JP6683633B2 - 前立腺がんの進行を評価するための材料および方法 - Google Patents

前立腺がんの進行を評価するための材料および方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年7月3日に出願された米国特許仮出願第62/020990号の優先権を主張する。この仮出願は、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、前立腺がんの進行を評価するための方法ならびにかかる方法に有用なプローブセットおよびキットに関する。
前立腺がんは、男性の最も一般的な悪性腫瘍であり、肺がんに次いで、男性の死因の第2位である。2012年の推計では、241,740例が新たに生じ、28,170例が死亡した(www.cancer.gov)。ほとんどの腫瘍は前立腺に限定されており、ほとんどの患者は臨床的に有意でない前立腺がんの発症であるが、他の患者は、急速に死に至る播種性疾患を発症している。
現在、前立腺がんの約30%は、根治的前立腺摘除術(RP)後に再発する。高い再発リスクを有する患者の認定は課題である。前立腺癌の自然史は極めて可変的であり、むしろ、既存の方法(例えば、グリーソンスコア)では予測不可能である。患者を即座に補助療法で処置すべきかどうかを判定するための、手術後の腫瘍再発の有効な予測因子の必要性が存在している。生物学的に悪性でない腫瘍を有する患者は、かかる医療介入の恩恵がない可能性がある。前述のことは、明らかに局在している疾患のRPに関連する有意な罹病率およびRPの高いコストと併せて、個々の癌の挙動を予測するための信頼性のある分子マーカーが見出されることの重要性を強調する。
種々のマーカーおよび方法が開示されている。例えば、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)によるHER−2/neu遺伝子の増幅レベルの測定が、前立腺がんの重症度の判定方法であると開示されている(国際公開第1998/045479号;「’479出願」)。’479出願の方法によれば、5コピー以上のHer−2/neuを有する患者が積極的に処置される。増幅した8q24.1−24.2染色体バンドセグメントの存在の測定が、前立腺がんの進行の診断方法であると開示されている(米国特許第5658730号)。8p21−22遺伝子座の減少、8番染色体の増加およびセントロメアコピー数と比べたc−mycのコピー数さらなる増加の測定が、前立腺がんの予後判定方法であると開示されている(米国特許第6613510号)。8q24(c−myc)の増加ならびに8p21−22のヘテロ接合性(LOH)の減少(Bova et al.,Cancer Res.53:3869−3873(1993);およびKagan et al.,Oncogene 11:2121−2126(1995);また、8p12−21の対立遺伝子減少に関しては、Emmert−Buck et al.,Cancer Res.55:2959−2962(1995)も参照のこと)および10q23(PTEN)(Yoshimoto et al.,Br.J.Cancer 97(5):678−685(Sept.3,2007;epub Aug.14,2007)の減少も開示されている。1番から22番までの染色体のうちの1つ以上の、1つ以上の遺伝子座におけるヘテロ接合性の減少に関する試験が、新生物表現型または新生物発生前表現型を有する細胞の検出方法として開示されている(米国特許出願公開第2003/0165895号;「’895出願」)。’895出願の方法は、種々のがんの進行に関する遺伝子変化の検出に適用可能であると開示されている。例えば、新生物の徴候を認定する方法における20P1F12/TMPRSS2の解析が、前立腺がんの評価に有用であると開示されている(米国特許第7037667号)。TMPRSS2の5’部分とERG、ETV1、ETV4またはFLI1の3’部分との融合およびPCA3核酸分子の存在の検出が、前立腺がんを認定または特性評価する別の方法として開示されている(米国特許第8580509号;また、米国特許第8211645号および同第7718369号ならびに米国特許出願公開第2012/0295809号も参照のこと)。FOXO1A、SOX9、CLNS1A、PTGDS、XPO1、LETMD1、RAD23B、ABCC3、APC、CHES1、EDNRA、FRZB、HSPG2およびTMPRSS:ETV1から選択される3種類以上のバイオマーカーを検出することを含む、前立腺がんの再発、進行および転移の可能性を予測する方法が、米国特許出願公開第2011/0230361号および国際公開第2010/056993号に開示されている。抗ERG療法に対する応答性を評価するためにERG活性化またはERG転座を有する前立腺がん患者をスクリーニングすることが、国際公開第2008/023087号に開示されている。グリーソンスコアおよびPSAレベルと併せて、融合TMPRSS2:ERG、この重複およびERGの5’側の介在部の欠失の検出により、前立腺がんを有する患者の層別化が可能になることが報告されている(Attard et al.,Oncogene 27(3):253−263(Jan.2008);e−pub.July 16,2007)。前立腺がんの初期段階の診断のためにERGの過剰発現ならびにERGの3’部分とアンドロゲン調節遺伝子(TMPRSS2、NDRG1、SLC45A3またはPSAなど)の5’部分との融合を検出することが開示されている(米国特許出願公開第2012/0220672号;また、融合ERG:NDRG1に関して米国特許出願公開第2012/0039889号も参照のこと)。患者の前立腺がんの認定における融合HERPUD1:ERGおよび融合AX747630:ETV1の使用が米国特許出願公開第2012/0015839号に開示されている(また、ERGとETV1の他の融合遺伝子の使用については、米国特許出願公開第2009/0239221号および同第2009/0208937号も参照のこと)。前立腺がんを検出するためのMIPOL1:ETV1の使用が米国特許出願公開第2011/0028336号に開示されており、一方、患者を、前立腺がんを有する、急速進行型前立腺がんを有する、または前立腺がんを発症する可能性があると診断し、患者の前立腺腫瘍が抗アンドロゲン療法に適切かどうかを評価するためのACSL3:ETS(ACSL3:ETV1など)の使用が国際公開第2009/0144460号(「’460出願」)に開示されている。また、’460出願には、グリーソンスコアおよび/または前立腺がんの臨床病期を評価し、前立腺がんの予後を判定するための融合ETV1の使用も開示されている。ARG−ETS融合遺伝子(ARG:ERGおよびARG:ETV1など)の検出が、前立腺新生物のスクリーニング方法として開示されている(カナダ特許出願公開第2814598号)。米国特許出願公開第2012/0214684号には、前立腺癌などの新形成の検出、前立腺がんの急速進行性の特性評価、治療の有効性のモニタリングおよび処置の選択におけるOCT3/4、Nanong、Sox2、c−Myc、Klf4、Keratin 8およびuPARから選択されるマーカーの使用が開示されている。数ある方法の中でも、ETV1を含む群から選択される遺伝子の発現産物レベルを調べることによりがんの進行を評価する方法ならびに癌、黒色腫、結腸がんおよび前立腺がんを診断する方法が米国特許出願公開第2007/0237770号に開示されている。前立腺がんなどの分類において少なくとも2つの細胞周期の遺伝子(AURKAなど)を単独で、またはPTENとさらに組み合わせて測定することが米国特許出願公開第2012/0041274号に開示されている。生存性の評価のためにMYC RNAを単独で、またはPTEN RNAとさらに組み合わせて使用することが米国特許出願公開第2012/0009581号に開示されている。少なくとも2種類のタンパク質(PTENなど)の定量によってがん(例えば、前立腺がん)などの疾患に関する生存(例えば、診断、予後判定、応答性の予測および/または相対生存率)を測定することが米国特許出願公開第2011/0306514号に開示されている。前立腺がんを検出するためにPCA3と、TMPRSS2:ERGを含む群から選択される少なくとも1種類の他のマーカーとを使用することが国際公開第2009/0140741号に開示されている。増幅した8q24染色体バンドセグメントの存在を測定することを含む、前立腺がんの進行または前立腺がんの再発を診断する方法が国際公開第1996/020288号に開示されている。プローブ、DMSO以外の非プロトン性極性溶媒、10%未満のホルムアミドおよびハイブリダイゼーション溶液を含む、がん(例えば、前立腺がん)などの病状を検出するためのハイブリダイゼーション組成物の使用が米国特許出願公開第2011/0281263号に開示されている。ハイブリダイゼーション組成物中のプローブは、とりわけ、例えば、c−MYC、MYCN、PTEN、MDM2、FGFR1、AURKA、CEP8またはCEP10を検出し得るものである。ABP280(FLNA)、AMACR、AR、BM28、BUB3、CaMKK、CASPASE3、CDK7、DYNAMIN、E2F1、E−CADHERIN、EXPORTIN、EZH2、FAS、GAS7、GS28、ICBP90、ITGA5、JAGGED1、JAM1、KANADAPTIN、KLF6、KRIP1、LAP2、MCAM、MIB1(MK167)、MTA1、MUC1、MYSOIN−VI、P27、P63、PAXILLIN、PLCLN、PSA(KLK3)、BAP27、RBBP、RIN1、SAPKα、TPD52、XIAPおよびZAGから選択される遺伝子セットの発現レベルを測定することにより前立腺組織を特性評価する方法が米国特許出願公開第2006/0234259号に開示されている;該方法は、報告によると、予後判定、例えば、前立腺疾患の進行の予測を伴うものであり得る。がんの再発または転移の発生のリスクの評価方法において一群の372個の決定因子から選択される2つ以上の決定因子のレベルを測定することが米国特許出願公開第2011/0265197号に開示されている;該方法は、報告によると、前立腺がんの標準的なパラメータ(グリーソンスコアなど)の測定を伴うものであり得る。また、前立腺がんの診断または予後判定においてERGの発現レベルを単独で、またはAMACRの発現レベルとさらに組み合わせて測定することが米国特許出願公開第2013/029860号に開示されている(また、前立腺がんなどのスクリーニングにおける他のERG関連遺伝子の使用については米国特許出願公開第2010/0215638号も参照のこと)。がんの再発、進行および転移の可能性の予測のために、CSPG2、WNT10B、E2F3、CDKN2A、TYMS、TGFB3、ALOX12、CD44、LAF4、CTNNA1、XPO1、PTGDAS、SOX9、RELA、EPB49、SIM2、EDNRA、RAD23B、FBP1、TNFRSF1A、CCNG2、LETMD1、NOTCH3、ETV1、BID、SIM2、ANXA1、BCL2、FOXO1A、CLNS1A、PTGDS、XPO1、LETMD1、RAD23B、ABCC3、APC、CHES1、EDNRA、FRZB、HSPG2、TMPRSS2:ETV1、CSPG2、CDKN2Aなどからなる群より選択される1種類以上のバイオマーカー(例えば、RNAまたはタンパク質)を検出することが開示されている(米国特許出願公開第2013/0005837号参照)。FGFR1、PMP22およびCDKN1Aの組み合わせにより、低グリーソンスコアの腫瘍の転帰が正確に予測されることが報告されている(Irshad et al.,Sci.Transl.Med.5(202):202(Sept.11,2013))。FGFR1を含む73個の遺伝子の群から選択される遺伝子の差次的発現を検出することを含む、前立腺がんなどのがんの診断方法がカナダ特許出願公開第2604844号に開示されている(また、欧州特許出願公開第2083088も参照のこと)。また、予後判定するため、腫瘍体積を評価するため、モニタリングするため、進行のリスクを判定するため、および前立腺がんを病期分類するためのPCA3と前立腺特異的マーカー(例えば、NKX3.1)(例えば、この比率)の使用も開示されている(米国特許第8257924号)。前立腺がんの予後判定のため、またはアンドロゲン受容体シグナル伝達を評価する(例えば、発現の検出もしくは測定により)ために、PSA/KLK3、PMEPA1、NKX3.1、ODC1、AMD1およびERGから選択される2つ以上の遺伝子を使用することがカナダ特許出願公開第2719172号に開示されている。細胞/組織試料中、例えば、前立腺から採取した試料中のがん細胞およびこの前駆細胞を同定するための自動化可能な方法において、her2/neu、p16、p53、Ki67、MN、mdm−2、bcl−2およびEGFRから選択される少なくとも2種類の分子マーカーを使用することが米国特許第7452727号に開示されている。8p21−22、8番染色体およびC−MYCに対するプローブからなる染色体プローブセットのハイブリダイゼーションパターンを測定することを含む、前立腺がんの予後判定方法が米国特許第6613510号に開示されている。前立腺がんを検出するために、ERG、TFF3および高分子量サイトケラチンに対する抗体を使用することが開示されている(例えば、IHCによるE
RG発現と、FISHによるERG遺伝子状態(即ち、再編成)との完全な一致)が、ERG/TFF3の発現とパラメータ(年齢、PSA、グリーソンスコア、腫瘍ステージ分類および生化学的再発など)との間に相関性は観測されなかった(国際公開第2013/0173463号)。前立腺がんの診断、前立腺がん/腫瘍の相違する前立腺がん下位分類への分類、および、ErbB2とさらに組み合わせて、腫瘍(前立腺腫瘍など)を有する患者の臨床試験のための層別化において、c−Myc、Ha−Ras、NeuTおよび/またはc−Srcの発現レベルを使用することが米国特許出願公開第2014/0109245号に開示されている。被験体を前立腺がんについて診断的に評価するために、TARDBP、TLN1、PARK7、ISPI1、CALD1、p73、PTEN、PXN、PEX10、KL3、DBN1、NFAT1、B−Tubulin、SOS1、HSF4、TOP1、HSPA1A、ACID2、STAT2、p53、CHD3 CASP8、STX6、AR、GAPDHS、サイクリンD1およびCCNA2から選択される2種類以上のマーカーを使用することが米国特許出願公開第2014/0066325号に開示されている。AURKAの過剰発現/増幅および/またはMYCNを単独で、またはERG再編成とさらに組み合わせて測定することを含む、前立腺がんを細分類する方法(例えば、致死性内分泌性前立腺がん(NEPC)を発症するリスク)が米国特許出願公開第2014/037647号に開示されている。前立腺がんなどのがんを診断するため、またはこの進行をモニタリングするために、HOXA7、AURKA、NEK2、FOXM1B、CCNB1、CEP55、CENPA、DNMT3B、DNMT1、HELLS、MAPK8、BMI1、ITGB1、IVLおよびCTNNB1から選択される5種類以上のマーカーを使用することが国際公開第2012/013931号に開示されている。ヒト染色体12q24のSMRT遺伝子の遺伝子座の配列内の切断部をFISHを用いて検出することが、前立腺がんの転移の尤度を測定する方法として開示されている(米国特許第7425414号)。前立腺がんの評価、前立腺がんを有する患者における治療に対する応答の評価/モニタリング、および前立腺がんの進行のモニタリングにおける構成物(例えば、PTEN RNA)レベルの測定が開示されている(国際公開第2008/121132号)。前立腺がんの急速進行性を調べるため、または前立腺がんが前立腺被膜に侵入したこと、もしくは侵入する可能性があることを調べるために、例えば、mRNA、タンパク質またはゲノム配列内の改変(例えば、増幅、欠失もしくは融合)を検出することによりERGの発現増大およびPTENの発現減少を検出することが米国特許出願公開第2013/0196866号に開示されており、前立腺がんの再発を判定するためのPTENの発現減少の検出も開示されている。前立腺がんの検出における(i)MYC、PTEN、CEP8およびCEP7、(ii)MYC、LPL、PTENおよびCEP8または(iii)MYCおよびCEP8の使用が米国特許出願公開第2013/0171638号に開示されている。PITX2の過剰発現の検出が、前立腺がんの存在またはリスクを診断するための方法として、および少なくとも1種類の他の因子(PSAまたはグリーソン悪性度など)との組み合わせで前立腺がんの予後判定のための方法として開示されている(国際公開第2010/099577号)。OCT3/4、Nanog、Sox2、c−myc、KIf4、keratin 8およびuPARから選択される核酸レベルまたはポリペプチドレベルの増大の確認が、前立腺癌を認定する方法、前立腺がんの急速進行性を特性評価する方法、転移性前立腺がんを発症する傾向を認定する方法などの方法として開示されている(国際公開第2011/037643号)。p27の発現レベルまたはこの発現産物を測定することを含む、患者の処置後のがんの再発の尤度を予測する方法が米国特許出願公開第2003/0225528号に開示されており、一方、p27タンパク質を検出することを含む、前立腺癌の急速進行性の測定方法が国際公開第2000/077258号に開示されており、これにはまた、MDM2発現を検出することを含む、前立腺がんの増殖率の測定方法も開示されている(また、カナダ特許出願公開第2375228号も参照のこと)。試料を、1つ以上の染色体上の1つ以上の遺伝子座におけるヘテロ接合性(LOH)減少(例えば、新生物発生前から浸潤性癌への進行に関連しているもの)について試験することを含む、新生物表現型または新生物発生前表現型を有する細胞の検出方法が米国特許出願公開第2003/0165895号に開示されている。少なくとも1種類のRNA(例えば、MYC)を反復可能な条件下で定量的に測定することを含み、該測定により、前立腺がんが黒色腫、肺がんおよび結腸がんと少なくとも75%の精度で区別されるような、前立腺がんの評価方法が米国特許出願公開第2011/097717号に開示されている(また、米国特許出願公開第2010/0233691号も参照のこと)。DUSP6と、SPRY2と、ETV1を含むおよそ33個の遺伝子の群から選択される1種類以上のバイオマーカーとからなる一群の単離されたがんバイオマーカーが米国特許出願公開第2008/0131885号に開示されている。
国際公開第98/045479号 米国特許第5658730号明細書 米国特許第6613510号明細書 米国特許出願公開第2003/0165895号明細書 米国特許第7037667号明細書 米国特許第8580509号明細書 米国特許第8211645号明細書 米国特許第7718369号明細書 米国特許出願公開第2012/0295809号明細書 米国特許出願公開第2011/0230361号明細書 国際公開第2010/056993号 国際公開第2008/023087号 米国特許出願公開第2012/0220672号明細書 米国特許出願公開第2012/0039889号明細書 米国特許出願公開第2012/0015839号明細書 米国特許出願公開第2009/0239221号明細書 米国特許出願公開第2009/0208937号明細書 米国特許出願公開第2011/0028336号明細書 国際公開第2009/0144460号 カナダ特許出願公開第2814598号明細書 米国特許出願公開第2012/0214684号明細書 米国特許出願公開第2007/0237770号明細書 米国特許出願公開第2012/0041274号明細書 米国特許出願公開第2012/0009581号明細書 米国特許出願公開第2011/0306514号明細書 国際公開第2009/0140741号 国際公開第96/020288号 米国特許出願公開第2011/0281263号明細書 米国特許出願公開第2006/0234259号明細書 米国特許出願公開第2011/0265197号明細書 米国特許出願公開第2013/029860号明細書 米国特許出願公開第2010/0215638号明細書 米国特許出願公開第2013/0005837号明細書 カナダ特許出願公開第2604844号明細書 欧州特許出願公開第2083088明細書 米国特許第8257924号明細書 カナダ特許出願公開第2719172号明細書 米国特許第7452727号明細書 米国特許第6613510号明細書 国際公開第2013/0173463号 米国特許出願公開第2014/0109245号明細書 米国特許出願公開第2014/0066325号明細書 米国特許出願公開第2014/037647号明細書 国際公開第2012/013931号 米国特許第7425414号明細書 国際公開第2008/121132号 米国特許出願公開第2013/0196866号明細書 米国特許出願公開第2013/0171638号明細書 国際公開第2010/099577号 国際公開第2011/037643号 米国特許出願公開第2003/0225528号明細書 国際公開第2000/077258号 カナダ特許出願公開第2375228号明細書 米国特許出願公開第2003/0165895号明細書 米国特許出願公開第2011/097717号明細書 米国特許出願公開第2010/0233691号明細書 米国特許出願公開第2008/0131885号明細書
Bova et al.,Cancer Res.53:3869−3873(1993) Kagan et al.,Oncogene 11:2121−2126(1995) Emmert−Buck et al.,Cancer Res.55:2959−2962(1995) Yoshimoto et al.,Br.J.Cancer 97(5):678−685(Sept.3,2007;epub Aug.14,2007) Attard et al.,Oncogene 27(3):253−263(Jan.2008);e−pub.July 16,2007) Irshad et al.,Sci.Transl.Med.5(202):202(Sept.11,2013)
前述のことに鑑み、前立腺がんのマネージメントにおいて、より信頼性と情報提供性がある予後判定方法の必要性が依然として存在している。本開示は、前立腺がんの進行の評価のためのマーカーセットならびに該マーカーセットの使用方法および該マーカーセットを備えたキットを提供しようとするものである。このおよび他の目的および利点ならびに本発明の特長は、本明細書に示す詳細説明から自明となろう。
急速進行型(aggressive)前立腺腺癌を有する患者と緩徐進行型(indolent)前立腺腺癌を有する患者を区別する方法を提供する。該方法は:
(a)患者由来の試料を:
(i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブからなる検出可能に標識されたプローブセット、
(ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ(locus−specific probe MYC)、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
(v)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(vi)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(vii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(viii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブおよび8番染色体に対する染色体計数プローブ(CEP8)を含む検出可能に標識されたプローブセット、
(ix)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(x)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xi)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xiii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xiv)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xv)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xvi)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xvii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
(xviii)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット
とハイブリダイズ条件下で接触させること、
ここで、(i)から(vi)、(viii)、(xi)、(xiv)、(xv)および(xvii)のセットの該FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを使用してFGFR1減少%を測定し、
(vii)、(ix)のセットの該FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1減少%の代わりとして(xiv)のFGFR1に対する該遺伝子座特異的プローブを使用してFGFR1増加%を測定し、
(ix)から(xiv)、(xvi)および(xviii)のセットのCEP8を使用してCEP8減少%を測定し、
(iii)および(viii)のセットの該PTENに対する遺伝子座特異的プローブを使用してPTENホモ接合性減少%を測定し、
(xvi)のセットの該PTENに対する遺伝子座特異的プローブを使用してPTEN減少%を測定し、
(viii)のセットの該FGFR1およびCEP8に対する遺伝子座特異的プローブならびにFGFR1増加%の代わりとして(ix)の該FGFR1およびCEP8に対する遺伝子座特異的プローブを使用してFGFR1/CEP8比減少%を測定し、ならびに
(b)該試料中の染色体異常の存在を判定すること、
ここで、2以上から30以下のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、
15以上から40以下のFGFR1減少%(減少%はFGFRコピー数<2の細胞の%である。)、
2以上から46以下のFGFR1増加%(増加%はFGFRコピー数>2の細胞の%である。)、
21以上から36以下のCEP8減少%(減少%はCEP8コピー数<2の細胞の%である。)、
15以上から40以下のCEP8増加%(増加%はCEP8コピー数>2の細胞の%である。)、
13以上から72以下のFGFR1/CEP8減少%、
2以上から40以下のPTENホモ接合性減少%(ホモ接合性減少%はPTENコピー数がゼロの細胞の%である。)、
10以上から50以下のPTEN減少%(減少%はPTENコピー数が2未満の細胞の%である。)、
1以上から30以下のERG 2+Edel、
2以上から30以下のMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)、
2以上から20以下のMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)、
10以上から50以下のNKX3.1減少%(減少%はNKX3.1コピー数<2の細胞の%である。)、
1以上から20以下のETV1転座/欠失%、
10以上から50以下のP27減少%(減少%はP27コピー数<2の細胞の%である。)、または
1以上から20以下のAURKA増加%(増加%はAURKAコピー数>2の細胞の%である。)
は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示し、一方、上記のいずれでもないことは該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有することを示す、
を含むものである。患者が前立腺摘除術を受けたことがある場合、試料中の染色体異常の存在の判定は、該患者が再発または転移の高いリスクを有することを示し、この場合、該方法に、さらに、患者が担当医師に、再発または転移を抑止または予防するための緊急処置について相談することを推奨することが含められ得る。患者が前立腺がんを有しており/前立腺がんと初期診断されており、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する場合、該方法に、さらに、患者が担当医師に緊急処置について相談することを推奨することが含められ得る。患者が前立腺がんを有しており/前立腺がんと初期診断されており、該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有する場合、該方法に、さらに、積極的監視療法または注意深い経過観察を推奨することが含められ得る。
急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する患者を認定する方法を提供する。該方法は:
(a)患者由来の試料を:
(i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブからなる検出可能に標識されたプローブセット、
(ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
(v)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット
とハイブリダイズ条件下で接触させること、ならびに
(b)該試料中の染色体異常の存在を判定すること
を含むものである。(i)では、26以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)および/または26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、一方、(ii)では、14以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)および/または10以上のERG 2+Edel%、(iii)では、8以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または20以上のPTENホモ接合性減少%、(iv)では、30以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、20以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または20以上のMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)、または(v)では、30以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、20以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または10以上のMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。(i)のプローブセットがさらに、8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブおよび/またはETV1に対するブレークアパートプローブからなるものであり得るか、または(ii)から(v)のプローブセットのいずれかがさらに8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブおよび/またはETV1に対するブレークアパートプローブを含むものであってもよい。該方法に、さらに、臨床パラメータ、例えば、グリーソンスコア、腫瘍ステージ分類、前立腺特異抗原(PSA)レベル、ノモグラム、メチル化状態、変異および患者の年齢からなる群より選択される臨床パラメータを取得することを含めてもよく、該臨床パラメータのうちのいずれかが、予後判定のために染色体異常の存在の判定と組み合わされ得る。従って、一実施形態では、該方法は、(a)患者由来の試料を、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセットと、ハイブリダイズ条件下で接触させること、ならびに(b)該試料中の染色体異常の存在を判定することを含むものであり、ここで、14以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)および10以上のERG 2+Edel%のうちの1つ以上は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。
また、緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者の認定方法も提供する。該方法は:
(a)患者由来の試料を:
(i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブからなる検出可能に標識されたプローブセット、
(ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
(v)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
とハイブリダイズ条件下で接触させること、ならびに
(b)該試料中の染色体異常の存在を判定すること
を含むものである。(i)では、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)および/または10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、一方、(ii)では、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)および/または2以上のERG 2+Edel%、(iii)では、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または20以上のPTENホモ接合性減少%、(iv)では、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、18以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、2以上のERG 2+Edel%および/または20以上のMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)、または(v)では、30以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、20以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、2以上のERG 2+Edel%および/または3以上のMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示し、前述のいずれでもないことは該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有することを示す。(i)のプローブセットがさらに、8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブおよび/またはETV1に対するブレークアパートプローブからなるものであり得るか、または(ii)から(v)のプローブセットのいずれかがさらに8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブおよび/またはETV1に対するブレークアパートプローブを含むものであってもよい。該方法に、さらに、臨床パラメータ、例えば、グリーソンスコア、腫瘍ステージ分類、PSAレベル、ノモグラム、メチル化状態、変異および患者の年齢からなる群より選択される臨床パラメータを取得することを含めてもよく、該臨床パラメータのうちのいずれかが、予後判定のために染色体異常の存在の判定と組み合わされ得る。従って、一実施形態では、該方法は、(a)患者由来の試料を、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセットと、ハイブリダイズ条件下で接触させること、ならびに(b)該試料中の染色体異常の存在を判定することを含むものであり、ここで、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、20以上のPTENホモ接合性減少%および10以上のERG 2+Edel%のうちの1つ以上は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示し、前述のいずれでもないことは該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有することを示す。
また、プローブセットも提供する。一実施形態において、プローブセットは:
(i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブからなる検出可能に標識されたプローブセット、
(ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブおよび8番染色体に対する染色体計数プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(v)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(vi)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(vii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(viii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(ix)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(x)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xi)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xiii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
(xiv)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセットである。プローブセットは、さらに、8番染色体に対する検出可能に標識された染色体計数プローブ、10番染色体に対する検出可能に標識された染色体計数プローブ、AURKAに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、P27に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブおよび/またはETV1に対する検出可能に標識されたブレークアパートプローブを含むものであってもよい。
別の実施形態では、プローブセットは、MYCに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブおよびERGに対する検出可能に標識されたブレークアパートプローブを含むものである。プローブセットは、さらに、PTENに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、MYCNに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、MDM2に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対する検出可能に標識された染色体計数プローブ、10番染色体に対する検出可能に標識された染色体計数プローブ、AURKAに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、P27に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブおよび/またはETV1に対する検出可能に標識されたブレークアパートプローブを含むものであってもよい。
また、キットも提供する。キットは、急速進行型前立腺腺癌を有する患者と緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を区別することを可能にするプローブセット、例えば、上記のプローブセットならびに上記の方法を実施するための使用説明書を備えたものである。または、キットは、急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する患者の認定または緩徐進行型腺癌を有する患者の認定を可能にするプローブセット、例えば、上記のプローブセットならびに上記の方法を実施するための使用説明書を備えたものである。
一実施形態において、キットは、(a)急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する患者の認定を可能にするプローブセット(該プローブセットは、MYCに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブおよびERGに対する検出可能に標識されたブレークアパートプローブを含むものである。)ならびに(b)急速進行型前立腺腺癌を有する患者を認定するための使用説明書(該使用説明書は、該患者から採取した試料中の染色体異常の存在の判定を含む。)を備えたものである。14より大きいMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、26より大きいFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)および10より大きいERG 2+Edel%のうちの1つ以上は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。
別の実施形態では、キットは、(a)緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者の認定を可能にするプローブセット(該プローブセットは、MYCに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、ERGに対する検出可能に標識されたブレークアパートプローブおよびPTENに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブを含むものである。)ならびに(b)緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を認定するための使用説明書(該使用説明書は、該患者から採取した試料中の染色体異常の存在の判定を含む。)を備えたものである。2より大きいMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、10より大きいFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、20より大きいPTENホモ接合性減少%および10より大きいERG 2+Edel%のうちの1つ以上は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。前述のいずれでもないことは該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有することを示す。
FGFR1増加のKM曲線(PFS(無増悪生存期間);年)に対する生存確率)であり、カットオフ値は6およびlog−ランクp値は0.0062である。 FGFR1減少のKM曲線(PFS(年)に対する生存確率)であり、カットオフ値は40およびlog−ランクp値は0.0009である。 CMYC増加、ERG 2+EdelおよびFGFR1減少のKM曲線(PFS(年)に対する生存確率)であり、log−ランクp値は0.0001である。 CMYC増加、ERG 2+Edel、FGFR1減少およびPTENホモ接合性減少のKM曲線(PFS(年)に対する生存確率)であり、log−ランクp値は0.0048である。 グリーソンスコア単独でのAUCを示す、1−特異度(偽陽性)に対する感度(真陽性)のグラフであるROC曲線である。 CMYC増加、ERG 2+Edel、FGFR1減少およびPTENホモ接合性減少の異常FISHパラメータの組み合わせでのAUCを示す、1−特異度(偽陽性)に対する感度(真陽性)のグラフであるROC曲線である。 グリーソンスコアと、CMYC増加、ERG 2+Edel、FGFR1減少およびPTENホモ接合性の異常FISHパラメータの組み合わせとでのAUCを示す、1−特異度(偽陽性)に対する感度(真陽性)のグラフであるROC曲線である。
本開示により、急速進行型前立腺腺癌または緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を区別または認定するためのプローブセット、該プローブセットおよび該方法を実施するための使用説明書を備えたキット、プローブセットの使用方法、または該プローブセットを備えたキットを提供する。該方法は、疾患進行、例えば再発および病死(DOD)のリスクの評価、例えば、根治的前立腺摘除術による前立腺腺癌(または前立腺がん)の処置後の疾患進行のリスクの評価などに有用である。また、該方法は、緩徐進行型前立腺腺癌を有すると認定されている患者および急速進行型前立腺腺癌を有すると認定されており、補助療法(例えば、アンドロゲン抑制療法)などで処置を受けているか、または受ける患者などの患者の経時的なモニタリングにも有用である。また、該方法は、組織学的リスクの予測の結果および尿または血液ベースの新規な検出/スクリーニング方法の結果を確認するためにも使用され得る。従って、該方法を使用すると、患者を積極的監視療法にするか注意深い経過観察にするかを確認することができ、おそらく生検の頻度を少なくすることができ、不必要な根治的前立腺摘除術がおそらく低減され、これにより患者の生活の質を改善することができる。以下の用語は本開示に重要である。
「2+Edel」は、本明細書において、ERG融合遺伝子(例えば、TMPRSS2:ERG融合遺伝子)の重複とERG遺伝子の5’側の配列の介在部の欠失をいうために用いたものであり得る。
「約」は、記載の値からのおよそ+/−10%の変動をいう。かかる変動は、具体的に言及されていようと、そうでなかろうと、本明細書に示す任意の所与の値に常に含まれていると理解されたい。
「腺癌」、「前立腺腺癌」、「前立腺の癌」および「前立腺腺癌」は、本明細書において、前立腺における悪性の増殖(即ち、がん)をいうために用いたものであり得る。
「AURKA」は、本明細書において、オーロラキナーゼA遺伝子をいうために用いたものであり得る。Entrez GeneおよびHGNCの細胞遺伝学的地図上のバンドは20q13であり、一方、Ensemblの細胞遺伝学的地図上のバンドは20q13.2である。AURKAの別名(Aliases,エイリアス)としては、ARK1、BTAK、STK15、STK6、AlK、PPP1R47、STK7、セリン/トレオニンキナーゼ6、Aurora 2、Aurora関連キナーゼ1、Aurora/IPL1関連キナーゼ1、乳がん増幅性キナーゼ、セリン/トレオニン−プロテインキナーゼ15、セリン/トレオニン−プロテインキナーゼ6、セリン/トレオニン−プロテインキナーゼオーロラ−A、ARK−1、AURA、hARK1、AURORA2、AurA、セリン/トレオニンキナーゼ15、オーロラ/IPL1様キナーゼ、乳がん増幅性キナーゼ、IPL1関連キナーゼ、プロテインホスファターゼ1調節サブユニット47、セリン/トレオニンプロテインキナーゼ15、AIRK1、AYK1、EC2.7.11.1およびIAK1が挙げられる。また、「AURKA」は、本明細書において、AURKAが関与している染色体異常(コピー数増加など)を判定するために使用されるプローブまたはプローブセットをいうためにも用いている。AURKAを伴うパラメータ、例えば、AURKAのコピー数、AURKAを伴うコピー数比率またはAURKA増加パーセンテージをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、AURKA遺伝子を含む20番染色体のq13領域(20q13)にハイブリダイズするものである。DNA参照配列としては、限定されないが、NC_000020.10およびNT_011362.10が挙げられる。
「バイオマーカー」は、米国立衛生研究所によって定義されているように、「通常の生物学的過程、病理学的過程、もしくは治療的介入に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定され評価される特性」である。
「ブレークアパート(break−apart)プローブ」は、本明細書において、転座の検出を可能にする2つの相違する検出可能に標識されたプローブの組み合わせをいうために用いたものであり得る。例えば、一方プローブは、所与の遺伝子の5’末端またはこの付近にハイブリダイズし、ある波長の蛍光を発し得るものであるが、他方のプローブは、該所与の遺伝子の3’末端またはこの付近にハイブリダイズし、異なる波長の蛍光を発し得るものである。染色体が天然状態である場合、色が重なって単色(例えば黄色)になる。染色体に転座が起こっている場合、色が離れる(例えば、赤と緑)。
「染色体計数(chromosome enumeration)プローブ(CEP)」または「セントロメアプローブ」は、本明細書において、細胞内の特定の染色体の数が計数されることを可能にする任意のプローブをいうために用いたものであり得る。染色体計数プローブは典型的には、特定の染色体のセントロメア付近の領域(「ペリセントロメア」とも称される。)またはセントロメア、典型的には、反復DNA配列(例えば、αサテライトDNA)を認識してこれに結合するものである。セントロメアは細胞分裂中の忠実な分離に必要とされるため、典型的には染色体のセントロメアが染色体を表すとみなされている。染色体の特定の領域の欠失または増幅は、これが通常存在している全染色体の減少または増加(異数染色体性(aneusomy))から、該特定の遺伝子座に対応するシグナル数(コピー数)をセントロメアに対応するシグナル数と比較することにより見分けることができる。この比較を行うための方法の一例は、遺伝子座を表すシグナル数を、セントロメアを表すシグナル数で除算することである。1より小さい比率は該遺伝子座の相対的減少または欠失を示し、1より大きい比率は該遺伝子座の相対的増加または増幅を示す。同様に、比較を、同じ染色体上(例えば、染色体の異なる2つの腕上)の異なる2つの遺伝子座間で行い、染色体内での増加または減少の不均衡が示されるようにしてもよい。染色体に対するセントロメアプローブの代わりに、当業者には、全染色体の減少または増加を推定するために、染色体の腕に対するプローブが代替的に使用され得ることは認識されよう。しかしながら、かかるプローブは、かかるプローブに対するシグナルの減少が常に全染色体の減少を示しているとは限らないため、染色体の計数において同様には正確でない。染色体計数プローブの例としては、Abbott Molecular,Inc.,Des Plaines,IL(以前は、Vysis,Inc.,Downers Grove,IL)から市販されているCEP(R)プローブが挙げられる。染色体計数プローブまたはセントロメアプローブの具体例としては、1番染色体、2番染色体、3番染色体、4番染色体、5番染色体、6番染色体、7番染色体、8番染色体、9番染色体、10番染色体、11番染色体、12番染色体、13番染色体、14番染色体、15番染色体、16番染色体、17番染色体、18番染色体、19番染色体、20番染色体、21番染色体、X染色体およびY染色体に対するプローブが挙げられる。CEP(R)プローブの具体例としては、CEP1、CEP2、CEP3、CEP4、CEP5、CEP6、CEP7、CEP8、CEP9、CEP10、CEP11、CEP12、CEP13、CEP14、CEP15、CEP16、CEP17、CEP18、CEP19、CEP20、CEP21、CEPXおよびCEPYが挙げられる。
「C−MYC」および「MYC」は、本明細書において、c−mycがん遺伝子をいうために互換的に用いたものであり得る。Entrez GeneおよびEnsemblの細胞遺伝学的地図上のバンドは8q24.21であり、一方、HGNCの細胞遺伝学的地図上のバンドは8q24である。別名としては、vHLHe39、c−Myc、v−mycトリ骨髄細胞腫症ウイルス(avian myelocytomatosis viral)がん遺伝子ホモログ、Class E塩基性ヘリックス−ループ−ヘリックスタンパク質39、がん原遺伝子c−Myc、転写因子p64、MRTL、トリ骨髄細胞腫症ウイルスがん遺伝子ホモログ、mycがん原遺伝子タンパク質、myc関連翻訳/局在調節因子およびBHLHE39が挙げられる。また、MYCは、本明細書において、MYCが関与している染色体異常(MYCコピー数増加など)を判定するために使用され得るプローブまたはプローブセットをいうために用いている場合もあり得る。MYCを伴うパラメータ、例えば、MYCのコピー数、MYCを伴うコピー数比率またはMYCの増加パーセンテージをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、MYC遺伝子を含む8番染色体のq24領域(8q24)にハイブリダイズするものである。DNA参照配列としては、限定されないが、NC_000008.10およびNT_008046.16が挙げられる。
「コピー数」は、本明細書において、単一の遺伝子座のものであれ、1つ以上の遺伝子座のものであれ、全ゲノムのものであれ、DNAの測定量をいうために用いたものであり得る。ヒトの「野生型」は「コピー数」が2である(二倍性のため,性染色体を除く)。ヒトにおける2以外の「コピー数」(性染色体を除く)は野生型との差異である。かかる差異としては、増幅(即ち、コピー数の増加)および欠失(即ち、コピー数の減少)、さらにはコピー数なしが挙げられる。
「ERG」は、本明細書において、V−Etsトリ赤芽球症ウイルスE26がん遺伝子ホモログ遺伝子をいうために用いたものであり得る。Entrez GeneおよびHGNCの細胞遺伝学的地図上のバンドは21q22.3であり、一方、Ensemblの遺伝子地図上のバンドは21q22.2である。別名としては、V−Etsトリ赤芽球症ウイルスE26がん遺伝子関連、転写抑制因子ERG(トランスフォーミングタンパク質ERG)、V−Ets赤芽球症ウイルスE26がん遺伝子様、TMPRSS2−ERG前立腺がん特異的、erg−3、ets関連、p55、融合TMPRSS2/ERG、転写抑制因子ERG、V−Ets赤芽球症ウイルスE26がん遺伝子ホモログおよびトランスフォーミングタンパク質ERGが挙げられる。また、「ERG」は、本明細書において、ERGが関与している染色体異常を判定するために使用されるプローブまたはプローブセットをいうために用いている場合もあり得る。ERGを伴うパラメータをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、ERG遺伝子を含む21番染色体のq22領域(21q22)にハイブリダイズするものである。参照DNA配列としては、NC_000021.8、NC_018932.2およびNT_011512.11が挙げられる。
「ETV1」は、本明細書において、Etsバリアント1遺伝子をいうために用いたものであり得る。Entrez Geneの細胞遺伝学的地図上のバンドは7p21.3であり、一方、Ensemblの細胞遺伝学的地図上のバンドは7p21.2であり、HGNCの細胞遺伝学的地図上のバンドは7p22である。別名としては、Etsバリアント遺伝子1、Ets関連タンパク質81、ER81およびETS転座バリアント1が挙げられる。また、「ETV1」は、本明細書において、ETV1が関与している染色体異常を判定するために使用されるプローブまたはプローブセットをいうために用いている場合もあり得る。ETV1を伴うパラメータをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、ETV1遺伝子を含む7番染色体のp21−22領域(7p21−22)にハイブリダイズするものである。参照DNA配列としては、NC_000007.13、NT_007819.17、NC_018918.2およびNT_079592.2が挙げられる。
「FGFR1」は、本明細書において、線維芽細胞増殖因子受容体1遺伝子をいうために用いたものであり得る。Entrez GeneおよびHGNCの細胞遺伝学的地図上のバンドは8p12であり、一方、Ensemblの細胞遺伝学的地図上のバンドは8p11.22である。別名としては、FLT2、KAL2、Fms関連チロシンキナーゼ2、塩基性線維芽細胞増殖因子受容体1、Fms様チロシンキナーゼ2、がん原遺伝子C−Fgr、BFGFR、CEK、FGFBR、FGFR−1、FLG、FLT−2、HBGFR、bFGF−R−1、EC 2.7.10、EC 2.7.10.1、OGD、ファイファー症候群(ファイファー症候群)、CD331、CD331抗原、HH2、N−SAM、融合FGFR1/PLAG1、ヘパリン結合性増殖因子受容体、ヒドロキシアリール−プロテインキナーゼ、N−SAM、N−sam、FGFR1/PLAG1融合体、ヘパリン結合性増殖因子受容体、およびヒドロキシアリール−プロテインキナーゼが挙げられる。また、「FGFR1」は、本明細書において、FGFR1が関与している染色体異常を判定するために使用されるプローブまたはプローブセットをいうために用いている場合もあり得る。FGFR1を伴うパラメータをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、FGFR1遺伝子を含む8番染色体のp11−12領域(8p11−12)にハイブリダイズするものである。参照DNA配列としては、NC_000008.10、NT_167187.1およびNC_018919.2が挙げられる。
「ホモ接合性減少(homozygous loss)」、「ヘテロ接合性の減少」および「LOH」は、本明細書において、遺伝子全体と周囲の染色体領域の両方のコピーの減少または不活性化をいうために互換的に用いたものであり得る。
「標識された」、「検出可能な標識で標識された」および「検出可能に標識された」は、本明細書において、実体(例えば、プローブ)が検出され得ることを示すために互換的に用いたものであり得る。「標識」および「検出可能な標識」は、本明細書において、実体に結合させて該実体を検出可能にする部分、例えば、プローブに結合させ、標的配列に結合すると該プローブが検出可能になる部分をいうために用いたものであり得る。該部分自体は検出可能でなくてもよいが、また別の部分と反応すると検出可能となり得る。用語「検出可能に標識された」の使用は、かかる標識付加を包含していることを意図する。検出可能な標識は、該標識がシグナルを生成し、該シグナルが測定され得、この強度が結合した実体の量に比例するように選択され得る。標識付加および/または分子(核酸、例えばプローブなど)の検出のための多種多様な系がよく知られている。標識された核酸は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、化学的または他の手段によって直接または間接的に検出可能な標識を組み込むこと、またはコンジュゲートさせることにより調製され得る。好適な検出可能な標識としては、放射性同位体、フルオロフォア、発色団、化学発光剤、微粒子、酵素、磁性粒子、高電子密度粒子、質量標識、スピン標識、ハプテンなどが挙げられる。フルオロフォアおよび化学発光剤が本明細書において好ましい。
「遺伝子座特異的プローブ」および「遺伝子座特異的識別因子(LSI)」は、本明細書において、ある染色体上のある領域内の特定の遺伝子座に選択的に結合する、例えば、転移において増加/減少があることが測定されている遺伝子座に選択的に結合するプローブをいうために互換的に用いたものであり得る。プローブは、コード領域または非コード領域または両方、例えば、エキソン、イントロンおよび/または調節配列(例えば、プロモーター配列)などを標的化するものであり得る。
「MDM2」は、本明細書において、MDM2がん遺伝子E3ユビキチンタンパク質リガーゼ遺伝子をいうために用いたものであり得る。Entrez Geneの細胞遺伝学的地図上のバンドは12q14.3−q15であり、一方、Ensemblの細胞遺伝学的地図上のバンドは12q15であり、HGNCの細胞遺伝学的地図上のバンドは12q13−q14である。別名としては、オンコプロテインMDM2、MDM2 P53結合性タンパク質ホモログ(マウス)、MDM2 P53 E3ユビキチンタンパク質リガーゼホモログ(マウス)、MDM2形質転換3T3細胞ダブルマイニュート2 p53結合性タンパク質(マウス)、マウスダブルマイニュート2 P53結合性タンパク質のヒトホモログ、ACTFS、HDMX、ダブルマイニュート2 P53結合性タンパク質のヒトホモログ、E3ユビキチン−タンパク質リガーゼMDM2、hdm2、MDM2 P53 E3ユビキチンタンパク質リガーゼホモログ、MDM2形質転換3T3細胞ダブルマイニュート2 p53結合性タンパク質、EC 6.3.2、Hdm2、ダブルマイニュート2タンパク質およびP53結合性タンパク質MDM2が挙げられる。また、「MDM2」は、本明細書において、MDM2が関与している染色体異常を判定するために使用されるプローブまたはプローブセットをいうために用いている場合もあり得る。MDM2を伴うパラメータをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、FGFR1遺伝子を含む12番染色体のq13−15領域(12q13−15)にハイブリダイズするものである。参照DNA配列としては、NC_000012.11、NT_029419.12およびNC_018923.2が挙げられる。
「MYCN」は、本明細書において、V−Mycトリ骨髄細胞腫症ウイルスがん遺伝子神経芽細胞腫由来ホモログ遺伝子をいうために用いたものであり得る。Entrez Gene、EnsemblおよびHGNCの細胞遺伝学的地図上のバンドは2p24.3である。別名としては、NMYC、クラスE塩基性ヘリックス−ループ−ヘリックスタンパク質37、bHLHe37、MODED、ODED、MYCNOT、N−myc、N−Mycがん原遺伝子タンパク質、神経芽細胞腫MYCがん遺伝子、神経芽細胞腫由来V−Mycトリ骨髄細胞腫症ウイルス関連がん遺伝子、がん遺伝子NMYC、pp65/67、V−Mycトリ骨髄細胞腫症ウイルス関連がん遺伝子神経芽細胞腫由来、V−Myc骨髄細胞腫症ウイルス関連がん遺伝子神経芽細胞腫由来およびBHLHE37が挙げられる。また、「MYCN」は、本明細書において、MDM2が関与している染色体異常を判定するために使用されるプローブまたはプローブセットをいうために用いている場合もあり得る。MDM2を伴うパラメータをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、MYCN遺伝子を含む2番染色体のp24領域(2p24)にハイブリダイズするものである。参照DNA配列としては、NC_000002.11、NC_018913.2およびNT_005334.16が挙げられる。
「NKX3.1」は、本明細書において、NK3ホメオボックス1遺伝子をいうために用いたものであり得る。Entrez Gene、EnsemblおよびHGNCの細胞遺伝学的地図上のバンドは8p21.2である。別名としては、NKX3−1、NKX3A、ホメオボックスタンパク質NK−3ホモログA、BAPX2、NKホメオボックス(ショウジョウバエ)ファミリー3A、NK3転写因子関連遺伝子座1(ショウジョウバエ)、NKX3、ホメオボックスタンパク質Nkx−3.1、NKホメオボックスファミリー3A、NK3転写因子ホモログAおよびNK3転写因子関連遺伝子座1が挙げられる。また、「NKX3.1」は、本明細書において、NKX3.1が関与している染色体異常を判定するために使用されるプローブまたはプローブセットをいうために用いている場合もあり得る。MDM2を伴うパラメータをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、NKX3.1遺伝子を含む8番染色体のp21領域(8p21)にハイブリダイズするものである。参照DNA配列としては、NC_000008.10、NC_018919.2およびNT_167187.1が挙げられる。
「核酸試料」は、本明細書において、プローブとのハイブリダイゼーションに適した形態の核酸を含む試料、例えば、核またはかかる核から単離もしくは精製された核酸を含む試料をいうために用いたものであり得る。核酸試料は、全体もしくは一部分(例えば、特定の染色体)のゲノムDNA、全体もしくは一部分のmRNA(例えば、特定の染色体もしくは遺伝子)または選択された配列を含むものであり得る。凝縮した染色体(例えば、間期または中期に存在するもの)がインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)における標的としての使用に適している。
「P27」は、本明細書において、サイクリン依存性キナーゼインヒビター1B遺伝子をいうために用いたものであり得る。Entrez GeneおよびHGNCの細胞遺伝学的地図上のバンドは12p13.1−p12であり、一方、Ensemblの細胞遺伝学的地図上のバンドは12p13.1である。別名としては、Kip1、KIP1、CDKN4、MEN4、MEN1B、P27KIP1、サイクリン依存性キナーゼインヒビターおよびp27Kip1が挙げられる。また、「P27」は、本明細書において、P27が関与している染色体異常を判定するために使用されるプローブまたはプローブセットをいうために用いている場合もあり得る。P27を伴うパラメータをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、P27遺伝子を含む12番染色体のp13−12領域(12p13−12)にハイブリダイズするものである。参照DNA配列としては、NC_000012.11、NC_018923.2およびNT_009714.17が挙げられる。
「所定のカットオフ値」および「所定のレベル」は、本明細書において、一般的には、使用されるカットオフの値をいうために用いたものであり得、この所定のカットオフ値/レベルとアッセイ結果を比較することにより診断的/予後的/治療的有効性の結果が評価され、ここで、所定のカットオフ値/レベルは、既に種々の臨床パラメータ(例えば、疾患の重症度、進行/非進行/改善など)とリンクまたは関連付けされているものである。
「プローブ」は、本明細書において、標的配列の少なくとも一部分に、選択的ハイブリダイゼーションを可能にする、または促進する条件下で選択的にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいうために用いたものであり得る。一般に、プローブは、DNAのコードもしくはセンス(+)鎖に相補的なもの、またはDNAの非コードもしくはアンチセンス(−)鎖に相補的なもの(場合によっては、「逆相補的」とも称される。)であり得る。プローブは、長さが有意に異なり得る。約10から約100ヌクレオチド長、例えば約15から約75ヌクレオチド長、例えば約15から約50ヌクレオチド長が一部の用途では好ましいものであり得るが、染色体プローブには約50から1×10ヌクレオチド長が好ましいものであり得、遺伝子座特異的プローブには約25,000から約800,000ヌクレオチド長が好ましいものであり得る。一般的に言うと、プローブは、例えば本明細書に記載の方法に従って検出可能に標識され、当該技術分野で知られたものである。
「予後判定」は、本明細書において、疾患の考えられ得る過程および/または転帰の予測、例えば回復の尤度をいうために用いたものであり得る。従って、予後判定は、疾患状態の改善、疾患状態の悪化および疾患状態に変化なしを包含している。
「進行」は、本明細書において、再発および/または病死(DOD)をいうために用いたものであり得る。
「前立腺がん」は、本明細書において、あらゆる型の前立腺がん、例えば、腺癌、小細胞癌、扁平上皮癌、肉腫および移行上皮癌をいうために用いたものであり得る。前立腺がんのほとんど(95%前後)は腺癌である。前立腺がんは、前立腺がんの前駆体である前立腺上皮内新生物(PIN,これは、さらに低悪性度または高悪性度に区別される。)と区別される。小細胞癌および扁平上皮癌は、非常に急速進行型の性質である傾向にあり、前立腺特異抗原(PSA)の増加をもたらさない。移行上皮癌は前立腺に発生することは稀であるが、膀胱および/または尿道の原発腫瘍に由来する。
「前立腺摘除術」は、本明細書において、単独またはさらに他の構造組織と一緒での前立腺の一部または全部の除去をいうために用いたものであり得る。「単純(simple)」または「開腹」前立腺摘除術は、過形成前立腺腺腫の核摘出からなるものであり得る。「根治的」前立腺摘除術は、前立腺全体、精嚢および輸精管をまとめて除去することを示し得る。かかる用語は、本明細書において互換的に用いている場合があり得、一方の使用は他方を除外することを意図するものではない。
「PTEN」は、本明細書において、ホスファターゼ・テンシンホモログ遺伝子をいうために用いたものであり得る。Entrez Geneの細胞遺伝学的地図上のバンドは10q23.3であり、一方、Ensemblの細胞遺伝学的地図上のバンドは10q23.31であり、HGNCの細胞遺伝学的地図上のバンドは10q23である。別名としては、ホスファターゼ・テンシン様タンパク質、ホスファチジルイノシトール3,4,5−三リン酸3−ホスファターゼ・二重特異性タンパク質ホスファターゼ、PTEN1、多発進行がん内変異(mutated in multiple advanced cancers)1、MMAC1、MMAC1ホスファターゼ・テンシンホモログ10番染色体上欠失(phosphatase and tensin homolog deleted from chromosome 10)、BZS、MHAM、TEP1、GLM2、10q23del、CWS1、DEC、EC 3.1.3.16、EC 3.1.3.48およびEC 3.1.3.67が挙げられる。また、「PTEN」は、本明細書において、PTENが関与している染色体異常を判定するために使用されるプローブまたはプローブセットをいうために用いている場合もあり得る。PTENを伴うパラメータをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、PTEN遺伝子を含む10番染色体のq23領域(10q23)にハイブリダイズするものである。参照DNA配列としては、NC_000010.10、NC_018921.2およびNT_030059.13が挙げられる。
「進行のリスク」は、本明細書において、疾患状態の悪化、例えば寛解後の再発および病死(DOD)のリスクをいうために用いたものであり得る。
組織試料の「切片」は、組織試料の単一の一部分または小片、例えば、組織試料から切り取った組織または細胞塊の薄片である。組織試料の2つ以上の切片が採取され、分析され得る。所望により、単一の切片が種々のレベルで、例えば、形態学的レベルおよび分子レベル(例えば、核酸およびタンパク質)で分析され得る。
「に選択的にハイブリダイズする」(ならびに「選択的なハイブリダイゼーション」、「に特異的にハイブリダイズする」および「特異的なハイブリダイゼーション」)は、本明細書において、核酸分子がストリンジェント条件下で特定のヌクレオチド配列に優先的に結合、二本鎖形成またはハイブリダイズすることをいうために用いている場合もあり得る。用語「ストリンジェント条件」は、本明細書において、プローブがこの標的配列に優先的にハイブリダイズし、他の非標的配列には低い程度でハイブリダイズするか、または全くハイブリダイズしない条件をいうために用いたものであり得る。「ストリンジェントハイブリダイゼーション」および「ストリンジェントハイブリダイゼーション洗浄条件」は、核酸ハイブリダイゼーション(例えば、アレイ、サザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーションまたはFISHなどの場合)の状況において、配列依存性であり、異なる条件下では異なる。核酸のハイブリダイゼーションに対するさらなる手引きは、例えば、Tijssen,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Acid Probes,Part I,Ch.2,「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」,Elsevier,NY(1993)(「Tijssen」)において知得される。一般的に、高ストリンジェントハイブリダイゼーション洗浄条件は、規定のイオン強度およびpHにおける該特定の配列の熱融解点(T)よりも約5℃低くなるように選択される。Tは、標的配列の50%がパーフェクトマッチプローブにハイブリダイズする温度(規定のイオン強度およびpH下)である。非常に(very)ストリンジェントな条件は、特定のプローブのTと同じになるように選択される。100より多い相補的残基を有する相補的核酸のアレイ上またはサザンブロットもしくはノーザンブロットにおけるフィルター上のハイブリダイゼーションのためのストリンジェントハイブリダイゼーション条件の一例は、42℃での標準的なハイブリダイゼーション溶液の使用である(例えば、Sambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Vol.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Press,NY(2001)参照)。
「標的配列」、「標的領域」および「核酸標的」は、本明細書において、特定の染色体位置に存在し、例えば、減少および/または増加が測定されるヌクレオチド配列をいうために用いたものであり得る。
本明細書で用いている専門用語は、具体的な実施形態を説明する目的のためにすぎず、なんら限定を意図するものではない。
急速進行型前立腺腺癌を有する患者と緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を区別する方法、急速進行型前立腺腺癌を有する患者を認定する方法および緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を認定する方法。
急速進行型前立腺腺癌を有する患者と緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を区別する方法を提供する。該方法は:
(a)患者由来の試料を:
(i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブからなる検出可能に標識されたプローブセット、
(ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
(v)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(vi)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(vii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(viii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブおよび8番染色体に対する染色体計数プローブ(CEP8)を含む検出可能に標識されたプローブセット、
(ix)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークパートアプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(x)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xi)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xiii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xiv)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xv)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xvi)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xvii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
(xviii)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット
とハイブリダイズ条件下で接触させること、
ここで、(i)から(vi)、(viii)、(xi)、(xiv)、(xv)および(xvii)のセットの該FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを使用してFGFR1減少%を測定し、
(vii)、(ix)のセットの該FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1減少%の代わりとして(xiv)の該FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを使用してFGFR1増加%を測定し、
(ix)から(xiv)、(xvi)および(xviii)のセットのCEP8を使用してCEP8の減少%を測定し、
(iii)および(viii)のセットの該PTENに対する遺伝子座特異的プローブを使用してPTENのホモ接合性減少%を測定し、
(xvi)のセットの該PTENに対する遺伝子座特異的プローブを使用してPTEN減少%を測定し、
(viii)のセットの該FGFR1およびCEP8に対する遺伝子座特異的プローブならびにFGFR1増加%の代わりとして(ix)のFGFR1およびCEP8に対する遺伝子座特異的プローブを使用してFGFR1/CEP8比減少%を測定し、ならびに
(b)該試料中の染色体異常の存在を判定すること
を含み、
ここで、2以上から30以下のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、
15以上から40以下のFGFR1減少%(減少%はFGFRコピー数<2の細胞の%である。)、
2以上から46以下のFGFR1増加%(増加%はFGFRコピー数>2の細胞の%である。)、
21以上から36以下のCEP8減少%(減少%はCEP8コピー数<2の細胞の%である。)、
15以上から40以下のCEP8増加%(増加%はCEP8コピー数>2の細胞の%である。)、
13以上から72以下のFGFR1/CEP8減少%、
2以上から40以下のPTENホモ接合性減少%(ホモ接合性減少%はPTENコピー数がゼロの細胞の%である。)、
10以上から50以下のPTEN減少%(減少%はPTENコピー数が2未満の細胞の%である。)、
1以上から30以下のERG 2+Edel、
2以上から30以下のMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)、
2以上から20以下のMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)、
10以上から50以下のNKX3.1減少%(減少%はNKX3.1コピー数<2の細胞の%である。)、
1以上から20以下のETV1転座/欠失%、
10以上から50以下のP27減少%(減少%はP27コピー数<2の細胞の%である。)、または
1以上から20以下のAURKA増加%(増加%はAURKAコピー数>2の細胞の%である。)
は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示し、一方、上記のいずれでもないことは該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有することを示す
ものである。
患者または患者集団において急速進行型前立腺腺癌を緩徐進行型前立腺癌と区別する別の方法を提供する。患者は、個々の患者であってもよく、患者集団の構成員、例えば、グループに分けられた患者集団の構成員、例えば、急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する患者を含むグループと緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を含むグループに分けられた患者集団の構成員であってもよい。該方法は、(a)患者の試料を検出可能に標識されたプローブセットと接触させることおよび(b)該試料中の染色体異常の存在を判定することを含む(または、これらからなる)ものである。検出可能に標識されたプローブセットは、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブ(またはテロメア(ERG Tel)プローブおよびセントロメア(ERG Cen)プローブ)、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、MYCNに対する遺伝子座特異的プローブ、MDM2に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブならびに前述の遺伝子のいずれかと同じ経路に関与している1つ以上の遺伝子に対する1種類以上のプローブからなる群より選択される2、3、4、5、6、7、8、9または10種類のプローブを含むものであり得る。所望により、染色体計数プローブを同じ染色体上に存在する遺伝子に対する遺伝子座特異的プローブとともに使用することにより、比率、例えば遺伝子/染色体比(例えば、PTEN/CEP10および/またはFGFR1/CEP8)を評価することが可能になる。
MYCプローブはMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、例えば、2以上から30以下のMYC増加%を調べるために使用され得る。FGFR1プローブはFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、例えば、15以上から40以下のFGFR1減少%を調べるために使用され得る。付加的または代替的に、FGFR1プローブはFGFR1増加%(増加%はFGFR1コピー数>2の細胞の%である。)、例えば、2以上から46以下のFGFR1増加%を調べるために使用され得る。CEP8プローブはCEP8減少%(減少%はCEP8コピー数<2の細胞の%である。)、例えば、21以上から36以下のCEP8減少%を調べるために使用され得る。付加的または代替的に、CEP8プローブはCEP8増加%(増加%はCEP8コピー数>2の細胞の%である。)、例えば、15以上から40以下のCEP8増加%を調べるために使用され得る。これに関連して、FGFR1プローブとCEP8プローブを組み合わせて使用し、例えばFGFR1/CEP8、例えば、13以上から72以下のFGFR1/CEP8減少%を調べてもよい。PTENプローブはPTENホモ接合性減少%(ホモ接合性減少%はPTENコピー数がゼロの細胞の%である。)、例えば、2以上から40以下のPTENホモ接合性減少%を調べるために使用され得;または、PTENプローブはPTEN減少%(減少%はPTENコピー数が2未満の細胞の%である。)、例えば、10以上から50以下のPTEN減少%を調べるために使用され得る。CEP10プローブはCEP10減少%(減少%はCEP10コピー数<2の細胞の%である。)、例えば、10以上から50以下のCEP10減少%を調べるために使用され得る。付加的または代替的に、CEP10プローブはCEP10増加%(増加%はCEP10コピー数>2の細胞の%である。)、例えば、15以上から40以下のCEP10増加%を調べるために使用され得る。これに関連して、PTENプローブとCEP10プローブを組み合わせて使用し、例えばPTEN/CEP10、例えば、10以上から50以下のPTEN/CEP10減少%を調べてもよい。ERGプローブは1以上(greater than greater than or equal to)から30以下の2 E+del%を調べるために使用され得る。MYCNプローブはMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)、例えば、2以上および30以下のMYCN増加%を調べるために使用され得る。MDM2プローブはMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)、例えば、2以上および20以下のMDM2増加%を調べるために使用され得る。NKX3.1プローブはNKX3.1減少%(減少%はNKX3.1コピー数<2の細胞の%である。)、例えば、10以上から50以下のNKX3.1減少%を調べるために使用され得る。ETV1ブレークアパートプローブはETV1単一赤色の%(単一赤色の%はETV1の転座または欠失を有する細胞の%である。)、例えば、1以上から20以下のETV1単一赤色の%を調べるために使用され得る。P27プローブはP27減少%(減少%はP27コピー数<2の細胞の%である。)、例えば、10以上から50以下のP27減少%を調べるために使用され得る。AURKAプローブはAURKA増加%(増加%はAURKAコピー数>2の細胞の%である。)、例えば、1以上から20以下のAURKA増加%を調べるために使用され得る。
患者が前立腺摘除術を受けたことがある場合、試料中の染色体異常の存在の判定は、該患者が再発または転移の高いリスクを有することを示し、この場合、上記の方法に、さらに、患者が担当医師に、再発または転移を抑止または予防するための緊急処置について相談することを推奨することが含められ得る。患者が前立腺がんを有しており/前立腺がんと初期診断されており、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する場合、上記の方法に、さらに、患者が担当医師に緊急処置について相談することを推奨することが含められ得る。患者が前立腺がんを有しており/前立腺がんと初期診断されており、該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有する場合、上記の方法に、さらに、積極的監視療法(例えば約6ヶ月から1年毎の生検)または注意深い経過観察(即ち、積極的な介入なし)を推奨することが含められ得る。
該方法に、さらに、臨床パラメータ、例えば、グリーソンスコア、腫瘍ステージ分類、前立腺特異抗原(PSA)レベル、ノモグラム、メチル化状態、変異および患者の年齢からなる群より選択される臨床パラメータを取得することを含めてもよく、該臨床パラメータのうちのいずれかが、予後判定のために染色体異常の存在の判定と組み合わされ得る。上記の方法に、さらに、処置中に急速進行型前立腺腺癌を有すると認定された患者を、処置過程において(a)と(b)を繰り返すことによりモニタリングすることが含められ得る。患者が既に根治的前立腺摘除術を受けている場合、処置は補助処置であり得る。または、上記の方法に、さらに、緩徐進行型前立腺腺癌を有すると認定された患者を、定期的に(a)と(b)を繰り返すことにより監視することが含められ得る。上記の方法に関して、患者は、別の方法、例えば、前立腺細胞試料の組織学的検査、尿試料を急速進行型前立腺腺癌または緩徐進行型前立腺腺癌のマーカーについて検出/スクリーニングする方法および血液試料を急速進行型前立腺腺癌または緩徐進行型前立腺腺癌のマーカーについて検出/スクリーニングする方法からなる群より選択される方法によって急速進行型前立腺腺癌または緩徐進行型前立腺腺癌を有すると既に認定済の患者であってもよい。
上記のことに鑑み、急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する患者を認定する方法もまた提供する。該方法は、(a)患者由来の試料を、MYC、FGFR1、ERG、PTEN、MYCNおよびMDM2からなる群より選択される2、3、4、5または6種類のプローブを含む検出可能に標識されたプローブセットとハイブリダイズ条件下で接触させること、ならびに(b)該試料中の染色体異常の存在を判定することを含む(または、これらからなる)ものである。プローブの組み合わせの例としては、限定されないが、(i)MYCおよびFGFR1、(ii)MYC、FGFR1およびERG、(iii)MYC、FGFR1、ERGおよびPTEN、(iv)MYC、FGFR1、ERGおよびMYCNならびに(v)MYC、FGFR1、ERGおよびMDM2が挙げられる。MYCとFGFR1からなるプローブの組み合わせが使用される場合、26以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)および/または26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。MYC、FGFR1およびERGを含む(またはこれらからなる)プローブの組み合わせが使用される場合、14以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)および/または10以上のERG 2+Edel%は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。MYC、FGFR1、ERGおよびPTENを含む(またはこれらからなる)プローブの組み合わせが使用される場合、8以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または20以上のPTENホモ接合性減少%は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。MYC、FGFR1、ERGおよびMYCNを含む(またはこれらからなる)プローブの組み合わせが使用される場合、30以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、20以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または20以上のMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。MYC、FGFR1、ERGおよびMDM2を含む(またはこれらからなる)プローブの組み合わせが使用される場合、30以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、20以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または10以上のMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。(i)のプローブセットがさらに、8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブならびに前述の遺伝子のいずれかと同じ経路に関与している1つ以上の遺伝子に対する1種類以上のプローブのうちの1つ以上からなるものであり得るか、または(ii)から(v)のプローブセットのいずれかがさらに8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブならびに前述の遺伝子のいずれかと同じ経路に関与している1つ以上の遺伝子に対する1種類以上のプローブを含むものであってもよい。所望により、染色体計数プローブを同じ染色体上に存在する遺伝子に対する遺伝子座特異的プローブとともに使用することにより、比率、例えば遺伝子/染色体比(例えば、PTEN/CEP10および/またはFGFR1/CEP8)を評価することが可能になる。
該方法に、さらに、臨床パラメータ、例えば、グリーソンスコア、腫瘍ステージ分類、PSAレベル、ノモグラム、メチル化状態、変異および患者の年齢からなる群より選択される臨床パラメータを取得することを含めてもよく、該臨床パラメータのうちのいずれかが、予後判定のために染色体異常の存在の判定と組み合わされ得る。上記の方法に、さらに、処置中に急速進行型前立腺腺癌を有すると認定された患者を、処置過程において(a)と(b)を繰り返すことによりモニタリングすることが含められ得る。患者が既に根治的前立腺摘除術を受けている場合、処置は補助処置であり得る。上記の方法に関して、患者は、別の方法、例えば、前立腺細胞試料の組織学的検査、尿試料を急速進行型前立腺腺癌のマーカーについて検出/スクリーニングする方法および血液試料を急速進行型前立腺腺癌のマーカーについて検出/スクリーニングする方法からなる群より選択される方法によって急速進行型前立腺腺癌を有すると既に認定済の患者であってもよい。
また、緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者の認定方法も提供する。該方法は、(a)患者由来の試料を、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブ、MYCNに対する遺伝子座特異的プローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブからなる群より選択される2、3、4、5または6種類のプローブを含む検出可能に標識されたプローブセットとハイブリダイズ条件下で接触させることおよび(b)該試料中の染色体異常の存在を判定することを含む(または、これらからなる)ものである。プローブの組み合わせの例としては、限定されないが、(i)MYCおよびFGFR1、(ii)MYC、FGFR1およびERG、(iii)MYC、FGFR1、ERGおよびPTEN、(iv)MYC、FGFR1、ERGおよびMYCNならびに(v)MYC、FGFR1、ERGおよびMDM2が挙げられる。MYCとFGFR1からなるプローブの組み合わせが使用される場合、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)および/または10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。MYC、FGFR1およびERGを含む(またはこれらからなる)プローブの組み合わせが使用される場合、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)および/または2以上のERG 2+Edel%は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。MYC、FGFR1、ERGおよびPTENを含む(またはこれらからなる)プローブの組み合わせが使用される場合、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または20以上のPTENホモ接合性減少%は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。MYC、FGFR1、ERGおよびMYCNを含む(またはこれらからなる)プローブの組み合わせが使用される場合、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、18以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、2以上のERG 2+Edel%および/または20以上のMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。MYC、FGFR1、ERGおよびMDM2を含む(またはこれらからなる)プローブの組み合わせが使用される場合、30以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、20以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、2以上のERG 2+Edel%および/または3以上のMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示し、前述のいずれでもないことは該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有することを示す。(i)のプローブセットがさらに、8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブ、MDM2に対する遺伝子座特異的プローブ、MYCNに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよび/または前述の遺伝子のいずれかと同じ経路に関与している1つ以上の遺伝子に対する1種類以上のプローブからなるものであり得るか、または(ii)から(v)のプローブセットのいずれかがさらに8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブ、MDM2に対する遺伝子座特異的プローブ、MYCNに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよび/または前述の遺伝子のいずれかと同じ経路に関与している1つ以上の遺伝子に対する1種類以上のプローブを含むものであってもよい。所望により、染色体計数プローブを同じ染色体上に存在する遺伝子に対する遺伝子座特異的プローブとともに使用することにより、比率、例えば遺伝子/染色体比(例えば、PTEN/CEP10および/またはFGFR1/CEP8)を評価することが可能になる。
該方法に、さらに、臨床パラメータ、例えば、グリーソンスコア、腫瘍ステージ分類、PSAレベル、ノモグラム、メチル化状態、変異および患者の年齢からなる群より選択される臨床パラメータを取得することを含めてもよく、該臨床パラメータのうちのいずれかが、予後判定のために染色体異常の存在の判定と組み合わされ得る。上記の方法に、さらに、処置中に急速進行型前立腺腺癌を有すると認定された患者を、処置過程において(a)と(b)を繰り返すことによりモニタリングすることが含められ得る。または、上記の方法に、さらに、緩徐進行型前立腺腺癌を有すると認定された患者を、定期的に(a)と(b)を繰り返すことにより監視することが含められ得る。上記の方法に関して、患者は、別の方法、例えば、前立腺細胞試料の組織学的検査、尿試料を急速進行型前立腺腺癌または緩徐進行型前立腺腺癌のマーカーについて検出/スクリーニングする方法および血液試料を急速進行型前立腺腺癌または緩徐進行型前立腺腺癌のマーカーについて検出/スクリーニングする方法からなる群より選択される方法によって急速進行型前立腺腺癌または緩徐進行型前立腺腺癌を有すると既に認定済の患者であってもよい。
試料は任意の適切な試料であり得る。適切な試料の例としては、限定されないが、組織学的検体、スライドに上に載せることができる切片が挙げられる。検体は、根治的前立腺摘除術によるもの、生検(例えば、針生検)、経尿道的に切除した前立腺(TURP)などであり得る。切片は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)され、顕微鏡スライド上に配置され得る。または、他の手段(凍結など)で保存した切片を使用してもよく、細胞診検体、例えば、血液試料または尿試料を使用してもよい。
患者が根治的前立腺摘除術を受けたばかりである場合、前立腺細胞試料(これは、新鮮状態またはホルマリン固定パラフィン包埋状態で使用され得る。)源として取り出した前立腺を使用することに加え、別の試料、例えば血液または尿が使用され得る。本明細書に記載の方法による試料の分析により、急速進行型前立腺腺癌の高いリスク、例えば、疾患の再発、転移およびさらには死亡の可能性を示す少なくとも1つの染色体異常の存在が明らかになった場合、患者は、該疾患の進行を抑制または阻止するための、例えば補助療法による緊急処置を受けることが有益であり得る。
患者が前立腺がんの初期診断を受けている場合、または受けた場合、前立腺の生検で採取した試料、血液または尿などの試料が使用され得る。本明細書に記載の方法による試料の分析により、急速進行型前立腺腺癌の高いリスクを示す少なくとも1つの染色体異常の存在が明らかになった場合、患者は、直ちに根治的前立腺摘除術を単独で、または1つ以上の他の処置とさらに併用して受けることが有益であり得る。または、本明細書に記載の方法による試料の分析により染色体異常が明らかにならなかった場合、患者はモニタリングされるか、または積極的監視療法を受けることが有益であり得る。
上記のすべての方法に関して、プローブの性質/サイズは、少なくとも一部において、具体的なパラメータ、例えば、対象遺伝子のコピー数、コピー数比率または増加パーセンテージを測定するために使用される方法に依存する。上記の診断方法/予後判定方法が、例えば、インサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって行われる場合、プローブは比較的大型であり得る。上記の診断方法/予後判定方法が別の方法によって行われる場合、プローブは、インサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)に使用されるプローブよりも小さい、さらにはかなり小さいものであり得、この場合、該プローブは好ましくは、対象遺伝子内の配列にハイブリダイズするものである。
上記のことに鑑み、MYCを伴うパラメータ、例えば、MYCのコピー数(例えば、増加)、MYCを伴うコピー数比率(例えば、MYC/CEP8増加)、またはMYCの増加パーセンテージなどをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、MYC遺伝子を含む8番染色体のq24領域(8q24)にハイブリダイズするものである。また、該プローブは、8q24のセントロメア側に存在する隣接領域、8q24のテロメア側に存在する隣接領域または両方にもハイブリダイズし得る。好ましいプローブは、8q24のおよそ820kb(821kbなど)を被い、MYC遺伝子上にセンタリングされるものである。別の方法によってMYCを伴うパラメータを検出するためのプローブは、インサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)に使用されるプローブよりも小さい、さらにはかなり小さいものであり得、この場合、該プローブは好ましくは、MYC遺伝子(配列情報は、オンラインで、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank)およびGeneCards(R)(www.genecards.org)などの情報源から入手可能である。)内の配列にハイブリダイズするものである。「MYC」は、本明細書において、MYCを伴うパラメータ(コピー数、コピー数比率、パーセンテージ増加など、いずれのものであれ)を調べるために、該パラメータを測定するために使用される具体的な方法に関係なく使用され得る任意のあらゆるプローブをいうために用いている。
FGFR1を伴うパラメータ、例えば、FGFR1のコピー数(例えば、減少もしくは増加)、FGFR1を伴うコピー数比率(例えば、FGFR1/CEP8減少もしくはFGFR1/CEP8増加)、またはFGFR1の減少もしくは増加パーセンテージなどをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、FGFR1遺伝子を含む8番染色体のp11−12領域(8p11−12)にハイブリダイズするものである。また、該プローブは、8p11−12のセントロメア側に存在する隣接領域、8p11−12のテロメア側に存在する隣接領域または両方にもハイブリダイズし得る。好ましいプローブは、8p12のおよそ530kb(531kbなど)を被い、FGFR1遺伝子上にセンタリングされるものである。別の方法によってFGFR1を伴うパラメータを検出するためのプローブは、インサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)に使用されるプローブよりも小さい、さらにはかなり小さいものであり得、この場合、該プローブは好ましくは、FGFR1遺伝子(配列情報は、オンラインで、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank)およびGeneCards(R)(www.genecards.org)などの情報源から入手可能である。)内の配列にハイブリダイズするものである。「FGFR1」は、本明細書において、FGFR1を伴うパラメータ(コピー数、コピー数比率、パーセンテージ増加など、いずれのものであれ)を調べるために、該パラメータを測定するために使用される具体的な方法に関係なく使用され得る任意のあらゆるプローブをいうために用いたものであり得る。
PTENを伴うパラメータ、例えば、PTENのコピー数(例えば、PTEN減少もしくはPTENホモ接合性減少)、PTENを伴うコピー数比率(例えば、PTEN/CEP10減少)またはPTEN減少パーセンテージなどをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、PTEN遺伝子の一部および10q23のテロメア側に存在する隣接領域を含む10番染色体のq23領域(10q23.31)にハイブリダイズするものである。好ましいPTENプローブは10q23.31のおよそ340から350kb(344kbなど)を被うものである。PTEN遺伝子プローブの隣接領域としては、セントロメア側のSTSマーカーD10S215およびテロメア側のSHGC−77962が挙げられる。別の方法によってPTENを伴うパラメータを検出するためのプローブは、インサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)に使用されるプローブよりも小さい、さらにはかなり小さいものであり得、この場合、該プローブは好ましくは、PTEN遺伝子またはPTEN遺伝子の隣接領域(配列情報は、オンラインで、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank)およびGeneCards(R)(www.genecards.org)などの情報源から入手可能である。)内の配列にハイブリダイズするものである。「PTEN」は、本明細書において、PTENを伴うパラメータ(コピー数、コピー数比率、ホモ接合性パーセンテージなど、いずれのものであれ)を調べるために、該パラメータを測定するために使用される具体的な方法に関係なく使用され得る任意のあらゆるプローブをいうために用いたものであり得る。
ERGを伴うパラメータ、例えば、単独またはさらにERG遺伝子の5’側の染色体の介在部の欠失との組み合わせでの再編成(例えば、2+Edelパーセンテージ)などをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、ERG遺伝子を含む21番染色体のq22領域(21q22)にハイブリダイズするものである。好ましいERGプローブはブレークアパートプローブ、即ち、ERG遺伝子に対して一方がテロメア側であり、他方がセントロメア側であり、ERG遺伝子が関与している再編成および隣接する染色体の欠失を検出する1対のプローブである。別の方法によってERGを伴うパラメータを検出するためのプローブは、インサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)に使用されるプローブよりも小さい、さらにはかなり小さいものであり得、この場合、該プローブは好ましくは、ERG遺伝子(配列情報は、オンラインで、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank)およびGeneCards(R)(www.genecards.org)などの情報源から入手可能である。)内の配列にハイブリダイズするものである。「ERG」は、本明細書において、ERGを伴うパラメータ(再編成、例えば、2+Edelなど、いずれのものであれ)を調べるために、該パラメータを測定するために使用される具体的な方法に関係なく使用され得る任意のあらゆるプローブをいうために用いたものであり得る。
8番染色体を伴うパラメータ、例えば、8番染色体のコピー数(例えば、増加もしくは減少)または遺伝子(即ち、8番染色体上の遺伝子)と8番染色体を伴うコピー数比率(例えば、FGFR1/CEP8増加もしくはFGFR1/CEP8減少)をインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するための染色体計数プローブは好ましくは、8番染色体のセントロメアの8p11.1−q11.1の領域内のα−サテライトDNAにハイブリダイズするものである。または、該染色体計数プローブは8番染色体の腕にハイブリダイズし得るものであるが、該プローブは、コピー数増加またはコピー数減少に関する8番染色体の状態を正確に表すものであるものとする。
10番染色体を伴うパラメータ、例えば、10番染色体のコピー数(例えば、減少)または遺伝子(即ち、10番染色体上の遺伝子)と10番染色体を伴うコピー数比率(例えば、PTEN/CEP10減少)をインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するための染色体計数プローブは好ましくは、10番染色体のセントロメアの10p11.1−q11.1の領域内のα−サテライトDNAにハイブリダイズするものである。または、該染色体計数プローブは10番染色体の腕にハイブリダイズし得るものであるが、該プローブは、コピー数増加またはコピー数減少に関する10番染色体の状態を正確に表すものであるものとする。
AURKAを伴うパラメータ、例えば、AURKAのコピー数(例えば、AURKA増加)、AURKAを伴うコピー数比率またはAURKAの増加パーセンテージをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、AURKA遺伝子を含む20番染色体のq13領域(20q13)にハイブリダイズするものである。また、該プローブは、20q13のセントロメア側に存在する隣接領域、20q13のテロメア側に存在する隣接領域または両方にもハイブリダイズし得る。好ましいプローブは、20q13のおよそ638kbから858kb(648kbなど)を被い、AURKA遺伝子上にセンタリングされるものである。別の方法によってAURKAを伴うパラメータを検出するためのプローブは、インサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)に使用されるプローブよりも小さい、さらにはかなり小さいものであり得、この場合、該プローブは好ましくは、AURKA遺伝子(配列情報は、オンラインで、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank)およびGeneCards(R)(www.genecards.org)などの情報源から入手可能である。)内の配列にハイブリダイズするものである。「AURKA」は、本明細書において、AURKAを伴うパラメータ(コピー数、コピー数比率、パーセンテージ増加など、いずれのものであれ)を調べるために、該パラメータを測定するために使用される具体的な方法に関係なく使用され得る任意のあらゆるプローブをいうために用いている。
NKX3.1を伴うパラメータ、例えば、NKX3.1のコピー数(例えば、NKX3.1減少)、NKX3.1を伴うコピー数比率またはNKX3.1の減少パーセンテージをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、NKX3.1遺伝子を含む8番染色体のp21領域(8p21)にハイブリダイズするものである。また、該プローブは、8p21のセントロメア側に存在する隣接領域、8p21のテロメア側に存在する隣接領域または両方にもハイブリダイズし得る。好ましいプローブは、8p21のおよそ518から538kb(528kbなど)を被い、NKX3.1遺伝子上にセンタリングされるものである。別の方法によってNKX3.1を伴うパラメータを検出するためのプローブは、インサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)に使用されるプローブよりも小さい、さらにはかなり小さいものであり得、この場合、該プローブは好ましくは、NKX3.1遺伝子(配列情報は、オンラインで、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank)およびGeneCards(R)(www.genecards.org)などの情報源から入手可能である。)内の配列にハイブリダイズするものである。「NKX3.1」は、本明細書において、NKX3.1を伴うパラメータ(コピー数、コピー数比率、パーセンテージ増加など、いずれのものであれ)を調べるために、該パラメータを測定するために使用される具体的な方法に関係なく使用され得る任意のあらゆるプローブをいうために用いている。
P27を伴うパラメータ、例えば、P27のコピー数(例えば、P27減少)、P27を伴うコピー数比率またはP27の減少パーセンテージをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、P27遺伝子を含む12番染色体のp13−12領域(12p13−12)にハイブリダイズするものである。また、該プローブは、12p13−12のセントロメア側に存在する隣接領域、12p13−12のテロメア側に存在する隣接領域または両方にもハイブリダイズし得る。好ましいプローブは、12p13−12のおよそ382から412kb(392kbなど)を被い、P27遺伝子上にセンタリングされるものである。別の方法によってP27を伴うパラメータを検出するためのプローブは、インサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)に使用されるプローブよりも小さい、さらにはかなり小さいものであり得、この場合、該プローブは好ましくは、P27遺伝子(配列情報は、オンラインで、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank)およびGeneCards(R)(www.genecards.org)などの情報源から入手可能である。)内の配列にハイブリダイズするものである。「P27」は、本明細書において、P27を伴うパラメータ(コピー数、コピー数比率、パーセンテージ増加など、いずれのものであれ)を調べるために、該パラメータを測定するために使用される具体的な方法に関係なく使用され得る任意のあらゆるプローブをいうために用いている。
MDM2を伴うパラメータ、例えば、MDM2のコピー数(例えば、MDM2増加)、MDM2を伴うコピー数比率またはMDM2の増加パーセンテージをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、MDM2遺伝子を含む12番染色体のq15領域(12q15)にハイブリダイズするものである。また、該プローブは、12q15のセントロメア側に存在する隣接領域、12q15のテロメア側に存在する隣接領域または両方にもハイブリダイズし得る。好ましいプローブは、12q15のおよそ210kb(209kbなど)を被い、MDM2遺伝子上にセンタリングされるものである。別の方法によってMDM2を伴うパラメータを検出するためのプローブは、インサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)に使用されるプローブよりも小さい、さらにはかなり小さいものであり得、この場合、該プローブは好ましくは、MDM2遺伝子(配列情報は、オンラインで、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank)およびGeneCards(R)(www.genecards.org)などの情報源から入手可能である。)内の配列にハイブリダイズするものである。「MDM2」は、本明細書において、MDM2を伴うパラメータ(コピー数、コピー数比率、パーセンテージ増加など、いずれのものであれ)を調べるために、該パラメータを測定するために使用される具体的な方法に関係なく使用され得る任意のあらゆるプローブをいうために用いている。
MYCNを伴うパラメータ、例えば、MYCNのコピー数(例えば、MYCN増加)、MYCNを伴うコピー数比率またはMYCNの増加パーセンテージをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、MYCN遺伝子を含む2番染色体のp24領域(2p24)にハイブリダイズするものである。また、該プローブは、2p24のセントロメア側に存在する隣接領域、2p24のテロメア側に存在する隣接領域または両方にもハイブリダイズし得る。好ましいプローブは、2p24のおよそ195−205kb(200kbなど)を被い、MYCN遺伝子上にセンタリングされるものである。別の方法によってMYCNを伴うパラメータを検出するためのプローブは、インサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)に使用されるプローブよりも小さい、さらにはかなり小さいものであり得、この場合、該プローブは好ましくは、MYCN遺伝子(配列情報は、オンラインで、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank)およびGeneCards(R)(www.genecards.org)などの情報源から入手可能である。)内の配列にハイブリダイズするものである。「MYCN」は、本明細書において、MYCNを伴うパラメータ(コピー数、コピー数比率、パーセンテージ増加など、いずれのものであれ)を調べるために、該パラメータを測定するために使用される具体的な方法に関係なく使用され得る任意のあらゆるプローブをいうために用いている。
ETV1を伴うパラメータ、例えば再編成などをインサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)によって検出するためのプローブは好ましくは、ETV1遺伝子を含む7番染色体のp21領域(7p21)にハイブリダイズするものである。好ましいETV1プローブはブレークアパートプローブ、即ち、ETV1遺伝子に対して一方がテロメア側であり、他方がセントロメア側であり、ETV1遺伝子が関与している再編成および隣接する染色体の欠失を検出する1対のプローブである。別の方法によってETV1を伴うパラメータを検出するためのプローブは、インサイチュハイブリダイゼーション(FISHなど)に使用されるプローブよりも小さい、さらにはかなり小さいものであり得、この場合、該プローブは好ましくは、ETV1遺伝子(配列情報は、オンラインで、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank)およびGeneCards(R)(www.genecards.org)などの情報源から入手可能である。)内の配列にハイブリダイズするものである。「ETV1」は、本明細書において、ETV1を伴うパラメータ(再編成など、いずれのものであれ)を調べるために、該パラメータを測定するために使用される具体的な方法に関係なく使用され得る任意のあらゆるプローブをいうために用いたものであり得る。
上記に説明したようなプローブの利用は、本明細書において論考した方法、プローブおよびキットに適用される。また、「詳細説明」の始めに示したプローブの説明も、本明細書において論考した方法、プローブおよびキットに適用される。
上記の方法は、当該技術分野で知られた任意の適切な検出方法を用いて行われ得る。好ましくは、上記の方法は、インサイチュハイブリダイゼーション、例えば、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を用いて行われる。好ましくは、各プローブは、相違する標識、例えば相違するフルオロフォアで検出可能に標識される。または、本明細書に記載のような放射性標識ヌクレオチド検出(インサイチュハイブリダイゼーション(ISH))、クロモメア(chromomeric)ハイブリダイゼーション検出などを使用してもよい。
上記の方法がインサイチュハイブリダイゼーションによって(この場合、各プローブは相違する標識で検出可能に標識される。)、例えばFISHによって(この場合、各プローブは相違するフルオロフォアで標識される。)によって行われる場合、該方法は、新鮮なもの、例えば前立腺の生検による新鮮細胞(新鮮細胞は1から3日間培養され得、この培養物に、細胞を中期(この間、染色体は高度に凝縮し、可視化され得る。)でブロックするためのブロッカー(Colcemidなど)が添加され得る。)、凍結させたもの、または固定したもの(例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋)である前立腺細胞試料に対して行われ、標的核酸(例えば、DNA)への到達可能性を増大させるため、および非特異的結合を低減させるために処理され(例えば、RNaseおよびペプシンで)、次いで、1種類以上のプローブとのハイブリダイゼーション、未結合プローブ(あれば)を除去するための洗浄およびハイブリダイズしたプローブの検出に供され得る。例えば、細胞懸濁液が単層としてスライド上に塗布され得、細胞密度が光学顕微鏡または位相差顕微鏡によって測定され得る。また、細胞を、体液(例えば、尿または精液)などの他の供給源から採取し、固定液(メタノール−酢酸(カルノア試薬)など)中で保存し、顕微鏡検査および分析のためにスライドまたは同様の支持体上に塗布してもよい。
FFPE組織学的検体スライド(切片)は約56から60℃で2から24時間前後焼成され、次いで、Hemo−De(Scientific Safety Solvents)またはXyline中で、室温で各々、約5から10分間、2回から3回前処理され、100%エタノール中で2回、室温で各々、約1分間すすぎ洗浄され得る。次いで、スライドは、前処理溶液(1×SSC(pH7.0))中で75から85℃前後で約35から50分間インキュベートされ、脱イオン水中で約3分間すすぎ洗浄され、0.15%ペプシン含有0.1N HCl溶液中で37℃前後にて約17から27分間インキュベートされ、再度、脱イオン水中で約3分間すすぎ洗浄され得る。スライドは70%、85%および100%エタノール中で各々、1分間、水分除去され、次いで風乾され得る。10マイクロリットルのハイブリダイゼーション用プローブミックス(LSI(R)バッファー,ブロッキングDNA,標識プローブ)が個々の検体スライドに添加され得、カバースリップが被され、ラバーセメントで密封され得る。スライドは71から75℃前後で約5分間、共変性され、ハイブリダイズがThermoBrite(Abbott Molecular,Inc.,Des Plaines,IL)において37℃前後で約4から24時間、行われ得る。ハイブリダイゼーション後、ラバーセメントが剥がされ得、1×SSC(pH7.0)中に約3から5分間、浸漬させることによりカバースリップが取り除かれ得る。次いで、スライドは、2×SSC/0.3%NP−40の洗浄溶液(73℃前後に予熱)中に約2から5分間、入れられ得る。次いで、スライドは1×SSC(pH7.0)中に約1分間、最終のすすぎ洗浄として入れられ得る。次いで、試料を担持している支持体に、核DNA結合性染色試薬(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)など)で、溶液状態または乾燥時のいずれかの試料の暗所でのいずれかの対比染色が行われ得る。後者の場合、試料は約10μLのDAPIで対比染色され、新たなカバースリップが試料上に置かれる。次いで、試料は可視化されるか、または例えば約−20℃で保存され得る。
検出の前に、細胞試料は場合により、明白な細胞学的異常に基づいて予備選択され得る。予備選択により疑わしい細胞が特定され、これによりスクリーニングを該細胞に的を絞って行うことが可能になる。予備選択により、より高速スクリーニングが可能になり、陽性結果が見落とされない尤度が高まる。
ある程度のレベルの異形成または疑わしい病変部の形跡がある領域は、低倍率のDAPIフィルターを用いて位置特定され、異常コピー数のプローブ(あれば)を有する核の存在について充分に検査され得る。正常細胞では、2コピーの所与のプローブが検出される。異常細胞では、これより多い、またはこれより少ないコピーの所与のプローブが検出される。好ましくは、最も有意なコピー数変化を有する領域が計数に選択される。可能な場合はいつでも、約3から10個の異常領域が選択され、各異常領域内で、10個の無作為の核が高倍率(64倍または100倍の対物レンズ)下で分析される。好ましくは、核は非重畳であり、充分に明るいシグナルを有するものである。
または、検出用の細胞は、細胞学的または組織学的形体とは無関係に選択してもよい。例えば、顕微鏡スライド上の所与の領域(1つまたは複数)の重なり合っていないすべての細胞を、染色体の減少および/または増加について評価してもよい。さらなる一例として、スライド上の細胞、例えば、顕微鏡スライド上に整然と連続して見られ、少なくとも約50個、より好ましくは少なくとも約100個程度の数の形態構造の改変を示す細胞を染色体の減少および/または増加についての評価に選択してもよい。
従って、かかる方法は、患者から採取した試料、例えば、前立腺細胞試料、血液 尿または核酸を、上記のような検出可能に標識されたプローブセットとハイブリダイズ条件下で接触させることを含むものである。ハイブリダイズ条件は、この該プローブが標的核酸配列と選択的に結合し、安定なハイブリダイゼーション複合体が形成されることを可能にする(または促進する)ものである。かかる方法は、さらに、ハイブリダイゼーション複合体の形成を検出すること、および該ハイブリダイゼーション複合体の数をカウントすることを含むものである。ハイブリダイゼーション複合体の数を考慮して、該方法は、さらに、1つ以上の染色体異常のコピー数を調べることを含むものである。染色体異常のコピー数は、所定のカットオフ値、例えば、本明細書に示した範囲内のカットオフ値または本明細書に示した特定のカットオフ値と比較され得、ここで、所定のカットオフ値より大きいコピー数(即ち、増加の場合)または所定のカットオフ値より小さいコピー数(即ち、減少の場合)は、適宜、本明細書に記載のように、患者が急速進行型/緩徐進行型の前立腺がんを有すること、または有しないことを示す。
脱パラフィン、前処理、染色および常套的なスライド洗浄もまた、当該技術分野で知られた方法に従って行われ得るが、自動化システム、例えば、VP 2000 Process(Abbott Molecular,Inc.,Des Plaines,IL)の使用により、評価のためのスライド調製に必要とされる時間量が少なくなる。スライドは、ハイブリダイゼーション後洗浄に標準的なコプリンジャーが使用される場合の少数バッチ(例えば、4個スライド)とは反対に、大量数バッチ(例えば、50個のスライド)で調製してもよい。また、スライドのスコア化を、自動化イメージングを用いて完全に自動化してもよく、これにより、検体分析に必要とされる手作業(hands−on)時間量が少なくなり得る。また、完全自動化により、より多くの異常細胞をより頻繁に一貫して読み取るイメージングアルゴリズムを用いたシグナル計数およびその後のデータ分析が可能になる。
既に当該技術分野で知られているか、または現在開発中である他の方法では、ホルマリン固定パラフィン包埋された細胞以外である前立腺細胞試料、例えば、新鮮細胞もしくは凍結細胞、ホモジネーションした細胞、溶解細胞または前立腺細胞由来の単離核酸もしくは精製核酸(例えば、DNAなどの「核酸試料」)(「前立腺細胞試料」は、本明細書で用いる場合、コピー数および増加/減少の測定が可能なあらゆる形態の前立腺細胞試料を包含していることを意図する。)の使用が必要とされるか、または好ましい場合があり得る。また、切断人工物を低減させるため、および外来物の包埋を排除するため、パラフィン包埋検体の厚切り切片から核を抽出してもよい。典型的には、生物学的試料は、採取したら、ハイブリダイゼーションの前に、当該技術分野で知られた標準的な方法を用いて収集して加工処理する。かかる加工処理としては、典型的には、プロテアーゼ処理およびアルデヒド溶液(例えば、ホルムアルデヒド)中でのさらなる固定が挙げられる。
本明細書において使用され得る方法の例としては、限定されないが、定量ポリメラーゼ連鎖反応(Q−PCR)、リアルタイムQ−PCR(Applied Biosystems,Foster City,CA)、PCR産物の比重走査、デジタルPCR(場合により、コピー数(1または複数)が測定対象である遺伝子および/または染色体領域の事前増幅を伴う。)(例えば、Vogelstein et al.,PNAS USA 96:9236−9241(1999);米国特許出願公開第2005/0252773号;および米国特許出願公開第2009/0069194号参照)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH;例えば、Kallioniemi et al.,Science 258:818−821(1992);および国際公開第93/18186号参照)、マイクロサテライト解析またはサザン対立遺伝子型(Southern allelotype)解析、ドットブロット、アレイ、マイクロアレイ(Carter,Nature Genetics Supplement 39:S16−S21(2007年7月))、マルチプレックス増幅性(multiplex amplifiable)プローブハイブリダイゼーション(MAPH)、マルチプレックスライゲーション依存性(multiplex ligation−dependent)プローブ増幅(MLPA;例えば、Schouten et al.,Nucleic Acids Res.30:e 57(2002)参照)、変性高速液体クロマトグラフィー(dHPLC;Kumar et al.,J.Biochem.Biophys.Methods 64(3):226−234(2005))、動的対立遺伝子(dynamic allele)特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、コーミングしたゲノムDNA上の蛍光プローブ長さの測定(Herrick et al.,PNAS 97(1):222−227(2000))、リファレンス・クエリー・ピロシーケンス法(reference query pyrosequencing)(RQPS;Liu et al.,Cold Spring Harb.Protoc.doi:10.1101/pdb.prot5491(2010))、フォスミド末端の参照配列上へのマッピング(キャピラリー式技術)、微小電気泳動的ナノポアシークエンシング(microelectrophoretic and nanopore sequencing)(例えば、Service、Science 311:1544−1546(2006);およびShendure et al.,Nat.Rev.Genet.5:335−344(2004)参照)などが挙げられる。
インサイチュハイブリダイゼーションおよび同様の方法による分析のための核酸標的の変性は、典型的には、細胞の形態構造が保持されるような様式で行われる。例えば、染色体DNAは、高pH、加熱(例えば、約70から95℃の温度)、有機溶媒(例えば、ホルムアミド)およびこの組み合わせで変性され得る。他方において、プローブは数分足らずの加熱によって変性され得る。
変性後、ハイブリダイゼーションを行う。プローブをこの核酸標的に特異的にハイブリダイズさせるための条件としては、一般的に、特定のハイブリッドを作製するための所与のハイブリダイゼーション手順において使用可能な条件の組み合わせ、当業者によって容易に判断され得る条件が挙げられる。かかる条件は典型的には、制御された温度、液相およびプローブと標的間の接触を伴うものである。ハイブリダイゼーション条件は、多くの要素、例えば、プローブ濃度、標的の長さ、標的およびプローブのG−C含有量、溶媒組成、温度ならびにインキュベーションの持続時間に応じて異なる。プローブを標的と接触させる前に少なくとも1回の変性工程が行われ得る。または、プローブと標的を、互いに接触している状態で一緒に変性条件に供してもよく、後でプローブを生物学的試料と逐次接触させてもよい。ハイブリダイゼーションは、その後の、例えば、2から4×SSCとホルムアミドの約50:50の容量比の混合物の液相中で約25から約55℃の範囲の温度にて、例示的には約0.5から約96時間の範囲の時間、またはより好ましくは、約32から約40℃の温度で約2から約16時間の範囲の時間のプローブ/試料のインキュベーションにより行われ得る。特異性を高めるため、ブロッキング剤、例えば、米国特許第5756696号(この内容、特に、ブロッキング核酸の使用の説明は参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。)に記載のような非標識ブロッキング核酸が使用され得る。当業者であればすぐにわかるであろう他の条件が、プローブを試料中に存在するこの核酸標的に特異的にハイブリダイズさせるために容易に使用され得る。ハイブリダイゼーションプロトコルは、例えば、Pinket et al.,PNAS USA 85:9138−9142(1988);In situ Hybridization Protocols,Methods in Molecular Biology,Vol.33,Choo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ(1994);およびKallioniemi et al.,PNAS USA 89:5321−5325(1992)に記載されている。
適切なインキュベーション期間が終了したら、染色体プローブの試料DNAとの非特異的結合が一連の洗浄によって除去され得る。所望のストリンジェンシーのための温度と塩濃度が適切に選択される。必要とされるストリンジェンシーレベルは、ゲノム配列に対する特異的プローブの配列の複雑度に依存し、プローブを遺伝子組成が既知の試料に体系的にハイブリダイズさせることによって決定され得る。一般に、高ストリンジェンシー洗浄は、約65から約80℃の範囲の温度で約0.2×から約2×SSCと約0.1%から約1%の非イオン性デタージェント(Nonidet P−40(NP40)など)を用いて行われ得る。低ストリンジェンシー洗浄が必要とされる場合、洗浄は低温でより高濃度の塩を用いて行われ得る。
フルオロフォアで標識したプローブまたはプローブ組成物が使用される場合、検出方法は、蛍光顕微鏡検査、フローサイトメトリーまたはプローブのハイブリダイゼーションを調べるための他の手段を伴うものであり得る。任意の適切な顕微鏡使用イメージング方法が、多数のフルオロフォアを観察するために本明細書に記載の方法と併せて使用され得る。蛍光顕微鏡検査が使用される場合、ハイブリダイズさせた試料は、各フルオロフォアの励起に適切な光の下で適切なフィルター(1つまたは複数)の使用を伴って観察され得る。または、自動デジタルイメージングシステム、例えば、MetaSystems、BioViewまたはApplied Imaging systemsを、シグナル計数およびデータ取得アルゴリズムとともに使用してもよい。
使用する方法にもよるが、結果の表示を容易にするため、および蛍光強度のわずかな差を検出する感度を改善するためにデジタル画像解析システムを使用してもよい。例示的なシステムの一例は、画像解析ソフトウェアを備えたBioView自動スライドスキャナーである。別の例示的なシステムはQUIPS(quantitative image processing system(定量的画像処理システム)の頭文字)であり、これは、標準的な蛍光顕微鏡がベースであり、自動化ステージ、フォーカスコントロールおよびフィルターホイールを備えた自動化画像解析システムである(Ludl Electronic Products,Ltd.,Hawthorne,NY)。フィルターホイールは、顕微鏡の蛍光励起路内に励起波長の選択のために設置される。ダイクロイックブロック内に特別なフィルター(Chroma Technology,Brattleboro,VT)があると、画像位置合わせのシフトなしで多種類の染料を励起することが可能になる。顕微鏡は2つのカメラポートを有し、このうち一方は、高感度高速ビデオ画像表示のためのインテンシファイア(intensified)CCDカメラ(Quantex Corp.,Sunnyvale,CA)を有し、このカメラは、スライド上の目的の領域を見出すため、ならびに集光のために使用される。他方のカメラポートは、クールドCCDカメラ(Photometrics Ltd.(Tucson,AZ)による型番200)を有し、このカメラは、高い解像度と感度で実際の画像を取得するために使用される。クールドCCDカメラはSUN 4/330ワークステーション(SUN Microsystems,Inc.,Mountain View,CA)とVMEバスを介してインターフェース接続させる。多色画像の取得全体は、画像処理ソフトウェアパッケージSCIL−Image(Delft Centre for Image Processing,Delft,Netherlands)を用いて制御する。
アレイCGH(aCGH)では、プローブを基板上の相違する位置に固定するが、標識しない(例えば、国際公開第96/17958号参照)。代わりに、標的核酸(1種類または複数種)を含む試料核酸を標識する。試料核酸をハイブリダイゼーション前に標識するか、またはハイブリダイゼーション複合体を検出可能に標識するかのいずれかにする。二色または多色aCGHでは、プローブアレイを異なるように標識した標的核酸の2つ以上の集合体に同時にまたは逐次ハイブリダイズさせる。
上記の方法は、患者を、積極的処置(例えば、手術、ホルモン療法、放射線、または手術(例えば、単純もしくは根治的前立腺摘除術)後の場合は、補助処置(例えば、アンドロゲン抑制療法))が必要な患者と、積極的処置が必要でない患者、例えば、積極的監視療法または注意深い経過観察を受けるのがよい患者に層別化するために使用され得る。また、該方法は、前立腺がんの進行または再発をモニタリングするため、処置に対する患者の候補性を判定するため、および前立腺がんの予防的または治療的処置(例えば、ホルモン療法または放射線療法)の有効性をモニタリングするためにも使用され得る。尿または血液に基づいた検出方法で得られた結果を、上記の方法で確認することができる。
さらに、本明細書において、被験体の前立腺がんの進行をモニタリングする方法を提供する。最適には、該方法は:
(a)被験体由来の試料において染色体異常を測定する工程;
(b)該被験体由来のその後の試料において染色体異常レベルを測定する工程;および
(c)工程(b)で測定された染色体異常レベルを工程(a)で測定された染色体異常レベルと比較する工程を含むものであり、ここで、工程(b)でのレベルが工程(a)で測定されたレベルと比較したとき変化していないかまたは悪化的な場合、前立腺がんが該被験体において継続した、進行した、または悪化したと判定される。比較により、工程(b)で測定されたレベルが工程(a)で測定されたレベルと比較したとき好転的である場合、前立腺がんが該被験体において止まった、退縮した、または改善したと判定される。
場合により、該方法は、さらに、工程(b)で測定された染色体異常レベルを、例えば所定のレベルと比較することを含む。さらに、比較により、工程(b)で測定されたレベルが、例えば、所定のレベルと比べて悪化的に変化していることが示された場合、場合により、該方法は、該被験体を、例えば、1種類より多くの医薬組成物、放射線および/またはホルモン療法で、一定期間、処置することを含む。
従って、該方法に、さらに、試験試料を採取した患者を予後判定すること、または該患者の治療的/予防的処置の有効性を評価することが含められ得る。該方法にさらに、試験試料を採取した患者の治療的/予防的処置の有効性を評価することを含める場合、該方法は、場合によりさらに、有効性を改善するために必要に応じて該患者の治療的/予防的処置を加減することを含む。該方法を、自動化システムまたは半自動化システムにおける使用のために適合させてもよい。
一般的に、所定のレベルは、前立腺細胞試料を染色体異常についてアッセイしたときに得られた結果と対比して評価するベンチマークとして使用され得る。一般的に、かかる比較を行う際、所定のレベルは、特定の染色体異常(存在またはレベル)と疾患、障害または病状(例えば、子癇前症もしくは心血管疾患)の特定の病期もしくはエンドポイントまたは特定の徴候との関連付けまたは連想がなされ得るような充分な回数と適切な条件下で特定のアッセイを実施することにより得られたものである。典型的には、所定のレベルは、参照被験体(または被験体集団)のアッセイで得られたものである。
特に、疾患進行および/または処置のモニタリングに使用される所定のレベルに対して、染色体異常(存在またはレベル)は、「変化していない」か、「好転的(favorable)」(または「好転的に変化している」)か、または「悪化的(unfavorable)」(または「悪化的に変化している」)ものであり得る。「上昇した」または「増大した」は、前立腺細胞試料における染色体異常レベルが典型的もしくは正常なレベルもしくは範囲(例えば、所定のレベル)よりも高い、または別の参照レベルもしくは範囲(例えば、先の試料もしくはベースライン試料)よりも高いことをいう。用語「低下した」または「低減された」は、前立腺細胞試料における染色体異常レベルが典型的もしくは正常なレベルもしくは範囲(例えば、所定のレベル)よりも低い、または別の参照レベルもしくは範囲(例えば、先の試料もしくはベースライン試料)よりも低いことをいう。用語「変化している」は、前立腺細胞試料における染色体異常レベルが典型的もしくは正常なレベルもしくは範囲(例えば、所定のレベル)と比べて、または別の参照レベルもしくは範囲(例えば、先の試料もしくはベースライン試料)と比べて変化している(増大したか、または低減された)ことをいう。所与の染色体異常に関する典型的もしくは正常なレベルもしくは範囲は、標準的な実務に従って規定される。
さらに、本開示はまた、前立腺がんに対する素因を有するか、または前立腺がんに苦しんでいる被験体が処置の恩恵を被るかどうかを判定する方法に関する。特に、本開示は、コンパニオン診断の方法および製剤品に関する。従って、該方法には、さらに、治療の候補者を選択または認定することが包含され得る。
従って、特定の実施形態では、本開示により、前立腺がんを有するかまたはそのリスクがある被験体が治療の候補者であるかどうかを判定する方法もまた提供する。一般的に、被験体は、該疾患のなんらかの症状が起こったことがある被験体、またはかかる疾患を有する、もしくはそのリスクがあると実際に診断された被験体および/または本明細書に記載のような悪化的レベルの染色体異常を示す被験体である。
該方法は、場合により、本明細書に記載のアッセイを含むものであり、この場合、染色体異常レベルは被験体の処置の前と後に評価する。処置後の染色体異常の悪化的レベルの観測結果により、該被験体は、さらなる処置または継続処置を受けることによる恩恵がないことが確認され、一方、処置後の染色体異常の好転的レベルの観測結果により、該被験体は、さらなる処置または継続処置を受けるによるにより恩恵を被ることが確認される。この確認は、臨床試験のマネージメントおよび改善された患者ケアの提供を補助する。
プローブ
検出可能に標識されたプローブセットを提供する。プローブセットは:
(i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブからなる検出可能に標識されたプローブセット、
(ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブおよび8番染色体に対する染色体計数プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(v)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(vi)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(vii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(viii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(ix)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(x)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xi)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xiii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
(xiv)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット
である。
別の実施形態では、プローブセットは、MYCに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブおよびERGに対する検出可能に標識されたブレークアパートプローブを含む(またはこれらからなる)ものである。プローブセットは、さらに、PTENに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、MYCNに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、MDM2に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対する検出可能に標識された染色体計数プローブ、10番染色体に対する検出可能に標識された染色体計数プローブ、AURKAに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、P27に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対する検出可能に標識されたブレークアパートプローブならびに前述の遺伝子のいずれかと同じ経路に関与している1つ以上の遺伝子に対する1種類以上のプローブを含むものであってもよい。所望により、染色体計数プローブを同じ染色体上に存在する遺伝子に対する遺伝子座特異的プローブとともに使用することにより、比率、例えば遺伝子/染色体比(例えば、PTEN/CEP10および/またはFGFR1/CEP8)を評価することが可能になる。
MYCプローブの一例はLSI MYC SpectrumAqua Probeであり、これはおよそ821kbの長さであり、Abbott Molecular,Inc.から入手可能である。また、およそ120kbの長さである、より小型のMYCプローブも、LSI C−MYC SpectrumOrange ProbeとしてAbbott Molecular,Inc.から入手可能である。
FGFR1プローブの一例はLSI FGFR1 SpectrumRed Probeであり、これはおよそ531kbの長さであり、Abbott Molecular,Inc.から入手可能である。
ERGプローブの一例はERG Cenプローブであり、これは209kbの長さである。ERGプローブの別の例はERG Telプローブであり、これは561kbの長さである。どちらのプローブもAbbott Molecular,Inc.から入手可能である。
PTENプローブの一例はLSI PTEN SpectrumOrange Probeであり、これはおよそ344kbの長さであり、Abbott Molecular,Inc.から入手可能である。PTENプローブの別の例はLSI PTEN SpectrumGold Probeであり、これはおよそ344kbの長さであり、Abbott Molecular,Inc.から入手可能である。
MYCNプローブのうちの1つは、200kbの長さであり、Abbott Molecular,Inc.から入手可能なものである。
MDM2プローブの一例はLSI MDM2 SpectrumOrangeプローブであり、これはおよそ209kbの長さであり、Abbott Molecular,Inc.から入手可能である。
8番染色体に対する染色体計数プローブの一例はCEP8(R)SpectrumAquaであり、これはAbbott Molecular,Inc.から入手可能である。CEP8(R)は、8番染色体のセントロメアの8p11.1−q11.1の領域内のα−サテライトDNAにハイブリダイズする。
10番染色体に対する染色体計数プローブの一例はCEP10(R)SpectrumGreenであり、これはAbbott Molecular,Inc.から入手可能である。CEP10(R)は、10番染色体のセントロメアの10p11.1−q11.1の領域内のα−サテライトDNAにハイブリダイズする。
AURKAプローブのうちの1つは、648kbの長さであり、Abbott Molecular,Inc.から入手可能なものである。
NKX3.1プローブのうちの1つは、528kbの長さであり、Abbott Molecular,Inc.から入手可能なものである。
P27プローブのうちの1つは、392kbの長さであり、Abbott Molecular,Inc.から入手可能なものである。
ETV1プローブの例としては、LSI ETV1(Cen)SpectrumGreen Probe(これはおよそ605kbの長さであり、ETV1遺伝子の5’側にハイブリダイズする。)およびLSI ETV1(Tel)SpectrumRed Probe(これはおよそ560kbの長さであり、ETV1遺伝子の3’側にハイブリダイズする。)が挙げられる。どちらのプローブもAbbott Molecular,Inc.から入手可能である。
染色体領域または部分領域を標的化する染色体計数プローブ(CEP)および遺伝子座特異的プローブは、市販品で取得できるものであっても、当業者によって容易に調製され得るものであってもよい。かかるプローブは、Abbott Molecular,Inc.(Des Plaines,IL)、Molecular Probes,Inc.(Eugene,OR)またはCytocell(Oxfordshire,UK)から市販品で取得することができる。染色体プローブは、例えば、タンパク質核酸(PNA)、クローン化ヒトDNA、例えば、ヒトDNA配列の挿入物を含有させたプラスミド、細菌人工染色体(BAC)およびP1人工染色体(PAC)から調製され得る。目的の領域は、PCR増幅またはクローニングによって取得することができる。別の実施形態では、染色体プローブはオリゴプローブであり得る。または、染色体プローブは、当該技術分野で知られた方法に従って合成により調製され得る。
特定の遺伝子の遺伝子座の標的化が所望される場合、標的化対象の遺伝子の全長にわたってハイブリダイズするプローブが好ましいものであり得るが、その必要はない。遺伝子座特異的プローブは、遺伝子異常が転移と相関しているがん遺伝子または腫瘍抑制遺伝子(例えば、MYC)にハイブリダイズするように設計され得る。
プローブは、当該技術分野で知られた任意の方法によって調製され得る。プローブは合成してもよく、組換え産生させてもよい。かかるプローブは、長さが約25,000塩基対から約800,000塩基対の範囲のものであり得る。
好ましくは、プローブは検出可能に標識され、各プローブは、相違するように標識される。好ましくは、プローブはフルオロフォアで検出可能に標識され、各プローブは、相違するように標識される。好ましいフルオロフォアの例としては、限定されないが、7−アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸(AMCA)、5−カルボキシ−X−ローダミン、6−カルボキシ−X−ローダミン、リサミン ローダミンB、5−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン−5−イソチオシアネート(FITC)、7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸、テトラメチルローダミン−5−イソチオシアネート、テトラメチルローダミン−6−イソチオシアネート、5−カルボキシルテトラメチルローダミン、6−カルボキシテトラメチルローダミン、7−ヒドロキシクマリン−3−カルボン酸、N−4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−3−インダセンプロピオン酸、エオシン−5−イソチオシアネート、エリスロシン−5−イソチオシアネート、SpectrumRed(Abbott Molecular,Inc.)、SpectrumGold(Abbott Molecular,Inc.)、SpectrumGreen(Abbott Molecular,Inc.)、SpectrumAqua(Abbott Molecular,Inc.)、TEXAS RED(Molecular Probes,Inc.)、ルシファーイエローおよびカスケードブルーアセチルアジド(Molecular Probes,Inc.)が挙げられる。使用される具体的な標識は重要ではない;しかしながら、望ましくは、具体的な標識は、プローブのインサイチュハイブリダイゼーションおよび任意の他のプローブ上の標識の検出を妨げないものである。標識は望ましくは、アッセイの感度を最大限にするため、および任意のバックグラウンドシグナルより上で検出可能にするため、できるだけ少コピー数で検出可能なものである。また、望ましくは、標識は、高度に局在化されたシグナルをもたらし、これにより高度な空間分解能をもたらすものである。
フルオロフォアを核酸プローブに結合させることは、当該技術分野でよく知られており、任意の利用可能な手段によって行われ得る。例えば、フルオロフォアが特定のヌクレオチドに共有結合され得、この標識ヌクレオチドが該プローブ内に、標準的な手法、例えば、ニックトランスレーション、ランダムプライミング(Rigby et al.,J.Mol.Biol.113:237(1997))、PCR標識付加、末端標識付加、特定の残基(シトシン残基など)の化学修飾による直接標識付加(米国特許第5491224号)などを用いて組み込まれ得る。または、フルオロフォアはヌクレオチドと、プローブ内に組み込んでおいた活性化リンカーアームにより、例えば、アミノ基転移させておいたプローブのデオキシシチジンヌクレオチドとのリンカーによって共有結合させ得る。プローブの標識付加のための方法は、米国特許第5491224号、およびMorrison et al.,Molecular Cytogenetics:Protocols and Applications,Chapter 2,「Labeling Fluorescence In Situ Hybridization Probes for Genomic Targets」,pp.21−40,Fan,Ed.,Humana Press(2002)に記載されており、これらはともに、このプローブの標識付加の説明が参照により本明細書に組み込まれる。
当業者には、フルオロフォアの代わりに他の因子または染料を標識含有部分として使用してもよいことが認識されよう。発光性因子としては、例えば、放射線発光性、化学発光性、生物発光性およびリン光性の標識を含有する部分が挙げられる。可視光により検出可能となる薬剤としてはシアニン染料が挙げられる。または、間接的手段によって可視化される検出部分を使用してもよい。例えば、プローブは、当該技術分野で知られた常套的な方法を用いてビオチンまたはジゴキシゲニンで標識され、次いで、検出のためのさらに処理され得る。ビオチン含有プローブの可視化は、その後、検出可能なマーカーにコンジュゲートさせたアビジンとの結合によって行われ得る。検出可能なマーカーはフルオロフォアであってもよく、この場合、プローブの可視化と識別は後述のようにして行われ得る。
標的領域にハイブリダイズした染色体プローブは、または、標識部分と適切な基質との酵素反応による不溶性の発色生成物の生成によって可視化され得る。各プローブは、このセット内の他のプローブと、相違する標識部分の選択によって区別することができる。セット内のビオチン含有プローブは、その後、アルカリホスファターゼ(AP)またはホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートさせたアビジンおよび適切な基質とのインキュベーションによって検出され得る。5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェートおよびニトロブルーテトラゾリウム(NBT)はアルカリホスファターゼの基質として使用され、一方、HRPの基質としてはジアミノベンゾエートが使用される。
キット
また、キットも提供する。キットは、急速進行型前立腺腺癌を有する患者と緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を区別することを可能にするプローブセット、例えば上記のプローブセット、および上記の方法を実施するための使用説明書を備えたものである。または、キットは、急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する患者の認定または緩徐進行型腺癌を有する患者の認定を可能にするプローブセット、例えば、上記のプローブセット、ならびに上記の方法を実施するための使用説明書を備えたものである。
従って、一実施形態において、キットは(a)プローブセットを備えており、該プローブセットが(i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブからなる検出可能に標識されたプローブセット、(ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(v)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(vi)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(vii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(viii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブおよび8番染色体に対する染色体計数プローブ(CEP8)を含む検出可能に標識されたプローブセット、(ix)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(x)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(xi)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(xii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(xiii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(xiv)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(xv)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(xvi)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(xvii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
(xviii)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセットである。(i)から(vi)、(viii)、(xi)、(xiv)、(xv)および(xvii)のセットのFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを使用してFGFR1減少%を測定し、(vii)、(ix)のセットのFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1減少%の代わりとして(xiv)のFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを使用してFGFR1増加%を測定し、(ix)から(xiv)、(xvi)および(xviii)のセットのCEP8を使用してCEP8減少%を測定し、(iii)および(viii)のセットのPTENに対する遺伝子座特異的プローブを使用してPTENのホモ接合性減少%を測定し、(xvi)のセットのPTENに対する遺伝子座特異的プローブを使用してPTEN減少%を測定し、(viii)のセットのFGFR1およびCEP8に対する遺伝子座特異的プローブならびにFGFR1増加%の代わりとして(ix)のFGFR1およびCEP8に対する遺伝子座特異的プローブを使用してFGFR1/CEP8比減少%を測定する。キットはさらに(b)急速進行型前立腺腺癌を有する患者と緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を区別するための使用説明書を備えている。使用説明書は、該患者から採取した試料中の染色体異常の存在の判定を含む。この方法は、該試料をプローブセットとハイブリダイズ条件下で接触させること、ハイブリダイゼーション複合体をカウントすること、およびこの数を、あるカットオフ値範囲内のカットオフ値または本明細書に記載の特定のカットオフ値と比較することを含むものであり得る。例えば、2以上から30以下のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、15以上から40以下のFGFR1減少%(減少%はFGFRコピー数<2の細胞の%である。)、2以上から46以下のFGFR1増加%(増加%はFGFRコピー数>2の細胞の%である。)、21以上から36以下のCEP8減少%(減少%はCEP8コピー数<2の細胞の%である。)、15以上から40以下のCEP8増加%(増加%はCEP8コピー数>2の細胞の%である。)、13以上から72以下のFGFR1/CEP8減少%、2以上および40以下のPTENホモ接合性減少%(ホモ接合性減少%はPTENコピー数がゼロの細胞の%である。)、10以上から50以下のPTEN減少%(減少%はPTENコピー数が2未満の細胞の%である。)、1以上から30以下のERG 2+Edel、2以上から30以下のMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)、2以上から20以下のMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)、10以上から50以下のNKX3.1減少%(減少%はNKX3.1コピー数<2の細胞の%である。)、1以上から20以下のETV1転座/欠失%、10以上から50以下のP27減少%(減少%はP27コピー数<2の細胞の%である。)、または1以上から20以下のAURKA増加%(増加%はAURKAコピー数>2の細胞の%である。)は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示し、一方、上記のいずれでもないことは該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有することを示す。患者が前立腺摘除術を受けたことがある場合、試料中の染色体異常の存在の判定は、該患者が再発または転移の高いリスクを有することを示し、この場合、使用説明書は、さらに、患者が担当医師に、再発または転移を抑止または予防するための緊急処置について相談することを推奨することを含むものであり得る。患者が前立腺がんを有しており/前立腺がんと初期診断されており、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する場合、使用説明書は、さらに、患者が担当医師に緊急処置について相談することを推奨することを含むものであり得る。患者が前立腺がんを有しており/前立腺がんと初期診断されており、該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有する場合、使用説明書は、さらに、積極的監視療法または注意深い経過観察を推奨することを含むものであり得る。
別の実施形態では、キットは(a)プローブセットを備えており、該プローブセットが(i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブからなる検出可能に標識されたプローブセット、(ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または(v)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセットである。セット(i)がさらに、8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよび/または前述の遺伝子のいずれかと同じ経路に関与している1つ以上の遺伝子に対する1種類以上のプローブからなるものであり得るか、または(ii)から(v)のいずれかのセットがさらに8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよび/または前述の遺伝子のいずれかと同じ経路に関与している1つ以上の遺伝子に対する1種類以上のプローブを含むものであってもよい。所望により、染色体計数プローブを同じ染色体上に存在する遺伝子に対する遺伝子座特異的プローブとともに使用することにより、比率、例えば遺伝子/染色体比(例えば、PTEN/CEP10および/またはFGFR1/CEP8)を評価することが可能になる。キットはさらに(b)急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する患者を認定するための使用説明書を備えている。使用説明書は、該患者から採取した試料中の染色体異常の存在の判定を含む。この方法は、該試料をプローブセットとハイブリダイズ条件下で接触させること、ハイブリダイゼーション複合体をカウントすること、およびこの数を、あるカットオフ値範囲内のカットオフ値または本明細書に記載の特定のカットオフ値と比較することを含むものであり得る。例えば、(i)では、26以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)および/または26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、(ii)では、14以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)および/または10以上のERG 2+Edel%、(iii)では、8以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または20以上のPTENホモ接合性減少%、(iv)では、30以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、20以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または20以上のMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)、または(v)では、30以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、20以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または10以上のMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す。使用説明書には、さらに、グリーソンスコア、腫瘍ステージ分類、前立腺特異抗原(PSA)レベル、ノモグラム、メチル化状態、変異および患者の年齢からなる群より選択される臨床パラメータを取得するための使用説明書が含まれ得、該臨床パラメータのうちのいずれかが、予後判定のために染色体異常の存在の判定と組み合わされ得る。
また別の実施形態では、キットは(a)プローブセットを備えており、該プローブセットが(i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブからなる検出可能に標識されたプローブセット、(ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、(iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または(v)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセットである。セット(i)がさらに、8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよび/または前述の遺伝子のいずれかと同じ経路に関与している1つ以上の遺伝子に対する1種類以上のプローブからなるものであり得るか、または(ii)から(v)のいずれかのセットがさらに8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよび/または前述の遺伝子のいずれかと同じ経路に関与している1つ以上の遺伝子に対する1種類以上のプローブを含むものであってもよい。所望により、染色体計数プローブを同じ染色体上に存在する遺伝子に対する遺伝子座特異的プローブとともに使用することにより、比率、例えば遺伝子/染色体比(例えば、PTEN/CEP10および/またはFGFR1/CEP8)を評価することが可能になる。キットはさらに(b)緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を認定するための使用説明書を備えている。使用説明書は、該患者から採取した試料中の染色体異常の存在の判定を含む。この方法は、該試料をプローブセットとハイブリダイズ条件下で接触させること、ハイブリダイゼーション複合体をカウントすること、およびこの数を、あるカットオフ値範囲内のカットオフ値または本明細書に記載の特定のカットオフ値と比較することを含むものであり得る。例えば、(i)では、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)および/または10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、(ii)では、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)および/または2以上のERG 2+Edel%、(iii)では、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または20以上のPTENホモ接合性減少%、(iv)では、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、18以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、2以上のERG 2+Edel%および/または20以上のMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)、または(v)では、30以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、20以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、2以上のERG 2+Edel%および/または3以上のMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示し、前述のいずれでもないことは該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有することを示す。使用説明書には、さらに、グリーソンスコア、腫瘍ステージ分類、前立腺特異抗原(PSA)レベル、ノモグラム、メチル化状態、変異および患者の年齢からなる群より選択される臨床パラメータを取得するための使用説明書が含まれ得、該臨床パラメータのうちのいずれかが、予後判定のために染色体異常の存在の判定と組み合わされ得る。
上記のキットは、さらに、1種類より多くの試薬、例えば、DAPI 1対比染色試薬、前処理SSCバッファー(例えば、1×SSC(pH7.0))、プロテアーゼバッファー(例えば、0.1N HCl)、プロテアーゼIV(例えば、粉末形態などのペプシン(75mg/チューブ))、ハイブリダイゼーション後洗浄バッファー(例えば、2×SSC,0.3%NP−40)などを備えていてもよい。
以下の実施例は、本発明の実例を示すために提供する。本実施例は、請求項に記載の発明の範囲をなんら限定することを意図するものではない。
[実施例1]
この実施例では、前立腺がん試料の評価における、多色の蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を用いた種々のプローブおよびこの組み合わせの評価を記載する。
前立腺の腺癌を有する患者由来の合計52例のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)根治的前立腺摘除術検体を、RUSH Medical Center,Chicago,ILにおいて収集した。この52例の検体のうち、32例は、15年以内に進行した患者から採取されたものであった。この32例の検体のうち、7例は、無病にならなかった患者から採取されたものであり、4例は、前立腺癌で死亡した患者から採取されたものであった。残りの20例の検体は、8.2から15.0年の追跡期間中、進行しなかった患者から採取されたものであった。
検体はすべて、14種類のプローブを用いて評価した。プローブはPTEN、NKX3.1、P27(CDKN1B)、CEP10、CMYC、AURKA、ERG Cen(セントロメアプローブ)、ERG Tel(テロメアプローブ)、ETV1 Tel(テロメアプローブ)、ETV1 Cen(セントロメアプローブ)、MDM2、MYCN、FGFR1およびCEP8であった。プローブは、表1に示すセットで試験した。プローブはすべて、Abbott Molecular,Inc.(Des Plaines,IL)で製造されたものであり、この製造業者から入手可能である。
Figure 0006683633
FFPE検体スライドは、それぞれのヘマトキシリン・エオシン染色(H&E染色)スライドの10枚連続切片の中から、FISHでのプローブの評価のために選択した。この選択により、組織病理学検査によって評価される領域とFISHによって評価される領域間の隔離を最小限に確保できた。H&E染色切片は病理医が検査した。可能な限り最大の腫瘍領域に印を付けた、即ち丸で囲んだ。FISHでのプローブの評価のために選択した検体スライド上の対応領域に、ガラススクライブで印を付けた。
FFPE検体スライドを60℃で2から24時間焼成し、次いで、Hemo−De(R)(Scientific Safety Solvents,Keller,TX)で3回、各回5分間、室温で処理し、100%エタノールで2回、各回1分間、室温ですすぎ洗浄した。スライドを前処理溶液(1×SSC(生理食塩水−クエン酸ナトリウム),pH7.0)中で80℃にて35分間インキュベートし、脱イオン水中で3分間すすぎ洗浄し、0.15%ペプシン含有0.1N HCl溶液中で37℃にて20から22分間インキュベートし、再度、脱イオン水中で3分間すすぎ洗浄した。次いでスライドを、70%、85%および100%エタノール中で各々1分間、水分除去し、風乾した。
プローブセット(表1に表示のとおり)、ブロッキングDNA、およびLSI/WCP Hybridization Buffer(Abbott Molecular,Inc.)を含む10マイクロリットルのハイブリダイゼーション混合物を検体スライドに添加し、カバースリップを被せ、ラバーセメントで密封した。スライドとプローブを73℃で5分間、共変性させ、ハイブリダイゼーションを37℃でThermoBrite(R)ハイブリダイゼーションプラットフォーム(Abbott Molecular,Inc.)において16から24時間行った。ハイブリダイゼーション後、スライドを1×SSC溶液(pH7.0)中に2から5分間浸漬させ、即座に2×SSC/0.3%NP−40中で73℃にて3分間および1×SSC溶液(pH7.0)中で室温にて1分間、洗浄することによりカバースリップを取り除いた。次いでスライドを暗所で乾燥させた。10マイクロリットルの4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール対比染色試薬/退色防止液(DAPI 1;Abbott Molecular,Inc.)を検体に添加し、顕微鏡検査のために検体にカバースリップを被せた。
スクライブで印を付けた腫瘍領域内の幾つかの視野を、表1に示した各プローブセットと個々にハイブリダイゼーションを行ったスライド上で評価した。細胞(50から100個)を、所与のセット内の各プローブに対する蛍光シグナルの数について計数した。ERGおよびETV1ブレークアパートプローブについて、考えられ得るすべての再編成パターンおよびコピー数変化を収集し、記録した。
以下のFISH異常パラメータ:
ERGブレークアパートプローブ(BAP)(単一赤色のシグナル数≧1)、
ERG 2+Edel(単一赤色のシグナル数−単一緑色のシグナル数≧2)、
PTEN減少(シグナル≦1の細胞の%/検体)、
PTEN/CEP10減少(比率<1の細胞の%/検体)、
ETV1 BAP(単一赤色のシグナル数≧1)、
NKX3.1減少(シグナル≦1の細胞の%/検体)、
CMYC増加(シグナル>2の細胞の%/検体)、
AURKA増加(シグナル>2の細胞の%/検体)、
MYCN増加(シグナル>2の細胞の%/検体)、
P27減少(シグナル≦1の細胞の%/検体)、
MDM2増加(シグナル>2の細胞の%/検体)、
FGFR1増加(シグナル>2の細胞の%/検体)、
FGFR1減少(シグナル≦1の細胞の%/検体)、
CEP8増加(シグナル>2の細胞の%/検体)、
CEP8減少(シグナル≦1の細胞の%/検体)、
FGFR1/CEP8増加(比率>1の細胞の%/検体)、および
FGFR1/CEP8減少(比率<1の細胞の%/検体)
を計算した。
FISH異常パラメータを、受信者操作特性(ROC)解析および生存率解析(COX比例ハザードモデル)を用いて体系的に分析し、候補プローブおよびこの組み合わせを選択して優先順位を決めた。患者は15年間追跡した。15年間を超える進行を示した患者の処置は15年で打ち切った。疾患の転帰は「進行」とし、これには疾患再発と病死(DOD)を転帰として含めた。感度と特異度を最大にするため(曲線下面積(AUC))、ROC解析により、15年以内に進行した患者(感度)と、15年以内に進行しなかった対照患者(特異度)を識別した。生存率解析を使用し、「FISH陽性患者/FISH陰性患者における疾患進行の尤度」であるハザード比(HR)を求めた。各FISH異常パラメータについて、最大特異度を、選択したカットオフ値(1つまたは複数)に基づいて最適化し、積極的/補助処置の患者を選択した(この試験では、最良の「陽性予測値」を得るために患者を最大特異度で選択した。)。特異度が少なくとも50%である最大感度を、選択したカットオフ値(1つまたは複数)に基づいて最適化し、緩徐進行型腫瘍を有する患者を観測のために選択した(この試験では、最良の「陰性予測値」を得るために患者を最大感度で選択した。)。
ROC解析と生存率解析を使用し、表2の異常FISHパラメータを、疾患進行の高いリスクを有する患者とp<0.05で疾患進行の低リスクを有する患者との識別を補助する可能性を有すると認定した。カットオフ値は、ゲノム異常を含む細胞のパーセンテージベースにした。FISH陽性および陰性はカットオフの値に基づいて判断した。FISH陽性は、ゲノム異常を含む細胞のパーセンテージ≧カットオフ値と規定し、一方、FISH陰性は、ゲノム異常を含む細胞のパーセンテージ<カットオフ値と規定した。各カットオフ値は、COXモデルで考えられ得るすべてのカットオフ値(1から100%)をシミュレーションすることにより決定し、有意なp値を有するカットオフ値のみを二次ROC解析に含めてAUCを計算した。カットオフの値は最良のハザード比(HR)によって選択した。HRが1以上である場合、最大HRを選択し;HRが1未満である場合、最小HRを選択した。
Figure 0006683633
[実施例2]
この実施例では、カットオフ値6でのFGFR1増加のさらなる評価およびカットオフ値40でのFGFR1減少のさらなる評価を記載する。
カットオフ値6でのFGFR1増加をさらに評価し、図1に示す。図1はFGFR1増加のKM曲線(PFS(年)に対する生存確率)であり、log−ランクp値は0.0062である。データにより、FGFR1の増加または増幅を有する患者は進行(再発または死亡)が遅いことが示された。換言すると、FGFR1増加が陽性である患者はFGFR1増加が陰性である患者よりも低い進行の可能性を有する(ハザード比は0.303)。
カットオフ値40でのFGFR1減少をさらに評価し、図2に示す。図2はFGFR1減少のKM曲線(PFS(年)に対する生存確率)であり、log−ランクp値は0.0009である。データにより、FGFR1減少を有する患者は進行(再発または死亡)が早いことが示された。換言すると、FGFR1減少が陽性である患者はFGFR1減少が陰性である患者よりも高い進行の可能性を有する(ハザード比は4.163)。
[実施例3]
この実施例では、2つ、3つおよび4つの異常FISHパラメータの組み合わせのさらなる評価を記載する。
2つ、3つおよび4つの異常FISHパラメータの組み合わせを、ROC解析を用いて評価した。組み合わせのAUCランキングを表3に示す。異常FISHパラメータの組み合わせと単独の異常FISHパラメータ間のAUCによる解析の比較により、相補的なバイオマーカーのグループ分けによって最大性能が得られることが示された。
Figure 0006683633
[実施例4]
この実施例では、より急速進行型の疾患を有する患者を積極的および/または補助処置に選択する際の、異常FISHパラメータの組み合わせのさらなる評価を記載する。
より急速進行型の疾患を有する患者を積極的および/または補助処置に選択するために、種々の異常FISHパラメータの組み合わせをCOX解析およびROC解析を用いて評価した。最大の陽性予測値が得られるように最大特異度と許容範囲の感度を有する異常FISHパラメータの組み合わせを選択した。6つの組み合わせのCOX解析およびROC解析の結果を表4に示す。各カットオフ値は、まず、考えられ得るすべてのカットオフ値の組み合わせ(組み合わせ内の各パラメータについて)をシミュレーションすることにより決定した。カットオフ値は、ゲノム異常を含む細胞のパーセンテージベースにした。FISH陽性および陰性はカットオフの値に基づいて判断した。FISH陽性は、組み合わせ内のいずれかのパラメータが陽性であることと規定し、一方、FISH陰性は、組み合わせ内のすべてのFISHパラメータが陰性であることと規定した。COXモデルを各カットオフ値の組み合わせに適用した。有意なp値を有するカットオフ値の組み合わせのみを二次ROC解析に含めた。次いで、カットオフの値をROCから決定した。
Figure 0006683633
Figure 0006683633
CMYC増加、ERG 2+EdelおよびFGFR1減少の組み合わせをさらに評価し、図3に示す。図3は、CMYC増加、ERG 2+EdelおよびFGFR1減少のKM曲線(PFS(年)に対する生存確率)であり、log−ランクp値は0.0001である。
高/低リスク(即ち、FISH陽性/FISH陰性)による予後判定の解析のデータを表5に示す。高い特異度(95.00%)、許容範囲の感度(53.13%)および3.92のハザード比で、CMYC増加、ERG 2+EdelおよびFGFR1減少の組み合わせにより、FISH陽性である患者は、FISH陰性である患者よりも大きな進行の可能性を有し、進行が速いことが示された。この異常FISHパラメータの組み合わせにより、高リスク(再発またはDOD)群を低リスク(緩徐進行型)群と分けることができ、患者および医師が緊急処置を求める判断を補助することができた。
Figure 0006683633
[実施例5]
この実施例では、観測対象の低急速進行型(緩徐進行型)腫瘍を有する患者の認定における、異常FISHパラメータの組み合わせのさらなる評価を記載する。
低急速進行型(緩徐進行型)腫瘍を有する患者を観測に選択するために、種々の異常FISHパラメータの組み合わせを、COX解析およびROC解析を用いて評価した。最大の陰性予測値が得られるように最大感度と少なくとも50%の特異度を有する異常FISHパラメータの組み合わせを選択した。6つの組み合わせのCOX解析およびROC解析の結果を表6に示す。各カットオフ値は、まず、考えられ得るすべてのカットオフ値の組み合わせ(組み合わせ内の各パラメータについて)をシミュレーションすることにより決定した。カットオフ値は、ゲノム異常を含む細胞のパーセンテージベースにした。FISH陽性および陰性はカットオフの値に基づいて判断した。FISH陽性は、組み合わせ内のいずれかのパラメータが陽性であることと規定し、一方、FISH陰性は、組み合わせ内のすべてのFISHパラメータが陰性であることと規定した。COXモデルを各カットオフ値の組み合わせに適用した。有意なp値を有するカットオフ値の組み合わせのみを二次ROC解析に含めた。次いで、カットオフの値をROCから決定した。
Figure 0006683633
Figure 0006683633
CMYC増加、ERG 2+Edel、FGFR1減少およびPTENのホモ接合性の組み合わせをさらに評価し、図4に示す。図4は、CMYC増加、ERG 2+Edel、FGFR1減少およびPTENのホモ接合性のKM曲線(PFS(年)に対する生存確率)であり、log−ランクp値は0.0048である。
高/低リスク(即ち、FISH陽性/FISH陰性)による予後判定の解析のデータを表7に示す。高感度(90.60%)、許容範囲の感度(50.00%)および4.65のハザード比で、CMYC増加、ERG 2+Edel、FGFR1減少およびPTENホモ接合性減少の組み合わせにより、FISH陽性である患者は、FISH陰性である患者よりも大きな進行の可能性を有し、進行が速いことが示された。より重要なことには、この異常FISHパラメータの組み合わせはまた、FISH陰性である患者(13人のうち10人の患者が追跡15年間の間、無増悪であった,図4のKM曲線(上側の線)に示す。)は、より長期間の無増悪期間を有することが期待されると予測できる可能性も有する。このプローブの組み合わせにより、低リスク(緩徐進行型)を高リスク(再発またはDOD)群と分けることができ、FISHデータが陰性である場合、患者および医師が安心して積極的監視療法(AS)を選択する判断を補助することができた。
Figure 0006683633
[実施例6]
この実施例では、他の臨床パラメータ(グリーソンスコアなど)を異常FISHパラメータの組み合わせの解析に加えることにより、疾患進行の予測がどのように改善され得るかを記載する。
異常FISHパラメータの組み合わせ、例えば、表3またはより具体的には表4または表6に示す組み合わせセットのうちの1つの解析を、1つより多くの他の臨床パラメータ、例えば、グリーソンスコア、腫瘍ステージ分類、前立腺特異抗原(PSA)、患者の年齢などと組み合わせて疾患進行を予測することができる。1−特異度(偽陽性)に対する感度(真陽性)のグラフであるROC曲線である図5Aから5Cに示されるように、4つの異常FISHパラメータの特定の組み合わせにより、グリーソンスコアに値の増大がもたらされた。図5Aは、グリーソンスコア単独でのAUCを示し、一方、図5Bは、CMYC増加、ERG 2+Edel、FGFR1減少およびPTENホモ接合性減少の異常FISHパラメータの組み合わせでのAUCを示し、図5Cは、グリーソンスコアと、CMYC増加、ERG 2+Edel、FGFR1減少およびPTENホモ接合性減少の異常FISHパラメータの組み合わせとでのAUCを示す。
本明細書において挙げた特許、特許出願公開公報、雑誌の論文、教本および他の刊行物はすべて、本開示が関連する当業者の技術水準を示すものである。かかる刊行物はすべて、参照により、あたかも個々の各刊行物が具体的に個々に参照により組み込まれて示されているのと同程度に、本明細書に組み込まれる。
本明細書において例示的に説明した本発明は、本明細書に具体的に開示していない要素または限定(あれば)がない状態で適切に実施され得る。従って、例えば、用語「を含む(comprising)」、「本質的に…からなる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」のいずれかの本明細書における各例は、その他の2つの用語のいずれかで置き換えられ得る。同様に、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「この(the)」は、本文中にそうでないことを明示していない限り、複数の言及を包含している。従って、例えば、「この方法(the method)」に対する言及は1つもしくはこれより多くの方法および/または本明細書に記載の、および/または当業者が本開示を読むと自明になる型の工程を包含している。
使用した用語および表現は説明用語として用いており、限定用語として用いているのではない。これに関連して、特定の用語を「定義」で定義しており、「詳細説明」の別の箇所では別の様式で定義、説明または論考されている場合、かかる定義、説明および論考はすべて、かかる用語に帰属されることを意図する。また、かかる用語および表現の使用において、図示および説明した特長またはこの一部の任意の均等物を排除する意図はない。さらに、小見出し(例えば、「定義」)を「詳細説明」において使用しているが、かかる使用は、単に参照し易いようにするためであって、あるセクションにおいて行った任意の開示をこのセクションのみに限定することを意図するものではない;そうではなく、1つの小見出しで行った任意の開示は、他の1つ1つの小見出しでの開示を構成することを意図する。
請求項に記載の発明の範囲内で種々の修正が可能であることは認識されよう。従って、本発明を好ましい実施形態およびオプションの特長に関して具体的に開示したが、当業者により、本明細書に開示した思想の修正および変形が行われ得ることは理解されよう。かかる修正および変形は、本明細書の請求項に記載の発明の範囲に含まれるとみなす。
完全にする理由で、本発明の種々の態様を、以下の番号付けしたクローズ(clause)に示す:
クローズ1.急速進行型前立腺腺癌を有する患者と緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を区別する方法であって:
(a)患者由来の試料を:
(i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブからなる検出可能に標識されたプローブセット、
(ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(v)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(vi)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(vii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(viii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブおよび8番染色体に対する染色体計数プローブ(CEP8)を含む検出可能に標識されたプローブセット、
(ix)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(x)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xi)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xiii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xiv)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xv)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xvi)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xvii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
(xviii)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット
とハイブリダイズ条件下で接触させること、
ここで、(i)から(vi)、(viii)、(xi)、(xiv)、(xv)および(xvii)のセットの該FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを使用してFGFR1減少%を測定し、
(vii)、(ix)のセットの該FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1減少%の代わりとして(xiv)の該FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを使用してFGFR1増加%を測定し、
(ix)から(xiv)、(xvi)および(xviii)のセットのCEP8を使用してCEP8の減少%を測定し、
(iii)および(viii)のセットの該PTENに対する遺伝子座特異的プローブを使用してPTENのホモ接合性減少%を測定し、
(xvi)のセットの該PTENに対する遺伝子座特異的プローブを使用してPTEN減少%を測定し、および
(viii)のセットの該FGFR1およびCEP8に対する遺伝子座特異的プローブならびにFGFR1増加%の代わりとして(ix)の該FGFR1およびCEP8に対する遺伝子座特異的プローブを使用してFGFR1/CEP8比減少%を測定し、ならびに
(b)該試料中の染色体異常の存在を判定すること
を含み、
ここで、2以上から30以下のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、
15以上から40以下のFGFR1減少%(減少%はFGFRコピー数<2の細胞の%である。)、
2以上から46以下のFGFR1増加%(増加%はFGFRコピー数>2の細胞の%である。)、
21以上から36以下のCEP8減少%(減少%はCEP8コピー数<2の細胞の%である。)、
15以上から40以下のCEP8増加%(増加%はCEP8コピー数>2の細胞の%である。)、
13以上から72以下のFGFR1/CEP8減少%、
2以上および40以下のPTENホモ接合性減少%(ホモ接合性減少%はPTENコピー数がゼロの細胞の%である。)、
10以上から50以下のPTEN減少%(減少%はPTENコピー数が2未満の細胞の%である。)、
1以上から30以下のERG 2+Edel、
2以上から30以下のMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)、
2以上から20以下のMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)、
10以上から50以下のNKX3.1減少%(減少%はNKX3.1コピー数<2の細胞の%である。)、
1以上から20以下のETV1転座/欠失%、
10以上から50以下のP27減少%(減少%はP27コピー数<2の細胞の%である。)、または
1以上から20以下のAURKA増加%(増加%はAURKAコピー数>2の細胞の%である。)
は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示し、
一方、上記のいずれでもないことは該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有することを示し、
これにより、急速進行型前立腺腺癌を有する患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者と区別される
方法。
クローズ2.患者が前立腺摘除術を受けたことがある場合、試料中の染色体異常の存在の判定は、該患者が再発または転移の高いリスクを有することを示す、クローズ1の方法。
クローズ3.さらに、患者が担当医師に、再発または転移を抑止または予防するための緊急処置について相談することを推奨することを含む、クローズ2の方法。
クローズ4.患者が前立腺がんを有しており/前立腺がんと初期診断されており、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する場合、さらに、該患者が担当医師に緊急処置について相談することを推奨することを含む、クローズ1の方法。
クローズ5.患者が前立腺がんを有しており/前立腺がんと初期診断されており、該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有する場合、さらに、積極的監視療法または注意深い経過観察を推奨することを含む、クローズ1の方法。
クローズ6.急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する患者を認定する方法であって:
(a)患者由来の試料を:
(i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブからなる検出可能に標識されたプローブセット、
(ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
(v)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット
とハイブリダイズ条件下で接触させること、ならびに
(b)該試料中の染色体異常の存在を判定すること
を含み、
ここで、(i)では、26以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)および/または26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、
(ii)では、14以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)および/または10以上のERG 2+Edel%、
(iii)では、8以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または20以上のPTENホモ接合性減少%、
(iv)では、30以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、20以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または20以上のMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)、または
(v)では、30以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、20以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または10以上のMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)
は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示し、これにより、急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する患者が認定される
方法。
クローズ7.(i)がさらに、8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブおよび/またはETV1に対するブレークアパートプローブからなるか、または(ii)から(v)のいずれかがさらに8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブおよび/またはETV1に対するブレークアパートプローブを含む、クローズ6の方法。
クローズ8.さらに、グリーソンスコア、腫瘍ステージ分類、前立腺特異抗原(PSA)レベル、ノモグラム、メチル化状態、変異および患者の年齢からなる群より選択される臨床パラメータを取得することを含み、該臨床パラメータのうちのいずれかが、予後判定のために染色体異常の存在の判定と組み合わされ得る、クローズ6または7の方法。
クローズ9.
(a)患者由来の試料を、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセットと、ハイブリダイズ条件下で接触させること、ならびに
(b)該試料中の染色体異常の存在を判定すること
を含み、
ここで、14以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、26以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)および10以上のERG 2+Edel%のうちの1つ以上は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す、
クローズ6から8のいずれかの方法。
クローズ10.緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者の認定方法であって:
(a)患者由来の試料を:
(i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブからなる検出可能に標識されたプローブセット、
(ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
(v)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
とハイブリダイズ条件下で接触させること、ならびに
(b)該試料中の染色体異常の存在を判定すること
を含み、
ここで、(i)では、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)および/または10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、
(ii)では、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)および/または2以上のERG 2+Edel%、
(iii)では、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、10以上のERG 2+Edel%および/または20以上のPTENホモ接合性減少%、
(iv)では、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、18以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、2以上のERG 2+Edel%および/または20以上のMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)、または
(v)では、30以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、20以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、2以上のERG 2+Edel%および/または3以上のMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)
は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示し、前述のいずれでもないことは該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有することを示し、
これにより、緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者が認定される、
方法。
クローズ11.(i)がさらに、8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブおよび/またはETV1に対するブレークアパートプローブからなるか、または(ii)から(v)のいずれかがさらに8番染色体に対する染色体計数プローブ、10番染色体に対する染色体計数プローブ、AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、P27に対する遺伝子座特異的プローブおよび/またはETV1に対するブレークアパートプローブを含む、クローズ10の方法。
クローズ12.さらに、グリーソンスコア、腫瘍ステージ分類、PSAレベル、ノモグラム、メチル化状態、変異および患者の年齢からなる群より選択される臨床パラメータを取得することを含み、該臨床パラメータのうちのいずれかが、予後判定のために染色体異常の存在の判定と組み合わされ得る、クローズ10または11の方法。
クローズ13.
(a)患者由来の試料を、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセットと、ハイブリダイズ条件下で接触させること、ならびに
(b)該試料中の染色体異常の存在を判定すること
を含み、
ここで、2以上のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、10以上のFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、20以上のPTENホモ接合性減少%および10以上のERG 2+Edel%のうちの1つ以上は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示し、前述のいずれでもないことは該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有することを示す、
クローズ10から12のいずれかの方法。
クローズ14.
(i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブからなる検出可能に標識されたプローブセット、
(ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブおよび8番染色体に対する染色体計数プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(v)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(vi)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(vii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(viii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(ix)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(x)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xi)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
(xiii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
(xiv)AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット
である検出可能に標識されたプローブセット。
クローズ15.さらに、8番染色体に対する検出可能に標識された染色体計数プローブ、10番染色体に対する検出可能に標識された染色体計数プローブ、AURKAに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、P27に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブおよび/またはETV1に対する検出可能に標識されたブレークアパートプローブを含む、クローズ14のプローブセット。
クローズ16.MYCに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブおよびERGに対する検出可能に標識されたブレークアパートプローブを含むプローブセット。
クローズ17.さらに、PTENに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブを含む、クローズ16のプローブセット。
クローズ18.さらに、MYCNに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブを含む、クローズ16のプローブセット。
クローズ19.さらに、MDM2に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブを含む、クローズ16のプローブセット。
クローズ20.さらに、8番染色体に対する検出可能に標識された染色体計数プローブ、10番染色体に対する検出可能に標識された染色体計数プローブ、AURKAに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、NKX3.1に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、P27に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブおよび/またはETV1に対する検出可能に標識されたブレークアパートプローブを含む、クローズ16から19のいずれかのプローブセット。
クローズ21.プローブセットおよび使用説明書を備えた、クローズ1から5のいずれかに記載の方法を実施するためのキット。
クローズ22.プローブセットおよび使用説明書を備えた、クローズ6から8のいずれかに記載の方法を実施するためのキット。
クローズ23.
(a)急速進行型前立腺腺癌を有する患者の認定を可能にするプローブセットであって、MYCに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブおよびERGに対する検出可能に標識されたブレークアパートプローブを含むものである、プローブセットならびに
(b)急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有する患者を認定するための使用説明書であって、該患者から採取した試料中の染色体異常の存在の判定を含む、使用説明書
を備えており、
ここで、14より大きいMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、26より大きいFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)および10より大きいERG 2+Edel%のうちの1つ以上は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示す、
クローズ22のキット。
クローズ24.プローブセットおよび使用説明書を備えた、クローズ10から12のいずれかに記載の方法を実施するためのキット。
クローズ25.
(a)緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者の認定を可能にするプローブセットであって、MYCに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブ、ERGに対する検出可能に標識されたブレークアパートプローブおよびPTENに対する検出可能に標識された遺伝子座特異的プローブを含むものである、プローブセットならびに
(b)緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を認定するための使用説明書であって、該患者から採取した試料中の染色体異常の存在の判定を含む、使用説明書
を備えており、
ここで、2より大きいMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、10より大きいFGFR1減少%(減少%はFGFR1コピー数<2の細胞の%である。)、20より大きいPTENホモ接合性減少%および10より大きいERG 2+Edel%のうちの1つ以上は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示し、前述のいずれでもないことは該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有することを示す、
クローズ24のキット。

Claims (6)

  1. 急速進行型前立腺腺癌を有する患者と緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を区別する方法であって、以下の(a)および(b)を含む方法:
    (a)患者由来の試料を以下の検出可能に標識されたプローブセットの1つとハイブリダイズ条件下で接触させること:
    (i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
    (ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
    (iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
    (iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
    (v)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
    (vi)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
    (vii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブおよび8番染色体に対する染色体計数プローブ(CEP8)を含む検出可能に標識されたプローブセット、
    (viii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット
    (ix)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、
    )AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、または
    xi)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブを含む検出可能に標識されたプローブセット、および
    (b)該試料中の染色体異常の存在を判定すること
    を含み、
    ここで、(1)前記(i)〜(xi)のいずれかのセットを使用して検出された、2以上から30以下のMYC増加%(増加%はMYCコピー数>2の細胞の%である。)、
    (2)前記(i)〜(v)、(vii)または(ix)〜(xi)のいずれかのセットを使用して検出された、15以上から40以下のFGFR1減少%(減少%はFGFRコピー数<2の細胞の%である。)、
    (3)前記(vi)および/または(viii)のセットを使用して検出された、2以上から46以下のFGFR1増加%(増加%はFGFRコピー数>2の細胞の%である。)、
    (4)前記(viii)および/または(ix)のセットを使用して検出された、21以上から36以下のCEP8減少%(減少%はCEP8コピー数<2の細胞の%である。)、
    前記(vii)のセットを使用して検出された、13以上から72以下のFGFR1/CEP8減少%、
    前記(ii)および/または(vii)のセットを使用して検出された、2以上および40以下のPTENホモ接合性減少%(ホモ接合性減少%はPTENコピー数がゼロの細胞の%である。)、
    前記(i)〜(v)、(viii)、(x)または(xi)のいずれかのセットを使用して検出された、1以上から30以下のERG 2+Edel、
    (8)前記(iii)のセットを使用して検出された、2以上から30以下のMYCN増加%(増加%はMYCNコピー数>2の細胞の%である。)、
    前記(iv)のセットを使用して検出された、2以上から20以下のMDM2増加%(増加%はMDM2コピー数>2の細胞の%である。)、
    10前記(v)のセットを使用して検出された、10以上から50以下のNKX3.1減少%(減少%はNKX3.1コピー数<2の細胞の%である。)、
    11前記(vi)および/または(xi)のセットを使用して検出された、10以上から50以下のP27減少%(減少%はP27コピー数<2の細胞の%である。)、および/または
    12前記(x)のセットを使用して検出された、1以上から20以下のAURKA増加%(増加%はAURKAコピー数>2の細胞の%である。)
    は、該患者が急速進行型前立腺腺癌を発症する高いリスクを有することを示し、
    上記の(1)から(12)のいずれでもないことは該患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有することを示し、
    これにより、急速進行型前立腺腺癌を有する患者が緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者と区別される、
    方法。
  2. 患者が前立腺摘除術を受けたことがある場合、試料中の染色体異常の存在の判定は、該患者が再発または転移の高いリスクを有することを示す、請求項1に記載の方法。
  3. さらに、グリーソンスコア、腫瘍ステージ分類、前立腺特異抗原(PSA)レベル、ノモグラム、メチル化状態、変異および患者の年齢から選択される臨床パラメータを取得することを含み、該臨床パラメータのうちのいずれかが、予後判定のために染色体異常の存在の判定と組み合わされ得る、請求項1または2に記載の方法。
  4. 以下から選択される検出可能に標識されたプローブセット:
    (i)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブ、
    (ii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびPTENに対する遺伝子座特異的プローブ、
    (iii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMYCNに対する遺伝子座特異的プローブ、
    (iv)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびMDM2に対する遺伝子座特異的プローブ、
    (v)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびNKX3.1に対する遺伝子座特異的プローブ、
    (vi)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、およびP27に対する遺伝子座特異的プローブ、
    (vii)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、PTENに対する遺伝子座特異的プローブおよび8番染色体に対する染色体計数プローブ(CEP8)、
    (viii)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ
    (ix)8番染色体に対する染色体計数プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ETV1に対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、
    )AURKAに対する遺伝子座特異的プローブ、MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブ、および
    xi)MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、ERGに対するブレークアパートプローブおよびFGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびP27に対する遺伝子座特異的プローブ。
  5. MYCに対する遺伝子座特異的プローブ、FGFR1に対する遺伝子座特異的プローブおよびERGに対するブレークアパートプローブを含む、請求項4に記載のプローブセット。
  6. 急速進行型前立腺腺癌を有する患者と緩徐進行型前立腺腺癌を有する患者を区別するための、請求項4または5に記載のプローブセットおよび使用説明書を含む、キット。
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