JP2006083319A - コーティング用組成物およびそれを用いた表示装置 - Google Patents

コーティング用組成物およびそれを用いた表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高品位な光学材料や表示装置材料に求められる耐熱性、透明性、平坦性、高硬度、耐クラック性といった性能が得られ、スピン塗布と減圧乾燥を用いる膜形成工程に適したコーティング用組成物の提供。
【解決手段】(a)一般式(1)で表されるポリシロキサン化合物、および/または一般式(2)で表されるシラン化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物を加水分解および縮合させることによって得られるシロキサンポリマーと、(b)20℃での蒸気圧が100Pa以下の有機溶媒であって異なる蒸気圧値を示す該有機溶媒を2種類以上含有するコーティング用組成物の、(b)成分の含有量が有機溶媒全量に対して80重量%以上100重量%以下であることを特徴とする。
Figure 2006083319

Figure 2006083319

【選択図】 なし

Description

本発明はシロキサンポリマーを含有したコーティング用組成物、およびそれを用いた光学材料や表示装置に関する。
従来から、アルコキシシランを加水分解・縮合することによって得られるシロキサンポリマーを含有したコーティング用組成物は種々提案されており、半導体や液晶表示素子などの不純物の拡散防止、絶縁、表面の平坦化膜、バッファーコート膜などに用いられている。しかし近年、塗布基板の大型化に伴い、従来のコーティング用組成物を用いてTFTが形成された基板上の凹凸を平坦化する場合、コーティング用組成物から得られる膜の塗布性、平坦性、表面平滑性を満足できないことが問題であった。
また、塗布後の基板を減圧乾燥する際にも、突沸やハジキなど減圧工程中に塗膜の状態が刻々と変化するため、好ましくない現象が起こることも問題であった。たとえば、スピンコート中に乾燥を起こりにくくし、下地の段差に関わらずほぼ平坦な表面が得られるように、20℃での蒸気圧1mmHg(1.33×10Pa)以下の溶剤を単独で用いる塗布液が開示されている(特許文献1参照)。しかしながらこの塗布膜を減圧乾燥すると、単独溶剤系であるため減圧の途中突然溶剤が揮発し始め、突沸等により塗膜表面平滑性が損なわれることが想定される。
またノズルと基板を相対的に移動させながら塗布するスキャン塗布方式により塗膜を形成するための塗布液であって、室温での蒸気圧が1Torr(133.322Pa)未満の低蒸気圧溶剤を含むことを特徴とする塗布液が開示されている(特許文献2参照)。スキャン塗布方式は基板上に平行線状や螺旋状に吐出された液線が静置した基板上で広がる作用時間を利用してひとつの連続した塗膜を形成する方式であるため、スピン塗布方式に比べて塗布時間がかかり、基板サイズが大きくなるにつれ生産性が低下する問題がある。スキャン塗布専用塗布液は、塗布後の溶剤除去工程長期化を考慮して、低蒸気圧溶剤の使用割合は塗布液中の全溶剤量の5〜50%が好ましいとある。しかしながら、スピン塗布方式は塗布回転中に刻々と溶媒が揮発していくため、スキャン塗布方式に比べて塗膜が乾燥しやすい特徴を持つ。
また、表面平滑性に優れた多孔質シリカフィルムの製造方法において、25℃における蒸気圧が0〜1.33×10Pa(10mmHg)である有機化合物を反応溶液100体積%に対し、1〜50体積%添加する技術が開示されている(特許文献3参照)。これらの従来技術はシリコンウエハや半導体基板等の丸形基板上に塗布することを想定しており、近年のサイズが大きくなりつつあるTFT基板等の角形大型ガラス基板にスピン塗布方式で塗布する場合、その四隅にまで平滑な塗膜を得るためにはより乾燥を起こしにくくする必要がある。
特開平6−244171号公報(第2頁) 特開2003−211070号公報(第2−4頁) 特開2003−89513号公報(第2頁)
かかる状況に鑑み、本発明は、高品位な光学材料や表示装置材料に求められる耐熱性、透明性、平坦性、高硬度、耐クラック性といった性能が得られ、スピン塗布と減圧乾燥を用いる膜形成工程に適したコーティング用組成物を提供するものである。
すなわち本発明は、(a)一般式(1)で表されるポリシロキサン化合物、および/または一般式(2)で表されるシラン化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物を加水分解および縮合させることによって得られるシロキサンポリマーと、(b)20℃での蒸気圧が100Pa以下の有機溶媒であって異なる蒸気圧値を示す該有機溶媒を2種類以上含有するコーティング用組成物の、(b)成分の含有量が有機溶媒全量に対して80重量%以上100重量%以下であることを特徴とするコーティング用組成物である。
Figure 2006083319
(R、Rは、それぞれ同じでも異なっていても良く、水素、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のアシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。R、R、R、Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基およびそれらが置換された有機基を表す。mは1〜1000の範囲である。)
Figure 2006083319
(Rは、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基およびそれらが置換された有機基を表す。Rは、同じでも異なっていても良く、水素、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のアシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。nは0〜2の整数である。)
本発明のコーティング用組成物から得られた膜は、塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、平坦化性のすべてが優れており、特にTFT用の平坦化膜として有用である。また本発明の組成物から得られた膜を平坦化膜として用いた表示装置を得ることができる。
本発明において、(a)成分は、一般式(1)で表されるポリシロキサン化合物および/または一般式(2)で表されるシラン化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物を加水分解縮合されることによって得られるシロキサンポリマーである。このシロキサンポリマーは、一般式(1)で表されるポリシロキサン化合物を加水分解縮合して得られるもの、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表されるシラン化合物との加水分解縮合で得られるもの、一般式(2)で表されるシラン化合物の加水分解縮合で得られるものを指す。
本発明で用いる一般式(1)で表されるポリシロキサンは、通常線状ポリシロキサンと称される。
Figure 2006083319
、Rは、それぞれ同じでも異なっていても良く、水素、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のアシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。R、R、R、Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルケニル基およびそれらが置換された有機基を表す。mは1〜1000の範囲である。
一般式(1)中のR、R、R、Rは、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルケニル基およびこれらの基を有する置換基を表し、具体例としては、水素、炭素数は1〜10までが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのアリール基、ビニル基、アリル基、アクリロイルオキシプロピル基、などのアルケニル基および、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルエチル基などのフルオロ置換体、3−グリシドキシプロピル基などのエポキシ置換体、3−アミノプロピル基などのアミン置換体などが挙げられるが、これらに限定されず、また、それらは同じでも異なっていてもよい。また、Rは水素、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のアシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。具体例としては、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、アセチル基が挙げられ、それぞれ同じでも異なっていても良い。
また、下記に説明する一般式(2)で表されるオルガノシラン化合物との相溶性、および誘電率の観点から、R、R、R、Rのフェニル基含有率が好ましくは1〜100モル%、さらに好ましくは3〜70モル%であることが好ましい。フェニル基が少ないと相溶性が悪くなり、多いと膜の誘電率が高くなる。またフェニル基含有率が耐クラック性の向上に大きな効果を有する。
一般式(1)中のmは、一般式(2)で表されるオルガノシランとの相溶性の観点から、好ましくは1〜1000、さらに好ましくは2〜100、さらに好ましくは、3〜50であることが好ましい。mが1000より大きいと、膜に白濁が生じたり、可視光線の透過率が低下したりする。
一般式(1)で表される線状シロキサンの具体例として、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシジシロキサンや、“DMS−S12”(分子量400〜700の分布を持つ)、“DMS−S15”(分子量1500〜2000の分布を持つ)、“DMS−S21”(分子量4200)、“DMS−S27”(分子量18000)、“DMS−S31”(分子量26000)、“DMS−S32”(分子量36000)、“DMS−S33”(分子量43500)、“DMS−S35”(分子量49000)、“DMS−S38”(分子量58000)、“DMS−S42”(分子量77000)、(以上商品名、ゲレスト社製シラノール末端ポリジメチルシロキサン)“PSD−0332”(分子量35000、ジフェニルシロキサンを2.5−3.5モル%共重合している)、“PDS−1615”(分子量900〜1000の分布を持つ、ジフェニルシロキサンを14〜18モル%共重合している)、“PDS−9931”(分子量1000〜1400の分布を持つ)(以上商品名、ゲレスト社製シラノール末端ジフェニルシロキサンおよびシラノール末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー)などが挙げられるがこれに限定されない。
本発明において一般式(2)で表されるオルガノシランは、2官能、3官能または4官能のシラン化合物である。
Figure 2006083319
は、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基およびこれらの基を有する置換基を表す。Rは、同じでも異なっていても良く、水素、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のアシル基、およびこれらの基を有する置換基を表す。nは0または1または2である。
一般式(2)中のRは、水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基およびこれらの基を有する置換基を表し、具体例としては、水素、炭素数1〜10までが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのアリール基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基および、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルエチル基などのフルオロ置換体、3−グリシドキシプロピル基などのエポキシ置換体、3−アミノプロピル基などのアミン置換体などが挙げられるが、これらに限定されず、また、それらは同じであっても異なっていてもよい。また、Rは水素、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のアシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。具体例としては、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、アセチル基が挙げられ、それぞれ同じでも異なっていても良い。
一般式(2)中のnは0〜2の整数であり、n=0が4官能性シランであり、n=1が3官能性シランであり、n=2が2官能性シランである。4官能性シランは膜の緻密性を向上させる利点がある反面、耐クラック性の低下に繋がるため、4官能シラン化合物/2官能または3官能のシラン化合物のモル比は0.1以下であることが好ましい。
一般式(2)で表されるオルガノシラン化合物において、2官能性シランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジセトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシランなどが挙げられる。
3官能性シランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルメトキシシラン、トリフルオロメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシシプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロオクチルトリクロロシラントリフルオロプロピルトリクロロシランなどが挙げられる。などが挙げられる。
4官能性シランは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラクロロシランなどが挙げられる。もちろん本発明では、これらに限定されない。
一般式(1)および(2)で表される化合物の各々の特性により、(a)成分のシロキサンポリマーを構成する組合せとしては、3官能性シランのみからなる組み合わせ、3官能性シランとポリシロキサンからなる組み合わせ、3官能性シランと2官能性シランからなる組み合わせ、3官能性シランと4官能性シランからなる組み合わせ、2官能性シランと4官能性シランからなる組み合わせ、2官能性シランとポリシロキサンからなる組み合わせ、2官能性シラン、3官能性シランおよび4官能性シランからなる組み合わせ、3官能性シラン、4官能性シランおよびポリシロキサンからなる組み合わせ等が挙げられるがこれらに限定されない。これらの組み合わせの中で、2官能性シランまたはポリシロキサンを含む組み合わせは、3官能性シランのみからなる組み合わせに比べ、耐クラック性や保存安定性に優れた性質を得ることができる。また、4官能性シランを含む組み合わせは3官能性シランのみからなる組み合わせに比べ高硬度となる性質を得ることができる。さらに2官能性シランまたはポリシロキサンと4官能性シランの両方を含む組み合わせは、3官能性シランのみからなる組み合わせに比べ耐クラック性や保存安定性に優れ、また膜硬度の高い性質を得ることができるが、この場合それぞれの原料添加割合によってその特性を幅広く変えることができる。
なかでも一般式(2)で表されるシラン化合物でn=3の3官能性シラン化合物から加水分解縮合して得られるシロキサンポリマーに対し、一般式(1)で表される両末端がシラノールまたは加水分解性基である線状ポリシロキサンおよび一般式(2)で表されるシラン化合物でn=2の2官能性シラン化合物を共重合していくことで、貯蔵安定性、耐クラック性、耐熱性、透明性、低誘電率性のすべてにおいて優れた効果を有するシロキサンポリマーを得られるようになる。特に、貯蔵安定性については、線状シロキサンが重要な働きをしている。一般式(1)で表される線状ポリシロキサンと一般式(2)で表されるシラン化合物との部分縮合物(つまり、シラノール基含有オルガノシロキサンポリマーを意味する)では、一般式(1)で表される線状ポリシロキサンが橋かけ的に存在するため、この線状ポリシロキサンが立体障害となり、ゲル化反応が遅くなる(つまり、シラノール基含有オルガノシロキサンポリマー分子間の縮合反応速度が遅くなる)ので、貯蔵安定性が増したと考えられる。また、耐クラック性については一般式(2)で表されるシラン化合物でn=2の2官能性シラン化合物の添加が重要な働きを示す。すなわち、2官能性シランを添加することで、ポリシロキサンの架橋密度が低下し、膜応力の増大を抑えクラックの発生を防ぐ効果が得られる。この場合、特に2官能性シラン1モルに対して、3官能性シランを4〜10モル含有するシラン混合物を用いることが、耐クラック性、平坦化性、塗布性、硬度、透湿性のすべて満足する被膜を得るためには必要である。さらに、4官能性シランの含有率が膜硬度に大きく作用している。すなわち、4官能性シランを添加することで、ポリシロキサンの架橋密度が増し、膜硬度が向上する。
一般式(1)および(2)の化合物の好ましいモル比としては、例えば2官能性シラン、3官能性シランおよび4官能性シランからなる組み合わせにおいては、4官能性シラン1モルに対して、2官能または3官能性シランは合わせて10モル以上が好ましい。また、3官能性シランと2官能性シランからなる組み合わせにおいては、2官能性シラン1モルに対して、3官能性シランは4〜10モルが好ましい。
また、シラン化合物は、一般式(2)で表される2官能性シラン1モルに対して、Si(ORで表される4官能性シランを5モル以下含有することもできる。ただし、4官能性シランの使用は、膜の緻密性を向上させる利点がある反面、耐クラック性の低下に繋がるため、2官能性シラン1モルに対して、好ましくは2モル以下が良い。
また、(a)成分であるシロキサンポリマーから、2官能性シラン、3官能性シラン、4官能性シランの組成比は、例えば29Si−NMRにより分析することが可能である。また得られたシロキサンポリマーの構造については、29Si−NMR、より好ましくはH−29Si−二次元NMR法(HMBC法)を用いることにより、分析することができる。
分析条件としては、例えば、29Si−NMRについては
観測周波数 53.671MHz、
観測範囲 15015Hz、
データポイント 16834、
測定モード SGNNE(1Hゲーテッドデカップル、29Si定量モード)、
パルス幅 5.5μsec(29Si 30°パルス)
積算繰り返し 75sec、
積算回数 4096回、
溶媒 CDCl
試料濃度50wt%、緩和試薬アセチルアセトンクロム(III)塩(10−2mol/kg)、測定温度 室温である。
H−NMRについては、
測定周波数 270.167MHz、
観測範囲 4000Hz、
データポイント 16384、
測定モード SGNON(Hシングルパルス)、
パルス幅 9.0μsec、
積算繰り返し 7sec、
積算回数 32回、
試料濃度 原液(希釈なし)、
測定温度 室温である。
本発明のシロキサンポリマーにおいては、一般式(1)で表される線状シロキサンのシラン原子モル数1モルに対して、一般式(2)で表されるオルガノシランのシラン原子モル数が0.3〜50モル、さらに好ましくは1〜10モルになるように各材料を調整する。この範囲を満たすことによって高硬度、耐クラック性、相溶性、貯蔵安定性に優れた被膜が得られる。
一般式(1)で表される線状ポリシロキサンは熱分解温度が300℃以上であるので、線状ポリシロキサンのシラン原子モル数1モルに対して、一般式(2)で表されるシラン化合物のシラン原子モル数が0.3モル未満であると、コーティング後、通常の300〜500℃の加熱によっては硬化せず、膜が形成できない。また、50モルを超えると、線状ポリシロキサンの貯蔵安定性の効果が全く機能しないので50モル以下が好ましい。貯蔵安定性を向上させるには上記の範囲を満たすことが好ましい。なお、シラン化合物のシラン原子モル数が0.3モル〜1モル未満の範囲では、膜形成は可能となるものの、基板との接着性が十分でないことがある。また10モルを超えると、貯蔵安定の効果は機能するがその効果は10モル以下に比べ弱まる傾向にある。
また、シロキサンポリマー中のフェニル基の含有率が5〜70モル%、好ましくは10〜55モル%であることが、耐クラック性と硬度を両立させる観点から好ましい。フェニル基含有率が70モル%を越える場合には、形成した膜が白濁したり、透過率が低下したり、硬度が低下したり、誘電率が大きくなるという問題が生じる。また、フェニル基含有率が5モル%未満の場合には、耐クラック性が低下する。フェニル基の含有率は、例えば、シロキサンポリマーの29Si−核磁気共鳴スペクトルを測定し、そのフェニル基が結合したSiのピーク面積とフェニル基が結合していないSiのピーク面積の比から求めることができる。
本発明のコーティング用組成物をTFT基板の平坦化膜に用いる場合は、TFT基板の製造工程では平坦化膜を熱処理形成後に、200℃以上500℃以下の熱処理があるため、コーティング用組成物にはこれらの熱処理を施してもクラックを発生しないことが求められる。基板上に塗布、加熱処理した後の塗膜の残留応力が高いほど、塗膜のクラックや基板の反りを引き起こす。6インチのシリコンウエハ上に熱処理後の膜厚が1μmとなるように形成した場合、クラックを発生させないためには45MPa以下であることが好ましい。より好ましくは40MPa以下である。
本発明では、一般式(1)で表されるポリシロキサン、一般式(2)で表されるシラン化合物から選ばれる化合物の混合物に水と触媒を加え、加水分解および部分縮合させることにより、(a)シロキサンポリマーが得られる。
加水分解および部分縮合反応は無溶媒でも良いが、通常は溶媒中で行われる。反応溶媒は有機溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n−オクタノール、n−デカノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアルキレングリコール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジフェニルエーテルなどのエーテル類、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノンなどのケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、エチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールアセテートなどのアセテート類、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素のほか、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。シロキサンポリマーの溶解性の点から、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルエーテル、ジn−ブチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、3−メチル−3−メトキシブタノール等が好ましい。溶媒の量は任意に選択可能であるが、線状ポリシロキサンおよび/またはシラン化合物の反応溶液中にしめる重量濃度が5〜90重量部の範囲で用いるのが適しており、より好ましくは20〜60重量部である。
加える水はイオン交換水が好ましい。水の量は任意に選択可能であるが、シラン原子1モルに対して、0.5〜4モルの範囲で用いるのが好ましい。
また、加水分解および部分縮合反応には、酸あるいは塩基触媒を用いることができる。塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂などの酸触媒、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミノ基を有するアルコキシシランなどの塩基触媒が挙げられる。より好ましくは酸性触媒を用いることである。一般に、塩基性触媒を用いると3次元架橋構造を取りやすく、ポリマーの2次元構造が球状となるため、段差被覆性に劣ることが知られている。本発明では、酸性触媒を用いることにより、ポリマーの2次元構造がより線状となるため、段差被覆性に優れる。
また、反応温度は反応系の凝固点から沸点の範囲で通常選択されるが、通常50〜150℃、好ましくは80〜130℃であり、反応時間は、0.5〜100時間である。また沸点以上の温度で加圧状態で反応することも可能である。そのほかシロキサンポリマーの重合度を上げるために、再加熱もしくは塩基触媒の添加を行うことも可能である。
また、コーティング用組成物から得られる膜の脱ガス量を低減するために、シラン化合物を加水分解する際に副生するアルコールの沸点が低いことが好ましく、一般式(1)のRおよびR、一般式(2)のRがメチル基もしくはエチル基であることが好ましい。さらに好ましくは、R、RおよびRがメチル基である。
本発明のコーティング用組成物において、塗布液にはシラン化合物の加水分解により副生したアルコールまたはカルボン酸、水を実質的に含まないことが好ましい。好ましくは、水はコーティング用組成物に対して組成物中の水の含有量は、0.1〜2重量%、より好ましくは0.1〜1.5重量%、特に好ましくは0.1〜1重量%であることが、上記塗布均一性を更に向上させるため好ましい。従って、反応溶液からシラン化合物の加水分解により副生アルコール、カルボン酸を除去する必要がある。除去する方法としては特に限定されないが、好ましいのは、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメトキシエタンなどの疎水性有機溶剤を用いて該反応溶液からシロキサンポリマーを抽出し、その有機層を水洗する方法、あるいは、加熱することによって副生したアルコールまたはカルボン酸および水を留出させる方法である。
塗布性、貯蔵安定性の向上のためには、副生したアルコールを除去するほか、反応溶液から水、あるいは触媒をも除去することができる。
副生したアルコールを除去した後のシロキサンポリマーあるいは、シロキサンポリマー溶液に必要に応じて、溶剤を追加することができる。ポリマー濃度は、5〜80重量%とするのが好ましく、さらには、10〜60重量%とするのが好ましい。
本発明のコーティング用組成物は、有機溶媒として(b)成分を有する。(b)成分とは、20℃における蒸気圧が100Pa以下の異なる蒸気圧値を示す有機溶媒を2種類以上含有することをいう。また本発明は(b)成分の含有量が有機溶媒全量に対して80重量%以上100重量%以下である。より好ましくは90重量%以上100重量%以下である。(b)成分の含有量が有機溶媒全量に対して80重量%未満であると、20℃における蒸気圧が100Paより大きい揮発性の高い溶剤が有機溶媒全量に対して20重量%以上含まれ、揮発性の高い溶剤の存在が無視できなくなり、スピン塗布時に塗膜中央から基板周辺に向かって放射状のスジ(ストリエーションという)が発生しやすい。
本発明で用いる20℃での蒸気圧が100Pa以下の有機溶媒の具体例としては、例えばn−オクタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、エチルヘキシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、2−ピロリドン等が挙げられるがこれらに限定されない。これら低蒸気圧溶剤は2種類以上組み合わせて用いられる。
20℃での蒸気圧が100Pa以下の有機溶媒は反応溶媒として用いることもできるし、反応後に希釈などを目的として添加しても良いが、希釈溶媒として後から添加することが好ましい。反応溶媒として用いるときは単独もしくは混合して用いることができる。希釈溶媒として後添加するとき、反応溶媒を単独溶媒で行った場合はそれと異なる溶媒を少なくとも1種含むように単独または混合して添加しても良いし、反応溶媒を複数混合して用いた場合は、後添加溶媒はその反応溶媒と同じでも異なっていても良く、単独または混合して添加することができる。
本発明の組成物には上記低蒸気圧溶剤に該当しない溶剤、すなわち20℃での蒸気圧が100Paより大きい有機溶剤を有機溶媒全量に対して0重量%以上20重量%未満、より好ましくは0重量%以上10重量%未満含有することができる。具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルプロピオネート、乳酸メチル、乳酸エチル、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の(b)成分である20℃での蒸気圧が100Pa以下の有機溶剤は、異なる蒸気圧値を示す溶剤を2種類以上用いるが、好ましくは20℃における各々の蒸気圧差が10Pa以上70Pa未満である。蒸気圧差がこの領域である溶剤を用いることで、減圧乾燥工程において複数の溶剤が緩やかに蒸発し、塗膜表面の平滑性が損なわれにくい。蒸気圧差が70Pa以上であると減圧条件下での有機溶媒の緩やかな蒸発の連続性に乱れが生じる可能性があり、また蒸気圧差が10Pa未満になると溶媒の蒸気圧差による緩やかな連続的蒸発の効果が薄れ、もはや単独溶媒の蒸発と類似した蒸発挙動を示すようになり、例えば突沸等の好ましくない現象が起こり塗布膜の均一性を著しく損なう問題がある。
本発明における(b)成分の20℃における蒸気圧が100Pa以下の2種類以上の有機溶媒において、少なくとも1種は20℃における水に対する溶解度が100g/100ccより大きい有機溶剤であることが好ましい。なお(b)成分を構成するすべての有機溶剤が20℃における水に対する溶解度が100g/100cc以下であると、本コーティング用組成物の粘度が上昇しやすくなり保存安定性が悪化する場合がある。20℃における水に対する溶解度が100g/100ccより大きい有機溶剤としては例えば、3−メトキシ−3−メチルブタノール、1,3−ブチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒はシロキサンポリマーの反応溶媒として好適に用いることができる。
コーティング用組成物中の(b)成分は、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどの一般的な分離分析方法を用いて同定することが可能である。さらに、例えば「溶剤ハンドブック(講談社;浅原照三ほか編)」などで調べることにより、同定された溶剤の沸点、水に対する溶解度、蒸気圧などの物性値を知ることができる。
本発明のコーティング用組成物は、公知の方法によって基板上に塗布し、乾燥、加熱処理することによって、硬化膜となる。
用いる基板は、ガラス、シリコン、セラミック、金属、プラスチックなどが挙げられる。また、これらを下地基板にしてSiO、Si、Cr、Al、Cu、Mo、Tiなどをスパッタ、CVDや蒸着で成膜したもの、およびこれら材質から成るTFT基板などの素子付き基板のことである。ここで、TFTとは表示装置を駆動させるスイッチング素子としての薄膜トランジスタのことである。これらの基板は段差のない平滑なものであっても良いし、0.01〜3μmの段差があるものを用いても良い。加熱処理後のコーティング用組成物の膜厚は、0.1〜20μmが好ましく、段差基板の場合は段差に対して0.1倍〜10倍の膜厚、より好ましくは0.5倍〜5倍である。
塗布する方法としては、スピンコート、スリットアンドスピンコート、スリットコート、ロールコート、スプレーコート、ディップコート、スキャンコートなどやインクジェットを用いた塗布方法を挙げることができるが、本発明のコーティング用組成物が効果を発揮する塗布方式はスピンコート、スリットアンドスピンコート、スリットコートであり、もっとも効果を発揮する塗布方式はスピンコートである。
塗布後の塗布膜から溶剤を除去することによって乾燥した塗布膜を得ることができる。塗布後の塗布膜から溶剤を除去する方法は、塗布膜基板を減圧条件下に置くことによって行うこともできるし、また塗布膜基板を加熱することにより溶媒を除去することもできるが、本発明のコーティング用組成物が最も効果を発揮するのは減圧条件下に置くことである。
一般に、減圧乾燥を行うには真空室を用いる。真空室には塗布基板を静置するための静置台が設けられており、基板保持用突起部に塗布基盤を載せて静置する。その後真空室内を減圧し、溶剤の除去を行う。基板静置台は溶媒の揮発により基板温度が低下するのを防いだり、また基板を加熱して溶剤の除去を促す目的で、温度調整プレートとなっている。減圧条件は溶剤の蒸気圧によってその都度調節されるが、通常10秒から10分かけて真空室内の真空度を大気圧から100Pa以下に下げて行われる。乾燥後の膜厚は0.3〜20μmであることが好ましい。
加熱によって塗布膜を乾燥する場合、乾燥温度は50〜200℃、乾燥時間は1分〜3時間、乾燥後の膜厚は0.3〜20μmであることが好ましい。
次いで加熱処理を行うが、これは、塗布したコーティング用組成物を加熱し、加水分解および縮合反応を進行させ、脱水・脱アルコールを行う工程である。加熱温度は、200℃以上500℃以下、好ましくは250℃以上450℃以下である。加熱方法は、オーブンやホットプレートを用いた加熱方法が一般的であるが、他にUV照射なども挙げられる。加熱雰囲気は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス、あるいは酸素を含んだ空気中でも好ましく用いられる。加熱処理後の硬化膜の脱ガスを低減させるには、脱ガスの原因となる硬化膜中の残留物をより効果的に熱分解することができるように、空気中で処理することが好ましい。
膜の硬度、高温高湿耐性を向上させる目的で、金属アルコキシド、あるいは該金属アルコキシドから誘導される金属キレート化合物を添加することもできる。これら化合物は、膜の硬化温度を下げる効果がある。これにより、本発明のコーティング用組成物を硬化させる温度が300℃以下であっても、高温高湿耐性に優れた硬化膜を得ることができる。
本発明において用いられる金属アルコキシドは、M(OR”)pで表される。Mはチタン、ジルコニウム、またはアルミニウムの金属原子である。R”は同一もしくは異なっていても良く、それぞれ水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基、およびこれらの基を有する置換基を表わす。また、pは金属原子Mの原子価を意味する。
Mはチタン、ジルコニウム、またはアルミニウムの金属原子である。ボロン、マグネシウムなどは、反応性がシリコンアルコキシドと同程度であるために低温硬化に効果がなかったり、あるいは、反応性が極端に高すぎて実用的でない。チタン、ジルコニウム、アルミニウムのアルコキシド化合物を用いた場合、被膜の硬化温度を下げる効果があり、高温高湿耐性に優れた被膜を得ることができる。さらには、ジルコニウムを用いた場合は、被膜の強靱性の向上に非常に有効であることから、特にジルコニウムアルコキシド、あるいはジルコニウムアルコキシドのキレート化合物を用いるのが好ましい。
R”は、例えば水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、アセチル基、β−メトキシエトキシ基などの置換アルキル基などが挙げられる。具体例としては、テトライソプロポキシチタン、テトラノルマルブトキシチタン、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリノルマルブトキシアルミニウムなどが挙げられる。
また、本発明において用いられる金属キレート化合物は、M(OR”)pで表される金属アルコキシドから誘導される金属キレート化合物である。金属キレート化合物は、金属アルコキシドにキレート剤を反応させることにより容易に得られ、下記に示されるようなものが好ましい。
Figure 2006083319
Mはチタン、ジルコニウム、またはアルミニウムの金属原子である。R”は同一もしくは異なっていても良く、それぞれ水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基、およびこれらの基を有する置換基、Rは同一もしくは異なっていても良く、それぞれ水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基およびこれらの基を有する置換基を表す。また、sは金属原子Mの原子価、tは0〜(s−1)の数を意味する。
キレート剤の例としては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのβ−ジケトン、アセト酢酸エチル、ベンゾイル酢酸エチルなどのβ−ケト酸エステルなどを用いることができる。
金属アルコキシドは種々の化学理論量のキレート化剤と反応して相当する金属キレート化合物となるため、用いるキレート化剤の量は金属アルコキシド1モルに対して、0.1〜10モルの範囲で、成分(a)であるシロキサンポリマーの反応性に応じて決めることが好ましい。すなわち、成分(a)の反応性が低い場合には、金属アルコキシドあるいは低配位の金属キレート化合物を用いることができるが、成分(a)の反応性が高い場合には、より加水分解安定性が高い高配位の金属キレート化合物を用いるのが好ましい。
金属アルコキシド、または金属キレート化合物の割合は、シロキサンポリマー100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部である。混合方法としては、常温での混合した後、1時間〜1日程度の放置、あるいは沸点以下での加熱処理を行うのが好ましい。
加熱処理後の膜の誘電率を低下させる目的で、熱分解性化合物を添加することもできる。本発明で用いられる熱分解性化合物は、膜を形成する有機溶媒に可溶であることが好ましい。熱分解性化合物はトリエタノールアミン、アミンにポリエチレンオキシド(ポリエチレングリコール)、ポリプロピレンオキシド(ポリプロピレングリコール)等が付加した基を有する化合物等の3級アミン化合物、3級りん化合物やポリエチレンオキシド(ポリエチレングリコール)、ポリプロピレンオキシド(ポリプロピレングリコール)、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート等、脂肪族ポリカーボネート、例えばポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート等、ポリ乳酸、ポリプロビレン、ポリエチレン、ポリブタジエン等であり、これらの一部に(a)成分であるシロキサンポリマーとイオン結合、水素結合、分子間力相互作用の少なくとも1つを有する基が含まれている化合物が好ましい。さらに、上記に挙げた化合物同士が自己集合的に集まる相互作用力よりも、シロキサンポリマーへのイオン結合力や水素結合力や分子間力相互作用力が同じもしくはそれより大きいことが好ましい。
また、シロキサンポリマーとイオン結合、水素結合、分子間力相互作用する熱分解性化合物の基として、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、アミド基、アミノ基、芳香環、カルボキシル基、水酸基、炭素数6以上の長鎖脂肪族基等が含まれていることが好ましい。また、シロキサンポリマーとの絡み合いを大きくするために熱分解性化合物は、分岐状であることが好ましい。また、熱分解性化合物の分岐状態は、櫛状、星状、樹木状が、空孔径や空孔の形が均一であるという点から好ましい。
本発明で用いる熱分解性化合物は150℃より高い、好ましくは200℃より高い分解温度を有することが望ましい。また、熱分解性化合物はその分解温度で非毒性のガスに分解するのが好ましい。
本発明の塗布液においては、2官能性シランを用いる場合、3官能性シラン、4官能性シランを用いた場合に比べて膜が硬化しにくいことがあり、膜硬化剤を用いることもできる。膜硬化剤としては、熱によって酸、あるいは塩基を発生する化合物、および、光によって酸、あるいは塩基を発生する化合物が好ましい。具体的には、熱あるいは光によって酸を発生する化合物として、ベンゾイントシレート、ベンゾインメシレート、ピロガロールトリトシレート、ピロガロールトリメシレート、トリ(ニトロベンジル)フォスフェート、トリアニソインフォスフェート、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩など、熱あるいは光によって塩基を発生する化合物として、ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、ジ(メトキシベンジル)ヘキサメキレンジカルバメートなどを挙げることができる。これらの化合物の使用量としては、シロキサンポリマーに対して、0.01〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%である。
さらに、本発明に用いられる塗布液には、膜硬化剤のほか、必要に応じて、粘度調整剤、界面活性剤、安定化剤、着色剤、ガラス質形成剤などを添加することができる。
ここで、粘度調整剤とは、増粘材、減粘材、ゲル化剤、安定化剤などを指し、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース、グアーガム、カジブビーンガム、タラガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、アルギン酸、カラギナン、キサンタンガム、ジエランガム、カードラン、ペリチン、キチン、キトサン、キトサミンなどが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などの陰イオン界面活性剤、脂肪族アミン塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などの陽イオン界面活性剤、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドなどの両性界面活性剤、ポリエオキシエチレンアルキルエーテル、単一鎖長ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポロキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エーテル型)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油および硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩(エーテルエステル型)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(エステル型)、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポロキシエチレンアルキルアミン(含窒素型)、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
着色剤としては、例えば、塩基性や酸性の水溶性、アゾ系、アンスラキノン系、ペリレン系、酸化物、硫化物、フェロシアン化物、クロム酸塩などの染料、硫酸塩、炭酸塩、珪酸塩、炭素、金属粉、アゾ系、縮合アゾ系、インジゴ系、フタロシアニン系、アンスラキノン系、キノフタロン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、ジアリライド系、イソインドリノン系、金属錯塩などの顔料が挙げられる。
ガラス質形成剤としては、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩などが挙げられる。
また、本発明のコーティング用組成物は、膜の絶縁性能の観点から、クロム、鉄、ニッケル等の重金属、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、塩素、臭素等のハロゲンなどの元素含有濃度が低いことが望ましい。具体的には、コーティング用組成物中における該元素類の濃度が1ppm以下、好ましくは100ppb以下、より好ましくは、10ppb以下である。
本発明に用いられる塗布液は、予めろ過によりパーティクルを除去して用いられる。ろ過フィルターの材質としては、四フッ化ポリエチレン(PTFE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン66等がありいずれのフィルターを用いても良い。フィルター孔径としては1μm、0.5μm、0.2μm、0.1μm、0.07μm、0.05μm、0.03μm等が用いられる。
本発明における塗布性は、基板上に塗布したときに基板中央から基板周辺に向かって放射状スジ(ストリエーションという)の有無に関する。
また、必要に応じて本発明のコーティング用組成物と基板との塗れ性を向上させる目的で、界面活性剤、乳酸エチルなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類を混合しても良い。また、二酸化ケイ素、二酸化チタンなどの無機粒子、あるいはポリイミドの粉末などを添加することもできる。
本発明における乾燥安定性とは、塗布基盤を減圧乾燥処理した後に、凸状の突沸痕や不規則箇所に発生する凹みなどの塗膜乾燥欠陥個数に関する。この塗膜乾燥欠陥個数は300mm×350mmの基板に対して、10個以下、好ましくは3個以下、より好ましくは1個以下である。単位面積当たりでは0.0095個/cm以下、好ましくは0.0029個/cm以下、より好ましくは0.0009個/cm以下である。
本発明における耐クラック性とは、基板に塗布、乾燥、加熱処理を行った後に、光学顕微鏡下で観察されるクラックの発生に対する耐性を意味し、クラックが発生しないことが求められる。耐クラック性のテストを行う際には、基板に段差のない平滑なものを用いても良いし、0.3〜2μmの段差があるものを用いても良い。加熱処理後のコーティング用組成物の膜厚は、0.3〜20μmが好ましい。
耐クラック性と膜の残留応力には相関があり、残留応力が小さいほど耐クラック性は向上する。残留応力とは、塗膜の付いていない基板をリファレンスとして塗膜付きの基板を熱処理したときに発生する内部応力のことである。測定には薄膜応力測定装置を用いる。薄膜応力測定装置の測定原理が、レーザー光を基板に当て、その反射角度をリファレンスと比較して内部応力を換算するため、基板にはレーザー光を反射できる鏡面の金属基板、または鏡面の金属膜で覆われている基板を用いることが好ましい。鏡面仕上げのシリコンウエハ、アルミニウム膜付基板などが好ましく用いられる。加熱処理後の内部応力を測定するには、薄膜応力測定装置内で塗膜付き基板を加熱処理し、25℃まで冷却して残留応力を読みとるか、薄膜応力測定装置外で加熱処理を行い(例えばオーブンやホットプレートを用いる)、25℃にて応力を測定する方法などがある。ここで熱処理とは、乾燥後の加熱処理、高温アニール処理など、加熱するあらゆる工程のことである。
一般にTFT素子は、素子の信頼性向上を目的として、300℃以上の高温アニール処理を施す必要がある。この際、従来のシリカ系コーティング剤を平坦化膜として用いると、高温アニール処理時のためにクラックがより発生し易かった。これは、シリカ系コーティング剤を塗布・加熱処理すると、アルコキシシランが加水分解および縮合するため塗膜に内部応力が生じ、さらに350℃以上の高温アニール処理をすると塗膜中の有機基の熱分解が進行するため、内部応力がさらに増大することが原因とされる。
本発明は、高温アニール処理後の塗膜の残留応力が45MPa以下のときにクラックが発生しないことが見いだされたものであり、特に、350℃以上420℃以下の温度で加熱処理を行った後の塗膜の残留応力が45MPa以下であるとクラックが生じない。
上記の特性に加えて、TFT用平坦化膜としては平坦化性や高温高湿耐性が求められる。本発明における平坦化性とは段差埋め込み性のことであり、段差を有する基板に塗布したときに、塗布前の段差に対する塗布後の段差の関係から評価されるものである。平坦化性のテストでは、0.3〜2μmの段差を有する基板を用い、コーティング用組成物を基板に塗布、乾燥、加熱処理し、0.1〜10μmの膜厚を形成し、塗布前の段差Aμmに対して塗布後の埋め込まれた段差Bμmとしたときの、平坦化率Pで評価する(下記式)。一般に、平坦化率Pは50%以上、より好ましくは70%以上である。
P=(A−B)/A×100。
また、本発明における高温高湿耐性とは、高温高湿条件下でのコーティング膜の耐性のことを表す。具体的には、高温高湿条件(例えば、121℃、2×10Pa、100%RH)に曝露した後、クラックや剥離などが観察されないことが好ましい。
以下に、本発明のコーティング用組成物を平坦化膜として用いたTFT基板を作製し、その基板上に有機EL素子を作製した表示装置について説明する。
液晶や有機ELディスプレイの表示素子を駆動するための薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下TFTと記す)を設けるアクティブマトリックス型の表示装置は、基板上に設けられたTFTおよび配線を覆う状態で平坦化膜が設けられ、この平坦化膜上に表示素子が設けられている。また、表示素子と配線とは、平坦化膜に形成されたコンタクトホールを介して接続されている。本発明のコーティング用組成物は、この平坦化膜として用いることができる。
図1に示す表示装置は、基板6上に、ボトムゲート型またはトップゲート型のTFT1が行列状に設けられており、このTFT1を覆う状態で絶縁膜3が形成されている。また、この絶縁膜3上にTFT1に接続された配線2が設けられている。さらに絶縁膜3上には、配線2を埋め込む状態で平坦化膜4が設けられている。平坦化膜4には、配線2に達するコンタクトホール7が設けられている。そして、このコンタクトホール7を介して、配線2に接続された状態で、平坦化膜4上に表示素子(例えば有機EL素子)が設けられている。この有機EL素子は、ガラス基板6と反対側から発光光を放出するトップエミッション型でも良いし、基板6側から光を取り出すボトムエミッション型であっても良い。このようにして、各有機EL素子にこれを駆動するためのTFT1を接続したアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が得られる。
本発明のシロキサンポリマーを含有したコーティング用組成物は光導波路のコアやクラッド材のほか、半導体装置の拡散防止膜、層間絶縁膜、バッファーコート膜、平坦化膜、液晶ディスプレーの保護膜、位相シフター用材料、電荷結合素子用平坦化膜材料、各種保護膜など、あるいは液晶表示装置や有機EL表示装置の保護膜などの用途に好適に用いられる。
以下実施例等をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、実施例中のコーティング用組成物の評価は以下の方法である。
<評価方法>
塗布性(ストリエーションの有無)
300mm×350mm×0.7mmの無アルカリガラス上に、コーティング用組成物をスピン塗布し、塗膜中央から基板周辺に向かって放射状のスジ(ストリエーションという)が発生していないかを観察した。塗布後の膜厚は1μmとなるようにした。無アルカリガラスの面積に対し、上記塗布不良により塗布ができなかった面積の割合を算出した。この割合は、基板全面に塗布できた場合、0%を示す。
乾燥安定性(欠陥個数)
不良塗布面積が0%の前記基板を用いて、真空室容積20L、最大排気速度650L/分で到達真空度0.5Paの真空ポンプを用いて1分間減圧乾燥した。乾燥後、塗膜表面について突沸痕、凹み等の欠陥個数を自動欠陥検査装置(タカノ(株)製)で測定した。
クラック数(耐クラック性)
6インチのシリコンウエハ上に、コーティング用組成物を塗布し、空気フロー下で300℃×1時間の熱処理行った。その後、アニール処理として400℃×1時間の熱処理をさらに行った。硬化後の膜厚は1μmとなるようにした。得られた硬化膜を光学顕微鏡下(ニコン製AFX−2)で観察し、6インチシリコンウエハ上にあるクラックの個数を数えた。なお、顕微鏡観察には10倍の接眼レンズと10倍の対物レンズを用い、顕微鏡下でひび割れと確認できるものをクラックとして数えた。
残留応力
4インチのシリコンウエハ上に、コーティング用組成物を塗布、乾燥させた。その後、ケーエルエー・テンコール社製の薄膜応力測定装置FLX−2908内において、窒素フロー下で400℃×1時間の熱処理行った後、室温まで冷却し、室温における応力を測定した。硬化後の膜厚は0.8μmとなるようにした。
実施例1
成分(a)メチルトリメトキシシラン(以下MeTMSという)136.2g(1モル)、フェニルトリメトキシシラン(以下PhTMSという)198.3g(1モル)のシラン混合物を成分(b)3−メチル−1,3−ブタンジオール(以下MBDという、蒸気圧100Pa)391.8gに溶解し、これに水108g(6モル)、リン酸1.67g(0.017モル)を撹拌しながら加えた。得られた溶液を120℃で4時間加熱し、主として副生するメタノールおよび水を留去させた。その後室温まで冷却し、成分(b)メトキシメチルブチルアセテート(以下MMB−ACという、蒸気圧53Pa)を195g添加して固形分濃度25%のコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
実施例2
成分(a)MeTMS109g(0.8モル)、PhTMS278g(1.2モル)のシラン混合物を、成分(b)3−メトキシ−3−メチルブタノール(以下MMBという、蒸気圧67Pa)410.7gに溶解し、これに水108g(6モル)、リン酸1.74g(0.018モル)を撹拌しながら加えた。得られた溶液を120℃で4時間加熱し、主として副生するメタノールおよび水を留去させ、シロキサンポリマー溶液Aを得た。
一方、テトラブトキシジルコニウム44.32g(0.12モル)をMMB180.99g(0.16モル)に溶解し、これにアセト酢酸エチル75.16g(0.58モル)を撹拌しながら加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌しながら反応させ、キレート化合物溶液Bを調整した。次に得られたシロキサンポリマー溶液Aを621gとキレート化合物Bを52.2g、および成分(b)MMB−ACを276g添加して固形分濃度22%のコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
実施例3
成分(a)MeTMS40.9g(0.3モル)、PhTMS59.5g(0.3モル)、DMS−S12(ゲレスト社製シラノール末端ポリジメチルシロキサン、分子量400〜700の分布を持つ)を14.8g(シラン原子モル数0.2モル)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMEと言う、蒸気圧1100Pa)69.5g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下PGMEAと言う、蒸気圧510Pa)69.5gに溶解し、これに、水33g(1.8モル)、リン酸0.57g(0.006モル)を撹拌しながら加えた。得られた溶液を100℃で2時間加熱し、主として副生するメタノールからなる成分58.6gを留出せしめた。次いで、室温まで冷却し、ここに、イオン交換水160g、イソブチルケトン(以下MIBKという)160gを加えて振とうし、静置後、水層を分離除去した。得られた有機層を濃縮乾固して、シロキサンポリマーを得た。ポリマー濃度が20重量%となるように、成分(b)ジプロピレングリコール(以下DPMという、蒸気圧37Pa)/ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(以下DPMAという、蒸気圧11Pa)=1/1となるように加え、コーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
実施例4
MeTMS76.6g(0.56モル)、PhTMS111.5g(0.56モル)、PDS−1615(ゲレスト社製シラノール末端ポリジフェニルシロキサン、分子量1000〜1400の分布を持つ)を36.1g(シラン原子モル数0.37モル)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)160.4gに溶解し、これに、水60.7g(3.37モル)、リン酸0.22g(0.002モル)を撹拌しながら加えた。得られた溶液をバス温120℃で2時間加熱し、主として副生するメタノールからなる成分58.6gを留出せしめた後、室温まで冷却した。ここに、イオン交換水160g、イソブチルケトン(MIBK)160gを加えて振とうし、静置後、水層を分離除去した。得られた有機層を濃縮乾固して、シロキサンポリマーを得た。得られたシロキサンポリマー120gに対して分岐状ポリプロピレングリコールであるアデカポリエーテルT−4000(旭電化工業(株)製、平均分子量4000)を30g、および成分(b)プロピレングリールモノブチルエーテルを150g(以下PGBEという、蒸気圧80Pa)、ジプロピレングリコール300g(DPM、蒸気圧37Pa)を添加し、固形分濃度が25重量%のコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
実施例5
成分(a)ジメチルジメトキシシラン(以下DMeDMSという)24g(0.2モル)、MeTMS136.2g(1モル)、PhTMS198.3g(1モル)のシラン混合物を成分(b)3−メチル−1,3−ブタンジオール(MBD、蒸気圧100Pa)428gに溶解し、これに水115.2g(6.4モル)、リン酸1.79g(0.018モル)を撹拌しながら加えた。得られた溶液を120℃で4時間加熱し、主として副生するメタノールおよび水を留去させた。その後室温まで冷却し、成分(b)トリプロピレングリコールメチルエーテル(以下TPMという、蒸気圧4Pa)を325g添加して固形分濃度22%のコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
実施例6
成分(a)DMeDMS60.1g(0.5モル)、MeTMS136.2g(1モル)、PhTMS198.3g(1モル)のシラン混合物を、成分(b)3−メトキシ−3−メチルブタノール(MMB、蒸気圧67Pa)463.9gに溶解し、これに水126g(7モル)、リン酸1.97g(0.02モル)を撹拌しながら加えた。得られた溶液を120℃で4時間加熱し、主として副生するメタノールおよび水を留去させ、室温まで冷却しシロキサンポリマー溶液Cを得た。
次にシロキサンポリマー溶液Cを699.5gとキレート化合物Bを65.5g、および成分(b)ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル(以下DPNPという、蒸気圧7Pa)を239.8gとプロピレングリコールモノエチルエーテル(以後PGEEという、蒸気圧530Pa)56.2gを添加して固形分濃度22%のコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
実施例7
成分(a)DMeDMS48.1g(0.4モル)、MeTMS136.2g(1モル)、PhTMS198.3g(1モル)、テトラエトキシシラン(以後TEOSという)を41.7g(0.2モル)のシラン混合物を、成分(b)ジエチレングリコールモノエチルエーテル(以下EDGという、蒸気圧16Pa)497.4gに溶解し、これに水136.8g(7.6モル)、リン酸2.12g(0.022モル)を撹拌しながら加えた。得られた溶液を120℃で4時間加熱し、主として副生するメタノール、エタノールおよび水を留去させた。
ここに、エチレンジアミンの活性水素すべてをポリプロピレングリコール(4量体)と反応させたアデカポリエーテルEDP−1100(旭電化工業(株))37.5g、1,3−ブチレングリコールジアセテート(以下1,3−BGDAという、蒸気圧4Pa)327g添加して、固形分濃度が25%のコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
実施例8
成分(a)DMeDMSを48.1g(0.4モル)、MeTMSを136.2g(1モル)、PhTMSを198.3g(1モル)、TEOSを41.7g(0.2モル)のシラン混合物を、成分(b)ジプロピレングリコールジメチルエーテル(以下DMMという、蒸気圧67Pa)497.4gに溶解し、これに水136.8g(7.6モル)、リン酸2.12g(0.022モル)を撹拌しながら加えた。得られた溶液を120℃で4時間加熱し、主として副生するメタノール、エタノールおよび水を留去させた。その後室温まで冷却し、成分(b)ジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下BDGという、蒸気圧3Pa)を345g添加して固形分濃度22%のコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
実施例9(TFTを用いた有機EL表示装置)
TFTを用いた有機EL表示装置の各構成要素の詳細を、製造工程順に示す(図1参照)。ガラス基板6上にボトムゲート型のTFT1を形成し、このTFT1を覆う状態でSiから成る絶縁膜3を形成した。次に、この絶縁膜3に、ここでは図示を省略したコンタクトホールを形成した後、このコンタクトホールを介してTFT1に接続される配線2(高さ1μm)を絶縁膜3上に形成した。この配線2は、TFT1間または、後の工程で形成される有機EL素子とTFT1とを接続するためのものである。
さらに、配線2の形成による凹凸を平坦化するために、配線4による凹凸を埋め込む状態で絶縁膜3上へ平坦化層4を形成した。絶縁膜3上への平坦化膜4の形成は、実施例1で得られたコーティング用組成物を基板上にスピン塗布し、ホットプレート上でプリベーク(100℃×3分)した後、空気フロー下において300℃で60分間の加熱処理を行った。得られたコーティング用組成物を塗布する際の塗布性は良好で、また得られた硬化膜にはクラックは認められなかった。さらに、配線2の平均段差は500nm、作製した平坦化膜の膜厚は800nmであり、平坦化率は75%と良好であった。
次に、レジストを塗布、プリベークし、所望のパターンのマスクを介して露光し、現像した。このレジストパターンをマスクとして、四フッ化炭素/酸素の混合ガスを用いたドライエッチングによりパターン加工を行った。その後、レジスト剥離液(モノエタノールアミンとDMSOの混合液)を用いてレジストパターンを剥離した。
次に、得られた平坦化膜4上に、ボトムエミッション型の有機EL素子を形成した。まず、平坦化膜4上に、ITOからなる下部電極を、コンタクトホール7を介して配線2に接続させて形成した。その後、レジストを用いたエッチングにより下部電極を所望のパターンにした。この下部電極は、有機EL素子の陽極に相当する。
次に、下部電極の周縁を覆う形状の絶縁層を形成した。絶縁層には、ポジ型感光性のポリイミドを用いた。この絶縁層を設けることによって、下部電極とこの後の工程で形成する上部電極との間のショートを防止することができる。さらに、真空蒸着装置内で所望のパターンマスクを介して、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層を順次蒸着して設けた。次いで、基板上方の全面にアルミニウムからなる上部電極を形成した。
以上のようにして、各有機EL素子にこれを駆動するためのTFT1が接続してなるアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が得られた。駆動回路を介して電流駆動したところ、良好な発光を示した。
比較例1
実施例1の成分(b)であるMBDをプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、蒸気圧1100Pa)に変更し、MMB−ACをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、蒸気圧510Pa)に変更した以外は実施例1と同様にしてコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
比較例2
実施例2の成分(b)であるMMBをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(以下PGPEという、蒸気圧206Pa)に変更し、MMB−ACをMBDに変更し、キレート化合物Bを添加しない以外は実施例2と同様にしてコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
比較例3
実施例3の成分(b)であるDPM/DPMAをDPM/プロピレングリコールモノメチルプロピオネート(以下PMPという、蒸気圧120Pa)に変更した以外は実施例3と同様にしてコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
比較例4
実施例4の成分(b)であるプロピレングリールモノブチルエーテルを150g(PGBE、蒸気圧80Pa)、DPM 300gをプロピレングリールモノブチルエーテル450g(PGBE、蒸気圧80Pa)変更した以外は実施例4と同様にしてコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
比較例5
実施例5の成分(b)であるTPM、蒸気圧4Pa)、をMBD(蒸気圧100Pa)に変更した以外は実施例5と同様にしてコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
比較例6
実施例6の成分(b)であるジプロピレングリコールn−プロピルエーテル246g(DPNP、蒸気圧8Pa)、プロピレングリコールモノエチルエーテル50g(PGEE、蒸気圧530Pa)をジプロピレングリコールジメチルエーテル296g(DMM、蒸気圧67Pa)に変更した以外は実施例6と同様にしてコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
比較例7
実施例7の成分(b)である1,3−ブチレングリコールジアセテート(1,3−BGDA、蒸気圧4Pa)をPGMEAに変更した以外は実施例7と同様にしてコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
比較例8
実施例8の成分(b)であるBDGをPMPに変更した以外は実施例7と同様にしてコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
比較例9
オルト珪酸エチル(テトラエトキシシラン、TEOS)と水との加水分解重合反応にて製造した重量平均分子量約3000のシロキサンオリゴマーを、n−オクタノール(蒸気圧100Pa)に10重量%の割合で溶解したコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
比較例10
テトラエトキシシラン(TEOS)10gとエタノール50mLとを室温下で混合撹拌した後、1N塩酸1mLおよび水10mLを添加しさらに1時間撹拌した。次いで、ポリ(アルキレンオキサイド)ブロックコポリマー(PluronicP123(商品名、BASF社製))2.8gをエタノール60mLに溶解し、さらに混合した。1時間撹拌後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc、蒸気圧70Pa)を20mL添加し、さらに1時間撹拌し、コーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
比較例11
(A)石英製セパラブルフラスコに、蒸留エタノール370g、イオン交換水186gと25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液14.6gを入れ、均一に撹拌した。この溶液にMeTMS35.3gとテトラエトキシシラン(TEOS)54.1gの混合物を添加した。溶液を55℃に保ったまま、5時間反応を行った。この溶液にプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGPE、蒸気圧206Pa)300gを加えた後、50℃のエバポレーターを用いて溶液を10重量%(完全加水分解縮合物換算)となるまで濃縮し、その後酢酸の10重量%プロピレングリコールモノプロピルエーテル溶液10gを添加した。
上記(A)で得た溶液にジプロピレングリコールモノプロピルエーテル80gを添加し、十分に撹拌しコーティング用組成物を得た。このコーティング用組成物の塗布性、乾燥安定性、耐クラック性、残留応力を評価した。
Figure 2006083319
Figure 2006083319
TFT基板の断面図
符号の説明
1 TFT
2 配線
3 絶縁膜
4 平坦化膜
5 ITO
6 基板
7 コンタクトホール

Claims (6)

  1. (a)一般式(1)で表されるポリシロキサン化合物、および/または一般式(2)で表されるシラン化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物を加水分解および縮合させることによって得られるシロキサンポリマーと、(b)20℃での蒸気圧が100Pa以下の有機溶媒であって異なる蒸気圧値を示す該有機溶媒を2種類以上含有するコーティング用組成物の、(b)成分の含有量が有機溶媒全量に対して80重量%以上100重量%以下であることを特徴とするコーティング用組成物。
    Figure 2006083319
    (R、Rは、それぞれ同じでも異なっていても良く、水素、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のアシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。R、R、R、Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基およびそれらが置換された有機基を表す。mは1〜1000の範囲である。)
    Figure 2006083319
    (Rは、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基およびそれらが置換された有機基を表す。Rは、同じでも異なっていても良く、水素、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のアシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。nは0〜2の整数である。)
  2. (a)成分が、一般式(2)で表されるシラン化合物のうちR Si(ORで表される2官能性シラン1モルに対して、一般式(2)で表されるシラン化合物のうちR Si(ORで表される3官能性シラン4〜10モルを含有するシラン混合物を加水分解および縮合させることによって得られるシロキサンポリマーであることを特徴とするコーティング用組成物。
    (ただし、Rは水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基およびそれらが置換された有機基を表す。Rは水素、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のアシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。)
  3. (b)成分が2種類以上の有機溶剤からなり、かつ異なる蒸気圧を示す有機溶剤各々の20℃における蒸気圧差が10Pa以上70Pa未満であることを特徴とする請求項1記載のコーティング用組成物。
  4. (b)成分が蒸気圧の異なる2種類以上の有機溶剤からなり、少なくとも一種の有機溶剤は20℃における水に対する溶解度が100g/100ccより大きいことを特徴とする請求項1記載のコーティング用組成物。
  5. 薄膜トランジスタ(TFT)が形成された基板上の凹凸を覆う状態で設けられた平坦化膜と、平坦化膜上に設けられた表示素子とを備えてなる表示装置であって、請求項1から4のいずれか記載のコーティング用組成物を用いて平坦化膜が形成されることを特徴とする表示装置。
  6. 前記表示素子が有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項5記載の表示装置。
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