JP2006083882A - ブレーキキャリパー構造 - Google Patents

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明彦 小池
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Abstract

【課題】ブレーキをかけた際に打撃音が発生することを防ぐことができるブレーキキャリパー構造を提供する。
【解決手段】 ブレーキキャリパー構造10は、ディスクロータ11の外周11a側にキャリパー12を配置し、キャリパー12をキャリパーブラケット13を介して車体側14に設け、キャリパーブラケット13で、摩擦材42,45を設けた裏板41,44を支え、裏板41,44を押圧することにより、摩擦材42,45をディスクロータ11に押し付けるものである。このブレーキキャリパー構造10は、裏板41,44を、磁石で吸着可能な材料で形成し、裏板41,44を吸着する磁石部67,68,71,72を、キャリパーブラケット13に設けたものである。
【選択図】 図3

Description

本発明はブレーキキャリパー構造に係り、摩擦材を裏板に設け、裏板をキャリパーブラケットで支え、摩擦材をディスクロータに押し付けるブレーキキャリパー構造に関する。
ブレーキキャリパー構造のなかには、車輪とともに回転するディスクロータの外周側にキャリパーを配置し、このキャリパーをキャリパーブラケットを介して車体側に設け、このキャリパーブラケットでパッドの裏板を支え、この裏板を、キャリパーに設けたピストンで押圧してディスクロータにパッドの摩擦材を押し付けるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
実開平6−71925号公報
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図7は従来の基本構成を説明する図である。
ブレーキキャリパー構造200は、パッド201を裏板202および摩擦材203で構成し、裏板202の前後の端部にそれぞれ前後の係合溝204,204(前係合溝204のみ図示する)を形成し、前後の係合溝204,204に前後のパッドスプリング205,205(前パッドスプリング205のみ図示する)を嵌め込み、前後のパッドスプリング205,205に前後の腕部206,206(前腕部206のみ図示する)をそれぞれ差し込む。
裏板202の前係合溝204と前腕部206との間の空間に前パッドスプリング205を設けるとともに、裏板202の後係合溝204と後腕部206との間の空間に後パッドスプリング205を設ける。
これにより、パッド201が車体前後方向に振動することを抑え、パッド201の裏板202が前後の腕部06,206に直接当たることを防ぐ。
しかし、車両の前進走行時にブレーキペダルを踏んでブレーキをかけ、裏板202をピストンで押圧して、摩擦材203をディスクロータに押し付けた際に、パッド201がディスクロータの回転方向、すなわち、車体前方向に移動する。
前パッドスプリング205が裏板202の前係合溝204で押圧されて弾性変形する。裏板202の前係合溝204が、前パッドスプリング205を介して前腕部206に当たり、打撃音が発生する。
ブレーキペダルを解放することにより、裏板202の対するピストンの押圧力を解除して、摩擦材203をディスクロータから離すと、前パッドスプリング205の復元力で、裏板202の前係合溝204が前腕部206から離れる。
その後、ブレーキペダルを再び踏んで裏板202をピストンで押圧して、摩擦材203をディスクロータに押し付けると、前パッドスプリング205が裏板202の前係合溝204で押圧されて弾性変形する。
裏板202の前係合溝204が前パッドスプリング205を介して前腕部206に当たり打撃音が再び発生する。
このように、車両の前進走行時にブレーキペダルを繰り返し踏んでブレーキをかける度に、裏板202の前係合溝204が前パッドスプリング205を介して前腕部206に繰り返し当たり、打撃音が発生する。
さらに、車両の後進走行時にブレーキペダルを繰り返し踏んでブレーキをかけた場合にも、裏板202の後係合溝204が後パッドスプリング205を介して後腕部206に繰り返し当たる。
このため、車両の後進走行時にブレーキペダルを繰り返し踏んでブレーキをかけた場合にも、車両の前進走行時にブレーキを繰り返しかけた場合と同様に打撃音が発生する。
本発明は、ブレーキをかけた際に打撃音が発生することを防ぐことができるブレーキキャリパー構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車輪とともに回転するディスクロータの外周側にキャリパーを配置し、このキャリパーをキャリパーブラケットを介して車体側に設け、このキャリパーブラケットで、摩擦材を設けた裏板を支え、この裏板をキャリパーに設けたピストンで押圧することにより、摩擦材をディスクロータに押し付けるブレーキキャリパー構造において、前記裏板を、磁石で吸着可能な材料で形成し、この裏板を吸着する磁石部を、前記キャリパーあるいは前記キャリパーブラケットの一方に設けたことを特徴とする。
回転中のディスクロータに摩擦材を押し付けた際に、裏板がディスクロータの回転方向に移動して、裏板の両端部のうち、回転方向側の端部がキャリパーブラケットに当たる。
この状態で、キャリパーあるいはキャリパーブラケットの一方に設けた磁石部で裏板を吸着する。
よって、ディスクロータに対する摩擦材の押し付けを解放した後でも、裏板の回転方向側の端部をキャリパーブラケットに当てた状態に保つことが可能になる。
これにより、回転中のディスクロータに摩擦材を押し付ける操作を繰り返す際に、裏板がディスクロータの回転方向に移動することを防いで、裏板の回転方向側の端部がキャリパーブラケットに当たることを阻止できる。
請求項2は、キャリパーブラケットに、裏板の両端部を保持する保持部を設け、一方もしくは両方の保持部に前記磁石部を設けたことを特徴とする。
よって、磁石部を設けた保持部側にディスクロータを回転させた際に、裏板の両端部のうち、ディスクロータの回転方向側の端部を磁石部で吸着して、吸着した端部を磁石部に当てた状態により確実に保つ。
これにより、回転中のディスクロータに摩擦材を押し付ける操作を繰り返す際に、磁石部(キャリパーブラケット)から裏板が離れ、離れた裏板が磁石部に繰り返し当たることを防ぐ。
すなわち、裏板を磁石部に当てた状態により確実に保つことで、裏板がディスクロータの回転方向に移動することをより確実に防いで、裏板の回転方向側の端部がキャリパーブラケットに当たることをより確実に阻止できる。
請求項3は、車輪とともに回転するディスクロータの外周側にキャリパーを配置し、このキャリパーをキャリパーブラケットを介して車体側に設け、このキャリパーブラケットで、摩擦材を設けた裏板を支え、この裏板をキャリパーに設けたピストンで押圧することにより、摩擦材をディスクロータに押し付けるブレーキキャリパー構造において、前記裏板に磁石部を設けるとともに、前記キャリパーおよび前記キャリパーブラケットの少なくとも一方を、磁石で吸着可能な材料で形成したことを特徴とする。
裏板に磁石部を設けるとともに、キャリパーおよびキャリパーブラケットの少なくとも一方を磁石で吸着可能な材料で形成した。
よって、回転中のディスクロータに摩擦材を押し付けることで、裏板がディスクロータの回転方向に移動し、裏板の両端部のうち、回転方向側の端部がキャリパーブラケットに当接した際に、キャリパーおよびキャリパーブラケットの少なくとも一方を裏板の磁石部で吸着する。
これにより、ディスクロータに対する摩擦材の押し付けを解放した後でも、裏板の回転方向側の端部をキャリパーブラケットに当てた状態に保つことが可能になる。
したがって、回転中のディスクロータに摩擦材を押し付ける操作を繰り返す際に、裏板がキャリパーブラケットから離れ、離れた裏板がキャリパーブラケットに繰り返し当たることを防ぐ。
すなわち、裏板をキャリパーブラケットに当てた状態に保つことで、裏板がディスクロータの回転方向に移動することを防いで、裏板の回転方向側の端部がキャリパーブラケットに当たることを阻止できる。
請求項1に係る発明では、キャリパーあるいはキャリパーブラケットの一方に、裏板を吸着する磁石部を設けることで、裏板の回転方向側の端部がキャリパーブラケットに当たることを防いで、打撃音の発生を防止することができるという利点がある。
請求項2に係る発明では、磁石部を設けた保持部側にディスクロータを回転させた際に、ディスクロータの回転方向側の端部を磁石部で吸着することで、裏板の回転方向側の端部がキャリパーブラケットに当たることを防いで、打撃音の発生を防止することができるという利点がある。
請求項3に係る発明では、裏板に磁石部を設けるとともに、キャリパーおよびキャリパーブラケットの少なくとも一方を磁石で吸着可能な材料で形成することで、裏板の回転方向側の端部がキャリパーブラケットに当たることを防いで、打撃音の発生を防止することができるという利点がある。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側を示す。
図1は本発明に係るブレーキキャリパー構造の第1実施の形態を示す斜視図である。
ブレーキキャリパー構造10は、ディスクロータ11の外周11a側の上部にキャリパー12を配置し、このキャリパー12をキャリパーブラケット13を介して車体側14に設け、このキャリパーブラケット13で内側パッド16および外側パッド17(図3も参照)を支え、内側パッド16をピストン18(図3参照)で押圧することにより、内側パッド16および外側パッド17をディスクロータ11に押し付けるものである。
ディスクロータ11は、車輪20とともに回転する円板状の部材である。
ピストン18は、キャリパー12に摺動自在に設けられている部材である。
キャリパーブラケット13は、ねじ孔15…(…は複数を示す)にボルト19…をねじ結合することにより車体側14にボルト19…で取り付けられた部材である。
このキャリパーブラケット13は、前部13aに前保持部(保持部)21を設け、後部13bに後保持部(保持部)22を設け、前保持部21の外側端部21aおよび後保持部22の外側端部22aを略U字形のU形連結部24で連結した部材である。
さらに、キャリパーブラケット13は、前保持部21の内側端部21bおよび後保持部22の内側端部22bに前後のスライドピン26,27および前後のボルト28,29を介してキャリパー12を矢印a−b方向に移動自在に取り付ける。
キャリパー12は、キャリパー本体31の前部から前アーム部32を前方に延ばし、キャリパー本体31の後部から後アーム部33を後方に延ばし、前後のアーム部32,33を前後のボルト28,29および前後のスライドピン26,27を介してキャリパーブラケット13(前後の保持部21,22)に取り付けたものである。
このキャリパー12は、キャリパー本体31の上端部から車体外側に向けて連結部34を延ばし、連結部34の端部34aからディスクロータ11の半径方向内側に向けてサポート部35を延ばすことにより、キャリパー本体31を内側パッド16に臨ませ、サポート部35を外側パッド17に臨ませたものである(図3も参照)。
図2は図1の2−2線断面図、図3は図2の3−3線断面図である。
外側パッド17を、外側裏板(裏板)41および外側摩擦材(摩擦材)42で構成し、内側パッド16を、内側裏板(裏板)44および内側摩擦材(摩擦材)45で構成する。
図2に示すように、外側裏板41は、外側本体47を略矩形状に形成し、外側本体47の前部から前方に向けて前外側突片(両端部のうちの、一方の端部)48を突出し、外側本体47の後部から後方に向けて後外側突片(両端部のうちの、他方の端部)49を突出し、外側本体47および前後の外側突片48,49を、磁石で吸着可能な材料で形成した板材である。
外側摩擦材42は、外側本体47に設けた略矩形状の摩擦材であり、耐摩耗性などを高めるために金属粉が含まれた部材である。
この外側摩擦材42は、ディスクロータ11の外面11bに押し付ける部材である。
内側裏板44は、外側裏板41と同様に、内側本体51を略矩形状に形成し、内側本体51の前部から前方に向けて前内側突片(両端部のうちの、一方の端部)52を突出し、内側本体51の後部から後方に向けて後内側突片(両端部のうちの、他方の端部)53を突出し、内側本体51および前後の内側突片52,53を、磁石で吸着可能な材料で形成した板材である。
内側摩擦材45は、外側摩擦材42と同様に、内側本体51に設けた略矩形状の摩擦材であり、耐摩耗性などを高めるために金属粉が含まれた部材である。
この内側摩擦材45は、ディスクロータ11の内面11cに押し付ける部材である。
キャリパーブラケット13は、前保持部21に前外側保持部55および前内側保持部56を一定間隔Dおいて設け、後保持部22に後外側保持部58および後内側保持部59を一定間隔Dをおいて設けたものである。
前外側保持部55に前外側溝部61を形成し、前外側溝部61に外側裏板41の前外側突片(両端部のうちの、一方の端部)48を嵌め込む。前外側溝部61で外側裏板41の前外側突片48を保持する。
前内側保持部56に前内側溝部62を形成し、前内側溝部62に内側裏板44の前内側突片(両端部のうちの、一方の端部)52を嵌め込む。前内側溝部62で内側裏板44の前内側突片52を保持する。
後外側保持部58に後外側溝部64を形成し、後外側溝部64に外側裏板41の後外側突片(両端部のうちの、他方の端部)49を嵌め込む。後外側溝部64で外側裏板41の後外側突片49を保持する。
後内側保持部59に後内側溝部65を形成し、後内側溝部65に内側裏板44の後内側突片(両端部のうちの、他方の端部)53を嵌め込む。後内側溝部65で内側裏板44の後内側突片53を保持する。
これにより、前外側溝部61および後外側溝部64で外側裏板41を矢印a−b方向に移動自在に支える。
また、前内側溝部62および後内側溝部65で内側裏板44を矢印a−b方向に移動自在に支える。
前外側保持部55に立方体状の前外側磁石部(磁石部)67を埋設し、前外側磁石部67の後面67aを前外側溝部61の底面61aに露出させる。前外側磁石部67で外側裏板41の前外側突片48を吸着する。
前内側保持部56に立方体状の前内側磁石部(磁石部)68を埋設し、前内側磁石部68の後面68aを前内側溝部62の底面62aに露出させる。前内側磁石部68で内側裏板44の前内側突片52を吸着する。
後外側保持部58に立方体状の後外側磁石部(磁石部)71を埋設し、後外側磁石部71の前面71aを後外側溝部64の底面64aに露出させる。後外側磁石部64で外側裏板41の後外側突片49を吸着する。
後内側保持部59に立方体状の後内側磁石部(磁石部)72を埋設し、後内側磁石部72の前面72aを後内側溝部65の底面65aに露出させる。後内側磁石部65で内側裏板44の後内側突片53を吸着する。
外側裏板41の上辺41aと連結部34との間の隙間S、および内側裏板44の上辺44aと連結部34との間の隙間Sに板ばね74を配置する。
板ばね74のばね力で外側裏板41の上辺41aを下方に押圧するとともに、板ばね74のばね力で内側裏板44の上辺44aを下方に押圧する。
よって、外側裏板41の前外側突片48を前外側溝部61の下面61bに当接させるとともに、外側裏板41の後外側突片49を後外側溝部64の下面64bに当接させる。
同様に、内側裏板44の前内側突片52を前内側溝部62の下面62bに当接させるとともに、内側裏板44の後内側突片53を内側後溝部65の下面65bに当接させる。
キャリパーブラケット13の前保持部21に前スライド孔76を形成し、この前スライド孔76を前保持部21の内側端部21bに開口させる。
前スライド孔76に前スライドピン26を摺動自在に差し込む。前スライドピン26のナット部26aと内側端部21bとの間に前ダストシール材77を嵌め込む。
キャリパーブラケット13の後保持部22に後スライド孔78を形成し、この後スライド孔78を後保持部22の内側端部22bに開口する。
後スライド孔78に後スライドピン27を摺動自在に差し込む。後スライドピン27のナット部27aと内側端部22bとの間に後ダストシール材79を嵌め込む。
前スライドピン26のナット部26aに、キャリパー12の前アーム部32を当て、前アーム部32の取付孔32aに前ボルト28を差し込む。前アーム部32から突出した前ボルト28を前スライドピン26のねじ孔にねじ結合する。
後スライドピン27のナット部27aに、キャリパー12の後アーム部33を当て、後アーム部33の取付孔33aに後ボルト29を差し込む。後アーム部33から突出した後ボルト29を後スライドピン27のねじ孔にねじ結合する。
これにより、前保持部21の内側端部21bおよび後保持部22の内側端部22bに、前後のスライドピン26,27および前後のボルト28,29を介してキャリパー12を矢印a−b方向に移動自在に取り付ける。
このキャリパー12のキャリパー本体31にシリンダ81を形成し、シリンダ81内にピストン18を摺動自在に設け、ピストン18の端部18aを内側裏板44に当接する。
シリンダ81内には配管83を経てブレーキ油(図示せず)が充填されている。このブレーキ油に、ブレーキ作動圧をかけることにより、ピストン18で内側裏板44を押圧する。
内側裏板44を押圧することにより、内側摩擦材45をディスクロータ11の内面11cに矢印F1の如く押し付ける。
内側摩擦材45をディスクロータ11に矢印F1の如く押し付けることにより、キャリパー12が矢印a方向に移動する。
キャリパー12が矢印a方向に移動することで、キャリパー12のサポート部35で外側裏板41を押圧する。
外側裏板41を押圧することにより、外側摩擦材42をディスクロータ11の外面11bに矢印F2の如く押し付ける。
ここで、矢印F1と矢印F2との押圧力は同一の大きさである。
次に、ブレーキキャリパー構造10の作用を図4〜図5に基づいて説明する。
図4(a),(b)は第1実施の形態のブレーキキャリパー構造の作用を前進走行を例に説明する図であり、(b)は(a)の4b−4b線断面図を示す。
車両(図示せず)が前進走行することにより、ディスクロータ11が矢印cの如く回転する。
この状態において、ピストン18で内側裏板44を押圧して、内側摩擦材45を、回転中のディスクロータ11に矢印F1の如く押し付ける。
同時に、キャリパー12が矢印aの如く移動してキャリパー12のサポート部35で外側裏板41を押圧する。
外側裏板41を押圧し、外側摩擦材42を、回転中のディスクロータ11に矢印F2(矢印F2は矢印F1と同じ押圧力である。)の如く押し付ける。
内側摩擦材45と一体に内側裏板44が矢印c方向に移動するとともに、外側摩擦材42と一体に外側裏板41が矢印c方向に移動する。
内側裏板44の前内側突片52が、前内側溝部62の前内側磁石部68に当たり、前内側突片52を前内側磁石部68で吸着する。
同時に、外側裏板41の前外側突片48が前外側溝部61の前外側磁石部67に当たり、前外側突片48を前外側磁石部67で吸着する。
よって、ディスクロータ11に対する内側摩擦材45および外側摩擦材42の押し付けを解放した後でも、前内側突片52を前内側磁石部68に当てた状態に確実に保つとともに、前外側突片48を前外側磁石部67に当てた状態に確実に保つ。
これにより、回転中のディスクロータ11に、内側摩擦材45および外側摩擦材42を押し付ける操作を繰り返す際に、前内側突片52が前内側磁石部68から離れるとともに、前外側突片48が前外側磁石部67から離れ、離れた前内側突片52および前外側突片48が、それぞれ前内側磁石部68および前外側磁石部67に繰り返し当たることを防ぐ。
すなわち、回転中のディスクロータ11に、内側摩擦材45および外側摩擦材42を押し付ける操作を繰り返す際に、内側裏板44および外側裏板41が矢印c方向に移動することを確実に防ぐ。
したがって、前内側突片52が前内側溝部62の前内側磁石部68に当たることを阻止するとともに、前外側突片48が前外側溝部61の前外側磁石部67に当たることを阻止して、打撃音の発生を確実に防止する。
ところで、ディスクロータ11に内側摩擦材45および外側摩擦材42を押し付けた際に、内側摩擦材45および外側裏板41の摩耗粉(金属粉を含む)86…や、ディスクロータ11の摩耗粉(金属粉)86…が発生する。この摩耗粉86…が、車輪を取り付けるホイール(図示せず)に付着して、ホイールが摩耗粉86…で汚れることが考えられる。
ここで、内側摩擦材45および外側裏板41には、耐摩耗性を高めるために金属粉が含まれている。よって、ディスクロータ11に内側摩擦材45および外側摩擦材42を押し付けたとき発生する内側摩擦材45および外側裏板41の摩耗粉86…のうち、金属粉86…を前内側磁石部68および前外側磁石部67に矢印dの如く吸着する。
さらに、金属製のディスクロータ11に内側摩擦材45および外側摩擦材42を押し付けた際に発生するディスクロータ11の摩耗粉(金属粉)86…を前内側磁石部68および前外側磁石部67に矢印dの如く吸着する。
これにより、車輪を取り付けるホイール(図示せず)に付着する摩耗粉86…を減少させて、ホイールが摩擦粉86…で汚れることを防止することができる。
図5(a),(b)は第1実施の形態のブレーキキャリパー構造の作用を後進走行を例に説明する図であり、(b)は(a)の5b−5b線断面図を示す。
車両(図示せず)が後進走行することにより、ディスクロータ11が矢印eの如く回転する。
この状態において、ピストン18で内側裏板44を押圧して、内側摩擦材45を、回転中のディスクロータ11に矢印F1の如く押し付ける。
同時に、キャリパー12が矢印aの如く移動してキャリパー12のサポート部35で外側裏板41を押圧する。
外側裏板41を押圧し、外側摩擦材42を、回転中のディスクロータ11に矢印F2(矢印F2は矢印F1と同じ押圧力である。)の如く押し付ける。
内側摩擦材45と一体に内側裏板44が矢印e方向に移動するとともに、外側摩擦材42と一体に外側裏板41が矢印f方向に移動する。
内側裏板44の後内側突片53が後内側溝部65の後内側磁石部72に当接し、後内側突片53を後内側磁石部72で吸着する。
同時に、外側裏板41の後外側突片49が後外側溝部64の後外側磁石部71に当接し、後外側突片49を後外側磁石部71で吸着する。
よって、ディスクロータ11に対する内側摩擦材45および外側摩擦材42の押し付けを解放した後でも、後内側突片53を後内側磁石部72に当てた状態に確実に保つとともに、後外側突片49を後外側磁石部71に当てた状態に確実に保つ。
これにより、回転中のディスクロータ11に、内側摩擦材45および外側摩擦材42を押し付ける操作を繰り返す際に、後内側突片53が後内側磁石部72から離れるとともに、後外側突片49が後外側磁石部71から離れ、離れた後内側突片53および後外側突片49が、それぞれ後内側磁石部72および後外側磁石部71に繰り返し当たることを防ぐ。
すなわち、回転中のディスクロータ11に、内側摩擦材45および外側摩擦材42を押し付ける操作を繰り返す際に、内側裏板44および外側裏板41が矢印e方向に移動することを確実に防ぐ。
したがって、後内側突片53が後内側溝部65の後内側磁石部72に当たることを阻止するとともに、後外側突片49が後外側溝部64の後外側磁石部71に当たることを阻止して、打撃音の発生を確実に防止する。
ここで、ディスクロータ11に内側摩擦材45および外側摩擦材42を押し付けた際に発生する内側摩擦材45および外側裏板41の摩耗粉86…のうち、金属粉86…を後内側磁石部72および後外側磁石部71に矢印fの如く吸着する。
さらに、ディスクロータ11に内側摩擦材45および外側摩擦材42を押し付けた際に発生するディスクロータ11の摩耗粉86…を後内側磁石部72および後外側磁石部71に矢印fの如く吸着する。
これにより、車輪を取り付けるホイール(図示せず)に付着する摩耗粉86…を減少させて、ホイールが摩擦粉86…で汚れることを防止することができる。
次に、第2実施の形態のブレーキキャリパー構造について説明する。なお、第2実施の形態のブレーキキャリパー構造において、第1実施の形態のブレーキキャリパー構造10と同一類似部材については同一符号を付して説明を省略する。
図6は本発明に係るブレーキキャリパー構造の第2実施の形態を示す断面図である。
ブレーキキャリパー構造90は、外側裏板(裏板)91の両端部にそれぞれ磁石部95,96を設け、内側裏板(裏板)92の両端部にそれぞれ磁石部97,98を設け、キャリパーブラケット93を、磁石で吸着可能な材料で形成したものであり、その他の構成は第1実施の形態のブレーキキャリパー構造10と同一である。
外側裏板(裏板)91は、第1実施の形態の外側裏板41(図3参照)と同一形状の部材であり、両端部にそれぞれ磁石部95,96を設けた点が外側裏板41と相違する部材である。
内側裏板(裏板)92は、第1実施の形態の内側裏板44(図3参照)と同一形状の部材であり、両端部にそれぞれ磁石部97,98を設けた点が外側裏板41と相違する部材である。
キャリパーブラケット93は、第1実施の形態のキャリパーブラケット13(図3参照)と同一形状の部材であり、図3に示す前外側磁石部67、前内側磁石部68、後外側磁石部71および後内側磁石部72を埋設しない点でキャリパーブラケット13と相違する部材である。
第2実施形態のブレーキキャリパー構造90によれば、外側裏板91の磁石部95,96および内側裏板92の磁石部97,98でキャリパーブラケット93を吸着することで、第1実施形態のブレーキキャリパー構造10と同様の効果を得ることができる。
加えて、第2実施形態のブレーキキャリパー構造90によれば、キャリパーブラケット93に前外側磁石部67、前内側磁石部68、後外側磁石部71および後内側磁石部72を埋設する必要がないので構成の簡素化を図ることができる。
なお、前記第1実施の形態では、前後の保持部21,22に、前外側磁石部67、前内側磁石部68、後外側磁石部71および後内側磁石部72を埋設した例について説明したが、これに限らないで、例えば、接着材で、前後の保持部21,22に、前外側磁石部67、前内側磁石部68、後外側磁石部71および後内側磁石部72を接着することも可能である。
また、前記第1実施の形態では、キャリパーブラケット13の前後の保持部21,22に、前外側磁石部67、前内側磁石部68、後外側磁石部71および後内側磁石部72を設けた例について説明したが、これに限らないで、キャリパーブラケット13のその他の部位に磁石部を設けることも可能である。
さらに、前記第1実施の形態では、キャリパーブラケット13に、前外側磁石部67、前内側磁石部68、後外側磁石部71および後内側磁石部72を設けた例について説明したが、これに限らないで、キャリパー12に磁石部を設けることも可能である。
また、前記第2実施の形態では、キャリパーブラケット93を、磁石で吸着可能な材料で形成した例について説明したが、これに限らないで、キャリパーを磁石で吸着可能な材料で形成しても同様の効果を得ることができる。
さらに、前記第1、第2実施の形態では、ディスクロータ11の外周11a側の上部にキャリパー12を略横置きに配置し、外側裏板41の一方の端部を前外側突片48、他方の端部を後外側突片49とし、内側裏板44の一方の端部を前内側突片52、他方の端部を後内側突片53とした例について説明したが、これに限らないで、例えば、ディスクロータ11の外周11a側の前部にキャリパー12を縦置きに配置し、外側裏板41の一方の端部を下外側突片、他方の端部を上外側突片とし、内側裏板44の一方の端部を下内側突片、他方の端部を上内側突片としても同様の効果を得ることができる。
前記第1実施の形態では、前後の保持部、すなわち、前側の保持部55,56に磁石部67,68を設け、かつ、後側の保持部58,89に磁石部71,72を設けた例について説明したが、これに限らないで、前側の保持部55,56に磁石部67,68を設けただけでも十分に打撃音を防止する効果を得ることができ、あるいは、後側の保持部58,89に磁石部71,72を設けただけでも十分に打撃音を防止する効果を得ることができる。
前記第2実施の形態では、外側裏板91の両端部にそれぞれ磁石部95,96を設け、内側裏板92の両端部にそれぞれ磁石部97,98を設けた例について説明したが、これに限らないで、外側裏板91の一端部に磁石部を設け、内側裏板92の一端部に磁石部を設けても同様の効果を得ることができる。
さらに、外側裏板91および内側裏板92の任意の部位に磁石部を設けても同様の効果を得ることができる。
加えて、外側裏板91および内側裏板92の全体を磁石で形成しても同様の効果を得ることができる。
本発明は、摩擦材を裏板に設け、裏板をキャリパーブラケットで支え、摩擦材をディスクロータに押し付けるブレーキキャリパー構造への適用に好適である。
本発明に係るブレーキキャリパー構造の第1実施の形態を示す斜視図である。 図1の2−2線断面図である。 図2の3−3線断面図である。 第1実施の形態のブレーキキャリパー構造の作用を前進走行を例に説明する図である。 第1実施の形態のブレーキキャリパー構造の作用を後進走行を例に説明する図である。 本発明に係るブレーキキャリパー構造の第2実施の形態を示す断面図である。 従来の基本構成を説明する図である。
符号の説明
10,90…ブレーキキャリパー構造、11…ディスクロータ、11a…外周、12…キャリパー、13,93…キャリパーブラケット、14…車体側、18…ピストン、20…車輪、21…前保持部(保持部)、22…後保持部(保持部)、41,91…外側裏板(裏板)、42…外側摩擦材(摩擦材)、44,92…内側裏板(裏板)、45…内側摩擦材(摩擦材)、48…外側裏板の前外側突片(両端部のうちの、一方の端部)、49…外側裏板の後外側突片(両端部のうちの、他方の端部)、52…内側裏板の前内側突片(両端部のうちの、一方の端部)、53…内側裏板の後内側突片(両端部のうちの、他方の端部)、67…前外側磁石部(磁石部)、68…前内側磁石部(磁石部)、71…後外側磁石部(磁石部)、72…後内側磁石部(磁石部)。

Claims (3)

  1. 車輪とともに回転するディスクロータの外周側にキャリパーを配置し、このキャリパーをキャリパーブラケットを介して車体側に設け、このキャリパーブラケットで、摩擦材を設けた裏板を支え、この裏板をキャリパーに設けたピストンで押圧することにより、摩擦材をディスクロータに押し付けるブレーキキャリパー構造において、
    前記裏板を、磁石で吸着可能な材料で形成し、
    この裏板を吸着する磁石部を、前記キャリパーあるいは前記キャリパーブラケットの一方に設けたことを特徴とするブレーキキャリパー構造。
  2. 前記キャリパーブラケットに、前記裏板の両端部を保持する保持部を設け、一方もしくは両方の保持部に前記磁石部を設けたことを特徴とする請求項1記載のブレーキキャリパー構造。
  3. 車輪とともに回転するディスクロータの外周側にキャリパーを配置し、このキャリパーをキャリパーブラケットを介して車体側に設け、このキャリパーブラケットで、摩擦材を設けた裏板を支え、この裏板をキャリパーに設けたピストンで押圧することにより、摩擦材をディスクロータに押し付けるブレーキキャリパー構造において、
    前記裏板に磁石部を設けるとともに、前記キャリパーおよび前記キャリパーブラケットの少なくとも一方を、磁石で吸着可能な材料で形成したことを特徴とするブレーキキャリパー構造。
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