JP2006095924A - 化粧シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】揮発性有機化合物による室内空気汚染の問題を軽減ないしは解消できる化粧シートを提供する。
【解決手段】基材シート上に2つ以上の層が積層された化粧シートであって、
前記層の少なくとも1つの層が、溶剤の一部又は全部がイソプロピルアルコール、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸プロピルからなる混合溶剤である速乾性組成物により形成されている、ことを特徴とする化粧シートに係る。
【選択図】なし

Description

本発明は、揮発性有機化合物による室内空気汚染が低減ないしは解消された化粧シートとその製造方法に関する。
化粧シートは、種々の対象物品(被着材)の表面を被覆し、美観を付与するために用いられる。その対象物品の種類は多いが、特に建築物の内外装、家具、家庭電機製品、厨房家具等に良く使われる。
化粧シートは、それぞれの用途に応じて種々の構成があるが、いずれの用途向けであっても対象物品を隠蔽し得る隠蔽性、耐久性(特に耐摩耗性)、柔軟性、強度等が一定レベル以上であることが望まれる。
ポリ塩化ビニル樹脂シートが汎用されていた頃には、化粧シートをポリ塩化ビニル樹脂シートで構成し、着色ポリ塩化ビニルシートに印刷を施して模様層を設け、その上に透明シートを熱融着させるとともに、エンボス加工を施した二層のシートからなるものが化粧シートとして多用されていた。ところが、廃棄の際に、化粧シート中に含有する可塑剤等が高温で分解され、有害物質が生じるという問題が生じた。このため、ポリプロピレン樹脂を代表とするポリオレフィン系樹脂のシートで代替されるようになり、その代替に伴なう改良も進められている。
他方、近年においては、室内空気汚染の問題が提起され、その問題を解決するための技術が種々検討されている。
このような状況のもとで、ポリオレフィン系樹脂よりなる基材シート上に設けた化粧柄の面に少なくとも紫外線硬化型樹脂からなる接着剤層、溶融押出しコーティングによる透明ポリオレフィン系樹脂よりなり、かつ、当該透明ポリオレフィン系樹脂層の表面が凹凸模様であることを特徴とする化粧シートが提案されている(例えば特許文献1)。
また、ポリオレフィン系樹脂等の基材シートが不透明着色シートであり、当該基材シートの表側とする面に絵柄層が水性インキを用いて形成され、さらにその上に、接着層を介して、透明オーバーレイ層が形成されてなる化粧シートも提案されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、これらの従来技術では、揮発性有機化合物(VOC)による室内空気汚染の問題を解決することについては何も記載されていない。事実、いずれの化粧シートにおいても、揮発性有機化合物による室内空気汚染の問題を満足できる程度に解消するためには、なお改善の余地がある。
特開平10−278197号公報(第3頁、図1) 特開2001−38849号公報(第3頁、図1)
揮発性有機化合物の問題については、速乾性の溶剤を用いることによって対処することも可能である。すなわち、きわめて揮発しやすい溶剤を採用することにより、化粧シート製造工程段階において塗膜中から溶剤を揮発させ、最終的な製品中の残存溶剤を低減させる方法も考えられる。
しかしながら、そのような高い速乾性をもつ溶剤を使用する場合には、インキの乾燥が速すぎるために印刷層等の形成が困難になるという新たな問題が発生する。また、たとえ印刷層の形成が可能であったとしても、そのようなインキで形成された印刷層では実用に耐えられる化粧シートを得ることは困難である。
従って、本発明の主な目的は、揮発性有機化合物による室内空気汚染の問題を軽減ないしは解消できる化粧シートを製造することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、化粧シートを構成する層を特定の組み合わせからなる溶剤を用いた速乾性組成物によって形成することによって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の化粧シート及びその製造方法に係る。
1. 基材シート上に2つ以上の層が積層された化粧シートであって、
前記層の少なくとも1つの層が、溶剤の一部又は全部がイソプロピルアルコール、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸プロピルからなる混合溶剤である速乾性組成物により形成されている、ことを特徴とする化粧シート。
2. 化粧シートが、基材シート上に少なくとも模様層、接着剤層及び透明シート層が順に積層されたものである前記項1に記載の化粧シート。
3. 化粧シートが、基材シート上に少なくとも模様層、接着剤層、透明シート層及び保護層が順に積層されたものである前記項1に記載の化粧シート。
4. 少なくとも模様層が前記速乾性組成物により形成されている前記項2又は3に記載の化粧シート。
5. 透明シート層と保護層との間にプライマー層が形成され、前記保護層が電離放射性硬化型樹脂により形成されている前記項2〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6. プライマー層及び/又は保護層が前記速乾性組成物により形成されている前記項5に記載の化粧シート。
7. 混合溶剤が、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸プロピルの合計100重量部に対してイソプロピルアルコール及び酢酸エチルが合計60重量部以上、プロピレングリコールモノメチルエーテルが2.5重量部以上、酢酸プロピルが20重量部以上を含む前記項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
8. 基材シート上に2つ以上の層が積層された化粧シートを製造する方法であって、
前記層の少なくとも1つの層を、溶媒の一部又は全部がイソプロピルアルコール、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸プロピルからなる混合溶剤である速乾性組成物により形成する工程を含むことを特徴とする化粧シートの製造方法。
9. 混合溶剤が、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸プロピルの合計100重量部に対してイソプロピルアルコール及び酢酸エチルが合計60重量部以上、プロピレングリコールモノメチルエーテルが2.5重量部以上、酢酸プロピルが20重量部以上を含む前記項8に記載の製造方法。
本発明の化粧シートは、溶媒の一部又は全部としてイソプロピルアルコール、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸プロピルを含む速乾性組成物により層が形成されているので、揮発性有機化合物による室内空気汚染の問題を軽減ないしは解消することができる。また、速乾性組成物を用いているにもかかわらず、従来の溶剤を含むインキで形成された層と同程度又はそれ以上の特性をもつ化粧シートを得ることができる。
1.本発明の化粧シートの構成
本発明の化粧シートの構成は限定的でなく、基材シート上に2つ以上の層が積層された化粧シートであれば良い。公知の化粧シートの構成をいずれも採用することができる。例えば、1)基材シート上に少なくとも模様層、接着剤層及び透明シート層が順に積層された化粧シート、2)基材シート上に少なくとも模様層、接着剤層、透明シート層及び保護層が順に積層された化粧シート等が挙げられる。
以下、上記2)の構成を代表例として説明する。図1には、化粧シートの積層構成を示す。図1の化粧シート1は、化粧シートの下層から順に、プライマー層2、基材シート3、模様層4、接着剤層5、透明シート層6及び保護層7が積層されている。
なお、最下面のプライマー層2は、化粧シート1と被着体との接着性を向上させるためのものであり、本発明では任意的な層である。また、必要に応じて、最上面から必要な層まで及ぶエンボス加工による凹凸を付しても良い。
本発明の化粧シートは、製造手順(積層工程)は特に限定されない。例えば、基材シート3及び透明シート6がポリオレフィン系樹脂シートである場合は、基材シート3へ印刷により模様層4を形成し、模様層4上に接着剤層5を塗布により形成し、接着剤層5上への溶融押出しにより透明シート6を積層し、コーティングにより保護層7の積層を行えば良い。
本発明では、基材シート3上に積層される層のうち少なくとも1つの層が、溶剤の一部又は全部(好ましくは全部)がイソプロピルアルコール、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸プロピルからなる混合溶剤(以下「本発明混合溶剤」ともいう。)である速乾性組成物(以下「本発明組成物」ともいう。)により形成されていることを特徴とする。
本発明組成物により形成される層は限定的でなく、化粧シートの構成等に応じて適宜採択することができる。実施の形態では、模様層、接着剤層、保護層等のいずれか1層又はそれ以上の層を本発明組成物により形成すれば良い。さらに、例えば保護層を電離放射性硬化型樹脂等により形成する場合には、その下地としてプライマー層(EBプライマー層)を形成することもできる。そして、プライマー層の形成にも本発明組成物を用いることができる。
いずれの構成においても、本発明では、少なくとも模様層が本発明組成物により形成されていることが望ましい。これにより、VOCの問題と印刷特性の問題とを一挙に改善することができる。
本発明組成物は、溶剤の一部又は全部(好ましくは溶剤の全部)がイソプロピルアルコール(IPA)、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)及び酢酸プロピルからなる混合溶剤である速乾性組成物である。かかる溶剤の組み合わせをもつ組成物を用いて各層の少なくともいずれかを形成することによって、VOCの問題を解決するとともに、優れた塗膜特性を有する層を得ることができる。
本発明混合溶剤の含有割合は、所望の印刷特性等に応じて適宜設定することができるが、特にイソプロピルアルコール、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸プロピルの合計100重量部に対してイソプロピルアルコール及び酢酸エチルが合計60重量部以上(さらには70重量部以上)、プロピレングリコールモノメチルエーテルが2.5重量部以上(さらには5重量部以上)、酢酸プロピルが20重量部以上(さらには25重量部以上)を含むことが好ましい。
また、イソプロピルアルコールと酢酸エチルとの割合は限定的ではないが、前記70重量部のうちイソプロピルアルコールが5〜30重量部(特に10〜20重量部)とすることが好ましい。
本発明では、本発明混合溶剤を溶剤の一部として使用する場合、全溶剤中における本発明混合溶剤の割合は通常80重量%以上100重量%未満の範囲内で適宜設定すれば良い。この場合、残部の溶剤としては、特に炭素数が5以下の有機溶剤を用いることが望ましい。これにより、VOCの問題をより確実に回避することができる。
炭素数5以下(炭素数1〜5)の有機溶剤としては、本発明混合溶剤で使用されたもの以外のものであれば良く、例えばメタノール、エタノール、イソブタノール、ペンタノール等のアルコール類(特に脂肪族アルコール類);アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸イソプロピルのカルボン酸エステル類等を挙げることができる。これら有機溶剤は、1種又は2種以上で用いることができる。
本発明組成物における固形分含有量は、限定的でなく、本発明混合溶剤の組成、固形分(樹脂等)の種類、所望の特性等に応じて適宜設定することができる。
2.本発明の化粧シートを構成する各層
本発明の化粧シート1を構成する各層について、図1に従って順に説明する。
プライマー層
最下面のプライマー層2は、化粧シート1と被着材との接着性を向上させるために、必要に応じて設けることができる。
プライマー層2を形成する材料は限定的でなく、公知の化粧シートのプライマー層と同様のものを使用できる。例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂等を1種又は2種以上で使用することができる。
プライマー層の形成方法は限定されず、公知の方法に従えば良い。例えば、上記の樹脂を適当な溶媒に溶解又は分散してなる樹脂溶液又は樹脂エマルションとし、これを用いて公知の塗布又は印刷手段を用いて形成すれば良い。
本発明では、上記溶媒として1)水又は水系溶媒、2)本発明混合溶剤又は3)前記の炭素数5以下の溶剤のいずれかを用いることが望ましい。これにより、室内空気汚染の防止に効果的に寄与することができる。
上記の水系溶媒としては、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒を使用することができる。水溶性有機溶剤は、公知のものを使用できる。例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールのほか、グリコール類、グリコールエーテル類等を挙げることができる。
なお、プライマー層は、どの段階で形成しても良い。例えば、1)何も積層されていない状態の基材シート3にプライマー層2を積層する、2)基材シート3上に透明シート6までを含む各層を積層した後にプライマー層2を積層する、3)基材シート3上に保護層7までを含む各層を積層した後にプライマー層2を積層することができる。また、これら以外の段階で積層することもできる。
基材シート
基材シート3は、公知の化粧シートに用いられる素材であればいずれも使用することができる。例えば、紙類、プラスチックス、金属(又は合金)、これらの複合材料等が挙げられる。これらの材料をシート、箔等の形態で使用すれば良い。この中でも、印刷又は塗装による美観の付与が容易であり、化粧シートの製造時の加工性あるいは化粧シートを対象物品の表面に適用するときの加工性(例えば、折り曲げ、成形)に優れているという点でプラスチックスが好ましい。
プラスチックスとしては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66等)、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂等を使用できる。上記のプラスチックスの中でも、有害物質を生じるおそれのないポリオレフィン系樹脂を用いることが望ましい。
ポリオレフィン系樹脂としてより具体的には、非エラストマーであるポリオレフィン系樹脂と、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとの2つのタイプがある。
前者の非エラストマーとしては、具体的にはポリエチレン(低密度、中密度又は高密度)、ポリプロピレン(アイソタクチック型、シンジオタクチック型、これらの混合型)、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/ブテン共重合体等の高結晶質のものが例示される。
後者のエラストマーとしては、次に示す(1)〜(8)のようなものが例示される。
(1)主原料がハードセグメントである高結晶質の高密度ポリエチレン又はアイソタクチックポリプロピレン等からなり、さらにソフトセグメントとしてのエラストマー、必要に応じて無機充填剤等を添加したもの
なお、上記エラストマーとしては、例えばジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム等がある。水素添加ジエンゴムは、上記のジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるものであり、ポリオレフィン系樹脂(本発明においては、高密度ポリエチレン又はポリプロピレン)の結晶化を抑え、柔軟性を向上させたものである。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種を加えた弾性共重合体である。オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては1,4−ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィン系共重合体ゴムとしては、例えばエチレン/プロピレン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて適量架橋させても良い。
(2)ハードセグメントがアイソタクチックポリプロピレン、ソフトセグメントがアタクチックポリプロピレンであって、好ましくは後者の割合が5重量%未満のもの(特公平6−23278号公報記載)
(3)エチレン/プロピレン/ブテンの共重合体であって、ブテンとして1−ブテン、2−ブテン又はイソブチレンの3種の構造異性体の1種を含むもの
次の(3a)〜(3c)が代表的である。
(3a)エチレン/プロピレン/ブテンの3元のランダム共重合体であり、モノマー中のプロピレンが好ましくは90重量%であるもの(特開平9−111055号公報記載)。
(3b)プロピレン成分含有率が50重量%以上である、エチレン/プロピレン/ブテンの3元の共重合体からなる非晶質と、結晶質ポリプロピレンからなるもの(特開平5−77371号公報記載)。
(3c)プロピレン及び/又は1−ブテンの含有量が50重量%以上の低結晶質と、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィンを含み、さらに油ゲル化剤を0.5重量%添加したもの(特開平7−316358号公報記載)。
(4)ハードセグメントがポリエチレン、ポリプロピレン又はポリメチルペンテン等の結晶質であり、ソフトセグメントが部分架橋したエチレン/プロピレン非共役ジエン3元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重合体ゴムであるもの(特公昭53−21021号公報記載)
(5)ハードセグメントとしてのオレフィン系共重合体(結晶質)とソフトセグメントとしての未架橋モノオレフィン共重合体ゴムとを加熱しつつ剪断応力を加え、部分架橋させてあるもの(特公昭53−34210号公報記載)
(6)過酸化物と混合・加熱すると分子量が減って流動性が増す過酸化物分解型オレフィン重合体、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体、又はプロピレン/ブテン−1共重合体をハードセグメントとし、同様な操作で流動性が減る過酸化物架橋型モノオレフィン重合体、例えば、エチレン/プロピレン共重合体ゴム、エチレン/プロピレン/非共役ジエン3元共重合体ゴム等をソフトセグメントとし、さらには同様な操作で架橋せず、流動性も変わらない過酸化物非架橋型炭化水素ゴム、等を過酸化物の存在下で混合・加熱して得られるもの(特公昭56−15741号公報記載)
(7)エチレン/スチレン/ブタジエン共重合体(特開平2−139232号
公報記載)
(8)水酸基又はカルボキシル基を持たせた上記(1)〜(7)のオレフィン
系エラストマー
上記のポリオレフィン系樹脂は、紫外線吸収剤及び光安定剤の少なくとも1種を添加したものを使用することが好ましい。これらの紫外線吸収剤及び光安定剤は、公知又は市販のものを使用することができる。
基材シート3は、被着材に貼り付けたときの隠蔽性を向上させる目的、化粧シートに付与する模様の外観を向上させる目的等で公知の着色剤により着色することもできる。
上記着色剤としては、例えばカーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青、チタン白等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料;アルミニウム、真鍮、二酸化チタン被覆雲母等の鱗片状箔片からなる光輝性顔料等が使用できる。その他にも、各種の染料を使用することもできる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
また、基材シートに充填剤を配合することもできる。例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、滑石、カオリナイト等を用いることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
基材シート3の厚みは、一般的には20μm〜150μm程度であるが、化粧シートの用途等によっては上記範囲を超えても良い。
模様層
模様層4は、化粧シートに意匠的な外観等を付与するためのものである。従って、模様層4は、化粧シートの使用目的、用途等に応じて、絵、文字、図等を単独又は適宜組み合わせて用いれば良い。
模様層は、一般的には印刷インキを用いる印刷法により好適に形成できる。印刷法としては、バインダの選択範囲が広いという点でグラビア印刷法が適しているが、これ以外の印刷法によっても良い。また、印刷法のほかに、電子写真法、インキジェット法等も適用できる。
模様層は、基本的には、着色剤及び樹脂(バインダ樹脂)を含む公知の印刷インキを用いて形成することもできるが、特に溶媒の一部又は全部が本発明混合溶媒である印刷インキ(本発明組成物)により形成することが望ましい。例えば、樹脂を本発明混合溶剤に溶解した樹脂溶液、樹脂を本発明溶剤に分散させた樹脂エマルジョン等を印刷インキとして好適に用いることができる。本発明組成物を印刷インキとして用いることによって、印刷時において印刷用版からプラスチックシートにインキが移るまでの間に乾燥することを確実に防止することができる。しかも、既存のインキと異なり、製造段階で本発明溶剤のほとんどが揮発してしまうので、化粧シートの使用時において室内空気が汚染される問題も軽減ないしは解消することができる。
模様層の形成にあたり、本発明組成物に適した樹脂(バインダ樹脂)としては、例えばアルカリ溶液可溶性(メタ)アクリル系共重合体を用いることができる。この共重合体は、例えば(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー、(メタ)アクリルアミド等のアミド系モノマーもしくはそのようなアミド系モノマーのN−アルコキシ置換体もしくは同N−メチロール置換体、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー、ジアリルフタレート、アリルグリジジルエーテル、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系モノマー、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン等の重合性二重結合を有するモノマー等の1種もしくは2種以上と、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸の1種もしくは2種以上との共重合体からなるものを挙げることができる。
また、例えばポリアルリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタン系樹脂)、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂等の水溶性合成樹脂、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、もしくは多糖類等の水溶性天然高分子等も使用することができる。
さらに、例えば天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂を使用することができる。
また、上記樹脂としては、アクリル変性ウレタン樹脂、ポリエステル変性ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体変性ウレタン樹脂等のウレタン系樹脂、ポリオール系樹脂、もしくは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル系樹脂との混合樹脂等も用いることができる。
接着剤層
接着剤層5は、基材シート3と透明シート6とを効果的に積層するために模様層4上に形成される。
接着剤層5は、公知の接着剤を用いて形成することができる。例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等の汎用されている樹脂あるいはその2液硬化物等を使用することができる。
本発明では、水性タイプのほか、溶剤型又は無溶剤型のいずれのタイプの接着剤も使用することができる。すなわち、溶媒として1)水又は水系溶媒、2)本発明混合溶剤又は3)前記の炭素数5以下の溶剤のいずれかを用いることが望ましい。例えば、溶剤として酢酸エチル等を用いた接着剤を好適に用いることができる。これにより、室内空気汚染の防止に効果的に寄与することができる。
接着剤層の厚みは限定的でなく、用いる接着剤の種類等により異なるが、通常は1〜30μm程度に設定すれば良い。
透明シート
透明シート6は、特にその材質は限定されないが、特にシートを透明とする意味ではプラスチックス(シート)を用いることが好ましい。より好ましくは、基材シート3と同様の理由でポリプロピレン樹脂を代表とするポリオレフィン系樹脂を使用する。この場合には、基材シート3を構成するものとして挙げた各種のポリオレフィン系樹脂を使用することができる。
ただし、透明シート6は、透明性を有する限り、着色されていても良いが、特に着色剤を配合しない方が望ましい。
透明シート6の厚みは、基材シート3と同様、通常は20μm〜150μm程度であるが、化粧シートの用途等に応じて上記範囲を超えても良い。
透明シート6は、予めシート化して得られたものを用いることもできるが、溶融押出ししてシート化する際に接着剤層4上に配置して圧着することにより積層したものであっても良い。溶融押し出しにより積層を行なった方が、一旦シート化したものを積層する場合に比べ、より高い接着性を得ることができるとともに、エンボス加工の際にも加熱に必要な熱量を少なくすることができる。
保護層
保護層7は、化粧シート1の透明シート6上に形成される。すなわち、化粧シートの最表面に積層される。
保護層7は、公知の化粧シートの保護層の形成に使用される組成物によって形成することもできる。特に、樹脂を適当な溶媒に溶解又は分散してなる樹脂溶液又は樹脂エマルションとし、これを用いて公知の塗布又は印刷手段を用いて形成すれば良い。
本発明では、上記溶媒として1)水又は水系溶媒、2)本発明混合溶剤又は3)前記の炭素数5以下の溶剤のいずれかを用いることが望ましい。例えば、溶剤としてイソプロピルアルコール、酢酸エチル等の1種又は2種以上を用いることができる。これにより、室内空気汚染の防止に効果的に寄与することができる。
樹脂は限定的でなく、接着剤層の形成に適用される樹脂(ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等)等を用いることもできる。
また、本発明では、電離放射性硬化型樹脂を用いることもできる。電離放射性硬化型樹脂は、紫外線硬化性組成物と異なり、光重合開始剤を配合する必要がないから、化粧シート1を形成した後の経時劣化を回避することもできる。
電離放射性硬化型樹脂は限定的でなく、公知のものを使用できる。特に、分子中に重合不飽和結合又はカチオン重合性官能基をもつプレポリマー、ポリマー及び/又はモノマーを混合した組成物を好適に用いることができる。より具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基、チオール基を2個以上有する単量体、プレポリマー又はポリマーから構成される。これらの単量体、プレポリマー又はポリマーは1種又は2種以上で使用することができる。
ラジカル重合性不飽和基をもつプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、もしくはシリコン(メタ)アクリレート等が使用できる。その分子量は、250〜10000のものが用いられる。ラジカル重合性不飽和基をもつポリマーとしては、重合度が1000程度のものが使用される。
カチオン重合性官能基をもつプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、もしくはノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、もしくは芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。ラジカル重合性不飽和基をもつモノマーの例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2ーエチルヘキシル(メタ)アクリレート、もしくはフェノキシ(メタ)アクリレート等がある。
ラジカル重合性不飽和基をもつ多官能モノマーの例としては、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、もしくはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
カチオン重合性官能基をもつモノマーとしては、上記カチオン重合性官能基をもつプレポリマーのモノマーを利用できる。チオール基をもつモノマーには、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ジペンタエリスリトールテトラグリコレート等がある。
電離放射性硬化型樹脂には、必要に応じてさらにポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、セルロース誘導体等の熱可塑性樹脂を可塑剤又は粘着防止剤として配合したり、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料を配合することができる。
電離放射性硬化型樹脂を含む樹脂溶液又は樹脂エマルションを用いる場合、通常の塗布量の範囲で均一な塗布が行えるグラビアコーティング又はロールコーティングを好適に用いることができる。塗布量としては、0.5g/m2〜30g/m2とすれば良い。かかる塗布量に設定することによって、基材シート3が変形するときに生ずる凹凸模様状の変形を効果的に吸収でき、また優れた接着性が得られる。次いで、電離放射性硬化型樹脂を含む組成物により形成された皮膜に電子線を照射することにより硬化させる。この場合の照射条件は公知の条件に従えば良いが、特に0.1〜6MeV程度の加速電圧で照射線量1Gy〜100kGy程度とすることが好ましい。
なお、保護層7を電離放射性硬化型樹脂を用いて形成する場合、電子線の照射回数は、接着剤層5の形成時の電子線照射も含めると、合計2回行なうことになる。これに対し、透明シート6を基材シート3の上方に積層する際には電子線を照射せず、保護層7の形成の際に接着剤層5の硬化も兼ねて電子線を照射すれば1回の照射で済む。このようにすることにより、電子線の照射回数を単に減らせるだけでなく、プラスチックシート(特にポリオレフィン系樹脂シート)の劣化を防止することもできる。
保護層7は、どの段階で形成しても良いが、特に基材シート3上に透明シート6までを含む各層を積層した後に積層することが好ましい。また、予め溶融押出しにより製造された透明シート6を用いる場合には、保護層7を予め透明シート6上に積層しても良いし、透明シート6を下層と積層した後に保護層7を積層しても良い。
本発明では、保護層7(特に電離放射性硬化型樹脂を用いる場合)の積層の際には、プライマー層を形成しても良い。プライマー層を形成するための組成物としては、接着剤層に使用されるような樹脂を適当な溶媒に溶解又は分散してなる樹脂溶液又は樹脂エマルションを用いることができる。
この場合、上記溶媒として1)水又は水系溶媒、2)本発明混合溶剤又は3)前記の炭素数5以下の溶剤のいずれかを用いることが望ましい。例えば、溶剤としてイソプロピルアルコール、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の1種又は2種以上を用いることができる。これにより、室内空気汚染の防止に効果的に寄与することができる。
保護層の厚みは、保護層を形成する材料の種類、所望の保護層特性等に応じて適宜設定できるが、一般的には2〜25μm程度となるように設定することが好ましい。
3.被着材
本発明の化粧シートは、各種の被着材に積層され、化粧板として使用される。被着材としては、各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(又はフィルム)等の各種形状の物品が対象となる。
板材、立体形状物品、シート(フィルム)のいずれにも用いられる素材としては、例えば木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質繊維板等の木質板;鉄、アルミニウム等の金属;アクリル樹脂、ポリカーボネート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂が挙げられる。
また、専ら板材又は立体形状物品として用いられる素材としては、例えばガラス、陶磁器、セラミックス、ALC(発泡軽量コンクリート)、珪酸カルシウム、石膏等の材料が挙げられる。専らシート(又はフィルム)として用いられる素材としては、例えば上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、硝子、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布等が挙げられる。
これら被着体への化粧シートの積層方法としては、公知の方法に従って実施すれば良い。例えば、(1)接着剤層を間に介して板状基材に加圧ローラーで加圧して積層する方法、(2)特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるように、化粧シートを射出成形の雌雄両金型間に挿入して両金型を閉じ、雄型のゲートから熔融樹脂を射出充填した後、冷却して樹脂成形品の成形と同時にその表面に化粧シートを接着積層する方法(いわゆる射出成形同時ラミネート法)、(3)特公昭56−45768号公報、特公昭60−58014号公報等に記載されるように、接着剤層を間に介して成形品の表面に化粧シートを対向乃至は載置し、成形品側からの真空吸引による圧力差により化粧シートを成形品表面に積層する方法(いわゆる真空プレス積層法)、(4)特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状基材の長軸方向に、接着剤層を間に介して化粧シート を供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状体を構成する複数の側面に順次化粧シート を加圧接着して積層していく方法(いわゆるラッピング加工法)、(5)特開昭48−47972号公報等に記載されるように、先ず化粧シートを板状基材に接着剤層を介して積層し、次いで板状基材の化粧シートとは反対側の面に、化粧シート と板状基材との界面に到達する、断面がV字状又はU字状溝を切削し、次いで該溝内に接着剤を塗布した上で、該溝を折り曲げて箱体又は柱状体を成形する方法(いわゆるVカット又はUカット加工方法)等がある。
特に、本発明の化粧シートを凹凸立体物に貼り合わせる方法としては、前記方法のうち、射出成形同時ラミネート法、真空プレス積層法、ラッピング加工法、Vカット加工法等が好ましい。
被着材への積層に用いる接着剤としては、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すれば良い。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。
本発明の化粧シートは、各種被着体に積層し、所定の成形加工等を施し、各種用途に用いられる。例えば、壁、天井、床等建築物の内装、扉、扉枠、窓枠、幅木、手摺等の建具の表面化粧、箪笥等の家具、弱電・OA機器のキャビネット等の表面化粧、自動車、電車等の車両内装、航空機内装、窓硝子の化粧などである。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明の特徴とするところをより詳しく説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
図2に示すように、保護層のない化粧シートを作製した。
着色材の添加により着色隠蔽したポリプロピレン系樹脂フィルム(厚み60μm)を用意し、その表面(おもて面)及び裏面にコロナ放電処理を施した。この表面(おもて面)に2液硬化型ウレタン系樹脂をバインダとした着色インキをグラビア印刷し、アクリル系樹脂をバインダとしたインキ(インキの溶剤として、イソプロピルアルコール15重量%、酢酸エチル65重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル10重量%及び酢酸プロピル10重量%からなる混合溶剤を使用)で木目柄の模様層を形成した。また、裏面には、ウレタン系樹脂をバインダーとしたプライマー層をグラビア印刷にて形成し、印刷シートを得た。
次いで、模様層の上に、2液硬化型ウレタン樹脂からなる接着剤(溶剤として酢酸エチル100重量%使用)を用いて接着剤層を厚さ15μmで形成した後、その塗膜の上に透明ポリプロピレン系樹脂フィルム(厚み80μm)をラミネートした。
比較例1
模様層のインキの溶剤として、イソプロピルアルコール10重量%、メチルエチルケトン40重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル2.5重量%、メチルイソブチルケトン40重量%、酢酸ブチル5重量%及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート2.5重量%からなる混合溶剤を使用したほかは、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
実施例2
図3に示すように、保護層を有する化粧シートを作製した。
着色材の添加により着色隠蔽したポリプロピレン系樹脂フィルム(厚み60μm)を用意し、その表面(おもて面)及び裏面にコロナ放電処理を施した。この表面(おもて面)に2液硬化型ウレタン系樹脂をバインダとした着色インキをグラビア印刷し、アクリル系樹脂をバインダとしたインキ(溶剤として、イソプロピルアルコール15重量%、酢酸エチル55重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル5重量%及び酢酸プロピル25重量%からなる混合溶剤を使用)で木目柄の模様層を形成した。また、裏面には、ウレタン系樹脂をバインダーとしたプライマー層をグラビア印刷にて形成し、印刷シートを得た。
次いで、模様層の上に、2液硬化型ウレタン樹脂からなる接着剤(溶剤として酢酸エチル100重量%使用)を用いて接着剤層を厚さ15μmで形成した後、その塗膜の上に透明ポリプロピレン系樹脂フィルム(厚み80μm)をラミネートした。
次に、上記ラミネートにより得た積層体に透明ポリプロピレン系樹脂フィルム側の面から赤外線非接触方式のヒーターで加熱して透明ポリプロピレン系樹脂フィルムを柔らかくした後、直ちにその面に加熱下で加圧することによりエンボス加工を施し、木目導管溝模様の凹凸模様を賦形した。そして、この面にコロナ放電処理を施した後、2液硬化型のアクリル系樹脂(溶剤としてイソプロピルアルコール35重量%及び酢酸エチル65重量%からなる混合溶剤を使用)を約3μm塗工し、保護層を形成した。
比較例2
模様層のインキの溶剤として、イソプロピルアルコール10重量%、メチルエチルケトン40重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル2.5重量%、メチルイソブチルケトン40重量%、酢酸ブチル5重量%及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート2.5重量%からなる混合溶剤を使用し、保護層の形成のための溶剤としてイソプロピルアルコール10重量%、メチルエチルケトン50重量%、酢酸エチル30重量%、メチルイソブチルケトン7.5重量%及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート2.5重量%からなる混合溶剤を使用したほかは、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
実施例3
図4に示すように、保護層として電離放射線硬化型樹脂を用いた化粧シートを作製した。
着色材の添加により着色隠蔽したポリプロピレン系樹脂フィルム(厚み60μm)を用意し、その表面(おもて面)及び裏面にコロナ放電処理を施した。この表面(おもて面)に2液硬化型ウレタン系樹脂をバインダーとした着色インキをグラビア印刷し、アクリル系樹脂をバインダーとしたインキ(溶剤として、イソプロピルアルコール15重量%、酢酸エチル55重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル5重量%及び酢酸プロピル25重量%からなる混合溶剤を用)で木目柄の模様層4を形成した。また、裏面には、ウレタン系樹脂をバインダーとしたプライマー層2をグラビア印刷にて形成し、印刷シートを得た。
次いで、上記印刷シートの模様層4の上に、2液硬化型ウレタン樹脂からなる接着剤層を厚さ15μmで形成した後、その塗膜の上に透明ポリプロピレン系樹脂フィルム(厚み80μm)をラミネートした。
透明性樹脂層の上に、さらにイソシアネート部分がイソホロンジイソシアネートと水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートを用いたアクリル−ウレタンブロック重合体(主剤)と、ヘキサメチレンジイソシアネート(硬化剤)とからなる2液硬化型ウレタン系樹脂(溶剤としてイソプロピルアルコール20重量%、メチルエチルケトン60重量%及びメチルイソブチルケトン20重量%からなる混合溶剤を使用)を塗工し、プライマー層8(厚さ2μm)を形成した。
次に、ウレタンアクリレート系の電離放射線硬化型樹脂(溶剤として酢酸エチル100重量%を使用)をグラビアコートにて塗膜を形成した後、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して塗膜を架橋硬化させることにより、透明性保護層7(厚さ5μm)を形成した。
最後に、透明性保護層の側を赤外線非接触方式のヒーターで加熱し、透明性保護層及び第二透明性樹脂層を柔らかくした後、直ちに透明性保護層の面から熱圧によるエンボス加工を行い、木目導管溝模様の凹凸模様を賦形することにより、所定の化粧シートを得た。
実施例4
電離放射線硬化型樹脂のプライマー形成に用いた溶剤としてイソプロピルアルコール50重量%、メチルエチルケトン20重量%及び酢酸エチル30重量%からなる混合溶剤を使用したほかは、実施例3と同様にして化粧シートを製造した。
比較例3
模様層のインキの溶剤としてイソプロピルアルコール10重量%、メチルエチルケトン40重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル2.5重量%、メチルイソブチルケトン40重量%、酢酸ブチル5重量%及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート2.5重量%からなる混合溶剤を使用したほかは、実施例3と同様にして化粧シートを作製した。
試験例1
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、残留溶剤量を測定した。測定開始後28日経過した時点での残留溶剤量(単位mg/m2)を表1に示す。測定方法は、製造直後の化粧シートを室内に貼り付けて放置し、28日経過後の化粧シートを測定装置「GC−17A」(島津製作所製)により、化粧シート中のイソプロピルアルコール(IPA)、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル(EtAc)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、酢酸プロピル(n−PrAc)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸ブチル(n−BuAc)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMAc)の合計の残存量を測定した。測定条件は、追い出し温度120℃で7分とし、シリンジ温度130℃とした。
Figure 2006095924
本発明の化粧シートの構成例を示す図である。 実施例1で作製された化粧シートの構成を示す図である。 実施例2で作製された化粧シートの構成を示す図である。 実施例3及び4で作製された化粧シートの構成を示す図である。
符号の説明
1 化粧シート
2 プライマー層
3 基材シート
4 模様層
5 接着剤層
6 透明シート
7 保護層

Claims (9)

  1. 基材シート上に2つ以上の層が積層された化粧シートであって、
    前記層の少なくとも1つの層が、溶剤の一部又は全部がイソプロピルアルコール、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸プロピルからなる混合溶剤である速乾性組成物により形成されている、ことを特徴とする化粧シート。
  2. 化粧シートが、基材シート上に少なくとも模様層、接着剤層及び透明シート層が順に積層されたものである請求項1に記載の化粧シート。
  3. 化粧シートが、基材シート上に少なくとも模様層、接着剤層、透明シート層及び保護層が順に積層されたものである請求項1に記載の化粧シート。
  4. 少なくとも模様層が前記速乾性組成物により形成されている請求項2又は3に記載の化粧シート。
  5. 透明シート層と保護層との間にプライマー層が形成され、前記保護層が電離放射性硬化型樹脂により形成されている請求項2〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. プライマー層及び/又は保護層が前記速乾性組成物により形成されている請求項5に記載の化粧シート。
  7. 混合溶剤が、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸プロピルの合計100重量部に対してイソプロピルアルコール及び酢酸エチルが合計60重量部以上、プロピレングリコールモノメチルエーテルが2.5重量部以上、酢酸プロピルが20重量部以上を含む請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
  8. 基材シート上に2つ以上の層が積層された化粧シートを製造する方法であって、
    前記層の少なくとも1つの層を、溶媒の一部又は全部がイソプロピルアルコール、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸プロピルからなる混合溶剤である速乾性組成物により形成する工程を含むことを特徴とする化粧シートの製造方法。
  9. 混合溶剤が、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び酢酸プロピルの合計100重量部に対してイソプロピルアルコール及び酢酸エチルが合計60重量部以上、プロピレングリコールモノメチルエーテルが2.5重量部以上、酢酸プロピルが20重量部以上を含む請求項8に記載の製造方法。

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