JP2006089264A - エレベーター用調速機ロープ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 調速機の異常検出動作試験時に調速車と調速機ロープの係合を解除する作業が容易にできるエレベーター用調速機ロープ装置を得る。
【解決手段】 仮設隔離機構13のばね機構27により把持した調速機ロープ6の反昇降体側9を上方へ付勢する。これによって、ねじ機構26により調速機ロープ6の反昇降体側9を少ない操作力によって引き上げることができ、調速車4と調速機ロープ6の係合を解除することができる。このため、調速機4の異常検出動作試験時に油圧ポンプ等の大形機材を調速機4の設置現場に搬出入する煩雑な作業を省くことができる。
したがって、調速機ロープ6の係合解除作業が容易にできて、作業時間を短縮でき調速機4の異常検出動作試験の費用を低減する効果がある。
【選択図】 図1

Description

この発明は、無端形状に形成され一側がエレベーターの昇降体に連結されて調速機に巻掛けられ、昇降体の昇降速度に応じて循環移動して調速機を駆動するエレベーター用調速機ロープ装置に関する。
従来のエレベーター用調速機ロープ装置として、ガバナの動作試験時にガバナプーリに対するガバナロープの係合を解除しガバナプーリを単独で回転させる準備作業を容易化するために、次に述べるエレベーター用ガバナロープの引上装置が提案されている。すなわち、ガバナプーリのかご側対応位置に固定保持具を配置して、かご側のガバナロープを把持固定する。
また、ガバナプーリのかごと反対側に可動部材及び油圧ポンプによって動作する油圧ジャッキを配置する。そして、油圧ジャッキによって昇降する可動部材に設けたロープクリップによってかごと反対側のガバナロープを把持し、油圧ジャッキの油圧ポンプを作動させてロープクリップを上昇移動し、ガバナロープを引き上げてガバナプーリとガバナロープの係合を解除するように構成にしている。(例えば、特許文献1参照)。
特開平4−341476号公報(要約、図1)
従来のエレベーター用調速機ロープ装置では、エレベーター用ガバナロープの引上装置に、かごと反対側のガバナロープを引き上げるために油圧ポンプ及び油圧ジャッキが使用される。このような構成のためにガバナロープの引上装置が大形化し、また質量が増すので、ガバナロープの引上装置をエレベーターの設置現場へ搬出入する作業、ガバナロープの引上装置の操作に煩雑な手数が掛かり、また長時間の作業を要するという問題点があった。
なお、他の従来のエレベーター用調速機ロープ装置として特開2003−54852号公報に示されているように、てこ機構によってかごと反対側のガバナロープを引き上げる構成がある。しかし、この構成の場合にはてこ機構における人為操作する側のレバー長さが長くなり、ガバナが狭隘な場所に設置されたときにはかごと反対側のガバナロープの引き上げ作業が困難になる。
この発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、調速機の動作試験時における調速車に対する調速機ロープの係合解除作業が容易にできるエレベーター用調速機ロープ装置を得ることを目的とする。
この発明に係るエレベーター用調速機ロープ装置においては、無端形状に形成されて調速機の調速車に巻掛けられ、昇降路に張設されて無端形状における一側が昇降路を昇降する昇降体に連結されて昇降体側を構成する調速機ロープと、要時に仮設されて一側が調速機ロープの昇降体側に装着され他側は昇降路の固定部に保持されて、調速機ロープの昇降体側の下降移動を阻止する仮設阻止具と、要時に仮設され一側が調速機ロープの反昇降体側に装着され他側は昇降路の固定部に保持されて、調速機ロープの反昇降体側の装着位置を上方に付勢し調速機ロープを上昇させて調速車から離れた位置に変位するばね機構及びこのばね機構による調速機ロープの反昇降体側の装着位置の上昇変位を調整するねじ機構を有する仮設隔離機構とが設けられる。
この発明によるエレベーター用調速機ロープ装置は、調速機の異常検出動作試験の事前作業時に、仮設阻止具により調速機ロープの昇降体側を挟圧し仮設阻止具の下部が昇降路の固定部に接して配置されて調速機ロープの昇降体側の下降移動が阻止される。次いで、圧縮状態の仮設隔離機構が調速機ロープの反昇降体側に配置され、仮設隔離機構の下部が昇降路の固定部に接して配置される。そして、仮設隔離機構の装着装置が調速機ロープの反昇降体側を挟圧して装着され、ねじ機構をねじ戻すことによってばね機構の付勢力によって装着装置が上昇して仮設隔離機構が伸長状態となる。
これによって調速機ロープの反昇降体側を、調速機ロープの質量等による反昇降体側の張力に対して少ない操作力によって引き上げることができる。そして、調速機ロープの反昇降体側の引き上げによって調速車に対する調速機ロープの係合が解除される。この状態で調速車5が自由回転可能となり調速機の異常検出動作試験が行われる。したがって、調速機の異常検出動作試験の事前作業として、前述の油圧ポンプ及び油圧ジャッキ等の大形機材を調速機の設置場所に搬出入すること等の煩雑な作業を省くことができる。
このため、調速機の異常検出動作試験時における調速車に対する調速機ロープの係合解除作業が容易にできて作業時間を短縮でき、調速機の異常検出動作試験の費用を低減する効果がある。また、調速機の異常検出動作試験の終了後に、仮設隔離機構のねじ機構におけるボルトがばね機構の付勢力に抗してねじ込まれるが、このときには調速機ロープの質量等による負荷が作用しているので、ねじ機構のボルトを少ない操作力によってねじ込むことができ、仮設隔離機構の撤去作業を容易化する効果がある。
実施の形態1.
図1〜図4は、この発明の実施の形態を示す図で、図1はエレベーターの要部を概念的に示す縦断面図、図2は図1における仮設隔離機構の拡大図、図3は図2の斜視図、図4は図1における仮設隔離機構の作動状態を示す図である。図において、昇降路1の上部に機械室2の床3が形成される。そして、床3に設置された周知の調速機4の調速車5に無端形状をなす調速機ロープ6が巻掛けられて昇降路1に張設される。
また、調速機ロープ6の無端形状における一側が、昇降路1を昇降するかごからなる昇降体7に連結具8によって連結されて昇降体側9を構成する。なお、調速機ロープ6の無端形状における下方の湾曲形状部に重り付きの張り車10が跨装状態に配置されて調速機ロープ6に張力を付与する。また、仮設阻止具11が要時に仮設されて一側に締結部12が設けられ調速機ロープ6の昇降体側9を挟圧して調速機ロープ6に装着され、他側は調速機4の台座によって形成された昇降路1の固定部1aに保持される。
そして、次に述べる仮設隔離機構13が要時に仮設されて調速機ロープ6の反昇降体側9に配置される。すなわち仮設隔離機構13には、昇降路1の固定部1aに配置されて一側に開口して調速機ロープ6が挿通される凹所が設けられたベース板14、ベース板14の上に設けられて縦孔15及び上面に溶接されたナット16を有する支持体17、支持体17の縦孔15に昇降自在に嵌入された昇降筒18が設けられる。
さらに仮設隔離機構13には、昇降筒18の上端に上板19が水平に設けられ、上板19の調速機ロープ6対応位置の一側に設けられた固定片20、調速機ロープ6対応位置の他側に固定片20に対向して配置された押圧片21及び、押圧片21に挿通されて固定片20にねじ込まれたボルトからなる締結具22によって構成された装着装置23が設けられる。また、上板19の反装着装置23側の縁部下面にリング24が溶接されている。
また仮設隔離機構13には、上板19及びリング24に挿通されて支持体17のナット16にねじ込まれたボルト25からなるねじ機構26が設けられ、また昇降筒18内に設けられた圧縮コイルばねの下端がベース板14の上面に接し、上端は上板19下面に接して配置されて構成され、上板19、すなわち装着装置23を上方に付勢するばね機構27が設けられる。
そして、エレベーターの調速機4は上記のように配置され、また昇降体7の昇降と共に調速機ロープ6が循環移動し調速機ロープ6によって調速機4の調速車5が駆動される。そして、エレベーターに異常が発生して昇降体7の昇降速度が所定値を超えた場合に、詳細な説明を省略するが周知の調速機4の異常検出機能を介して昇降体7の昇降が異常時制御される。また、調速車5に対する調速機ロープ6の係合を解除し、調速車5が単独で自由に回転するようにして調速機4の異常検出動作試験が行われる。
そして、調速車5に対する調速機ロープ6の係合を解除し、調速車5が単独で自由に回転するためのエレベーター用調速機ロープ装置が上記のように構成される。すなわち仮設隔離機構13が上板19がばね機構27の付勢力に抗して押し下げられる。この状態でねじ機構26のボルト25がナット16にねじ込まれて装着装置23がベース板14の方向に下降した状態、すなわち図2に示す圧縮状態に準備される。
そして、調速機4の異常検出動作試験の事前作業として、仮設阻止具11の下部が昇降路1の固定部1aに接して配置されて仮設される。そして、仮設阻止具11の締結部12により調速機ロープ6の昇降体側9を挟圧し、仮設阻止具11が調速機ロープ6に装着される。これにより調速機ロープ6の昇降体側9の下降移動が阻止される。次いで、圧縮状態の仮設隔離機構13が調速機ロープ6の反昇降体側9に配置される。
そして、仮設隔離機構13の下部が昇降路1の固定部1aに接して配置されて仮設され、装着装置23の固定片20、押圧片21及び締結具22によって調速機ロープ6の反昇降体側9が挟圧される。この状態において、ねじ機構26のボルト25をねじ戻すことによって、ばね機構27の付勢力によって装着装置23が上昇して仮設隔離機構13が伸長状態となる。なお、ボルト25の操作は特殊な工具を要することなく、通常のラチェットスパナ等、標準の工具によって容易に行うことができる。
これによって調速機ロープ6の反昇降体側9を、調速機ロープ6の質量等による反昇降体側9の張力に対して少ない操作力によって引き上げることができる。そして、調速機ロープ6の反昇降体側9の引き上げによって調速車5に対する調速機ロープ6の係合が図1に鎖線で示すように解除される。このようにして調速車5と調速機ロープ6の係合が解除され、調速車5が自由回転する状態で調速機4の異常検出動作試験が行われる。
したがって、調速機4の異常検出動作試験の事前作業として、前述の油圧ポンプ及び油圧ジャッキ等の大形機材を調速機4の設置場所に搬出入すること等の煩雑な作業を省くことができる。このため、調速機4の異常検出動作試験時における調速車5に対する調速機ロープ6の係合解除作業が容易にできて作業時間を短縮でき、調速機4の異常検出動作試験の費用を低減することができる。
なお、調速機4の異常検出動作試験の終了後に、仮設隔離機構13のねじ機構26におけるボルト25がばね機構27の付勢力に抗してねじ込まれる。これにより、装着装置23が下降して調速機ロープ6が調速車5に接する状態となった後に、装着装置23が調速機ロープ6から取り外される。なお、ボルト25をばね機構27の付勢力に抗してねじ込むときに、調速機ロープ6の質量等による下向き負荷が作用しているので、ボルト25を少ない操作力によってねじ込むことができる。
また、調速機ロープ6が装着された状態でねじ機構26によって仮設隔離機構13を昇降する場合に、ばね機構27を支点として上板19がバランス良く支持される。このため、調速機ロープ6の質量等による反昇降体側9の張力が大きいときであってもねじ機構26の操作時に、上板19が調速機ロープ6側へ傾くことがない。
したがって、仮設隔離機構13の昇降操作時に、円滑に仮設隔離機構13の装着装置23を昇降動作させることができる。次いで、仮設隔離機構13が昇降路1の固定部1aから撤去され、また仮設阻止具11が調速機ロープ6の昇降体側9から取り外される。これによって、調速機ロープ6の昇降体側9の下降移動阻止が解除され、エレベーター用調速機ロープ装置が通常状態に復帰する。
実施の形態2.
図5〜図8は、この発明の他の実施の形態を示す図で、図5は前述の図2相当図、図6は図5の斜視図、図7は図5の仮設隔離機構の作動状態を示す図、図8は図5におけるねじ機構のボルトを示す正面図である。なお、図5〜図8の他は前述の図1〜図4の実施の形態と同様にエレベーター用調速機ロープ装置が構成される。図において、図1〜図4と同符号は相当部分を示す。
そして、ねじ機構26のボルト25の先端寄りに伸長側嵌合孔28が設けられ、また伸長側嵌合孔28よりもボルト25の頭部側、すなわち上方位置に圧縮側嵌合孔29が設けられる。また、仮設隔離機構13の支持体17におけるボルト25対応位置に、伸長側嵌合孔28、圧縮側嵌合孔29に対向する挿通孔30が設けられる。
そして詳細は後述するが、ロックピン31が要時に支持体17の挿通孔30に挿通されて伸長側嵌合孔28及び圧縮側嵌合孔29のいずれかに嵌入される。なお、伸長側嵌合孔28、圧縮側嵌合孔29、挿通孔30及びロックピン31によって、仮設隔離機構13の装着装置23の上下方向位置を所定位置に規制するロック機構32が構成される。
上記のように構成されたエレベーター用調速機ロープ装置においても、仮設阻止具11、仮設隔離機構13、ねじ機構26及びばね機構27を介して、前述の図1〜図4の実施の形態と同様に調速機4の異常検出動作試験の事前作業が行われる。したがって、詳細な説明を省略するが図5〜図8の実施の形態においても図1〜図4の実施の形態と同様な作用が得られる。
また、図5〜図8の実施の形態において、圧縮状態の仮設隔離機構13に対してロックピン31が支持体17の挿通孔30に挿通されて図5に示すように圧縮側嵌合孔29に嵌入される。これにより、ロック機構32によってねじ機構26のボルト25の回動が阻止されるので、振動、不用意なボルト25の操作等によるボルト25の回動が阻止されて、仮設隔離機構13の装着装置23の上下方向位置が所定位置に規制される。
このため、調速機4の異常検出動作試験の事前作業中における圧縮状態の仮設隔離機構13において、不意に装着装置23が上昇することによって生じる不具合を未然に防止することができる。
また、伸長状態の仮設隔離機構13に対してロックピン31が支持体17の挿通孔30に挿通されて図7に示すように伸長側嵌合孔28に嵌入される。
これにより、ロック機構32によってねじ機構26のボルト25の回動が阻止されるので、振動、不用意なボルト25の操作等によるボルト25の回動が阻止されて、仮設隔離機構13の装着装置23の上下方向位置が所定位置に規制される。このため、調速機4の異常検出動作試験作業中における伸長状態の仮設隔離機構13において、不意に装着装置23が下降することによって生じる不具合を未然に防止することができる。
この発明の実施の形態1を示す図で、エレベーターの要部を概念的に示す縦断面図。 図1における仮設隔離機構の拡大図。 図2の斜視図。 図1における仮設隔離機構の作動状態を示す図。 この発明の実施の形態2を示す図で、図2相当図。 図5の斜視図。 図5の仮設隔離機構の作動状態を示す図。 図5におけるねじ機構のボルトを示す正面図。
符号の説明
1 昇降路、1a 固定部、4 調速機、5 調速車、6 調速機ロープ、7 昇降体、9 昇降体側、11 仮設阻止具、13 仮設隔離機構、17 支持体、25 ボルト、26 ねじ機構、27 ばね機構、28 伸長側嵌合孔、29 圧縮側嵌合孔、30
挿通孔、31 ロックピン、32 ロック機構。

Claims (2)

  1. 無端形状に形成されて調速機の調速車に巻掛けられ、昇降路に張設されて上記無端形状における一側が上記昇降路を昇降する昇降体に連結されて昇降体側を構成する調速機ロープと、要時に仮設されて一側が上記調速機ロープの昇降体側に装着され他側は上記昇降路の固定部に保持されて、上記調速機ロープの昇降体側の下降移動を阻止する仮設阻止具と、要時に仮設され一側が上記調速機ロープの反昇降体側に装着され他側は上記昇降路の固定部に保持されて、上記調速機ロープの反昇降体側の装着位置を上方に付勢し上記調速機ロープを上昇させて上記調速車から離れた位置に変位するばね機構及びこのばね機構による上記調速機ロープの反昇降体側の装着位置の上昇変位を調整するねじ機構を有する仮設隔離機構とを備えたエレベーター用調速機ロープ装置。
  2. 仮設隔離機構のねじ機構におけるボルトの先端寄りに設けられた伸長側嵌合孔、上記ボルトに設けられて上記伸長側嵌合孔よりも上記ボルトの上方側に配置された圧縮側嵌合孔並びに上記仮設隔離機構の支持体に設けられて上記伸長側嵌合孔及び圧縮側嵌合孔のいずれかに対向する挿通孔に要時に挿通されて、上記伸長側嵌合孔及び圧縮側嵌合孔のいずれかに嵌入され上記ボルトの回動を阻止するロックピンからなり、上記仮設隔離機構の装着装置の上下方向位置を所定位置に規制するロック機構を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベーター用調速機ロープ装置。
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