JP2006098322A - 磁気式位置回転検出用素子 - Google Patents

磁気式位置回転検出用素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 高分解能を有し、小型で信頼性・安定性が高く、量産性にも優れた磁気式位置回転検出用素子を提供する。
【解決手段】 一定の着磁ピッチで磁化パターンが記録された磁気媒体と、該磁気媒体に対して対向し、相対的に移動し前記磁化パターンを検出する人工格子磁気抵抗効果素子とを備え、前記人工格子磁気抵抗効果素子の感磁部分が相対的移動方向に前記着磁ピッチの2倍以上の長さを有し、かつ前記感磁部分が相対的移動方向に周期的に変化した形状を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、工作機械、電子機器などに用いられる、磁気抵抗効果素子を用いた磁気式位置回転検出装置に関する。
従来、工作機械などに用いられる磁気式位置回転検出装置は、所定の間隔でN極とS極が交互に連続的に着磁された磁気媒体と、Fe-Ni(パーマロイ)等の薄膜強磁性体の磁気抵抗効果を用いた磁気検出素子とから構成される。近年磁界に対し抵抗変化の大きい磁気検出素子として、磁性層と非磁性層を交互に多数積層した人工格子磁気抵抗素子(以下、GMR素子と称する)が用いられるようになり、位置回転検出の高分解能化が進んでいる。
GMR素子は形状異方性が小さく、磁気抵抗変化を引き起こす感磁軸が比較的等方的で、特に長方形パターンの長手方向の磁界に対し感度が高いという特徴を有している。このため、媒体からのほぼ一定の磁界を受ける空間で着磁ピッチλに比べて小さなパターンを多数、磁界の方向に並べそれらを直列に接続し、さらにはブリッジ構成した磁気検出素子が考案されている。通常、このようなブリッジ回路を媒体の移動方向に90度の位相差をもつようにもう一組の磁気検出素子のパターンを配置することにより、磁気媒体と磁気検出素子との相対移動方向を判別することが可能となっている。
工作機械に要求される位置決め精度の水準が高くなるにつれて、位置回転検出素子にも高分解能、高精度が要求される。位置回転検出素子の高分解能化・高精度化は、磁気パターンの着磁ピッチの縮小や出力波形の歪の低減などによって実現される。例えば、着磁ピッチを小さくする場合は、通常それにともない着磁媒体と検出素子間のギャップも小さくするが、ピッチの減少に対しギャップを相対的には一定に保つことが困難になる。これに対して感磁素子として人工格子膜を用いることで高出力を得る方法が開示されている(特許文献1)。また、分解能を向上させるために、出力波形の1周期を内挿し、逓倍して使うことがある。その場合には、出力波形は高調波ひずみの少ない正弦波形状であることが望ましいため、例えば、一つのパターンから得られる信号を0度の位相とした場合、この逆位相(180度異なる)の出力との差動出力を取る事により、偶数次の高調波を打ち消す。さらに、空間フィルタの概念を用い特定の高調波成分の除去を行っている。このようにしてできるだけ高調波成分を含まない出力波形としているが、磁気抵抗効果素子や人工格子GMRは印加磁界に対して非線形な抵抗変化を持つため、正弦波を得ることが困難である。さらにギャップにかかわらず正弦波的な出力を得る方法も各種考案されている(特許文献2、3)。また、記録媒体の部分的な記録状態の変動や検出手段の温度変動に対する精度の悪化を防ぐため、相対的移動方向に所定の間隔で複数個の磁気抵抗効果素子を配した構成も開示されている(特許文献4)。
特許第3067484号公報 特開平11−148841号公報 特開2001−141514号公報 特開平8−122095号公報
工作機械やOA機器において、小型で高分解能な磁気スケールと磁気検出素子が求められているが、これには同時に装置に取り付ける際の取り付け許容範囲大きいことや、外乱磁界や温度変動などに影響されない、高い信頼性と安定性が要求されている。特許文献1に開示されている磁気検出素子は、感磁素子として人工格子膜を用いており、大きな出力信号を得ているが、素子面積に比較して人工格子膜の面積が少なく、素子面積の割に磁気媒体からの磁界を広い面積で検知しているとはいいがたく、磁気状態の部分的な変動などを拾いやすい。また、特許文献4では磁界検知部分を広い面積に分散して配置することも考案されている。広い面積で磁界を検出することの利点は、空間的に検出信号を平均化する効果があるため、位置決めの許容範囲があがり、媒体の局部的な組成や構造のランダムな雑音成分やばらつきの影響が平均化され小さくなることである。しかし、それでもGMR膜は、通常非磁性層に良導体である銅を用いているため抵抗値が低く、素子の発熱やそれによって引き起こされる信頼性の低下が問題となる。また消費電力も大きいという欠点を有している。発熱は磁気検出素子の抵抗変化を引き起こし、中点電位が変動し、精度の低下を招く。したがって、小型かつ高分解能であるとともに、高信頼性、高安定性を併せ持った磁気式位置回転検出用素子が望まれていた。
上記問題に鑑み、本発明の目的は、十分な分解能を有し、小型で信頼性・安定性が高く、量産性にも優れた磁気式位置回転検出用素子を提供することにある。
(1)本発明は、一定の着磁ピッチで磁化パターンが記録された磁気媒体と、該磁気媒体に対して対向し、相対的に移動し前記磁化パターンを検出する人工格子磁気抵抗効果素子(GMR素子)とを備え、前記GMR素子の感磁部分が相対的移動方向に前記着磁ピッチの2倍以上の長さを有し、かつ前記感磁部分が相対的移動方向に周期的に変化した形状を有する磁気式位置回転検出用素子である。なお、ここで着磁ピッチ(以下λとも表す。)とは、隣り合うS極とN極間の距離をいう。従来、GMR素子の感磁部分の相対的移動方向の長さは着磁ピッチ以下であったのに対して、該感磁部分を着磁ピッチの2倍以上と長く取ることによって素子の抵抗を高くすることができ、消費電力を抑え、発熱による特性変動を防止することが可能となる。さらに、空間的に検出信号を平均化する効果があるため、位置決め許容範囲の向上、媒体の局部的な特性ばらつき等の影響の平均化にも寄与する。また、その感磁部分が周期的に変化した形状を有することによって、感磁部分が着磁ピッチの2倍以上の長さを有する構成においても、磁気媒体とGMR素子との相対位置が変化した際に、GMR素子の抵抗変化が生じ、該抵抗変化を通じて高い分解能で位置検出が可能となる。
(2)また、別の本発明は上記(1)に記載の磁気式位置回転検出用素子であって、前記GMR素子の感磁部分の相対的移動方向に周期的に変化した形状が、前記感磁部分の幅の周期的な変化であることを特徴とする。かかる構成により、感磁部分のパターンを簡易・小型化することができる。
(3)また、さらに別の本発明は、上記(1)または(2)に記載の磁気式位置回転検出用素子であって、前記GMR素子の感磁部分の形状が相対的移動方向に前記着磁ピッチと同じ周期で変化することを特徴とする。相対的移動方向の感磁部分の形状変化の周期と着磁ピッチの周期を同じにすることで出力波形の歪を抑制することができ、高精度の位置検出が可能となる。
(4)また、さらに別の本発明は、上記(1)または(2)に記載の磁気式位置回転検出用素子であって、前記人工格子磁気抵抗効果素子の感磁部分の形状が相対的移動方向に前記着磁ピッチの1/n(nは2以上の自然数)の周期で変化することを特徴とする。該構成では磁気抵抗効果素子の形状変化を高次の空間高調波成分に対して合わせることにより、着磁ピッチに対応する空間磁界の高調波成分のみを、出力として取り出すことができる。かかる構成によっても高精度の位置検出が可能である。
(5)また、さらに別の本発明は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の磁気式位置回転検出用素子であって、前記人工格子磁気抵抗効果素子の感磁部分が相対的移動方向に平行に複数配設されていることを特徴とする。かかる構成は、磁界検知部分を相対的移動方向に対してのみでなく、直交する方向に対しても、広い面積に分散して配置することとなり、空間的に検出信号を平均化する効果により、位置決め自由度の向上、媒体の局部的な特性ばらつき等の影響の平均化が可能となる。また、相対的移動方向の形状の変化を同位相とした場合には、これらを直列に結ぶことによって抵抗の増加を図ることができる。
(6)また、さらに別の本発明は、上記(5)に記載の磁気式位置回転検出用素子であって、前記平行に複数配設された感磁部分が、それぞれ相対的移動方向に形状変化のピッチの1/m(mは2以上の自然数)ずらして配設されていることを特徴とする。たとえば、λ/2ずらして配置した場合には、出力は逆位相となり、温度変化や外部からの雑音などほぼ同一の抵抗変化を受けるためこの接続点を出力端子とした場合、信号出力振幅は2倍となり,外乱に対しては出力電圧変化を発生しない。この構成は2次(偶数次)の高調波成分を打ち消す効果を持つ。同様にλ/3ずらして配置した場合には、3次の空間高調波を打ち消し、より高調波成分の少ない正弦波出力を得ることができる。
本発明では、狭い面積でもGMRパターンを稠密に配置し、またその長さを大きくとることできるため、抵抗値が高く、消費電流、発熱が少ない。また、パターン内部での接続部分も少ないため、信頼性、安定性が高いうえに、量産性にも優れる。また、広い面積で出力を平均化できるため、媒体の傷などによる局部的な特性変動の影響が少なく、取り付け自由度も大きい。さらに、本発明のGMR素子の感磁部分は相対的移動方向に長いため、該感磁部分が相対的移動方向に傾いて取り付けられた場合であっても、角度誤差が信号に与える影響が小さく、アジマスの許容範囲が高くなる。また、波形の歪も小さく、分解能に優れた位置回転検出用素子を提供することができる。
本発明は、高分解能な磁気式位置回転検出用素子として最適なGMR素子を検出素子として用いる。一般には、ガラス基板上にナノメートルオーダーのNi-Fe(パーマロイ)と銅薄膜を交互に10層以上積層した膜が用いられる。この膜の飽和磁界は数kA/mで、そのときの抵抗変化率は、パーマロイ単層膜の4倍程度、10%程度である。本発明では、このGMR素子の感磁部分が相対的移動方向に長く、その形状が該方向に周期的に変化したパターンを用いる。感磁部分の長さは、出力を平均化する構成とするため、また抵抗を高めるためにも、少なくとも磁気媒体の磁化パターンの着磁ピッチの2倍以上の長さとするが、該ピッチよりも十分に長いことが好ましい。感磁部分を例えば矩形の感磁部分を単純に長くしても磁気式位置回転検出素子として機能しないが、感磁部分の伸長と同時に、感磁部分の形状を周期的に変化させることにより検出素子としての機能を実現することに本発明の特徴の一つがある。感磁部分の長さを磁化パターンの着磁ピッチの2倍以上の十分な長さとすることで、広い空間範囲で検出出力を平均することができるので、局所的な特性変動の影響が小さくなり、取り付けの許容範囲も大きくなる。また、従来法での、磁化パターントラック幅方向に長い、長さLの一つの感磁パターンがθの傾きをもって取り付けられた場合、位相に対する誤差はL×sinθ/波長であるのに対し、本発明のように感磁パターンが相対的移動方向に長い場合は、その誤差はL×(1−cosθ)/波長になる。誤差であるθは通常小さいため、この場合角度に対して、2次関数で信号振幅が減少してくる。したがって、該感磁部分が相対的移動方向に傾いて取り付けられた場合であっても、角度誤差が信号に与える影響が小さく、取り付けに際しアジマスの許容範囲が高くなる。
本発明では、感磁部分のパターンの形状を相対的移動方向に周期的に変化させる。かかる構成によって、感磁部分の長さを磁化パターンの着磁ピッチの2倍以上としても磁気検出が可能となる。前記形状の変化は、感磁部分の平面的な形状の他、厚みの変化によってもよいが、簡易に製造するためには平面形状を変化させることが好ましい。平面形状を変化させる方法としては、感磁部分のパターンの幅を変化させる方法、感磁部分に中抜きを設けその形状や数を変化させる方法などがあるが、複数の感磁部分のパターンを平行にずらして配置する場合など、空間を有効に使うためには、感磁部分のパターンの幅を変化させることが望ましい。感磁部分の形状を変化させる第一の実施形態として、感磁部分のパターンの幅を変化させる方法を図1に示す。図1のパターンは正弦波的に、周期λで周期的に滑らかに幅が変化している例である。また、感磁部分の形状を変化させる第二の実施形態として、中抜きを設ける方法を図2に示す。図2のパターンでは、中抜きを設け、該中抜きを周期的に配置している。中抜きの形状は矩形に限定されるものではなく、例えば円形であってもよい。一方、形状変化の周期は、着磁ピッチと同じにすることで、この感磁部分が、空間周波数フィルタとして動作するため、基本波のみを取り出すことができ、不要な高調波成分を抑制するため、波形の歪の小さい出力を得ることができる。また、着磁ピッチの1/n(nは2以上の自然数)の周期で変化させることもできる。該構成では着磁ピッチに対応する基本波の高調波をのみを取り出すこととなるが、かかる構成によっても高精度の位置検出が可能である。
感磁部分のパターンの形状を周期的に変化させることの作用を、幅を着磁ピッチと同じ周期で図1のパターンで変化させた場合を例に、以下説明する。感磁パターンは幅に変化をもたせ、強磁性体の集磁効果を出す部分と、集められた磁束が通り抵抗変化を起こす部分が交互に連続的に変化するように構成される。感磁部分が媒体の磁化パターンに対して相対的に移動した場合の磁束の流れを模式図として図3に示す。感磁パターンのあるひとつの広い部分が磁気媒体の磁化パターンの磁極中央に近いとき(図3の上図)、隣接するパターンの広い部分は逆極性の磁極に最も近くなり、パターンの中を多くの磁束が通る。このときパターンの細くなった部分では磁束が収束され大きな抵抗変化(減少)をもたらす。一方この狭くなった部分が磁極の近くに来た場合には(図3の下図)、磁極からの磁束は狭いために集まりにくく、広い部分は媒体の磁極から離れ遠い位置にあるため、磁束を集めることに寄与しなくなり、抵抗変化も起きにくい。磁気媒体とGMR素子との相対的位置が変化することにより、このような抵抗値の変化が生じるため、位置情報を検出することができる。また、このようにGMR素子の感磁パターンは媒体との相対的な移動に伴って、着磁ピッチごとに交互に異なる方向の磁束を媒体から集め、パターンの狭くなった部分に磁束の流れを作り出す。すなわち、ひとつの感磁パターンの受ける磁界は、パターンの長手方向であるが、磁界の向きは隣り合う着磁ピッチごとに反転することになる。微少な区間の同一の磁束変化であっても素子の抵抗値はそれぞれの区間の断面積に反比例し、素子抵抗はそれらの合計であるため、感磁部分の幅が空間的に周期的に振動したGMR素子は、空間的に正弦波的な磁界を受け、パターン全体で抵抗変化を合計することにより、自動的に正弦波的な抵抗変化をもたらし、正弦波電圧が出力される。この考察から、正弦波的な抵抗変化をもたらすためには、パターン幅も正弦波的な幅の変化を与えることが望ましい。
感磁部分のパターン形状と磁界の印加方向との関係についてさらに詳述する。従来のパーマロイを用いた強磁性体磁気抵抗効果素子では、電流と磁化の方向とのなす角度の余弦に従って抵抗変化が起きる。形状異方性により磁化は長手方向を向きやすいが、この長手方向から磁化の向きを動かすには、長手方向と直交する短手方向に磁界を印加する必要があった。この場合、全体がひとつの磁気的なかたまりと考えられる動作を想定しており、そうでない場合にはバルクハウゼン雑音やヒステリシスなどの問題のある動作を引き起こす原因と考えられてきた。一方、GMRの場合は層間の磁化方向の角度差が抵抗変化を起こす原因である。このとき抵抗変化の大きさは磁界の方向によって大きな変化はないが、より正確にいえば、形状異方性からパターンの長手方向に磁界を印加するほうが若干大きな抵抗変化を得ることができる。しかし、この場合も、従来ひとつの感磁素子を形作るパターンの中で磁化の向きが反転することを想定していない。ところが発明者は、図4に示す強磁性磁気抵抗効果素子(AMR素子)とGMR素子のHkのパターン幅w依存性に着目した。ここでHkとは、印加磁界に対する抵抗変化において、抵抗変化の斜面部を直線近似し、該直線上抵抗変化が0%となる磁界をいう。Hkが小さいほど、低磁界で抵抗値が変化し、感度が高いと言える。パーマロイはパターン幅を狭くするとHkが増大し、急激に感度が下がる。ところがGMRではパターン幅が5μmでも感度が下がってこない。これは、パーマロイに比べてGMR膜はひとつのパターン内で強磁性体としての結合が弱いのではないかと考えた。例えば、パーマロイでは20μm離れても一塊の磁性体(ひとつの磁化)として動作するのに対し、GMRは、同一パターン内でも5μm以上離れると強磁性体としての結合が弱く、別々の磁性体として動作すると考えた。このことは感度の低下なしに、ひとつの感磁パターンの中で空間的に自由に多数回磁界の方向を変えることが可能であることを意味する。これが従来技術と大きく異なる点である。
本発明における前記GMR素子の感磁部分は、着磁ピッチの2倍以上の長さのパターンを平行に複数配設することができる。相対的移動方向の周期的な形状変化が同位相の該パターンをつづら折りにして、直列に結ぶことによって抵抗値の増大を図ることが容易である。また、それぞれ相対的移動方向に形状変化のピッチの1/m(mは2以上の自然数)、位相をずらして配設することにより、出力の差動化等を図ることができる。たとえば、λ/2(180度)ずらして配置した場合には、出力は逆位相となり、2次(偶数次)の高調波成分を打ち消すことができる。また、λ/4ずらして配置することにより、位相が90度ずれた出力を得て、相対的移動方向の正負を判別することができる。なお、同位相のパターンを直列に接続したもの複数を、互いに相対的移動方向に形状変化のピッチの1/m(mは2以上の自然数)、位相をずらして配設することもできる。
次に、検出信号の出力について、その一例を図19を参照しつつ説明する。
(1−1)基準とする同位相で形状変化する感磁パターンを複数個用意し、それらを直列に接続し、一方を電源Vddに接続する。
(1−2)さらに、前記基準となる感磁パターンと位相が180度異なり、同位相で形状変化する、すなわちλ/2ずらした、感磁パターンを(1−1)のパターンと同数用意し、それらを直列に接続し、一方を共通電位に、他方を先のパターン(1−1)と直列に接続する。
(1−3)この接続点すなわち中点を、差動増幅器Aの片方の入力端子(例えば正入力A1)に接続する。
(2−1)さらに基準となる感磁パターンと位相が180度異なり、同位相で形状変化する感磁パターンを(1−1)のパターンと同数用意し、それらを直列に接続し、一方を電源Vddに接続する。
(2−2)さらに、上記(2−1)のパターンと位相が180度異なり、同位相で形状変化する感磁パターンを(1−1)のパターンと同数用意し、それらを直列に接続し、一方を共通電位に、他方を先のパターン(2−1)と直列に接続する。
(2−3)この接続点すなわち中点を、差動増幅器Aの残りの入力端子(負入力A2)に接続する。
この4つの磁気抵抗素子群からなるブリッジと、差動増幅器Aとで、0度の出力を得る。
相対的移動方向の正負を判定するためには、通常上記と90度異なる出力が必要となる。そこで次にその90度異なる出力について説明する。
(3−1)基準と90度異なる、すなわち基準からλ/4順方向にずらした同位相で形状変化する感磁パターンを複数個用意し、それらを直列に接続し、一方を電源Vddに接続する。
(3−2)さらに、前記(3−1)の感磁パターンと位相が180度異なり、同位相で形状変化する、すなわち基準からλ×3/4逆方向にずらした感磁パターンを同数用意し、それらを直列に接続し、一方を共通電位に、他方を先のパターン(3−1)と直列に接続する。
(3−3)この接続点すなわち中点を、別の差動増幅器Bの片方の入力端子(例えば正入力B1)に接続する。
(4−1)さらに基準となる感磁パターンと位相が270度異なり、すなわち基準からλ×3/4逆方向にずらした、同位相で形状変化する感磁パターンを(3−1)のパターンと同数用意し、それらを直列に接続し、一方を共通電位に接続する。
(4−2)さらに、上記(4−1)のパターンと位相が180度異なり、同位相で形状変化する感磁パターンを(3−1)のパターンと同数用意し、それらを直列に接続し、一方を電源Vddに、他方を先(4−1)のパターンと直列に接続する。
(4−3)この接続点すなわち中点を、差動増幅器Bの残りの入力端子(負入力B2)に接続する。
この4つの磁気抵抗素子群からなるブリッジと差動増幅器Bで、90度の出力を得る。
本発明に係る磁気式位置回転検出素子は、大きな磁気抵抗変化を起こすGMR素子と磁性粉を混ぜた樹脂を塗布し着磁するなどして得られる媒体とからなり、通常エンコーダといわれる回転センサやリニアセンサである。その構成例を図5に示す。以下、実施の形態をもとに、GMR素子と磁気媒体との組み合わせや構成について具体的に説明する。
(実施例1)
塗布型媒体である磁気媒体に対して。着磁は磁気ヘッドを用いて記録ピッチ(S極N極間)20μmで行った。使用したGMRの積層構造の模式図を図6に示す。酸化膜によって絶縁されたシリコン基板に、パーマロイを主成分とする厚さ1.3〜1.8nmの磁性体と厚さ2〜3nmの銅をで交互にそれぞれ14層スパッタで積層した(図6では積層数は一部省力した)。図7はこの膜の印加磁界に対する抵抗変化の様子を示す。比較として強磁性体磁気抵抗効果膜(AMR)の変化も示した。図8は、この媒体からの磁気信号を検出するGMR素子の本発明のパターン図である。パターンの長さは記録ピッチに比べ十分に長い15倍の300μmである。パターンの幅は最大で10μm、最小で約2μm、であり、相対的移動方向座標xに対しておよそ3/(1−0.7×sin(2×π×x/λ))μmの式に従って連続的にパターン幅を変化させた。このパターンと、このパターンを10μmピッチ方向に移動したパターンを一組にして、合計6組並行にパターニングした。出力電圧のギャップ(磁気媒体と検出素子との間隔)依存性を図9に示す。磁気媒体と接している点から約10μmまでほとんど振幅が変化していない。また最もひずみの発生しやすい、接しているときの出力波形を図10に示す。媒体と検出素子が接しているため摩擦が不規則に発生し回転が一様でないため時間軸に変動が見られるが、正弦波状のひずみの少ない波形が得られた。パターンの短手方向の磁界に対してもGMR膜は感度を有するが、近接してハーフブリッジの2辺が配置されているため、双方とも同様に抵抗値が変化し、横方向の磁界の影響が出力に現れることは無かった。なお、素子抵抗は1048Ωであった。
(実施例2〜4)
パターン幅の変化を正弦波的な形状から、より簡単な形状である階段状や台形状に変えたものを作製した。用いたパターンを図11〜13に示す。そのときのギャップ依存性と出力を図9に示す。台形状のパターンが最も出力が大きかったが、大差は無く、いずれも図14〜16に示すように正弦波状の出力がえられ、ギャップ10μmまで振幅が変化せず、出力が半分になる実用的な範囲は15μm程度であった。また、素子抵抗は実施例2、実施例3、実施例4の場合でそれぞれ1069Ω、985Ω、913Ωであった。
本発明では波形整形がしやすく、従来過度のひずみのためギャップ5μm以下では使えなかったものが、磁気媒体と検出素子が接するまで使え、離れていった場合の波形の変動も小さいことがわかり、従来法では出力が半分になる約10μmまでしか使えないのに対し15μmまで使用できることが分かった。したがって使用可能範囲は5μmから15μmに拡大したことになる。また抵抗変化率の大きいGMRを用いているため、出力電圧振幅も約100mVと大きな値が得られた。このため、増幅せずに比較器に入力することも可能であった。
(比較例1)
図17に示す従来の配置の矩形パターンのGMR素子を作製した。感磁部分の相対的移動方向の幅は6μm、ピッチは20μmである。出力電圧のギャップ依存性を図9に示す。ギャップ10μmで、出力は磁気媒体と近接した場合の約半分に低下した。また、磁気媒体と近接して配置した場合のブリッジ出力を図18に示した。図18に示すように、この比較例では、媒体と近接した場合の出力振幅の最大値は実施例に比べて3割ほど大きいが、出力波形は過度に歪み、正弦波からはほど遠いものとなった。また、素子抵抗は657Ωと実施例1〜4に比べて低いものとなった。
(実施例5)
同一の媒体着磁法で分解能2.5μmを得ることを目的に位置回転検出素子を作製した。該分解能の実現には、従来法では高い取り付け精度が必要とされていた。パターンを図19に示す。GNDで接地し、電圧をVddから印加し、出力A1、A2は差動増幅器Aへ、出力B1、B2は差動増幅器Bへ接続している。実施例1では各パターンの位相差が0度と180度であったが、この実験では移動方向が分かるように90度の位相差を持つパターンを含めた。GMR膜のパターニングの寸法は縦300μm、横300μmである。これだけ小型でもパターンが稠密であるための、2つのブリッジ回路を電源から見た素子抵抗は約1.2キロオームであった。この値は電源電圧を5Vとしても4mAの消費電流であり、20mWの電力損失に過ぎず、素子寸法から考えて問題となる発熱ではない。図20に示す回路を用いて逓倍化することにより、最終的な分解能2.5μmを容易に得ることができた。
本発明の第一の実施形態のGMR素子感磁部のパターン図である。 本発明の第二の実施形態のGMR素子感磁部のパターン図である。 本発明のGMRパターンに対する磁束の流れを説明するための模式図である。 GMR素子のHkの幅(w)依存性を示す図である。 磁気式位置回転検出器(エンコーダ)の例を示す外観略図である。 GMRの膜構成を示す概略図である。 GMR素子の抵抗変化率の特性を示す図である。 実施例1のGMR素子感磁部のパターン図である。 出力のギャップ依存性を示す図である。 実施例1の出力波形の例を示す図である。 実施例2のGMR素子感磁部のパターン図である。 実施例3のGMR素子感磁部のパターン図である。 実施例4のGMR素子感磁部のパターン図である。 実施例2の出力波形の例を示す図である。 実施例3の出力波形の例を示す図である。 実施例4の出力波形の例を示す図である。 従来例である比較例の素子パターンを示す図である。 従来例である比較例の出力波形の例を示す図である。 本発明実施例5のGMR素子のパターンを示す図である。 本発明実施例5の回路を示す図である。
符号の説明
1:磁気媒体、 2:磁気式位置回転検出器、3:ギャップ、4:基板、5:下地層
6:非磁性金属層、7:強磁性層、8:表面保護膜

Claims (6)

  1. 一定の着磁ピッチで磁化パターンが記録された磁気媒体と、該磁気媒体に対して対向し、相対的に移動し前記磁化パターンを検出する人工格子磁気抵抗効果素子とを備え、前記人工格子磁気抵抗効果素子の感磁部分が相対的移動方向に前記着磁ピッチの2倍以上の長さを有し、かつ前記感磁部分が相対的移動方向に周期的に変化した形状を有する磁気式位置回転検出用素子。
  2. 前記人工格子磁気抵抗効果素子の感磁部分の相対的移動方向に周期的に変化した形状が、前記感磁部分の幅の周期的な変化である請求項1に記載の磁気式位置回転検出用素子。
  3. 前記人工格子磁気抵抗効果素子の感磁部分の形状が相対的移動方向に前記着磁ピッチと同じ周期で変化する請求項1または2に記載の磁気式位置回転検出用素子。
  4. 前記人工格子磁気抵抗効果素子の感磁部分の形状が相対的移動方向に前記着磁ピッチの1/n(nは2以上の自然数)の周期で変化する請求項1または2に記載の磁気式位置回転検出用素子。
  5. 前記人工格子磁気抵抗効果素子の感磁部分が相対的移動方向に平行に複数配設された請求項1〜4のいずれかに記載の磁気式位置回転検出用素子。
  6. 前記平行に複数配設された感磁部分が、それぞれ相対的移動方向に形状変化のピッチの1/m(mは2以上の自然数)ずらして配設された請求項5に記載の磁気式位置回転検出用素子。
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JP2020187064A (ja) * 2019-05-16 2020-11-19 日本電産サンキョー株式会社 磁気センサ装置
JP2021135161A (ja) * 2020-02-27 2021-09-13 株式会社東海理化電機製作所 回転検出装置

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