させ、その結果として色素の分子配向を高めることで、二色性を高める働きを持つものと考えられる。
本発明において、色素に対する糖類の含有量は、重量比で0.1〜1であることが好ましく、糖類としては分子量が1,000以下のもの、色素としてはアゾ系色素であることが好ましい。
本発明の異方性色素膜は、このような異方性色素膜用色素組成物を用いて形成されたものである。
また、本発明の異方性色素膜は糖類及び色素を含有するものである。
本発明の偏光素子は、このような本発明の異方性色素膜を用いたものである。
本発明によれば、欠陥の少ない、高い二色性を示す異方性色素膜が提供され、この異方性色素膜により、耐熱性、耐光性に優れ、しかも偏光性能に優れた偏光素子が提供される。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定はされない。
本発明でいう異方性色素膜とは、色素膜の厚み方向及び任意の直交する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に、異方性を有する色素膜である。電磁気学的性質としては、吸収、屈折などの光学的性質、抵抗、容量などの電気的性質などが挙げられる。例えば、本発明でいう異方性色素膜は、直線偏光膜、円偏光膜などの偏光膜、位相差板及び導電異方性膜などである。直線偏光膜、円偏光膜などの偏光膜、位相差板及び導電異方性膜は、吸収、屈折などの光学的異方性を有する膜である。
まず、本発明の異方性色素膜用色素組成物について説明する。
本発明の異方性色素膜用色素組成物は、糖類と色素とを含有するものである。
糖類としては、単糖、二糖、多糖、及び糖アルコール類などの糖の誘導体が挙げられる。
糖類の中でも、本発明の効果を奏するにあたり、分子会合性の点から、水酸基が通常2以上、好ましくは3以上で、好ましくは18以下、更に好ましくは12以下であるものが良い。水酸基が多過ぎると色素との相互作用が強すぎて析出して色素膜の配向性を損ねてしまうので好ましくなく、少な過ぎると色素との相互作用が不十分であり配向性を向上させることができないので好ましくない。
糖類の分子量としては、1,000以下が好ましく、更に好ましくは700以下である。糖類の分子量が大きすぎると色素と相分離してしまい、色素膜の配向性を損ねてしまうおそれがあり好ましくない。
糖類の炭素数としては、通常36以下、好ましくは24以下である。糖類の炭素数が多過ぎると、糖類の分子量が大きくなることにより、色素と相分離してしまい、色素膜の配向性を損ねてしまうおそれがあり好ましくない。
本発明において用いる糖類は、中でも、単糖、オリゴ糖、単糖アルコールが、前述の最適な水酸基数、分子量範囲を満たすので好ましい。
単糖としては、例えばキシロース、リボース、グルコース、フルクトース、マンノース、ソルボース、ガラクトースなどが挙げられる。
オリゴ糖としては、例えばトレハロース、コウジビオース、ニゲロース、マルトース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、マルトテトラオース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、スクロース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノース、パノース、イソパノース、セロトリオース、マンニノトリオース、ソラトリオース、メレジトース、プランテオース、ゲンチアノース、ウンベリフェロース、ラフィノース、スタキオースなどが挙げられる。
糖アルコールとしては、例えばトレイトール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトールなど前述の単糖及びオリゴ糖を還元した化合物が挙げられる。
糖類としては、特に好ましくはキシロース、マンノース、マルトース、マルトトリオース、アラビトールが挙げられる。
なお、これらの糖類、糖アルコール類は各々光学異性体が存在するが、本発明の組成物中にはそれぞれを単独で用いても良く、両方を含んでいても良い。また、糖類は、本発明の組成物中に、1種が単独で用いられていても良く、2種以上が組み合せて用いられていても良い。
本発明の組成物中における、色素に対する糖類の含有量は、重量比で0.1以上、1以下の範囲であることが好ましい。更に好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.6以下である。糖類の含有量がこの上限を超えると、会合体の配向度が低下するおそれがあり好ましくなく、下限を下回ると、色素会合体の会合度を上げるには不十分であるおそれがあり好ましくない。
次に、本発明の異方性色素膜用色素組成物に用いられる色素について説明する。
本発明の異方性色素膜用色素組成物に用いられる色素は、後述の湿式成膜法に供するために水溶性であることが好ましい。
また、本発明で用いる色素は塩型をとらない遊離の状態で、その分子量が200以上が好ましく、特に300以上が好ましく、1500以下が好ましく、特に1200以下であることが好ましい。色素の分子量がこの上限を超えると、製造が困難になる上、水溶性が低下して湿式成膜法に適さなくなるので好ましくなく、下限を下回ると色素の会合性が低下して配向性が低下するので好ましくない。
色素としては、色調と会合性の制御が容易であることからアゾ色素が好ましく、色調と製造性の面から、アゾ基を2個以上、4個以下有するものが好ましく、2個以上、3個以下有するものが最も好ましい。
このような色素の具体例としては、前述の特許文献1、非特許文献1及び2に記載の色素、J.Lydon, “Chromonics” in “Handbook of Liquid Crystals Vol.2B: Low Molecular Weight Liquid Crystals II”, D.Demus, J.Goodby, G.W.Gray, H.W.Spiessm V.Vill ed., Willey-VCH, P.981-1007, (1998)に記載の色素、或いは、以下の(I−1)〜(I−14)や(II−1)〜(II−4)に示す構造の色素が挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2006098958
Figure 2006098958
Figure 2006098958
これらの色素の中でも、最も好ましくは、(II−1)、(II−2)で示される色素である。
これらの色素は、それ自体周知の方法に従って製造することができる。例えば(I−1)で示される色素は、下記(A)〜(C)の工程で製造することができる。
(A)3−アミノベンゼンスルホン酸(メタニル酸)と2−メトキシアニリン(o−アニシジン)とから常法(例えば、細田豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日、技報堂発行)第396頁、第409頁参照)に従って、ジアゾ化、カップリング工程を経てモノアゾ化合物を製造する。
(B)得られたジスアゾ化合物を同様に、常法によりジアゾ化し、3−メチルアニリン(m−トルイジン)とカップリング反応を行って、ジスアゾ化合物を製造する。
(C)得られたジスアゾ化合物を同様に、常法によりジアゾ化し、7−アミノ−1−ナフトールー3,6−ジスルホン酸(RR酸)とカップリング反応をおこない、塩化ナトリウムで塩析することにより、目的の色素No.(I−1)が得られる。
本発明の異方性色素用色素組成物において、上述したような色素は単独で使用することができるが、これらの2種以上を併用してもよく、また、配向を低下させない程度に上記例示色素以外の色素を配合して用いることもでき、これにより各種の色相を有する異方性色素膜を製造することができる。
他の色素を配合する場合、配合用として好ましい色素の例としては、例えばC.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 34、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Yellow 132、C.I.Acid Yellow 25、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 79,、C.I.Acid Orange 28、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 79、C.I.Direct Red 81、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Acid Red 37、C.I.Direct Violet 9、C.I.Direct Violet 35、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 57、C.I.Direct Blue 1、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 83、C.I.Direct Blue 90、C.I.Direct Green 42、C.I.Direct Green 51、C.I.Direct Green 59等が挙げられる。
上記配合用色素を含め、本発明で用いる色素が酸性基を有する場合、その酸性基は遊離酸型でもよく、酸性基の一部もしくは全てが塩型をとっているものであってもよい。また、塩型の色素と遊離酸型の色素が混在していてもよい。従って、製造時に塩型で得られた場合はそのまま使用してもよいし、所望の塩型に変換してもよい。塩型の交換方法としては、公知の方法を任意に用いることができ、例えば以下の方法が挙げられる。
1)塩型で得られた色素の水溶液に塩酸等の強酸を添加し、色素を遊離酸の形で酸析せしめた後、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で色素酸性基を中和し塩交換する方法。
2)塩型で得られたの色素の水溶液に、所望の対イオンを有する大過剰の中性塩(例えば、塩化リチウム)を添加し、塩析ケーキの形で塩交換を行う方法。
3)塩型で得られた色素の水溶液を、強酸性イオン交換樹脂で処理し、色素を遊離酸の形で酸析せしめた後、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で色素酸性基を中和し塩交換する方法。
4)予め所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で処理した強酸性イオン交換樹脂に、塩型で得られた色素の水溶液を作用させ、塩交換を行う方法。
なお、前記例示色素の塩型の例としては、Na、Li、K等のアルカリ金属の塩、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、又は有機アミンの塩が挙げられる。有機アミンの例として、炭素数1〜6の低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン、カルボキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン等が挙げられる。これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していても良い。
本発明の異方性色素膜用色素組成物は、前述の糖類と色素とを含むものであるが、更に必要に応じて溶剤、界面活性剤、pH調整剤等の添加剤が配合されていてもよい。
本発明に使用される溶剤としては、水、水混和性のある有機溶剤、或いはこれらの混合物が適している。有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類などの単独又は2種以上の混合溶剤が挙げられる。
本発明の異方性色素膜用色素組成物がこのような溶剤を含む溶液である場合、異方性色素膜用色素組成物中の色素の濃度としては、後述の成膜法によるが、通常0.01重量%以上、特に0.1重量%以上で、通常50重量%以下、特に30重量%以下であることが好ましい。色素濃度が低過ぎると異方性色素膜において十分な二色性を得ることができず、高すぎると色素が析出する恐れがある。
後述の湿式成膜法等において、本発明の異方性色素膜用色素組成物を色素溶液として基材に塗布する場合には、基材への濡れ性、塗布性を向上させるため、必要に応じて界面活性剤等の添加物を加えることができる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性いずれも使用可能である。その添加濃度は、目的の効果を得るために十分であって、かつ色素分子の配向を阻害しない量として、異方性色素膜用色素組成物中の濃度として通常0.05重量%以上、0.5重量%以下が好ましい。
また、本発明の異方性色素膜用色素組成物は、pHが好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、好ましくは13以下、更に好ましくは12以下に調整されていることが、溶液の安定性と製造上の取り扱いやすさの点で好ましい。従って、必要に応じて、通常公知の酸、アルカリ等のpH調整剤などを、構成成分の混合の前後いずれかで添加してpH調整を行ってもよい。
更に、上記以外の添加物として、”Additive for Coating”, Edited by J.Bieleman,Willey-VCH(2000)記載の公知の添加物を用いることもできる。
次に、このような本発明の異方性色素膜用色素組成物を用いて形成される本発明の異方性色素膜について説明する。
前述の糖類と色素とを含む本発明の異方性色素膜用色素組成物は、色素が高い分子配向性を示すことができ、従って、このような本発明の異方性色素膜用色素組成物を用いて形成された本発明の異方性色素膜は、高い二色性を示す有用な色素膜である。すなわち、前述の糖類と色素を含有する異方性色素膜は高い二色性を示す有用な色素膜である。
本発明の異方性色素膜は高い二色比を示すが、その二色比は5以上のものが好ましく、より好ましくは10以上、特に好ましくは15以上である。
このような本発明の異方性色素膜は、本発明の異方性色素膜用色素組成物を用いて乾式成膜法もしくは湿式成膜法により作製される。本発明の組成物は、湿式成膜法で形成される異方性色素膜用に使用されることが好ましく、特に色素を含む水溶液が液晶性を示す可能性がある場合は、湿式成膜法を使用することが好ましい。従って、本発明の異方性色素膜は、湿式成膜法で形成されたものであることが好ましい。
乾式成膜法としては、高分子重合体を成膜してフィルムとした後に本発明の異方性色素膜用色素組成物で染色する方法、又は高分子重合体の溶液に本発明の異方性色素膜用色素組成物を添加し原液染色後成膜する方法等により得られた未延伸フィルムを延伸する方法などを挙げることができる。上記染色及び成膜並びに延伸は、一般的な下記の方法で行うことができる。
本発明の異方性色素膜用色素組成物及び必要に応じて塩化ナトリウム、ボウ硝等の無機塩、界面活性剤等の染色助剤を加えた染浴中に、通常20℃以上、好ましくは30℃以上、通常80℃以下、好ましくは50℃以下で、通常1分以上、好ましくは3分以上、通常60分以下、好ましくは20分以下、高分子フィルムを浸漬して染色し、次いで必要に応じてホウ酸処理し、乾燥する。或いは、高分子重合体を水及び/又はアルコール、グリセリン、ジメチルホルムアミド等の親水性有機溶媒に溶解し、本発明の異方性色素膜用色素組成物を添加して原液染色を行い、この染色原液を流延法、溶液塗布法、押出法等により成膜して染色フィルムを作成する。溶媒に溶解させる高分子重合体の濃度としては、高分子重合体の種類によっても異なるが、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上程度で、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下程度である。また、溶媒に溶解する色素の濃度としては、高分子重合体に対して通常0.1重量%以上、好ましくは0.8重量%以上程度で、通常5重量%以下、好ましくは2.5重量%以下程度である。
上記のようにして染色及び成膜して得られた未延伸フィルムは、適当な方法によって一軸方向に延伸する。延伸処理することによって色素分子が配向し、二色性が発現する。一軸に延伸する方法としては、湿式法にて引っ張り延伸を行う方法、乾式法にて引っ張り延伸を行う方法、乾式法にてロール間圧縮延伸を行う方法等があり、いずれの方法を用いて行ってもよい。延伸倍率は2倍以上、9倍以下にて行われるが、高分子重合体としてポリビニルアルコール及びその誘導体を用いた場合は2.5倍以上、6倍以下の範囲が好ましい。延伸配向処理したあとで、該延伸フィルムの耐水性向上と偏光度向上の目的でホウ酸処理を実施する。ホウ酸処理により、異方性色素膜の光線透過率と偏光度が向上する。ホウ酸処理の条件としては、用いる親水性高分子重合体及び色素の種類によって異なるが、一般的にはホウ酸濃度としては、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上程度で、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下程度である。また、処理温度としては通常30℃以上、好ましくは50℃以上で、通常80℃以下の範囲にあることが望ましい。ホウ酸濃度が1重量%未満であるか、処理温度が30℃未満の場合は、処理効果が小さく、また、ホウ酸濃度が15重量%を超えるか、処理温度が80℃以上を超える場合は異方性色素膜がもろくなり好ましくない。
このような乾式成膜法により得られる異方性色素膜の膜厚は10μm以上、特に30μm以上で、200μm以下、特に100μm以下であることが好ましい。
一方、湿式成膜法としては、本発明の異方性色素膜用色素組成物を塗布液として調製後、ガラス板などの各種基材に塗布、乾燥し、色素を配向、積層して得る方法など公知の方法が挙げられる。塗布法としては、原崎勇次著「コーティング工学」(株式会社朝倉書店、1971年3月20日発行)253頁〜277頁や市村國宏監修「分子協調材料の創製と応用」(株式会社シーエムシー出版、1998年3月3日発行)118頁〜149頁などに記載の公知の方法や、例えば、予め配向処理を施した基材上に、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法などで塗布することが挙げられる。この場合、異方性色素膜用色素組成物中の色素濃度は、低すぎると十分な二色性を得ることができず、高すぎると成膜が困難になる。湿式成膜法における異方性色素膜用色素組成物中の色素濃度は、好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは1重量%以上で、好ましくは50重量%以下、特に好ましくは30重量%以下である。塗布時の温度は好ましくは0℃以上、80℃以下、湿度は好ましくは10%RH以上、80%RH以下程度である。
また、塗膜の乾燥時の温度は好ましくは0℃以上、120℃以下、湿度は好ましくは10%RH以上、80%RH以下程度である。
湿式成膜法で基材上に異方性色素膜を形成する場合、異方性色素膜は、通常乾燥後の膜厚で、好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは1μm以下である。
なお、湿式成膜法に使用される基材としては、ガラスやトリアセテート、アクリル、ポリエステル、トリアセチルセルロース又はウレタン系のフィルム等が挙げられる。また、この基材表面には、二色性色素の配向方向を制御するために、「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行)226頁〜239頁などに記載の公知の方法により、配向処理層を施しておいてもよい。
乾式成膜法もしくは湿式成膜法により得られた二色性色素の異方性色素膜は、必要に応じ、保護層を設けて使用する。この保護層は、例えば、トリアセテート、アクリル、ポリエステル、ポリイミド、トリアセチルセルロース又はウレタン系のフィルム等の透明な高分子膜によりラミネーションして形成され、実用に供される。
また、本発明の異方性色素膜用色素組成物をLCDやOLEDなどの各種の表示素子に偏光フィルター等として用いる場合には、これらの表示素子を構成する電極基板などに直接本発明の異方性色素膜を形成したり、本発明の異方性色素膜を形成した基材をこれら表示素子の構成部材として用いればよい。
本発明の異方性色素膜は、光吸収の異方性を利用し直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得る偏光膜として機能する他、膜形成プロセスと基材や色素を含有する組成物の選択により、屈折異方性や伝導異方性などの各種異方性膜として機能化が可能となり、様々な種類の、多様な用途に使用可能な偏光素子とすることができる。
本発明の偏光素子は、このような本発明の異方性色素膜を用いたものであるが、本発明の異方性色素膜を基材上に形成して本発明の偏光素子とする場合、形成された異方性色素膜そのものを使用しても良く、また上記の様な保護層のほか、粘着層、反射防止層など、様々な機能をもつ層を積層形成し、積層体として使用してもよい。その際の積層順序は、用途により適宜選択することができる。
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、二色比(D)は、ヨウ素系偏光素子を入射光学系に配した分光光度計(大塚電子社製「瞬間マルチ測光システムMCPD2000」)で異方性色素膜の透過率を測定した後、次式により計算した。
二色比(D)=Az−Ay
Az=−log(Tz)
Ay=−log(Ty)
Tz:色素膜の吸収軸方向の偏光に対する透過率
Ty:色素膜の偏光軸方向の偏光に対する透過率
以下において「部」は「重量部」を示す。
(実施例1)
水53部に前記例示色素No.(II−1)37部とD−マルトース水和物(東京化成工業社製、分子量342)10部を加え(色素に対するD−マルトース水和物の重量比0.27)、撹拌溶解後濾過してpH7の本発明の異方性色素膜用色素組成物を得た。スピンコート法により表面にポリイミドの配向膜が形成されたガラス製基板(75mm×25mm、厚さ1.1mm、ポリイミド膜厚約800Åのポリイミド配向膜を予め布でラビング処理を施したもの)に、上記異方性色素膜用色素組成物をギャップ2μmのアプリケーター(井元製作所社製)で塗布した後、自然乾燥することにより膜厚約0.5μmの異方性色素膜を得た。
得られた異方性色素膜の最大吸収波長(λmax)とその二色比(D)を表1に示した。
本実施例で得られた異方性色素膜は、偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
(実施例2)
水75部に前記例示色素No.(II−2)15部とD−グルコース(東京化成工業社製、分子量180)10部を加え(色素に対するD−グルコースの重量比0.67)、撹拌溶解後濾過してpH7の本発明の異方性色素膜用色素組成物を得た。この異方性色素膜用色素組成物を実施例1と同様の基板にギャップ10μmのアプリケーター(井元製作所社製)で塗布した後、自然乾燥することにより膜厚約1.2μmの異方性色素膜を得た。
得られた異方性色素膜の最大吸収波長(λmax)とその二色比(D)を表1に示した。
本実施例で得られた異方性色素膜は偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
(実施例3)
水75部に前記例示色素No.(II−2)15部とD−マルトース水和物(東京化成工業社製、分子量342)10部を加え(色素に対するD−マルトース水和物の重量比0.67)、撹拌溶解後濾過してpH7の本発明の異方性色素膜用色素組成物を得た。この異方性色素膜用色素組成物を実施例2と同様の基板に同様の条件で塗布することにより膜厚約1.2μmの異方性色素膜を得た。
得られた異方性色素膜の最大吸収波長(λmax)とその二色比(D)を表1に示した。
本実施例で得られた異方性色素膜は、偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
(実施例4)
水75部に前記例示色素No.(II−2)15部とマルトテトラオース(東京化成工業社製、分子量667)10部を加え(色素に対するマルトテトラオースの重量比0.67)、撹拌溶解後濾過してpH7の本発明の異方性色素膜用色素組成物を得た。この異方性色素膜用色素組成物を実施例2と同様の基板に同様の条件で塗布することにより膜厚約1.2μmの異方性色素膜を得た。
得られた異方性色素膜の最大吸収波長(λmax)とその二色比(D)を表1に示した。
本実施例で得られた異方性色素膜は、偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
(比較例1)
実施例1においてD−マルトースを添加しない以外は同様にして色素膜用色素組成物を作成し、同様の基板に同様の条件で塗布を行い色素膜を得た。
得られた色素膜の最大吸収波長(λmax)とその二色比(D)を表1に示した。
本比較例で得られた色素膜は、実施例1の異方性色素膜に比べて二色比は低かった。
(比較例2)
実施例2においてD−グルコースを添加しない以外は同様にして色素膜用色素組成物を作成し、同様の基板に同様の条件で塗布を行い色素膜を得た。
得られた色素膜の最大吸収波長(λmax)とその二色比(D)を表1に示した。
本比較例で得られた色素膜は、実施例2の異方性色素膜に比べて二色比は低かった。
Figure 2006098958
本発明の異方性色素膜は、調光素子や液晶素子(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の表示素子に具備される偏光板等、各種の偏光素子に有用である。

Claims (7)

  1. 糖類及び色素を含有することを特徴とする異方性色素膜用色素組成物。
  2. 色素に対する糖類の含有量が、重量比で0.1〜1である、請求項1に記載の異方性色素膜用色素組成物。
  3. 糖類の分子量が1,000以下である、請求項1又は2に記載の異方性色素膜用色素組成物。
  4. 色素が、アゾ系色素である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の異方性色素膜用色素組成物。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の異方性色素膜用色素組成物を用いて形成された異方性色素膜。
  6. 糖類及び色素を含有することを特徴とする異方性色素膜。
  7. 請求項5に記載の異方性色素膜を用いた偏光素子。
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WO2007125765A1 (ja) * 2006-04-25 2007-11-08 Konica Minolta Opto, Inc. 偏光板保護フィルム及びその製造方法、偏光板、液晶表示装置
WO2007125764A1 (ja) * 2006-04-25 2007-11-08 Konica Minolta Opto, Inc. 位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置

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