JP2006084658A - 光量調節用遮光羽根部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄肉の羽根部と2個の軸部を一体的に射出成型することを可能にするため、樹脂の流れ状態を良好として、位置、形状の最適化を図る。
【解決手段】射出成型時に、可動型11側を流れる樹脂を矢印X、固定型12側を流れる樹脂を矢印Yとすると、樹脂X、Yが入る前の空気Zが樹脂に押され、型の合わせ部11d、12eの隙間から押し出される。可動型11には斜面11e、固定型12には斜面12fが形成され、それぞれ合わせ部11d、12eに対し角度α、βが付されており、端部に突き当たった樹脂X、Yが型合わせ部11d、12eに向かって流れ易くなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、カメラ、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等の撮像光学装置に用いられる光量調節用遮光羽根部材に関するものである。
固体撮像素子を内蔵したビデオカメラ、デジタルカメラなどのカメラやフィルムを使用するカメラには、レンズの焦点深度の確認、フィルムや固体撮像素子に結像される被写体の光量を調節するために、開口径を制御する絞りによる光量調節装置が設けられている。
また、映像を投影するための光学機器にも、光量調節装置を有するものもある。これらの光量調節装置は遮光部材として複数の絞り羽根を用い、虹彩のように光軸部を中心にして連続して開口径を変化させる型式と、2枚の絞り羽根を互いに反対方向に相対移動させて開口径を変化させる型式のものとが代表的である。
前者は開口径を連続的に変えられるので、任意の開口径を得ることができる利点があるが、円形に近い形状の開口が得られるようにするためには、絞り羽根の枚数を多くする必要があり、コスト的に不利な面がある。一方、後者は絞り羽根の枚数が少ないためにコスト的に有利であるが、円形に近い開口形状が得られないという欠点がある。
更に、カメラの露出制御機構としては、上述の絞り装置の他にシャッタ装置があり、絞り羽根は遮光のための羽根部と、この羽根部を駆動させるために設けられた2つの軸部から成っている。
従来、この絞り羽根に軸部を形成するには、シート状の金属板やプラスチックシートを羽根部として、この羽根部に金属製の軸部を機械的にかしめたり、羽根シートに樹脂をアウトサ−ト成型で形成したりして、製作に多くの工数が掛かるとか、信頼性に問題がある。
この問題を解決するために、特許文献1のように羽根部と軸部とを一体的に射出成型する提案がなされている。しかし、羽根部を射出成型すると、樹脂の流動性から羽根部が厚くなるため、光量調節装置の開口を形成する羽根部の端面に光が当たり、内面反射が発生しゴースト、フレアなどの光学的悪影響が生じ易い。
この解決策として、特許文献2、3が提案され、悪影響を緩和することが試みられている。
特開平6−317826号公報 特開平5−281590号公報 特開2002−229095号公報
しかし、特許文献2、3においては、羽根部の断面における先端部は極めて薄い肉厚となり、射出成型では樹脂が流れ難く、現実性の少ない発明となっている。
本発明の目的は、上述の課題を解消し、薄肉の羽根部と2個の軸部を一体的に射出成型することを可能にするため、樹脂の流れ状態を良好として、位置、形状の最適化を図った光量調節用遮光羽根部材を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る光量調節用遮光羽根部材の技術的特徴は、複数個を組合わせて回転駆動により開口量を変えて光量を調整する板状の遮光羽根部を合成樹脂により成型する場合において、前記羽根部と共に前記羽根部の面に対し直交方向に2個の回転駆動用軸部を一体的に射出型により成型し、前記羽根部の外縁の厚み方向の略中央部に射出型の型合わせ部を配置したことにある。
また、本発明に係る光量調節用遮光羽根部材の技術的特徴は、複数個を組合わせて回転駆動により開口量を変えて光量を調整する板状の遮光羽根部を合成樹脂により成型する場合において、前記羽根部と共に前記羽根部の面に対し直交方向に2個の回転駆動用軸部を一体的に射出型により成型し、前記軸部と前記羽根部との結合部に円弧部を設けたことにある。
更に、本発明に係る光量調節用遮光羽根部材の技術的特徴は、複数個を組合わせて回転駆動により開口量を変えて光量を調整する板状の遮光羽根部を合成樹脂により成型する場合において、前記羽根部と共に前記羽根部の面に対し直交方向に2個の回転駆動用軸部を一体的に射出型により成型し、前記羽根部同士が重ならない羽根部分は羽根部同士が重なる羽根部分よりも肉厚を厚くしたことにある。
本発明に係る光量調節用遮光羽根部材によれば、射出成型時に射出型内に溜まった空気を、羽根部の厚み方向の略中央部に型合わせ部を設けて逃がすことにより、羽根部の先端まで樹脂を安定して流すことができ、薄い羽根であっても射出成型により製作することができる。
また、羽根部の外縁に少なくとも2個の傾斜部又は円弧部が光量調節装置の開口部を形成する際に、羽根部の端面で内面反射が生ずることを防止することもできる。
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は光量調節装置の分解斜視図であり、光軸に沿って、駆動源であるステッピングモータ1、光量調整部の本体となり中央に固定開口部2aを有する地板2、開口を可変しシャッタを兼用した6枚の絞り羽根3、これらの絞り羽根を動かす風車部材4、仕切板5、フィルタ保持枠6、NDフィルタ7、押さえ板8が順次に配列されている。なお図1においては、絞り羽根3は開放位置にある。
絞り羽根3は地板2と風車部材4とに挟まれた空間内に配置され、同形状の6枚の絞り羽根3が用いられているが、これは6枚に限らなくともよい。各絞り羽根3の地板2側には回転軸部3aが形成されており、回転軸部3aは地板2の孔部2bに嵌め込まれ、絞り羽根3が孔部2bを中心に回転自在に支持されている。
また、絞り羽根3の風車部材4側にはカム軸部3bが形成され、風車部材4に形成されたカム溝部4aにそれぞれ係合している。ステッピングモータ1の出力軸1aに固定されたピニオン1bは、風車部材4の外周の一部に形成された風車ギア部4bに噛合され、ステッピングモータ1の駆動により風車部材4を回転するようにされている。
風車部材4が回転すると、絞り羽根3のカム軸部3bがカム溝部4aに沿って移動し、絞り羽根3が回転軸部3aを中心に開放位置と全閉位置との間で開閉動作を行うことになる。6枚の絞り羽根3が同時に同様な回転動作をすることで、絞り開口の径が変化し光量を調節し、或いはシャッタとして作動することができる。
仕切板5は絞り羽根3、風車部材4を間に挟んで地板2にビスにより取り付けられ、風車部材4はその中央部の円筒部4cの外周が、仕切板5の中央に形成された固定開口部5aの内周に嵌合して、仕切板5に光軸を中心に回転自在に保持されている。
押さえ板8は仕切板5、フィルタ保持枠6、NDフィルタ7を間に挟んで、地板2にビスにより取り付けられ、NDフィルタ7は所定の透過率を有し透過光量を減衰させ、フィルタ保持枠6の前面側に接着等により貼り付けられている。フィルタ保持枠6の基端部には孔部6aが設けられており、仕切板5に形成された軸部5bに嵌合し、フィルタ保持枠6はこの軸部5bを中心に回転可能とされている。
図2は1枚の絞り羽根3の平面図であり、絞り羽根3の表面及び裏面にはそれぞれ回転軸部3a及びカム軸部3bが一体的に成型されている。絞り羽根3の遮光部となる両面には、光を乱反射させる目的の細かな凹凸形状のマット面3cが施されている。また、非マット面3dは開口を遮光するために使われるマット面3c以外の場所であり、線分3eを境にマット面3cとは異なった表面状態とされ、一見してマット面3cと区別できる表面形状とされている。
この表面形状は組立作業時に、この非マット面3dを指でつまんで作業するための目印の役目を果しており、マット面3cに触れて傷を付けないようにされている。なお、曲線状の羽根端部3fは絞り開口の外縁となり開口の径を決定している。
図3は遮光羽根製作用の射出成型の型構造断面図であり、図2の絞り羽根3のA−A断面に相当している。射出型は可動型11と固定型12から成り、可動型11には絞り羽根3のカム軸部3bを形成するためのキャビテイ11a、樹脂流れを良くしカム軸部3bの強度を増すための円弧部11b、また絞り羽根3を成型するキャビティ11cが形成されている。
固定型12には、樹脂を注入するためのゲート部12a、回転軸部3aを形成するためのキャビテイ12b、可動型11のキャビティ11cと共働して絞り羽根3を成型するキャビティ12c、樹脂流れを良好にし回転軸部3aの強度を増すための円弧部12dが形成されている。
図4は絞り羽根3の外周に相当する型断面Bの部分の拡大断面図である。なお、他の外縁、例えば羽根端部3fに対応した部分も同形状である。射出成型時に、可動型11側を流れる樹脂を矢印X、固定型12側を流れる樹脂を矢印Yで示すと、樹脂X、Yが入る前の空気Zは樹脂X、Yに押され、絞り羽根3の厚み方向の略中央部に位置する型合わせ部11d、12eの隙間から押し出される。可動型11には斜面11e、固定型12には斜面12fが形成され、それぞれ型合わせ部11d、12eに対し角度α、βが付されている。従って、端部に突き当たった樹脂X、Yが型合わせ部11d、12eに向かって流れ易くなる。
角度α、βは90°<α、β<180°の関係にあり、ここでは斜面11e、12fを直線で画いているが、円弧状であっても同様の効果が得られる。また、平面部と斜面11e、12fの境界部が滑らかに接するように角部11f、12gを円弧状とすることにより、樹脂X、Yの流れが更に良くなる。更に、角度αとβを異なる値としているのは、成型後に型を開いて絞り羽根3を取り出すときに、絞り羽根3が可動型11側に残るように型離型抵抗を変えるためである。
このように、角度αよりも角度βを大きくすることで絞り羽根3の離型抵抗が変わり、角度の小さいα側である可動型11側に絞り羽根3が残るようになる。このとき、樹脂注入口であるゲート部12aのキャビティ12bの境界は細くなっているため、型を開いた時に自動的に絞り羽根3とゲート部12aが切断分離される。また、角度αとβとで形成された羽根端部3fの傾斜部の表面にもマット面3cと同様の細かな凹凸表面処理が射出成型時に施されている。
図5は羽根端部3fに上述の角度α、βによる傾斜部3g、3hを設けることにより、内面反射を防止する説明図であり、傾斜部3g、3hが絞り羽根3の開口を形成しているときに、傾斜部3gに当たった入射光線p、q、rなどは、点線p’、q’、r’で示すように反射され、撮像面に進まないので光学的な悪影響を及ぼすことはない。
なお、絞り羽根3は回動時に重なり合わない部分の肉厚を、重なり合う部分の肉厚よりも厚くして、強度を高めることができる。特に、回転軸部3a、カム軸部3bは重なり合わない部分に設けるので、これらの軸部3a、3bに対する取付強度は大となる。
本実施例の絞り羽根3は、羽根端部3fには少なくとも2個の傾斜部又は円弧部を有することにより、羽根端部3fまで安定して樹脂が流れ、薄い羽根を射出成型で製作することを可能としている。更に、回転軸部3a、カム軸軸部3bを射出成型する際に流動抵抗を減らし、湯流れを良くするために軸部3a、3bの根元部を円弧状にして、軸部3a、3bの抜け、折れ強度を向上させる効果もある。
一方、羽根端部3fに傾斜部又は円弧部を有することは、絞り羽根3を回動したときに、絞り羽根3同士を引っ掛かり難くし、絞り羽根3間の摺動抵抗を減少する効果もある。
光量調節装置の分解斜視図である。 絞り羽根の平面図である。 遮光羽根製作用の射出成型型構造の断面図である。 羽根外周に相当する型断面の拡大断面図である。 羽根端面の内面反射防止の説明図である。
符号の説明
1 ステッピングモータ
2 地板
3 絞り羽根
3a 回転軸部
3b カム軸部
3g、3h 傾斜部
4 風車部材
4a カム溝部
5 仕切板
6 フィルタ保持枠
7 NDフィルタ
8 押さえ板
11 可動型
12 固定型

Claims (8)

  1. 複数個を組合わせて回転駆動により開口量を変えて光量を調整する板状の遮光羽根部を合成樹脂により成型する場合において、前記羽根部と共に前記羽根部の面に対し直交方向に2個の回転駆動用軸部を一体的に射出型により成型し、前記羽根部の外縁の厚み方向の略中央部に射出型の型合わせ部を配置したことを特徴とする光量調節用遮光羽根部材。
  2. 前記羽根部の外縁に前記型合わせ部に向う少なくとも2個の傾斜部又は円弧部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の光量調節用遮光羽根部材。
  3. 前記傾斜部又は円弧部の表面に光反射防止面を設けたことを特徴とする請求項2に記載の光量調節用遮光羽根部材。
  4. 前記傾斜部又は円弧部において、前記射出型のゲート側の離型抵抗を他の側よりも小さくしたことを特徴とする請求項2に記載の光量調節用遮光羽根部材。
  5. 複数個を組合わせて回転駆動により開口量を変えて光量を調整する板状の遮光羽根部を合成樹脂により成型する場合において、前記羽根部と共に前記羽根部の面に対し直交方向に2個の回転駆動用軸部を一体的に射出型により成型し、前記軸部と前記羽根部との結合部に円弧部を設けたことを特徴とする光量調節用遮光羽根部材。
  6. 複数個を組合わせて回転駆動により開口量を変えて光量を調整する板状の遮光羽根部を合成樹脂により成型する場合において、前記羽根部と共に前記羽根部の面に対し直交方向に2個の回転駆動用軸部を一体的に射出型により成型し、前記羽根部同士が重ならない羽根部分は羽根部同士が重なる羽根部分よりも肉厚を厚くしたことを特徴とする光量調節用遮光羽根部材。
  7. 前記2個の回転駆動用軸部は前記羽根部の表裏面に1個ずつ設けた請求項1又は5又は6に記載の光量調節用遮光羽根部材。
  8. 前記羽根部の遮光部の表裏両面に光反射防止面を設け、前記遮光部以外の表裏両面は前記光反射防止面とは異なった表面形状としたことを特徴とする請求項1又は5又は6に記載の光量調節用遮光羽根部材。
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