JP3734681B2 - 壁装材表面保護用無延伸積層フィルム - Google Patents

壁装材表面保護用無延伸積層フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は製膜性、防汚性、エンボス性、艶消し性、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性に優れ、適度な接着強度を有し、折れシワが発生しにくく、折れシワ復元性のよい、壁装材表面保護用無延伸積層フィルム、に関する。
【0002】
【従来の技術】
壁紙や化粧シートなどの壁装材の基材としては、諸物性に優れ、成形加工性もよく安価であるという理由からポリ塩化ビニル系基材が多用されている。しかしポリ塩化ビニルは廃棄焼却時に塩化水素ガスなどの有毒ガスや発ガン性物質であるダイオキシンが発生するなど環境対策上極めて多くの問題点を有している。従って、ポリ塩化ビニル系基材に替わる素材としてアクリル系樹脂、エチレンー酢酸ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂基材など(以下、非ポリ塩化ビニル系基材という。)を主原料とした壁装材が開発され、近年住宅用に採用されつつある。これらの非ポリ塩化ビニル系の壁装材は、前記のような問題点がないだけでなく、ポリ塩化ビニルに含まれるような可塑剤を含まないため、あるいは可塑剤を含んでも表面にブリードし難いため環境汚染が少ない、空気中の浮遊物の付着による汚れが少ないなどの長所を有する。
【0003】
しかしその反面、一旦汚れが付着すると汚染物の除去が困難であるという問題点を抱えている。そこで、ポリ塩化ビニル系基材に使用するのと同様に表面に防汚性フィルムを積層することが検討されてきた。従来、このようなフィルムとしてエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)やアクリル系フィルムが使用されてきたが、これら従来のフィルムを積層した壁装材は糊を塗布後折り畳んで重ね置きする工程(養成)で、折れシワが発生し、施工後も折れシワ復元性が悪いため、シワ跡が消えず、美観を著しく損なうという短所があった。
【0004】
また、前記フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材は一般的にドライラミネート法などで積層される。その際、有機溶剤を使用するため、自然環境への影響、火災の危険性、作業者の健康面への影響、資源の浪費が示唆されていた。そこで有機溶剤を使用しない熱圧着法により積層することのできるフィルムを要望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、製膜性、防汚性、エンボス性、艶消し性、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性に優れ、適度な接着強度を有し、従来のフィルムでは困難であった、折れシワが発生しにくく、折れシワ復元性に優れるという性能を兼ね備えた壁装材表面保護用無延伸積層フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
融点が80〜95℃のエチレン系共重合体樹脂を主成分とする接着性樹脂層と接着性樹脂層よりも高融点の、防汚性の熱可塑性樹脂層が積層された少なくとも2層からなり、20%伸張時のモジュラス値が0.5〜7.0N/10mmであり、該熱可塑性樹脂層の表面がエンボス形状を有し、エンボス面の表面粗さの平均偏差(Ra)が0.4〜1.5μm、および表面の10点の平均粗さ(Rz)が2.5〜15μmであり、表面光沢度が60°で16%未満、および75°で20%未満であり、全光線透過(Tt)が90%以上であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態についてより具体的に説明する。本発明は、製膜性、防汚性、エンボス性、艶消し性、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性に優れ、適度な接着強度を有し、折れシワが発生しにくく(耐折れシワ性)、折れシワ復元性を兼ね備えた壁装材表面保護用無延伸積層フィルムに関するものである。フィルムの構成を、融点が80〜95℃のエチレン系共重合体樹脂を主成分とする接着性樹脂層と接着性樹脂層よりも高融点の、防汚性の熱可塑性樹脂層が積層された少なくとも2層にし、20%伸張時のモジュラス値を0.5〜7.0N/10mmとすることにより、製膜性、防汚性、エンボス性、艶消し性、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性、接着強度、耐折れシワ性、折れシワ復元性を全て兼ね備えたフィルムが得られる。
【0008】
本発明のエチレン系共重合体とは、フィルムの製膜性、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性を考慮し、融点が8095℃のエチレン系共重合体をさす。接着性樹脂層に前記のエチレン系共重合体を選ぶことにより、製膜性のよい、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性および耐折れシワ性に優れた積層フィルムおよび、壁装材が得られる。融点が80℃未満の場合、製膜時にフィルムがロールに粘着し、製膜性が悪いため好ましくない。一方、融点が95℃を超える場合、非ポリ塩化ビニル系基材との熱圧着性が悪く、折れシワが発生しやすいため好ましくない。
【0009】
前記エチレン系共重合体は、より具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステルー無水マレイン酸3元共重合体、エチレンーグリシジルメタクリレート共重合体、エチレンーグリシジルメタクリレートー酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体などを例示できる。前記エチレン共重合体を接着性樹脂層に使用する場合、前記の1種類のみの使用でも良いし、又は2種類以上の組み合わせでもよい。また、表面保護用フィルムの接着性樹脂層としての特性を阻害しない範囲であれば帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤、充填剤、着色剤などの添加剤を添加してもよいし、目的に応じて他の樹脂をブレンドしてもよい。ブレンドする樹脂として、ポリエチレン、エチレンとアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルなどのモノマーからなる2元共重合体、3元共重合体などが例示できる。
【0010】
次に本発明の熱可塑性樹脂層について説明する。本発明の熱可塑性樹脂は、壁装材の表面に位置するため防汚性、エンボス性、艶消し性を満足し、製膜性良好で、接着性樹脂層よりも高融点のものあれば特に限定されるものではなく、いずれであってもよい。具体的には、結晶性ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートなどを例示できる。更に、1種類のみの使用でも良いし、又は2種類以上の組み合わせでもよいが、好ましくは熱可塑性樹脂層の主成分、つまり50wt%以上が結晶性ポリプロピレンであるのが望ましい。ここで結晶性とは原料ペレット又はフィルムを一旦加熱溶融させた後徐冷したものが結晶性であるという、樹脂本来の性質をいう。
【0011】
また、表面保護用無延伸積層フィルムの前記特性を阻害しない範囲であれば難燃剤、防カビ剤、抗菌剤、吸湿剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤、充填剤、着色剤などの添加剤を添加してもよいし、目的に応じて他の樹脂をブレンドしてもよい。
【0012】
熱可塑性樹脂層の表面は、防汚性および艶消し性を満足させるために適度な粗面であるのが好ましい。粗面化する方法として、熱可塑性樹脂層に無機フィラーをブレンドする方法、MFRの異なる同種の樹脂をブレンドする方法、MFRの異なる異種の樹脂をブレンドする方法、架橋した樹脂をブレンドする方法、ブロックコポリマーをブレンドする方法、あるいはこれらの併用をする方法などを例示できるがこれらに限定されるものではない。
【0013】
表面粗さの程度は、平均偏差(Ra)が0.4〜1.5μm、好ましくは0.6〜1.3μm、より好ましくは0.8〜1.1μmおよび、表面の10点平均粗さ(Rz)が、2.5〜15μm、好ましくは3〜12μm、より好ましくは4.0〜9.0μmが望ましい。Ra、Rzを前記の範囲にすることにより、巻き取り時のシワの発生もなく、巻き取り保管後の接着性樹脂層とのブロッキングもなく、表面の艶消し効果も良好なものが得られる。
【0014】
Raが0.4μm未満、Rzが2.5μm未満の場合、成形性、防汚性は良いが、表面に照り感があり、艶消し性が不十分であると共に、ロール巻きしたフィルムは、保管中にフィルムの内面と外面がブロッキングしやすくなる傾向にある。また、Raが1.5μmを超え、Rzが15μm超える場合、フィルムの表面に照り感はなく艶消し性に優れるが、20%伸張時のモジュラス値が0.5〜7.0N/10mmの本発明のフィルムでは、ピンホールが多数発生し、製膜性に劣る傾向にある。
【0015】
本発明の積層フィルムの熱可塑性樹脂層の表面光沢度は、60°で16%未満、かつ、75°で20%未満、好ましくは、60°で13%未満、かつ、75°で17%未満、更に好ましくは、60°で10%未満、かつ、75°で15%未満が望ましい。表面光沢度が60°で16%以上、75°で20%以上の場合、艶消し性が不充分であり、表面に照り感が出る傾向にある。更に、積層フィルムの全光線透過(Tt)は90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上が望ましい。全光線透過(Tt)が90%未満の場合、印刷を施した非ポリ塩化ビニル系基材の上にフィルムを積層すると印刷の鮮明さが損なわれる傾向にある。
【0016】
前記の表面粗さ(Ra、Rz)、表面光沢度、全光線透過(Tt)の値を全て満足させるよう、適宜樹脂配合、成形方法、成形条件を設定すればよいが、後記の実施例1に示した樹脂配合、即ちMFR及び融点が異なる少なくとも2種の結晶性ポリプロピレンからなる熱可塑性樹脂層を採用することがより好ましい。また、接着性樹脂層も、適宜その樹脂配合を設定すればよいが、後記の実施例1に示した樹脂、即ちエチレンー酢酸ビニル共重合体系樹脂を採用することがより好ましい。
【0017】
次に、接着性樹脂層および熱可塑性樹脂層の形成方法、および積層方法について説明する。接着性樹脂層および熱可塑性樹脂層は、公知のいかなる方法を用いて形成および積層してもよいが、残留溶剤の問題もなく、自然環境に配慮する観点から溶融押出法が好ましい。例えば、以下に例示する。
【0018】
(1)熱可塑性樹脂層を予め溶融押出法にて形成する。次に、熱可塑性樹脂層上に押出ラミネート法にて接着性樹脂層を形成する。
(2)接着性樹脂層を予め溶融押出法にて形成する。次に、接着性樹脂層上に押出ラミネート法にて熱可塑性樹脂層を形成する。
(3)熱可塑性樹脂層と接着性樹脂層を共押出法にて形成する。
(4)接着性樹脂層および熱可塑性樹脂層を各々予め溶融押出法にて形成する。次に接着性樹脂層と熱可塑性樹脂層をラミネートする。
【0019】
接着性樹脂層、熱可塑性樹脂層、およびそれらが積層されたフィルムは、エンボス加工性の点から無延伸のものが好ましい。
【0020】
積層されたフィルム(以下、無延伸積層フィルムという。)は、20%伸張時のモジュラスが0.5〜7.0N/10mm、好ましくは1.0〜5.0N/10mm、更に好ましくは2.0〜4.0N/10mmであるのが望ましい。20%伸張時のモジュラスが、0.5N/10mm未満の場合、製膜時にピンホールが発生し破断しやすく、また7.0N/10mmを越える場合、エンボス性に劣ると共に、折れシワが発生しやすく、折れシワ復元性が悪いため、シワ跡が残り好ましくない。
【0021】
無延伸積層フィルムの厚みは、特に制限はなく、20%伸張時のモジュラスが前記の範囲に収まるように設定すればよいが、通常50μ以下が望ましい。接着性樹脂層の厚みは、1μm以上で、熱可塑性樹脂層の厚みの0.1倍以上、好ましくは0.2倍以上、更に好ましくは0.3倍以上が望ましい。1μm未満では非ポリ塩化ビニル系基材への熱圧着性がばらつきやすく、また、熱可塑性樹脂層の厚みの0.1倍未満では熱可塑性樹脂層へのエンボス性の付与が十分でない傾向にある。
【0022】
次に、前記無延伸積層フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材とを積層した、壁装材について説明する。
【0023】
本発明の非ポリ塩化ビニル系基材とは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、エチレンープロピレンーブテン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンーアクリル酸エステル共重合体、エチレンーメタクリル酸エステル共重合体、などが例示でき、また、それらの混合物からなる基材も含まれる。この非塩ビ系基材は発泡体であっても非発泡体であってもよい。また無延伸積層フィルムを熱圧着した後に非ポリ塩化ビニル系基材を発泡させてもよい。非ポリ塩化ビニル系基材に印刷を施す場合、印刷インキは通常用いられるインキでよい。例えば、アクリル系、エチレンー酢酸ビニル系、ウレタン系、セルロース系の樹脂に顔料、染料などの着色剤、分散剤、溶剤などを混合し溶解させたものが例示できる。また、印刷は公知の方法で行なえばよい。
【0024】
本発明において、無延伸積層フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材は熱圧着法により積層する。熱圧着法の場合、有機溶剤を用いないので、有機溶剤に起因する弊害、即ち、自然環境への影響、火災の危険性、作業者の健康面への影響、資源の浪費などの問題が解決できる。
【0025】
熱圧着条件は、例えば、速度5〜50m/分で、圧力0.3〜6MPa、温度90〜200℃が例示できる。熱圧着と同時にエンボス加工してもよいし、後工程でエンボス加工してもよい。またエンボス加工が不必要なら、しなくてもよい。
【0026】
無延伸積層フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材との接着強度は0.1〜9.0N/10mm、好ましくは0.3〜8.0N/10mm、より好ましくは0.5〜7.0N/10mmである。接着強度が0.1N/10mm未満の場合、エンボス加工後、フィルムの浮きが発生しやすく、また、8.0N/10mmを超えるとエンボス性が悪くなる傾向にある。また、熱可塑性樹脂層と接着性樹脂層の間には、目的に応じ、例えば、接着性樹脂層やその他の樹脂層を1層以上設けてもよい。
【0027】
また、前記の接着性樹脂層は、前記非ポリ塩化ビニル系基材以外の、紙や木材など、あるいはそれらに用いられる印刷インキとも熱圧着性能がよいので、本発明の無延伸積層フィルムはそれらの防汚用としても使用可能である。
【0028】
【実施例】
次に本発明の代表的な実施例を挙げて説明する。本発明において使用した物性値の測定方法及び評価方法は次の通りである。
【0029】
融点は、島津製作所製の示差走査熱量計DSC−50を用いてJIS K7121に準じて測定した。無延伸積層フィルムの20%伸張時のモジュラス値は島津製作所製オートグラフAGS−100Aを用いて測定した。
【0030】
熱可塑性樹脂層表面の表面粗さの平均偏差(Ra)と10点の平均粗さ(Rz)は東京精密製の表面粗さ形状測定機サーフコム585Aを用いJIS B0601−1982に準じて測定した。(Ra)とは抽出曲線と中心線とによって囲まれる部分の面積を測定長さで割った値をいう。(Rz)とは抽出曲線から基準長さだけ抜き取った部分の平均線に平行で、高い方の1番目から5番目までの山頂を通る直線と低い方の1番目から5番目までの谷底を通る直線をそれぞれ描き、この山側の5個の直線の高さの相加平均と谷側の5個の直線の高さの相加平均との差をいう。
【0031】
表面光沢度は日本電色工業製のVG−2000型を用いASTMD523に準じて測定した。(受光角:60°、75°)
光線の全光線透過(Tt)は日本電色工業製のDH2000型用いASTMD1003に準じて測定した。
【0032】
防汚性の評価は、無延伸積層フィルムの熱可塑性樹脂層表面に、水性サインペン(ペンテル;黒)、クレヨン(サクラ;太巻きの赤)、コーヒー(ネスカフェ;ゴールドブレンド)、醤油(キッコーマン;濃い口)の4種類の汚れを付着させ、24時間後、サインペン汚れ、クレヨン汚れは家庭用洗剤を、コーヒー汚れ、醤油汚れは水を柔らかい布にしみ込ませて拭き取り、汚れの落ち具合を官能評価した。目視で、汚れが全く残らないものを◎、殆ど残らないものを○、やや残るものを△、かなり残るものを×とした。
【0033】
エンボス性の評価はエンボス加工後の積層体を目視し、エンボスによる凹凸が積層体の表面に充分賦形されているものを◎、賦形されているものを○、やや賦形されているものを△、賦形されていないものを×とした。
【0034】
熱圧着性の評価は、フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材を熱圧着、エンボス加工をした後、フィルムと基材間で剥離させ、エンボス基材表面とフィルムの接着性樹脂面との間で浮きがないかを目視で判定した。熱圧着性良好で浮きが全くないものを◎、殆ど浮きがないものを○、やや浮きがあるものを△、熱圧着不充分で浮きが大きいものを×とした。
【0035】
フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材との接着強度は、180°剥離で、島津製作所製オートグラフAGS−100Aを用いてJIS K6732に準じて測定した。
【0036】
折れシワ復元性の評価は、フィルムを貼り合わせた壁装材(幅:920mm、長さ:1800mm)の裏側に市販の水性合成樹脂系糊を約130g/m塗布し、糊面を内側に折り返し、10枚重ね置きし、60分放置した。その後合板に貼り付け、24時間放置し、折返し部分を観察しシワの消え具合を官能評価した。目視でシワの全く残らないものを◎、やや残るるものを○、かなり残るものを△、著しく残るものを×とした。
【0037】
(実施例1)二軸の混練押出機を用いて結晶性ポリプロピレン樹脂((株)グランドポリマー製F707V、融点158℃、MFR6.5)、結晶性ポリプロピレン樹脂(チッソ(株)製HF3122、融点133℃、MFR1.9)、結晶性ポリプロピレン樹脂(チッソ(株)製XFP1210H、融点133℃、MFR2.5)をそれぞれ、60:40:4の割合で溶融混合して熱可塑性樹脂層のペレットを得た。次に、2台の押出機を用いて、前記ペレットと接着性樹脂層としてエチレンー酢酸ビニル共重合体系樹脂(大日本インキ化学工業(株)製ディックサームEL−83K、融点83℃、MFR13)のペレットとを各々溶融し、230℃のTダイから共押出し、冷却固化して厚さ20μmの無延伸積層フィルムを得た。(熱可塑性樹脂層が15μm、接着性樹脂層が5μm)製膜性、熱可塑性樹脂面の艶消し性、ともに良好な柔らかいフィルムであった。
【0038】
(比較例1)(エチレン系共重合体の融点が高すぎる場合)
接着性樹脂層としてエチレンー酢酸ビニル共重合体系樹脂(東ソー(株)製メルセンMX10、融点118℃、MFR15)を使用する以外は実施例1と同様にして厚さ18μmの無延伸積層フィルムを得た。(熱可塑性樹脂層が13μm、接着性樹脂層が5μm)
【0039】
(比較例2)(エチレン系共重合体の融点が低すぎる場合)
接着性樹脂層としてエチレンー酢酸ビニル共重合体樹脂(日本ポリケム(株)製LV−780、融点59℃、MFR30)を使用する以外は実施例1と同様にして厚さ20μmの無延伸積層フィルムを得ようとしたがフィルムがロールにブロッキングしやすくまた、巻きとりでの折れシワが多発し商品にならなかった。(熱可塑性樹脂層が15μm、接着性樹脂層が5μm)これは、接着性樹脂の融点が低すぎるためである。
【0040】
(比較例3)(20%伸張時のモジュラスが0.5未満の場合)
接着性樹脂層としてエチレンーメタクリル酸共重合体樹脂(三井・デュポンポリケミカル(株)製ニュクレル0910、融点97℃、MFR10)を使用する以外は実施例1と同様にして厚さ7μm(熱可塑性樹脂層が5μm、接着性樹脂層が2μm)の無延伸積層フィルムを得たが、製膜時にピンホールが多数発生した。これは、20%伸張時のモジュラスが0.5未満のためである。
【0041】
(比較例4)(20%伸張時のモジュラスが7.0を越える場合)
比較例3と同様にして厚さ60μmの無延伸積層フィルムを得た。(熱可塑性樹脂層が35μm、接着性樹脂層が25μm)製膜性、艶消し性の良好なフィルムであったが、風合いがやや硬いフィルムであった。
【0042】
実施例1及び比較例1、3、4で得られたフィルムの製膜性と物性評価結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0003734681
【0044】
(実施例)120μmの難燃紙の上に、水酸化アルミニウム、酸化チタン、増粘剤、マイクロカプセル発泡剤を含むエチレンー酢酸ビニル系の水性エマルジョンを塗布、乾燥後、170℃で1分加熱発泡させ、総厚みが450μmの非ポリ塩化ビニル系基材を得た。この基材のエチレンー酢酸ビニル樹脂面と実施例1で得た無延伸積層フィルムの接着性樹脂面とが接するようにして、温度100℃、圧力0.9MPa、速度20m/minで熱圧着と同時にエンボス加工をして、エンボス模様のついた壁装材を得た。この壁装材は、熱圧着性、エンボス性、防汚性に優れた壁装材であった。この壁装材の無延伸積層フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材との接着強度は3.5N/10mmであった。また糊を紙面に塗布、養成後、合板にはりつけて、折れシワ発生および復元性を評価したところ、折れシワの発生はみられなかった。
【0045】
(比較例5)比較例1で得た無延伸積層フィルムを使用する以外は実施例と同様にして熱圧着、エンボス加工して、エンボス模様のついた壁装材を得た。この壁装材は表2に示したように、防汚性を有する壁装材であったが、エンボス性が悪いとともに、エンボス山部での熱圧着性が不充分であり、実施例と同様にして折れシワ発生および復元性を評価したところ、折れシワの発生がみられた。この壁装材の無延伸積層フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材との接着強度は0.05N/10mmであった。
【0046】
(比較例6)比較例4で得た無延伸積層フィルムを使用する以外は実施例と同様にして熱圧着、エンボス加工して、エンボス模様のついた壁装材を得た。この壁装材の無延伸積層フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材との接着強度は4.5N/10mmであった。この壁装材は表2に示したように、防汚性を有する壁装材であったが、エンボス賦形が充分でなく、また、実施例と同様にして折れシワ発生および復元性を評価したところ、折れシワの発生がみられた。
【0047】
実施例及び比較例5,6で得られた無延伸積層フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材とを積層した壁装材の評価結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003734681
【0049】
【発明の効果】
本発明は、前記説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果がある。融点が8095℃からなるエチレン系共重合体樹脂を主成分とする接着性樹脂層と接着性樹脂層よりも高融点の、防汚性の熱可塑性樹脂層が積層された少なくとも2層からなる無延伸積層フィルムであって、且つ、無延伸積層フィルムの20%伸張時のモジュラス値が0.5〜7.0N/10mmであることにより、防汚性、艶消し性、エンボス性、基材との熱圧着性に優れ、耐折れシワ性、折れシワ復元性にも優れた壁装材表面保護用無延伸積層フィルムが得られる。更に、防汚性を有する熱可塑性樹脂層の表面が山、谷のエンボス形状を有し、エンボスの表面粗さの平均偏差(Ra)が0.4〜1.5μmからなり、且つ、表面の10点の平均粗さ(Rz)が2.5〜15μm、壁装材の無延伸積層フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材との接着強度が0.1〜9.0N/10mmであることを特徴することが好ましい。
【0050】
また、前記無延伸積層フィルムと非ポリ塩化ビニル系基材とを、有機溶剤を用いずに熱圧着法にて積層しエンボス加工することにより、有機溶剤に起因する各種の弊害が解決でき、意匠性に富んだ、優れた壁装材が得られ、また、塩素を含まないため、廃棄時にも、環境に優しい素材を提供するものである。

Claims (1)

  1. 融点が80〜95℃のエチレン系共重合体樹脂を主成分とする接着性樹脂層と接着性樹脂層よりも高融点の、防汚性の熱可塑性樹脂層が積層された少なくとも2層からなり、20%伸張時のモジュラス値が0.5〜7.0N/10mmであり、該熱可塑性樹脂層の表面がエンボス形状を有し、エンボス面の表面粗さの平均偏差(Ra)が0.4〜1.5μm、および表面の10点の平均粗さ(Rz)が2.5〜15μmであり、表面光沢度が60°で16%未満、および75°で20%未満であり、全光線透過(Tt)が90%以上であることを特徴とする壁装材表面保護用無延伸積層フィルム。
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