本発明の一実施形態について以下に説明する。
本実施の形態では、本発明の画像形成装置の一例として、複写機、スキャナ、プリンタなどの機能を備えた複合機を挙げて説明する。図2には、本実施の形態にかかる複合機1の構成を示す。図2に示す複合機1は、大きく分けて、自動原稿搬送装置210、画像形成部100、画像読取部(読取手段)200、および、給紙デスク装置20から構成されている。
本実施形態においては、複合機1の上部に画像読取部200が配置され、画像読取部200の上面に透明ガラスからなる原稿台209が設けられている。原稿台209の上に、自動原稿搬送装置210が備えられている。また、画像読取部200の下部に画像形成部100が配置され、さらに画像形成部100の下に給紙デスク装置20が備えられている。
自動原稿搬送装置210は、原稿セットトレイ211上にセットされた複数枚のシート(原稿)を1枚ずつ自動的に原稿台209上へ搬送する装置である。
画像読取部200は、原稿台209上に載置されたシートの画像を走査して読み取る装置である。本実施形態の画像読取部200は、カラー読取手段である。画像読取部200は、原稿台209の下方に、第1の走査ユニット201・第2の走査ユニット202、光学レンズ203、および光電変換素子であるCCDラインセンサ204を有している。
第1の走査ユニット201は、シート面上を露光する露光ランプ205と、シートからの反射光像を所定の方向に反射させる第1ミラー206等から構成されている。第2の走査ユニット202は、第1の走査ユニット201の第1ミラー206から反射されてくるシートからの反射光を光電変換素子であるCCDラインセンサ204に導く第2ミラー207および第3ミラー208より構成されている。光学レンズ203は、原稿からの反射光をCCDラインセンサ204上に結像させる。CCDラインセンサ204は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3ラインのイメージセンサを用いており、3色に分解して画像を読み取れるようになっている。
また、画像読取部200は、自動原稿搬送装置210との関連した動作により、自動原稿搬送装置210にて自動搬送される原稿の画像を読取り、画像データとして(図3に図示した)画像データ入力部510へと送られ、画像データに対して所定の画像処理が画像処理部511にて施された後、画像処理部511のメモリ512に一旦記憶され、出力指示に応じてメモリ内の画像を読出して画像形成部100の画像書込み部11に転送される。
次に、画像形成部100の構成、および画像形成部100に関連する各部の構成について説明する。
画像形成部100は、画像読取部200で読み取った画像データ、あるいは、外部から伝達された画像データ応じて、種々のサイズのシート(記録用紙)に対して多色および単色の画像を形成するものである。そして、図2に示すように、露光ユニット10,現像器(現像部)2,感光体ドラム3,帯電器(帯電部)5,クリーナユニット4,転写搬送ベルトユニット8,定着ユニット(定着部)12と、用紙搬送路(搬送手段の一部)S,給紙トレイ(シート収容手段)19,排紙トレイ(シート積載部,請求項のシート積載装置)15,排紙トレイ33等より構成されている。
なお、本画像形成部100において扱われる画像データは、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、露光ユニット10(10a,10b,10c,10d),現像器2(2a,2b,2c,2d),感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d),帯電器5(5a,5b,5c,5d),クリーナユニット4(4a,4b,4c,3d)は各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれaがブラック(K)に、bがシアン(C)に、cがマゼンタ(M)に、dがイエロー(Y)に設定され4つの画像ステーションが構成されている。各画像形成ステーションを区別する必要がない場合には、以下では簡単のため、露光ユニット10、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5のように呼ぶ。
感光体ドラム3は、本画像形成装置のほぼ中心部に配置(装着)されている。
帯電器5は、感光体ドラムの表面を所定の電位に均一に帯電させるための、帯電手段であり、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器のほか、図に示すようにチャージャー型の帯電器が用いられる。露光ユニット10は、画像書込み部11を構成するものであり、発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッド(図示せず)や、レーザ照射部および反射ミラーを備えた、レーザスキャニングユニット(LSU)を用いる。そして帯電された感光体ドラム3を入力される画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有するものである。現像器2はそれぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を(K,C,M,Y)のトナーにより顕像化するものである。クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム上の表面に残留したトナーを、除去・回収するものである。
感光体ドラム3の下方に配置されている転写搬送ベルトユニット(搬送手段)8は、転写ベルト7,転写ベルト駆動ローラ71,転写ベルトテンションローラ72,転写ベルト従動ローラ73,転写ベルト支持ローラ74,転写ローラ(転写部)6(6a,6b,6c,6d)、および転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。
転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルトテンションローラ72、転写ローラ6、転写ベルト従動ローラ73,転写ベルト支持ローラ74等は、転写ベルト7を張架し、転写ベルト7を矢印B方向に回転駆動させるものである。
転写ローラ6は、転写ベルトユニットの内側のフレーム(図示せず)に回転可能に支持されており、感光体ドラム3のトナー像を、転写ベルト7上に吸着されて搬送されるシート(記録用紙)に転写するものである。
転写ベルト7は、それぞれの感光体ドラム3に接触するように設けられている、そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像をシートに順次的に重ねて転写することによって、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。この転写ベルトは、厚さ100μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
感光体ドラム3からシートへのトナー像の転写は、転写ベルト7の裏側に接触している転写ローラ6によって行われる。転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。転写ローラは、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面は、導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、記録紙(シート)に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施例では転写電極として転写ローラ6を使用しているが、それ以外にブラシなども用いられる。
このように、転写搬送ベルトユニット8の各部材が、感光体ドラム3からシートへトナー像を転写させる転写手段として機能する。転写手段の構成は、転写搬送ベルトユニット8に限るものではない。転写手段がベルトでない場合には、図1において、転写ベルト7として示す領域を、その代わりに、感光体ドラム3の展開図として考えることもできる。
また、感光体ドラム3との接触により転写ベルト7に付着したトナーは、記録紙の裏面を汚す原因となるために、転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収されるように設定されている。転写ベルトクリーニングユニット9には、転写ベルト7に接触する例えばクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する転写ベルト7は、裏側から転写ベルト支持ローラ74で支持されている。
給紙トレイ19は、画像形成に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、本画像形成部100の下側に設けられている。また、本画像形成部100の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのトレイであり、本画像形成装置の側部に設けられている排紙トレイ33は、画像形成済みのシートをフェイスアップで載置するためのトレイである。
また、本画像形成部100には、給紙トレイ19のシートを転写搬送ユニット8や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るための、Sの字形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ19から排紙トレイ15および排紙トレイ33までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16,レジストローラ14,定着ユニット12,搬送方向切換えゲート34,シートを搬送する搬送ローラ25等が配されている。
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための、小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16は、給紙トレイ19の端部に備えられ、給紙トレイ19から、シートを1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
搬送方向切換えゲート34は、側面カバー35に回転可能に設けられており、実線で示す状態から破線で示す状態にすることにより搬送路Sの途中からシートを分離し排紙トレイ33にシートを排出できるようになっている。実線で示す状態の場合には、シートは定着ユニット12と側面カバー35,搬送切換えガイド34の間に形成される搬送部S´(用紙搬送路Sの一部)を通り上部の排紙トレイ15に排出される。
また、レジストローラ14は、用紙搬送路Sを搬送されているシートをいったん保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像をシートに良好に多重転写できるように、感光体ドラム3の回転にあわせて、シートをタイミングよく搬送する機能を有している。
すなわち、レジストローラ14は、図示しないレジストセンサの出力した検知信号に基づいて、予め設定されたタイミングでレジストクラッチ(図3参照)を制御し各感光体ドラム3上のトナー像の先端をシートにおける画像形成範囲の先端に合わせるように、シートを搬送するように設定されている。
定着ユニット12は、ヒートローラ31,加圧ローラ32等を備えており、ヒートローラ31および加圧ローラ32は、シートを挟んで回転するようになっている。
また、ヒートローラ31は、図示しない温度検出器からの温度検出値に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ33とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。
なお、シートの排出先が排紙トレイ15に指定されている場合には、多色トナー像の定着後のシートは、搬送ローラ25…によって用紙搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態で(多色トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ15上に排出されるようになっている。画像処理基板300は、画像データに対して所定の処理を施す回路基板であり、制御回路基板400は画像形成プロセスを制御する回路基板であり、後述の制御部(制御手段)500に収容されている。
次に、給紙デスク装置20について説明する。給紙デスク装置20は、画像形成部100の給紙トレイ19の下方に備えられている。給紙デスク装置20は、3段の給紙トレイ(シート収容手段)20a〜20cを備えており、用紙搬送路Sを経由して、画像形成部100に用紙を供給できるようになっている。なお、本実施形態の複合機1は、給紙デスク装置20の構成に限らず、1段の給紙トレイを備えたものや、並行に2個のトレイを備えたタンデムトレイを備えたもの、あるいは単にデスクとして機能するもの等、ユーザの要望に応じて装着できるようになっている。
なお、本実施形態では、画像形成部100を多色の画像を形成する多色画像形成装置として説明するが、モノクロ(白黒)画像形成を行う画像形成装置でも本発明の一部を除く機能を実施可能であるものとする。また、複合機1として、自動原稿搬送装置210を備えたものについて説明しているが、これに限るものではなく、自動原稿搬送装置は装着されていなくてもよい。
また、複合機1は、複合機1の動作を制御するための制御部(制御手段)500を備えている。制御部500は、例えば画像形成部100における制御条件を調整する。
制御部500には、図3に示すように、定着部501、転写部502、現像部503、帯電部504、搬送手段505、パターン記憶部506、データ記憶部507、操作部(操作パネル)220、データ入出力部509、画像データ入力部(データ入力手段)510、画像処理部511、メモリ512、画像書込み部11が接続されており、制御部500はこれらを制御する。搬送手段505は、搬送モータ514、レジストクラッチ515から構成されている。また、操作部220内には、表示部(タッチパネル液晶表示装置)221が配置されている。
複合機1における画像形成の際の制御について説明する。定着部501、転写部502、現像部503、帯電部504、画像書込み部11には、それぞれ、定着ユニット12、転写ローラ6a〜6d、現像器2a〜2d、帯電器5a〜5d、露光ユニット10a〜10dと、それらの周辺機器とが含まれる。これらにより、シートに画像が記録される。それゆえ、画像書込み部11、定着部501、転写部502、現像部503、帯電部504をまとめて画像記録部(画像記録手段)520と呼ぶ。
制御部500は、帯電部504に対して、帯電器5a〜5dとしての帯電チャージャーのグリッドバイアス電圧を制御することで、感光体ドラム3a〜3dの表面電位を制御する。
制御部500は、画像書込み部11の光ビームパワーや書込みタイミング等の書込み動作の制御を行う。また、画像書込み部11(露光ユニット10)がELやLED書きこみヘッドの場合には、その光ビームパワーや書込みタイミング等の書込み動作の制御を行う。
制御部500は、現像部503に対して、現像器2a〜2dにおける現像ローラのバイアス電圧を制御して適正な現像が行われるよう制御する。制御部500は、転写部502に対して、図示しない転写用の高圧電源からの転写ローラ6a〜6dへの印加電圧の制御を行う。
制御部500は、定着部501(定着ユニット12)のヒートローラ31を、(図示しない)温度検出器からの温度検出値に基づいて、所定の定着温度となるように制御する。制御部500は、搬送手段505に対して、搬送モータ514およびレジストクラッチ515の動作の制御を行う。
また、複合機1においては、画像形成の調整を行うために、制御手段が以下の動作をする。制御部500は、パターン記憶部(記憶手段)506に対して、予め決められた調整画像データのパターンを記憶するよう制御する。制御部500は、データ記憶部507に対して、基準値を記憶するよう制御する。
また、複合機1は、装着されていない外部の画像読取用機器からの読み取り結果のデータ等を入力するためや、複合機に装着されている画像読取部200で読取った読み取り結果のデータ等を外部の機器へ出力するためのデータ入出力部509を備えている。
また、複合機1における読取動作は、以下のように制御される。画像読取部200は、図2で示した自動原稿搬送装置210との関連した動作により、自動原稿搬送装置210にて自動搬送される原稿の画像を読み取る。そして、読み取った画像を画像データとして図3に示す画像データ入力部510へと転送する。
制御部500は、画像データ入力部510に対して、画像読取部200で読み取られた画像データが、画像形成部100の画像処理部511に入力されるよう制御する。制御部500は、画像処理部511に対して、画像データ入力部510に入力された画像データに対して所定の画像処理を行うよう制御する。このようにして、画像データ入力部510に転送された画像データに対しては、画像処理部511にて所定の画像処理が施される。
制御部500は、メモリ512を制御して、画像処理部511で処理された画像データを一旦記憶するよう制御する。制御部500は、画像書込み部11に対して、露光ユニット10a〜10dのELやLED書きこみヘッド、レーザ照射部の光ビームパワーの制御を行う。これによって、画像処理が施された画像データはメモリ512に一旦記憶され、出力指示に応じてメモリ512内の画像データを読み出して画像書込み部11に転送される。
さらに、本実施の形態では、制御部500には演算部(演算手段)600が接続されている。演算部600は、画像読取部200でシートに形成された画像を読み取ることで得られる読取データから、シート対する画像の形成条件を補正する補正値を求めるものである。この演算部の動作については後述する。
また、複合機1は、複合機1のユーザインタフェースとしての操作部(操作パネル)220を、画像読取部200の位置に備えている。
操作パネル220には、図9に示すように、左部分には、表示部としてタッチパネル液晶表示装置(LCDと称呼する)221が配置されていて、その右側にテンキー231、スタートキー241、クリアキー251、および全解除キー261が配置されている。
このLCD221の画面上には、種々の画面が切換えられて表示される。これらの画面中では、種々の条件を設定するタッチキーが配置されており、タッチキーを指で直接押圧操作して、各種の条件設定(例えば白黒/カラーのモード選択,原稿の種類選択,自動/手動の選択,その他の特別な機能選択など)が可能になっている。また、操作のガイダンスや警告等もこのLCD221に表示される。付加画像(広告)等を付加するか否かの選択キーを画像形成装置側に設ける場合には、このLCD221にタッチキーとして設けるか、あるいはテンキーなどのように操作パネル220上にハードキーとして設ける。この場合、LCD221上にタッチキーとして設けることが好ましい。これにより本機能を画像形成部100に組込む場合にソフトウエアの追加で済み、画像形成部100を共通に使用できる。
また、LCD221とテンキー231の間には、本画像形成部100を有する複合機1が複合機として動作する時の機能を切換えるキーとして、プリンタキー271、ファクシミリ/イメージ送信キー281、コピーキー291、およびそれぞれの機能ごとに登録されているジョブ状況を確認するためのジョブキー311等が配置されている。
LCD221の右側に配置されたキー群のうち、テンキー231はLCD221画面における数値(複写枚数等)を入力するのに使用するキーであり、スタートキー241はそれぞれの処理モードでの画像形成動作や読取動作の開始を指示するためのキーである。クリアキー251はLCD221に表示される設定値をクリアしたり、画像形成動作など現在実行中の動作の中断を行ったりするキーであり、全解除キー261は、読取の条件や画像の形成条件等の設定をデフォルト値に戻すためのキーである。割込キー321は、実行中の画像形成動作などを一時中断して他の画像形成を許容するためのキーである。
なお、図9ではカラー画像形成モードが選択されている状態を表している。このときコピー濃度などの画像形成や読取時の濃度は自動的に原稿に応じて制御されるようになっている。
複合機1に入力される、画像形成動作や読取動作の開始の指示等を操作パネル220にて検出すると、制御部500は、画像形成部100の画像書込み部11や搬送手段505が動作するよう制御する。
続いて、複合機1において画像形成条件(つまり、形成される画像の倍率、位置など)を調整する方法について詳細に説明する。
本複合機1で使用可能な最大シートサイズはA3サイズ(297mm×420mm)とする。この場合、例えば、A4サイズ(210mm×297mm)や、B5サイズ(182mm×257mm)、B4サイズ(257mm×364mm)等のシートを用いて画像の形成条件を調整する補正値を求めることができる。
本複合機1において、画像の形成条件の調整を開始すると、まず、パターン記憶部506に記憶されている予め決められた調整画像データに基づいて、画像記録部520は、シート上に調整画像を形成する。
ここで、形成される調整画像の形状について詳細に説明する。
本願発明者は、本発明にかかる調整画像を見出す以前に、図12に示すような、シートNの外端部の全体に渡って形成される調整画像P’を形成し、シートのサイズを基準にして調整行うことで正しい調整が可能となることを見出した。しかしながら、このような調整画像を形成した場合、シート搬送方向先端の2つの角の部分(破線で区切った部分Q1・Q2)にも画像が形成されている(すなわち、現像剤が塗布されている)ため、定着部501に設けられたローラからシートを剥離しにくくなり、このローラにシートが巻きつくことによって、シートの搬送ジャムが発生しやすいという問題が生じた。
そこで、本願発明者は、調整画像の形状に工夫を加え、四角形状のシートの各辺に少なくとも一つずつ形成される部分画像からなる調整画像を考え出した。なお、この部分画像はシートからはみ出す領域を有しているとともに、シート搬送方向先端の角の部分には部分画像は形成されていない。
図1には、シートNに形成される調整画像の一例を示す。この調整画像Pは、本実施の形態にかかる複合機1内のパターン記憶部506に調整画像データとして記憶されているものである。
図1に示すように、調整画像Pは、長方形状のシートNの各辺上に一つずつ形成された部分画像p1,p2,p3,p4からなる。そして、この部分画像p1,p2,p3,p4は、シートの端部からはみ出す領域をそれぞれ有しているとともに、シートの各辺の略中央(より正確には一点鎖線で示す画像の中央線上)に位置している。なお、部分画像p1,p2,p3,p4は、シートNの各辺の付近にのみ形成されており、シートNの中央部には形成されていない。つまり、シートNの端部を取り囲む枠領域の一部に形成されている。また、部分画像p1,p2,p3,p4は、図1に示すように、転写ベルト7の画像形成領域K内に位置している。
そして、シートの対向する二辺上に形成されている2つの部分画像p1とp4、p2とp3は、それぞれ各二辺の中央線に対して対称となる位置に配置されている。これを言い換えると、シートの対向する二辺上に形成されている2つの部分画像p1とp4とを結ぶ線は、搬送方向D1と平行になり、シートの対向する二辺上に形成されている2つの部分画像p2とp3とを結ぶ線は、搬送方向D1と垂直、つまり、主走査方向D2と平行になっている。
これによって、部分画像p1とp4との距離、および、部分画像p2とp3との距離を演算部600で算出することによって、画像の形成条件を補正する補正値を容易に求めることができる。
なお、パターン記憶部506には、1つのサイズの調整画像だけを記憶させておいてもよく、複数のシートサイズに対応できるよう複数の調整画像を記憶させておいてもよい。
さらに、本実施形態では、図1に示すように、部分画像p1,p2,p3,p4の内側の搬送方向(副走査方向)D1先端側に片寄った位置に、画像の方向を示す長方形の方向マークMが形成されるように、調整画像データが記憶されている。これにより調整画像の形成されたシートを画像読取部200にセットする場合に、画像の方向を間違えることはない。
なお、視覚性を重視して矢印型の方向マークとしてもよいが、これによればパターン記憶部506でのデータ容量を多くとり、また画像読取部200でシートに形成された画像を読み取る際に、読取結果を判定するのが複雑になるので、本実施の形態のように、単純な長方形のマークにすることが好ましい。また、方向マークMを形成せずに、自動的に読取手段200にセットされたシートの向きを検出するような構成としてもよい。
また、画像形成部100で出力されたシートが原稿台209で大きく傾いて載置される場合も考えられるので、これを防ぐために、傾きの許容範囲を定めておき、読み取り時に許容値を越えた場合にはエラーを発生させ、その旨を操作部508の操作パネル220に表示させ、再度読み取りを行うように制御してもよい。この制御方法については、後で詳しく説明する。
データ記憶部507には、基準値が記憶されている。本実施の形態では、A4サイズのシートの縦・横の長さが基準値として記憶されており、このA4のサイズを基準として補正値を求めるようになっている。
図4には、シート上に形成された調整画像を示す。シートN上に形成された調整画像の各部分画像p1,p2,p3,p4において、シートの端部に位置する端部をそれぞれ外ポイントf1,f2,f3,f4とし、この外ポイントf1,f2,f3,f4と対向するシートの中央部側の端部をそれぞれg1,g2,g3,g4とする。なお、上記外ポイントは、あくまでもシート上に形成された調整画像の端部であり、調整画像自体の最も外側の端部とは異なるものである。
このとき、対向するf1・f4間の距離は、転写ベルト7におけるシートの搬送方向D1のシートの長さL1となる。また、対向するf2・f3間の距離は、シート搬送方向D1と垂直方向のシートの長さW0となる。また、対向するg1・g4間の距離はL3となり、対向するg2・g3間の距離はW3となる。
なお、A4サイズのシートを用いて調整を行う場合には、上記L0は210mmとなり、上記W0は297mmとなる。そして、調整画像の主走査方向の外側のサイズ(すなわち、図1に示す主走査方向D2の調整画像p1、p4のシートからはみ出ている外端部から外端部までの距離J1)は主走査方向に210mmを超え、有効画像形成幅以下のサイズ、例えば220mmや230mm等に形成されている。また、調整画像の主走査方向の外側のサイズ(すなわち、図1に示す副走査方向D1の調整画像p2、p3のシートからはみ出ている外端部から外端部までの距離J2)は、副走査方向に297mmを超える長さとなるように例えば307mmや317mm等に形成されている。ただし、あまり大きな画像サイズの場合には、調整の対象となる装置に特有のずれを実験などにより予め定めておいてもよい。このように、考えられる搬送ずれを考慮し充分余裕を待たせて形成できるように調整画像の画像データを作成しパターン記憶部506に記憶させておく。なお、シートのサイズごとや各サイズをグループ化させ各グループで共通の調整画像を用いれば、調整画像の画像データの記憶容量を減じることができる。
また、本実施の形態では、A4のシートを用いる場合、内ポイント同士の間隔L3は、210mmより充分小さな間隔とし、例えば180mm(−30mm)の間隔となるような画像データとしている。上記W3は、使用シートがA4の場合に、297mmより充分小さな間隔とし、例えば267mm(−30mm)の間隔となるような画像データとしている。しかしながら、本発明では必ずしもこれに限定する必要はない。
本実施の形態にかかる画像形成装置1では、画像読取部200でL3を読み取った結果から、搬送方向(副走査方向)長さを算出し、210mmと比較することによって、読取に使用した画像読取装置の副走査方向(D1)の倍率を求めることができる。また、W3を読み取った結果から主走査方向(D2)長さを算出し、297mmと比較することによって、同様に主走査方向の倍率を求めることができる。
なお、図4において、破線はシートの対向する二辺の中央線であり、一点鎖線は、調整画像が形成されている領域における対向する二辺の中央線である。
また、図4に示す調整画像では、シートの各辺に一つの部分画像(p1、p2、p3、p4)を有するものであったが、本発明にはこれに限定されず、シートの各辺につき複数個の部分画像が形成されるものであってもよい。
図5には、シートの各辺に部分画像をそれぞれ3個ずつ有する調整画像の例を示す。また、図13には、図3に示す調整画像を拡大して示す。
図5に示す調整画像P(p1〜p4)も、図4に示す調整画像と同様に、対向するf1・f4間の距離は、転写ベルト7におけるシートの搬送方向D1のシートの長さL1となる。また、対向するf2・f3間の距離は、シート搬送方向D1と垂直方向のシートの長さW0となる。そして、各外ポイントf1,f2,f3,f4を結んで得られる仮想枠(シートの端部に相当する)を、外仮想枠B1とする。また、各内ポイントg1,g2,g3,g4を結んで得られる仮想枠を内仮想枠B2(図13の二点鎖線で示す枠)とする。
図5において、破線はシートの対向する二辺の中央線であり、一点鎖線は、調整画像が形成されている領域における対向する二辺の中央線である。図5に示すように、シートの各辺に3個ずつ部分画像が形成されている場合には、一つの辺上に設けられた各部分画像間の距離(各部分画像の中央間の距離)は、該当する外仮想枠B1の長さ(L0あるいはW0)の約1/4(すなわち、約L0/4、あるいは、約W0/4)となるように配置されている。
このように、各辺につき複数個の部分画像が形成されていることで、演算部600では、検出された各外ポイントおよび内ポイントを平均化して補正値を求める(すなわち、調整画像が形成されている領域の端部の対向する二辺の中央線に対して対称となる位置に配置された各部分画像の外ポイント同士の距離および外ポイント同士の距離の平均値から補正値を求める)ことができる。そのため、より正確な補正値を求めることができる。
また、調整画像データには、部分画像p1〜p4、方向マークMの他に、どの給紙トレイから搬送されたかを識別するための識別マークの情報が含まれていてもよい。
識別マークは、給紙トレイを識別するために給紙トレイごとに異なる大きさのマークが用意されており、給紙トレイに対応してシートに付加される。また、この識別マークを同じ大きさとし、個数や位置を異ならせて付加し、どの給紙トレイから搬送されたものかを認識できるようにしてもよい。カラー画像形成装置であれば色を異ならせ、色によって給紙トレイを識別させてもよい。また、それぞれを組合わせて複数の条件を認識させてもよく、他の条件としては、シートのサイズの識別がある。サイズを検出できれば、異なるサイズのシートを自動原稿搬送装置210によって、画像読取部200の原稿台209に順次供給してまとめて読取った後、それぞれのシートについて補正値を求める時にシートサイズを容易に認識できるため、効率的な読取動作を行わせることができる。
次に、図8に基づいて、複合機1の画像形成部100において、画像形成条件を調整するための具体的な処理の流れを説明する。
ところで、画像形成装置は、本実施の形態に示す画像形成装置のように、通常、複数のトレイやカセット(シート収容手段)を備えている場合が多く、それぞれの収容手段毎にシートの搬送状態、特にシートの基準搬送ラインからの位置(主走査方向の位置)がそれぞれ異なる場合が多い。また、副走査方向の位置についてはレジスト手段があるため、シート収容手段毎にあまり大きなずれは発生しないが、収容されるシートの種類(材質,腰の強さ,厚さ,表面状態)により若干ずれが発生する場合が考えられる。したがって、厳密な調整を行う場合には、シートに対する副走査方向の画像位置ずれに対してもシート収容手段毎に補正値を設定する方が好ましい。
そこで、本実施の形態では、まず、画像形成部100に備えられた給紙トレイ(シート収容手段)19、および、給紙デスク装置20に備えられた3つの給紙トレイ(シート収容手段)20a〜20cのうち、どのトレイに収容されているシートについて調整を行うかを選択し、該当するトレイからシートの給送を行う(S1)。次に、画像形成部100で調整画像を形成し、シートに対して転写して、調整画像の形成されたシートを出力する(S2、調整画像形成工程)。ここで、画像形成部100の感光体ドラム3に形成され、シートNおよび転写ベルト7に対して転写される調整画像は、図3に示す部分画像p1〜p4のようになっている。画像が転写され、定着ユニット12などを介して例えば排紙トレイ33に排出されたシートは、図4に示すシートNのように、4つの部分画像p1〜p4からなる調整画像が形成された状態となっている。
そして、出力されたシートを画像読取部200の原稿台209にセットし(S3)、調整画像の読み取りを行う(S4、読取工程)。
なお、調整画像が形成された出力シートを原稿台9に載置する場合には、図6に示すように、画像読取部200の原稿載置ガイド(原稿基準部材)810に対して、読み取るためのシートNが当接するようにすれば、シートを正確に載置することができる。また、原稿載置ガイド810に、シートの位置や大きさを示す目印(基準マークT、センター位置T0)を設けてもよい。この基準マークTなどを用いれば、シートの載置がさらに正確になると期待できる。
ただし、例えば原稿載置ガイド810の材質などによっては、原稿載置ガイド810とシートの端部との区別が困難となり、その結果シートの角部に形成された画像の読み取りが困難となり、読取精度が低下してしまう場合がある。このような場合には、図7に示すように、原稿載置ガイド810と読み取るためのシートNの端部との間に隙間を設けてシートを載置する。このようにすれば、シートの角部に形成された画像を、確実に、精度よく読み取ることができる。
また、図6および図7にシートNとして示すように、シートの長手方向が画像読取部200の主走査方向と平行となるように、画像読取部200の読取領域800に載置することもできる。しかしながら、これによれば、画像読取部200の必要なサイズが大きくなる分、画像の読み取りに必要な図示しない読取センサを増やさなければならないため、画像読取部200のコストアップとなってしまう。また、画像読取部200で正確に読み取りを行うには、読取領域800内にシートを正確に載置しなければ読み取りミスが発生してしまう。
そこで、図6および図7にシートNとして示すように、シートの長手方向が画像読取部200の副走査方向と平行となるように、シートを画像読取部200の読取領域800に載置する。これによれば、画像読取部200の必要なサイズを最小限にすることで、画像読取部200のコストを抑えることができる。また読取領域800内に余裕を持ってシートを載置することができるので、読み取りミスの発生を抑えることができる。
S4では、上述のように、画像読取部200によってシート上の図4に示すような調整画像を読取り、ここからまずシートのサイズを得る。
本実施の形態では、シートのサイズとして、図4に示すシートNの長さW0およびL0を読取る。そして、図4に示す調整画像の搬送方向(副走査方向)D1の前方および後方それぞれに形成された部分画像p1と部分画像p4との間の距離(図4に示すL3、すなわち、内ポイント同士の距離)、主走査方向D2の前方および後方それぞれに形成された部分画像p2と部分画像p3との間の距離(図4に示すW3、すなわち、内ポイント同士の距離)を読み取る。さらに、シートの搬送方向D1の前方に形成された部分画像p1の外ポイントf1と内ポイントg1との距離L1、および、シート搬送方向D1の後方に形成された部分画像p4の外ポイントf4と内ポイントg4との距離L2、並びにシートの搬送方向と直交する方向D2に形成された2つの調整画像p2、p3それぞれの外ポイントf2(またはf3)と内ポイントg2(またはg3)との距離W1およびW2を読み取る。これらの値は、図3に示す画像読取部200から画像データ入力部510に入力された画像データを用いて、制御部500によって画像データ入力部510から画像データを転送された演算部600が算出する。
なお、本実施の形態では、データ記憶部507には、A4サイズのシートにおける長手方向の長さおよびこの長手方向と直交する方向の長さ(すなわちA4サイズシートの縦の長さ(210mm)、および、横の長さ(297mm))が記憶されている。
S4において上述のような読み取りを行った結果、万一、原稿台に置かれたシートが大きく傾いているなど、シートの載置の仕方に異常がある場合(すなわち、後述する外仮想枠B1が所定以上(例えば0.48°)傾いている場合)には、調整作業を中断し、操作パネル220のLCD221には、シートが傾いているという警告を表示することで、使用者に報知する(S5)。
上記のようなS5を設けることによって、調整画像が形成された出力シートが原稿台209で大きく傾いてセットされた場合に、エラーを発生させその旨を操作パネル(操作部)220のLCD(表示部)221に表示させ、出力したシートの載置状態を確認させ再度読み取りを行うことができる。これによって、より正確な画像形成条件の調整を行うことができる。なお、原稿台209に載置されるシートの傾きの許容範囲としては、例えば、±0.5mm以内とすることができる。そして、この予め定めた許容範囲を超えた場合に、調整作業を中断して、表示部にその旨の警告を表示させればよい。
また、読取工程によって得られた後述する内仮想枠B2の内角が90度から所定の角度以上ずれていると判断された場合には、調整作業を中断し、操作パネル220のLCD221に、画像書込み部11の主走査ラインが傾いているという警告を表示することで、使用者に報知する(S6)。図10には、主走査ラインが傾いている場合に画像形成部100によって形成される画像の例を示す。なおこの図では、転写ベルト7の搬送動作には傾きがない場合を示している。本実施の形態では、許容できる内仮想枠B2の傾きの範囲として、内仮想枠B2の主走査方向D2に垂直な二辺のずれ(図10におけるa1)が±0.5mm以内としている。なお、この傾きは、画像書込み部11を構成しているLEDヘッドやレーザ書込みユニットの主走査ラインの傾きを示している。本実施の形態ではこの値に設定しているが、本発明ではこれに限定されるものではない。許容できる内仮想枠B2の傾きの範囲の他の例として、内仮想枠B2の内角θ1が88.96°〜90.14°の範囲内であってもよい。
さらに、S6では同時に、上記内仮想枠B2が画像書き込み部11の副走査方向から所定の角度以上傾いていると判断された場合にも、調整作業を中断し、操作パネル220のLCD221に、転写ベルト(搬送手段)7においてシートが斜めに搬送されているという警告を表示することで、使用者に報知する(S6)。図11には、転写ベルト7においてシートが斜めに搬送される場合に画像形成部100によって形成される画像の例を示す。本実施の形態では、許容できる内仮想枠B2の傾きの範囲として、内仮想枠B2の対向する二辺のそれぞれのずれ(図11におけるa2あるいはb)が±0.5mm以内としている。本実施の形態ではこの値に設定しているが、本発明ではこれに限定されるものではない。
上記S5、S6において、原稿台に載置されたシート、主走査ライン、あるいは、転写ベルトにおけるシートの搬送の傾きが許容範囲内であり、調整作業が中断されなかった場合には、続いて、読み取った読取データからシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求める演算工程(S7〜S10)が実施される。
ここでは、画像読取部200において、調整画像における2つの内ポイントg1・g4間の距離L3を読み取った結果から、搬送方向(副走査方向)長さを算出し、210mmと比較することによって、読取に使用した画像読取部の副走査方向(D1)の倍率を求める。また、調整画像における2つの内ポイントg2・g3間の距離W3を読み取った結果から、主走査方向(D2)長さを算出し、297mmと比較することによって、同様に主走査方向の倍率を求める。
そして、この主走査方向の倍率を考慮し、W1を読み取った値より画像データでの幅を求めれば、主走査方向の書き出しタイミングを求めることができ、予め設定されている主走査方向の書き出しタイミングに対する補正値が求まる。同様に、この副走査方向の倍率を考慮し、L1を読み取った値より画像データでの幅を求めれば、副走査方向の書き出しタイミングを求められ、予め設定されている副走査方向の書き出しタイミングに対する補正値を求めることができる。
以下に上記演算工程の具体的な手順を示す。
S7では、データ記憶部507に記憶されているデータと、読取手段200にて読み取って得た所定のサイズとを比較して、演算手段600が画像読取部200における倍率補正値を求める。
まず、読み取った画像データが画像データ入力部510に入力されると、演算部600で、読み取った2つの外ポイントf2・f3間の距離W0と、データ記憶部507に記憶されたA4サイズのシートの長手方向と直交する方向の長さ210mmとを比較する。これにより、画像読取部200の倍率が調整されておらず、W0が210mmでないと判別された場合には、画像読取部200における主走査方向の倍率を求めることができる。また、演算部600で、L0とデータ記憶部507に記憶されたA4サイズにおけるシートの長手方向の長さ297mmとを比較する。これにより、画像読取部200の副走査方向の倍率を求めることができる。
続いて、S8においては、画像形成部100の画像記録部520側の倍率補正値を求める。これには、まず、図4に示すW3に対して、S7で求めた画像読取部200の主走査方向の倍率補正値を用いて、画像形成部100がシートに印刷した画像の正確なサイズを求める。このサイズと、パターン記憶部506に記憶されているパターンに応じたサイズとを、演算部600が比較して、画像形成部100における主走査方向の倍率を補正する補正値(倍率補正値)を求める。また、図4に示すL3に対して、S7で求めた画像読取部200の副走査方向の倍率補正値を用いて、画像形成部100がシートに印刷した画像の正確なサイズを求める。このサイズと、パターン記憶部506に記憶されているパターンに応じたサイズとを、演算部600が比較して、画像形成部100における副走査方向の倍率を補正する補正値(倍率補正値)を求める。
次のS9、S10では、演算部600が、画像書込み部11において静電潜像の書込みを行うタイミングを補正する補正値を求める。なお、この補正値を求める手順はS9、S10の順に限るものではなく、S10、S9の順におこなってもよい。
S9では、S8において得た主走査方向の倍率補正値に基づいて、主走査方向の部分画像p3の幅(図4に示すW2)を判定することで、主走査方向の書込みタイミングの補正値を求める。すなわち、例えばW2の値に対して、画像読取部200の読取倍率補正をし、さらに画像形成部100の倍率補正をした後の値が、パターン記憶部506に記憶されているパターンの本来の値とどの程度異なっているか判別することによって、画像書込み部11における書込みタイミングの補正値を求めることができる。
また、副走査方向に異なる少なくとも2ヶ所の位置で、図4に示すW2を読み取れば、シートに対する画像形成位置の傾きを求めることができる。演算部600は、この傾きを補正する補正値も求める。なお、この場合には、少なくともシートの副走査方向に平行な二辺には複数個の部分画像が形成されている。
さらに、部分画像p3の主走査方向の幅W2と、部分画像p2の主走査方向の幅W1とを比較することによって、シートが転写ベルト7における搬送ラインからどの程度ずれているかを判断することができ、シートの搬送ラインからのズレを補正するための補正値を容易に求めることができる。
S10では、S8において得た副走査方向の倍率補正値に基づいて、副走査方向の部分画像p1の幅(図4に示すL1)を判定することで、副走査方向の書込みタイミングの補正値を求める。すなわち、例えばL1の値に対して、画像読取部200の読取倍率補正をし、さらに画像形成部100の倍率補正をした後の値が、パターン記憶部506に記憶されているパターンの本来の値とどの程度異なっているか判別することによって、画像書込み部11における書込みタイミングの補正値を求めることができる。
また、主走査方向に異なる少なくとも2ヶ所の位置で、図4に示す副走査方向の幅L1を読み取れば、シートに対して形成された画像の傾きを求めることができる。演算部600は、この傾きを補正する補正値も求める。なお、この場合には、少なくともシートの副走査方向に平行な二辺には複数個の部分画像が形成されている。
S11では、S9、S10において得た書込みタイミングの補正値を、制御部500が、複合機1の画像形成部100に対して反映させる。
主走査方向のタイミングは以下のように調整する。画像形成部100の画像書込み部11(露光ユニット10)がレーザビーム走査方式の場合には、ビームディテクタを通過してからのタイミングを制御手段500が調整して、主走査方向の書き出し位置を補正する。また、画像形成部100の画像書込み部11(露光ユニット10)がLEDヘッド等を用いた固体走査方式の場合には、主走査方向の何処から点灯させるか最初の発光素子を決定する(ずらす)ことで、主走査方向の書き出し調整を行う。なお、固体走査方式の場合には、主走査方向の倍率はほぼ決定しているので通常特に調整する必要はないが、ずれが目立つ場合には何れかの画像データを間引いたり、画像データを補完して増加させ、点灯させる発光素子の数を増減させたりして調整する。
副走査方向のタイミングは以下のように調整する。ここでは、S10で求めた副走査方向の書込みタイミングの補正値を用いて、画像書込み部11における書込みタイミングを制御部500が調整し、副走査方向の書き出し位置を補正する。なお、これに限るものではなく、例えば図3に示す搬送手段505のレジストクラッチ515の接続タイミングを調整することによって、副走査方向の書き出し位置を補正することもできる。
また、副走査方向の倍率補正を、搬送手段505の搬送モータ514の搬送速度を調整し、シートの搬送速度を調整することによって行う。また、転写部502の転写ローラ6を所定の速度で回転させることによって、シートの搬送速度を調整してもよい。また、これに限るものではなく、例えば感光体ドラム3の回転速度を調整して、副走査方向の倍率を補正することもできる。ただし、例えば搬送モータ514の搬送速度を調整する構成であれば、画像形成のプロセス条件を変化させずに済むので好ましい。
このようにして、S11の調整工程において、得られた補正値を画像形成部100に反映させて、処理を終了する。
また、以上で説明した図8においては、簡単のために画像形成ステーションごとの調整については触れなかったが、複合機1においては、実際には以下のように画像形成ステーションごとの調整を行っている。
すなわち、本実施形態の複合機1のように、画像形成部100において複数の色材を用いて画像を形成するために複数の画像形成ステーションを備えている場合には、図3に示すデータ記憶部507に、レジスト補正データを記憶させておく。そして、1つの色材を用いて画像を形成して、その色材の画像形成ステーションにおける、画像の形成条件を補正する補正値を求める。残りの色材に対しては、既に得た補正値とレジスト補正データから、その残りの色材の画像形成ステーションにおける補正値を求めることができる。これによれば、1つの色材を用いるだけでよいので、シートに対する画像の形成条件の調整を経済的に行うことができる。
また、上述の構成に限るものではなく、複数の画像形成ステーションにおいて、それぞれ異なる調整を行う構成としてもよい。具体的には、例えば、上記いずれか1つの画像形成ステーションでは主走査方向および副走査方向それぞれの位置および倍率の調整を行い、残りの画像形成ステーションでは主走査方向の倍率を調整する構成としてもよい。これによれば、シートに対する画像形成条件の調整をより正確に行うことができる。
また、本実施の形態のように、画像読取部200がカラー読取手段である場合には、3色の光電変換素子のうちいずれか1色の光電変換素子を用いてシートに形成された画像を読み取ることが好ましい。これにより、読取りが容易になるとともに、読み取りによって得られるデータの数が少なくなるので読取データを演算する時間を短くすることができる。
また、画像読取部200では、シートに画像を形成するときに使用する色剤の補色となる色の光電変換素子を用いることが好ましい。したがって、例えば画像読取部200で用いた光電子素子の色がB、G、Rであれば、それぞれ、Y、M、Cの各色を用いたカラー画像を形成すればよい。これにより、画像読取部200で鮮明な読み取りを行うことができるので、より正確な読取データを得ることができる。
このように、本実施の形態によれば、四角形状のシートの各辺に少なくとも一つずつ形成される部分画像からなり、上記部分画像はシートからはみ出す領域を有しているとともに、上記部分画像は、シート搬送方向先端の角の部分には形成されていない調整画像を形成することで、シートに形成された画像を読取手段で読み取ったときに、シートの端部を容易に読み取ることができる。そして読み取った読取データからシートに対する画像の形成条件を補正する補正値を求めるので、読み取りに用いた画像読取部が正確に調整されていなくても、画像形成装置の調整を行うことができる。
また、シートに形成する画像のデータを、画像形成部100のパターン記憶部506に保存しており、このパターン記憶部506に保存されていたデータをシートに印刷するので、調整の際にテストチャートのような基準チャートを不要にできる。また、始めに画像読取装置において基準チャートを読み取らせる工程が不要となる。
さらに、調整画像が上述のようなシート搬送方向先端の角の部分には形成されていない部分画像から構成されていることによって、定着手段でのシートの搬送ジャムの発生を低減させることもできる。
本実施の形態では、補正値の算出は画像読取部より入力される画像データを画像形成部内の演算部で演算して求め、その結果を画像形成部に反映させる構成となっている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、画像読取部に備えられたCPUにて演算し、その結果を画像形成装置に情報として補正値データを転送して調整する構成とすることも可能である。このような構成は、使用するプログラムによって適宜変更することができる。
また、画像形成部と画像読取部とが直接あるいはコンピュータを介して接続されている場合には、得られた補正データを直接画像形成部に入力させ、画像形成部の調整を行うことができるが、画像形成部の操作部を用いて得られた補正値をサービスマンや管理者が手入力できるようにしてもよい。画像読取部と画像形成部とが、間接的にも接続されていない場合には、自動的に補正値を入力できないので、操作部等からの手動入力となる。
また、本実施の形態にかかる複合機1とは異なり、画像読取部が画像形成部とが一体型となっていない場合には、画像読取部とコンピュータ(パソコン)等の汎用のシステムを用い、画像調整のための補正値を求めるプログラムを作成しインストールし、そのプログラムを用いて補正値を求めてもよい。この場合、補正値はパソコンなどのコンピュータにて入力された読取データを解析演算して求め、ディスプレイに表示させる。そして、表示された補正値を対象となる画像形成装置に入力すればよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、上記実施形態の画像形成装置の各部や各処理ステップは、制御部(CPU)および演算部などの演算を行う手段が、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、キーボードなどの入力手段、ディスプレイなどの出力手段、あるいは、インターフェース回路などの通信手段を制御することにより実現することができる。したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態の画像形成装置の各種機能および各種処理を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読取り可能なプログラムメディアであってもよい。
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
また、上記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。