JP2003340977A - 切削性向上化粧シート - Google Patents

切削性向上化粧シート

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JP2003340977A JP2002157474A JP2002157474A JP2003340977A JP 2003340977 A JP2003340977 A JP 2003340977A JP 2002157474 A JP2002157474 A JP 2002157474A JP 2002157474 A JP2002157474 A JP 2002157474A JP 2003340977 A JP2003340977 A JP 2003340977A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】非塩化ビニル系の化粧シート及び該化粧シート
を用いて製造された化粧板において、非塩化ビニル系の
化粧シートを、木質等の有機系の基材や無機系の基材の
表面に積層した化粧板をルーター加工等の切削加工を行
った場合に、良好な切削性が得られるようにする。 【解決手段】装飾処理が施された化粧シートの引張速度
が200mm/min以下の範囲での引張試験により得
られる横軸Xに歪みx、縦軸Yに応力f(x)を取った
グラフで表される前記化粧シートに関する応力−歪み曲
線において、その降伏点aと降伏点以降に応力が低下か
ら増大に転ずる点cとの間の中間点bの曲線の歪み−応
力曲線の勾配r=df(xb )/dxが、3.5×10
7N/m2以下の範囲にあり、少なくとも該化粧シートが
1層以上の非塩化ビニル系樹脂層を有する単層または複
層からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に建築物の内
装、建具、家具等等の表面装飾等に用いられる化粧板を
製造するための非塩化ビニル系の化粧シート、及びその
化粧シートを化粧板用基材に積層した非塩化ビニル系の
化粧板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば建築内装用の扉、クローゼ
ット、キッチン扉、内壁材、家電用表装材などに用いら
れてきた化粧板の表面に使用されている化粧シートは、
印刷適性が良い、可塑剤添加により硬軟の度合いの調節
が可能で用途に合わせた固さを選択できる、エンボス加
工性が良い、ラミネート時の層間の接着強度が強い、切
削性が良く、化粧シートを利用した化粧板にルーター加
工等の切削加工を施した場合にもバリ・ヒゲ・膜浮き等
が目立たない、等々の利点があるポリ塩化ビニルシート
に木目柄や抽象柄等を印刷したポリ塩化ビニル系の化粧
シートが一般的に広く使用されてきた。
【0003】しかしながら、上述のポリ塩化ビニル系の
化粧シートは、燃焼した場合に有害なガスが発生する恐
れがあり、廃棄物の燃焼処理時の人的影響や、環境保全
への危惧から、ポリ塩化ビニル系の化粧シートに代わ
る、燃焼した場合にも有毒なガスが発生しない材料を用
いた化粧シートの開発が、ユーザーから強く求められて
いる。
【0004】そこで近年では、ポリオレフィン系、ポリ
エチレンテレフタレート系、ポリエステル系、ポリビニ
ルアルコール系、アクリル系など非塩化ビニル系の樹脂
や紙などを、単層シートか又は複数のシートの積層によ
って成る非塩化ビニル系の化粧シートが、ポリ塩化ビニ
ル系の化粧シートの代替として使用されるようになって
きている。
【0005】しかしながら、ポリオレフィン等の非塩化
ビニル系の化粧シートを用いて化粧板用基材に積層して
化粧板にした場合の化粧板の切削性は、化粧シートを構
成する樹脂が本来持つところの機械物性が、ポリ塩化ビ
ニル系樹脂とは異なっているために、非塩化ビニル系化
粧シートにおいては、ポリ塩化ビニル系化粧シートと比
べて遜色ない切削性を実現することが、これまでは困難
であった。ここでいう化粧板の切削性とは、木質等の有
機系の化粧板用基材や無機系の化粧板用基材の表面に化
粧シートを積層した化粧板に対して、その化粧シート積
層面側からルーター等で切削加工を行った場合の切削面
及びその周辺部の切削状態の良否を表すもので、バリ・
ヒゲ・膜浮き、等々が無いものを切削性が良いとしてい
る。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】本発明は、係る従来技術の欠点に鑑みてな
されたもので、非塩化ビニル系の化粧シート及び該化粧
シートを用いて製造された化粧板において、非塩化ビニ
ル系の化粧シートを、木質等の有機系の基材や無機系の
基材の表面に積層した化粧板を、化粧シート積層面側か
らルーター加工等の切削加工を行った場合に、良好な切
削性が得られるようにすることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明において前記課題
を達成するために、まず請求項1に係る発明は、装飾処
理が施された化粧シートの引張速度が200mm/mi
n以下の範囲での引張試験により得られる横軸Xに歪み
x、縦軸Yに応力f(x)を取ったグラフで表される前
記化粧シートに関する応力−歪み曲線において、その降
伏点aと降伏点以降に応力が低下から増大に転ずる点c
との間の中間点bの曲線の応力−歪み曲線の勾配r=d
f(xb )/dxが、3.5×107N/m2以下の範囲
にあり、少なくとも該化粧シートが1層以上の非塩化ビ
ニル系樹脂層を有する単層または複層からなることを特
徴とする切削性向上化粧シートである。
【0008】本発明の請求項2に掛かる発明は、上記請
求項1に係る切削性向上化粧シートにおいて、前記引張
試験により得られる応力−歪み曲線の原点Oから降伏点
aまでの区間の曲線と、降伏点aから横軸Xに下した垂
線と、横軸Xとで囲まれる図形の面積s(s=∫
0 Xa[f(x)]dx)が、2.0×104N・m/m2
以下の範囲にあることを特徴とする切削性向上化粧シー
トである。
【0009】本発明の請求項3に係る発明は、上記請求
項1又は請求項2に係る発明において、前記引張速度
が、50mm/minであることを特徴とする切削性向
上化粧シートである。
【0010】本発明の請求項4に係る発明は、上記請求
項1乃至請求項3のいずれか1項に係る切削性向上化粧
シートが、化粧板用の基材に積層されてなることを特徴
とする化粧板である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の切削性向上化粧シート
を、その発明の実施の形態に沿って以下に詳細に説明す
れば、図1は引張試験を行った時の一般的な応力−歪み
(ひずみ)曲線を示す曲線グラフである。
【0012】引張試験とは、試験片に決められた速度を
定常的に与えて、その試験片に掛かる応力と、その試験
片の歪み(ひずみ)を測定する試験方法である。応力−
歪み曲線とは、前記引張試験を行ったときに、縦軸に試
験片にかかる応力を取り、横軸には引っ張りにより試験
片に生じる歪みを取った際に得られる曲線である。
【0013】応力は、試験片にかかる荷重を、その試験
片の引っ張り前の断面積で割った値によって規定され
る。また歪みは、通常は測定片の引張測定中の長さと引
っ張り前の初期長さとの比で求められるが、物性を比較
する上では、単に引張測定前のシート長さと、引張測定
中のシート長さとの差(引張速度と測定経過時間との積
に等しい)を歪みの代用特性としても差し支えないの
で、今回は便宜上、これを横軸の値とする。
【0014】また、応力−歪み曲線の形状は、通常引張
速度に依存するので、引張試験を行う際は、引張速度を
統一する必要がある。本発明においては、全ての引張試
験の引張速度を50mm/minで行ったが、物性の比
較を目的とするのであれば、引張速度は必ずしもこの値
に限るものではなく、おおよそ200mm/min以下
の範囲であればよい。一般的な応力−歪み曲線の形を図
1に示す。
【0015】本発明の化粧シートにおいては、ポリ塩化
ビニル系の化粧シートを用いた化粧板と同等レベルの切
削性を実現するために、図1に示す一般的な応力−歪み
曲線に関して、まず降伏点aと、その降伏点a以降に応
力が低下から増大に転ずる点cとの間の曲線上の中間点
bにおける応力−歪み曲線の接線の勾配r(r=df
(xb)/dx)が、−3.5×107 N/m2 以下の
範囲にある必要があることを発見した。
【0016】また、同じく応力−歪み曲線に関して、弾
性域から降伏点aまでの間の面積sを、2.0×104
N・m/m2以下の範囲に抑えることが必要であること
を発見した。
【0017】ここで弾性域とは、図1において直線dに
て示される、引張荷重試験初期の測定値に基づいて得ら
れる応力−歪み曲線が線形状態にある領域のことであ
る。
【0018】ここで、引張荷重試験により得られる横軸
Xに歪み量x(xa 、xb 、xc 、・・・・・)、及び
縦軸Yに応力f(x)(f(xa)、f(xb)、f(x
c)、・・・・・)を取ったグラフで表した応力−歪み曲
線において、原点Oから降伏点aまでの曲線区間と、降
伏点aから横軸Xに下した垂線と、横軸Xとで囲まれる
図形の面積s(s=∫0 xa[f(x)]dx)は、縦軸
Yが単位断面積あたりに掛かる力f(x)、横軸Xが化
粧シートが受ける変位量xであるから、単位断面積あた
りの切削時のエネルギーと考えることも可能である。
【0019】こうして面積sを単位断面積あたりの切削
時のエネルギーと考えた場合、切削性が良い化粧シート
とは、例えば、その化粧シートを化粧板用基材面に貼り
合わせて積層して得られる化粧板を、その化粧シートの
積層面側から切削した際に、単位断面積当たりの切削時
のエネルギーが小さいシート、言い換えれば、切削時に
かかる負荷が小さいシートということになる。
【0020】続いて、図2を参照しながら、本発明の切
削性向上化粧シートについて、その構成の形態を説明す
る。図2は、本発明で規定された化粧シートの様態の中
で、もっとも単純な単層構造の化粧シートを示す断面図
である。
【0021】図2に示す例では、化粧シートは、ポリオ
レフィン系、ポリエチレンテレフタレート系、ポリエス
テル系、ポリビニルアルコール系、アクリル系等の樹脂
からなる基材シート1の表面に、装飾のための木目柄や
抽象柄等のインキ層2が積層されているものである。
【0022】この図2に示す例では、インキ層2は基材
シート1の表面にあるが、基材シート層1の透明性が高
い場合には、主にインキ層2の柄が磨耗や紫外線等によ
り劣化するのを防ぐために、インキ層2を基材シート1
の裏面に配しても良い。またこの場合には、基材シート
1には、木材等の質感・意匠感を出すために、エンボス
加工などにより、凹凸の付いた模様が施されていても良
い。
【0023】また公知のワイピング法によって凹凸の凹
部(導管部)に着色部(図示せず)が形成されていても
良い。ワイピング法とは、凹凸部全面に着色インキを塗
工して、その後に、凸部に付着している着色インキを掻
き取り、凹部のみに着色インキを残留させる方法で、ド
クターブレード法、ロールコート法などがあるが、どの
方法を用いても良い。
【0024】また、前述したような、透明な基材シート
1の裏面にインキ層2があるような構成の場合には、当
該基材シート1による化粧シートを、木質等の有機系の
基材や無機系の化粧板用基材に貼り合せた時、その化粧
板用基材の色調(色味)がインキを通して透けて見える
のを防ぐため、前記基材シート1の裏面に設けたインキ
層2面にベタの隠蔽層の印刷を行うのが一般的である。
【0025】本発明の切削性向上化粧シートに前記基材
シート1として使用される単層の基材シートを作製する
方法としては、Tダイ押出し法やカレンダー法などがあ
るが、その方法については特に規定されるものではなく
用途に応じて使い分けをすればよい。また使用するシー
トは、延伸・未延伸シートのいずれでも良い。また本発
明の切削性向上化粧シートに使用するインキ層2は、木
目柄、抽象柄、石目柄、布目柄、文字、記号、ベタ等々
の模様を有し、グラビア印刷、オフセット印刷、シルク
スクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、等の公知
の印刷技法を用いて形成されるもので、どの方式を使用
するかは、特に規定されるものではないが、通常の化粧
シートの印刷においては、グラビア印刷を用いることが
多い。またインキの種類は、溶剤系と水系の2種類に大
別されるが、所望とする発色が得られ、かつ基材シート
1、あるいは木質等の有機系基材や無機系の化粧板用基
材との密着性が充分であれば、どちらを選んでも差し支
えない。
【0026】図3は、本発明で規定された切削性向上化
粧シートの様態の中で、様々な用途に一般的に広く用い
られている複層シート構造の切削性向上化粧シートを示
す断面図である。
【0027】図3に示す例では、基材シート1上にイン
キ層2が積層されているところまでは、単層構造の切削
性向上化粧シートと同じ構造であるが、複層の場合は基
材シート1に紙を用いても良い。また複層構造の切削性
向上化粧シートの場合には、主にインキ層2の模様柄
が、磨耗や紫外線等により退色したり劣化したりするの
を防ぐために、インキ層2の表面に透明非塩化ビニル系
樹脂層3が積層されており、さらにその上には透明な表
面保護層4が積層されている。透明非塩化ビニル系樹脂
層3と透明な表面保護層4には、木材等の質感を出すた
めに、エンボス加工などにより凹凸模様4aなど凹凸加
工が施されていても良い。
【0028】本発明で使用される上記透明非塩化ビニル
系樹脂層3は、ポリ塩化ビニル系シートと同等以上の物
性を有していれば、特に規定されるものではないが、コ
スト面や、その他を考慮した場合、ポリプロピレンを主
体とした樹脂であることが望ましい。
【0029】この層の厚みとしては、通常30〜200
mm程度にすることが多いが、その範囲内に限定される
必要は必ずしもない。透明非塩化ビニル系樹脂層3に
は、エンボス加工等によって作製した装飾のための凹凸
があってもよい。また前記した公知のワイピング法によ
って、凹凸の凹部(導管部)に着色部が形成されていて
も良い。
【0030】また切削性向上化粧シート自体に、耐熱
性、硬度、耐衝撃性、低温加工性等の機能が要求される
場合には、透明非塩化ビニル系樹脂層3のベースとなる
ポリプロピレンもホモポリマー、ランダムコポリマー、
ブロックコポリマー等を任意に選定したものであって構
わない。また通常は、これら透明非塩化ビニル系樹脂層
3には、得られた製品の熱酸化を防止するための酸化防
止剤や、得られた製品の紫外線による劣化を防ぐための
紫外線吸収剤及び光安定剤等々の添加剤が適宜添加され
る。これらの添加剤の種類及び量に関しては、特に規定
されるものではなく、一般に使用されているものの組み
合わせで充分である。
【0031】前記の様に、複層タイプのシートを作製す
る方法としては、Tダイ押出しラミネーション法(共押
出しラミネーションを含む)、ドライラミネーション
等、従来から公知の様々な方法があり、用途に応じて、
いずれの方法を用いても差し支えない。
【0032】Tダイ押出しラミネーションによるシート
作製とは、押出し機から、スクリューを使って熱融解し
た樹脂をフィードし、Tダイを通して基材となるシート
上に樹脂を積層していく方法である。特に、基材シート
1上に2層以上を積層する場合には、2種類以上の熱融
解された樹脂が別々の押出し機から同時にフィードさ
れ、Tダイの中または外でこれらの樹脂を積層すること
により、複層のシートが層間に接着剤を使用することな
く作製できる。この製法においては、層間の密着強度を
得るために、必要に応じて、アンカーコート層を用い
る、接着性樹脂層を用いる、あるいはコロナ処理、オゾ
ン処理等の酸化処理を行う等々の処理を行なう。
【0033】ドライラミネーションとは、積層する片方
のシートに、水性または有機溶剤で溶解させた接着剤を
公知のコーティング技法を用いて均一に塗布し、乾燥オ
ーブン中で溶剤分を蒸発・乾燥させた後、乾燥粘着状態
になったところで、他方のシートを貼り合わせ、40〜
100℃に加熱した金属ロールとゴムロールとで圧着ラ
ミネートする方法である。ドライラミネーションに使用
する接着剤としては、ビニル系、アクリル系、ポリアミ
ド系、エポキシ系、ゴム系、エマルジョン系、ウレタン
系等があるが、本発明の切削性向上化粧シートにおいて
は、ウレタン系の接着剤が適している。
【0034】本発明で使用される表面保護層4は、化粧
シート及び化粧シートを用いて作製される化粧板の耐候
性、耐汚染性、耐傷性の向上、及び化粧シートに所定の
艶を持たせるために用いられている。また、前記のワイ
ピング等の技法により、導管部に着色が施されている場
合には、この着色インキ保護の役割も果たす。この層の
成分及び厚みに関しても、耐候性、耐汚染性、艶、及び
透明非塩化ビニル系樹脂層との密着等が充分にあれば、
特に規定されるものではない。
【0035】本発明の切削性向上化粧シートにおいて
は、木質等の有機系基材や無機系の化粧板用基材との密
着強度を向上させるために、必要に応じて、基材シート
1の裏面にプライマー層を設けても良い。このプライマ
ー層に関しても、化粧板用基材との充分な密着強度が得
られており、かつ積層時の基材シート1と木質等の有機
系基材や無機系の化粧板用基材との間でのシート1の浮
き等が発生しなければ、特に規定されるものではないが
ポリウレタン系のものを使用するのが望ましい。
【0036】これまで列記した各層に関しては、層間の
密着強度を向上させるために、必要に応じてコロナ処
理、オゾン処理等の酸化処理が施してあっても差し支え
ない。
【0037】これまでに列記した構成の切削性向上化粧
シートで、前記した勾配rが、−3.5×107N/m2
以下であり、かつ面積sが、2.0×104N・m/m2
以下にある化粧シートであれば、この化粧シートの切削
性は良いと言えるが、単層または複層のうちの1つ以上
の層に、たとえばポリオレフィン系の樹脂が使用されて
いる場合などでは、この数値を超えることがあり得る。
その場合の対策としては、ポリオレフィン系の樹脂10
0重量部に対して、脂肪族系樹脂、ジシクロペンタジエ
ン系樹脂等の石油樹脂の成分か、またはアルコン等を1
〜50重量部添加すればよい。
【0038】
【実施例】以下、本発明の切削性向上化粧シートの具体
的実施例及び比較例について更に説明する。
【0039】<実施例1>ポリプロピレンを主体とした
樹脂100重量部に対して、石油樹脂成分10重量部を
マスターバッチ方式によって添加し、Tダイ押出し法に
よって厚み70μmの単層シート(図1の単層シート1
参照)を作製した。このシートにおいて、前記引張荷重
試験を50mm/minの引張速度で行い、得られた応
力−歪み曲線の形状から、同じく前記の勾配rと面積s
を求めた。さらに、このシートの表面にグラビア印刷法
により木質柄模様のインキ層2を施して、図1に示すよ
うな石油樹脂成分添加のPP系単層化粧シートによる本
発明の切削性向上化粧シートを得た。得られた切削性向
上化粧シートの裏面にコロナ処理及びプライマー層の積
層を行った後、化粧板用基材としての木質系の基材上
に、この化粧シートを、その裏面側を貼り合わせ積層し
て化粧板を作成した。そして、この化粧板に対して、そ
の化粧シートの積層面側からルーター切削加工を行な
い、その切削性の確認を行った。
【0040】<実施例2>上記実施例1と同様のポリプ
ロピレンを主体とした樹脂100重量部に対して石油樹
脂成分10重量部をマスターバッチ方式によって添加し
た樹脂(基材シート1用樹脂)を、ポリエチレン系の接
着性樹脂と共に、共押出しラミネーション法を用いて、
グラビア印刷法により木質柄模様のインキ層2を施した
厚み約70μmのポリエチレンテレフタレート系樹脂シ
ート(透明非塩化ビニル系樹脂層3)上に80μmの厚
みで積層し、図2に示したような基材シート1と接着性
樹脂とインキ層2と透明非塩化ビニル系樹脂層3からな
る複層シートを得た。前記インキ層2と前記接着性樹脂
による接着性樹脂層との間には、2液のウレタン系アン
カーコート樹脂を塗布し、さらに、アンカーコート層と
接着性樹脂層との間にオゾン処理を施すことにより、層
間の密着強度を高めた。また、得られた上記積層シート
の最表層部(透明非塩化ビニル系樹脂層3)面に、厚み
約6μmのウレタン系の表面保護層4を積層して、図2
に示すような石油樹脂成分添加の複層化粧シートによる
本発明の切削性向上化粧シートを得た。この化粧シート
において、単層の時と同じく50mm/minの引張速
度で引張荷重試験を行い、応力−歪み曲線の形状から勾
配rと面積dを求めた。さらに得られた化粧シート裏面
の基材シート1にコロナ処理及びプライマー層の積層を
行った後、化粧板用基材としてのMDF基材上に、この
化粧シートの基材シート1側を貼り合わせて化粧板を作
成した。そして、この化粧板に対して、その化粧シート
の積層面側からルーター切削加工を行ない、その切削性
の確認を行った。
【0041】<比較例1>それぞれ厚み70μmのポリ
塩化ビニルの単層化粧シートと、ポリエチレンを主体と
した石油樹脂成分未添加のPE系単層化粧シートと、ポ
リプロピレンを主体とした石油樹脂成分未添加のPP系
単層化粧シートを、それぞれ用意して、同じく前記の引
張荷重試験で得られる応力−歪み曲線から、それぞれ単
層化粧シートの勾配rと面積dを求めた。さらに、これ
らの単層化粧シートの裏面に、コロナ処理及びプライマ
ー層の積層を行った後、化粧板用基材としての木質系の
基材上に、それぞれシートを貼り合わせて、比較例とし
ての化粧板を作成した。そして、この化粧板に対して、
その化粧シートの積層面側からルーター切削加工を行な
い、その切削性の確認を行った。
【0042】<比較例2>比較例2の(1)として総厚
150μmポリ塩化ビニルの基材シートを用いた複層化
粧シートと、(2)として共押出しラミネーション法を
用いて積層された表層から順に厚み約70μmのポリプ
ロピレン系樹脂層と厚み約10μmのポリエチレン系接
着性樹脂層とアンカーコート層とインキ層と基材シート
として石油樹脂未添加の厚み約70μmのポリエチレン
テレフタレート樹脂層とからなる石油樹脂未添加のPP
/PET系複層化粧シートと、(3)として同じく共押
出しラミネーション法を用いて積層された表層から順に
厚み約70μmのポリプロピレン系の層と厚み約10μ
mのポリエチレン系の接着性樹脂層とアンカーコート層
とインキ層と基材シートとして石油樹脂未添加の厚み約
70μmのポリプロピレン層とからなる石油樹脂未添加
のPP/PP系複層化粧シートと、(4)として同じく
共押出しラミネーション法を用いて積層された表層から
順に厚み約70μmのポリプロピレン系の層と厚み約1
0μmのポリエチレン系の接着性樹脂層とアンカーコー
ト層とインキ層と基材シートとして石油樹脂未添加の厚
み約70μmのポリエチレン層とからなる石油樹脂未添
加のPP/PE系複層化粧シートをそれぞれ用意し、こ
れらの複層化粧シート最表層部に、厚み6μmの表面保
護層を積層した。これらの複層化粧シートにおいて、5
0mm/minの引張速度で引張荷重試験を行い、応力
−歪み曲線の形状から勾配rと面積dを求めた。さら
に、それら複層化粧シート裏面にコロナ処理及びプライ
マー層の積層を行った後、化粧板用基材としてのMDF
基材上に、これら化粧シートの基材シート側を貼り合わ
せて化粧板を作成した。そして、この化粧板に対して、
その化粧シートの積層面側からルーター切削加工を行な
い、その切削性の確認を行った。
【0043】
【表1】
【0044】<比較結果>表1は、実施例1、比較例1
で得られた化粧板について、その勾配r、面積d及び切
削性に関する評価結果を一覧表にしたものである。
【0045】表1を見てわかる通り、勾配rが−3.5
×107N/m2以下であり、また面積dが、2.0×1
4N・m/m2以下の範囲にある、比較例1の(1)ポ
リ塩化ビニルの単層化粧シート、及び実施例1の石油樹
脂成分添加のPP系単層化粧シートの切削性は良好であ
り、逆に勾配rと面積dが上記範囲を満たしていない比
較例1の(2)石油樹脂成分未添加のPE系単層化粧シ
ート、(3)石油樹脂成分未添加のPP系単層化粧シー
トの切削性は悪い。
【0046】また表1を見てわかる通り、勾配rが−
3.5×107N/m2以下であり、また面積dが、2.
0×104N・m/m2以下の範囲にある、比較例2の
(1)ポリ塩化ビニル複層化粧シート、及び実施例2の
石油樹脂添加のポリプロピレン系樹脂とポリエチレンテ
レフタレート系樹脂のPP/PET複層化粧シートの切
削性は良好であり、逆に勾配rと面積dが上記範囲を満
たしていない比較例2の(2)〜(4)の石油樹脂未添
加の化粧シートの切削性は悪い結果となった。
【0047】
【発明の効果】本発明の切削性向上化粧シートは、非塩
化ビニル系の化粧シートであり、化粧板用基材に貼り合
わせて化粧板とした場合に、従来のポリオレフィン系化
粧シート等を貼り合わせた非塩化ビニル系の化粧板と比
べて、バリやヒゲ、膜浮き等の少ない、切削性の優れた
化粧板として製造できる効果がある。
【0048】更に、本発明の切削性向上化粧シートは、
塩化ビニル系の化粧シート及び化粧板と同様の良好な切
削性が得られ、切削部の処理に費やす手間や時間を省け
るため、コスト削減効果が得られ、また従来のポリ塩化
ビニル系の化粧シート及び化粧板と比較して、燃焼した
場合の有害ガスの発生する恐れが無く、また廃棄物の燃
焼処理時の人的悪影響が無く、環境保全に良好な効果を
発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】応力−歪み曲線の代表的な形状と本発明で規定
する面積sを定義する説明図。
【図2】本発明の切削性向上化粧シートにおける単層化
粧シートの代表的な構成を示す側断面図。
【図3】本発明の切削性向上化粧シートにおける複層化
粧シートの代表的な構成を示す側断面図。
【符号の説明】
1…基材シート 2…インキ層 3…透明非塩化ビニル
系樹脂層 4…表面保護層 x…歪み量 f(x)…応力 a…降伏点(xa ,f(xa )) b…降伏点aと降伏点以降に応力が低下から増大に転ず
る点cとの間の中間点 c…降伏点a以降に応力が低下から増大に転ずる点 d…弾性域の応力−歪み曲線の勾配 e…中間点bの接線 s…応力−歪み曲線における原点Oから歪み量xa まで
の図形面積 r…接線eのy/x勾配値 xa …降伏点aの歪み量 xb …中間点bの歪み量 xc …降伏点a以降に応力が低下から増大に転ずる点c
の歪み量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 秀樹 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AK01A AK07A AT00B BA02 BA10A BA10B GB08 GB81 HB00A JK07 JK20 JL01 YY00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】装飾処理が施された化粧シートの引張速度
    が200mm/min以下の範囲での引張試験により得
    られる横軸Xに歪みx、縦軸Yに応力f(x)を取った
    グラフで表される前記化粧シートに関する応力−歪み曲
    線において、その降伏点aと降伏点以降に応力が低下か
    ら増大に転ずる点cとの間の中間点bの曲線の応力−歪
    み曲線の勾配r=df(xb )/dxが、3.5×10
    7N/m2以下の範囲にあり、少なくとも該化粧シートが
    1層以上の非塩化ビニル系樹脂層を有する単層または複
    層からなることを特徴とする切削性向上化粧シート。
  2. 【請求項2】前記引張試験により得られる応力−歪み曲
    線の原点Oから降伏点aまでの区間の曲線と、降伏点a
    から横軸Xに下した垂線と、横軸Xとで囲まれる図形の
    面積s(s=∫0 Xa[f(x)]dx)が、2.0×1
    4N・m/m2以下の範囲にあることを特徴とする請求
    項1記載の切削性向上化粧シート。
  3. 【請求項3】前記引張速度が50mm/minであるこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2記載の切削性向上
    化粧シート。
  4. 【請求項4】前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項
    記載の切削性向上化粧シートが、化粧板用の基材に積層
    されてなることを特徴とする化粧板。
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