JP2006094726A - 肝細胞癌の悪性度評価方法 - Google Patents

肝細胞癌の悪性度評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 癌の悪性度を的確に把握するための新たな観点に基づいた客観的な検査・診断技術を開発する。
【解決手段】 ヒト肝細胞癌患者から採取したサンプルにおいて、8p12領域、16p13.2-p13.3領域、16q23.1-q24.3領域、19p13.2-p13.3領域から選ばれる1以上の染色体領域の少なくとも一部の欠失の有無を検出することを特徴とする、肝細胞癌(HCC)の悪性度評価方法を提供する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、肝細胞癌(HCC)の悪性度評価方法に関し、具体的には、肝細胞癌患者における染色体の特定領域の欠失の有無を検出することによって、手術後の予後の状態を予測するための方法に関する。
社会の高齢化が着実に進行しつつある中で、死亡原因第1位の疾病である癌においては、的確な診断技術並びに優れた医療技術の開発が急務となっている。特に癌細胞特異的な治療薬が開発されていない現在、癌の悪性度の的確な診断と、それに応じた治療の最適化(テイラーメイド医療)の実現が最重要な研究課題である。例えば、特定の癌患者において、その癌が転移や再発を生じる悪性度の高いものであることが判明すれば、確実な手術および術後に十分な抗癌剤を用いた補助療法の実施を、また逆に悪性度が低い場合には副作用を最小限に抑え、患者負担のできるだけ少ない治療を選択できることが理想である。
しかしながら、現在の癌の臨床診断は、組織形態学に基づいた病理検査に頼っている。病理検査では、癌組織の切片標本を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色や、各種免疫染色法等を用いて顕微鏡で観察する。そして、細胞や核の形態、染色の濃淡等に基づいて、癌か良性腫瘍か否か、あるいは進行度などを評価している。
種々の癌の中でも発生頻度の高い癌の一つに肝癌がある。肝癌のなかでも肝細胞癌(HCC)は肝臓を原発とする癌のなかで95%を占める癌であり、世界的には東アジア・アフリカで特に発生頻度が高いことが特徴である。日本国内では胃癌、肺癌に次いで死亡率は第三位であり、再発を生じることが多く、予後不良な癌の一つであることから、優れた治療法とともに、的確な診断技術の開発が待望されている。現在、肝細胞癌の有無の可能性については、AFPやAFP-L3、PIVKA-IIといった腫瘍マーカーの血中濃度の検査が一般的に用いられ、その有用性が認められている。
また、臨床の場において、肝細胞癌の病態を評価するのにはTNM方式による進行度が用いられている(原発性肝癌取り扱い規約、日本肝癌研究会編)。これは、腫瘍塊の個数、大きさ、血管侵襲の有無、リンパ節転移の有無、遠隔臓器への転移の有無の要因をスコア化することで、ステージ1〜4に分類するものである。一方、組織学的分化度という分類も臨床的に用いられている。これは組織形態学的な検査により、癌細胞の分化度を高分化型、中分化型、低分化型に分類するものであり、一般に高分化型から低分化型になるに従って概ね悪性度が高いことが知られている。
このような中、近年の医学・生物学研究の進歩によって、癌の発生・進展のメカニズムが分子レベルで解明されつつある。それに伴って、癌は様々な要因によってゲノムDNAレベルで不可逆的な異常を生じ、その異常が複数積み重なって悪性形質を発現していることが明らかとなってきた。これは、個々の癌で生じているゲノム異常を全染色体にわたって詳細に解析することが可能となれば、癌の多様な悪性形質、いわば癌の個性を的確に把握しうる、ゲノム情報に基づいた客観的指標が得られることを期待させるものである。
近年、Kallioniemi-A らによって染色体CGH法(conparative genomic hybridization法、比較ゲノムハイブリダイゼーション法)が開発された(非特許文献1参照)。染色体CGH法は癌細胞のゲノム増幅・欠失異常領域を一度の実験操作で、また特異的DNAプローブやPCR(polymerase chain reaction)プライマーを必要とすることなく、全染色体にわたってスクリーニングすることが可能な方法である。最近になって、アレイCGH法という優れた染色体異常解析技術が開発された。これはスライドガラス上にヒトゲノムDNA断片(BACクローン)を高密度にスポットしたゲノムDNAアレイ(BACアレイ)を作製し、このアレイに対して蛍光標識した癌細胞DNAと正常DNAを競合ハイブリダイズさせ、スポット毎の蛍光シグナルを解析することで、癌細胞で生じている染色体コピー数の増加・欠失領域を同定するものである。
カリオニエミ(Kallioniemi-A)ら、「サイエンス(Science)」 (米国) 1992年、第258巻、p.818-821
しかしながら、組織形態学に基づいた病理検査は病理医の経験に大きく依存した主観的方法である上、予後や転移性、抗癌剤抵抗性など、癌の悪性度診断に重要な情報をほとんど提供することができていないのが現状である。腫瘍マーカーに関しても、発見された肝細胞癌の悪性度、すなわち予後や再発性に関して的確に評価しうるマーカーや手法は未だ確立されていない。更に、タンパク質の発現の検出や、mRNAの発現を検出するcDNAアレイを用いた検出では、患者の体調やサンプル採取の時間帯等によって変動が大きく、一定した結果が得られないことが多かった。
TNM方式による進行度分類は予後の良悪について一定の効果が認められているものの、同じステージに分類されても予後の良い例、悪い例が大きく分かれるなど、その有用性は限られている。また、組織学的分化度の評価は病理医による顕微鏡観察に基づいているため、客観性に乏しいうえ、やはり予後を的確に予測することはできていない。
従って、癌の悪性度を的確に把握するためには、新たな観点に基づいた客観的な検査・診断技術の開発が必要である。
これまでの種々の研究によれば、癌の種類、すなわち発生臓器、組織、細胞の違いによってゲノム異常のパターンは異なるうえ、逆にある種の異常を有していたとしても、それが癌化の原因となるか否かは往々にして臓器、組織、細胞によって異なることも明らかとなっている。したがって、癌の種類ごとに多症例かつ詳細な分子レベルの解析、そして各検体のゲノム異常とその臨床情報との関連解析が必要である。
本発明者等は、肝細胞癌に特徴的なゲノム上のコピー数異常領域を見出し、それらの領域における異常の有無を検出することによる肝細胞癌の的確な悪性度評価方法の確立を検討した。本発明者等は先に、染色体自身の増幅・欠失を観察することで、安定したデータが得られることに着目し、染色体CGH法を用いた肝細胞癌臨床検体のゲノム異常の解析から得られた情報が、肝細胞癌の進展度評価に有用であることを見いだした(特願2003-090214)が、染色体CGH法は、染色体の識別が容易でない上、約20Mb以下の微小な領域の異常を検出することが困難であった。このため本発明者等は更に、染色体CGH法に比べて精度・異常検出解像度が大きく向上し、染色体CGH法では検出が困難であった微細領域に生じる異常をも検出することが可能なアレイCGH法を用いて解析を行った。アレイCGH法は、癌細胞で生じるゲノムコピー数異常領域を、ゲノム全体にわたって、簡便かつ詳細に解析しうる手法である。
本発明者等は、アレイCGH法により、ゲノムDNAを用い、多数の肝細胞癌臨床摘出検体について全染色体にわたる異常領域解析を行い、さらにその結果と各症例の臨床病態情報との相関関係を検討した。具体的には、ヒトゲノムのBACライブラリーにより構成されたDNAマイクロアレイを用いて肝細胞癌患者から得られたサンプル及び正常サンプルを比較し、各染色体における増幅・欠失等の変化を解析し、肝細胞癌の術後生存期間、再発までの期間の長短といった癌の悪性度に統計的に有意な相関性を有する新たなゲノム異常領域を見いだすことに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(11)を提供する。
(1) ヒト肝細胞癌患者から採取したサンプル中の肝臓癌細胞において、染色体の8p12領域、16p13.2-p13.3領域、16q23.1-q24.3領域、19p13.2-p13.3領域から選ばれる1以上の領域の少なくとも一部の欠失の有無を検出することを特徴とする、肝細胞癌(HCC)の悪性度評価方法。
(2) 欠失の有無の検出を、DNAコピー数の変化の検出によって行う、上記(1)記載の方法。
(3) DNAコピー数の変化を、BAC(Bacterial Artificial chromosome)クローンとのハイブリダイゼーション、FISH法、LOH法、定量PCR法、またはサザンブロット法によって検出する、上記(2)記載の方法。
(4) DNAコピー数の変化を、BACアレイとのハイブリダイゼーションによって検出する、上記(3)記載の方法。
(5) 肝臓癌細胞中のDNAを標識する、上記(4)記載の方法。
(6) 悪性度が予後の状態及び/または再発可能性の有無に関するものである、上記(1)〜(5)のいずれか記載の方法。
(7) ヒト染色体8p12領域、16p13.2-p13.3領域、16q23.1-q24.3領域、19p13.2-p13.3領域から選ばれる1以上の染色体領域の少なくとも一部の塩基配列に相補的な塩基配列を有する1種以上のプローブを含む、肝細胞癌の悪性度の評価のためのキット。
(8) 上記1種以上のプローブが支持体上に固定されたものである、上記(7)記載のキット。
(9) 更にヒト染色体8p12領域、16p13.2-p13.3領域、16q23.1-q24.3領域、19p13.2-p13.3領域以外の領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有する対照プローブを含む、上記(7)または(8)記載のキット。
(10) 更に標識剤を含む、上記(7)〜(9)のいずれか記載のキット。
(11) 悪性度が高い肝臓癌サンプルにおける検出パターンの表示を含む、上記(7)〜(10)のいずれか記載のキット。
本発明によって、従来行われていた病理学的検査に比べ、より客観的な情報を提供することが可能であり、癌の的確な診断に大きく寄与するものと考えられる。本発明を用いて肝細胞癌患者の病態を評価した場合に、悪性度が高いと判定されたならば、それは遠隔転移の可能性や再発の可能性が高いことなど、予後が不良であることが予測でき、そのような患者に対しては十分な抗癌剤による補助療法を開始すべきであると判断可能となる。一方、悪性度が低いと判定されたならば、副作用の少ない最小限の治療を行えばよい。あるいは、手術前の生検(バイオプシー)による検査に適用すると、手術を行う前に、切除範囲の大小、周辺リンパ節まで切除すべきか、肝切除以外の治療法が適当かなど、治療方針を決定するのに大いに役立つ。このように本発明を医療の現場に導入することにより、従来法に比べてより的確な肝癌の診断が可能となり、その結果Quality of Lifeの向上や医療費の削減など、医学的にも社会的にも多くの恩恵を与えることになると期待される。
本発明は、ヒト肝細胞癌患者から採取したサンプルにおいて、8p12領域、16p13.2-p13.3領域、16q23.1-q24.3領域、19p13.2-p13.3領域から選ばれる1以上の染色体領域の少なくとも一部の欠失の有無を検出することを特徴とする、肝細胞癌(HCC)の悪性度の検査・評価方法を提供する。これらの領域において欠失が存在すると、欠失が存在しない場合と比較して、腫瘍摘出手術後の再発や生存期間などの、いわゆる予後が悪いこと、すなわち癌の悪性度が高いと評価できることが見出された。
ヒト染色体8p12領域には、8番染色体30,007,346〜30,107,346bp領域(NCBI Human Genome Assembly Build34に基づく領域)が含まれる。またこの領域は、Macrogen Human BAC Library (Macrogen社)においてはクローンBAC74_F23に含まれる染色体領域である。
ヒト染色体16p13.2-p13.3領域には、16番染色体3,119,948〜6,759,323bp領域(NCBI Human Genome Assembly Build34に基づく領域)が含まれる。またこの領域は、Macrogen Human BAC LibraryにおいてはクローンBAC59_B08〜BAC100_H02に含まれる染色体領域である。
ヒト染色体16q23.1-q24.3領域には、16番染色体78,664,463〜89,633,927bp領域(NCBI Human Genome Assembly Build34に基づく領域)が含まれる。またこの領域は、Macrogen Human BAC LibraryにおいてはクローンBAC84_E07〜BAC101_G17に含まれる染色体領域である。
ヒト染色体19p13.2-p13.3領域には、19番染色体5,668,164〜13,405,823bp領域(NCBI Human Genome Assembly Build34に基づく領域)が含まれる。またこの領域は、Macrogen Human BAC LibraryにおいてはクローンBAC57_D10〜BAC131_D05に含まれる染色体領域である。
これらの領域及びその周辺領域に関し、それぞれのBACクローン番号、BACクローンID、ゲノム地図上での位置、鎖長、その領域にあることが判明している遺伝子名と併せて以下の表1に示す。尚、表中に示すゲノム地図上での位置は、公的データベース(NCBI human genome sequence assembly build34)によるものである。
Figure 2006094726
本発明の方法は、上記染色体領域における少なくとも一部の欠失を検出することを特徴とする。本明細書において、「少なくとも一部」とは、15bp以上、好ましくは60bp以上、より好ましくは1kb以上、更に好ましくは100kb以上の連続した配列をいう。
欠失の有無の検出は、染色体のその領域の欠失自体を染色体CGH法等で検出しても良く、特に限定するものではないが、好ましくはゲノムDNAで生じているコピー数の変化(増加及び欠失)を検出する。検出法としては、BAC(Bacterial Artificial chromosome)クローンへのテストDNAと対照(正常)DNAの競合ハイブリダイゼーション、あるいは2枚のアレイスライドを使用しての同時ハイブリダイゼーション、FISH(fluorescence in situ hybridization)法、ISH(in situ hybridization)法、定量的PCRによる方法、LOH(loss of heterozygosity)法、サザンブロット法の他、当分野において使用される種々の方法が挙げられ、特に限定するものではない。
FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)法は、間期細胞核あるいは分裂期染色体展開標本に対し、蛍光標識したプローブDNA(調べたいゲノム領域に相当するDNA配列を有するBACクローン、PCR産物など)をハイブリダイズさせ、それにより得られる蛍光シグナルの数量を蛍光顕微鏡下で計数する手法である。サンプルとしては癌組織病理切片、組織塊を分散処理して調製した細胞などを用い、一般的なFISH法に準じてハイブリダイゼーションを行えばよい。請求項に記しているゲノム領域に相当するDNA配列を蛍光標識したDNAプローブを調製し、サンプル標本に対してハイブリダイゼーションを行い、その後蛍光顕微鏡により蛍光色素のシグナルスポットを計数する。調べたい対象領域と同一染色体上のセントロメア近傍領域(αサテライト配列)に対するプローブを異なる蛍光で標識し、同時にハイブリダイゼーションを行うと、コピー数異常をより正確に評価することが可能となる。
また、BACクローンとのハイブリダイゼーションによって検出する場合、300〜2500個のBACクローンを支持体上に固定したアレイが市販されており(例えばMacrogen社製またはSpectral Genomics社製)、これを利用することが好適である。
国際ヒトゲノム配列決定プロジェクトの一環として、ゲノムDNA断片(鎖長100〜300Kb)をBAC(bacterial artificial chromosome)ベクターにクローン化したヒトゲノムBACライブラリが構築された。ライブラリを構成する各クローンは、ゲノム地図上の位置が確定され(マッピング)、そのDNA配列および、どのような遺伝子がコードされているかといった情報をインターネット上で公開された公的ゲノムデータベース(米国NCBI、米国UCSC等のWebサイトなど)から容易に得ることができるようになっている。ヒトBACライブラリはいくつかの研究グループにより構築され、RPCI(Roswell Park Cancer Institute)ヒトゲノムBACライブラリ、Caltech(California Institute of Technology)ヒトBACライブラリ等がある。韓国Macrogen社でも独自にヒトBACライブラリを構築している。
アレイCGH法は異常の有無を調べたいゲノム領域に相当するDNA配列(BACクローン、PCR産物、合成オリゴDNAなど)(以後プローブDNAと呼ぶ)を固相(スライドグラス、ガラスや金属、樹脂性の板状チップ、マイクロビーズ、繊維状担体など)に共有結合や非共有結合等により固定化したもの(以後プローブアレイと呼ぶ)を用いる。例えばアミノシランで表面をコーティングしたスライドガラス上に、精製したBACクローンDNAをクローンごとにスポットして固定化したものを用いることができる。DNAはBACベクターにゲノムDNAが挿入されたもの、それを超音波等でさらに短いDNAに断片化したもの、PCR等によりBACクローンDNAの一部あるいは全体を増幅させたものなどが考えられる。BACマイクロアレイは市販のものを入手することも可能である(例えば、Macrogen社のGenomArray(商標)、米国Spectral Genomics社のSpectralChip(商標)等)。
アレイCGH法を用いる場合、調べたい対象の癌細胞由来DNA(テストDNA)および対照として正常細胞由来DNA(対照DNA)を用いる。癌細胞DNAは手術摘出腫瘍組織、病理組織切片、生検(バイオプシー)により得た組織などから一般的な手法により抽出精製する。例えば市販のDNA精製キットなどが簡便である。RNAやたんぱく質などの夾雑物はできるだけ除去することが望ましい。また、癌組織内に混在する正常間質細胞等をマイクロダイセクション法などで除いたほうが異常領域の検出感度が高くなる。得られるDNAが微量の場合には、PCR法などで増幅してから用いることも可能である。使用するDNA量としては、アレイの大きさや実験形態にもよるが、スライドグラス上の22mm x 40mmのエリアにアレイ化されていて、蛍光標識法を適用する場合、0.1〜1.0μgのDNAを用いるのが適当である。
検出のために、テストDNAおよび対照DNAに対して、それぞれ異なる標識物質により標識を行う。蛍光色素による直接標識、放射性同位元素、間接標識のための試薬、異なる物理的・光学的特性を有する粒子などを用いることができる。蛍光による直接標識法では、サンプルDNAをテンプレートとしてrandom primer法やnick translation法を用いれば、蛍光標識テストDNAおよび蛍光標識対照DNAを合成できる。Cy3-dCTPあるいはCy5-dCTPなどの蛍光標識核酸を用いてrandom primer法をを適用した場合、鎖長100〜500bpのCy5標識テストDNAおよびCy3標識対照DNAを得ることができる。
標識テストDNAおよび対照DNA溶液に、繰り返し配列をブロックするためCot-1 DNA(50〜100μg)等を加え、エタノール沈殿法などによってDNAに取り込まれなかった標識分子等を除去する。精製された標識DNAおよびCot-1 DNAの混合物はハイブリダイゼーション溶液に溶解する。ハイブリダイゼーション溶液の1例としては、50%ホルムアミド/2xSSC(2xSSC: 2倍濃度の標準クエン酸緩衝液)/10%硫酸デキストラン/4% SDS (SDS: ドデシル硫酸ナトリウム)/100mg/ml 酵母tRNA, pH 7.0がある。標識DNAを溶解したハイブリダイゼーション溶液はDNAを単鎖化するために加熱(上記ハイブリダイゼーション液を使用した場合70℃x10分間)し、その後37℃で60分間インキュベートすることで、サンプルDNA中の非特異的な繰り返し配列をCot-1 DNAでブロックする。
一方、プローブアレイについては、用いたプローブDNAがあらかじめ1本鎖あるいは単鎖化されている場合はそのままハイブリダイゼーションに供し、2本鎖の状態であれば、沸騰水中に1分程度加熱するなどにより単鎖化後、乾燥させてからハイブリダイゼーションに供する。
スライドグラス等の担体への標識DNAの吸着を抑制するために、サケ精子由来DNA(10mg/ml)を含むハイブリダイゼーション溶液に30分程度さらした後、精製水で洗浄し、直ちに乾燥させておくとよい。
続いてプローブアレイに対して標識DNAを接触させ、ハイブリダイゼーション反応を行う。上記ハイブリダイゼーション溶液を使用する場合、37℃で24時間から48時間反応させるのが適当であるが、実施形態によって最適な条件を決定したほうがよい。スライドグラスにスポットされたプローブアレイの場合、ハイブリダイゼーション溶液を滴下後カバーグラス等をかけ、湿潤条件下でハイブリダイゼーションを行う。スライドグラスアレイでのハイブリダイゼーション用の市販装置を用いるのもよい。
インキュベート後にアレイを洗浄し、特異的なプローブDNAと標識サンプルDNAの結合を残し、非特異的なハイブリダイゼーション、あるいは吸着しているDNAをプローブDNAから除く。スライドグラスタイプのBACアレイであれば、45℃に加温した50%ホルムアミド/2xSSC, pH7に15分、0.1%SDS/2xSSC, pH7に30分浸漬し、続いて室温の0.1%NP40/0.1Mリン酸緩衝液, pH7に15分、2xSSC, pH7に5分浸漬後、エタノールで濯いで乾燥させるとよい。
もしサンプルDNAの標識に間接法を適用しているのであれば、続いて蛍光標識されたアフィニティ分子を結合させるなどの処理を行う。
各プローブDNAにハイブリダイズしたテストDNA由来のシグナルと対照DNA由来のシグナルの定量的検出を行う。スライドグラスタイプのBACアレイに対し蛍光標識DNAをハイブリダイズさせた場合であれば、レーザースキャナーやCCDカメラなどの定量的検出装置により各プローブ由来DNAの蛍光イメージを取得すればよい。マイクロビーズを担体に用いるのであればフローサイトメーターなどで検出することができる。
各プローブDNAに相当するゲノム領域において、癌細胞でコピー数増加(増幅)が生じていればテストDNAが対照DNAに比べ相対的に多くハイブリダイズし、一方、癌細胞でコピー数減少(欠失)が生じていれば、対照DNAがテストDNAに比べ相対的に多くハイブリダイズすることになる。したがって、アレイ上のプローブDNAごとに、テストDNA由来シグナルと対照DNA由来シグナルの強度を比較することにより、各プローブDNAに相当するゲノム領域において、癌細胞でコピー数増加が生じているか、減少しているか、正常レベルであるのかを判定することができる。
本発明の方法は、テストサンプルの解析において、8p12領域、16p13.2-p13.3領域、16q23.1-q24.3領域、19p13.2-p13.3領域から選ばれる1以上の領域の少なくとも一部の欠失をが検出された場合に、悪性度が高く、予後不良な癌であると評価することができ、一方、当該異常を有していなければ悪性度は低く予後は良好であると評価できる。
本発明の一態様として、BACマイクロアレイ(GenomArray(商標)、韓国マクロジェン社)を用い、肝細胞癌細胞及び正常細胞の染色体数を比較した。その結果、図1及び2に示すように、正常細胞と比較して、コピー数増加あるいは欠失を生じるゲノム領域がかなりの割合で存在することが判明した。これらの異常のそれぞれが、発癌及び/または癌患者における種々の症状と関連することが予想されるが、本発明者等は特に、予後の良/不良との関係に着目して、本発明の方法において特に有効な指標となり得る領域として、8p12領域、16p13.2-p13.3領域、16q23.1-q24.3領域、19p13.2-p13.3領域を同定した。
本発明はまた、ヒト染色体8p12領域、16p13.2-p13.3領域、16q23.1-q24.3領域、19p13.2-p13.3領域から選ばれる1以上の染色体領域の少なくとも一部の塩基配列に相補的な塩基配列を有する1種以上のプローブを含む、肝細胞癌の悪性度の評価のためのキットを提供する。該キットは、上記本発明の方法において好適に使用することができる。プローブの長さは、15bp以上であれば良いが、好ましくは60bp以上、より好ましくは1kb以上、更に好ましくは100kb以上である。
本発明のキットは、上記1種以上のプローブが支持体上に固定された、例えばアレイとすることができる。
キットには更に、ヒト染色体8p12領域、16p13.2-p13.3領域、16q23.1-q24.3領域、19p13.2-p13.3領域以外の領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有する対照プローブを含ませることができる。また、検出のための蛍光色素等の標識剤を含んでいても良い。キットにはその他、対照サンプルとなる正常ヒト由来DNA、サンプル中のDNAとプローブとの反応のために必要な緩衝液、洗浄液等を適宜含ませることができる。
また、本発明のキットには、悪性度が高いと評価すべき肝臓癌サンプルについて該キットを用いて得られる検出パターンの表示を、例えば説明書において含ませることができる。検出パターンは、例えば図1に示すような異常プロファイルでも良く、あるいはアレイ上で蛍光標識を用いて競合ハイブリダイゼーションまたは同時ハイブリダイゼーションを行った際に得られるスポットの発色を示すものであっても良い。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
BACマイクロアレイ(Macrogen社)を用いたアレイCGH法による肝細胞癌ゲノム異常の解析
大学病院にてインフォームドコンセントのもと患者から提供を受けた原発性肝細胞癌手術摘出検体45症例を解析サンプルとして用いた。
癌組織からDNA抽出装置(クラボウ社NA-3000)を用いてゲノムDNAを抽出精製した。対照DNAとしてはヒト正常人胎盤由来DNA(Promega社)を用いた。蛍光標識DNAの調製にはrandom primer法を適用した。1症例の解析につき、癌組織DNA(テストDNA)および正常リンパ球由来DNA(対照DNA)を各0.5μg準備し、マイクロチューブ内に精製水にて21μlとなるよう調製した。これらDNA溶液に2.5x random primer溶液(Invitrogen社 BioPrime DNA Labeling Kit)20μlを加えて混合し、100℃にて5分間加熱後、直ちに氷上に移し、5分間冷却した。続いてdNTP溶液(Macrogen社 MacArray Kit、Solution A)5μl、テストDNAのチューブには1mM Cy5-dCTP(PerkinElmer社)を、対照DNAのチューブには1mM Cy3-dCTP(PerkinElmer社)を各3μl、Klenow Fragment(Invitrogen社 BioPrime DNA Labeling Kit)を1μl (40unit)添加混合した後、37℃のインキュベータ内にて遮光下、16時間インキュベートした。その後、0.5M EDTA溶液(Invitrogen社 BioPrime DNA Labeling Kit)を5μl添加して反応を停止させた。未反応のCyanine-dCTP等を除去するため、DNA精製カラム(Qiagen社 QiaQuick PCR Purification Kit)にDNAをトラップし、80μlのTE緩衝液にて溶出した。
BACマイクロアレイとして、Macrogen社が独自に構築したヒトゲノムBACライブラリ由来のクローン1,440個が3スポットずつスライドグラス上に固定化されたものを使用した(MacArray Kit)。本BACアレイにスポットされたクローンは、すべて両端エンドシーケンスが決定され、ゲノム地図上にマップされている。さらにFISH法によっても染色体上の位置が確認されているとともに、重複してハイブリダイズする領域がないことも確認されている。各クローンは全ゲノム範囲にわたって位置するよう選択されており、平均約2.1Mbの解像度でコピー数異常領域をマッピングすることが可能である。
蛍光標識したテストDNAおよび対照DNA 各80μlおよびCot-1 DNA(Macrogen社 solution B) 50μlを混合し、さらに3M酢酸ナトリウム 20μlおよび氷冷100%エタノール500μlを加えて混合撹拌した。冷凍庫(-25℃)にて60分間置いた後、遠心分離(13,000rpm x 20分)を行った。DNAのペレットを残して上清を除去し、氷冷70%エタノールを500μl加え再度遠心分離(13,000rpm x 5分間)を行った。DNAペレットを残して上清を除去した後、10分間風乾させた。得られたDNAペレットにyeast tRNA(Macrogen社 Solution D)14μlおよびハイブリダイゼーション溶液(Macrogen社 solution C)140μlを添加して遮光下30分間静置してDNAを緩やかに溶解させた。DNAを十分に撹拌溶解させた後、70℃の水浴中で15分間加熱することでDNAを単鎖化し、37℃のインキュベータ内で60分間静置することでCot-1による繰り返し配列のブロッキング反応を行った。
一方、ハイブリダイゼーション溶液(Solution C)45μlにサケ精子DNA溶液(Macrogen社 Solution E)15μlを加えて混合し、70℃水浴中で10分間加熱後、氷上で5分間冷却し、ブロッキング溶液とした。BACマイクロアレイ(Macrogen社 MacArray Kit)上にブロッキング溶液55μlを滴下し、液がアレイ全体に行き渡るよう22x60mmのカバーグラスを載せ、室箱中にて30分間インキュベートした。その後カバーグラスを静かに外し、精製水中で10秒間浸漬し、再度新しい精製水に10秒間浸漬した後、100%イソプロパノールに浸漬し、スライド用遠心機にて乾燥させた。
ハイブリダイゼーションおよび洗浄は自動スライド処理装置(GenomicSolutions社 HybStation)を使用した。BACマイクロアレイを自動スライド処理装置にセットし、120μlのサンプルDNA溶液をアプライした。インキュベーション温度を37℃にセットし、間欠的にサンプルDNA溶液を振盪撹拌しつつ、48〜72時間ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション後の洗浄も自動スライド処理装置により行った。洗浄液1(50%ホルムアミド/2xSSC, pH7)にて46℃、5分間3回、洗浄液2(0.1% SDS/2xSSC, pH7)にて46℃、10分3回、洗浄液3(0.1%NP-40/0.1Mリン酸緩衝液, pH7)にて46℃、10分間3回、洗浄液4(2xSSC, pH7)にて46℃、2分間3回の洗浄操作を行った。その後、BACマイクロアレイを装置から外し、70%, 85%, 100%の各エタノールシリーズを満たした染色瓶に各1分間ずつ浸漬後、スライド用遠心機にて乾燥させた。
ハイブリダイゼーションおよび洗浄後のアレイはマイクロアレイ用スキャナ(Axon Instruments社 GenePix 4000A)にてスキャンし、テストDNAおよび対照DNA由来蛍光による画像を取得した。得られた画像データはアレイCGH解析用ソフトウェア(Macrogen社 MacViewer)により解析を行った。アレイスポットごとにCy3およびCy5の蛍光シグナルを測定し、データをノーマライズした後、log2(Cy5/Cy3)値をクローンごとにプロットした。解析結果の1例を図1に示す。図1において、縦軸は正常と比較した増減のレベルを示し、横軸はBACクローン番号を示す。増減のレベルは、log2 ratio値が0.25より大きい場合にコピー数増加、−0.25より小さい場合にコピー数減少(欠失)と判定し、コピー数異常が既知のモデル実験において染色体1コピーの変化を0.25の閾値レベルで判定できることを確認している。なお、ノーマライズとは全クローンのCy3蛍光値の平均値とCy5蛍光値の平均値が等しくなるよう各蛍光強度値に係数を乗ずるものである。
同様にして合計45症例の肝細胞癌サンプルのゲノム異常プロファイルを解析し、BACクローンごとにコピー数異常の存在頻度を調べた。図2に示すように、多くの症例で共通してコピー数増加あるいは欠失を生じるゲノム領域が存在することが判明した。
これらの高頻度に異常を生じるゲノム異常は、そこにコードされている遺伝子の発現レベルを変化させることなどにより、癌の悪性形質発現に重要な役割を果たしているものと考えられる。他の研究者らの報告によると、食道扁平上皮癌を染色体CGH法により解析した結果、染色体3p領域の欠失や3q領域のコピー数増加、18q領域の欠失などが高頻度に生じることが明らかとなっている(特開2002-272497)。それに対して、本実施例での肝細胞癌のアレイCGH解析では3p, 3q, 18q領域では異常の頻度は非常に小さく、8p, 16p, 16q, 19p領域の欠失などが高頻度であり(図2)、癌で生じるゲノム異常が発生臓器・組織によって大きな違いがあることが判明した。
実施例1で用いた肝細胞癌患者45症例において、手術後の再発の有無、生存期間をモニターし、肝細胞癌で特徴的である染色体8p, 16p, 16q, 19p領域において、癌の悪性度、とりわけ生存期間・再発期間と相関する領域がないかどうか、BACクローンレベルで検討した。
(1)Macrogen社のBACクローンID:BAC74_F23(クローン番号618)に相当する8p12領域に欠失を有する肝細胞癌の患者の生存期間はその欠失を有していない肝細胞癌の患者に比べて有意に短く、予後が不良であった(図3)。ゲノム地図上で隣接するBACクローンID:BAC117_I18(クローン番号617)およびBAC11_C18(クローン番号619)に相当する領域の欠失異常の有無では生存期間に有意な差は認められなかった。
(2)BACクローンID:BAC59_B08, BAC60_M03, BAC49_J01, 及びBAC100_H02(クローン番号1041〜1044)に相当する16p13.2-p13.3領域に欠失を有する肝細胞癌の患者の生存期間あるいは無再発期間は、その欠失を有していない肝細胞癌の患者に比べて有意に短く、予後が不良であった(図4及び5)。ゲノム地図上で隣接するBACクローンID:BAC252_I22(クローン番号1040)およびBAC20_K17(クローン番号1045)に相当する領域の欠失異常の有無では予後に有意な差は認められなかった。
(3)BACクローンID:BAC84_E07, BAC200_K17, BAC170_D16, BAC96_121, BAC72_M12, 及びBAC101_G7(クローン番号1067〜1073)に相当する16q23.1-q24.3領域に欠失を有する肝細胞癌の患者の生存期間あるいは無再発期間は、その欠失を有していない肝細胞癌の患者に比べて有意に短く、予後が不良であった(図6及び7)。また、ゲノム地図上で隣接するBACクローンID:BAC61_N20(クローン番号1065)に相当する領域の欠失異常の有無では予後に有意な差は認められなかった。
(4)BACクローンID:BAC57_D10, BAC15_C01, BAC78_A24, BAC242_P14, BAC50_B05, 及びBAC131_D05(クローン番号1169〜1178)に相当する19p13.3-p13.2領域に欠失を有する肝細胞癌の患者の生存期間あるいは無再発期間は、その欠失を有していない肝細胞癌の患者に比べて有意に短く、予後が不良であった(図8及び9)。また、ゲノム地図上で隣接するBACクローンID:BAC37_C21(クローン番号1166)およびBAC63_L12(クローン番号1180)に相当する領域の欠失異常の有無では予後に有意な差は認められなかった。
進行度3の肝細胞癌患者における悪性度の評価
臨床の場では肝細胞癌の悪性度の一つの指標としてTNM法に基づいた進行度分類が用いられている。そこで、進行度(stage)3に分類された肝細胞癌の症例について実施例2と同様のゲノム異常と予後の相関解析を行ったところ、8p12領域(BACクローンID:BAC74_F23、クローン番号618)に欠失を有する肝細胞癌の患者では、その異常を有しない肝細胞癌の患者に比べて有意に生存期間が短かった(図10)。
同様に16q24.3領域(BACクローンID:BAC72_M12、クローン番号1073)に欠失を有する肝細胞癌の患者、あるいは19p13.3領域(BACクローンID:BAC15_C01、クローン番号1169)に欠失を有する肝細胞癌の患者では、その異常を有しない肝細胞癌の患者に比べて有意に無再発期間が短かった(図11及び12)。
これらの結果から、現在臨床的に用いられている肝細胞癌の進行度の指標では再発の可能性が高いか低いかを予測することは困難であること、そして本発明による悪性度評価法が有効であることが示される。
中分化度の肝細胞癌患者における悪性度の評価
現在臨床で用いられている別の悪性度の指標として組織学的分化型による分類がある。そこで次に高分化型よりも一般的に悪性度が高い中分化型に分類された肝細胞癌の症例について実施例2と同様の予後とゲノム異常との相関解析を行った。
その結果、16p13.3領域(BACクローンID:BAC59_B08及びBAC49_J01、クローン番号1041及び1043)、16q24.3領域(BACクローンID:BAC96_I21及びBAC72_M12、クローン番号1070及び1073)、19p13.2領域(BACクローンID:BAC131_D05、クローン番号1178)に欠失を有する肝細胞癌の患者は、その異常を有しない肝細胞癌の患者に比べ、生存期間が有意に短かった(図13〜15)。また16q24.3領域(BACクローンID:BAC72_M12、クローン番号1073)に欠失を有する肝細胞癌の患者は、その異常を有しない肝細胞癌の患者に比べ、無再発期間が有意に短かった(図16)。
これらの結果から、組織学的分化型に基づく悪性度分類では予後を的確に予測することは困難であること、そして分化度に関わらず、16p13.2-p13.3領域、16q23.1-q24.3領域、19p13.2-p13.3領域において欠失が観察される症例において、予後が悪く、悪性の癌であると予測可能であることがわかる。
肝細胞癌のゲノム異常プロファイルの解析例を示す。縦軸は正常と比較した増減のレベルを示し、横軸はBACクローン番号を示す。グラフ内の1〜21の数字及びXは染色体番号を示す。 肝細胞癌におけるDNAコピー数異常の発生率を45症例中の頻度で示す。緑はコピー数増加が観察された頻度を、赤は欠失が観察された頻度を示す。横軸はBACクローン番号を示す。矢印は高頻度でコピー数異常を生じていた領域(頻度0.25以上)を示す。 肝細胞癌患者45症例における8p12領域の欠失の有無と手術後の生存期間(日数)との関係を示す。青が欠失のない患者、赤が欠失のある患者を示す。図中に示すp値は、log rank testまたはWilcoxon testによる値である。 肝細胞癌患者45症例における16p13.2-p13.3領域の欠失の有無と手術後の再発までの期間(日数)との関係を示す。縦軸は無再発生存率を示す。 肝細胞癌患者45症例における16p13.2-p13.3領域の欠失の有無と手術後の生存期間(日数)との関係を示す。 肝細胞癌患者45症例における16q23.1-q24.3領域の欠失の有無と手術後の生存期間(日数)との関係を示す。 肝細胞癌患者45症例における16q23.1-q24.3領域の欠失の有無と手術後の再発までの期間(日数)との関係を示す。 肝細胞癌患者45症例における19p13.3-p13.2領域の欠失の有無と手術後の再発までの期間(日数)との関係を示す。 肝細胞癌患者45症例における19p13.3-p13.2領域の欠失の有無と手術後の生存期間(日数)との関係を示す。 Stage3の肝細胞癌患者における8p12領域の欠失の有無と手術後の生存期間(日数)との関係を示す。 Stage3の肝細胞癌患者における16q24.3領域の欠失の有無と手術後の再発までの期間(日数)との関係を示す。 Stage3の肝細胞癌患者における19p13.3領域の欠失の有無と手術後の再発までの期間(日数)との関係を示す。 中分化型の肝細胞癌患者における16p13.3領域の欠失の有無と手術後の生存期間(日数)との関係を示す。 中分化型の肝細胞癌患者における16q24.3領域の欠失の有無と手術後の生存期間(日数)との関係を示す。 中分化型の肝細胞癌患者における19p13.2領域の欠失の有無と手術後の生存期間(日数)との関係を示す。 中分化型の肝細胞癌患者における16q24.3領域の欠失の有無と手術後の再発までの期間(日数)との関係を示す。

Claims (11)

  1. ヒト肝細胞癌患者から採取したサンプル中の肝臓癌細胞において、染色体の8p12領域、16p13.2-p13.3領域、16q23.1-q24.3領域、19p13.2-p13.3領域から選ばれる1以上の領域の少なくとも一部の欠失の有無を検出することを特徴とする、肝細胞癌(HCC)の悪性度評価方法。
  2. 欠失の有無の検出を、DNAコピー数の変化の検出によって行う、請求項1記載の方法。
  3. DNAコピー数の変化を、BAC(Bacterial Artificial chromosome)クローンとのハイブリダイゼーション、FISH法、LOH法、定量PCR法、またはサザンブロット法によって検出する、請求項2記載の方法。
  4. DNAコピー数の変化を、BACアレイとのハイブリダイゼーションによって検出する、請求項3記載の方法。
  5. 肝臓癌細胞中のDNAを標識する、請求項4記載の方法。
  6. 悪性度が予後の状態及び/または再発可能性の有無に関するものである、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. ヒト染色体8p12領域、16p13.2-p13.3領域、16q23.1-q24.3領域、19p13.2-p13.3領域から選ばれる1以上の染色体領域の少なくとも一部の塩基配列に相補的な塩基配列を有する1種以上のプローブを含む、肝細胞癌の悪性度の評価のためのキット。
  8. 上記1種以上のプローブが支持体上に固定されたものである、請求項7記載のキット。
  9. 更にヒト染色体8p12領域、16p13.2-p13.3領域、16q23.1-q24.3領域、19p13.2-p13.3領域以外の領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有する対照プローブを含む、請求項7または8記載のキット。
  10. 更に標識剤を含む、請求項7〜9のいずれか1項記載のキット。
  11. 悪性度が高い肝臓癌サンプルにおける検出パターンの表示を含む、請求項7〜10のいずれか1項記載のキット。
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