JP3098205B2 - 防汚性を有する無延伸複合フィルム及びその積層体 - Google Patents

防汚性を有する無延伸複合フィルム及びその積層体

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JP3098205B2 JP09172913A JP17291397A JP3098205B2 JP 3098205 B2 JP3098205 B2 JP 3098205B2 JP 09172913 A JP09172913 A JP 09172913A JP 17291397 A JP17291397 A JP 17291397A JP 3098205 B2 JP3098205 B2 JP 3098205B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防汚性とエンボス
加工性に優れた壁装材に関する。
【0002】
【従来の技術】壁紙や化粧シート等壁装材の素材とし
て、諸物性に優れ、成形加工性もよく、安価であるとい
う理由からポリ塩化ビニルが多用されている。しかしポ
リ塩化ビニルは汚れやすく、また一度汚れるとその汚れ
が落ちにくいという問題があった。またポリ塩化ビニル
は一般に可塑剤が配合されているため、その可塑剤が表
面にブリードして汚れるという問題もあった。
【0003】これらの問題を解決するために、ポリ塩化
ビニルの表面にフィルムを貼り合わせることが検討され
てきた。例えば、特開平7−232415号公報、特開
平7−290667号公報などがある。一方、フィルム
に要求される特性としては、防汚性、可塑剤のブリード
防止性の他に、エンボス加工性も強く要求されている。
何故なら、壁紙や化粧シートの商品価値としてその意匠
性が大きなウェートを持ち、意匠性はエンボス加工性に
大きく依存しているからである。エンボス加工性につい
ても種々検討されてきたが、防汚性、可塑剤のブリード
防止性とエンボス加工性の両方を顧客に充分満足させる
ものはいまだ得られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題の一つは、防汚性、可塑剤のブリード防止性と
エンボス加工性の両方を兼ね備えたフィルムを提供する
ことにある。
【0005】もう一つの課題は、有機溶剤を用いずに、
防汚性、可塑剤のブリード防止性とエンボス加工性の両
方を兼ね備えたフィルムと無地または印刷が施されたポ
リ塩化ビニル基材(以下単にポリ塩化ビニル基材と呼
ぶ)とが一体化された積層体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めの手段として本発明は、特定の防汚層とガラス転移点
が35〜100℃の非晶性ポリエステル樹脂層の少なく
とも二層からなる無延伸複合フィルムであることを特徴
とする。そして該防汚層が、結晶性ポリプロピレン樹脂
層、または融点が250℃以上の結晶性ポリエステル樹
脂層であることを特徴とする。
【0007】さらに該防汚層とガラス転移点が35〜1
00℃の非晶性ポリエステル樹脂層の少なくとも二層か
らなる無延伸複合フィルムが、ポリ塩化ビニル基材の少
なくとも片面に熱圧着により一体化された積層体である
ことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に詳述
する。
【0009】本発明は、防汚性、可塑剤のブリード防止
性、エンボス加工性と熱圧着性の4つの特性を併せ持つ
フィルムに関するものである。フィルムの構成を、特定
の防汚層とガラス転移点が35〜100℃の非晶性ポリ
エステル樹脂層の少なくとも二層からなる無延伸複合フ
ィルムとすることにより、防汚性、可塑剤のブリード防
止性、エンボス加工性と熱圧着性の4つの特性を併せ持
つフィルムが得られる。
【0010】防汚層を結晶性ポリプロピレン樹脂層とす
ることにより、防汚性、可塑剤のブリード防止性に優れ
た複合フィルム及び積層体が得られる。結晶性ポリプロ
ピレン樹脂としては例えばホモのポリプロピレン樹脂、
エチレンとプロピレンとのブロック共重合体、エチレン
等共重合可能な1種以上のモノマーとプロピレンとの共
重合体が例示できる。非晶性のポリプロピレンでは油性
の汚れに対する防汚性が充分でない。ここでいう結晶性
とは、原料ペレットまたはフィルムを一旦加熱溶融させ
た後徐冷したものが結晶性であるという、樹脂本来が持
つ性質をいう。
【0011】また、防汚層を、融点が250℃以上の結
晶性ポリエステル樹脂層とすることによっても、防汚
性、可塑剤のブリード防止性が共に優れた複合フィルム
及び積層体が得られる。融点が250℃未満のものでは
防汚性が充分ではなく、また非晶性のものも防汚性が充
分ではない。ここでいう結晶性とは、原料ペレットまた
はフィルムを一旦加熱溶融させた後徐冷したものが結晶
性であるという、樹脂本来が持つ性質をいう。
【0012】結晶性ポリエステル樹脂の固有粘度は0.
4dl/g以上、好ましくは0.5dl/g以上、さら
に好ましくは0.6dl/g以上であることが望まし
い。何故なら0.4dl/g未満では油性の汚れに対す
る防汚性が悪くなる傾向にあるからである。
【0013】このような特定のポリエステル樹脂は、ジ
カルボン酸成分としてテレフタル酸、テレフタル酸以外
に必要ならば他のジカルボン酸成分としてイソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニレンジカルボン
酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、
シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体
を用い、ジオール成分としてエチレングリコール、エチ
レングリコール以外に必要ならば他のジオール成分とし
てブタンジオール等のアルキレングリコール、シクロヘ
キサンジメタノール等の脂環式ジオール、キシリレング
リコール等の芳香族ジオール、及びそれらの誘導体を用
いることにより製造できる。
【0014】結晶性ポリエステル樹脂層にはその性能を
損なわない範囲内で、目的に応じ、例えばそれより融点
の低い結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹
脂、あるいはその他の樹脂等を配合してもよい。
【0015】防汚層の厚さは特に限定するものではな
い。素材の性能、価格にもよるが、厚さが厚くなると防
汚層にかかるコストが高くなるだけでなく、エンボス加
工性を付与するため後述する非晶性ポリエステルの厚さ
も厚くする必要があるのでさらにコストが高くなる。こ
れらを考慮して厚さを決めればよく、通常1〜100ミ
クロン程度が望ましい。
【0016】防汚層には難燃剤、防カビ剤、抗菌剤等各
種の機能剤を配合してもよく、あるいは防汚性を損なわ
ない範囲内で防汚層の表面に各種の機能剤を点在させて
もよい。また防汚層の表面は平滑であっても、艶消し状
であってもよい。
【0017】防汚層は無延伸であっても延伸したもので
あってもよいが、エンボス加工性からは無延伸のものが
より望ましい。
【0018】防汚層と複合フィルムを構成する他の層
は、ガラス転移点が35〜100℃の非晶性ポリエステ
ル樹脂層である。このような特定のポリエステル樹脂層
を設けることにより、ポリ塩化ビニル基材と熱圧着によ
り強固に接着するだけでなく、エンボス加工性に優れた
複合フィルムを得ることができる。即ち、このポリエス
テル樹脂層はエンボス加工性に非常に優れるため、防汚
層がたとえエンボス性に欠けるものであってもこのポリ
エステル樹脂層にひきつられ、結果として防汚層を含む
複合フィルムもエンボス加工性に優れたフィルムとなる
のである。従って従来、防汚性に優れるがエンボス加工
性に欠けるために良好な製品とならなかった結晶性ポリ
プロピレン樹脂や融点が250℃以上の結晶性ポリエス
テル樹脂が防汚層として有効に使えるようになったので
ある。
【0019】非晶性ポリエステル樹脂は、ガラス転移点
が低くなるとフィルムの熱安定性が悪くなる傾向にあ
り、ガラス転移点が高くなるとポリ塩化ビニル基材との
熱圧着性能が悪くなる傾向にある。従って、ガラス転移
点は35〜100℃、好ましくは50〜95℃、さらに
好ましくは65〜90℃の範囲にあるものが望ましい。
【0020】該ポリエステル樹脂は非晶性であることが
望ましい。何故なら結晶性ポリエステル樹脂はポリ塩化
ビニル基材との熱圧着性能に劣るからである。ここでい
う非晶性とは、原料ペレットまたはフィルムを一旦加熱
溶融させた後徐冷したものが非晶性であるという、樹脂
本来が持つ性質をいう。
【0021】非晶性ポリエステル樹脂の固有粘度は0.
4dl/g以上、好ましくは0.5dl/g以上、さら
に好ましくは0.6dl/g以上であることが望まし
い。何故なら0.4dl/g未満ではフィルム強度が弱
くなる傾向にあるため、ポリ塩化ビニル基材との接着力
も弱くなる傾向にあるからである。
【0022】このような特定のポリエステル樹脂は、ジ
カルボン酸成分としてテレフタル酸、テレフタル酸以外
に必要ならば他のジカルボン酸成分としてイソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニレンジカルボン
酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、
シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体
を用い、ジオール成分としてエチレングリコール、エチ
レングリコール以外に必要ならば他のジオール成分とし
てブタンジオール等のアルキレングリコール、シクロヘ
キサンジメタノール等の脂環式ジオール、キシリレング
リコール等の芳香族ジオール、及びそれらの誘導体を用
いることにより製造できる。
【0023】非晶性ポリエステル樹脂層の厚さは、1ミ
クロン以上で且つ防汚層の厚さの0.1倍以上、好まし
くは0.2倍以上、さらに好ましくは0.3倍以上ある
のが望ましい。1ミクロン未満ではポリ塩化ビニル基材
との充分な接着強度が得にくい傾向にあり、後述するよ
うな可塑剤のブリード防止性も小さくなる。また防汚層
の厚さの0.1倍未満では防汚層へのエンボス加工性の
付与が充分でない傾向にある。厚さの上限は特にはなく
コスト等を考慮して決めればよいが、通常100ミクロ
ン程度が望ましい。
【0024】非晶性ポリエステル樹脂層の作用として
は、前記したポリ塩化ビニル基材との熱圧着性能と防汚
層へのエンボス加工性の付与以外に、可塑剤のブリード
防止性もある。このような3つの作用があるものは従来
無かった。可塑剤のブリード防止性に優れるのは、ポリ
エステル構造を持ち、且つ、有機溶剤系ポリエステル接
着剤に比べ高分子量だからであり、このため防汚層の厚
さを薄くしてもよいという利点を有す。
【0025】非晶性ポリエステル樹脂層にはその性能を
損なわない範囲内で、目的に応じ、例えば結晶性ポリエ
ステル樹脂やその他の樹脂、あるいは難燃剤、無機微粒
子等各種添加剤を配合してもよい。
【0026】非晶性ポリエステル樹脂層は無延伸であっ
ても延伸したものであってもよいが、熱安定性の点から
は無延伸であるほうがより望ましい。また非晶性ポリエ
ステル樹脂層表面にはコロナ放電処理等公知の表面処理
を施してもよい。
【0027】前記の防汚層と非晶性ポリエステル樹脂層
とを複合化する方法は公知のいかなる方法を用いてもよ
い。例えば、防汚層を製膜しその上に非晶性ポリエステ
ル樹脂を押出しラミする方法、非晶性ポリエステル樹脂
層を製膜しその上に防汚層を押出しラミする方法、ある
いは、防汚層と非晶性ポリエステル樹脂層とを共押出し
製膜する方法等が例示できる。前記した通り、防汚層の
エンボス加工性、非晶性ポリエステル層の熱安定性の点
から防汚層と非晶性ポリエステル樹脂層とが共に無延伸
の方がより好ましい。よって、両層を積層した複合フィ
ルムとしては、両層とが共に無延伸層となる複合化の方
法を採用することが必要となる。
【0028】防汚層と非晶性ポリエステル樹脂層との間
には、目的に応じ、例えば接着性樹脂層やその他の層を
一層以上設けてもよい。
【0029】なお非晶性ポリエステル樹脂層はポリ塩化
ビニル基材以外に、例えば紙や木材等あるいはそれらに
用いられる印刷インキとも熱圧着性能がよいので、複合
フィルムはそれらの防汚用としても使用可能である。
【0030】本発明は、有機溶剤を用いずに、防汚性、
可塑剤のブリード防止性、エンボス加工性と熱圧着性の
4つの特性を併せ持つ無延伸複合フィルムとポリ塩化ビ
ニル基材とが一体化された積層体を提供するものでもあ
る。無延伸複合フィルムは前記した防汚層と非晶性ポリ
エステル樹脂層の少なくとも二層からなる無延伸複合フ
ィルムである。ポリ塩化ビニル基材とはポリ塩化ビニ
ル、または酢酸ビニルやアクリル酸エステル等塩化ビニ
ルと共重合可能なモノマーとの共重合体、またはそれら
の混合物からなる基材をいう。ポリ塩化ビニル基材は無
発泡体であっても発泡体であってもよい。さらに前記積
層体を作成した後にポリ塩化ビニル基材を発泡させても
よい。
【0031】ポリ塩化ビニル基材に印刷を施す場合の印
刷インキとしては通常用いられるインキでよい。例えば
アクリル系、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、塩素化
ポリオレフィン、セルロース系、ウレタン系等の樹脂に
顔料染料等の着色剤、分散剤、溶剤等を適宜混合し溶解
させたものが例示できる。
【0032】無延伸複合フィルムとポリ塩化ビニル基材
とから積層体を得る方法として本発明は、熱圧着による
方法を採る。熱圧着条件としては例えば、速度3〜70
m/分で、圧力3〜60 Kg/cm2 、温度100
〜200℃が例示できる。熱圧着と同時にエンボス加工
してもよいし、後工程でエンボス加工してもよい。また
エンボス加工が不必要なら、しなくてもよい。
【0033】熱圧着により無延伸複合フィルムとポリ塩
化ビニル基材とは接着力が1.5Kg/cm以上の強固
に一体化するだけでなく、従来のいわゆるドライラミと
呼ばれる積層方法では必要とされた有機溶剤を用いない
ので、有機溶剤に起因する弊害、即ち、火災の危険性、
作業者の健康面への影響、資源の浪費等の問題が解決で
きる。
【0034】
【実施例】次に本発明の代表的な実施例を挙げて説明す
る。
【0035】本発明において使用した物性値の測定方法
及び評価方法は次の通りである。
【0036】ポリエステル樹脂のガラス転移点と融点
は、島津製作所製のDSC−50を用いて、JIS K
7121に準じて測定した。
【0037】ポリエステル樹脂とポリプロピレン樹脂の
非晶性、結晶性は、以下の方法により判別した。即ち、
島津製作所製のDSCー50を用いて、試料を昇温速度
10℃/分で30℃から、ポリエステル樹脂の場合は2
80℃までポリプロピレン樹脂の場合は200℃まで昇
温し、次いで降温速度10℃/分で30℃まで冷却す
る。そして再度上記条件で昇温したときに融解ピークが
現れないものを非晶性、融解ピークが現れたものを結晶
性とした。
【0038】非晶性または結晶性ポリエステル樹脂の固
有粘度は、フェノール/1,1,2,2ーテトラクロル
エタン(1:1重量比)混合溶媒に溶解し(濃度0.5
g/100ml)、(株)柴山科学器械製作所製のSS
ー600−L1毛細管粘度自動測定装置を用いて測定し
た。
【0039】フィルムとポリ塩化ビニル基材との接着力
は、180度剥離で、JIS K6732に準じて測定
し、1.5Kg/cm以上あるものを◎、1.5Kg/
cm未満〜1.0Kg/cm以上のものを○、1.0K
g/cm未満〜0.5Kg/cm以上のものを△、0.
5Kg/cm未満のものを×とした。
【0040】エンボス加工性の評価は、エンボス加工後
の積層体を目視し、エンボスによる凹凸が積層体の表面
に充分賦形されているものを◎、賦形されているものを
○、やや賦形されているものを△、賦形されていないも
のを×とした。
【0041】防汚性の評価は、市販の赤と黒の油性マジ
ックインキで汚染し、25℃で1週間放置後、ベンジン
及びエタノールでふき取り、汚れが全く残らないものを
◎(5級)、ほとんど残らないものを○(4級)、やや
残るものを△(3級)、かなり残るものを×(2級)、
濃く残るものを××(1級)とした。
【0042】可塑剤のブリード防止性能の評価は、防汚
層の材質性能評価と積層体のブリード防止性の2つにつ
いて行った。即ち防汚層の材質性能評価としては、厚さ
100ミクロン、10cm×10cmのフィルムを30
0mlのジオクチルフタレート(DOP)に30℃で1
週間浸漬した後のDOPの吸収量を測定し、吸収量が
0.5mg未満のものを◎、0.5mg以上〜1mg未
満のものを○、1mg以上〜5mg未満のものを△、5
mg以上のものを×とした。また積層体のブリード防止
性の評価は、積層体を3Kg/cm2 の荷重をかけて
70℃で24時間放置後、防汚層表面のDOPによるベ
タツキの状態を官能評価をし、ベタツキが全くないもの
を◎、ほとんどないものを○、ややあるものを△、ひど
いものを×とした。
【0043】(実施例1) 2台の押出し機を用いて、ジカルボン酸成分がテレフタ
ル酸であり、ジオール成分がエチレングリコールである
結晶性ポリエステル樹脂(融点が254℃、固有粘度が
0.78dl/g)と、ジカルボン酸成分がテレフタル
酸であり、ジオール成分がエチレングリコールとシクロ
ヘキサンジメタノールである非晶性ポリエステル樹脂
(ガラス転移点が82℃、固有粘度が0.75dl/
g)とを各々溶融し、275℃のTダイスから共押出し
し冷却固化して厚さ40ミクロンの無延伸の複合フィル
ムを得た(結晶性ポリエステル樹脂層が30ミクロン、
非晶性ポリエステル樹脂層が10ミクロン)。
【0044】(実施例2) 可塑剤としてジオクチルフタレート(DOP)を35重
量部含有する厚さ100ミクロンのポリ塩化ビニルシー
トと実施例1で得た複合フィルムとを、非晶性ポリエス
テル樹脂層とポリ塩化ビニルシートとが接するようにし
て、温度120℃、圧力10Kg/cm2 で熱圧着
し、続いてエンボスロール、130℃、5Kg/cm2
でエンボス加工をして、エンボス模様のついた積層体
を得た。この積層体は、表1に示したように、接着力、
エンボス加工性、防汚性、可塑剤のブリード防止性共に
優れた積層体であった。
【0045】(実施例3) 実施例2で使用したポリ塩化ビニルシートの表面に、塩
酢ビーアクリル系樹脂に顔料を分散したインキで図柄印
刷し、このシートと実施例1で得た複合フィルムとを、
図柄印刷面と非晶性ポリエステル樹脂層とが接するよう
にして、実施例2と同様にしてエンボス模様のついた積
層体を得た。この積層体は、表1に示したように、接着
力、エンボス加工性、防汚性、可塑剤のブリード防止性
共に優れた積層体であった。
【0046】(比較例1) 実施例1で使用した結晶性ポリエステル樹脂を275℃
のTダイスから押出しし冷却固化して厚さ40ミクロン
の無延伸の単層フィルムを得た。このフィルムを用い
て、実施例2、3と同様にして積層体を得た。この積層
体は、表1に示したように、接着力が非常に弱く、エン
ボス加工性も悪く、実用に供せられないものであった。
そのため防汚性、可塑剤のブリード防止性の評価は行わ
なかった。
【0047】(比較例2) 実施例1で使用した非晶性ポリエステル樹脂を260℃
のTダイスから押出しし冷却固化して厚さ40ミクロン
の無延伸の単層フィルムを得た。このフィルムを用い
て、実施例2、3と同様にして積層体を得た。この積層
体は、表1に示したように、可塑剤のブリード防止性は
良かったが、防汚性が悪かった。
【0048】(比較例3) 結晶性ポリエステル樹脂として、ジカルボン酸成分がテ
レフタル酸であり、ジオール成分がエチレングリコール
とジエチレングリコールである結晶性ポリエステル樹脂
(融点が233℃、固有粘度が0.77dl/g)を用
いた以外、実施例1と同様にして厚さ40ミクロンの無
延伸の複合フィルムを得た。このフィルムを用いて、実
施例2、3と同様にして積層体を得た。この積層体は、
表1に示したように、防汚性が不充分であった。
【0049】(比較例4) 実施例1で使用した結晶性ポリエステル樹脂を275℃
のTダイスから押出しし冷却固化して厚さ200ミクロ
ンの未延伸シートを製膜した。次いでこのシートをロー
ル延伸機により85℃で縦方向に3.5倍延伸し、テン
ターにより90℃で横方向に4.0倍延伸し、220℃
で熱固定した後、片面をコロナ放電処理をして厚さ15
ミクロンの逐次2軸延伸フィルムを得た。かくして得た
結晶性ポリエステル樹脂からなる2軸延伸フィルムのコ
ロナ放電処理面と、実施例2で使用した無地のポリ塩化
ビニルシート及び実施例3で使用した図柄印刷をしたポ
リ塩化ビニルシートとを、各々ポリエステル系接着剤
(大日本インキ化学工業(株)製 ディックドライLX
−75Aと硬化剤KWー40を5:1で混合)を用いて
ドライラミした後、エンボスロール、130℃、5Kg
/cm2 でエンボス加工をした。この積層体は、表
1に示したように、エンボスによる凹凸がほとんど賦形
されていなかった。また接着力も充分あるとは言い難い
ものであった。
【0050】(実施例4) 3台の押出し機を用いて、結晶性ホモポリプロピレン樹
脂(密度が0.91、MFRが9.0)と無水マレイン
酸変性ポリプロピレン樹脂と実施例1で使用した非晶性
ポリエステル樹脂とを各々溶融し、この順序で複合化す
るように250℃のTダイスから共押出しし冷却固化し
て厚さ22ミクロンの無延伸の3層複合フィルムを得た
(ホモポリプロピレン樹脂層が10ミクロン、酸変性ポ
リプロピレン樹脂層が2ミクロン、非晶性ポリエステル
樹脂層が10ミクロン)。このフィルムを用いて、別途
用意した発泡ポリ塩化ビニルシートの無地品及び塩酢ビ
ーアクリル系インキを使用した印刷品(各々、DOP3
0重量部含有、発泡倍率4倍、厚さ250ミクロン)
と、非晶性ポリエステル樹脂層が発泡シートと接するよ
うにして、温度125℃、圧力10Kg/cm2 で熱
圧着と同時にエンボス加工をして、エンボス模様のつい
た積層体を得た。この積層体は、表1に示したように、
各項目共に優れた積層体であった。
【0051】(比較例5) 結晶性ホモポリプロピレン樹脂の代わりにエチレンープ
ロピレンラバー(密度が0.88、MFRが10.0)
を用いた以外、実施例4と同様にして積層体を得た。こ
の積層体は、表1に示したように、防汚性が悪かった。
【0052】(比較例6) 実施例4で使用した結晶性ホモポリプロピレン樹脂を2
50℃のTダイスから押出しし冷却固化した後、片面を
コロナ放電処理をして、厚さ19ミクロンの無延伸の単
層フィルムを得た。このフィルムと実施例4で使用した
発泡ポリ塩化ビニルシートとを、フィルムのコロナ処理
面と発泡シートとが接するようにして、各々ポリエーテ
ルウレタン系接着剤(大日本インキ化学工業(株)製
ディックドライLX−783A、硬化剤KAー80を
2:1で混合)を用いてドライラミした後、エンボスロ
ール、125℃、10Kg/cm2 でエンボス加工を
した。 この積層体は、表1に示したように、エンボス
による凹凸の賦形が不充分であり、可塑剤のブリード防
止性も不十分であった。また接着力も充分あるとは言い
難いものであった。
【0053】 上表において、PVCはポリ塩化ビニルを表し、ブリー
ド防止性は可塑剤のブリード防止性を表す。
【0054】(実施例5) 実施例1で使用した結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポ
リエステル樹脂、実施例4で使用した結晶性ホモポリプ
ロピレン樹脂、酸変性ポリプロピレン樹脂、比較例5で
使用したエチレンープロピレンラバーを用いて、各々1
00ミクロンの無延伸シートを作成し、DOPの吸収量
を測定した。結果を表2に示す。この表から判るよう
に、非晶性ポリエステル樹脂は良好なDOPの吸収性
(吸収量が少ない)を示した。このため、結晶性ホモポ
リプロピレン樹脂と酸変性ポリプロピレン樹脂はDOP
の吸収性が悪い(吸収量が多い)にもかかわらず、実施
例4の積層体が良好な可塑剤のブリード防止性を示した
と考えられる。
【0055】
【0056】(実施例6) 日本ビニル工業会の性能表示規程に基ずいて、実施例
2、実施例3、及び実施例4で得た積層体(ポリ塩化ビ
ニルシートは無地と図柄印刷したものの両方)の防汚性
の評価を行った。結果はいずれの汚れに対しても5級
(汚れが残らない)で、非常に優れていた。なおこの評
価方法は、水性サインペン(ペンテル 黒)、クレヨン
(サクラ 太巻きの赤)、コーヒー(ネスカフェ ゴー
ルドブレンド)、醤油(キッコウマン濃い口)の4種類
の汚れを付着させ、24時間後、ママレモンの原液を紙
または布に含ませて拭き取り、次いで水を紙または布に
含ませて拭き取り、目視にて、5級(汚れが残らな
い)、4級(ほとんど汚れが残らない)、3級(やや汚
れが残る)、2級(かなり汚れが残る)、1級(汚れが
濃く残る)と評価するものである。
【0057】(発明の効果) 本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に
記載されるような効果を奏す。
【0058】フィルムの構成を、結晶性ポリプロピレン
樹脂または融点が250℃以上の結晶性ポリエステル樹
脂からなる防汚層とガラス転移点が35〜100℃の非
晶性ポリエステル樹脂層の少なくとも二層からなる無延
伸複合フィルムとすることにより、防汚性、可塑剤のブ
リード防止性、エンボス加工性と熱圧着性の4つの特性
を併せ持つ、優れた壁装材用フィルムが得られる。
【0059】前記4つの特性を併せ持つ複合フィルム
と、ポリ塩化ビニル基材とを、有機溶剤を用いずに熱圧
着にて一体化することにより、有機溶剤に起因する各種
の弊害が解決でき、意匠性に富んだ優れた壁装材が得ら
れる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】防汚層とガラス転移点が35〜100℃の
    非晶性ポリエステル樹脂層の少なくとも二層からなる
    延伸複合フィルムであって、且つ、該防汚層が結晶性ポ
    リプロピレン樹脂層であることを特徴とする無延伸複合
    フィルム
  2. 【請求項2】防汚層とガラス転移点が35〜100℃の
    非晶性ポリエステル樹脂層の少なくとも二層からなる無
    延伸複合フィルムであって、且つ、該防汚層が融点が2
    50℃以上の結晶性ポリエステル樹脂層であることを特
    徴とする無延伸複合フィルム
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の無延伸複合フィル
    ムが、無地又は印刷が施されたポリ塩化ビニル基材の少
    なくとも片面に熱圧着により一体化された積層体。
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