従来、遊技機の装飾効果を高めようと様々な技術が開示されているが、遊技機において装飾に利用できるスペースは限られているため、構成上制約が多い。例えば、表示装置によって興趣を高めうる表示を行おうとしても、従来の遊技機では、表示部の主たる配置スペースである遊技領域が広さ的に限られているため、表示部の配置位置、形状、大きさ等の制約を受けることが多く、その結果、表示部が画一的になりがちであった。また、一般的に表示装置としては、液晶表示装置を遊技領域の中央に一つのみ設けることが多く、従来の遊技機では、この単一の表示装置においていかに斬新性に富む表示を行うか、専ら表示内容のみに工夫を凝らしていた。
このような状況において、特許文献1では、表示部の構成自体を斬新なものとする技術が提供されている。この技術では、複数の表示部を遊技領域中央に集中させて配置し、表示を行うようにしている。この技術では、従来単一のものばかりであった表示装置を複数設け、双方を関連させて表示を行っているため、確かに、従来のものより表示バリエーションが多くなり、ある程度の装飾効果は期待できる。しかしながら、このように遊技領域中央に表示部を配置するという概念のみでは、表示効果が遊技盤における遊技領域中央のみにしか及ばず、従来に近い装飾となってしまう。
一方、特許文献2ないし4では、ガラスの板間に表示部材が設けられる構成が示されている。しかしながら、いずれの構成においても、ガラスの後方に表示部材が配置されるものであるため、立体感がそれほど高められず、遊技者から距離をおいた表示構成となってしまうため装飾性の低下も懸念される。
本発明は上記のような事情に基づいてなされたものであって、遊技盤に特別な取り付けスペースを設けることなく、遊技盤以外において適切な表示場所を確保でき、かつ遊技者のより近くにおいて表示部材を立体性高く配置できる構成を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために有効な手段等を以下に示す。なお、必要に応じてその作用効果等についても説明する。
手段1.遊技盤と、
前記遊技盤の前方をカバーするように設けられた1又は複数の透明板と、
前記透明板を保持する透明板保持部と、
を備えた遊技機であって、
前記透明板保持部に取り付けられ、かつ前記透明板よりも前方位置に配置される前方表示部材を備えたことを特徴とする遊技機。
手段1(請求項1)の構成によれば、遊技盤において特別な取り付けスペースを設けることなく、遊技盤以外において適切な配置場所を確保できる構成となる。また、透明板の前方位置に前方表示部材を配置しているため、前方表示部材がより遊技者に近い状態となり、その結果、遊技者が表示を見やすくなり、かつ前方表示部材が立体感高く把握され、ひいては装飾性が効果的に高められる。
また、透明板保持部に前方表示部材を取り付けているため、透明板自体に表示部材を設けたり、表示部材全体を透明板に接合するような場合と比較して、透明板の衝撃が表示部材に伝わりにくく、表示部材が安定して配置される構成となる。
なお、本明細書を通して、遊技機の前後方向とは、遊技盤において遊技球が流下する側の外面(前面)と直交する方向(即ち遊技機の奥行き方向)を意味し、遊技者側(即ち当該遊技機の使用時に遊技者が対面する側)を前側、遊技機裏側(即ち遊技者からみて奥側)を後側とする。また、遊技機の上下方向とは、当該遊技機の高さ方向であり、左右方向は前後方向及び高さ方向と直交する横方向のことである。
手段2.前記前方表示部材を取り付けるためのベース部材が、前記透明板保持部に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすれば、メンテナンス等の際に、透明板保持部を交換せずとも前方表示部材のみを交換できる構成となる。即ち、透明板保持部に前方表示部材を取り付けるようにすると、透明板保持部に透明板と前方表示部材という2つの消耗部品が配置されることとなるため、各部品の状態に応じて適切なメンテナンスを行う必要があるが、本構成によれば、各部品毎に独立したメンテナンスが可能となる。
手段2の例としては、例えば、ベース部材を係合構造(係合爪、非係合部による構造等)やねじ等の締結部材を用いて透明板保持部に対し着脱可能に取り付けることができる。また、本明細書においてベース部材に前方表示部材を取り付ける構成としては、これらをねじ等の締結部材や、接着剤等の接着媒体などよる固定構成、或いはベース部材に設けた係合部と前方表示部材の設けた被係合部による取り付け構成などが考えられる。
手段3.前記前方表示部材を取り付けるためのベース部材は、前記透明板保持部の一部として形成されていることを特徴とする手段1又は手段2に記載の遊技機。
このようにすれば、簡易にかつ安価にベース部材を構成できると共に、部品点数を効果的に削減でき、ひいては遊技機全体のコスト低減効果が期待できる。
手段3の構成では、例えば、透明板保持部の本体とベース部材とを樹脂成型により一体的に形成することができる。なお、透明板保持部の本体とは、透明板を保持する部分のうち、ベース部材(即ち前方表示部材が取り付けられる部分)を除いた部分を意味する。
例えば、手段3の構成において、前記ベース部材と前記透明板保持部の本体とを樹脂材料により一体的に形成することができる。このようにすれば、ベース部材をより一層簡易に、かつ安価に構成できる。
手段4.前記ベース部材の一部が、前記透明板の前面に支持されていることを特徴とする手段2又は手段3に記載の遊技機。
このようにベース部材の一部を透明板の前面にて支持するように構成すれば、ベース部材がより安定したものとなる。
手段4の構成としては、例えば、前記ベース部材の一部を、前記透明板の前面に固定することができる。
このようにすれば、ベース部材の安定度が増し、構造的により強固なものとすることができる。例えば、接着剤等の接着媒体などによってベース部材と透明板の前面とを接合するようにして固定できる。
手段4の別例としては、ベース部材と前記透明板の前面とを非固定状態で当接させることにより支持することができる。このようにすれば、ベース部材を透明板とは独立して扱いやすくなる。
手段5.遊技機本体に開閉可能に取り付けられた扉部において、前記ベース部材又は前記前方表示部材の少なくともいずれかを、少なくとも下方側から支持する支持部材が設けられていることを特徴とする手段2ないし手段4のいずれかに記載の遊技機。
前方表示部材及びベース部材を透明板保持部に配置して透明板の前方に延出する構成とすると、構造上、いかに前方表示部材及びベース部材の重量に耐えうる構成とするかが問題となる。即ち、遊技機において、透明板の前方に前方表示部材を配置しようとする構成はあまりなく、いざ前方表示部材を配置しようとすると、前方表示部材及びベース部材の重量に起因して前方表示部材の配置上の安定性が阻害される虞がある。しかしながら手段5の構成によれば、前方表示部材を安定性高く配置でき、扉部の頻繁な開閉に耐えうる構成となる。なお、本明細書において、遊技機本体とは、遊技機において扉部を除いた部分である。
なお、手段5の構成は、ベース部材が透明板に対し非接触状態とされている場合により有効である。即ち、ベース部材が透明板に対し非接触状態であると、ベース部材の遊技領域中心側の端部が当該ベース部材の重量に起因して不安定となるが、手段5の構成によればベース部材の下方側が支持され、ベース部材の重量に起因する不安定状態を解消できる。
手段6.前記遊技盤の前面と平行な面方向において、前記前方表示部材と隣接する1又は複数の隣接表示部材を備え、前記前方表示部材と前記隣接表示部材とにより連なる表示領域が構成されおり、
前記支持部材は、前記前方表示部材と隣接する前記隣接表示部材の前方に配置され、かつ透明性を有する透明部材として構成されていることを特徴とする手段5に記載の遊技機。
本構成によれば、表示部材を遊技者により近づけて立体感高く構成しつつ、他方、隣接表示部材との連携により広範囲に表示領域を構成できることとなり、装飾性を一層高めることができる。そして、そのような構成をとりつつ、前方表示部材を安定性高く配置できるため、耐久性をも向上できる。また、このように支持部材を設けるようにすると、支持部材が表示の連携を遮ることが懸念されるが、支持部材が透明性を有する構成をなすため、耐久性の向上を図りつつ前方表示部材と隣接表示部材との表示の連携が適切に保たれる構成が実現されることとなる。
手段7.前記前方表示部材を覆うカバー部材が設けられていることを特徴とする手段1ないし手段6のいずれかに記載の遊技機。
即ち、このように前方表示部材を透明板の前方に配置する構成では、前方表示部材を遊技者に近づけて立体感を高めることができるが、その一方、単にそのまま配置するだけでは表示部材が露出してむき出しになり、劣化や汚れ等の問題が生じてしまう。これに対し上記構成のように前方表示部材を覆うカバー部材を設ければ、前方表示部材に劣化や汚れが生じにくくなる。
具体的には、手段7に記載のものにおいて、透明性を有する透明部材により前方表示部材をカバーすることができる。この場合、カバー部材を透明性を有する樹脂部材などによって構成できる。
また、手段7に記載のものにおいて、カバー部材により前方表示部材の前面全体をカバーするようにするとよい。即ち、正面視した場合に、前方表示部材の前面全体がカバー部材の配置領域に収まるように構成されているとよい。このようにすれば、防護効果が極めて高くなる。
また、手段7に記載のカバー部材は、透明板保持部に取り付けてもよく、ベース部材に取り付けてもよい。また、扉部にカバー部材を取り付けるようにしてもよい。取り付け構成としては、ねじ等の締結部材によって取り付けてもよく、接着剤等の接着媒体によって取り付けてもよい。また、いずれか一方に係合部を形成し、他方に被係合部を形成するようにして係合構造により取り付けてもよい。
手段8.前記透明板保持部は、遊技機本体に開閉可能に取り付けられた扉部の裏面側において、正面視した場合に、前記透明板の周縁と前記透明板保持部の接合部と、前記ベース部材と前記透明板保持部の接合部と、が視認不能となるように装着されていることを特徴とする手段2ないし手段7のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、デザイン的に優れた構成となり、かつ、一部部品を透明板前方に露出させつつ当該部品の接続構造を一般遊技者に対して視認させないようにすることができるため防犯性の高い構成ともなる。
手段9.前記前方表示部材の前面は、一部の端部が前記透明板の前面と近接する後方位置とされ、それとは別位置の端部が、前記透明板の前面から所定距離離れた前方位置に配置されていることを特徴とする手段1ないし手段8のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、前方表示部材の一部が透明板前面に近づき、それとは異なる部分が透明板の前面から所定距離離れた前方に位置するように前方に盛り上がることとなる。その結果、遊技者により近い構成となり、かつ立体感溢れる構成となる。
手段10.前記遊技盤の前方に配置される第1透明板と、
前記第1透明板の前方に配置される第2透明板とを有し、
前記透明板保持枠は、前記第1透明板及び前記第2透明板を共に保持するように構成されていることを特徴とする手段1ないし手段9のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、遊技盤を2枚の透明板でカバーできる構成を実現しつつ、その2枚の透明板よりもさらに前方で表示を行いうる構成となる。即ち、2枚の透明板で遊技盤をカバーする構成では、遊技盤がより奥まった位置に配置される格好となるため、遊技者との距離が増してしまうが、本構成によれば、それら透明板のさらに前方に前方表示部材を配置するようにしているため、2枚の透明板で遊技盤をカバーする構成を実現しつつ遊技者のより近くに表示部材を立体性高く配置できる。
手段11.開口する窓部を備えた扉部が、遊技機本体に対し開閉可能に設けられており、
前記前方表示部材は、前記窓部の開口領域の端部に配置されていることを特徴とする手段1ないし手段10のいずれかに記載の遊技機。
このように前方表示部材を窓部の開口領域の端部に設けるようにすれば、装飾にあまり用いられていなかったスペースを効果的に利用して装飾性の高い構成を実現できる。また、開口領域の端部に設けているため、開口領域の中央部の視認が阻害されず、開口領域中央部における遊技領域での演出と端部における前方表示部材の演出とが同時に把握できることとなる。
例えば、手段11に記載のものにおいて、前記窓部の開口領域の端部と、前記前方表示部材の一部とが前後に重なるように構成できる。
このようにすれば、窓部の開口端部の後方に前方表示部材が配置されることとなるため、前方表示部材を窓部の開口端部にまで目一杯配置できる好適な構成となり、前方表示部材における端部を部分的に覆うことのできる構成となる。
手段12.前記前方表示部材の後方において、遊技球が流下可能となる流路が設けられていることを特徴とする手段1ないし手段11のいずれかに記載の遊技機。
遊技機においては、遊技球の流路をより大きくすれば遊技球の流下が自由度高い構成となり、その一方で、表示領域をより大きくすれば、装飾性がより高まる。このような課題を解決しうる構成を、遊技領域内で両方の課題を実現しようとすると、スペース的に極めて困難であるが、本実施形態のように構成すれば、前方表示部材を透明板の前方において立体感高く配置する一方で流路をその後方に構成することができ(即ち、前方表示部材と流路とが前後に重なるように構成することができ)、スペース的なメリットの大きい構成となる。
手段13.前記前方表示部材を備えると共に、遊技球の流下の視認を遮蔽するように視認遮蔽部が構成されており、
前記視認遮蔽部における遊技領域中心側の先端部と、遊技領域の境界との距離が、遊技球の径未満とされており、
前記遊技盤の前面と平行な面方向における前記視認遮蔽部の遊技領域中心側の先端部の周囲において遊技球の流下が視認可能とされていることを特徴とする手段12に記載の遊技機。
このようにすれば、前方表示部材の後方において遊技球を流下可能としつつ、前方表示部材を備えてなる視認遮蔽部によって遊技球が完全にカバーされない構成となる。従って、視認遮蔽部の後方位置を遊技球が流れる場合であっても遊技球の一部が絶えず視認できることとなる。
手段14.前記遊技盤に取り付けられる仕切部によって前記遊技盤の前面に沿って囲まれるようにして、遊技球が打ち込まれる遊技領域が構成されており、
前記前方表示部材は、前記遊技領域の外側から内側に向けて当該遊技領域の境界を跨ぐように配置されていることを特徴とする手段1ないし手段13のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、遊技領域の内部と外部に跨る領域を利用して、広範囲に亘る表示領域を確保できる。また、透明板の前方の領域を利用して表示部材を配置しているため、仕切部等によって遊技領域を仕切りつつ、その仕切部に邪魔されることなく遊技領域の内部と外部に跨るように表示部材を簡易に配置できる。
手段15.前記遊技盤に取り付けられる仕切部によって前記遊技盤の前面に沿って囲まれるようにして、遊技球が打ち込まれる遊技領域が構成されており、
前記前方表示部材は、前記遊技領域の外側のみに配置されていることを特徴とする手段1ないし手段13のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、あまり表示に利用されていない遊技領域外のスペースを効率的に利用して表示が行え、その表示が遊技領域と干渉しない構成となる。即ち、前方表示部材の表示が遊技球の流下を阻害することとはならず、遊技者は遊技球の流下と前方表示部材による表示を同時に把握できることとなる。
手段16.前記前方表示部材の周縁部が、前記遊技領域の周縁に沿って構成されていることを特徴とする手段15に記載の遊技機。
このようにすれば、前方表示部材をスペース的に限られた遊技領域外に配置する上で効率的な配置が可能となり、かつ遊技との連携性を高めやすい構成となる。
手段17.前記前方表示部材の前面が、前記遊技盤の前面に対して傾斜していることを特徴とする手段1ないし手段16のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、表示面積をより広く確保しやすい好適な構成となり、他方、前方表示部材による表示を、前後方向において当該前方表示部材の前位置或いは後位置にある部材(装飾部、表示部等の遊技部品など)と関連させやすい構成となる。
手段18.前記前方表示部材は、遊技領域の中心側よりも外側のほうが前面が前方位置となるように傾斜していることを特徴とする手段17に記載の遊技機。
このようにすれば、遊技領域の中心側を後方位置とし、外側を後方位置とすることができるため、前方表示部材における遊技領域中心側の部分と遊技盤における遊技領域内の部分とが前後方向において位置的に近くなり、連携性が高まる位置関係となる。
手段17及び手段18のような構成とせずに、 なお、手段1ないし手段16のいずれかに記載のものにおいて、前記前方表示部材の前面が、前記遊技盤の前面とほぼ平行となるように構成してもよい。このようにすれば、前方表示部材が正面から視認されやすい構成となる。
手段19.前記遊技盤の前面と平行な面方向において、前記前方表示部材と隣接する1又は複数の隣接表示部材を備え、
前記前方表示部材と前記隣接表示部材とにより連なる表示領域が構成されていることを特徴とする手段1ないし手段18のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、表示部材を遊技者により近づけて立体感高く構成しつつ、他方、隣接表示部材との連携により広範囲に表示領域を構成できることとなり、装飾性を一層高めることができる。
手段20.前記隣接表示部材は、前記透明板保持部に取り付けられかつ前記透明板の後方に配置される後方表示部材を有してなり、
前記前方表示部材と前記後方表示部材とにより、前記遊技盤の前面と平行な面方向に連なる表示領域が構成されていることを特徴とする手段18のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、前方表示部材によって一部領域を立体感高く構成しつつ、後方表示部材との連携により遊技領域において設置スペースを大きくとらずに広範囲に亘る表示領域が実現される。
手段21.前記透明板は複数の透明板からなり、
前記隣接表示部材は、前記複数の透明板における透明板間に配置される透明板間表示部材を有してなり、
前記前方表示部材と前記透明板間表示部材とにより、前記遊技盤の前面と平行な面方向に連なる表示領域が構成されていることを特徴とする手段20に記載の遊技機。
このようにすれば、前方表示部材によって一部領域を立体感高く構成しつつ、透明板間表示部材との連携により遊技領域において設置スペースを大きくとらずに広範囲に亘る表示領域が実現され、前後方向においても連携性の高い構成となる。
手段22.前記透明板保持部に取り付けられかつ前記透明板の後方に配置される後方表示部材を有してなり、
前記前方表示部材、前記透明板間表示部材、及び前記後方表示部材とにより、前記遊技盤の前面と平行な面方向に連なる表示領域が構成されていることを特徴とする手段21に記載の遊技機。
このようにすれば、前方表示部材によって一部領域を立体感高く構成しつつ、透明板間表示部材、後方表示部材との連携により遊技領域において設置スペースを大きくとらずにより広範囲に亘る表示領域が実現される。また、前後方向においても表示部材間で距離の隔たりがあまりなく、連携性の高い構成となる。
手段23.前記隣接表示部材は、前記透明板保持部が装着される扉部に設けられた扉表示部材を有してなり、
前記前方表示部材と前記扉表示部材とにより連なる表示領域が構成されていることを特徴とする手段1ないし手段22のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、従来あまり表示に用いられいない領域を効果的に利用して、前方表示部材及び扉表示部材の双方によって表示領域をより立体感高く構成しつつ広範囲に亘る表示領域を構成することができ、極めて装飾性の高い構成となる。
なお、隣接表示部材は、遊技盤に直接又は他部材を介して間接的に設けられた遊技盤側表示部材を含んでいてもよい。
このようにすれば、遊技者の注目を集めるやすい遊技盤側の隣接表示部材と透明板付近の表示部材とによって広範囲にわたる表示領域を構成できる。
この場合、前記遊技盤側表示部材は、遊技盤に埋設された埋設表示部材によって構成してもよく、前記遊技領域の端部又は遊技領域の端部に隣接する位置に設けられた端部側表示部材によって構成してよい。
手段24.表示制御手段により、前記前方表示部材と、前記隣接表示部材とで関連した表示がなされるように表示制御を行うことを特徴とする手段19ないし手段23のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、表示部材及びその付近において、関連した表示態様を広範囲に及ぼすことができ、より一層印象付けることができる。
手段25.表示制御手段により、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材において同一対象を示す絵柄が表示されるように表示制御を行うことを特徴とする手段19ないし手段24のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、両表示部で同一対象の絵柄が把握できることとなり、連携性の高い表示となる。「同一対象の絵柄」としては、同一キャラクターの絵柄、同一の風景、動植物などの絵柄などが挙げられ、同一対象と把握できるものであれば、前方表示部材と隣接表示部材とで形状や態様が若干異なったものが表示されていてもよい。
手段26.前記表示制御手段による表示制御により、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材のいずれか一方の表示部で表示されていた特定絵柄が他方の表示部へ移るように関連表示がなされることを特徴とする手段19ないし手段25に記載の遊技機。
このようにすれば、絵柄の表示が単一の表示部のみで行われるのではなく、複数の表示部において連携の高い表示がなされるため、斬新な表示態様となる。
手段27.前記特定絵柄は、キャラクター絵柄からなり、
前記表示制御手段による表示制御により、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材のいずれか一方の表示部材で表示されていたキャラクター絵柄が他方の表示部へ移るように関連表示がなされることを特徴とする手段26に記載の遊技機。
このようにすれば、キャラクターの動きが単一の表示部のみで完結するのではなく、複数の表示部に及ぶため、キャラクターの効果を広範囲に及ばせることができ、表示のバリエーションも高めることができる。
手段28.前記表示制御手段による表示制御により、前記特定絵柄の表示が、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材において、遊技領域の中心側から外側に向かって移るように関連表示がなされることを特徴とする手段19ないし手段27のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、遊技者の注目を集めやすい遊技領域中心側の表示効果を遊技領域外側に向かって及ばせることができる。
手段29.前記表示制御手段による表示制御により、前記特定絵柄の表示が、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材において遊技領域の外側から中心側に向かって移るように関連表示がなされることを特徴とする手段19ないし手段28のいずれか記載の遊技機。
このようにすれば、遊技領域の外側から中心側に向かって特定表示が移るという今までにない表示バリエーションを加えることができる。
手段30.前記表示制御手段による表示制御により、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材において同種の背景画像が表示されるように関連表示がなされることを特徴とする手段19ないし手段29のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、前方表示部材と隣接表示部材とが連携性高く把握されやすい表示態様となる。
手段31.前記表示制御手段による表示制御により、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材において同一色を主体とした背景画像が表示されるように関連表示がなされることを特徴とする手段19ないし手段30のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、前方表示部材及び隣接表示部材がより一層連携性高く把握されることとなる。なお、同一色を主体とした背景画像が表示される状態とは、各表示部の背景画像において最も広い面積を占めるそれぞれの色が同一色である状態をいう。
手段32.前記表示制御手段により、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材での関連表示が、特定遊技条件の成立に基づいて行われるように制御されることを特徴とする手段19ないし手段31のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、広範囲にわたる連携性の高い表示により特定遊技条件をより盛り上げることができる。
なお、手段32における前記特定遊技条件の成立は、大当り状態、確率変動状態、リーチ状態、リーチ予告状態、時短状態のうちから選ばれるいずれかの状態の成立でとすることができる。
上記のような、大当り状態、確率変動状態、リーチ状態、リーチ予告状態、時短状態は、遊技者がより注目をする状態であるが、このような状態の発生と共に、上記のごとく広範囲にわたる連携性の高い演出を行えば、相乗的に印象度が増し、一層興味を引く構成となる。
手段33.前記表示制御手段による表示制御により、前記前方表示部材による特定表示と、前記隣接表示部材による特定表示と、が少なくとも所定期間同時に行われるように関連表示がなされることを特徴とする手段19ないし手段32のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、各表示部の特定表示が同時に把握されることとなり、より関連性の高い関連表示となる。なお、「前記前方表示部材による特定表示及び前記隣接表示部材による特定表示」とは、上述の、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材における同種の背景画像(同一色の背景画像など)の表示や、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材における同一対象を示す特定絵柄(同一対象を示すキャラクター画像など)の表示などが挙げられる。例えば、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材における同種の背景画像(同一色の背景画像など)の表示が所定時間同時に行われるといった例や、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材における同一対象を示す特定絵柄の表示が所定時間同時に行われるといった例などが挙げられる。
手段34.前記表示制御手段による表示制御により、前記前方表示部材による特定表示の開始と、前記隣接表示部材による特定表示の開始と、が同タイミングで行われるようにして関連表示が開始されることを特徴とする手段19ないし手段33のいずれかに記載の遊技機。
このように同タイミングで特定表示を行うようにすれば、関連表示を極めて連携性が高く開始できる。なお、「前記前方表示部材による特定表示及び前記隣接表示部材による特定表示」とは、上述の、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材における同種の背景画像(同一色の背景画像など)の表示や、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材における同一対象を示す特定絵柄(同一対象を示すキャラクター画像など)の表示などが挙げられる。例えば、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材における同種の背景画像(同一色の背景画像など)の表示が同タイミングで開始されるといった例や、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材における同一対象を示す特定絵柄の表示が同タイミングで開始されるといった例などが挙げられる。
また、手段1ないし手段33のいずれに記載のものにおいても、前記表示制御手段による表示制御により、前記前方表示部材による特定表示と、前記隣接表示部材による特定表示と、が予め定められた順序で行われるようにすることができる。
このようにすれば、連携性が高まると共に、表示の流れを創出することができ、順序的な繋がりを強調できる。例えば、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材における同種の背景画像(同一色の背景画像など)の表示が予め定められた順序で行われるといった例や、前記前方表示部材及び前記隣接表示部材における同一対象を示す特定絵柄の表示が予め定められた順序で行われるといった例などが挙げられる。より具体的には、前方表示部材におけるキャラクター絵柄の表示と、隣接表示部材材におけるキャラクター絵柄の表示とが、予め定められた順序で順番に行われるといった態様が考えられる。
手段1ないし手段34のいずれに記載のものにおいても、EL素子を有してなるELディスプレイによって前記前方表示部材を構成することができる。このようにすれば、狭いスペースで表示を行い得る好適な構成となる。
また、この場合、例えば、フルカラーELディスプレイによって前記前方表示部材を構成できる。このようにすれば、狭いスペースで自由度高い絵柄表示が可能となる。
手段1ないし手段34のいずれに記載のものにおいても、前記透明板保持部と前記透明板とを接着媒体により接合することができる。このようにすれば、透明板を透明板保持部に簡易にかつ強固に保持できる構成となる。
例えば、遊技盤の前方に第1透明板を設け、この第1透明板の前方に第2透明板を設ける場合、両透明板の周縁部全体を接着媒体により透明板保持部に接合する構成とすることができる。
手段1ないし手段34のいずれに記載のものにおいても、前記透明板保持部と前記透明板とを、着脱可能に構成することができる。このようにすれば、透明板のメンテナンスを行いやすい構成となる。
また、手段1ないし手段34のいずれに記載のものにおいても、前記前方表示部材は、前面のほぼ全体が平坦となるように構成することができる。このようにすれば、前方表示部材が視認されやすくなる構成となり、また製造容易な形状となる。
また、手段1ないし手段34のいずれに記載のものにおいても、前記前方表示部材は、前面の少なくとも一部が曲面状となるように構成することができる。このようにすれば、斬新な前面形状となり、かつ表示面積を効果的に確保できる。
この場合、前方表示部材の前面全体を曲面状に構成してもよく、一部のみを曲面状に構成してもよい。前方表示部材の前面の一部を曲面状に構成した場合、それ以外の部分は、例えば平坦に構成できる(曲面状の部分以外を平坦にする構成としては、遊技盤の前面と平行な平坦構成としてもよく、遊技盤の前面と傾斜した平坦構成としてもよい)。また、前方表示部材の前面を曲面状に構成する場合、例えば、遊技領域の中心側から外側につれて次第に前面が前方位置となるように曲面状に構成することができる。
請求項1(手段1)の構成によれば、遊技盤において特別な取り付けスペースを設けることなく、遊技盤以外において適切な配置場所を確保できる構成となる。また、透明板の前方位置に前方表示部材を配置しているため、前方表示部材がより遊技者に近い状態となり、その結果、遊技者が表示を見やすくなり、かつ前方表示部材が立体感高く把握され、ひいては装飾性が効果的に高められる。
また、透明板保持部に前方表示部材を取り付けているため、透明板自体に表示部材を設けたり、表示部材全体を透明板に接合するような場合と比較して、透明板の衝撃が表示部材に伝わりにくく、表示部材が安定して配置される構成となる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図11を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態1に係る遊技機における遊技機を概念的に例示する正面図であり、図2はその遊技機の遊技盤構成を概念的に例示する正面図である。また、図3は、図1の遊技機の斜視図であり、図4は、図1の遊技機の扉部の裏側構成を概念的に示す斜視図である。図5は、実施形態1の遊技機の要部断面構成を例示するものであり、図1のA−A断面付近を概念的に示す図である。また、図6は、表示部材の構成を説明する説明図であり、図7は透明板保持部を例示する正面図及び断面図、図8は透明板保持部に透明板が保持された状態を例示する正面図及び断面図、図9は図7の透明板保持部を斜め前方からみた斜視図、図10は、その透明板保持部を斜め後方から見た斜視図である。図11は実施形態1に係る遊技機の電気的構成を例示するブロック図である。
(全体構成)
本実施形態に係る遊技機の一例たるパチンコ機1は、例えば遊技ホールに設置されたパチンコ島台のカウンタ台の上部にて複数横方向に並べられて設けられるものである。パチンコ機1は、図1に示すように、前部には前枠2が設けられ、さらにその前枠2に扉部3(具体的にはガラス扉枠として構成される扉部)が取付けられている。扉部3は、縦軸の回動軸を有するヒンジ部82,82により遊技機本体1a(前枠2及び機枠(図示略)を備えてなる本体部分)に対し開閉可能に支持され、かつガラス(透明板に相当)が嵌め込まれた樹脂あるいは金属材料のいずれかによって環状の枠体として構成される透明板保持部83(図1,4、5参照)とを備えている。ここでは環状に構成された樹脂製の透明板保持部83に二枚のガラス(前方ガラス52、後方ガラス51が嵌め込まれてガラスユニットが構成されており、透明板保持部83は、扉部3の本体部分3eに着脱可能に取り付けられている。また、前枠2(本体枠)もヒンジ81によって機枠に対して開閉可能に取り付けられている。
図4に示すように、扉部3の後方には、図2に示す遊技盤7が配置されている。図2に示すように、遊技盤7は仕切部たるレール22(後述)及び仕切部23(レール隣接部品)によって略環状に囲まれた略円形の遊技領域90aを有し、その遊技領域90aには第1種始動口4、中央表示装置(以下、単に「表示装置」ともいう)5及び大入賞口6が設けられている。第1種始動口4は遊技球の通路を備え、その通路入口に羽根4aが開閉可能に支持されている。表示装置5は、例えば図柄を動的に表示する図柄表示装置として構成できる。図5に示すように、この表示装置5は、配置孔7aに一部が挿入されるかたちで遊技盤7に装着される周囲装飾部40に固定されている。
図1に示すように、扉部3の下部には、賞球が払い出される上受け皿3aが装着されている。また、前枠2の窓孔より下方には下受け皿2aが装着されている。下受け皿2aは、上受け皿3aに入りきらない賞球や、上受け皿3aから球抜きした抜き球や、或いはファウル球等の余剰球を、余剰球出口から排出させて貯留させるものである。前枠2における下受け皿2aの右側方には遊技球を発射するための発射ハンドル17が回動操作可能に装着されている。発射ハンドル17に対応する前枠2の裏側には駆動手段としてのモータ(図示せず)が装着されており、発射ハンドル17の回動操作によってモータか回動され、これにより打球杆(図示せず)が間欠動作されるとともに、発射ハンドル17の回動角度に応じた弾発力に調節される。従って、モータ及び打球杆等によって球発射装置が構成されている。
図1、図2に示すように、表示装置5は、遊技領域90aの中央に設けられており、第1種始動口4の上方に設けられ、例えば液晶ディスプレイ(LCD)からなる画面5aを備えている。画面5aには多種類の画像が表示されるが、その1つとして、図2に概念的に示されるような左図柄列8、中図柄列9及び右図柄列10が表示される。図柄列の数は前述したもの(3列)に限られず、1列、2列、4列以上であってもよい。各図柄列8乃至10は、数字、記号等からなる複数の図柄によって構成されている。
表示装置5では、図柄列8乃至10での図柄変動が、遊技球の第1種始動口4への入賞により開始される。図柄変動は左図柄列8、右図柄列10、中図柄列9の順に停止されるが、これは一例にすぎず、別の順序で停止されてもよい。全ての図柄列8乃至10での図柄変動が停止したとき、表示されている図柄(以下「停止図柄」という)の組合せが、予め定められた組合せ(特定表示結果、以下「大当りの組合せ」という)、すなわち、同一種類の図柄が大当りラインに沿って並んでいるときの同図柄の組合せ(例えば、777)、となる場合がある。この停止図柄の組合せを、以下「大当り図柄」という。本実施形態では、大当りラインとして、水平方向へ延びるもの(上・中・下の3種類)と、斜め方向へ延びるもの(右下がり・左下がりの2種類)の合計5種類存在するが、これに限られない。例えば、大当りラインの数が1つであり、通常、「1ライン」と呼ばれているものであってもよい。そして、大当りの組合せが成立すると特別電動役物が作動し、遊技者にとって有利な特別遊技状態としての大当り遊技状態が到来し、より多くの賞球を獲得することが可能となる。
さらに、パチンコ機1は大当り遊技状態の発生に先立ちリーチ遊技状態となる。ここで、リーチ遊技状態とは大当り遊技状態の直前の状態をいい、例えば、列10での図柄変動が、大当りライン上において左図柄列8での停止図柄と同一種類の図柄で停止し、かつ、その後に中図柄列9での図柄変動が左右両図柄列8,10での停止図柄と同一種類の図柄で停止されれば最終的に大当りの組合せとなる状態を含む。また、図柄変動が停止すると、大当り遊技状態となる組合せで変動し、その図柄で停止されれば最終的に大当り遊技状態となる場合において、その変動中の状態もリーチ遊技状態に含まれる。これは、通常、全回転(全図柄)リーチと呼ばれているものである。なお、このような遊技状態の発生の流れは後述する。
図2に示すように、大入賞口6は第1種始動口4の下方に設けられており、1つのVゾーン11、2つの通路12,13及びシャッタ14を備えている。シャッタ14は大入賞口用ソレノイド15(以下、単に「ソレノイド15」ともいう)により作動させられ、Vゾーン11及び通路12,13の各入口を開閉する。
図2に示すように、遊技盤7には、始動口用スイッチ18、Vゾーン用スイッチ19及びカウントスイッチ20が取付けられている。始動口用スイッチ18は、遊技球Bの第1種始動口4への入賞を検出する。Vゾーン用スイッチ19は遊技球BのVゾーン11への入賞を検出し、カウントスイッチ20は遊技球Bの大入賞口6への入賞を検出する。また、各スイッチ18乃至20の検出結果に基づきソレノイド15及び表示装置5、及び後述する前方表示パネル140をそれぞれ駆動制御するために、制御装置21が設けられている。
(制御装置)
図11に示すように、制御装置21は読出し專用メモリ(ROM32)、中央処理装置(CPU31)、ランダムアクセスメモリ(RAM33)等を備えている。ROM32は所定の制御プログラムや初期データを予め記憶しており、CPU31はROM32の制御プログラム等に従って各種演算処理を実行する。RAM33はCPU31による演算結果を一時的に記憶する。尚、より詳細には、制御装置21は、図11のように、パチンコ機1の主制御を行うメイン基板30と、当該メイン基板30からの信号によって各部を制御するための表示制御基板(中央表示制御装置101、中央枠表示制御装置111、遊技盤表示制御装置121、端部側表示制御装置131、前方表示制御装置142、透明板間表示制御装置143、扉表示制御装置151などを構成する基板)、音量調整基板(音声用制御装置41を構成する基板)、LED基板(図示略)、払出し制御基板(図示略)等の各種のサブ基板とを備えて構成されており、不正信号がメイン基板へ入力されることを防止するために、信号の伝送方向は、メイン基板からサブ基板への一方向のみとなっている。制御装置21は表示制御手段に相当する。
また、図11に示すように、中央枠表示制御装置111、遊技盤表示制御装置121、端部側表示制御装置131、前方表示制御装置142、透明板間表示制御装置143、扉表示制御装置151は、それぞれ、中央枠表示パネル110、遊技盤表示パネル120、端部側表示パネル130、前方表示パネル140、透明板間表示パネル141、及び扉表示パネル150を表示制御可能に構成されており、メイン基板30からの信号に基づく画像を各表示パネルに表示するように制御を行う。各表示制御装置111、121、131、142、143、151にはそれぞれ、図示しないROM、RAM、CPUなどが設けられており、メイン基板30からの制御信号に応じた画像を表示させる。本実施形態では、図1等に示すように、中央表示装置5によって中央表示部105(遊技領域中央において表示を行う領域)が構成され、中央枠表示パネルによって中央枠表示部119(中央枠(周囲装飾部40)において表示を行う領域)が構成される。また、遊技盤表示パネル120によって遊技盤表示部129(遊技盤7において表示を行う領域)が構成され、端部側表示パネル130によって端部側表示部139(遊技領域90aの端部又は遊技領域90aの端部に隣接した位置において表示を行う領域)が構成されている。さらに、前方表示パネル140及び透明板間表示パネル141によって保持部側表示部149(透明板保持部83又は透明板保持部83に装着された部品において表示を行う領域)が構成され、扉表示パネル150によって扉表示部159(扉部3において表示を行う領域)が構成されている。なお、ここでの表示部105、119、129、139、149、159の構成はあくまで一例であり、各表示部は単一の表示部材によって構成されていてもよく、複数の表示部材によって構成されていてもよい。
なお、図11では、各表示制御装置101、111、121、131、142、143、151がそれぞれメイン基板30に独立して接続され、メイン基板30から各制御装置に出力されるタイミングが調整されることにより、図17ないし図22、或いは、図23及び図24のような関連表示が可能とされている。なお、各表示制御装置101、111、121、131、142、143、151はそれぞれ、自身以外の1又は複数の表示制御装置と接続されていてもよい。例えば、前方表示制御装置142が他の表示制御装置101、111、121、131、143、151のいずれか1又は複数、或いは全てと接続されていてもよい。
また、CPU31による制御の1つとして、大当り遊技状態の発生確率を条件に応じて変動させる、いわゆる確率変動がある。具体的には、1/300程度の低確率で大当り遊技状態を発生させる低確率モードと、その約5倍である1/60程度の高確率で大当り遊技状態を発生させる高確率モードとが用意されており、大当り図柄の種類に応じて確率モードが切替えられる。すなわち、大当り図柄が、予め定められた特別図柄(例えば奇数図柄)であると高確率モードに設定され、予め定められた通常図柄(例えば偶数図柄)であると低確率モードに設定される。なお、低確率モードでの発生確率に対する高確率モードでの発生確率の倍数は、前述した値(約5)以外の値であってもよい。
(前方表示部材)
上述したように、パチンコ機1は、透明板保持部83に取り付けられ、かつ前方ガラス52よりも前方位置に配置される前方表示パネル140を備えている。図5に示すように、前方表示パネル140はベース部材85に取り付けられており、このベース部材85は透明板保持部83に対して着脱可能に取り付けられている。このようにすれば、メンテナンス等の際に、透明板保持部83を交換せずとも前方表示パネル140のみを交換できる構成となる。即ち、透明板保持部83に前方表示パネル140を取り付けるようにすると、透明板保持部83に透明板と前方表示パネル140という2つの消耗部品が配置されることとなるため、各部品の状態に応じて適切なメンテナンスを行う必要があるが、本構成によれば、各部品毎に独立したメンテナンスが可能となる。ベース部材85は、係合構造(係合爪、非係合部による構造等)やねじ等の締結部材を用いて透明板保持部83に対し着脱可能に取り付けられている。
なお、前方表示パネル140を取り付けるためのベース部材85は、透明板保持部83の一部として形成されていてもよい。このようにすれば、簡易にかつ安価にベース部材を構成できると共に、部品点数を効果的に削減でき、ひいては遊技機全体のコスト低減効果が期待できる。この場合、例えば、透明板保持部83の本体とベース部材とを樹脂成型により一体的に形成することができる。なお、透明板保持部83の本体とは、透明板を保持する部分のうち、ベース部材(即ち前方表示パネル140が取り付けられる部分)を除いた部分を意味する。具体的には、ベース部材と透明板保持部83の本体とを樹脂材料により一体的に形成することができる。このようにすれば、ベース部材をより一層簡易に、かつ安価に構成できる。
本実施形態では、ベース部材85が前方ガラス52の前面から前方に隙間を隔てて配置されているが、ベース部材85の一部が、前方ガラス52の前面に支持されててもよい。このようにベース部材の一部を前方ガラス52の前面にて支持するように構成すれば、ベース部材がより安定したものとなる。例えば、ベース部材の一部を、前方ガラス52の前面に固定することができる。このようにすれば、ベース部材の安定度が増し、構造的により強固なものとすることができる。例えば、接着剤等の接着媒体などによってベース部材と前方ガラス52の前面とを接合するようにして固定できる。このようにせずに、ベース部材と前方ガラス52の前面とを非固定状態で当接させるようにして支持するようにしてもよい。このようにすれば、ベース部材を前方ガラス52とは独立して扱いやすくなる。
図1、図5に示すように、透明板保持部83は、遊技機本体1aに開閉可能に取り付けられた扉部3の裏面側において、正面視した場合に、前方ガラス52と透明板保持部83との接合部、及び、ベース部材85と透明板保持部83との接合部が、共に視認不能となるように装着されている。この構成により、デザイン的に優れた構成となり、かつ、一部部品を透明板前方に露出させつつ当該部品の接続構造を一般遊技者に対して視認させないようにすることができるため防犯性の高い構成ともなる。
図5に示すように、前方表示パネル140の前面140aは、一部の端部が前方ガラス52の前面と近接する後方位置とされ、それとは別位置の端部が、前方ガラス52の前面から所定距離離れた前方位置に配置されている。このようにすれば、前方表示パネル140の一部が前方ガラス52前面に近づき、それとは異なる部分が前方ガラス52の前面から所定距離離れた前方に位置するように前方に盛り上がることとなる。その結果、遊技者により近い構成となり、かつ立体感溢れる構成となる。
遊技盤7の前方に配置される後方ガラス51(第1透明板)と、後方ガラス51の前方に配置される前方ガラス52(第2透明板)とを有しているが、透明板保持枠83は、両ガラス51、52を共に保持するように構成されており、遊技盤7を2枚のガラス51、52でカバーできる構成を実現しつつ、その2枚のガラス51、52よりもさらに前方で表示を行いうる構成をも実現している。即ち、2枚のガラス51、52で遊技盤7をカバーする構成では、遊技盤7がより奥まった位置に配置される格好となるため、遊技者との距離が増してしまうが、本構成によれば、それらガラス51、52のさらに前方に前方表示パネル140を配置するようにしているため、2枚のガラス51、52で遊技盤7をカバーする構成を実現しつつ遊技者のより近くに表示部材を立体性高く配置できる。
本実施形態では、図1に示すように、開口する窓部3cを備えた扉部3が、遊技機本体1aに対し開閉可能に設けられているが、前方表示パネル140は、窓部3cの開口領域の端部に配置されている。このように前方表示パネル140を窓部3cの開口領域の端部に設けるようにすれば、装飾にあまり用いられていなかったスペースを効果的に利用して装飾性の高い構成を実現できる。また、開口領域の端部に設けているため、開口領域の中央部の視認が阻害されず、開口領域中央部における遊技領域での演出と端部における前方表示パネル140の演出とが同時に把握できることとなる。
なお、本実施形態では、図5に示すように、窓部3cの開口領域の端部位置に前方表示パネル140の端部が位置しているが、例えば、窓部3cの端部と、前方表示パネル140の一部とが前後に重なるようにしてもよい。このようにすれば、窓部3cの端部の後方に前方表示パネル140が配置されることとなるため、前方表示パネル140を窓部の開口端部にまで目一杯配置できる好適な構成となり、前方表示パネル140における端部を部分的に覆うことのできる構成となる。
また、図1、図2、図4に示すように、遊技盤7に取り付けられる仕切部(レール22及び樹脂仕切部23)によって遊技盤7の前面7dに沿って囲まれるようにして、遊技球が打ち込まれる遊技領域90aが構成されており、前方表示パネル140は、遊技領域90aの外側のみに配置されている。これにより、あまり表示に利用されていない遊技領域外のスペースを効率的に利用して表示が行え、その表示が遊技領域と干渉しない構成となる。即ち、前方表示パネル140の表示が遊技球の流下を阻害することとはならず、遊技者は遊技球の流下と前方表示パネル140による表示を同時に把握できることとなる。
また、図5に示すように、前方表示パネル140の前面140aは、遊技盤7の前面7dに対して傾斜している。これにより、表示面積をより広く確保しやすい好適な構成となり、他方、前方表示パネル140による表示を、前後方向において当該前方表示パネル140の前位置或いは後位置にある部材(装飾部、表示部等の遊技部品など)と関連させやすい構成となる。
前方表示パネル140の前面140aは、遊技領域90aの中心G1(図1参照)側よりも外側のほうが前方位置となるように傾斜している。このようにすれば、遊技領域90aの中心G1(図1参照)側を後方位置とし、外側を後方位置とすることができるため、前方表示パネル140における遊技領域中心G1側の部分と遊技盤7における遊技領域内の部分とが前後方向において位置的に近くなり、連携性が高まる位置関係となる。
このようにせずに、前方表示パネル140の前面140aが、遊技盤7の前面7dとほぼ平行となるように構成してもよい。このようにすれば、前方表示パネル140が正面から視認されやすい構成となる。
(前方表示部材の構成)
前方表示部材に相当する前方表示パネル140は、フルカラーELディスプレイとして構成されている。図6に示すように、この前方表示パネル140では、有機EL素子を用いた有機ELディスプレイとして構成されており、発光層203を両側から電極(陽極201、陰極202)で挟んだサンドイッチ構造をなしている。そして、駆動回路146、147によって陰極202、陽極201間に電圧を印加し、発光層203でのエネルギー状態を基底状態から励起状態に押し上げて発光を生じさせるように構成されている。発光側の電極(陽極201)は外部に光を取り出すため、光透過性を有する透明電極として構成されている。陽極201の前方側にはガラス基板204が取り付けられている。さらに、電子輸送層205、正孔輸送層206が設けられている。
図6の例では、アクティブマトリクス方式のカラー有機ELパネルとして構成されており、発光層203は、陽極201のRGBパターンに対応して3色の発色領域が独立したかたちで形成されている。また、陽極201は、RGB3色のいずれかに対応したサブピクセル145(発光領域145a、TFT(薄膜トランジスタ)145b)がX行、Y列に複数並んで形成された3色発光方式が用いられており、駆動回路146、147により行、列を特定した上での電圧印加が可能とされている(なお、別の方式(カラーフィルタ方式や色変換方式など)によって構成されていてもよい)。このような構成をなす、カラー有機ELパネルを用いることにより、狭い領域に表示部材を配置して省スペース化を実現しつつ自由度高い表示を実現できるようになっている。なお、本実施形態では、ガラス基板240の外面を前方表示パネル140の前面140aとし、この面を表示面とする。
なお、上記の例では、駆動回路146と147を前方表示パネル140に設けたが、駆動回路146、147を前方表示パネル140とは別ユニットとして構成し、これらを電気的に接続してもよい(例えば、駆動回路146、147を、陽極201、陰極202、発光層203、ガラス基板204、電子輸送層205、及び正孔輸送層206によって構成されるユニットと別ユニットとして構成し遊技盤7の後方側に設けるようにしてもよい)。
なお、ここでは、表示部を構成するフルカラーELディスプレイの一例を示しており、フルカラー表示可能な構成であれば別の方式のディスプレイ(例えば、パッシブマトリクス方式のディスプレイなど)を用いてもよい。
(連なる表示領域の構成)
本実施形態ではさらに、遊技盤7の前面7dと平行な面方向において、前方表示パネル140と隣接する1又は複数の隣接表示部材を備え、前方表示パネル140と隣接表示部材とにより連なる表示領域が構成されている。これにより、表示部材を遊技者により近づけて立体感高く構成しつつ、他方、隣接表示部材との連携により広範囲に表示領域を構成できることとなり、装飾性を一層高めることができる。
図1及び図5に示すように、隣接表示部材は、前方ガラス52及び後方ガラス51における透明板間領域200に配置される透明板間表示パネル141(透明板間表示パネル141が透明板間表示部材に相当する)を備え、前方表示パネル140と透明板間表示パネル141とにより、遊技盤7の前面7dと平行な面方向に連なる表示領域が構成されている。これにより、前方表示パネル140によって一部領域が立体感高く構成され、かつ透明板間表示部材との連携により遊技領域において設置スペースを大きくとらずに広範囲に亘る表示領域が実現され、前後方向においても連携性の高い構成となる。なお、本実施形態では、透明板間表示パネル141の前面141aと、前方表示パネル140の前面140aとがほぼ同じ勾配で遊技盤7の前面7dに対して傾斜している。透明板間表示パネル141は、透明板保持部83にねじ等の締結部材によって着脱可能に取り付けられたベース部材84に取り付けられている。
また、隣接表示部材として、透明板保持部83が装着される扉部3に設けられた扉表示パネル150(扉表示パネル150が扉表示部材に相当する)も設けられており、前方表示パネル140と扉表示パネル150とにより連なる表示領域が構成されている。これにより、従来あまり表示に用いられない領域の効果的利用が図られ、前方表示パネル140及び扉表示部材の双方によって表示領域がより立体感高く構成され、かつ広範囲に亘る表示領域が構成されて、極めて装飾性の高い構成となる。より具体的には、前方表示パネル140における遊技領域90aの中心G1(図1参照)側の先端部140dが、当該前方表示パネル140の後端部140bとされており、この後端部140bが透明板表示パネル141において外側(遊技領域90aの中心G1とは反対側)の端部141eに設けられた前端部141cと、前後方向においても、横方向(遊技盤7の前面と平行な面方向)においても近接している。透明板表示パネル141における遊技領域中心側の先端部141dは、当該透明板表示パネル141の後端部141bとされている。一方、前方表示パネル140における外側(遊技領域90aの中心G1とは反対側)の端部140eは当該前方表示パネル140における前端部140cとされており、この前端部140cは扉表示パネル150における遊技領域90の中心G1側の端部と前後方向においても、横方向(遊技盤7の前面と平行な面方向)においても近接している。このようにして、前後方向及び横方向(遊技盤7の前面と平行な面方向)の位置的な連携が保たれている。
前方表示パネル140と透明板間表示パネル141を取り付ける透明板保持部83は、図7ないし図10のように構成されている。図7は、透明板保持部の正面図及び断面図を示し、図8は、透明板保持部に透明板を取り付けた状態を正面図及び断面図にて示している。図9は、透明板保持部を斜め前方から見た斜視図であり、図10は、透明板保持部を斜め後方から見た斜視図である。図7ないし図10に示すように、透明板保持部83は、2枚の透明板(前方ガラス52及び後方ガラス51)の周縁部を保持するように構成されており、後方ガラス51を保持する第1透明板保持部83aと、前方ガラス52を保持する第2透明板保持部83bとを有している。第2透明板保持部83bよりも前方位置にベース部材85が装着されている。このベース部材85に装着される前方表示パネル140は、遊技盤7の前面7dと平行な面方向において、2枚の透明板の周縁部側から、この前方ガラス52の中心側に向けて延出した構成をなしている。換言すれば、図1に示すように、遊技盤7の前面7dと平行な面方向において、前方表示パネル140は両透明板の周縁部側から遊技領域90aの中心G1側に広がっている。一方、ベース部材84は、第1透明板保持部83aと第2透明板保持部83bとの間に装着されており、透明板間表示パネル141は、前方表示パネル140の端部側から遊技領域90aの中心G1(図1参照)側に延出している。
さらに、図1ないし図5に示すように、遊技盤7には、複数の表示パネル(中央枠表示パネル110、遊技盤表示パネル120、及び端部側表示パネル130)が隣接して配置されており、複数の表示部からなる遊技盤側表示領域100が構成されている。ここでは、中央枠表示パネル110と遊技盤表示パネル120とが、遊技盤7の前面7dと平行な面方向に関し、わずかな隙間を隔てて近接している。また、遊技盤表示パネル120と端部側表示パネル130とは、前面7dと平行な面方向に関し隙間を隔てずに配置されている。なお、中央枠表示パネル110と遊技盤表示パネル120とが前面7dと平行な面方向において隙間を隔てずに近接していてもよい。遊技盤側表示領域100を構成する各表示部110、120、130のいずれもが隙間を隔てずに配置されていると遊技盤側表示領域100が一体性高く構成されることとなる。なお、このようにせずに遊技盤表示パネル120と端部側表示パネル130とがわずかな隙間を隔てて配置されていてもよい。また、遊技盤側表示領域100を構成する各表示部110、120、130は、図6で示すものと同様のフルカラーELディスプレイとして構成されている。
また、本実施形態では、上述の遊技盤側表示領域100と隣接して遊技盤外表示領域160が設けられている。遊技盤外表示領域160は遊技盤以外に取り付けられた複数の表示パネルによって構成されており、具体的には、透明板保持部83に設けられた上述の前方表示パネル140及び透明板間表示パネル141と、扉部に配置された上述の扉表示パネル150によって構成されている。この構成により、広範囲にわたって遊技盤外表示領域160が構成され、表示バリエーションを高めやすい構成となっている。なお、透明板間表示パネル141、扉表示パネル150についても図6の構成と同様のフルカラー有機ELパネルを用いた構成とされている。
また、図1ないし図5、及び図12に示すように、遊技盤7の前面7dに沿った面方向において、遊技盤側表示領域100の端部100a(即ち画面の端部)と、遊技盤外表示領域160の端部160a(画面端部)とが近接して配置されている。これにより、両領域が一体性高く把握されることとなり、遊技盤側表示領域及び遊技盤外表示領域において関連表示を行いやすい位置関係となっている。
(遊技状態の発生制御)
次に、これら遊技状態の発生制御について説明する。図13乃至図16のフローチャートは、制御装置21によって実行される各種ルーチンを示している。これらのルーチンの各処理は、カウンタ群及びフラグFに基づいて実行される。
カウンタ群は、ラウンドカウンタR、入賞カウンタP及び確変カウンタCを含む。ラウンドカウンタRはラウンド回数をカウントするためのものであり、入賞カウンタPはカウントスイッチ20の検出結果に基づき大入賞口6への遊技球Bの入賞個数をカウントするためのものである。確変カウンタCは高確率モードの終了を判断するためのものであり、「2」,「1」,「0」の値を採る。なお、カウンタR,P,Cの初期値はいずれも「0」である。
そのほかにもカウンタ群は、大当り遊技状態発生を決定するための内部乱数カウンタと、外れリーチ等を決定するための外れリーチ乱数カウンタと、停止図柄等を決定するためのそれぞれの図柄カウンタと、リーチ動作の種類を決定するためのリーチ種別カウンタとを含む。ここで、外れリーチ乱数カウンタによる外れリーチとは、前述したリーチ遊技状態の後に最終的に大当りの組合せとならない状態をいう。フラグFは、Vゾーン11への遊技球Bの入賞の有無を判定するためのものであり、Vゾーン用スイッチ19によって入賞が検出されない場合に「0」に設定され、入賞が検出されると「1」に設定される。なお、確率モードには低確率モードと高確率モードの2種類類あることは既に説明したが、初期値には低確率モードが設定されている。
さて、遊技者による遊技が開始されると、制御装置21は、まず図13の特別電動役物制御ルーチンのステップS10において、始動口用スイッチ18の検出結果に基づき、遊技球Bの第1種始動口4への入賞があったか否かを判定する。この判定条件が満たされていないと特別電動役物制御ルーチンを終了し、満たされているとステップS20において、内部乱数カウンタ、外れリーチ乱数カウンタの各値を取得するとともに、各図柄カウンタの値に基づき図柄列8乃至10毎に外れ図柄を取得する。ここでの取得とは、各カウンタの値を読取り、その値をメモリに記憶する処理を指す。
次に、ステップS30で図柄変動開始処理を実行する。詳しくは、図15のステップS31において、図柄列8乃至10の各図柄をそれぞれ表示装置5で変動表示させる。この表示により、遊技者には左・中・右の3つのリールがあたかも回転しているように見える。ステップS32において、内部乱数カウンタの値が大当り値と同一であるか否かを判定する。大当り値としては、2種類の値(低確率用大当り値、高確率用大当り値)が用意されている。前者は大当り遊技状態を前述した低確率で発生させるための値であり、後者は高確率で発生させるための値である。例えば、内部乱数カウンタが、「0」乃至「299」の範囲で所定時間毎に値を更新するものである場合、そのうちの「7」を低確率用大当り値とし、「7」,「17」,「27」,「37」,「47」を高確率用大当り値とする。すると、大当り遊技状態が発生する確率は、低確率用大当り値を大当り値として用いた場合には1/300となり、高確率用大当り値を大当り値として用いた場合には1/60となる。そして、前回の制御周期で低確率モードが設定されている場合には、低確率用大当り値が大当り値として選択される。高確率モードが設定されている場合には、高確率用大当り値が大当り値として選択される。
ステップS32の判定条件が満たされていると、ステップS33において、大当り値に対応する大当り図柄を停止図柄としてメモリに記憶する。一方、ステップS32の判定条件が満たされていないと、ステップS34において、外れリーチ乱数カウンタの値が予め定められた外れリーチ値と同一である否かを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップS35において、外れリーチ値に対応する図柄(以下「外れリーチ図柄」という)を停止図柄としてメモリに記憶する。なお、ステップS34の判定条件が満たされていないと、ステップS36において、ステップS20での外れ図柄を停止図柄としてメモリに記憶する。そして、上記ステップS33,S35,S36で停止図柄を記憶した後、図柄変動開始処理ルーチンを終了する。
のようにステップS30の処理(図柄変動開始処理)を実行した後、図13のステップS40において左右両図柄列8,10における図柄を、ステップS33,S35,S36のいずれかの処理で記憶した停止図柄に差替える。差替え後の図柄によって左右両図柄列8,10での図柄変動を停止させる。
ステップS50では、中図柄列9での図柄変動を停止させる。続いて、ステップS60において、図柄の組合せが大当りの組合せであるか否かを判定する。この判定条件が満たされていないと特別電動役物制御ルーチンを終了し、満たされていると、ステップS70において、大当り信号ONを出力端子16B及び16bに出力する。さらに、ステップS80において、大当り図柄が特別図柄(この場合、奇数図柄)であるか否かを判定し、特別図柄である場合は(ステップS80:Yes)、ステップS90において確変大当り信号ONを出力端子16C及び16cに出力する。続いて、ステップS100において、ラウンドカウンタRをリセットする。そして、ステップS110において入賞カウンタPをリセットするとともに、フラグFを「0」に設定する。
続いて、図14のステップS120においてソレノイド15を励磁する。すると、シャッタ14が倒れ、大入賞口6の通路入口が開放される。この開放により、遊技球BのVゾーン11及び通路12,13への入賞が可能となる。ステップS130でラウンドカウンタRを「1」インクリメントする。
次に、ステップS140において、入賞カウンタPの値が所定値Pmax以下であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップS150において、大入賞口6の閉鎖予定時期がまだか否かを判定する。この判定条件が満たされていると(ステップS150:Yes)、ステップS140へ戻る。その結果、大入賞口6の開放開始後にPmax個よりも多くの遊技球Bが入賞するか、閉鎖予定時期が到来するかしない限りは、大入賞口6が開放され続ける。これに対し、ステップS140,S150の判定条件のいずれか一方が満たされていないと、ステップS160においてソレノイド15を消磁する。すると、シャッタ14が起こされ、大入賞口6の通路入口が閉鎖される。
そして、ステップS170において、ラウンドカウンタRの値が所定値がRmax以下であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップS180においてフラグFが「1」であるか否かを判定する。ステップS180の判定条件が満たされていると(ステップS180:Yes)、図13のステップS110へ戻る。従って、一旦大当り遊技状態が発生すると、遊技球BがVゾーン11に最大Rmax回入賞するまでは、大入賞口6が開閉のサイクルを繰返す。例えば、所定値Pmaxが「10」に設定され、大入賞口6の開放時間が「約29.5」秒に設定され、所定値Rmaxが「16」に設定されている場合には、大入賞口6の開放後、(1)遊技球Bが大入賞口6へ10個入賞すること、(2)約29.5秒が経過すること、のいずれか一方の条件が満たされた時点で大入賞口6が閉鎖される。この大入賞口6の開放・閉鎖のサイクルが、遊技球BのVゾーン11への入賞を条件に最大で16回繰返されることとなる。ステップS170,S180の判定条件のいずれか一方が満たされていないと、ステップS190で「大当り信号OFF」を出力端子16B及び16bに出力する。さらに、ステップS200において、大当り図柄が特別図柄(この場合、奇数図柄)であるか否かを判定し、特別図柄である場合は(ステップS200:Yes)、ステップS210において確変大当り信号OFFを出力端子16C及び16cに出力する。続いて、ステップS220で確率変動処理を実行し、その後、特別電動役物制御ルーチンを終了する。
図16の確率変動処理ルーチンでは、ステップS221において、大当り図柄が通常図柄(この場合偶数図柄)であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていないと(ステップS221:No)、すなわち、大当り図柄が特別図柄(奇数図柄)であると、ステップS227において確変カウンタCが「0」であるか否か(高確率モード中であるか否か)が判定され、確変カウンタCが「0」である(高確率モード中である)場合は(S227:Yes)、ステップS228において、確変中信号ONを出力端子16A及び16aに出力する。続いて、ステップS229において高確率モードを設定し、確変カウンタCに「2」を設定する。ステップS229の処理を実行した後、確率変動処理ルーチンを終了する。このように、高確率中に特別図柄(奇数図柄)で大当り遊技状態が連続して発生した場合には、高確率モードが継続することとなる。
一方、ステップS221の判定条件が満たされていると、すなわち、大当り図柄が通常図柄(偶数図柄)であると、ステップS222において確変カウンタCが「0」でないか否かを判定する。この判定条件が満たされていない(C=0)と確率変動処理ルーチンを終了し、満たされている(C=2,1)とステップS223において確変カウンタCを「1」デクリメントする。ステップS224において確変カウンタCが「0」であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていない(C=1)と確率変動処理ルーチンを終了し、満たされている(C=0)とステップS225において、確変中信号OFFを出力端子16A及び16aに出力し、ステップS226において、低確率モードを設定する。このように一旦高確率モードが設定されると、確変カウンタCが「0」となるまで、すなわち、高確率モード設定後、連続して偶数図柄で2回大当り遊技状態が発生するまでは高確率モードが継続する。そして、偶数図柄での大当り遊技状態が2回連続すると、高確率モードが終了し低確率モードに切替えられる。
なお、本実施形態での処理手順は一例であり、適宜変更可能である。例えば、図柄変動処理(ステップS31)を停止図柄の記憶処理(ステップS33,S35,S36)の後に行うようにしてもよい。
上述したように、本実施形態では、遊技球Bが第1種始動口4へ入賞したことが検出されると、各カウンタの値が取得されるとともに図柄列8乃至10が変動表示される。各カウンタの値に基づき停止図柄が記憶され、その停止図柄によって図柄変動が停止される。停止されたときに表示されている図柄の組合せが大当りの組合せであると、遊技者に有利な大当り遊技状態が発生し、遊技球BがVゾーン11に最大Rmax回入賞するまで、大入賞口6の開閉のサイクルが繰返される。
一方、大当り図柄が特別図柄(奇数図柄)であると高確率モードが設定され、次回と、その次の回の2回にわたり大当り遊技状態の発生確率が高められる。すなわち、一旦高確率モードが設定されると、次回以降2回の大当り遊技状態の発生確率が高められるが、その期間中に再び奇数図柄で大当り遊技状態が発生すれば高確率モードが設定される。これに対し、期間経過後に通常図柄(偶数図柄)で大当り遊技状態が発生すれば高確率モードが終了する(低確率モードに切替えられる)。なお、このように次の回の2回にわたり大当り遊技状態の発生確率を高めるのではなく、次の回のみ大当り遊技状態の発生確率を高めるようにしてもよい。
さらに本実施形態では、上記のような処理において発生する特定遊技条件の成立に基づき前方表示パネル140での特定表示と、隣接表示部での特定表示と、が、関連して行われるように表示制御がなされる。この特定遊技条件の成立は、例えば、大当たり状態、確率変動状態、リーチ状態、リーチ予告状態、時短状態のうちから選ばれるいずれかの状態の成立であることが望ましく、例えば隣接表示部の特定表示と、前方表示パネル140での特定表示とが、共に、同一の特定遊技条件の成立に基づいて関連して行われるようにすることができる。例えば、確率変動状態の発生を条件として図27ないし図32のような特定表示を行うようにするには、図13でのS90の処理に伴って図27ないし図32のような図柄表示が行われるようにすればよい。いずれにしても、ある一つの特定遊技条件の成立に伴い両表示部が変化することとなるため、特定遊技条件をより一層盛り上げることができる。
(表示内容)
次に、前方表示パネル140及び隣接表示部での表示内容について説明する。
本実施形態では、前方表示パネル140及び隣接表示部において、同一対象(同一のキャラクター、同一の建物、同一の動植物、同一の風景など)を示す絵柄が表示可能とされている。ここでは、キャラクター絵柄190が同一対象を示す絵柄に相当しており、このキャラクター絵柄190が前方表示パネル140でも(図13参照)隣接表示部でも(図14参照)表示されるようになっている。具体的には、前方表示パネル140及び隣接表示部いずれか一方で表示されていた特定絵柄が他方へ移行するように表示制御されるようになっている。
図17に示すように、特定絵柄は、キャラクター絵柄190からなり、本実施形態では遊技盤側表示領域100で表示されていたキャラクター絵柄190が遊技盤外表示領域160へ移るように表示制御がなされるようになっている。この表示制御の際に、前方表示パネル140を横切るように特定絵柄(キャラクター絵柄190)が表示されることとなり、前方表示パネル140及び隣接表示部いずれか一方で表示されていた特定絵柄が他方へ移ることとなる。これによりキャラクターの動きが単一の表示部のみで完結するのではなく、複数の表示部に及ぶため、キャラクターの効果を広範囲に及ばせることができ、表示のバリエーションも高めることができる。
本実施形態では、キャラクター絵柄190の表示が、遊技領域90aの中心G1から外側に向かって移るようになっており、より具体的には、図17のように遊技領域の中心G1付近に配置された中央表示部105に表示されるキャラクター絵柄190が、遊技盤側表示領域100及び遊技盤外表示領域160に移るようになっている。これにより、遊技者の注目を特に集めやすい中央表示装置5の特定絵柄の表示効果が異なる位置に配置された遊技盤側表示領域100及び遊技盤外表示領域160にまで及び、特に斬新な表示態様となる。
例えば、図17のように表示装置5に表示されていたキャラクター絵柄190が、所定条件の成立に基づいて図18のように表示装置5から中央枠表示パネル110に移行する。この際、図18のように、キャラクター絵柄190の一部画像190aを表示装置5にて表示させた状態で一部画像190bを表示させるように移行するため、連続性の高いものとなっている。同様にして、図19のように中央枠表示パネル110から、遊技盤7の前面部に配置される遊技盤表示部120に移行し(図19では、一部画像190c、190dが中央枠表示パネル110、遊技盤表示部120にそれぞれ表示されている)、図20のように遊技盤表示部120を横切った後、図21のように、端部側表示パネル130を横切って透明板間表示パネル141、前方表示パネル140に移行するように表示制御がなされる(図21では、一部画像190e、190f、190gが端部側表示パネル130、透明板間表示パネル141、前方表示パネル140にそれぞれ表示されている)。さらに、前方表示パネル140を横切り、図22のように扉表示パネル150にキャラクター絵柄190が表示されることとなる。このような構成及び表示制御がなされることにより、表示装置5からキャラクターが抜け出して遊技盤、各種部品、扉部を動き回るという今までにない斬新な演出が可能となる。
なお、前方表示パネル140による特定表示と、隣接表示部による特定表示と、が所定の順序で行われるようになっているため、連携性が高まると共に、表示の流れが創出され、順序的な繋がりが強調されることとなる。
また、本実施形態においても、隣接表示部及び前方表示パネル140において、同種の背景画像が表示可能とされている。ここでは、キャラクターの画像以外の画像を背景画像としている。図17ないし図22の例では、隣接表示部及び前方表示パネル140において、同一色を主体とした背景画像が表示される構成をなし、より具体的には、隣接表示部及び前方表示パネル140において、同一色を主体とした背景画像が表示され、隣接表示部及び前方表示パネル140がより一層連携性高く把握されるようになっている。即ち、隣接表示部及び前方表示パネル140の背景画像が共に同一色を基調とし、その色が、周囲の遊技盤7、周囲装飾部40、扉部3のそれぞれにおける表示部以外の部分の色と異なっているため、図22のように繋がって把握できるようになっている。
なお、このような隣接表示部による特定表示と、前方表示パネル140による特定表示とが少なくとも所定期間同時に行われるようにするとよい。特に、隣接表示部及び前方表示パネル140による特定表示の開始(図17ないし図22のような背景画像の表示開始)が共に同タイミングで行われるようにすると、極めて連携性が高くなる。
また、図23ないし図25のような表示制御を行うようにしてもよい。図23ないし図25では、特定絵柄の表示が、隣接表示部及び前方表示パネル140において、遊技領域90aの外側から中心G1側に向かって移行するようになっている。より具体的には、図23のように、扉表示パネル150において表示された特定絵柄(桜吹雪の絵柄)が、その後、図24のように前方表示パネル140を横切り、その後、透明板表示パネル141を横切るようにして遊技領域90aの外側から中心G1側に向かって移行して、さらに、図25のように、遊技領域の中心G1付近に配置された中央表示部5に表示されるようになっている。この際、桜吹雪が、前方表示パネル140の外側から当該前方表示パネル140を横切り、図35のように前方表示パネル140の内側の表示部に表示されるように関連表示がなされる。
<実施形態2>
次に図26を参照して実施形態2について説明する。
図26は、実施形態2の遊技機の要部断面構成を例示しており、図5の変形例を示すものである。なお、図5と同様の構成をなす部分については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
実施形態2では、透明板保持部83に取り付けられかつ透明板の後方に配置される後方表示パネル148が設けられており、前方表示パネル140、透明板間表示パネル141、及び後方表示パネル148とにより、遊技盤7の前面7dと平行な面方向に連なる表示領域が構成されている。このようにすれば、前方表示パネル140によって一部領域を立体感高く構成しつつ、透明板間表示パネル141、後方表示パネル148との連携により遊技領域90aにおいて設置スペースを大きくとらずにより広範囲に亘る表示領域が実現される。また、前後方向においても表示部材間で距離の隔たりがあまりなく、連携性の高い構成となる。
本実施形態では、レール22と近接して後方表示パネル148が配置されており、後方表示パネル148と遊技盤表示パネル120とが極めて近い位置関係とされ、遊技盤表示パネル120及び後方表示パネル148によっても連なる表示領域が構成されている。
なお、表示装置5、中央枠表示パネル110、扉表示パネル150は、実施形態1と同様の構成をなしており、表示装置5、及び各パネル110、120、148、141、140、150によって連なる表示領域が構成されている。
<実施形態3>
次に、図27ないし図32を参照して実施形態3について説明する。
本実施形態では、前方表示パネル140の後方において、遊技球が流下可能となる流路が設けられている。即ち、遊技機においては、遊技球の流路をより大きくすれば遊技球の流下が自由度高い構成となり、その一方で、表示領域をより大きくすれば、装飾性がより高まる。このような課題を解決しうる構成を、遊技領域内で両方の課題を実現しようとすると、スペース的に極めて困難であるが、本実施形態のように構成すれば、前方表示パネル140を透明板の前方において立体感高く配置する一方で流路をその後方に構成することができ(即ち、前方表示パネル140と流路とが前後に重なるように構成することができ)、スペース的なメリットの大きい構成となる。
具体的には、図31に示すように、前方表示パネル140を備えると共に、遊技球の流下の視認を遮蔽するように視認遮蔽部210が構成されており、視認遮蔽部210における遊技領域中心側の先端部140dと、遊技領域90aの境界90との距離が、遊技球の径未満とされており、遊技盤7の前面7dと平行な面方向における視認遮蔽部210の遊技領域中心側の先端部の周囲において遊技球の流下が視認可能とされている。このようにすれば、前方表示パネル140の後方において遊技球を流下可能としつつ、前方表示パネル140を備えてなる視認遮蔽部によって遊技球が完全にカバーされない構成となる。従って、視認遮蔽部210の後方位置を遊技球が流れる場合であっても遊技球の一部が絶えず視認できることとなる。
本実施形態では、図27、図28に示すように、遊技盤7に取り付けられる仕切部(レール22)によって遊技盤の前面に沿って囲まれるようにして、遊技球が打ち込まれる遊技領域90aが構成されており、前方表示パネル140は、遊技領域90aの外側から内側に向けて当該遊技領域90aの境界を跨ぐように配置されている。このようにすれば、遊技領域の内部と外部に跨る領域を利用して、広範囲に亘る表示領域を確保できる。また、透明板の前方の領域を利用して表示部材を配置しているため、仕切部等によって遊技領域を仕切りつつ、その仕切部に邪魔されることなく遊技領域の内部と外部に跨るように表示部材を簡易に配置できる。
また、隣接表示部材は、遊技盤7に直接又は他部材を介して間接的に設けられた遊技盤側表示パネル120によって構成されている。これにより、遊技者の注目を集めるやすい遊技盤側の隣接表示部材と透明板付近の表示部材とによって広範囲にわたる表示領域を構成できる。具体的には、図31に示すように、遊技盤側表示パネル120は、遊技盤に埋設された埋設表示部材によって構成されている。なお、この場合、遊技領域の端部又は遊技領域の端部に隣接する位置に設けられた端部側表示部材によって隣接表示部材が構成されていてもよい。
<実施形態4>
次に図32を参照して実施形態4について説明する。
実施形態4では、前方表示パネル140の周縁部が、遊技領域90aの周縁に沿って(即ちレール22に沿って)構成されている。これにより、前方表示パネル140をスペース的に限られた遊技領域外に配置する上で効率的な配置が可能となり、かつ遊技との連携性を高めやすい構成となっている。本実施形態でも、前方表示パネル140の全体が遊技領域90aの外部に配置されている。なお、ここでは、隣接表示部材が設けられていない構成を例示しているが、実施形態3と同様の隣接表示部材(遊技盤表示パネル120)が遊技盤7に設けられていてもよい。
<実施形態5>
次に図33ないし図35を参照して実施形態5について説明する。
図33は、実施形態5に係る遊技機を例示する正面図、図34はその斜視図、図35は、要部断面図である。
本実施形態では、遊技機本体1aに開閉可能に取り付けられた扉部3において、ベース部材85を少なくとも下方側から支持する支持部材220が設けられている。即ち、前方表示パネル140及びベース部材85を透明板の前方に配置すると、遊技機の構造上、いかに前方表示パネル140及びベース部材85の重量に耐えうる構成とするかが問題となる。即ち、遊技機において、透明板の前方に前方表示部材を配置しようとする構成はあまりなく、いざ前方表示パネル140を配置しようとすると、前方表示パネル140及びベース部材85の重量に起因して前方表示パネル140の配置上の安定性が阻害される虞がある。しかしながら本実施形態の構成によれば、前方表示パネル140を支持部材220によって支持することにより安定性高く配置でき、扉部3の頻繁な開閉に耐えうる構成となる。
本実施形態では、ベース部材85が透明板に対し非接触状態とされており、透明板とベース部材とを所定操作により容易に分離できる構成となっているが、このような構成において図のように支持部材220を設けるとより有用である。即ち、ベース部材85が透明板に対し非接触状態であると、ベース部材85の遊技領域中心側の端部が当該ベース部材85の重量に起因して不安定となるが、本実施形態の構成によればベース部材85の下方側が支持され、ベース部材の重量に起因する不安定状態を解消できる。本実施形態では、ベース部材85が透明性を有する樹脂部材として構成されており、ベース部材を介して表示パネル141が前方より視認可能とされている。
<実施形態6>
次に図36ないし図38を参照して実施形態6について説明する。
本実施形態では、図36に示すように、前方表示パネル140の前方ををカバーするようにカバー部材210が設けられている。即ち、このように前方表示パネル140を透明板の前方に配置する構成では、前方表示パネル140を遊技者に近づけて立体感を高めることができるが、その一方、単にそのまま配置するだけでは表示パネル140が露出してむき出しになり、劣化や汚れ等の問題が生じてしまう。これに対し図36のように前方表示パネル140をカバーするカバー部材210を設ければ、前方表示パネル140に劣化や汚れが生じにくくなる。図36の例では、カバー部材210は透明性を有する透明部材によって構成されており、前方表示パネル140の表示部前面140aのほぼ全体をカバー部材210によってカバーするように構成されている。即ち、正面視した場合に、前方表示パネル140全体がカバー部材210の配置領域に収まるように構成されている。
図36の例では、透明板保持部83に対しねじ部材211によって着脱可能に取り付けられたベース部材85にカバー部材210が取り付けられており、このカバー部材210が前方表示パネル140をカバーしている。
また、図37のようにしてもよい。図37の例では、カバー部材213が透明板保持部83に図示しないねじ部材等によって装着されている。カバー部材213も、やはり前方表示パネル140の前方において表示部前面140aの全体をカバーするように配置されている。
また、図38のようにしてもよい。図38の例では、カバー部材215が扉部3に図示しないねじ部材等によって装着されている。カバー部材215も、やはり前方表示パネル140の前方において表示部前面140aの全体をカバーするように配置されている。図38の例では、装着状態において、カバー部材215及びベース部材85が透明板と当接し、透明板に支持される格好となっている。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、特許請求の範囲における「前方表示部材」に相当する前方表示パネル140、或いはそれ以外の表示パネル110、120、130、141、148、150をフルカラーELディスプレイによって構成したが、各表示部材を配置するスペースに設置可能なものであれば、いずれの表示パネルについても、液晶ディスプレイなど他の種類の表示部材によって構成することができる。
(2)なお、上記実施形態では、非円形の透明板保持部83を構成したが、円形の透明板保持部に取り付けるように(取り付ける構成は実施形態1等を参照)、または円形の透明板保持部に隣接させるように(隣接させる例は実施形態4を参照)表示部材を設けてもよい。また、上記実施形態では非円形の開口形状の窓部を構成したが、ほぼ円形の開口形状の窓部を構成し、その窓部の開口端縁近傍に表示部材を配置してもよい。
(3)なお、隣接表示部材は、透明板保持部に取り付けられかつ透明板の後方に配置される後方表示部材によって構成されていてもよい。
(4)上記実施形態では、前方表示パネルに隣接して隣接表示部材が設けられる構成を例示したが隣接表示部材を省略し、前方表示パネルを独立して設けてもよい。