JP2009148670A - 塗膜の製造方法および塗膜 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、優れた透明性と高い屈折率を有する塗膜の製造方法、およびその製造方法により得られる塗膜に関する。
近年、情報通信の高速化、各種電子機器の高性能化・小型化などを実現するためのキーテクノロジーとしてオプトエレクトロニクスが注目されており、これを実現するための光学材料、特に高屈折率を示す材料の開発が急がれている。高屈折率を示す材料は、光導波路、光ファイバー、反射防止膜、固体撮像素子用集光レンズなどへの展開が期待される。例えば、プラズマディスプレイパネルや、液晶表示装置などの種々の画像表示装置に使用されている反射防止膜は、支持体上に高屈折率膜と低屈折率膜を交互に積層することにより得られる(特許文献1)。
このような高屈折率膜を得る方法としては、金属酸化物などを蒸着する「乾式」と、有機系の高屈折率材料を塗布する方法や、塗布膜においてゾル−ゲル法を利用して無機化合物膜を製造する方法などの「湿式」とがある。「乾式」においては、金属酸化物を薄膜状に形成するため、真空蒸着法、プラズマCVDなどの真空成膜プロセスが必要となるため、薄膜の大面積化が困難であり、また生産性・コストに劣るという欠点がある。一方、「湿式」は、スピンコート(回転塗布)などにより大面積に所望の膜を形成できる。また、種々の基板上に容易に成膜でき、低コスト・高生産性が達成され工業的に有利な方法である。
しかしながら、塗布などの「湿式」で得られる有機系の塗膜は、概して耐熱性が低い。また、可視光を実質的に吸収しない透明性や、高い屈折率などの光学材料としての諸要求性能の観点からは必ずしも満足できるものではなく、更なる改良が求められていた。
一方、金属アルコキシドなどのゾル−ゲル法を利用して無機化合物膜を成膜すると、反応の進行と共に水やアルコールなどが発生するためむらが生じやすく、均一な塗膜が得られ難かった。また、加熱などの硬膜時においては塗膜の厚みが大きく減少する、いわゆる膜減りが大きく、クラックなどが生じやすく、精密加工という観点から好ましくなかった。また、硬膜後に残存したシラノール等の水酸基が光学性能に悪影響を与えていた。さらには、塗膜形成用の塗布液のポットライフが短く、塗布液の安定性という観点からも改善が必要であった。
本発明は、上記のような問題点に鑑みて、安定性の高い塗布液を用いて、硬膜時に水などの副生成物が実質的に生じず、高屈折率、高耐熱性、および優れた透明性を有する塗膜を得る塗膜の製造方法、およびその製造方法により得られる塗膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、上記課題が下記の<1>〜<10>の構成により解決されることを見出した。
<1>一般式(I)で表される構成単位および一般式(II)で表される構成単位を含むオルガノポリシロキサンを含有するシリコーン樹脂組成物を調製する工程、前記シリコーン樹脂組成物を有機溶媒に溶解させて塗布液を製造する工程、および前記塗布液を基板上に塗布し、220℃以上の温度で硬化させる工程を含む塗膜の製造方法。
<2>前記オルガノポリシロキサンが、一般式(III)で表される構成単位を含む<1>に記載の塗膜の製造方法。
<3>前記オルガノポリシロキサンが、一般式(IV)で表される構成単位を含む<1>または<2>に記載の塗膜の製造方法。
(一般式(IV)中、R1〜R3はそれぞれ独立にメチル基、フェニル基またはビニル基を表す。)
<4>前記オルガノポリシロキサンが、ケイ素原子に直接結合したヒドロキシ基およびアルコキシ基を実質的に含まないことを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
<5>前記オルガノポリシロキサンが、SiH基を実質的に含まないことを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
<6>前記オルガノポリシロキサンの数平均分子量(Mn)が、2000以上である<1>〜<5>のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
<7>前記オルガノポリシロキサンのガラス転移点(Tg)が、200℃以上である<1>〜<6>のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
<8>前記塗布液が、アルミニウム化合物粒子、スズ化合物粒子、チタン化合物粒子およびジルコニウム化合物粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物粒子を含有することを特徴とする<1>〜<7>のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
<9><1>〜<8>のいずれかに記載の塗膜の製造方法により製造される塗膜。
<10>屈折率が1.50以上であり、可視域に実質的に吸収を有しない<9>に記載の塗膜。
<4>前記オルガノポリシロキサンが、ケイ素原子に直接結合したヒドロキシ基およびアルコキシ基を実質的に含まないことを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
<5>前記オルガノポリシロキサンが、SiH基を実質的に含まないことを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
<6>前記オルガノポリシロキサンの数平均分子量(Mn)が、2000以上である<1>〜<5>のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
<7>前記オルガノポリシロキサンのガラス転移点(Tg)が、200℃以上である<1>〜<6>のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
<8>前記塗布液が、アルミニウム化合物粒子、スズ化合物粒子、チタン化合物粒子およびジルコニウム化合物粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物粒子を含有することを特徴とする<1>〜<7>のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
<9><1>〜<8>のいずれかに記載の塗膜の製造方法により製造される塗膜。
<10>屈折率が1.50以上であり、可視域に実質的に吸収を有しない<9>に記載の塗膜。
本発明によれば、塗布液の安定性が高く、硬膜時に水などの副生成物が実質的に生じず、高屈折率、高耐熱性、および優れた透明性を有する塗膜を得る塗膜の製造方法、およびその製造方法により得られる塗膜を提供することができる。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明では、塗膜の製造を以下の3つ工程でおこなう。
<1>一般式(I)で表される構成単位、および一般式(II)で表される構成単位を含むオルガノポリシロキサンを含有するシリコーン樹脂組成物を調製する工程
<2>該シリコーン樹脂組成物を有機溶媒に溶解させて塗布液を製造する工程
<3>該塗布液を基板上に塗布し、220℃以上の温度で硬化させる工程
以下に各工程について詳しく説明する。
本発明では、塗膜の製造を以下の3つ工程でおこなう。
<1>一般式(I)で表される構成単位、および一般式(II)で表される構成単位を含むオルガノポリシロキサンを含有するシリコーン樹脂組成物を調製する工程
<2>該シリコーン樹脂組成物を有機溶媒に溶解させて塗布液を製造する工程
<3>該塗布液を基板上に塗布し、220℃以上の温度で硬化させる工程
以下に各工程について詳しく説明する。
<1>工程
<1>工程は、一般式(I)で表される構成単位、および一般式(II)で表される構成単位を含むオルガノポリシロキサンを含有するシリコーン樹脂組成物を調製する工程である。ケイ素原子と酸素原子とでなるシロキサン構造を持つオルガノポリシロキサンは、優れた耐熱性、透明性を有する。
<1>工程は、一般式(I)で表される構成単位、および一般式(II)で表される構成単位を含むオルガノポリシロキサンを含有するシリコーン樹脂組成物を調製する工程である。ケイ素原子と酸素原子とでなるシロキサン構造を持つオルガノポリシロキサンは、優れた耐熱性、透明性を有する。
本発明の塗膜の製造方法に用いられる硬化前のシリコーン樹脂組成物(以下、「本発明のシリコーン樹脂組成物」ともいう。)は、一般式(I)で表される構成単位、および一般式(II)で表される構成単位を有するオルガノポリシロキサン(「本発明のオルガノポリシロキサン」ともいう。)を含む。一般式(I)で表される構成単位に含まれるケイ素原子が、上述のオルガノポリシロキサンに含まれる全ケイ素原子の3〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、7〜30モル%がさらに好ましい。上記の数値の範囲内であれば、シリコーン樹脂組成物の硬化性と、硬化して得られた塗膜の屈折率、硬度、溶剤耐性、および耐熱性とを両立できる。以下、特にことわりのない限り、数値範囲の記載である「3〜50モル%」などは、「3モル%以上、50モル%以下」などを表すものとし、他の数値範囲の記載においても同様とする。
本発明のオルガノポリシロキサンが、一般式(II)で表される構成単位を含むことにより屈折率が高い塗膜を得ることができ、良好な光学性能を達成することができる。一般式(II)で表される構成単位に含まれるケイ素原子が、オルガノポリシロキサンに含まれる全ケイ素原子の50〜95モル%であることが好ましく、65〜90モル%がより好ましく、70〜85モル%がさらに好ましい。上記の数値の範囲内であると、十分な屈折率を有する塗膜を得ることができる。
本発明のオルガノポリシロキサンは、一般式(I)および一般式(II)で表される構成単位以外に、さらに一般式(III)で表される構成単位を有することが好ましい。一般式(III)で表される構成単位に含まれるケイ素原子が、オルガノポリシロキサンに含まれる全ケイ素原子の1〜30モル%であることが好ましく、3〜25モル%がより好ましく、5〜20モル%が最も好ましい。上記の数値の範囲内であると、オルガノポリシロキサンの溶解性が高く、硬膜時の膜減りが小さく、耐熱性と溶剤耐性に優れた塗膜を得ることができる。
本発明のオルガノポリシロキサンは、上述の一般式(I)〜一般式(III)で表される構成単位以外に、一般式(IV)で表される構成単位を有することが好ましい。一般式(IV)で表される構成単位を有すると、オルガノポリシロキサン中のシラノール基を減少することができるので好ましい。
一般式(IV)中のR1〜R3は、それぞれ独立にメチル基、フェニル基またはビニル基を表し、好ましくはメチル基である。一般式(IV)で表される構成単位の具体例としては、トリビニルシロキサン、ジビニルメチルシロキサン、ジビニルフェニルシロキサン、ビニルジメチルシロキサン、ビニルフェニルメチルシロキサン、トリメチルシロキサン、ジメチルフェニルシロキサン、メチルジフェニルシロキサン、トリフェニルシロキサンなどのシロキサン構成単位が挙げられる。さらには、これらのシロキサン構成単位の有機基の1以上の水素原子がハロゲン原子などで置換されていてもよい。一般式(IV)で表される構成単位に含まれるケイ素原子が、オルガノポリシロキサンに含まれる全ケイ素原子の0.1〜20モル%であることが好ましく、0.5〜10モル%がより好ましく、1.0〜5.0モル%が最も好ましい。上記の数値範囲内であると、オルガノポリシロキサンのシラノール含有量を小さいこと、分子量が大きくおよびTgが高いことを両立することができる。
本発明のオルガノポリシロキサンに含まれる一般式(I)〜一般式(IV)で表される構成単位以外の構成単位としては、例えば、モノメチルシロキサン、モノエチルシロキサン、ジビニルシロキサン、フェニルビニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン、ジメチルシロキサン、メチルビニルシロキサン、酸化チタンなどが挙げられる。さらには、これらシロキサン構成単位の有機基の1以上の水素原子がハロゲン原子などで置換されていてもよい。
本発明のオルガノポリシロキサンは、上述のシロキサン構成単位に対応するオルガノハロシランおよび/またはオルガノアルコキシシランの2種以上の混合物を共加水分解縮合するという方法により得られ、なかでもオルガノハロシランを用いることが好ましく、特にオルガノクロロシランを用いることが好ましい。具体的な出発原料として、得られるオルガノポリシロキサンが一般式(I)および一般式(II)で表される構成単位を有していれば特に限定されないが、例えば、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルクロロシランなどのオルガノハロシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメチルエトキシシランなどのオルガノアルコキシシラン、などが挙げられる。これらは市販品を用いてもよく、公知の方法により合成してもよい。
本発明のオルガノポリシロキサンの合成に使用される溶媒は、上述の出発原料が必要な濃度で溶解可能であれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、メチルチルケトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、ブタノールなどが挙げられ、トルエン、イソプロピルアルコールなどが好適である。これらは1種単独または2種以上を併用してもよい。溶媒の使用量は、使用する出発原料によって適宜最適な範囲が選択される。また、共加水分解縮合の進行のために該溶媒には水が加えられることが好ましい。水の使用量は、使用する出発原料によって適宜最適な範囲が選択されるが、好ましくは出発物質であるオルガノハロシランおよびオルガノアルコキシシランの合計量100質量部に対して、5〜200質量部、より好ましくは10〜70質量部である。
本発明のオルガノポリシロキサンの合成反応条件として、反応温度は溶媒の種類などによって異なるが、好ましくは−10℃〜200℃、より好ましくは0℃〜150℃、特に好ましくは10℃〜120℃である。反応温度が低すぎると反応が十分に進行せず、反応温度が高すぎると分子量の制御などが難しい。反応時間は、0.1〜48時間が好ましく、より好ましくは0.25〜12時間、特に好ましくは0.5〜8時間の範囲である。反応時間が短すぎると反応が十分に進行せず、反応時間が長すぎると生産性の観点から好ましくない。反応雰囲気は特に限定されず、不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴンなど)、空気下などで行われる。また、反応は攪拌条件下でも無攪拌条件下でもよいが、攪拌条件下で行われることが好ましい。攪拌条件は、溶媒の種類や反応温度などにより適宜最適な条件が選択される。
本発明のオルガノポリシロキサンの合成反応方法としては特に限定されないが、分子量および組成比の制御が容易な点から、出発物質であるオルガノハロシランおよび/またはオルガノアルコキシシランを含む溶液を、水が含まれる溶液に滴下する方法が好ましい。
本発明のオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に直接結合したヒドロキシ基やアルコキシ基などのケイ素官能基を実質的に有していないことが好ましく、必要に応じて後述する処理を施してもよい。これらのケイ素官能基を実質的に有していないオルガノポリシロキサンを含む塗布液は、保存安定性が高く、塗布・硬膜した際に水、アルコールなどがほとんど発生しないため、塗膜製造により適している。ここで「実質的に有していない」とは、ケイ素原子に直接結合したヒドロキシ基およびアルコキシ基が、ケイ素原子に結合する全官能基量に対して、5モル%以下であることをさし、2モル%以下がより好ましい。
このようなケイ素官能基を有していないオルガノポリシロキサンは、上述の反応により得られるオルガノポリシロキサンを、水酸化カリウム、カリウムシラノレートなどのアルカリ性物質によって処理し、さらに必要に応じてシリル化剤で処理することにより製造することができる。アルカリ性物質の使用量は、溶媒の種類や出発原料の種類によって適宜最適な量が選択されるが、出発物質であるオルガノハロシランおよびオルガノアルコキシシランの合計量100質量部に対して、0.002〜1質量部が好ましく、0.01〜0.2質量部がより好ましい。アルカリ性物質による処理は、溶媒の種類や出発原料の種類によって適宜最適な条件が選択されるが、加熱還流下で0.5〜10時間行うのが好ましい。
シリル化剤の使用量は、溶媒の種類や出発原料の種類によって適宜最適な量が選択されるが、出発物質であるオルガノハロシランおよびオルガノアルコキシシランの合計量100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、1.0〜20質量部がより好ましい。シリル化剤による処理は、溶媒の種類や出発原料の種類によって適宜最適な条件が選択されるが、室温下で0.5〜10時間行うのが好ましい。
シリル化剤としては、公知のものを用いることができ、特に限定されない。例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMCS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)、N−トリメチルシリルアセトアミド(TMSA)、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)、N−メチル−N−トリメチルシリルアセトアミド(MTMSA)、N−メチル−N−トリメチルシリル−トリフルオロアセトアミド(MSTFA)、N−トリメチルシリルジメチルアミン(TMSDMA)、N−トリメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)、N−トリメチルシリルイミダゾール(TMSI)、テトラメチルジシラザン(TMDS)、tert−ブチルジメチルクロロシラン(tert−BDMCS)、N−メチル−N−(tert−ブチルジメチルシリル)−トリフルオロアセトアミド(MTBSTFA)、ジクロロメチルテトラメチルジシラザン(CMTMDS)、クロロメチルジメチルジクロロシラン(CMDMCS)、ブロモメチルジメチルクロロシラン(BMDMCS)、フロフェメシルアミン、フロフェメシルクロライド、フロフェメシルジエチルアミン、1,1−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1−ジビニル―1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサビニルジシロキサン、ジメチルビニルクロロシラン、およびトリビニルクロロシラン、フェニルジメチルクロロシランなどが挙げられ、中でもジメチルビニルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリビニルクロロシラン、フェニルジメチルクロロシランなどのクロロシラン化合物の反応性が高いので好ましい。
上述の加水分解、縮合、シリル化処理などの反応終了後、オルガノポリシロキサンは再沈殿処理などにより精製することが好ましい。該処理により、低分子量成分を取り除くことができる。例えば、オルガノポリシロキサンをトルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどの良溶媒に溶解させてから、水、アルコールなどの貧溶媒を加える、または、これらの貧溶媒に滴下するなどの方法を用いて、沈澱させ、固形分を単離する工程である。この方法により、好ましい分子量およびTgを達成することができる。また、反応終了後のオルガノポリシロキサンを含んだ反応液の溶媒量を調整し、必要な成分を加え、後述する塗布液として直接用いてもよい。
上述の反応により得られるオルガノポリシロキサンは、直鎖状構造、環状構造、分岐状構造、三次元網目構造のいずれでもよく、耐熱性の観点から三次元網目構造を有することが好ましい。
本発明のオルガノポリシロキサンのゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法でのポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、3,500〜200,000であることが好ましく、4,000〜100,000がより好ましく、4,500〜50,000が最も好ましい。本発明のオルガノポリシロキサンのゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法でのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は、2,000〜15,000であることが好ましく、2,500〜10,000がより好ましく、3,000〜8,000が最も好ましい。重量平均分子量および数平均分子量が上記の数値の範囲内にあれば、オルガノポリシロキサンは良好な溶解性を有し、また、加熱時に気散することなく硬化することができる。
本発明のオルガノポリシロキサンのTg(ガラス転移温度)は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上がより好ましく、300℃以上が最も好ましい。Tgが上記数値の範囲内にあれば、本発明のシリコーン樹脂組成物は、加熱時に気散することなく硬化することができる。
塗布液および塗膜の安定性を保つために、本発明のシリコーン樹脂組成物はSiH基を実質的に含まないことが好ましい。ただし、本発明の効果を損なわない範囲で、これらを含んでいてもよい。
また、本発明においてオルガノポリシロキサンは、それぞれ別の加水分解縮合によって得られた2種以上のオルガノポリシロキサンを混合することによって製造することもできる。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、一般式(I)で表される構成単位、および一般式(II)で表される構成単位を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンを含んでいてもよい。例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、一般式(I)および一般式(II)で表される構成単位に対応するオルガノハロシランまたはオルガノアルコキシシラン以外の、オルガノハロシランまたはオルガノアルコキシシランから得られるオルガノポリシロキサンなどが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物の調製方法は、特に限定されず、一般式(I)で表される構成単位、および一般式(II)で表される構成単位を有するオルガノポリシロキサンの上述した反応の際に、任意のオルガノハロシランを加えて反応系中で任意のオルガノポリシロキサンを同時に製造して組成物を調製してもよい。また、上述した反応から精製したオルガノポリシロキサンと、任意の成分を混合することにより調製してもよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物中、一般式(I)で表される構成単位、および一般式(II)で表される構成単位を有するオルガノポリシロキサンの含有量は、使用目的などにより適宜最適な値が選択されるが、10〜100質量%が好ましく、より好ましくは30〜100質量%、さらに好ましくは50〜100質量%である。上記範囲内であれば、後述する塗膜の耐熱性や透明性など諸性能がより優れる。
本発明のシリコーン樹脂組成物のJIS K2501(1992)に規定される全酸価は、0.0001〜0.2mg・KOH/gが好ましく、より好ましくは0.0001〜0.040mg・KOH/gである。上記全酸価が上記の数値の範囲内であると本発明のシリコーン樹脂組成物を硬化してなるレンズなどの硬化物が加熱時に著しく変色しないため、光透過率低下を抑制できる。特に、加熱後のレンズなどの硬化物の短波長領域における光透過率の低下を少なくするためには上記全酸価の範囲が、0.0001〜0.010mg・KOH/gであることが最も好ましい。
全酸価を上記の範囲とするために、酸性物質を除去する具体的な方法としては、オルガノクロロシランを加水分解してオルガノポリシロキサンを製造する場合は、オルガノクロロシランの加水分解反応後に強塩基で処理することが好ましい。水を配合して加水分解を行ったのみでは、多くのケイ素原子結合塩素が残留することがあるからである。また、配合した強塩基の中和には、揮発性の酸性物質を使用することが好ましい。蒸留などにより容易に過剰の揮発性の酸性物質を除去できるからである。発生した塩は、水洗して除去することができる。
また、酸性物質を酸性触媒として用いたアルコキシシランの加水分解によりオルガノポリシロキサンを製造する場合は、使用した酸性触媒を除去するために十分な水洗を行うことが好ましい。これら酸性物質は有機層に可溶であるため残留しやすく、シリコーン樹脂組成物の全酸価を上昇させる場合があるからである。
また、酸性物質を酸性触媒として用いたアルコキシシランの加水分解によりオルガノポリシロキサンを製造する場合は、使用した酸性触媒を除去するために十分な水洗を行うことが好ましい。これら酸性物質は有機層に可溶であるため残留しやすく、シリコーン樹脂組成物の全酸価を上昇させる場合があるからである。
本発明のシリコーン樹脂組成物中およびシリコーン樹脂組成物の製造時の反応液中に、重合禁止剤(4−メトキシフェノール、カテコールなど)を添加してもよい。添加する量は、溶媒の種類や出発原料の種類によって適宜最適な条件が選択される。
<2>工程
<2>工程は、前述の<1>工程で得られたシリコーン樹脂組成物を有機溶媒に溶解させて塗布液を製造する工程である。
<2>工程は、前述の<1>工程で得られたシリコーン樹脂組成物を有機溶媒に溶解させて塗布液を製造する工程である。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、適当な有機溶媒に溶解させて塗布液として使用する。使用する有機溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、ジメチルイミダゾリジノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、イソプロパノール、エチレンカーボネート、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが好ましい。上記の中でも、好ましい溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレンカーボネート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、キシレン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンなどを挙げることができる。これらの溶剤は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の塗布液は、アルコール性水酸基を含む有機溶媒(メタノール、エタノールなど)および水を実質的に含まないことが好ましい。これらの溶媒が多く含まれると、シリコーン樹脂組成物の安定性が低下したり、硬膜後の膜にムラが生じる場合があり好ましくない。
本発明の塗布液中のシリコーン樹脂組成物を含めた全固形分濃度は、使用目的に応じて適宜調整されるが、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは2〜35質量%、さらに好ましくは3〜30質量%である。上記範囲内であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、塗布液の保存安定性もより優れる。なお、全固形分とは、上述の溶媒を除いた全成分で、本発明のシリコーン樹脂組成物と後述する任意の添加剤を含めた塗布液を用いて得られる塗膜を構成する全成分に相当する。
本発明の塗布液は、アルミニウム化合物粒子、スズ化合物粒子、チタン化合物粒子およびジルコニウム化合物粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物粒子を含んでいてもよい。このような粒子を含有することにより、塗膜の屈折率を制御することができる。粒子のサイズは5nm〜1μmの範囲内であることが好ましく、特に光学用材料として用いる場合には、光散乱を低減するため10nm〜20nmのサイズであることが好ましい。
金属化合物粒子の例としては、酸化スズ−酸化チタン複合粒子の”オプトレイクTR−502”、”オプトレイクTR−504”、”オプトレイクTR−520”、”オプトレイクTR−513”、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子の”オプトレイクTR−503”、”オプトレイクTR−527”、”オプトレイクTR−528”、”オプトレイクTR−529”、酸化チタン粒子の”オプトレイクTR−505”(以上、商品名、触媒化成工業(株)製)、酸化ジルコニウム粒子((株)高純度化学研究所製)、酸化スズ−酸化ジルコニウム複合粒子(触媒化成工業(株)製)、酸化スズ粒子((株)高純度化学研究所製)などが挙げられる。金属化合物粒子の含有量は、シリコーン樹脂組成物に対して10〜900質量%が好ましく、20〜400質量%がより好ましい。この範囲内であれば、透過率と耐クラック性のより良好な膜を得ることができる。
本発明の塗布液には、得られる膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性など)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、コロイド状シリカ、界面活性剤、シランカップリング剤、密着剤などの添加剤を添加してもよい。
本発明の塗布液は、コロイド状シリカを含有していてもよい。例えば、高純度の無水ケイ酸を親水性有機溶媒若しくは水に分散した分散液であり、通常、平均粒径5〜30nm、好ましくは10〜20nm、固形分濃度が5〜40質量%のものである。
本発明の塗布液は、界面活性剤を含有していてもよい。例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられ、さらにシリコーン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が挙げられる。本発明に用いることができる界面活性剤は、一種類でもよいし、二種類以上でもよい。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が好ましく、特にシリコーン系界面活性剤が好ましい。本発明に用いることができる界面活性剤の含有量は、膜形成塗布液の全量に対して、0.01〜1質量%以下であることが好ましく、0.1〜0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明において、シリコーン系界面活性剤とは、少なくとも1原子のSi原子を含む界面活性剤である。本発明に使用するシリコーン系界面活性剤としては、いかなるシリコーン系界面活性剤でもよく、アルキレンオキシドおよびジメチルシロキサンを含む構造であることが好ましい。下記化学式を含む構造であることがさらに好ましい。
本発明に用いることができるシリコーン系界面活性剤としては、例えばBYK306、BYK307(ビックケミー社製)、SH7PA、SH21PA、SH28PA、SH30PA(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、TroysolS366(トロイケミカル社製)などを挙げることができる。
本発明に用いることができるノニオン系界面活性剤としては、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなるノニオン系界面活性剤でもよい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリオキシエチレン類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などを挙げることができる。
本発明に用いることができる含フッ素系界面活性剤としては、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなる含フッ素系界面活性剤でもよい。例えば、パーフルオルオクチルポリエチレンオキシド、パーフルオルデシルポリエチレンオキシド、パーフルオルドデシルポリエチレンオキシドなどが挙げられる。
本発明に用いることができるアクリル系界面活性剤としては、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなるアクリル系界面活性剤でもよい。例えば、(メタ)アクリル酸系共重合体などが挙げられる。
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなるシランカップリング剤を使用してもよい。シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。本発明に用いることができるシランカップリング剤は、一種類単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなる密着促進剤を使用してもよい。密着促進剤としては、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アルミニウムモノエチルアセトアセテートジイソプロピレート、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、ビニルトリクロロシラン、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、チオ尿素化合物などを挙げることができる。官能性シランカップリング剤が密着促進剤として好ましい。密着促進剤の使用量は、全固形分100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、特に0.05〜5質量部であることがより好ましい。
本発明では、塗膜の機械強度の許す範囲内で、空孔形成因子を使用して塗膜を多孔質化し、低誘電率化を図ることができる。空孔形成剤となる添加剤としての空孔形成因子としては、特に限定はされないが、非金属化合物が好適に用いられ、塗布液で使用される溶剤との溶解性、塗膜との相溶性を同時に満たすことが必要である。
空孔形成剤としてはポリマーも使用することができる。空孔形成剤として使用できるポリマーとしては、例えば、ポリビニル芳香族化合物(ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ハロゲン化ポリビニル芳香族化合物など)、ポリアクリロニトリル、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなど)、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、ポリウレタン、ポリメタクリレート(ポリメチルメタクリレートなど)またはポリメタクリル酸、ポリアクリレート(ポリメチルアクリレートなど)およびポリアクリル酸、ポリジエン(ポリブタジエンおよびポリイソプレンなど)、ポリビニルクロライド、ポリアセタール、およびアミンキャップドアルキレンオキシド、その他、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリテトラヒドロフラン、ポリシクロヘキシルエチレン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルピリジン、ポリカプロラクトンなどであってもよい。
特にポリスチレンは、空孔形成剤として好適に使用できる。ポリスチレンはとしては、たとえば、アニオン性重合ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、未置換および置換ポリスチレン(たとえば、ポリ(α−メチルスチレン))が挙げられ、未置換ポリスチレンが好ましい。
また、この空孔形成剤の沸点若しくは分解温度は、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃である。分子量としては、好ましくは200〜50,000、より好ましくは300〜10,000、特に好ましくは400〜5,000である。添加量は、シリコーン樹脂組成物の固形分に対して、好ましくは0.5〜75質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。
空孔形成剤としてはポリマーも使用することができる。空孔形成剤として使用できるポリマーとしては、例えば、ポリビニル芳香族化合物(ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ハロゲン化ポリビニル芳香族化合物など)、ポリアクリロニトリル、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなど)、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、ポリウレタン、ポリメタクリレート(ポリメチルメタクリレートなど)またはポリメタクリル酸、ポリアクリレート(ポリメチルアクリレートなど)およびポリアクリル酸、ポリジエン(ポリブタジエンおよびポリイソプレンなど)、ポリビニルクロライド、ポリアセタール、およびアミンキャップドアルキレンオキシド、その他、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリテトラヒドロフラン、ポリシクロヘキシルエチレン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルピリジン、ポリカプロラクトンなどであってもよい。
特にポリスチレンは、空孔形成剤として好適に使用できる。ポリスチレンはとしては、たとえば、アニオン性重合ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、未置換および置換ポリスチレン(たとえば、ポリ(α−メチルスチレン))が挙げられ、未置換ポリスチレンが好ましい。
また、この空孔形成剤の沸点若しくは分解温度は、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃である。分子量としては、好ましくは200〜50,000、より好ましくは300〜10,000、特に好ましくは400〜5,000である。添加量は、シリコーン樹脂組成物の固形分に対して、好ましくは0.5〜75質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。
本発明の塗布液はフィルターろ過により、不溶物、ゲル状成分などを除いてから塗膜形成に用いることが好ましい。その際に用いるフィルターの孔径は0.001〜0.2μmが好ましく、孔径0.005〜0.05μmがより好ましく、孔径孔径0.005〜0.03μmが最も好ましい。フィルターの材質はPTFE、ポリエチレン、ナイロンが好ましく、ポリエチレンおよびナイロンがより好ましい。
上述した本発明の塗布液の製造方法は、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂組成物、有機溶媒、ならびに必要に応じて各任意成分を加えて、混合ミキサーなどのかくはん機を用いて十分にかくはんする方法を用いることができる。
<3>工程
<3>工程は、<2>工程で得られた塗布液を基板上に塗布し、220℃以上の温度で硬化させる工程である。
<3>工程は、<2>工程で得られた塗布液を基板上に塗布し、220℃以上の温度で硬化させる工程である。
本発明の塗布液を使用して得られる塗膜は、塗布液をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法、スプレー法、バー塗布法などの任意の方法により、シリコンウエハ、SiO2ウエハ、SiNウエハ、ガラス、プラスチックフィルムなどの基板に塗布した後、溶剤を必要に応じて加熱処理で除去することにより形成することができる。基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法,スキャン法によるものが好ましい。特に好ましくは,スピンコーティング法によるものである。スピンコーティングについては、市販の装置を使用できる。例えば,クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)などが好ましく使用できる。スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよいが、膜の面内均一性の観点より、1300rpm程度の回転速度が好ましい。また塗布液の吐出方法においては、回転する基板上に塗布液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ塗布液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、塗布液の消費量を抑制する観点より、予備的に塗布液の主溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から塗布液を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)などによるキセノンランプを使用した光照射加熱などを適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)などが好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン製)などが好ましく使用できる。
本発明の塗布液は基板上に塗布した後に、220℃以上の温度に加熱して硬膜することが好ましい。硬膜とは、基板上の組成物を硬化し、膜に溶剤耐性を与えることを意味する。例えば、シリコーン樹脂組成物に含まれるビニル基の加熱時の重合反応が利用できる。この加熱処理の条件は、好ましくは220〜450℃、より好ましくは260〜420℃、特に好ましくは300℃〜400℃で、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは10分〜1.5時間、特に好ましくは30分〜1時間の範囲である。加熱処理は数回に分けて行っても良い。また、この加熱は酸素による熱酸化を防ぐために窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。なお、必要に応じて上述した加熱処理前に、220℃より低い温度で予備加熱処理して、塗膜を乾燥させてもよい。
また、本発明では、さらに高エネルギー線を照射することでシリコーン樹脂組成物に含まれるビニル基などの重合反応を起こして硬膜してもよい。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは0〜50keVが好ましく、より好ましくは0〜30keV、特に好ましくは0〜20keVである。電子線の総ドーズ量は好ましくは0〜5μC/cm 2 、より好ましくは0〜2μC/cm 2 、特に好ましくは0〜1μC/cm 2である。電子線を照射する際の基板温度は220〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは280〜350℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。本発明における電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は190〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2000mWcm−2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は220〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは280〜350℃である。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
なお、上述の加熱処理と高エネルギー線処理照射による処理を、同時にまたは順次行うことにより硬膜してもよい。
本工程で使用される基板は特に限定されず、例えば、ガラス基板,セラミックス基板,Si,GaAsのような半導体基板,プラスチック基板などが使用目的に応じて選択される。
塗膜を形成する際の膜厚は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜1.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜3μm程度の塗膜を形成することができる。塗膜として好ましい膜厚は使用用途により異なるが、0.01〜10μmが好ましく、より好ましくは0.05〜2μmである。上記範囲内であれば、良好な光学特性や耐熱性などを達成することができる。
より具体的には、本発明の塗布液を、例えばスピンコート法により、基板上に塗布し、予備加熱処理を行うことにより溶媒を乾燥させ、次いで300℃以上430℃以下の温度で最終熱処理(アニール)を行うことにより塗膜を形成できる。
本発明の塗膜は、光学的に透明であるので、特にCCDやCMOSなどの光学デバイスやディスプレイ装置用途に特に有用である。ここで「光学的に透明である」とは具体的には、その光透過率が80%以上であり、好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上であることをいう。この「光透過率」は、厚さ1mmに成形した硬化物を透過した波長555nmの可視光の透過率である。波長555nmは可視光のほぼ中間値であり、人の目で最も感度が高い波長として知られている値である。
また、本発明のシリコーン樹脂組成物を硬化してなる塗膜は、短波長領域においてもその光透過率が高いことが好ましい。厚さ1mmの硬化物の波長400nmの光に対する光透過率は、加熱処理などの加速劣化試験を行わない初期の状態において80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが最も好ましい。
本発明の塗膜の屈折率は、1.50以上が好ましく、より好ましくは1.52以上である。上記数値以上であれば、反射防止膜や光導波路などへの応用に好適である。なお、屈折率は高ければ高いほどよく、特に上限はない。屈折率は波長633nmで測定した値をさす。
本発明の塗膜のガラス転移点(Tg)は、350℃以上が好ましく、より好ましくは400℃以上である。上記数値以上であれば、反射防止膜や光導波路などへの応用に好適である。なお、ガラス転移点(Tg)は高ければ高いほどよく、特に上限はない。
本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化膜は、光学レンズ、プリズム、導光板、偏向板、導光路、シートおよびフィルムのような定形物、モールデイング剤、封止剤、注型剤、被覆剤、接着剤、光学用半導体装置における半導体素子の保護剤のような不定形物に好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。組成式は、仕込み比およびNMRの積分比から求めた。ガラス転移温度(Tg)は融点測定装置(ビュッヒ社製、製品名B−540)を用いて測定した。以下、特にことわりのない限り「部」は「質量部」を意味する。
(合成例1)
フェニルトリクロロシラン(和光純薬社製)33.85部、ビニルトリクロロシラン(東京化成社製)3.23部、および、テトラクロロシラン(東京化成社製)5.10部を混合してオルガノクロロシラン混合液を調製し、トルエン20.80部、イソプロピルアルコール9.37部、4−メトキシフェノール0.003部、および、水13部の混合液中に、液内温度を30℃以下に保ち、激しく撹拌しながら、60分間かけて上記オルガノクロロシラン混合液を滴下した。更に60分間撹拌を行った後、トルエン80部を加え、洗浄後の水層が中性となるまで水洗した。
水洗後、シロキサン濃度が10質量%であるトルエン溶液を調製し、水酸化カリウム0.024部を添加し、ディーンスターク管で水を除きながら加熱還流して5時間重合させた。次いで、固形分濃度75質量%になるまで濃縮し、さらに3時間還流した。
次いで、トリメチルクロロシラン6部を添加し、室温で60分間撹拌を行い、アルカリを中和し、かつ残存するシラノール基を除去した。ろ過した後、加熱減圧下でトルエンを留去して、イソプロピルアルコール156.2部を加え、デカンテーションで沈澱を単離した。得られた沈澱を乾燥、粉砕することにより、固体状のオルガノポリシロキサンAを得た。
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)でポリスチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量17,800、数平均分子量6,400であった。オルガノポリシロキサンAのTgは300℃以上であった。
フェニルトリクロロシラン(和光純薬社製)33.85部、ビニルトリクロロシラン(東京化成社製)3.23部、および、テトラクロロシラン(東京化成社製)5.10部を混合してオルガノクロロシラン混合液を調製し、トルエン20.80部、イソプロピルアルコール9.37部、4−メトキシフェノール0.003部、および、水13部の混合液中に、液内温度を30℃以下に保ち、激しく撹拌しながら、60分間かけて上記オルガノクロロシラン混合液を滴下した。更に60分間撹拌を行った後、トルエン80部を加え、洗浄後の水層が中性となるまで水洗した。
水洗後、シロキサン濃度が10質量%であるトルエン溶液を調製し、水酸化カリウム0.024部を添加し、ディーンスターク管で水を除きながら加熱還流して5時間重合させた。次いで、固形分濃度75質量%になるまで濃縮し、さらに3時間還流した。
次いで、トリメチルクロロシラン6部を添加し、室温で60分間撹拌を行い、アルカリを中和し、かつ残存するシラノール基を除去した。ろ過した後、加熱減圧下でトルエンを留去して、イソプロピルアルコール156.2部を加え、デカンテーションで沈澱を単離した。得られた沈澱を乾燥、粉砕することにより、固体状のオルガノポリシロキサンAを得た。
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)でポリスチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量17,800、数平均分子量6,400であった。オルガノポリシロキサンAのTgは300℃以上であった。
オルガノポリシロキサンAの組成式
Vi0.10Me0.05Ph0.73SiO1.56
(以下、組成式中、Viはビニル基、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。)
仕込み比、組成式、IRスペクトルおよび、NMRスペクトルから、オルガノポリシロキサンAには一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)および一般式(IV)で表される構成単位が含まれており、一方、SiH基およびSiOR基(Rは水素原子またはアルキル基)は上記測定からは確認されず、含まれていなかった。
Vi0.10Me0.05Ph0.73SiO1.56
(以下、組成式中、Viはビニル基、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。)
仕込み比、組成式、IRスペクトルおよび、NMRスペクトルから、オルガノポリシロキサンAには一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)および一般式(IV)で表される構成単位が含まれており、一方、SiH基およびSiOR基(Rは水素原子またはアルキル基)は上記測定からは確認されず、含まれていなかった。
(合成例2)
フェニルトリクロロシラン13.75部、メチルトリクロロシラン(和光純薬社製)3.74部、ビニルトリクロロシラン1.61部、および、トルエン10.40部を混合してオルガノクロロシラン混合液を調製し、水10部中に激しく撹拌して、内温を30℃以下に保ちながら、60分間で滴下した。更に60分間撹拌を行った後、トルエン30部を加え、洗浄後の水層が中性となるまで水洗した。水洗後、シロキサン濃度が25質量%のトルエン溶液を調製し、水酸化カリウム0.010部を添加し、ディーンスターク管で水を除きながら加熱還流して5時間重合させた。次いで、固形分濃度75質量%になるまで濃縮し、さらに3時間還流した。次いで、トリメチルクロロシラン3部を添加し、室温で60分間撹拌を行い、アルカリを中和し、かつ残存するシラノール基を除去した。分液洗浄した後、ろ過し、加熱減圧下でトルエンを留去し、固体状のオルガノポリシロキサンBを得た。
ゲル透過クロマトグラフィーでポリスチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量13,000、数平均分子量3,900であった。オルガノポリシロキサンBのTgは283℃であった。
フェニルトリクロロシラン13.75部、メチルトリクロロシラン(和光純薬社製)3.74部、ビニルトリクロロシラン1.61部、および、トルエン10.40部を混合してオルガノクロロシラン混合液を調製し、水10部中に激しく撹拌して、内温を30℃以下に保ちながら、60分間で滴下した。更に60分間撹拌を行った後、トルエン30部を加え、洗浄後の水層が中性となるまで水洗した。水洗後、シロキサン濃度が25質量%のトルエン溶液を調製し、水酸化カリウム0.010部を添加し、ディーンスターク管で水を除きながら加熱還流して5時間重合させた。次いで、固形分濃度75質量%になるまで濃縮し、さらに3時間還流した。次いで、トリメチルクロロシラン3部を添加し、室温で60分間撹拌を行い、アルカリを中和し、かつ残存するシラノール基を除去した。分液洗浄した後、ろ過し、加熱減圧下でトルエンを留去し、固体状のオルガノポリシロキサンBを得た。
ゲル透過クロマトグラフィーでポリスチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量13,000、数平均分子量3,900であった。オルガノポリシロキサンBのTgは283℃であった。
オルガノポリシロキサンBの組成式
Vi0.10Me0.26Ph0.65SiO1.50
仕込み比、組成式、IRスペクトル、およびNMRスペクトルから、オルガノポリシロキサンBには一般式(I)、一般式(II)および一般式(IV)で表される構成単位が含まれており、一方、SiH基およびSiOR基(Rは水素原子またはアルキル基)は上記測定からは確認されず、含まれていなかった。
Vi0.10Me0.26Ph0.65SiO1.50
仕込み比、組成式、IRスペクトル、およびNMRスペクトルから、オルガノポリシロキサンBには一般式(I)、一般式(II)および一般式(IV)で表される構成単位が含まれており、一方、SiH基およびSiOR基(Rは水素原子またはアルキル基)は上記測定からは確認されず、含まれていなかった。
(合成例3)
フェニルトリクロロシラン50.77部、およびメチルトリクロロシラン8.97部を混合してオルガノクロロシラン混合液を調製し、トルエン30.87部、イソプロピルアルコール13.99部、4−メトキシフェノール0.01部、および、水17.8部の混合液中に、液温度を30℃以下に保ち、激しく撹拌しながら、60分間かけて上記オルガノクロロシラン混合液を滴下した。更に60分間撹拌を行った後、トルエン90部を加え、洗浄後の水層が中性となるまで水洗した。水洗後、シロキサン濃度10質量%のトルエン溶液を調製し、水酸化カリウム0.045部を添加し、ディーンスターク管で水を除きながら加熱還流して5時間重合させた。次いで、固形分濃度75質量%になるまで濃縮し、さらに3時間還流した。トリメチルクロロシラン2.0部を添加し、室温で60分間撹拌を行い、アルカリを中和し、かつ残存するシラノール基を除去した。ろ過した後、加熱減圧下でトルエンを留去し、イソプロピルアルコール300部を加え、デカンテーションで沈澱を単離し、固体状のオルガノポリシロキサンCを得た。
ゲル透過クロマトグラフィーでポリスチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量4,200、数平均分子量1,800であった。オルガノポリシロキサンCのTgは175℃であった。
フェニルトリクロロシラン50.77部、およびメチルトリクロロシラン8.97部を混合してオルガノクロロシラン混合液を調製し、トルエン30.87部、イソプロピルアルコール13.99部、4−メトキシフェノール0.01部、および、水17.8部の混合液中に、液温度を30℃以下に保ち、激しく撹拌しながら、60分間かけて上記オルガノクロロシラン混合液を滴下した。更に60分間撹拌を行った後、トルエン90部を加え、洗浄後の水層が中性となるまで水洗した。水洗後、シロキサン濃度10質量%のトルエン溶液を調製し、水酸化カリウム0.045部を添加し、ディーンスターク管で水を除きながら加熱還流して5時間重合させた。次いで、固形分濃度75質量%になるまで濃縮し、さらに3時間還流した。トリメチルクロロシラン2.0部を添加し、室温で60分間撹拌を行い、アルカリを中和し、かつ残存するシラノール基を除去した。ろ過した後、加熱減圧下でトルエンを留去し、イソプロピルアルコール300部を加え、デカンテーションで沈澱を単離し、固体状のオルガノポリシロキサンCを得た。
ゲル透過クロマトグラフィーでポリスチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量4,200、数平均分子量1,800であった。オルガノポリシロキサンCのTgは175℃であった。
オルガノポリシロキサンCの組成式
Me0.21Ph0.8SiO1.50
仕込み比、組成式、およびNMRスペクトルから、オルガノポリシロキサンCには一般式(II)で表される構成単位は含まれているが、一般式(I)で表される構成単位が含まれていなかった。
Me0.21Ph0.8SiO1.50
仕込み比、組成式、およびNMRスペクトルから、オルガノポリシロキサンCには一般式(II)で表される構成単位は含まれているが、一般式(I)で表される構成単位が含まれていなかった。
オルガノポリシロキサンA〜Cは、それぞれ25℃で1ヶ月保存しても、重量平均分子量に変化はなく、高い保存安定性を有していた。
(実施例)
オルガノポリシロキサンA1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)9部に溶解して塗布液を製造し、0.2μm孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過後、スピンコート法でガラス基板上に塗布後、ホットプレート上で130℃で1分間ついで200℃で1分間、基板を乾燥し、さらに窒素雰囲気のクリーンオーブン中で400℃で15分間加熱することによって塗膜Aを作製した。
オルガノポリシロキサンA1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)9部に溶解して塗布液を製造し、0.2μm孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過後、スピンコート法でガラス基板上に塗布後、ホットプレート上で130℃で1分間ついで200℃で1分間、基板を乾燥し、さらに窒素雰囲気のクリーンオーブン中で400℃で15分間加熱することによって塗膜Aを作製した。
400℃加熱前後の膜減り率[(加熱前膜厚―加熱後膜厚)/加熱前膜厚×100]、塗膜の屈折率および透過率をウーラム社製分光エリプソメーター(VASE)を用いて測定した。屈折率は波長633nmで測定した値を用いた。
オルガノポリシロキサンAの代わりにオルガノポリシロキサンB、Cを用いた以外は同様の条件で、塗膜B、Cを作製し、膜減り率、屈折率および透過率を測定した。
オルガノポリシロキサンAの代わりにオルガノポリシロキサンB、Cを用いた以外は同様の条件で、塗膜B、Cを作製し、膜減り率、屈折率および透過率を測定した。
前述のオルガノポリシロキサンA1部とオプトレイクTR−520(酸化チタン粒子30質量%、γ―ブチロラクトン70質量%)2部とをγ―ブチロラクトン12部に溶解させて塗布液を製造し、0.2μm孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過後、スピンコート法でガラス基板上に塗布後、ホットプレート上で130℃で1分間ついで200℃で1分間、基板を乾燥し、さらに窒素雰囲気のクリーンオーブン中で400℃で15分間加熱することによって塗膜A’を作製した。
以上の結果より、本発明の製造方法を用いると、保存安定性に優れたシリコーン樹脂組成物を用いて、高屈折率で透明性の高い塗膜をほとんど膜減りなく形成できることは明らかである。
Claims (10)
- 前記オルガノポリシロキサンが、ケイ素原子に直接結合したヒドロキシ基およびアルコキシ基を実質的に含まないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
- 前記シリコーン樹脂組成物が、SiH基を実質的に含まないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
- 前記オルガノポリシロキサンの数平均分子量(Mn)が、2000以上である請求項1〜5のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
- 前記オルガノポリシロキサンのガラス転移点(Tg)が、200℃以上である請求項1〜6のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
- 前記塗布液が、アルミニウム化合物粒子、スズ化合物粒子、チタン化合物粒子およびジルコニウム化合物粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物粒子を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の塗膜の製造方法により製造される塗膜。
- 屈折率が1.50以上であり、可視域に実質的に吸収を有しない請求項9に記載の塗膜。
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---|---|---|---|
JP2007327467A JP2009148670A (ja) | 2007-12-19 | 2007-12-19 | 塗膜の製造方法および塗膜 |
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WO2017145809A1 (ja) * | 2016-02-24 | 2017-08-31 | 日産化学工業株式会社 | シリコン含有パターン反転用被覆剤 |
WO2023162587A1 (ja) * | 2022-02-25 | 2023-08-31 | 日本電気硝子株式会社 | コーティング剤 |
-
2007
- 2007-12-19 JP JP2007327467A patent/JP2009148670A/ja not_active Withdrawn
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JPWO2017145809A1 (ja) * | 2016-02-24 | 2018-12-13 | 日産化学株式会社 | シリコン含有パターン反転用被覆剤 |
JP7143763B2 (ja) | 2016-02-24 | 2022-09-29 | 日産化学株式会社 | シリコン含有パターン反転用被覆剤 |
US11609499B2 (en) | 2016-02-24 | 2023-03-21 | Nissan Chemical Corporation | Silicon-containing coating agent for pattern reversal |
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