JP2006084987A - 電子写真用感光体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 分散安定性を向上させた下引き層塗布液を実現し、かかる下引き層塗布液を用いることで、均一な特性を有する電子写真用感光体を提供する。
【解決手段】 導電性基体上に、下引き層および感光層を備えた電子写真用感光体である。下引き層がカーボンナノチューブを含有する。感光層は、電荷発生層および電荷輸送層からなる積層型、または、単一層からなる単層型のいずれであってもよい。下引き層は、さらに、金属酸化物微粒子を含有することが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】 導電性基体上に、下引き層および感光層を備えた電子写真用感光体である。下引き層がカーボンナノチューブを含有する。感光層は、電荷発生層および電荷輸送層からなる積層型、または、単一層からなる単層型のいずれであってもよい。下引き層は、さらに、金属酸化物微粒子を含有することが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は電子写真用感光体(以下、単に「感光体」とも称する)に関し、詳しくは、有機材料を含む感光層を有し、電子写真方式のプリンター、複写機などに用いられる電子写真用感光体に関する。
電子写真用感光体は導電性基体上に光導電性を有する感光層を積層した構造をとり、単一の層で電荷発生や電荷輸送を担う機能を併せ持った感光層を有する単層型感光体と、電荷発生に寄与する層と表面電荷の保持および電荷輸送に寄与する層とに機能分離した感光層を有する機能分離積層型感光体が一般的である。また近年、熱安定性、成膜性などの利点により、有機材料を用いた有機電子写真用感光体が実用化されてきているが、これらの有機電子写真用感光体は電荷発生および電荷輸送を担う機能材料のみでは機械的に安定した感光層を形成することが困難であるため、通常は樹脂バインダーと共に感光層を形成することで電子写真用感光体を実現している。
最近においては、感光層が電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とからなる機能分離積層型感光体が主流となっており、中でも電荷発生物質としての有機顔料を蒸着または樹脂バインダー中に分散させて成膜した層を電荷発生層とし、電荷輸送機能を有する有機低分子化合物を電荷輸送物質として樹脂バインダー中に分散させた層を電荷輸送層として用いた負帯電型感光体が数多く提案されている。また、電荷発生物質と電荷輸送物質とを樹脂バインダー中に分散させた単層の感光層を用いた正帯電型感光体も提案されている。更に、印字画像品質の向上のために、導電性基体と電荷発生層との間、または、導電性基体と感光層との間に、下引き層を設けることも行われている。
上記したように、電子写真用感光体をカールソンプロセスの電子写真装置に適用する場合には、通常、印字画像上の黒点または白点の欠陥を抑制するために、電荷発生層の下または感光層の下に下引き層を導入した構造がとられているが、この時の下引き層の材料としては、カゼイン、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂等が知られている。また、レーザー露光光の干渉防止や下引き層への導電性付与を目的として、金属酸化物粒子や下引き層塗布液溶媒に不溶な樹脂粒子、またはこれらの粒子に表面処理を施したものなどを、下引き層樹脂に分散したものも実用化されている。
しかし、金属酸化物粒子は下引き層樹脂と比較して比重が大きいため、下引き層塗布液中で沈降もしくは分離し易く、下引き層を成膜した時の下引き層の特性ムラや外観ムラを発生させ易い傾向がある。そのため、下引き層塗布液自体の均一性を得るために、これらフィラー粒子の塗布液中での分散安定性を向上することが求められている。また、下引き層中に、カーボンブラックを分散させた感光体も提案されている。
例えば、特許文献1には、基体、電荷発生層および電荷輸送層を有し、基体上に導電性微粉末を分散した樹脂の被覆層を有する電子写真用感光体が報告されており、導電性微粉末として、導電性金属酸化物やカーボン等が使用できることが記載されている。また、特許文献2には、支持体と感光層との間に中間層を設けてなる電子写真感光体において、中間層に所定の樹脂を用いるとともに金属酸化物とカーボンとを分散させ、これらの合計量および比率を所定の範囲にすることで、中間層におけるカーボンの分散均一性を向上させる技術が報告されている。
特公昭62−42498号公報
特開平8−272124号公報
上記のように、下引き層の改良技術については、これまで種々検討されてきているが、十分満足なものは得られていなかった。また、カーボンブラックについても凝集しやすく、また、低抵抗であるために下引き層の抵抗制御が困難であるなどの難点を有しており、下引き層におけるフィラーとして用いるには十分なものではなかった。
そこで、本発明の目的は分散安定性を向上させた下引き層塗布液を提供することにあり、また、その下引き層塗布液を用いることで、均一な特性を有する電子写真用感光体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、電子写真用感光体の下引き層のフィラーとしてカーボンナノチューブを用いて、カーボンナノチューブを分散させた下引き層塗布液を用いて下引き層を形成することで、均一な特性を有する電子写真用感光体が実現できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の電子写真用感光体は、導電性基体上に、下引き層および感光層を備えた電子写真用感光体において、該下引き層がカーボンナノチューブを含有することを特徴とするものである。
本発明の電子写真用感光体は、前記感光層が電荷発生層および電荷輸送層からなる積層型感光体、または、前記感光層が単一の層からなる単層型感光体とすることができる。また、前記下引き層には、カーボンナノチューブとともに、金属酸化物微粒子を含有させることも可能である。
本発明によれば、分散安定性を向上させた下引き層塗布液を得ることができ、これにより、下引き層のムラがなく、均一で良好な特性を有する有機電子写真用感光体を提供することが可能となった。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の好適例の積層型電子写真用感光体を示す模式的断面図であり、図2は、本発明の他の好適例の単層型電子写真用感光体を示す模式的断面図である。また、図中の符号1は導電性基体、2は下引き層、3は電荷発生層、4は電荷輸送層、5は単層型の感光層をそれぞれ表す。
導電性基体1は、感光体の電極としての役目と同時に他の各層の支持体となっており、円筒状、板状、フィルム状のいずれでもよく、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルなどの金属、あるいはガラス、樹脂等に導電処理を施したものでもよい。
下引き層2は、導電性基体から感光層への不要な電荷の注入防止、基体表面の欠陥被覆、感光層の接着性の向上等の目的で必要に応じて設けることができ、樹脂を主成分として構成される。下引き層の樹脂バインダーとしては、カゼイン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリアミド樹脂およびこれらの共重合体などを適宜組み合わせて使用することが可能である。なお、使用溶剤に対する樹脂の溶解度が充分であれば特に溶剤を限定する必要はなく、テトラヒドロフランや低級アルコール、または、必要に応じてハロゲン系溶剤や炭化水素系溶剤などを用いることができる。
また、本発明においては、下引き層がカーボンナノチューブを含有することが必要である。具体的には、上記樹脂バインダー中にカーボンナノチューブを分散させて、下引き層を形成する。かかるカーボンナノチューブとしては、特に制限されるものではなく、気相成長法、アーク放電法、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition;化学蒸着)法等の公知の方法により製造したものを用いることができ、適宜粉砕処理を行ってもよい。粉砕手段としては、不純物除去や洗浄精製の目的で湿式処理が好ましく、例えば、ビーズミル等の機械的粉砕を用いることができる。特には、短直径が0.3μm以下、好ましくは0.02〜0.2μmであって、平均長さが1μm以下、好ましくは0.5μm以下のカーボンナノチューブを用いることが好ましい。なお、カーボンナノチューブの平均長さの下限値としては、アスペクト比2〜20の範囲で、カーボンナノチューブの長さ方向に導電パスを形成し、下引き層のキャリア移動を促進しやすい長さとして、およそ0.05μm(50nm)以上を必要とする。また、カーボンナノチューブの添加量は、本発明の効果を適切に得るために、樹脂バインダー100重量部に対し、通常10〜100重量部程度であり、好ましくは10〜80重量部、より好ましくは20〜60重量部である。
なお、前述したように、下引き層にカーボンブラックを分散させる技術は公知であるが、例えば、カーボンブラックを下引き層の全量に対し10〜30重量%添加した場合には、カーボンブラックそのものの粒径が小さい場合でも、下引き層の体積抵抗値は105〜109Ω・cm程度と低い抵抗値しか得られず、また、カーボンブラックの濃度変化に対しての体積抵抗値の変化が大きいために高抵抗側の抵抗値のコントロールが困難であるなど、抵抗の制御に関し問題があった。これに対し、本発明に係るカーボンナノチューブでは、20〜50重量%程度添加した場合でも、下引き層の体積抵抗値は106〜1011Ω・cm程度となり、比較的高い抵抗値を得ることができる。従って本発明においては、下引き層の最適な体積抵抗値である109〜1011Ω・cmの範囲で体積抵抗を制御することが可能である。
また、下引き層中には、他のフィラー粒子を補助的に分散させることができる。かかるフィラー粒子としては、SiO2、TiO2、In2O3、ZrO2、Al2O3等の金属酸化物微粒子を好適に用いることができる。さらに、これらフィラー粒子は、分散安定性や感光特性を向上するために、シランカップリング剤で表面処理を行って用いることもできる。
電荷発生層3は、有機光導電性物質を真空蒸着するか、または有機光導電性物質の粒子を樹脂バインダー中に分散させた塗布液を塗布して形成され、光を受容して電荷を発生する。また、電荷発生層は、電荷発生効率が高いことと同時に、発生した電荷の電荷輸送層4への注入性に電界依存性が少なく低電界でも注入効率の良いことが望まれるため、電荷発生物質を主体としてこれに電荷輸送物質などを添加して使用することもある。電荷発生物質としては、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、スズフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アゾ顔料、アントアントロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、スクアリリウム顔料、チアピリリウム顔料、キナクリドン顔料などを用いることができ、また、これらの顔料を組み合わせて用いてもよい。
また、樹脂バインダーとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル系樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、メタクリル酸エステル樹脂およびこれらの共重合体などを適宜組み合わせて使用することが可能である。電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の光吸収係数により決まり、通常は5μm以下、好適には2μm以下である。
電荷輸送層4は、電荷輸送物質と樹脂バインダーとを溶剤に溶解させた塗布液をシールコート法もしくはディップ(Dip)法により成膜することで形成され、暗所では絶縁体層として感光体の電荷を保持し、光受容時には電荷発生層から注入される電荷を輸送する機能を発揮する。電荷輸送物質の一例としては、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ピラゾリン化合物、ピラゾロン化合物、オキサジアゾール化合物、アリールアミン化合物、ベンジジン化合物、スチルベン化合物、ブタジエン化合物およびポリビニルカルバゾールなどの電荷輸送性ポリマーやバインダーと電荷輸送物質との共重合体ポリマー等を使用することが可能である。また、樹脂バインダーとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル酸エステルの重合体および共重合体などを含んでもよく、電荷輸送物質との相溶性が良くなる組み合わせとし、かつ機械的、化学的および電気的安定性、密着性が確保されるように電荷輸送層を形成する。さらに、電荷輸送層の膜厚は、実用的に有効な表面電位を維持するために10〜50μmの範囲が好ましい。
なお、単層型の感光層5においても、上記電荷発生物質および電荷輸送物質を、上記樹脂バインダー中に分散させて用いることができ、特に制限されるものではない。
また、上記積層型および単層型感光体の感光層中には、熱やオゾン等に対する安定性を向上させる目的で、さらに、酸化防止剤を適宜含有させることができる。このような目的に用いられる化合物としては、トコフェロールなどのクロマノール誘導体またはエーテル化化合物もしくはエステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、ハイドロキノン誘導体およびそのモノエーテル化化合物またはジエーテル化化合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、チオエーテル化合物、フェニレンジアミン誘導体、ホスホン酸エステル、亜リン酸エステル、フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、直鎖アミン化合物、環状アミン化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
さらに、上記積層型および単層型感光体の感光層中には、感度の向上や残留電位の減少、あるいは繰り返し使用時の特性変動を低減する目的で、必要に応じ電子受容物質を含有させることもできる。電子受容物質としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水コハク酸、無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタルイミド、4−ニトロフタルイミド、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、クロラニル、ブロマニル、o−ニトロ安息香酸などの電子親和力の大きな化合物を挙げることができる。
以下、本発明を、実施例により詳細に説明する。
実施例1
ヒドロキシスチレン樹脂10重量部およびブチル化メラミン樹脂10重量部を、テトラヒドロフラン80重量部とブチルアルコール20重量部とからなる溶媒に溶解させた樹脂溶液を作製した。カーボンナノファイバー(昭和電工(株)製、VGCF(登録商標):短直径150nm、長さ10〜20μm)を予めテトラヒドロフランとメタノールとの混合溶液に分散させ、この溶液に対しビーズミルを用いた機械的粉砕を行うことにより約0.5μm以下の長さに粉砕した。このカーボンナノチューブを含むテトラヒドロフランとメタノールとの混合溶液を遠心分離機にかけ、短直径0.15μmで、平均長さ0.4μmのカーボンナノチューブを分取し、アモルファスカーボンや黒鉛状物質ならびに過粉砕したカーボンナノチューブを除去した。これにより得られたカーボンナノチューブ10重量部を上記樹脂溶液に混合し、ビーズミル分散装置にて1時間分散させて、下引き層塗布液を作製した。
実施例1
ヒドロキシスチレン樹脂10重量部およびブチル化メラミン樹脂10重量部を、テトラヒドロフラン80重量部とブチルアルコール20重量部とからなる溶媒に溶解させた樹脂溶液を作製した。カーボンナノファイバー(昭和電工(株)製、VGCF(登録商標):短直径150nm、長さ10〜20μm)を予めテトラヒドロフランとメタノールとの混合溶液に分散させ、この溶液に対しビーズミルを用いた機械的粉砕を行うことにより約0.5μm以下の長さに粉砕した。このカーボンナノチューブを含むテトラヒドロフランとメタノールとの混合溶液を遠心分離機にかけ、短直径0.15μmで、平均長さ0.4μmのカーボンナノチューブを分取し、アモルファスカーボンや黒鉛状物質ならびに過粉砕したカーボンナノチューブを除去した。これにより得られたカーボンナノチューブ10重量部を上記樹脂溶液に混合し、ビーズミル分散装置にて1時間分散させて、下引き層塗布液を作製した。
この下引き層塗布液をアルミニウム円筒基板(導電性基体)上に、ディップ法にて10μm塗工後、150℃30分にて乾燥して、下引き層を形成した。次いで、その上層に、Y型チタニルフタロシアニン2重量部と、変性塩化ビニル樹脂1重量部およびポリビニルブチラール樹脂1重量部とをジクロロエタン96重量部中に分散せしめた電荷発生層塗布液をディップ法にて0.1μm塗工して、電荷発生層を形成した。さらに、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン5重量部と、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン5重量部と、粘度平均分子量50000のポリカーボネートZ樹脂10重量部とを、ジクロロメタン溶媒80重量部により溶解させて、電荷輸送層塗布液を作製し、ディップ法にて30μmの膜厚に塗工形成した後、100℃60分にて乾操して、電荷輸送層を形成し、電子写真用感光体を作製した。
実施例2
実施例1の樹脂溶液に対し、実施例1で作製したカーボンナノチューブ5重量部と、あらかじめ表面をアミノシランカップリング剤で表面処理した1次粒径0.03〜0.05μmの超微粒子酸化チタン(TiO2)40重量部とを混合し、ビーズミル分散装置にて1時間分散させて、下引き層塗布液を作製した以外は、実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を順次成膜して、電子写真用感光体を作製した。
実施例1の樹脂溶液に対し、実施例1で作製したカーボンナノチューブ5重量部と、あらかじめ表面をアミノシランカップリング剤で表面処理した1次粒径0.03〜0.05μmの超微粒子酸化チタン(TiO2)40重量部とを混合し、ビーズミル分散装置にて1時間分散させて、下引き層塗布液を作製した以外は、実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を順次成膜して、電子写真用感光体を作製した。
実施例3
実施例1の樹脂溶液に代えて、アルコール可溶性ナイロン(CM8000)8重量部およびメラミン樹脂2重量部を、ジクロロメタン100重量部とn−ブチルアルコール25重量部とからなる溶媒に溶解させた樹脂溶液を用い、この樹脂溶液に実施例1で作製したカーボンナノチューブ10重量部を混合し、実施例1と同様にビーズミル分散装置にて1時間分散させて、下引き層塗布液を作製した。それ以外は実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を順次成膜して、電子写真用感光体を作製した。
実施例1の樹脂溶液に代えて、アルコール可溶性ナイロン(CM8000)8重量部およびメラミン樹脂2重量部を、ジクロロメタン100重量部とn−ブチルアルコール25重量部とからなる溶媒に溶解させた樹脂溶液を用い、この樹脂溶液に実施例1で作製したカーボンナノチューブ10重量部を混合し、実施例1と同様にビーズミル分散装置にて1時間分散させて、下引き層塗布液を作製した。それ以外は実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を順次成膜して、電子写真用感光体を作製した。
実施例4
実施例1の下引き層液塗布液を用いて下引き層を形成した後、電荷発生物質としてのα型チタニルフタロシアニン1重量部と、電子輸送物質としての4−オキソ−3,5−ジターシャリーブチル−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン−(4−クロロフェニルアゾ)−メチレン20重量部と、正孔輸送物質としてのN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン30重量部と、粘度平均分子量50000のポリカーボネートZ樹脂40重量部とを、テトラヒドロフラン溶媒300重量部により溶解させて、ディップ法にて膜厚30μmの感光層を塗工形成した後、100℃60分の乾燥にて電子写真用感光体を作製した。
実施例1の下引き層液塗布液を用いて下引き層を形成した後、電荷発生物質としてのα型チタニルフタロシアニン1重量部と、電子輸送物質としての4−オキソ−3,5−ジターシャリーブチル−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン−(4−クロロフェニルアゾ)−メチレン20重量部と、正孔輸送物質としてのN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン30重量部と、粘度平均分子量50000のポリカーボネートZ樹脂40重量部とを、テトラヒドロフラン溶媒300重量部により溶解させて、ディップ法にて膜厚30μmの感光層を塗工形成した後、100℃60分の乾燥にて電子写真用感光体を作製した。
比較例1
実施例1の樹脂溶液に、粒子径約0.2μmのカーボンブラック20重量部を混合し、ビーズミル分散装置にて1時間分散させて、下引き層塗布液を作製した。それ以外は実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を順次成膜して、電子写真用感光体を作製した。
実施例1の樹脂溶液に、粒子径約0.2μmのカーボンブラック20重量部を混合し、ビーズミル分散装置にて1時間分散させて、下引き層塗布液を作製した。それ以外は実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を順次成膜して、電子写真用感光体を作製した。
比較例2
実施例1の樹脂溶液に対し、あらかじめ表面をアミノシランカップリング剤で表面処理した1次粒径0.03〜0.05μmの超微粒子酸化チタン40重量部を混合して、ビーズミル分散装置にて1時間分散させ、下引き層塗布液を作製した。それ以外は実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を順次成膜して、電子写真用感光体を作製した。
実施例1の樹脂溶液に対し、あらかじめ表面をアミノシランカップリング剤で表面処理した1次粒径0.03〜0.05μmの超微粒子酸化チタン40重量部を混合して、ビーズミル分散装置にて1時間分散させ、下引き層塗布液を作製した。それ以外は実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を順次成膜して、電子写真用感光体を作製した。
比較例3
実施例3の樹脂溶液に対し、あらかじめ表面をアミノシランカップリング剤で表面処理した1次粒径0.03〜0.05μmの超微粒子酸化チタン40重量部を混合して、ビーズミル分散装置にて1時間分散させ、下引き層塗布液を作製した。それ以外は実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を順次成膜して、電子写真用感光体を作製した。
実施例3の樹脂溶液に対し、あらかじめ表面をアミノシランカップリング剤で表面処理した1次粒径0.03〜0.05μmの超微粒子酸化チタン40重量部を混合して、ビーズミル分散装置にて1時間分散させ、下引き層塗布液を作製した。それ以外は実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を順次成膜して、電子写真用感光体を作製した。
これら実施例1〜4および比較例1〜3で得られた電子写真用感光体につき、富士電機画像デバイス(株)製の汎用感光体ドラム電気特性評価装置を用いて電気特性評価を行った。実施例1〜3および比較例1〜3については、最初にスコロトロン方式のコロナ帯電により、暗所における感光体表面の帯電電位V0が約−650Vになるよう帯電して帯電電位V0を測定し、その時の感光体への流れ込み電流IPCを測定して、下記式に従い、帯電能を求めた。また、実施例4については約+650Vになるよう帯電を行って帯電電位V0を測定し、以下同様にして帯電能を測定した。
帯電能 V/I(V/μA)=V0/IPC
続いて、コロナ放電を中止して、暗所で1秒間放置後の表面電位VDを測定し、下記式に従い電位保持率Vk1を求めた。
電位保持率 Vk1(%)=VD/V0×100
さらに、同様にして、実施例1〜3および比較例1〜3については感光体を約−650Vに帯電させ、780nm,1μW/cm2の露光により、表面電位が−600Vから−100Vに減衰するのに必要な露光量を感度E100として測定した。また、実施例4については、表面電位が+600Vから+100Vに減衰するのに必要な露光量エネルギーを感度E100として測定した。続いて、露光照射5μJ/cm2後の残留電位Vr5を測定した。
これらの結果を下記の表1中に示す。
帯電能 V/I(V/μA)=V0/IPC
続いて、コロナ放電を中止して、暗所で1秒間放置後の表面電位VDを測定し、下記式に従い電位保持率Vk1を求めた。
電位保持率 Vk1(%)=VD/V0×100
さらに、同様にして、実施例1〜3および比較例1〜3については感光体を約−650Vに帯電させ、780nm,1μW/cm2の露光により、表面電位が−600Vから−100Vに減衰するのに必要な露光量を感度E100として測定した。また、実施例4については、表面電位が+600Vから+100Vに減衰するのに必要な露光量エネルギーを感度E100として測定した。続いて、露光照射5μJ/cm2後の残留電位Vr5を測定した。
これらの結果を下記の表1中に示す。
上記表1に示すように、実施例1〜実施例4と比較して、比較例1では電位保持率の低下が認められた。
また、実施例1〜4および比較例1〜3の感光体の印字特性評価を行った。その結果を下記の表2に示す。なお、表中の常温とは、温度23±3℃、湿度約35〜60%の条件を意味し、高温/高湿とは、温度35℃、湿度80%の条件を意味する。さらに、各実施例および比較例で用いた下引き層塗布液につき、常温で1週間静置した際における増粘の有無、および、常温で1ヶ月静置後におけるフィラー沈降の評価結果を、下記の表3に併せて示す。
上記表2からわかるように、実施例1〜実施例4の感光体においては、常温での階調印字およびハーフトーン印字、高温高湿での印字のいずれにおいても良好な結果が得られている。これに対して、比較例1〜比較例3の感光体では、階調の濃度変化、ハーフトーンの濃度ムラ、高温高湿時における黒点かぶりなどの印字不良が発生していることがわかる。
また、上記表3からわかるように、実施例1〜実施例3に係る下引き層塗布液はいずれも1週間放置後の増粘がなく、1ヶ月放置後においても沈降は発生せず、分散安定性に優れることが確かめられた。これに対し、比較例1に係る下引き層塗布液は、1週間放置後にすでに増粘が生じ、また、比較例2、3に係る下引き層塗布液についても1ヶ月後には沈降が生じてしまい、いずれも分散安定性の悪いものであった。
1 支持体
2 下引き層
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 単層型の感光層
2 下引き層
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 単層型の感光層
Claims (4)
- 導電性基体上に、下引き層および感光層を備えた電子写真用感光体において、該下引き層がカーボンナノチューブを含有することを特徴とする電子写真用感光体。
- 前記感光層が電荷発生層および電荷輸送層からなる積層型である請求項1記載の電子写真用感光体。
- 前記感光層が単一の層からなる単層型である請求項1記載の電子写真用感光体。
- 前記下引き層が金属酸化物微粒子を含有する請求項1〜3のうちいずれか一項記載の電子写真用感光体。
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