JP2006095970A - 樹脂製一体成形品の成形型と成形方法 - Google Patents

樹脂製一体成形品の成形型と成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本体とクリップ座が一体成形された成形品の外観品質が、面歪みによって悪化してしまうのを防止する技術を提供する。
【解決手段】 成形型22は、本体とクリップ座を有する樹脂製の成形品を成形する。その成形型22は、本体部分を成形する第1成形空間43と、クリップ座部分を成形するとともに第1成形空間43と連通する第2成形空間39と、成形型22に射出された充填用の成形材を第1成形空間43に導く第1成形材通路44と、成形型に射出された充填用の成形材を第2成形空間39に導く第2成形材通路30と、第1成形材通路44と第2成形材通路30の少なくとも一方の通過抵抗を設定する通過抵抗設定部50を備えている。
【選択図】 図5

Description

本発明は、クリップ座を備える樹脂製一体成形品を成形する技術に関するものである。
本体とクリップ座が一体成形された樹脂製の成形品が知られている(例えば、特許文献1)。クリップ座は成形品を相手側(例えば、車両本体)に取り付けるのに用いられる。
成形品は、成形型内に成形材を射出することによって成形される。成形型は、本体部分を成形する第1成形空間と、クリップ座部分を成形するとともに第1成形空間と連通する第2成形空間と、第1成形空間に成形材を充填する成形材通路を備えている。成形材通路から第1成形空間に充填された成形材は、さらに第2成形空間に充填される。このような成形型で成形された成形品では、本体のクリップ座近傍の表面に面歪み(面のうねり)が発生することがある。面歪みが発生すると、成形品の外観品質が悪化してしまう。
特開2000−351131号公報
本発明は、その問題を解決するためになされたものであり、本体とクリップ座が一体成形された成形品の外観品質が、面歪みによって悪化してしまうのを防止する技術を提供することを課題とする。
本発明の成形型は、本体とクリップ座を有する樹脂製の成形品を成形する。その成形型は、本体部分を成形する第1成形空間と、クリップ座部分を成形するとともに第1成形空間と連通する第2成形空間と、成形型に射出された充填用の成形材を第1成形空間に導く第1成形材通路と、成形型に射出された充填用の成形材を第2成形空間に導く第2成形材通路と、第1成形材通路と第2成形材通路の少なくとも一方に設けられた通過抵抗設定部を備えている。
この成形型では、第1成形材通路と第2成形材通路の少なくとも一方に通過抵抗設定部が設けられている。通過抵抗設定部が通過抵抗を設定すると、第2成形材通路から第2成形空間に充填した成形材が第2成形空間内に留まるように、第1成形材通路から第1成形空間に充填する成形材量と第2成形材通路から第2成形空間に充填する成形材量の割合を調整することができる。このように調整すると、面歪みによって成形品の外観品質が悪化するのを防止することができる。
本発明の成形方法は、本体とクリップ座を有する樹脂製の成形品を成形型で成形する。その成形方法は、成形型に射出された充填用の成形材を、本体部分を成形する第1成形空間には第1成形材通路で導く一方、クリップ座部分を成形するとともに第1成形空間と連通する第2成形空間には第2成形材通路で導き、第2成形材通路から第2成形空間に充填した成形材が第2成形空間内に留まるように、第1成形材通路から第1成形空間に充填する成形材量と第2成形材通路から第2成形空間に充填する成形材量の割合を調整する。
この成形方法は、第2成形材通路から第2成形空間に充填した成形材が第2成形空間内に留まるように、第1成形材通路から第1成形空間に充填する成形材量と第2成形材通路から第2成形空間に充填する成形材量の割合を調整する。このように調整すると、面歪みによって成形品の外観品質が悪化するのを防止することができる。
上記の成形方法において、第2成形材通路から第2成形空間に充填した成形材が第2成形空間の容積の90〜100%を占めるように、第1成形材通路から第1成形空間に充填する成形材量と第2成形材通路から第2成形空間に充填する成形材量の割合を調整することが好ましい。
この成形方法によれば、面歪みによって成形品の外観品質が悪化するのを、より防止することができる。
後述する実施例の主要な特徴を記載する。
(1)射出成形装置は、成形品本体とクリップ座を有する一体成形の樹脂製成形品を成形する。
(2)射出成形装置は、成形型と射出部を備えている。成形型は、第1分割型と第2分割型を有している。
(3)第1分割型には、第1キャビティが形成されている。第2分割型には、第4ランナーが形成されている。成形型が閉じた状態では、第2ランナーと、第2キャビティと、第3ランナーが形成される。第3ランナーは、第2ランナーと第2キャビティを連通する。第4ランナーは、他端が射出部と接続されており、一端が第2ランナーに開口している。第1分割型には第1ランナーが形成されている。第1ランナーは、第2ランナーと第1キャビティの底部とを連通する。
(4)第2ランナーの途中には、通過抵抗設定部が設けられている。通過抵抗設定部は、第2ランナーの通過抵抗を設定する。
最初に、本発明に係る射出成形装置によって成形される成形品の一例について説明する。成形品は、一体成形された樹脂製である。図1に示すように、成形品10は、成形品本体12と、その成形品本体12から突設したクリップ座14を備えている。クリップ座14は、コの字状の横断面を有している。クリップ座14の端部には、係止面16が形成されている。係止面16は、切欠き15によって切り欠かれている。クリップ座14は、成形品10を相手側(例えば、自動車のボディ)に取付けるために用いられる。係止面16には、スクリュウ頭や、ナット等の成形品10取付用部品が係止する。切欠き15には、成形品10取付用のスクリュウの軸部が通過する。
図2に示すように、射出成形装置20は、成形型22と射出部21を備えている。成形型22は、第1分割型23と第2分割型24を有している。図2は、第1分割型23と第2分割型24が接触し、成形型22が閉じられた状態を図示している。成形型22は、第1分割型23と第2分割型24が分離すると開かれる(分割される)。
図3に示すように、第1分割型23の接触面25(成形型22が閉じたときに、第2分割型24と接触する面)には、第1溝26と第2溝27が形成されている。第1溝26と第2溝27の長手直角断面は、半円状に形成されている。第2溝27は、第1溝26から分岐している。
第1分割型23には、接触面25に対して直角方向に掘り下げられた第1凹部28が形成されている。第1分割型23は、中子29を有している。中子29は、第1凹部28に入り込んでいる。第1凹部28と中子29によって、成形品10のクリップ座14部分を成形する第1キャビティ39が形成される。第1分割型23には、一端35が第1溝26に開口するとともに、他端36が第1キャビティ39の底部に開口する第1ランナー30が形成されている。
図4に示すように、第2分割型24の接触面32には、第3溝31と第4溝33が形成されている。第3溝31と第4溝33の長手直角断面は、半円状に形成されている。第2分割型24には、第2凹部34が形成されている。第4溝33は、一端37が第3溝31に接続されており、他端38が第2凹部34に接続されている。
図5は、成形型22の平面図である。図6は、図5のVI−VI線断面図である。図6に示すように、成形型22が閉じた状態では、第1分割型23の第1溝26と第2分割型24の第3溝31によって、第2ランナー42が形成される。成形型22が閉じた状態では、第2分割型24の第2凹部34が第1分割型23によって塞がれ、第2キャビティ43が形成される。
図7に示すように、成形型22が閉じた状態では、第1分割型23の第2溝27と第2分割型24の第4溝33によって、第3ランナー44が形成される。第3ランナー44は、第2ランナー42と第2キャビティ43を連通する。第2分割型24には、第4ランナー45が形成されている。第4ランナー45の一端46は、第2ランナー42に開口している。第4ランナー45の他端47は、射出部21と接続されている。射出部21は、溶融した樹脂を成形材として射出する。
図5に示すように、第2ランナー42の途中には、通過抵抗設定部50が設けられている。図8に示すように、通過抵抗設定部50は、第1分割型23に形成されたスクリュウ穴51に螺合するスクリュウ52を備えている。スクリュウ穴51は、第1溝26に開口している。スクリュウ52は、成形型22を開いた状態で操作することができる。スクリュウ52を操作して回転させると、スクリュウ頭53が第2ランナー42内に出っ張る高さを変えることができる。従って、スクリュウ53を回転することで、通過抵抗設定部50の開口面積を変化させることができる。通過抵抗設定部50の開口面積を変化させると、その部分の通過抵抗を調整することができる。「通過抵抗」とは、流体力学的な抵抗(圧力損失)を意味する。スクリュウ頭53が第2ランナー42内に出っ張る高さを大きくすると、開口面積が小さくなる(通過抵抗が大きくなる)。スクリュウ頭53が第2ランナー42内に出っ張る高さを小さくすると、開口面積が大きくなる(通過抵抗が小さくなる)。
射出部21が成形材を射出すると、成形材は第4ランナー45と第2ランナー42と第3ランナー44を通過して第2キャビティ43に充填される。一方、第2ランナー42に流入した成形材は、通過抵抗設定部50と第1ランナー30を通過して第1キャビティ39に充填される。また、第2キャビティ43に充填された成形材は、さらに第1キャビティ39にも充填される。
通過抵抗設定部50を操作すると、第1ランナー30から第1キャビティ39に充填される成形材量と、第2キャビティ43から第1キャビティ39に充填される成形材量の割合を設定することができる。通過抵抗設定部50の通過抵抗が小さくなるように調整すると、第1ランナー30から第1キャビティ39に充填される成形材量が多くなり、第2キャビティ43から第1キャビティ39に充填される成形材量が小さくなる。通過抵抗設定部50の通過抵抗がより小さくなるように調整すると、第1キャビティ39は、第1ランナー30からのみの成形材によって充填される。通過抵抗設定部50の通過抵抗が大きくなるように調整すると、第1キャビティ39に充填される成形材量が少なくなり、第2キャビティ43から第1キャビティ39に充填される成形材量が多くなる。
通過抵抗設定部は上述した形態に限られず、例えば、ランナーの途中に絞りを設けたり、一部のランナーの径を他のランナーと異ならせたりして構成してもよい。通過抵抗設定部は、第3ランナー44の途中に設けても良い。あるいは、通過抵抗設定部を第2ランナー42の途中と第3ランナー44の途中の双方に設けても良い。
第1ランナー30が設けられていない成形型で成形品を成形すると、成形品本体12のクリップ座14が設けられているのと反対側の面に面歪みが発生する。成形品本体12のクリップ座14が設けられているのと反対側の面は、意匠面とされるのが一般的である。ここで、意匠面とは、成形品が製品として用いられるときに、外部から視認される面(図1に示す成形品10の成形品本体12において、クリップ座14が設けられているのと反対側の面に相当)を意味する。
成形品の面歪みは、キャビティに成形材が充填されたときに、キャビティ内で局部的に成形材が激しく流動すること(いわゆる「内部ウエルド」)で発生する。すなわち、第1ランナー30が設けられていないと、第2キャビティ43から第1キャビティ39に成形材が大量に流れ込み、それによって起きる内部ウエルドによって、成形品本体12に面歪みが発生する。また、第2キャビティ43から第1キャビティ39に流れ込んだ成形材が、第2キャビティ43に逆流する内部ウエルドによっても、成形品本体12に面歪みが発生する。面歪みは、微少であっても、成形品の面に光を当てて斜めから見ると明瞭に観察される。このため、たとえ微少であっても面歪みが発生してしまうと、成形品の外観品質が悪化してしまう。
発明者は、第1ランナー30から第1キャビティ39に充填される成形材量と、第2キャビティ43から第1キャビティ39に充填される成形材量について、それらの値を様々に設定して成形品10を成形してみた。その結果、第1キャビティ39の容積に対する第1ランナー30から第1キャビティ39に充填された成形材の容積の割合(以下「バイパス充填割合(%)」と言う)が「90〜100(%)」の場合に、面歪みが全く発生しないことを見出した。バイパス充填割合が90(%)未満の場合には、その割合が小さくなるのにしたがって面歪みが大きくなり、成形品の外観品質が悪化した。なお、第1ランナー30から第1キャビティ39に充填された成形材が第2キャビティ43に入り込む(第1キャビティ39から溢れる)と、成形品本体12に面歪みが発生した。
発明者は、種々の形態の成形品について試験を行った。図9は、その試験結果をまとめたものである。「ケース1」と「ケース2」の成形品は、成形品本体とクリップ座が一体成形されている。「ケース1」の成形品を成形した成形型には、クリップ座を成形するキャビティに成形材を充填するランナーが設けられている。「ケース2」の成形品を成形した成形型には、クリップ座を形成するキャビティに成形材を充填するランナーが設けられていない。すなわち、「ケース1」の成形品が、上述した成形型22によって成形された成形品に相当する。「ケース3」と「ケース4」の成形品は、成形品本体とクリップ座が別々に成形され(別体で成形され)、その後に成形品本体とクリップ座が接合されている。「ケース3」は、成形品本体とクリップ座が溶着によって接合されている。「ケース4」は、成形品本体とクリップ座が接着によって接合されている。
図9に示されているクリップ座強度とは、クリップ座に反成形品側の力を加えたときの破壊荷重を意味している。また、クリップ座強度の欄に記載された「○」は、その成形品が実用上十分な強度を有していることを示している。クリップ座強度の欄に記載された「△」は、クリップ座の根本部分の横断面面積を増加させないと、必要な強度が確保できないことを示している。意匠面外観品質の欄に記載されている「○」は、面歪みが視認できないことを示している。意匠面外観品質の欄に記載されている「△」は、成形品面に面歪みが視認されることを示している。
図9から明らかなように、本実施例の成形型22によって成形された成形品に相当する「ケース1」のものが、クリップ座強度、意匠面外観品質の点から最も優れている。
本実施例に記載のキャビティは、請求項に記載の成形空間に相当する。本実施例に記載のランナーは、請求項に記載の成形材通路に相当する。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
成形品の斜視図。 射出成形装置の側面図。 第1分割型の斜視図。 第2分割型の斜視図。 成形型の平面図。 図5のVI−VI線断面図。 図5のVII−VII線断面図。 通過抵抗設定部の断面図。 成形品の形態による強度や意匠面外観品質をまとめた表。
符号の説明
10:成形品
12:成形品本体
14:クリップ座
15:切欠き
16:係止面
20:射出成形装置
21:射出部
22:成形型
23:第1分割型
24:第2分割型
25:接触面
26:第1溝
27:第2溝
28:第1凹部
29:中子
30:第1ランナー
31:第3溝
33:第4溝
34:第2凹部
35:一端
36:他端
37:一端
38:他端
39:第1キャビティ
42:第2ランナー
43:第2キャビティ
44:第3ランナー
45:第4ランナー
46:一端
47:他端
50:通過抵抗設定部
51:スクリュウ穴
52:スクリュウ
53:スクリュウ頭

Claims (3)

  1. 本体とクリップ座を有する樹脂製の成形品を成形する型であり、
    本体部分を成形する第1成形空間と、
    クリップ座部分を成形するとともに第1成形空間と連通する第2成形空間と、
    成形型に射出された充填用の成形材を第1成形空間に導く第1成形材通路と、
    成形型に射出された充填用の成形材を第2成形空間に導く第2成形材通路と、
    第1成形材通路と第2成形材通路の少なくとも一方に設けられた通過抵抗設定部を備えることを特徴とする成形型。
  2. 本体とクリップ座を有する樹脂製の成形品を成形型で成形する方法であり、
    成形型に射出された充填用の成形材を、本体部分を成形する第1成形空間には第1成形材通路で導く一方、クリップ座部分を成形するとともに第1成形空間と連通する第2成形空間には第2成形材通路で導き、第2成形材通路から第2成形空間に充填した成形材が第2成形空間内に留まるように、第1成形材通路から第1成形空間に充填する成形材量と第2成形材通路から第2成形空間に充填する成形材量の割合を調整することを特徴とする成形方法。
  3. 第2成形材通路から第2成形空間に充填した成形材が第2成形空間の容積の90〜100%を占めるように、第1成形材通路から第1成形空間に充填する成形材量と第2成形材通路から第2成形空間に充填する成形材量の割合を調整することを特徴とする請求項2に記載の成形方法。
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JP2008001020A (ja) * 2006-06-23 2008-01-10 Honda Motor Co Ltd 樹脂成形品

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