JP2006082537A - 壁装材表面保護用無延伸積層フィルム、壁装材及び壁装材の製造方法 - Google Patents

壁装材表面保護用無延伸積層フィルム、壁装材及び壁装材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 防汚性、艶消し性、エンボス追従性、製膜性、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性に優れ、適度な接着強度を有し、折れシワが発生しにくく、折れシワ復元性のよい、壁装材表面保護用無延伸積層フィルム、壁装材及び壁装材の製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも、接着層及び防汚層を有し、20%伸長時のモジュラス値が0.5〜7.0N/10mmである壁装材表面保護用無延伸積層フィルムであって、前記接着層は、融点が70〜100℃のエチレン系共重合体樹脂を主成分として含有し、前記防汚層は、前記接着層より融点が高く、かつ、密度をA(g/cm)、MFRをB(g/10分)としたときに0.50<A/B<30の関係を満たすポリエチレンを5〜35重量%、並びに、プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体を95〜65重量%含有する混合物からなる壁装材表面保護用無延伸積層フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、防汚性、艶消し性、エンボス追従性、製膜性、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性に優れ、適度な接着強度を有し、折れシワが発生しにくく、折れシワ復元性のよい、壁装材表面保護用無延伸積層フィルム、壁装材及び壁装材の製造方法に関する。
壁紙や化粧シート等の壁装材の基材としては、諸物性に優れ、成形加工性もよく、安価であるという理由から、ポリ塩化ビニル系樹脂が多用されている。しかし、ポリ塩化ビニルは、廃棄焼却時に塩化水素ガス等の有毒ガスや発ガン性物質であるダイオキシンが発生する等、環境面で極めて多くの問題点を有している。従って、ポリ塩化ビニル系樹脂に替わる素材としてアクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等からなる基材(以下、非ポリ塩化ビニル系基材ともいう。)を用いた壁装材が開発され、近年住宅用に採用されつつある。これら非ポリ塩化ビニル系基材の壁装材は、ポリ塩化ビニル系基材のような環境面の問題がないだけでなく、ポリ塩化ビニル系樹脂に用いられる可塑剤を含有しないか、可塑剤を含有する場合であっても表面にブリードし難いため、環境汚染が少なく、空気中の浮遊物の付着による汚れが少ない等の長所を有する。
しかしながら、非ポリ塩化ビニル系樹脂基材は、一旦汚れが付着すると汚染物の除去が困難であるという問題を有していることから、ポリ塩化ビニル系基材の場合と同様に、基材の表面に防汚性を有するフィルムを積層することが検討されてきた。従来、このようなフィルムとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)やアクリル系樹脂からなるフィルムが使用されている。しかし、これら従来のフィルムを積層することにより得られる壁装材は、糊を塗布後、折り畳んで重ね置きする工程(養成)において、折れシワが発生し、施工後も折れシワ復元性が悪いため、シワ跡が消えず、美観を著しく損なうという短所があった。
近年、非ポリ塩化ビニル系基材の表面に積層するフィルムとして、ポリエチレンやポリプロピレン等の種類の異なるポリオレフィン系樹脂の混合物を含有するフィルムが用いられており、例えば、特許文献1には、2軸延伸により製造されたポリプロピレンに、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物やエチレンとプロピレンとの共重合体等からなり、2軸延伸により製造されたポリマー層を積層した艶消し積層フィルムが開示されている。また、特許文献2には、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物からなるコア層と、プロピレン・α−オレフィン共重合体からなるスキン層とからなる2軸延伸複合フィルムが開示されている。
これらのフィルムは、ヘイズ値が低く、透明性に優れることから、全光線透過率は高いが、艶消し性が不充分で、壁装材に貼り合わせた場合に、てり感が見られるという問題があった。また、近年では、より複雑で立体的な意匠を施した壁装材が求められるようになってきたことから、非ポリ塩化ビニル系基材に積層するフィルムには、基材表面の凹凸に追従するエンボス追従性が要求されるが、2軸延伸により製造されたフィルムは、延伸時に発生した応力が残留しているため、基材の微細な凹凸に追従することができず、エンボス追従性の面で問題があった。更に、加熱等のストレスがかかった場合には、フィルムが残留応力に耐え切れずに収縮等を起こすことがあった。
一方、特許文献3には、特定のポリプロピレン単独共重合体及びエチレン−プロピレン共重合体エラストマーからなるポリプロピレン系樹脂と、ポリエチレン樹脂とを含有するマット調無延伸フィルム用ポリプロピレン樹脂組成物が開示されており、特許文献4には、MFRが所定の範囲内のプロピレン重合体、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体及びエチレン重合体からなるポリオレフィン組成物から得られるポリオレフィンフィルムが開示されている。しかしながら、これらを用いたフィルムは、艶消し性、耐熱性、溶断シール強度、スリップ性等に優れるものの、柔軟性が低下し、エンボス追従性や折れシワ復元性の面で問題があった。
また、フィルムを非ポリ塩化ビニル系基材に積層する方法としては、一般的にドライラミネート法等が用いられているが、このような方法では、有機溶剤が使用されることから、自然環境への影響、火災の危険性、作業者の健康面への影響、資源の浪費等において問題があった。従って、有機溶剤を使用しない熱圧着法により非ポリ塩化ビニル系基材に積層することのできるフィルムを要望されていた。
特公平2−19788号公報 特開平10−86299号公報 特許第3386878号公報 特開2003−55509号公報
本発明は、上記現状に鑑み、防汚性、艶消し性、エンボス追従性、製膜性、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性に優れ、適度な接着強度を有し、折れシワが発生しにくく、折れシワ復元性のよい、壁装材表面保護用無延伸積層フィルム、壁装材及び壁装材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも、接着層及び防汚層を有し、20%伸長時のモジュラス値が0.5〜7.0N/10mmである壁装材表面保護用無延伸積層フィルムであって、上記接着層は、融点が70〜100℃のエチレン系共重合体樹脂を主成分として含有し、上記防汚層は、上記接着層より融点が高く、かつ、密度をA(g/cm)、MFRをB(g/10分)としたときに0.50<A/B<30の関係を満たすポリエチレンを5〜35重量%、並びに、プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体を95〜65重量%含有する混合物からなる壁装材表面保護用無延伸積層フィルムである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、密度とMFRとが特定の関係を有するポリエチレンと、プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体との混合物からなる防汚層を有するフィルムは、無延伸であっても防汚性、艶消し性に優れること、及び、融点が所定範囲内のエチレン系共重合体樹脂を主成分として含有する接着層を有するフィルムは、極めて高い製膜性、接着性を有することから、このような防汚層と接着層とを有するフィルムを無延伸で製造することにより、エンボス追従性に優れ、折シワが発生しにくく、折れシワ復元性に優れた壁装材表面保護用無延伸積層フィルムとして好適に用いることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムは、接着層より融点が高く、かつ、密度をA(g/cm)、MFRをB(g/10分)としたときに0.50<A/B<30の関係を満たすポリエチレン、並びに、プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体を含有する混合物からなる防汚層を有する。
上記防汚層は、上記接着層よりも融点が高い。上記防汚層の融点が上記接着層の融点以下であると、本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムを非ポリ塩化ビニル系基材に熱圧着する際に防汚層が溶融し、壁装材表面保護用無延伸積層フィルムが変形したりする。
一般的に、ポリエチレンとポリプロピレンとを含有するフィルムは、ポリエチレンとポリプロピレンの屈折率の違いにより、外部からの光が散乱し、光沢度が低下するとともに、ヘイズ値が高くなることが知られているが、本発明者らは、密度をA(g/cm)、MFRをB(g/10分)としたときに0.50<A/B<30の関係を満たすポリエチレンと、プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体とを併用した混合物を用いることにより、混合物中の上記ポリエチレンと、プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体とが極めて均一に分散され、無延伸であっても特に高い艶消し効果が得られることを見出した。従って、本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムを壁装材の防汚フィルムとして用いた場合、壁装材表面の凹凸に充分に追従することができ、風合いが良く、外観に高級感を持たせることができる。
また、本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムは、優れた艶消し性を有しつつ、高い全光線透過率が確保されることから、印刷が施された非ポリ塩化ビニル系基材に積層する場合であっても、印刷の鮮明性が損なわれることがない。
上記A/Bが0.50以下であると、密度に対してMFRが大きすぎることから、上記防汚層の光沢度が上昇したり、ヘイズ値が低下したりすることにより、艶消し効果が低下する。上記A/Bが30以上であると、密度に対してMFRが小さすぎることから、製膜性の面で問題がある。
上記ポリエチレンの含有量の下限は5重量%、上限は35重量%である。5重量%未満であると、得られる壁装材表面保護用無延伸積層フィルムの光沢度が上昇して、艶消し効果が低下し、35重量%を超えると、引裂強度や艶消し効果が低下したり、耐熱性が低下したりして、壁装材と貼り合わせた場合に艶消し性が不充分となることがある。
上記混合物は、プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体を含有する。上記プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体を上記の要件を満たすポリエチレンと併用することにより、無延伸でも高い艶消し性を発揮することができる。
また、上記プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体は、防汚性に優れるとともに、接着層との密着性にも優れる。上記混合物がプロピレン−エチレンランダム共重合体又はプロピレン−エチレンブロック共重合体の何れかのみを含有する場合や、プロピレンホモ重合体やプロピレン−エチレングラフト共重合体のみを含有する場合は、光沢度が上昇して艶消し性が不充分となったり、引裂強度が低下したりする。
上記プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体は、プロピレン、エチレン以外のα−オレフィン成分等のような他の成分を含有するものであってもよい。
上記プロピレン、エチレン以外のα−オレフィン成分としては、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−3−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
上記混合物におけるプロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体の含有量の下限は65重量%、上限は95重量%である。65重量%未満であると、本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムの耐熱性が低下して、壁装材と貼り合わせた場合に艶消し性が不充分となることがある。また、95重量%を超えると、上記防汚層の艶消し性が低下するとともに、充分なエンボス追従性が得られない。
上記プロピレン−エチレンブロック共重合体100重量部に対するプロピレン−エチレンランダム共重合体の含有量の好ましい下限は10重量部、好ましい上限は90重量部である。10重量部未満であると、光沢度が上昇して艶消し性が低下することがあり、90重量部を超えると、耐熱性や艶消し性が低下することがある。
上記プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体のプロピレン成分の含有量の好ましい下限は85モル%、好ましい上限は99モル%である。85モル%未満であると、本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムの耐熱性、引裂強度が低下することがあり、99モル%を超えると、上記防汚層の艶消し性が低下することがある。
上記防汚層の入射角45°における光沢度の好ましい上限は10%である。10%を超えると、上記防汚層の表面に照り感が出て、艶消し効果が不充分となることがある。なお、入射角60°における光沢度の好ましい上限は16%であり、入射角75°における光沢度の好ましい上限は20%である。
本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムは、密度とMFRが特定の関係を有するポリエチレンと、プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体との混合物を含有することにより、フィルム製膜時に防汚層の表面が粗面化され、艶消し性が向上するとともに、巻き取り時のシワの発生がなく、巻き取り保管後の接着層とのブロッキングもない壁装材表面保護用無延伸積層フィルムを得ることができる。
上記防汚層表面に粗面を設ける場合、JIS B 0601に準ずる方法により測定される算術平均粗さ(Ra)の好ましい下限は0.4μm、上限は3.0μmである。0.4μm未満であると、ロール巻きにして使用する場合に、フィルムの内面と外面がブロッキングしやすくなる傾向にある。3.0μmを超えると、製膜時にピンホールが発生したり、均一な厚みのフィルムが得られないことがある。また、JIS B 0601に準ずる方法により測定される十点平均粗さ(Rz)の好ましい下限は2.5μm、上限は18μmである。2.5μm未満であると、ブロッキングが発生することがあり、18μmを超えると、製膜時にピンホールが発生したり、均一な厚みのフィルムが得られないことがある。
また、本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムの特性を阻害しない範囲であれば、上記防汚層及び/又は中間層に、紫外線吸収剤、難燃剤、防カビ剤、抗菌剤、吸湿剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤、充填剤、着色剤等の添加剤を添加してもよい。
本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムは、融点が70〜100℃のエチレン系共重合体樹脂を主成分として含有する接着層を有する。これにより、製膜性に優れ、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性や接着強度が高く、耐折れシワ性、折れシワ復元性を有する壁装材表面保護用無延伸積層フィルムとすることができる。
上記エチレン系共重合体樹脂の融点の下限は70℃、上限は100℃である。70℃未満であると、製膜時にフィルムがロールに粘着し、製膜性が悪くなる。100℃を超えると、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性が悪化し、折れシワが発生しやすくなる。融点が上記範囲内であることにより、製膜性、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性及び耐折れシワ性に優れた積層フィルムとすることができる。
上記エチレン系共重合体としては特に限定されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸3元共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。なお、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記接着層には、本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムの特性を阻害しない範囲で、粘着剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤、充填剤、着色剤等の添加剤を添加してもよく、目的に応じて、上記エチレン系共重合体以外の樹脂を添加してもよい。このような樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリエチレン、エチレンと、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等のモノマーからなる2元共重合体、3元共重合体等が挙げられる。
本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムは、防汚層と接着層との間にポリプロピレンを主成分とする中間層を有することが好ましい。このような中間層を有することにより、耐熱性に優れ、引裂強度が高い壁装材表面保護用無延伸積層フィルムとすることができる。
本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムは、ヘイズ値の好ましい下限が70%である。70%未満であると、上記防汚層において外部からの光が乱反射せず、艶消し効果が不充分となり、壁装材に用いた場合に、外観が損なわれることがある。
本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムは、全光線透過率の好ましい下限が90%である。90%未満であると、印刷を施した非ポリ塩化ビニル系基材の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムとして用いる場合に、非ポリ塩化ビニル系基材の印刷の鮮明さが損なわれることがある。
本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムは、20%伸長時のモジュラス値の下限が0.5N/10mm、上限が7.0N/10mmである。0.5N/10mm未満であると、本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムを製膜する際にピンホールが発生し、7.0N/10mmを超えると、折れシワが発生しやすく、折れシワ復元性が悪いため、シワ跡が残る。好ましい下限は1.0N/10mm、上限は5.0N/10mm、より好ましい下限は2.0N/10mm、上限は4.0N/10mmである。
本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムは、ASTM D882に準ずる方法により測定した引張破断伸度の好ましい下限が200%である。200%未満であると、エンボス追従性が不充分で、非ポリ塩化ビニル壁紙の表面にエンボス加工等を施して微細な凹凸を形成し、立体的な意匠性を付与した場合に、充分に非ポリ塩化ビニル壁紙表面の凹凸に追従できず、穴開き等が発生してしまったり、凹凸のめりはりがなくなり非ポリ塩化ビニル壁紙に施された意匠とは異なった意匠になってしまったりすることがある。
本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムは、JIS P 8116に準ずる方法により測定した引裂強度の好ましい下限が100mN/10mmである。100mN/10mm未満であると、耐久性が不充分となる。また、熱圧着の際にフィルムが裂けたり、亀裂が発生することにより、壁装材表面保護用無延伸積層フィルムの防汚性が低下したりすることがある。
本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムの厚みの好ましい下限は10μm、上限は30μmである。10μm未満であると、ピンホールが発生したり、破断しやすくなったりすることがあり、30μmを超えると、非ポリ塩化ビニル系基材表面にエンボス加工等を施して微細な凹凸を形成し、立体的な意匠性を付与した場合に、充分に非ポリ塩化ビニル系基材表面の凹凸に追従できず、非ポリ塩化ビニル系基材に施された意匠とは明らかに異なってしまうことがある。
本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムにおいて、接着層の厚みの好ましい下限は1μmである。1μm未満であると、非ポリ塩化ビニル系基材への熱圧着性がばらつきやすくなる。また、上記接着層の厚みは非接着層(防汚層又は防汚層と中間層)の厚みの0.1倍以上であることが好ましく、より好ましくは0.2倍以上、更に好ましくは0.3倍以上である。非接着層の厚みの0.1倍未満であると、非ポリ塩化ビニル系基材表面の凸凹に追従できないことがある。
本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムを製造する方法としては、1軸延伸、2軸延伸等の延伸工程を有するものではなく、無延伸によるものであれば、特に限定されないが、残留溶剤の問題もなく、自然環境保護の観点から溶融押出法が好ましい。具体的には、例えば、溶融押出法により予め防汚層を形成した後、防汚層上に押出ラミネート法にて接着層を形成する方法、溶融押出法により予め接着層を形成した後、接着層上に押出ラミネート法にて防汚層を形成する方法、防汚層と接着層とを共押出法により形成する方法、接着層及び防汚層を各々溶融押出法により形成した後、接着層と防汚層とをラミネートする方法等により、本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムを製造することができる。更に、上記接着層は、防汚層に接着層となる溶液を塗工した後、熱乾燥することにより作製してもよい。
本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムは、上記構成よりなることから、防汚性、艶消し性に優れるとともに、高いエンボス追従性、製膜性を有する。また、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性に極めて優れ、適度な接着強度を有し、折れシワが発生しにくく、折れシワ復元性がよい。
従って、本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材とを熱圧着法等を用いて積層することにより、極めて高い意匠性を有する壁装材を製造することができる。このような壁装材もまた、本発明の1つである。
上記非ポリ塩化ビニル系基材としては特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。更に、上記非ポリ塩化ビニル系基材は発泡体であってもよく、非発泡体であってもよい。上記非ポリ塩化ビニル系基材を発泡体とする場合、壁装材表面保護用無延伸積層フィルムを熱圧着した後に非ポリ塩化ビニル系基材を発泡させてもよい。
上記非ポリ塩化ビニル系基材に印刷を施す場合、印刷インキは通常用いられるインキでよい。例えば、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ウレタン系、セルロース系の樹脂に顔料、染料等の着色剤、分散剤、溶剤等を混合し溶解させたもの等が挙げられる。また、上記印刷は公知の方法で行うことができる。
また、本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムの接着層は、上記非ポリ塩化ビニル系基材以外の紙、木材や、印刷インキとの熱圧着性にも優れることから、本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムは、それらに積層するフィルムとしても用いることができる。
本発明の壁装材において、壁装材表面保護用無延伸積層フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材との接着強度の好ましい下限は0.1N/10mm、上限は9.0N/10mmである。0.1N/10mm未満であると、エンボス加工を行った場合に、フィルムの浮きが発生しやすく、9.0N/10mmを超えると、エンボス性が悪くなる傾向にある。より好ましい下限は0.3N/10mm、上限は8.0N/10mmである。更に好ましい下限は0.5N/10mm、上限は7.0N/10mmである。
本発明の壁装材は、本発明の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材とを熱圧着法で積層することにより製造することができる。このような壁装材の製造方法もまた本発明の1つである。
上記熱圧着法では、有機溶剤を用いないので、有機溶剤に起因する弊害、即ち、自然環境への影響、火災の危険性、作業者の健康面への影響、資源の浪費等の問題が解決できる。
なお、上記熱圧着法を行う場合における条件は、速度の好ましい下限が5m/分、上限が50m/分であり、圧力の好ましい下限が0.3MPa、上限が6MPaであり、温度の好ましい下限が90℃、上限が200℃である。また、壁装材表面保護用無延伸積層フィルムにエンボス加工を行う場合は、熱圧着と同時に行ってもよく、後工程で行ってもよい。
本発明によれば、防汚性、艶消し性、エンボス追従性、製膜性、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性に優れ、適度な接着強度を有し、折れシワが発生しにくく、折れシワ復元性のよい、壁装材表面保護用無延伸積層フィルム、壁装材及び壁装材の製造方法を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
二軸混練押出機を用いてプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂(三井化学社製:F707V、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点163℃)、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂(三井化学社製:F327、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点135℃)、線状低密度ポリエチレン樹脂(三井化学社製:エボリューSP3010、MFR0.8、密度0.926g/cm、密度/MFR1.16、融点124℃)をそれぞれ、40:45:15の割合で溶融混練して、ストランド状に押出、冷却固化した後、カットして防汚層用樹脂ペレットを得た。
次に、得られた防汚層用樹脂ペレット、中間層用樹脂としてプロピレン−エチレンブロック共重合体(三井化学社製:F707V、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点163℃)、及び、接着層用樹脂として接着性樹脂(大日本インキ化学工業社製:ディックサームEL83K、MFR14.0、密度0.93g/cm、融点85℃)を3台の共押出機を用いて各々溶融し、230℃のTダイから共押出し、25℃で冷却固化して厚み18μm(防汚層:5μm、中間層:8μm、接着層:5μm)の無延伸積層フィルムを得た。
(実施例2)
二軸混練押出機を用いてプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂(三井化学社製:F707V、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点163℃)、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂(三井化学社製:F327、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点135℃)、高密度ポリエチレン樹脂(三井化学社製:ハイゼックス5305E、MFR0.8、密度0.951g/cm、密度/MFR1.19、融点130℃)をそれぞれ、60:32:8の割合で溶融混練して、防汚層用樹脂ペレットを得た以外は、実施例1と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
(実施例3)
プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂(三井化学社製:F707V、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点163℃)、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂(三井化学社製:F327、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点135℃)、高密度ポリエチレン樹脂(三井化学社製:ハイゼックス5305E、MFR0.8、密度0.951g/cm、密度/MFR1.19、融点130℃)を40:48:12の割合で溶融混練して、防汚層用樹脂ペレットを得た以外は、実施例1と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
(実施例4)
二軸混練押出機を用いてプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂(三井化学社製:F707V、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点163℃)、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂(三井化学社製:F327、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点135℃)、高密度ポリエチレン樹脂(三井化学社製:ハイゼックス5000H、MFR0.1、密度0.958g/cm、密度/MFR9.58、融点132℃)をそれぞれ、40:51:9の割合で溶融混練して、防汚層用樹脂ペレットを得た以外は、実施例1と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
(実施例5)
共押出工程において、中間層用樹脂を用いず、防汚層と接着層の2層構造を有する厚み18μm(防汚層:13μm、接着層:5μm)の無延伸積層フィルムとした以外は、実施例4と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
(比較例1)
二軸混練押出機を用いてプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂(三井化学社製:F707V、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点163℃)、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂(三井化学社製:F327、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点135℃)、低密度ポリエチレン樹脂(宇部興産社製:F522N、MFR5.0、密度0.922g/cm、密度/MFR0.16、融点109℃)をそれぞれ、40:45:15の割合で溶融混練して、防汚層用樹脂ペレットを得た以外は、実施例1と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
(比較例2)
二軸混練押出機を用いてプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂(三井化学社製:F707V、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点163℃)、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂(三井化学社製:F327、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点135℃)、高密度ポリエチレン樹脂(三井化学社製:ハイゼックス2200J、MFR5.2、密度0.964g/cm、密度/MFR0.19、融点131℃)をそれぞれ、40:45:15の割合で溶融混練して、防汚層用樹脂ペレットを得た以外は、実施例1と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
(比較例3)
二軸混練押出機を用いてプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂(三井化学社製:F707V、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点163℃)、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂(三井化学社製:F327、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点135℃)、高密度ポリエチレン樹脂(三井化学社製:ハイゼックス8000F、MFR0.03、密度0.948g/cm、密度/MFR31.6、融点130℃)をそれぞれ、40:45:15の割合で溶融混練して、防汚層用樹脂ペレットを得た以外は、実施例1と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
(比較例4)
二軸混練押出機を用いてプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂(三井化学社製:F707V、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点163℃)、プロピレンホモ重合体樹脂(サンアロマー社製:サンアロマーPL500A、MFR3.5、密度0.9g/cm、融点162℃)、高密度ポリエチレン樹脂(三井化学社製:ハイゼックス5305E、MFR0.8、密度0.951g/cm、密度/MFR1.19、融点130℃)をそれぞれ、40:48:12の割合で溶融混練して、防汚層用樹脂ペレットを得た以外は、実施例1と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
(比較例5)
二軸混練押出機を用いてプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂(三井化学社製:F707V、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点163℃)、高密度ポリエチレン樹脂(三井化学社製:ハイゼックス5305E、MFR0.8、密度0.951g/cm、密度/MFR1.19、融点130℃)をそれぞれ、80:20の割合で溶融混練して、防汚層用樹脂ペレットを得た以外は、実施例1と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
(比較例6)
二軸混練押出機を用いてプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂(三井化学社製:F327、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点163℃)、高密度ポリエチレン樹脂(三井化学社製:ハイゼックス5305E、MFR0.8、密度0.951g/cm、密度/MFR1.19、融点130℃)をそれぞれ、80:20の割合で溶融混練して、防汚層用樹脂ペレットを得た以外は、実施例1と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
(比較例7)
二軸混練押出機を用いてプロピレンホモ重合体樹脂(サンアロマー社製:サンアロマーPL500A、MFR3.5、密度0.9g/cm、融点162℃)、高密度ポリエチレン樹脂(三井化学社製:ハイゼックス5305E、MFR0.8、密度0.951g/cm、密度/MFR1.19、融点130℃)をそれぞれ、80:20の割合で溶融混練して、防汚層用樹脂ペレットを得た以外は、実施例1と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
(比較例8)
二軸混練押出機を用いてプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂(三井化学社製:F707V、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点163℃)、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂(三井化学社製:F327、MFR6.5、密度0.9g/cm、融点135℃)、高密度ポリエチレン樹脂(三井化学社製:ハイゼックス5305E、MFR0.8、密度0.951g/cm、密度/MFR1.19、融点130℃)をそれぞれ、40:48:12の割合で溶融混練して、防汚層用樹脂ペレットを得た。
次に、共押出工程において、中間層用樹脂及び接着層用樹脂を用いず、防汚層のみからなる厚み18μmの無延伸積層フィルムとした以外は、実施例1と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
(比較例9)
防汚層の厚みを3μm、中間層の厚みを4μm、接着層の厚みを2μmとした以外は、実施例3と同様にして、総厚み9μmの無延伸積層フィルムを得た。
(比較例10)
防汚層の厚みを15μm、中間層の厚みを30μm、接着層の厚みを5μmとした以外は、実施例3と同様にして、総厚み50μmの無延伸積層フィルムを得た。
(比較例11)
接着層にエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂(東ソー社製:メルセンMX10、MFR15、密度0.94、融点118℃)を使用した以外は、実施例3と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
(比較例12)
接着層にエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂(日本ポリケム社製:LV−780、MFR30、密度0.94、融点59℃)を使用した以外は、実施例3と同様にして無延伸積層フィルムを得た。
なお、上記実施例及び比較例において、MFRはJIS K 6760に準拠して測定し、ポリプロピレンに関しては、230℃、荷重2.16Kg、ポリエチレン及び接着性樹脂に関しては、190℃、荷重2.16Kgの測定条件下により測定した。
また、密度はJIS K 6760に準拠して測定し、融点はJIS K 7121に準拠し、示差走査熱量計DSC−50(島津製作所社製)により測定した。
(無延伸積層フィルムの評価)
実施例1〜5及び比較例1〜11で得られた無延伸積層フィルムについて、(1)〜(7)の評価を行った。なお、比較例12で得られた無延伸積層フィルムは、ロールにブロッキングしやすく、巻き取り時に折れシワが多発したため、(1)〜(7)の評価は行わなかった。結果を表1に示した。
(1)光沢度
ASTM D523に準ずる方法により、日本電色工業社製のVG−2000型を用いて、入射角45°における光沢度を測定した。
(2)ヘイズ値
ASTM D1003に準ずる方法により、ヘイズメーター(東京電色社製、TC−HIIIDKP)を用いて、ヘイズ値を測定した。
(3)全光線透過率
ASTM D1003に準ずる方法により、日本電色工業社製のDH2000型を用いて、全光線透過率を測定した。
(4)艶消しのきめの細かさ
得られた無延伸積層フィルムに形成された防汚層を目視で観察し、フィルムの艶消しのきめの細かさについて、以下の基準により評価を行った。
〇:きめが細かく、ポリエチレンの分散状態に優れていた。
△:ややきめが粗く、ポリエチレンの分散状態が不充分であった。
×:きめが著しく粗く、ポリエチレンの分散状態が悪かった。
(5)引張破断伸度
ASTM D882に準ずる方法により、押出方向(MD)及び押出方向とは垂直方向(TD)の引張破断伸度を測定した。
(6)引裂強度
JIS P 8116に準ずる方法により、押出方向(MD)の引裂強度を測定した。
(7)20%伸長時のモジュラス値
オートグラフ(島津製作所社製、AGS−100A)を用いて、試料幅10mm、つかみチャック間距離40mm、引張速度200mm/分で無延伸積層フィルムの20%伸長時のモジュラス値を測定した。
(壁装材の評価)
120μmの難燃紙の上に、水酸化アルミニウム、酸化チタン、増粘剤、マイクロカプセル発泡剤を含むエチレン−酢酸ビニル系の水性エマルジョンを塗布、乾燥後、170℃で1分加熱発泡させ、総厚みが450μmの非ポリ塩化ビニル系基材を得た。
得られた非ポリ塩化ビニル系基材のエチレン−酢酸ビニル樹脂面と実施例1〜5及び比較例1〜11で得られた無延伸積層フィルムの接着層とが接するようにして、温度100℃、圧力0.9MPa、速度20m/minで熱圧着と同時にエンボス加工をして、エンボス模様のついた壁装材を得た。なお、比較例8の無延伸積層フィルムについては、フィルムの一方の側に接着剤を2μmの厚みで塗布した後、熱圧着を行った。
得られた壁装材について、(8)〜(14)の評価を行った。
(8)艶消しの均一性
得られた壁装材の防汚層表面を目視で観察し、表面の艶消し均一性について、以下の基準により評価を行った。
〇:艶消しが均一になされており、艶消しムラが確認されなかった。
△:やや艶消しムラが確認された。
×:艶消しムラが確認された。
(9)エンボス加工性
得られた壁装材について目視にて観察し、エンボス加工による凹凸が壁装材の表面に賦形されているか否かを以下の基準で評価した。
○:充分に賦形されている。
△:やや賦形されている。
×:賦形されていない。
(10)防汚性
得られた壁装材の防汚層表面に、水性サインペン(ペンテル;黒)、クレヨン(サクラ;太巻きの赤)、コーヒー(ネスカフェ;ゴールドブレンド)、醤油(キッコーマン;濃い口)の4種類の汚れを付着させ、24時間後、サインペン汚れ、クレヨン汚れは家庭用洗剤を、コーヒー汚れ、醤油汚れは水を柔らかい布にしみ込ませて続き取り、汚れの落ち具合について、以下の基準に従い、目視により評価した。
○:汚れが殆ど残らなかった。
△:汚れがやや残った。
×:汚れがかなり残った。
(11)接着強度
JIS K 6732に準ずる方法により、オートグラフ(島津製作所社製、AGS−100A)を用いて、180°剥離で、無延伸積層フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材との接着強度を測定した。
(12)熱圧着性
得られた壁装材について、カットした断面を観察し、非ポリ塩化ビニル系基材の表面と無延伸積層フィルムの接着層の表面との間で浮きがないかを目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:熱圧着性良好で殆ど浮きがなかった。
△:やや浮きがあった。
×:熱圧着不充分で浮きが大きかった。
(13)折れシワ復元性
壁装材(幅:920mm、長さ:1800mm)の裏側に市販の水性合成樹脂系糊を約130g/m塗布し、糊面を内側に折り返し、10枚重ね置きし、60分放置した。その後合板に貼り付け、24時間放置し、折返し部分を観察しシワの消え具合を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:シワが残っていなかった。
△:シワがかなり残っていた。
×:シワが著しく残っていた。
(14)総合評価
艶消しのきめの細かさ、エンボス加工性、艶消しの均一性、防汚性、熱圧着性及び折れシワ復元性の各評価において、△又は×がない場合を○、△又は×が1つでもあった場合を×として、総合評価を行った。
Figure 2006082537
本発明によれば、防汚性、艶消し性、エンボス追従性、製膜性、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性に優れ、適度な接着強度を有し、折れシワが発生しにくく、折れシワ復元性のよい、壁装材表面保護用無延伸積層フィルム、壁装材及び壁装材の製造方法を提供できる。

Claims (7)

  1. 少なくとも、接着層及び防汚層を有し、20%伸長時のモジュラス値が0.5〜7.0N/10mmである壁装材表面保護用無延伸積層フィルムであって、
    前記接着層は、融点が70〜100℃のエチレン系共重合体樹脂を主成分として含有し、
    前記防汚層は、前記接着層より融点が高く、かつ、密度をA(g/cm)、MFRをB(g/10分)としたときに0.50<A/B<30の関係を満たすポリエチレンを5〜35重量%、並びに、プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体を95〜65重量%含有する混合物からなる
    ことを特徴とする壁装材表面保護用無延伸積層フィルム。
  2. 防汚層と接着層との間にポリプロピレンを主成分として含有する中間層を有することを特徴とする請求項1記載の壁装材表面保護用無延伸積層フィルム。
  3. 防汚層の表面の入射角45°における光沢度が10%以下である請求項1又は2記載の壁装材表面保護用無延伸積層フィルム。
  4. ヘイズ値が70%以上、かつ、全光線透過率が90%以上であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の壁装材表面保護用無延伸積層フィルム。
  5. 引張破断伸度が200%以上、かつ、引裂強度が100mN/10mm以上であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の壁装材表面保護用無延伸積層フィルム。
  6. 非ポリ塩化ビニル系基材に請求項1、2、3、4又は5記載の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムが積層されていることを特徴とする壁装材。
  7. 請求項1、2、3、4又は5記載の壁装材表面保護用無延伸積層フィルムを、熱圧着法により非ポリ塩化ビニル系基材に積層する工程を有することを特徴とする壁装材の製造方法。
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