JP2006083461A - 金属粉の製造装置及び金属粉の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 連結粒子の発生を防止することができる金属粉の製造装置及び金属粉の製造方法を提供する。
【解決手段】 金属粉の製造装置21において、無水NiCl2を昇華させる気化部22、NiCl2ガスをH2ガスにより還元してNi微粒子を生成する還元部23、Ni微粒子を冷却する冷却部24、及びNi微粒子を回収する回収部25を、この順に一列に設ける。また、気化部22、還元部23及び冷却部24を直線的に挿通するように、1本の反応管26を設ける。そして、反応管26における冷却部24に位置する部分26cの最大内径を、還元部23に位置する部分26bの最大内径の3乃至20倍とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 金属粉の製造装置21において、無水NiCl2を昇華させる気化部22、NiCl2ガスをH2ガスにより還元してNi微粒子を生成する還元部23、Ni微粒子を冷却する冷却部24、及びNi微粒子を回収する回収部25を、この順に一列に設ける。また、気化部22、還元部23及び冷却部24を直線的に挿通するように、1本の反応管26を設ける。そして、反応管26における冷却部24に位置する部分26cの最大内径を、還元部23に位置する部分26bの最大内径の3乃至20倍とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、金属ハロゲン化物ガスを還元することにより金属粉を製造する金属粉の製造装置及び金属粉の製造方法に関し、特に、積層セラミックスコンデンサーの内部電極材料、電子機器部品の導電ペーストフィラー、及びHDD(hard disk drive:ハードディスクドライブ)等の磁気記録媒体用の磁性粉等に好適な金属粉の製造装置及びこの製造装置を使用する金属粉の製造方法に関する。
従来より、多くの電子回路基板には、積層セラミックスコンデンサー(以下、MLCC(Multilayer Ceramic Capacitor)という)が形成されている。MLCCは、セラミックスの誘電体層と金属の内部電極層とを多層化したものであり、内部電極層には、金属粉を焼結したものが使用されている。
MLCCの静電容量は、積層数が多いほど大きくなる。一方、MLCCは、電子部品としての性質上、小型であることが求められる。これらの相反する要求に応えるためには、各層を薄層化することが必要であり、現在、内部電極の層厚は1μm以下になってきている。このため、内部電極用の金属粉の粒径は1μm以下であることが要求されており、近年、小径化の傾向にますます拍車がかかっている。
従来、MLCCにおいて、内部電極材料には、Pt粉、Pd粉、Ag−Pd粉といった貴金属粉末が使用されてきた。しかしながら、MLCCは、1つの電子回路基板上に大量に形成されるため、貴金属粉を使用するとコストが高くなるという問題がある。このため、卑金属であるが、電極材料として信頼性が高いNi粉及びCu粉が使用されるようになっている。このため、近時、金属粉の中でも、特に、Ni粉及びCu粉は、MLCCの内部電極材料として、その使用量が大幅に増加している。
一般に、MLCCの製造方法においては、誘電体粉末をスラリー化し、それをフィルム上に塗布することにより作製したセラミックスグリーンシートの上に、内部電極層となるペースト状の金属粉を印刷し、それらを積み重ねて圧着した後に焼結する。従って、層厚を薄く均一にするためには、ペースト状金属粉に使用される金属粒子の粒径は小さく、且つ、粒度分布が狭く粒径が均一であることが要求される。また、焼結工程を経るため、粒子の中に界面エネルギが高い粒界が多いと、この界面エネルギが駆動力となって、誘電体が焼結しないような低温でも焼結が開始されてしまう。これにより、デラミネーションと呼ばれる積層構造の破壊が生じる。このため、金属粉は結晶性が高いことが望ましい。
このような要求特性を満足するために、Ni粉は、昇華性を有する金属ハロゲン化物ガスの気相水素還元により作製されている。なお、金属ハロゲン化物ガスとしては、塩化物ガスが最も多く使用されている。
従来、上述のようなNi粉を製造する方法としては、反応器中で塩化ニッケル(NiCl2)ガス等のニッケルハロゲン化物ガスと水素とを化学反応させる気相水素還元法が知られている(例えば、特許文献1:実用新案登録第2510932号公報参照。)。図3は、従来の気相水素還元法によりNi粉を製造する装置を示す断面図である。
図3に示すように、この従来の金属粉の製造装置1においては、反応器3の気化部6内に設置された気化るつぼ11内に、原料供給器2から投入管9を介してNiCl2原料が供給される。そして、この原料が気化部6内で外部加熱部8のコイル13により加熱されて気化し、塩化物ガスが発生する。また、この従来の装置においては、2重管構造のキャリアガス導入管10と還元ガス供給官12が反応管3の上部に挿入されている。キャリアガス供給管10と還元ガス供給管12との間から、キャリアガスが反応管3内に供給され、るつぼ11内の原料から気化した塩化物ガスが、このキャリアガスに運ばれて反応管3の下部の反応部7に供給される。一方、還元ガス供給管12からは、反応管3の反応部7に還元ガスが供給される。そして、塩化物ガス及び還元ガスが、加熱部8のコイル14により加熱される。これにより、塩化物ガスは反応部7で還元ガスと反応して還元される。この還元反応により、塩化物ガスが還元されてNi微粒子が形成される。そして、このNi微粒子は水冷ジャケット17により冷却部4で冷却された後、粉末捕集器5の捕集部19内で捕集される。これにより、Ni粉が製造される。
しかしながら、上述の従来の技術には、以下に示すような問題点がある。図3に示す従来の製造装置においては、反応部7を直管状の反応管により形成している。このような直管状の反応管を使用し、粒径が200nm以下、特に、100nm以下の金属粉を形成すると、粒子同士がつながった形状の連結粒子が多く発生する。この原因として、以下のことが考えられる。反応管における金属微粒子が生成する部分と、この金属微粒子が捕集される部分との間に、金属微粒子を冷却する部分が存在するが、この冷却部分においては、金属微粒子を含むガスが収縮するため、ガスの線流速が低下する。これにより、反応管内において向流及び対流が発生しやすくなり、反応管内のガスの流れが乱される。この結果、金属微粒子同士が衝突する確率が増加し、連結粒子が発生しやすくなる。また、金属微粒子が微小になると、単位体積当たりの表面積が増加して活性になることも、連結粒子が生成されやすくなる原因であると考えられる。
そして、この連結粒子がペースト状金属粉末中に存在すると、金属粉ペーストの印刷表面に凹凸が顕著に発生し、膜厚が不均一となる。膜厚が不均一であると、MLCCにピンホールが発生しやすくなるため、電気抵抗が増加すると共に、突起部が誘電体層を突き抜け、短絡を引き起こす虞がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、連結粒子の発生を防止することができる金属粉の製造装置及び金属粉の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る金属粉の製造装置は、金属又は合金の塩化物を気化させる気化部と、気化した前記塩化物を還元して前記金属又は合金からなる微粒子を生成する還元部と、前記微粒子を冷却する冷却部と、冷却した前記微粒子を回収する回収部と、を有し、前記気化部、前記還元部及び前記冷却部は、その一端部が前記回収部に連結されその内部で前記気化、還元及び冷却が行われる反応管を共有し、この反応管における前記冷却部に位置する部分の最大内径が前記還元部に位置する部分の最大内径の3乃至20倍であることを特徴とする。
本発明においては、反応管における冷却部に位置する部分の最大内径が還元部に位置する部分の最大内径の3乃至20倍であるため、微粒子同士の衝突を抑制し、連結粒子の発生を防止することができる。
また、前記還元部が、前記反応管の内部に配置され前記気化した塩化物及びこの塩化物を還元する還元ガスを相互に独立して流通させる多重管と、この多重管の下流側に連結されその内径が前記多重管の外径以上でありその内部で前記気化した塩化物と前記還元ガスと反応させるフード管と、を有することが好ましい。これにより、反応管内における還元反応が起こる領域を限定して、還元反応の効率を向上させると共に、還元部において生成した微粒子を効率よく冷却部に放出することができる。
本発明に係る金属粉の製造方法は、金属又は合金の塩化物を気化させる気化工程と、反応管内で気化した前記塩化物を還元して前記金属又は合金からなる微粒子を生成する還元工程と、前記反応管内で前記微粒子を冷却する冷却工程と、冷却した前記微粒子を回収する回収工程と、を有し、前記冷却工程は、前記反応管における前記還元工程を行う部分の最大内径の3乃至20倍の最大内径を持つ部分で行うことを特徴とする。
また、前記金属又は合金が、Ni、Cu、Co、Fe、Ag、W、Mo、Nb及びTaからなる群から選択された金属又はこれらの合金であってもよい。
本発明によれば、反応管における冷却部に位置する部分の最大内径を、還元部に位置する部分の最大内径の3乃至20倍としているため、微粒子同士の衝突を抑制し、連結粒子の発生を防止することができる。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本実施形態に係る金属粉の製造装置を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る金属粉の製造装置21においては、例えば上方から下方に向かって、気化部22、還元部23、冷却部24及び回収部25が、この順に一列に設けられている。気化部22、還元部23及び冷却部24においては、各部を直線的に挿通するように、1本の反応管26が設けられている。反応管26は例えば、石英、アルミナ又はニッケルにより形成されており、その管軸に直交する断面の形状は、例えば環状である。また、反応管26の上端部は封止されている。
反応管26における気化部22に位置する部分26aの内径は、還元部23に位置する部分26bの内径と等しく、部分26a及び26bは直管となっている。また、反応管26における冷却部24に位置する部分26cは、その上端部及び下端部の内径は部分26a及び26bの内径と同じであるが、中央部の内径が部分26a及び26bの内径よりも大きくなっている。なお、部分26cにおける上端部、中央部及び下端部の太さは連続的に変化している。このため、部分26cの形状は太鼓状となっている。そして、部分26cにおける最大内径は、部分26bの最大内径の3乃至20倍となっている。
気化部22における反応管26の内部には、収納容器27が設けられており、収納容器27の内部には、例えば無水NiCl2等の金属塩化物51が収納されている。収納容器27は上部が開口した円筒状の容器であり、収納容器27上には、収納容器27内を気密的に封止する蓋28が設けられている。そして、蓋28には、例えばアルゴン(Ar)等のキャリアガスを収納容器27内に導入するためのパイプ29が挿通されている。キャリアガスは、金属塩化物51が気化して発生した金属塩化物ガス、例えば、NiCl2ガスを搬送するものである。
また、収納容器27の略下半部を覆うように、収納容器27の外面に対して気密的にハウジング30が設けられている。ハウジング30の上端は、金属塩化物51の上端よりも高い位置に配置されている。そして、収納容器27の側面における金属塩化物51の上面より高く、且つ、外面がハウジング30に覆われている位置には、開口部31が形成されている。更に、ハウジング30と反応管26との間には、例えばAr等のシースガスが流通するパイプ32が垂直方向に延びるように配設されており、還元ガスである水素(H2)ガスが流通するパイプ33が垂直方向に延びるように配設されている。なお、還元ガスはNiCl2ガスを還元するものである。一方、気化部22における反応管26の外部には、加熱コイル34が設けられている。また、反応管26の外面には、例えばArからなるプレッシャーガスを反応管26の内部に導入するパイプ35が連結されている。
また、還元部23における反応管26の内部には、同心円筒構造の三重管36が設けられている。三重管36はその軸方向が垂直方向になるように配置されており、外管36aと、この外管36aの内部に設けられた中管36bと、この中管36bの内部に設けられた内管36cとから構成されている。そして、外管36aと中管36bとの間の空間はパイプ33の内部と連通しており、還元ガス(H2ガス)が流通するようになっている。また、中管36bと内管36cとの間の空間はパイプ32の内部と連通しており、シースガス(Arガス)が流通するようになっている。更に、内管36cの内部は収納容器27とハウジング30との間の空間に連通されており、原料ガス、即ち、NiCl2ガスとArガスとの混合ガスが流通するようになっている。
また、三重管36の下方には、一重管であるフード管37が設けられている。フード管37の上端部は三重管36の下端部に連結されており、フード管37の内部は三重管36の内部に連通されている。また、フード管37の内径は三重管36の外径以上となっている。これにより、三重管36の下端部から三重管36外に排出された還元ガス(H2ガス)、シースガス(Arガス)及び原料ガス(NiCl2ガスとArガスとの混合ガス)が、フード管37内に流入し、フード管37内を流通した後、その下端部から反応管26の部分26c内に放出されるようになっている。なお、前述のプレッシャーガスは、反応管26の部分26bにおけるフード管37の周囲の空間に、上述の還元ガス(H2ガス)、シースガス(Arガス)及び原料ガス(NiCl2ガスとArガスとの混合ガス)が滞留しないようにするものである。また、シースガスは、三重管36の下端部付近において原料ガスと還元ガスとを分離し、原料ガスと還元ガスとが接触する位置を三重管36から離隔した位置にするものである。これにより、三重管36の下端部でNiが析出し、短時間で原料ガスの排出部が閉塞してしまうことを防止できる。一方、還元部23における反応管26の外部には、加熱コイル38が設けられている。
更に、冷却部24における反応管26の内部には何も設けられておらず、フード管37から放出された混合ガスが、回収部25に向けて流通するようになっている。一方、冷却部24における反応管26の外部には、反応管26の部分26cを冷却する水冷ジャケット39が設けられている。水冷ジャケット39には、その下部及び上部に夫々パイプ40及び41が連結されており、冷却水がパイプ40を介して水冷ジャケット39内に流入し、パイプ41を介して水冷ジャケット39内から排出されるようになっている。
更にまた、回収部25においては、反応管26の下端部に連結された容器42が設けられており、容器42内には、粉体回収用のバッグ状のフィルタ43が設けられている。バッグ状のフィルタ43は、その上部が開口しており、この開口部を介して反応管26の内部と連通されている。また、容器42には、その内部と外部とを連通する排出口44が設けられている。これにより、反応管26からフィルタ43内に流入した混合ガスが、フィルタ43を通過した後、排出口44から外部に排出されるようになっており、このとき、この混合ガスに含まれる微粒子が、フィルタ43により回収されるようになっている。
以下、本発明の構成要件における数値限定理由を説明する。
反応管26における冷却部24に位置する部分26cの最大内径:反応管26における還元部23に位置する部分26bの最大内径の3乃至20倍
部分26cの最大内径が部分26bの最大内径の3倍未満であると、冷却部における金属微粒子の密度が高くなるため、金属微粒子同士の衝突確率が増加し、連結粒子が形成されやすくなる。一方、部分26cの最大内径が部分26bの最大内径の20倍を超えると、反応管26の管軸から管外面までの距離が大きくなり過ぎ、金属微粒子の冷却効率が低下する。この結果、やはり連結粒子が形成されやすくなる。従って、反応管における冷却部24に位置する部分26cの最大内径は、反応管における還元部23に位置する部分26bの最大内径の3乃至20倍とする。
部分26cの最大内径が部分26bの最大内径の3倍未満であると、冷却部における金属微粒子の密度が高くなるため、金属微粒子同士の衝突確率が増加し、連結粒子が形成されやすくなる。一方、部分26cの最大内径が部分26bの最大内径の20倍を超えると、反応管26の管軸から管外面までの距離が大きくなり過ぎ、金属微粒子の冷却効率が低下する。この結果、やはり連結粒子が形成されやすくなる。従って、反応管における冷却部24に位置する部分26cの最大内径は、反応管における還元部23に位置する部分26bの最大内径の3乃至20倍とする。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る金属粉の製造装置の動作、即ち、本実施形態に係る金属粉の製造方法について説明する。図1に示す製造装置21の収納容器27内に、金属塩化物51、例えば、無水NiCl2を装入する。このとき、金属塩化物51により開口部31が塞がらないようにする。そして、加熱コイル34を動作させることにより気化部22を加熱し、加熱コイル38を動作させることにより、還元部23を加熱する。これにより、収納容器27内の温度を例えば1000℃とし、フード管37内の温度を例えば1100℃とする。また、水冷ジャケット39にパイプ40及び41を介して冷却水を供給し、反応管26の部分26c内を冷却する。この状態で、パイプ29にキャリアガスとしてArガスを供給し、パイプ32にシースガスとしてArガスを供給し、パイプ33に還元ガスとしてH2ガスを供給し、パイプ35にプレッシャーガスとしてArガスを供給する。
これにより、収納容器27内で無水NiCl2が昇華し、NiCl2ガスが発生する。即ち、気化部22においては、金属塩化物51が気化し、原料ガス(NiCl2ガス)が発生する。そして、収納容器27内で発生したNiCl2ガスがキャリアガス(Arガス)と混合し、開口部31から収納容器27とハウジング30との間の空間に流出し、次いで、三重管36の内管36c内を流通してフード管37内に流入する。また、シースガス(Arガス)がパイプ32内を流通し、三重管36の内管36cと中管36bとの間を流通して、フード管37内に流入する。更に、還元ガス(H2ガス)がパイプ33内を流通し、三重管36の中管36bと外管36aとの間を流通して、フード管37内に流入する。このとき、シースガスが、三重管36の下端部においてNiCl2ガスとH2ガスとを相互に分離し、三重管36の下端部にNiが析出されることを防止する。これにより、フード管37内にNiCl2ガス、Arガス及びH2ガスが供給される。そして、加熱コイル38により加熱されることにより、NiCl2ガスがH2ガスによって還元され、Niの微粒子が生成する。即ち、還元部23においては、原料ガス(NiCl2ガス)が還元され、金属微粒子が生成する。
そして、フード管37の内部から、還元されたNi微粒子は、キャリアガス及びシースガスであるArガス、未反応のH2ガス、並びに未反応のNiCl2ガスからなる混合ガスと共に、反応管36の部分36cの内部に向けて放出される。このとき、プレッシャーガス(Arガス)が、フード管27と反応管26との間に供給されることにより、三重管36及びフード管37の外側に前記混合ガスが滞留することを防止する。
反応管36の部分36c内に放出されたNi微粒子及び混合ガスは、冷却部24に位置する部分36cを介して水冷ジャケット39により冷却される。このとき、部分36cの最大内径は、部分36bの最大内径の3乃至20倍と大きくなっているため、Ni微粒子は互いに衝突することが少なく、連結粒子が生成されることが少ない。
そして、このNi微粒子が、混合ガスと共に回収部25の容器42内に流入する。そして、フィルタ43の上部の開口部からフィルタ43内に流入し、フィルタ43を内部から外部に通過するときに、混合ガスはフィルタ43を通過し、排出口44から外部に排出されるが、Ni微粒子はフィルタ43を通過できずに、フィルタ43内に残留する。その後、このフィルタ43内に残留したNi微粒子を、Ni粉として回収する。これにより、Ni粉を製造することができる。
本実施形態においては、反応管26における冷却部24に位置している部分26cの最大内径が、還元部23に位置している部分26bの最大内径の3乃至20倍と大きくなっている。このため、フード管37内で生成したNi微粒子及び混合ガスが、フード管37内から部分26c内に放出されるときに、冷却された広い空間に放出されることになるため、Ni微粒子及び混合ガスが効率よく冷却されると共に、Ni微粒子が空間的に広がることで、Ni微粒子同士の衝突確率が低減する。この結果、Ni微粒子が連結粒子となることが少なく、品質が良好なNi粉を得ることができる。
また、本実施形態においては、三重管36の下方にフード管37を設けているため、NiCl2ガスの還元反応が生じる領域がフード管37内に限定される。これにより、還元反応の効率が向上する。また、フード管37を設けることにより、Ni微粒子及び混合ガスを冷却部24に一挙に放出することができる。これにより、Ni微粒子が還元部23に滞留することを防止でき、Ni微粒子が粗大化したり連結粒子となったりすることを防止できる。更に、本実施形態においては、反応管26の上部にプレッシャーガスを供給しているため、Ni微粒子が還元部23に滞留することを防止でき、Ni微粒子が粗大化したり連結粒子となったりすることを防止できる。
なお、本実施形態においては、金属塩化物として無水NiCl2を使用し、金属粉としてNi粉を製造する例を示したが、本発明はこれに限定されず、原料としてNi、Cu、Co、Fe、Ag、W、Mo、Nb若しくはTa等の金属の塩化物又はこれらの金属を含む合金の塩化物を使用し、上述の金属又は合金からなる金属粉を製造することもできる。また、上述の金属又は合金粉以外の金属粉を製造することもできる。なお、本明細書において、金属微粒子及び金属粉とは、純金属からなる微粒子及び粉体以外に、合金からなる微粒子及び粉体も含むものとする。
以下、本発明の実施例の効果について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。先ず、図1に示すような金属粉の製造装置21を6台作製した。このとき、各装置において、反応管26における還元部23に位置する部分26bの最大内径に対する反応管26における冷却部24に位置する部分26cの最大内径の比率(以下、単に内径比率という)を、相互に異ならせた。即ち、前記内径比率を、1倍、2倍、3倍、10倍、20倍、30倍とした。なお、内径比率が1倍の装置は、反応管が直管である装置である。
また、反応管における冷却部に位置する部分が、その内径が下方に行くほど小さくなるテーパー管となっている装置も作製した。図2は、この反応管としてテーパー管を使用した金属粉の製造装置を模式的に示す断面図である。図2に示すように、この製造装置においては、反応管における冷却部に位置する部分26dの形状が、上端部の内径が部分26bの内径と等しく、下方にいくほどその内径が1次関数的に小さくなるテーパー形状となっている。また、この製造装置には、図1に示すフード管37は設けられていない。この製造装置における上記以外の構成は、図1に示す製造装置21の構成と同様である。
そして、これらの装置を使用して、前述の本発明の実施形態と同様な方法により、Ni粉を製造した。このときの製造条件を表1に示す。
次に、上述の如く製造されたNi粉の形状及び粒径を評価した。形状の評価は、回収したNi粉を、FE−SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope:電界放出型走査電子顕微鏡)により撮像し、画像中に存在する500個の粒子のうち、連結している粒子の個数の割合を計測して行った。そして、その割合が5%未満である場合を「特に良好(◎)」とし、5%以上10%未満である場合を「良好(○)」とし、10%以上である場合を「不良(△)」とした。また、粒径の評価は、回収したNi粉をFE−SEMにより撮像し、得られた画像データを画像解析することによって、連結していない1次粒子の平均粒径を算出することにより行った。製造条件及び評価結果を表2に示す。なお、表2の粒径の欄に記載した「−」は、ほとんどの粒子が連結していたため、1次粒子の粒径の測定が困難であった場合を示す。また、NiCl2ガスの分圧は、NiCl2ガスの分圧をPNiCl2とし、NiCl2ガスの流量をQNiCl2とし、キャリアガス(Arガス)の流量をQAr,Cとし、シースガス(Arガス)の流量をQAr,Sとするとき、下記数式1により表される。
表2に示すNo.1乃至6は本発明の実施例である。実施例No.1乃至6は、内径比率が3乃至20倍であるため、平均粒径が50nm又は150nmと微小なNi粉を製造しても、連結粒子がほとんど発生せず、形状が良好であった。
これに対して、表2に示すNo.7乃至10は比較例である。比較例No.7及び9は、内径比率が3倍未満であったため、冷却部の反応管を拡張する効果が不足し、連結粒子が多く形成した。比較例No.10は、内径比率が20倍を超えていたため、Ni微粒子を冷却する効果が小さく、やはり連結粒子が多く発生した。
また、比較例No.8は、図2に示す冷却部における反応管の形状をテーパー状にした製造装置を使用してNi粉を製造した例である。冷却部における反応管の形状をテーパー状とすることにより、ガスが冷却されて収縮しても、その収縮に合わせて管の内径が小さくなるため、反応管内において向流及び対流が発生しにくく、Ni微粒子同士の衝突確率が増加しない。このため、比較例No.8においては、Ni粉における連結粒子の割合は小さく、形状が良好であった。しかしながら、比較例No.8においては、生成したNi微粒子が反応管のテーパー部分、即ち部分26dの内面に堆積した。これは、部分26dが冷却されているため及びテーパー形状であるためと考えられる。そして、Ni微粒子が堆積することにより、反応管が詰まり、ガスの流通が阻害され、反応管内の圧力が上昇した。比較例No.8においては、実験開始から2時間で反応管の内圧が1.33×105Paまで上昇し、危険になったため、実験を停止した。このように、反応管としてテーパー管を使用する場合は、製造開始当初は良好なNi粉が得られるものの、テーパー部にNi微粒子が堆積するため、Ni粉の製造を長時間連続して行うことができず、本発明の実施例と比較して、製造効率が著しく低いものになる。また、無理に製造を続けたとしても、反応管の内圧が変動すると、製造条件が変動するため、Ni粉の粒径分布が広がってしまう。
本発明は、積層セラミックスコンデンサーの内部電極材料、電子機器部品の導電ペーストフィラー、及びHDD(hard disk drive:ハードディスクドライブ)等の磁気記録媒体用の磁性粉等に好適な金属粉の製造に好適に利用することができる。
1;製造装置
2;原料供給器
3;反応器
4;冷却部
5;粉末捕集器
6;気化部
7;反応部
8;外部加熱部
9;投入管
10;キャリアガス導入管
11;気化るつぼ
12;還元ガス供給官
13、14;コイル
19;捕集部
21;製造装置
22;気化部
23;還元部
24;冷却部
25;回収部
26;反応管
26a、26b、26c、26d;部分
27;収納容器
28;蓋
29、32、33、35、40、41;パイプ
30;ハウジング
31;開口部
34、38;加熱コイル
36;三重管
36a;外管
36b;中管
36c;内管
37;フード管
39;水冷ジャケット
42;容器
43;フィルタ
44;排出口
51;金属塩化物
2;原料供給器
3;反応器
4;冷却部
5;粉末捕集器
6;気化部
7;反応部
8;外部加熱部
9;投入管
10;キャリアガス導入管
11;気化るつぼ
12;還元ガス供給官
13、14;コイル
19;捕集部
21;製造装置
22;気化部
23;還元部
24;冷却部
25;回収部
26;反応管
26a、26b、26c、26d;部分
27;収納容器
28;蓋
29、32、33、35、40、41;パイプ
30;ハウジング
31;開口部
34、38;加熱コイル
36;三重管
36a;外管
36b;中管
36c;内管
37;フード管
39;水冷ジャケット
42;容器
43;フィルタ
44;排出口
51;金属塩化物
Claims (5)
- 金属又は合金の塩化物を気化させる気化部と、気化した前記塩化物を還元して前記金属又は合金からなる微粒子を生成する還元部と、前記微粒子を冷却する冷却部と、冷却した前記微粒子を回収する回収部と、を有し、前記気化部、前記還元部及び前記冷却部は、その一端部が前記回収部に連結されその内部で前記気化、還元及び冷却が行われる反応管を共有し、この反応管における前記冷却部に位置する部分の最大内径が前記還元部に位置する部分の最大内径の3乃至20倍であることを特徴とする金属粉の製造装置。
- 前記還元部が、前記反応管の内部に配置され前記気化した塩化物及びこの塩化物を還元する還元ガスを相互に独立して流通させる多重管と、この多重管の下流側に連結されその内径が前記多重管の外径以上でありその内部で前記気化した塩化物と前記還元ガスと反応させるフード管と、を有することを特徴とする請求項1に記載の金属粉の製造装置。
- 金属又は合金の塩化物を気化させる気化工程と、反応管内で気化した前記塩化物を還元して前記金属又は合金からなる微粒子を生成する還元工程と、前記反応管内で前記微粒子を冷却する冷却工程と、冷却した前記微粒子を回収する回収工程と、を有し、前記冷却工程は、前記反応管における前記還元工程を行う部分の最大内径の3乃至20倍の最大内径を持つ部分で行うことを特徴とする金属粉の製造方法。
- 前記還元工程が、前記反応管の内部に配置された多重管内に前記気化した塩化物及びこの塩化物を還元する還元ガスを相互に独立して流通させる工程と、この多重管の下流側に連結されその内径が前記多重管の外径以上であるフード管の内部で前記塩化物を還元させる工程と、を有することを特徴とする請求項3に記載の金属粉の製造方法。
- 前記金属又は合金を、Ni、Cu、Co、Fe、Ag、W、Mo、Nb及びTaからなる群から選択された金属又はこれらの合金とすることを特徴とする請求項3又は4に記載の金属粉の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004272245A JP2006083461A (ja) | 2004-09-17 | 2004-09-17 | 金属粉の製造装置及び金属粉の製造方法 |
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JP (1) | JP2006083461A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013170303A (ja) * | 2012-02-22 | 2013-09-02 | Jfe Mineral Co Ltd | ニッケル合金粉末およびその製造方法 |
CN104475340A (zh) * | 2015-01-04 | 2015-04-01 | 湖南有色金属研究院 | 一种提高细粒级黑钨选矿回收率的方法 |
-
2004
- 2004-09-17 JP JP2004272245A patent/JP2006083461A/ja active Pending
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