しかしながら、このような背景技術にあっては、発光源から発せられるレーザ光などをポリゴンミラーによって等角速度で偏向し、感光体ドラムなどの被走査面上における走査速度を一定にするため、fθレンズやfθミラーが用いられているが、fθレンズやfθミラーだけでは被走査面上での走査速度が完全に一定とはならず、像面上での画像倍率が像高によって粗密が生じるという問題があった。
その原因としては、レーザ光がレーザダイオード(以下、LDともいう)から出射されて像面に到達するまでに通るガラス、レンズ、ミラーといった光学素子の形状や取り付け位置が異なっていたり、fθレンズの厚みが像高によって異なってくることによるものと考えられる。このように像高によって画像倍率に粗密が発生すると、形成される画像に影響を与え、特にカラー画像形成装置では色ずれとして感知されることから、画像の劣化が目立つという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ビーム走査型の画像形成装置における像高による画像倍率の補正を容易かつ高精度に行うことにより、低コストで高品質な画像を形成することのできる画像形成装置、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、画像データに応じて点灯制御される発光源と、前記発光源から出力される光ビームを主走査方向に偏向する偏向手段と、偏向走査する光ビームを主走査面上に集光させる走査結像光学系と、主走査面上におけるビームスポットの位置間隔の疎密を補正するビームスポット位置補正手段とを備え、前記ビームスポット位置補正手段は、前記光ビームの発光タイミングとして前記発光源を点灯制御させる画素クロックの遷移タイミングを指示する位相データに基づいて、画素クロックの位相を画素クロックの1周期の1/n単位(n=2以上の整数)で主走査方向の1箇所または複数箇所で可変制御を行うものであり、前記画素クロックを可変制御する割合を主走査中に不均一に分散させる可変制御分散手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記可変制御分散手段は、主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎に、前記画素クロックの可変制御箇所の数を変えることで主走査中に不均一に分散させることを特徴とする。
また、請求項3にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記可変制御分散手段は、主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎に、前記画素クロックの可変制御幅を変えることで主走査中に不均一に分散させることを特徴とする。
また、請求項4にかかる発明は、請求項2または3に記載の画像形成装置において、前記画素クロックの可変制御による不均一な分散とは、画素クロックを可変制御する割合が主走査端部に行くほど多くなるように、画素クロックの変更箇所を不均一に分散させることを特徴とする。
また、請求項5にかかる発明は、請求項2または3に記載の画像形成装置において、前記画素クロックの可変制御による不均一な分散とは、画素クロックを可変制御する割合が画像領域端部に行くほど多くなるように、画素クロックの変更箇所を不均一に分散させることを特徴とする。
また、請求項6にかかる発明は、請求項2または3に記載の画像形成装置において、前記画素クロックの可変制御による不均一な分散とは、主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎に、可変クロックの挿入比率を設定し、領域毎の挿入比率に基づいて可変制御した画素クロックを主走査中に不均一に分散させることを特徴とする。
また、請求項7にかかる発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記可変クロックの挿入比率は、主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎の補正量の平均値を用いて設定することを特徴とする。
また、請求項8にかかる発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記可変クロックの挿入比率は、あらかじめ記憶された固定の比率を用いて設定することを特徴とする。
また、請求項9にかかる発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記可変クロックの挿入比率は、あらかじめ記憶された動作環境に対応した比率を用いて設定することを特徴とする。
また、請求項10にかかる発明は、請求項9に記載の画像形成装置において、前記動作環境とは、画像形成装置の動作時における温度、湿度および動作経過時間の少なくとも1つが含まれていることを特徴とする。
また、請求項11にかかる発明は、画像データに応じて点灯制御される発光源と、前記発光源から出力される光ビームを主走査方向に偏向する偏向手段と、偏向走査する光ビームを主走査面上に集光させる走査結像光学系と、主走査面上におけるビームスポットの位置間隔の疎密を補正するビームスポット位置補正手段とを備え、前記ビームスポット位置補正手段は、前記光ビームの発光タイミングとして前記発光源を点灯制御させる画素クロックの遷移タイミングを指示する位相データに基づいて、画素クロックの位相を主走査方向の複数箇所で可変制御を行い、主走査領域を均等に所定の整数で分割した領域毎に可変クロック挿入比率を設定するものであり、前記発光源と前記偏向手段と前記走査結像光学系とを一体化して着脱可能とした書込光学系カートリッジ内には、前記可変クロック挿入比率の特性情報を記憶する記憶手段が設けられていて、前記記憶手段に記憶された可変クロック挿入比率の特性情報を前記ビームスポット位置補正手段に与えることで、前記書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性を補正することを特徴とする。
また、請求項12にかかる発明は、請求項11に記載の画像形成装置において、前記書込光学系カートリッジの温度を検出する温度検出手段を備え、前記書込光学系カートリッジ内の記憶手段には、温度に応じた可変クロック挿入比率の特性情報が記憶されていて、前記温度検出手段で検出された温度データに基づいて、前記記憶手段に記憶されている温度に対応した可変クロック挿入比率の特性情報を読み出し、前記ビームスポット位置補正手段に与えることで、温度変化に応じて前記書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性を補正することを特徴とする。
また、請求項13にかかる発明は、請求項11に記載の画像形成装置において、前記書込光学系カートリッジの経時変化を検出する経時検出手段を備え、前記書込光学系カートリッジ内の記憶手段には、経時変化に応じた可変クロック挿入比率の特性情報が記憶されていて、前記経時検出手段で検出された経時変化データに基づいて、前記記憶手段に記憶されている経時変化に対応した可変クロック挿入比率の特性情報を読み出し、前記ビームスポット位置補正手段に与えることで、経時変化に応じて前記書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性を補正することを特徴とする。
また、請求項14にかかる発明は、請求項11に記載の画像形成装置において、前記書込光学系カートリッジの湿度を検出する湿度検出手段を備え、前記書込光学系カートリッジ内の記憶手段には、湿度に応じた可変クロック挿入比率の特性情報が記憶されていて、前記湿度検出手段で検出された湿度データに基づいて、前記記憶手段に記憶されている湿度に対応した可変クロック挿入比率の特性情報を読み出し、前記ビームスポット位置補正手段に与えることで、湿度変化に応じて前記書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性を補正することを特徴とする。
また、請求項15にかかる発明は、画像データに応じて発光源を点灯制御する点灯制御ステップと、前記発光源から出力される光ビームを主走査方向に偏向する偏向ステップと、偏向走査する光ビームを走査結像光学系を介して主走査面上に集光させる集光ステップと、主走査面上におけるビームスポットの位置間隔の疎密を補正するビームスポット位置補正ステップとを含み、前記ビームスポット位置補正ステップは、前記光ビームの発光タイミングとして前記発光源を点灯制御させる画素クロックの遷移タイミングを指示する位相データに基づいて、画素クロックの位相を画素クロックの1周期の1/n単位(n=2以上の整数)で主走査方向の1箇所または複数箇所で可変制御を行うものであり、前記画素クロックを可変制御する割合を主走査中に不均一に分散させる可変制御分散ステップをさらに含むことを特徴とする。
また、請求項16にかかる発明は、請求項15に記載の画像形成方法において、前記可変制御分散ステップは、主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎に、前記画素クロックの可変制御箇所の数を変えることで主走査中に不均一に分散させることを特徴とする。
また、請求項17にかかる発明は、請求項15に記載の画像形成方法において、前記可変制御分散ステップは、主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎に、前記画素クロックの可変制御幅を変えることで主走査中に不均一に分散させることを特徴とする。
また、請求項18にかかる発明は、請求項16または17に記載の画像形成方法において、前記画素クロックの可変制御による不均一な分散とは、画素クロックを可変制御する割合が主走査端部に行くほど多くなるように、画素クロックの変更箇所を不均一に分散させることを特徴とする。
また、請求項19にかかる発明は、請求項16または17に記載の画像形成方法において、前記画素クロックの可変制御による不均一な分散とは、画素クロックを可変制御する割合が画像領域端部に行くほど多くなるように、画素クロックの変更箇所を不均一に分散させることを特徴とする。
また、請求項20にかかる発明は、請求項16または17に記載の画像形成方法において、前記画素クロックの可変制御による不均一な分散とは、主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎に、可変クロックの挿入比率を設定し、領域毎の挿入比率に基づいて可変制御した画素クロックを主走査中に不均一に分散させることを特徴とする。
また、請求項21にかかる発明は、請求項20に記載の画像形成方法において、前記可変クロックの挿入比率は、主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎の補正量の平均値を用いて設定することを特徴とする。
また、請求項22にかかる発明は、請求項20に記載の画像形成方法において、前記可変クロックの挿入比率は、あらかじめ記憶された固定の比率を用いて設定することを特徴とする。
また、請求項23にかかる発明は、請求項20に記載の画像形成方法において、前記可変クロックの挿入比率は、あらかじめ記憶された動作環境に対応した比率を用いて設定することを特徴とする。
また、請求項24にかかる発明は、請求項23に記載の画像形成方法において、前記動作環境とは、画像形成装置の動作時における温度、湿度および動作経過時間の少なくとも1つが含まれていることを特徴とする。
また、請求項25にかかる発明は、画像データに応じて発光源を点灯制御する点灯制御ステップと、前記発光源から出力される光ビームを主走査方向に偏向する偏向ステップと、偏向走査する光ビームを走査結像光学系を介して主走査面上に集光させる集光ステップと、主走査面上におけるビームスポットの位置間隔の疎密を補正するビームスポット位置補正ステップとを含み、前記ビームスポット位置補正ステップは、前記光ビームの発光タイミングとして前記発光源を点灯制御させる画素クロックの遷移タイミングを指示する位相データに基づいて、画素クロックの位相を主走査方向の複数箇所で可変制御を行い、主走査領域を均等に所定の整数で分割した領域毎に可変クロック挿入比率を設定するものであり、前記発光源から前記走査結像光学系までを一体化して着脱可能とした書込光学系カートリッジ内に設けられた記憶手段に前記可変クロック挿入比率の特性情報を記憶させる記憶ステップをさらに含み、前記記憶ステップで記憶された可変クロック挿入比率の特性情報を用いて前記ビームスポット位置補正ステップで前記書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性を補正することを特徴とする。
また、請求項26にかかる発明は、請求項25に記載の画像形成方法において、前記書込光学系カートリッジの温度を検出する温度検出ステップを含み、前記書込光学系カートリッジ内の記憶手段には、温度に応じた可変クロック挿入比率の特性情報が記憶されていて、前記温度検出ステップで検出された温度データに基づいて、前記記憶手段に記憶されている温度に対応した可変クロック挿入比率の特性情報を読み出し、前記ビームスポット位置補正ステップにより温度変化に応じた前記書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性を補正することを特徴とする。
また、請求項27にかかる発明は、請求項25に記載の画像形成方法において、前記書込光学系カートリッジの経時変化を検出する経時検出ステップを含み、前記書込光学系カートリッジ内の記憶手段には、経時変化に応じた可変クロック挿入比率の特性情報が記憶されていて、前記経時検出ステップで検出された経時変化データに基づいて、前記記憶手段に記憶されている経時変化に対応した可変クロック挿入比率の特性情報を読み出し、前記ビームスポット位置補正ステップにより経時変化に応じた前記書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性を補正することを特徴とする。
また、請求項28にかかる発明は、請求項25に記載の画像形成方法において、前記書込光学系カートリッジの湿度を検出する湿度検出ステップを含み、前記書込光学系カートリッジ内の記憶手段には、湿度に応じた可変クロック挿入比率の特性情報が記憶されていて、前記湿度検出ステップで検出された湿度データに基づいて、前記記憶手段に記憶されている湿度に対応した可変クロック挿入比率の特性情報を読み出し、前記ビームスポット位置補正ステップにより湿度変化に応じた前記書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性を補正することを特徴とする。
また、請求項29にかかる発明は、請求項15〜28のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
請求項1にかかる発明によれば、画像データに応じて点灯制御した発光源からの光ビームを偏向手段によって主走査方向に偏向させ、走査結像光学系によって主走査面上に集光させるとともに、ビームスポット位置補正手段により主走査面上におけるビームスポットの位置間隔の疎密を補正するようにする。そのビームスポット位置補正手段は、発光源を点灯制御させる画素クロックの遷移タイミングを指示する位相データに基づいて、画素クロックの位相を画素クロックの1周期の1/n単位(n=2以上の整数)で主走査方向の1箇所または複数箇所で可変制御を行うもので、さらに可変制御分散手段によって画素クロックを可変制御する割合を主走査中に不均一に分散させるようにしたものである。このため、像高によって異なる画像倍率の補正が可能となり、高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項2にかかる発明によれば、可変制御分散手段によって主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で各領域に分割し、領域毎の画素クロックの可変制御箇所の数を変えることによって主走査中に不均一に分散させるようにしたため、像高による画像倍率の補正を分割領域の単位で行うことが可能となり、高品質な画像を容易かつ低コストに形成できるという効果を奏する。
また、請求項3にかかる発明によれば、可変制御分散手段によって主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で各領域に分割し、領域毎の画素クロックの可変制御幅を変えることによって主走査中に不均一に分散させるようにしたため、像高による画像倍率の補正を分割領域の単位で行うことが可能となり、高品質な画像を容易かつ低コストに形成できるという効果を奏する。
また、請求項4にかかる発明によれば、画素クロックの可変制御による不均一な分散とは、画素クロックを可変制御する割合が主走査端部に行くほど多くなるようにして、画素クロックの変更箇所を不均一に分散させるようにしたため、一般に走査速度が主走査中央部よりも主走査端部に行くほど遅くなる傾向と合致し、像高によって異なる画像倍率の補正が可能となり、高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項5にかかる発明によれば、画素クロックの可変制御による不均一な分散とは、画素クロックを可変制御する割合が画像領域端部に行くほど多くなるように、画素クロックの変更箇所を不均一に分散させるようにしたため、一般に走査速度が画像領域中央部よりも画像領域端部に行くほど遅くなる傾向と合致し、像高によって異なる画像倍率の補正が可能となり、高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項6にかかる発明によれば、画素クロックの可変制御による不均一な分散とは、主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎に可変クロックの挿入比率を設定し、領域毎の挿入比率に基づいて可変制御した画素クロックを主走査中に不均一に分散させるようにしたため、像高による画像倍率の補正を分割領域の単位で行うことが可能となり、高品質な画像を容易かつ低コストに形成できるという効果を奏する。
また、請求項7にかかる発明によれば、可変クロックの挿入比率は、主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎の補正量の平均値を用いて設定するようにしたため、像高による画像倍率の補正を分割領域の単位で近似的に行えるようになり、高品質な画像を容易かつ低コストに形成できるという効果を奏する。
また、請求項8にかかる発明によれば、可変クロックの挿入比率は、あらかじめ記憶された固定の比率を用いて設定するようにしたため、動作環境が変化しても補正量が殆んど変わらない状況下であれば、高品質な画像を容易かつ低コストで形成できるという効果を奏する。
また、請求項9にかかる発明によれば、可変クロックの挿入比率は、あらかじめ記憶された動作環境に対応した比率を用いて設定するようにしたため、動作環境に応じて可変クロックの挿入比率を変えることが可能となり、常に適正な補正を行うことによって、高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項10にかかる発明によれば、動作環境とは、画像形成装置の動作時における温度、湿度および動作経過時間の少なくとも1つが含まれているため、像高によって画像倍率が変化しやすい要因を用いて可変クロックの挿入比率を変えることにより、常に適正な補正を行うことが可能となり、高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項11にかかる発明によれば、画像データに応じて点灯制御した発光源からの光ビームを偏向手段により主走査方向に偏向させ、走査結像光学系によって主走査面上に集光させるとともに、ビームスポット位置補正手段により主走査面上におけるビームスポットの位置間隔の疎密を補正するようにする。ビームスポット位置補正手段は、発光源を点灯制御させる画素クロックの遷移タイミングを指示する位相データに基づいて、画素クロックの位相を主走査方向の複数箇所で可変制御を行い、主走査領域を均等に所定の整数で分割した領域毎に可変クロック挿入比率を設定するものである。さらに、発光源と偏向手段と走査結像光学系とを一体化して着脱可能とした書込光学系カートリッジ内に可変クロック挿入比率の特性情報を記憶する記憶手段が設けられ、その記憶手段に記憶された可変クロック挿入比率の特性情報をビームスポット位置補正手段に与えて、書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性を補正するようにしたものである。このため、書込光学系カートリッジを交換した場合でも、像高によって異なる主走査方向の画像倍率の補正を容易に行うことが可能となり、高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項12にかかる発明によれば、温度に応じた可変クロック挿入比率の特性情報が書込光学系カートリッジ内の記憶手段に記憶されていて、温度検出手段により書込光学系カートリッジの温度が検出されると、その温度に対応した可変クロック挿入比率の特性情報を記憶手段から読み出してビームスポット位置補正手段に与え、温度変化に応じて書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性に補正するようにする。このため、書込光学系カートリッジごと交換した場合でも、温度特性を考慮した倍率補正が容易かつ的確に実施できるようになり、常に高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項13にかかる発明によれば、経時変化に応じた可変クロック挿入比率の特性情報が書込光学系カートリッジ内の記憶手段に記憶されていて、経時検出手段により書込光学系カートリッジの経時変化が検出されると、その経時変化に対応した可変クロック挿入比率の特性情報を記憶手段から読み出してビームスポット位置補正手段に与え、経時変化に応じて書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性に補正するようにする。このため、書込光学系カートリッジごと交換した場合でも、経時変化特性を考慮した倍率補正が容易かつ的確に実施できるようになり、常に高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項14にかかる発明によれば、湿度に応じた可変クロック挿入比率の特性情報が書込光学系カートリッジ内の記憶手段に記憶されていて、湿度検出手段により書込光学系カートリッジの湿度が検出されると、その湿度に対応した可変クロック挿入比率の特性情報を記憶手段から読み出してビームスポット位置補正手段に与え、湿度に応じた書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性に補正するようにする。このため、書込光学系カートリッジごと交換した場合でも、湿度特性を考慮した倍率補正が容易かつ的確に実施できるようになり、常に高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項15にかかる発明によれば、画像データに応じて発光源を点灯制御し、その発光源から出力される光ビームを主走査方向に偏向させて、偏向走査する光ビームを走査結像光学系を介して主走査面上に集光させ、主走査面上におけるビームスポットの位置間隔の疎密を補正するようにする。このビームスポットの位置補正は、光ビームの発光タイミングとして発光源を点灯制御させる画素クロックの遷移タイミングを指示する位相データに基づいて、画素クロックの位相を画素クロックの1周期の1/n単位(n=2以上の整数)で主走査方向の1箇所または複数箇所で可変制御を行うものであり、さらに画素クロックを可変制御する割合を主走査中に不均一に分散させるようにする。このため、像高によって異なる画像倍率の補正が可能となり、高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項16にかかる発明によれば、可変制御分散ステップにより主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎に、画素クロックの可変制御箇所の数を変えることで主走査中に不均一に分散させるようにしたため、像高による画像倍率の補正を分割領域の単位で行うことが可能となり、高品質な画像を容易かつ低コストに形成できるという効果を奏する。
また、請求項17にかかる発明によれば、可変制御分散ステップにより主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎に、画素クロックの可変制御幅を変えることで主走査中に不均一に分散させるようにしたため、像高による画像倍率の補正を分割領域の単位で行うことが可能となり、高品質な画像を容易かつ低コストに形成できるという効果を奏する。
また、請求項18にかかる発明によれば、画素クロックの可変制御による不均一な分散とは、画素クロックを可変制御する割合が主走査端部に行くほど多くなるように、画素クロックの変更箇所を不均一に分散させるようにしたため、一般に走査速度が主走査中央部よりも主走査端部に行くほど遅くなる傾向と合致し、像高によって異なる画像倍率の補正が可能となり、高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項19にかかる発明によれば、画素クロックの可変制御による不均一な分散とは、画素クロックを可変制御する割合が画像領域端部に行くほど多くなるように、画素クロックの変更箇所を不均一に分散させるようにしたため、一般に走査速度が画像領域中央部よりも画像領域端部に行くほど遅くなる傾向と合致し、像高によって異なる画像倍率の補正が可能となり、高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項20にかかる発明によれば、画素クロックの可変制御による不均一な分散とは、主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎に、可変クロックの挿入比率を設定し、領域毎の挿入比率に基づいて可変制御した画素クロックを主走査中に不均一に分散させるようにしたため、像高による画像倍率の補正を分割領域の単位で行うことが可能となり、高品質な画像を容易かつ低コストに形成できるという効果を奏する。
また、請求項21にかかる発明によれば、可変クロックの挿入比率は、主走査領域および画像領域のいずれか一方を均等に所定の整数で分割した領域毎の補正量の平均値を用いて設定するようにしたため、像高による画像倍率の補正を分割領域の単位で近似的に行えるようになり、高品質な画像を容易かつ低コストに形成できるという効果を奏する。
また、請求項22にかかる発明によれば、可変クロックの挿入比率は、あらかじめ記憶された固定の比率を用いて設定するようにしたため、動作環境が変化しても補正量が殆んど変わらない状況下であれば、高品質な画像を容易かつ低コストで形成できるという効果を奏する。
また、請求項23にかかる発明によれば、可変クロックの挿入比率は、あらかじめ記憶された動作環境に対応した比率を用いて設定するようにしたため、動作環境に応じて可変クロックの挿入比率を変えることが可能となり、常に適正な補正を行うことによって、高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項24にかかる発明によれば、動作環境とは、画像形成装置の動作時における温度、湿度および動作経過時間の少なくとも1つが含まれているため、像高によって画像倍率が変化しやすい要因を用いて可変クロックの挿入比率を変えることにより、常に適正な補正を行うことが可能となり、高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項25にかかる発明によれば、画像データに応じて発光源を点灯制御し、発光源からの光ビームを偏向手段により主走査方向に偏向させ、走査結像光学系によって主走査面上に集光させるとともに、ビームスポット位置補正ステップにより主走査面上におけるビームスポットの位置間隔の疎密を補正するようにする。ビームスポット位置補正ステップは、発光源を点灯制御させる画素クロックの遷移タイミングを指示する位相データに基づいて、画素クロックの位相を主走査方向の複数箇所で可変制御を行い、主走査領域を均等に所定の整数で分割した領域毎に可変クロック挿入比率を設定するものである。さらに、発光源と偏向手段と走査結像光学系とを一体化して着脱可能とした書込光学系カートリッジ内に可変クロック挿入比率の特性情報を記憶する記憶手段を設け、その記憶手段に記憶された可変クロック挿入比率の特性情報を用いてビームスポット位置補正ステップにより、書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性を補正するようにしたものである。このため、書込光学系カートリッジを交換した場合でも、像高によって異なる主走査方向の画像倍率の補正を容易に行うことが可能となり、高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項26にかかる発明によれば、温度に応じた可変クロック挿入比率の特性情報が書込光学系カートリッジ内の記憶手段に記憶されていて、書込光学系カートリッジの温度を検出すると、温度に対応した可変クロック挿入比率の特性情報を記憶手段から読み出して、ビームスポット位置補正ステップにより、温度変化に応じた書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性に補正するようにする。このため、書込光学系カートリッジごと交換した場合でも、温度特性を考慮した倍率補正が容易かつ的確に実施できるようになり、常に高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項27にかかる発明によれば、経時変化に応じた可変クロック挿入比率の特性情報が書込光学系カートリッジ内の記憶手段に記憶されていて、書込光学系カートリッジの経時変化を検出すると、経時変化に対応した可変クロック挿入比率の特性情報を記憶手段から読み出して、ビームスポット位置補正ステップにより、経時変化に応じた書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性に補正するようにする。このため、書込光学系カートリッジごと交換した場合でも、経時変化特性を考慮した倍率補正が容易かつ的確に実施できるようになり、常に高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項28にかかる発明によれば、湿度に応じた可変クロック挿入比率の特性情報が書込光学系カートリッジ内の記憶手段に記憶されていて、書込光学系カートリッジの湿度を検出すると、湿度に対応した可変クロック挿入比率の特性情報を記憶手段から読み出して、ビームスポット位置補正ステップにより、湿度に応じた書込光学系カートリッジに固有の主走査倍率特性に補正するようにする。このため、書込光学系カートリッジごと交換した場合でも、湿度特性を考慮した倍率補正が容易かつ的確に実施できるようになり、常に高品質な画像が形成できるという効果を奏する。
また、請求項29にかかる発明によれば、請求項15〜28のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させることができるという効果を奏する。
以下に、本発明にかかる画像形成装置、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラムの最良な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の画像形成装置としてのカラー複写機の断面構成図であり、図2は、図1中の露光装置周辺の概略構成を説明する斜視図であり、図3は、図2のレーザダイオードから出力される光ビームを偏向走査しながら感光体に画像を書込むまでの光路説明図である。
まず、図1に示すカラー複写機は、複写機本体100、給紙テーブル200、スキャナ300、原稿自動搬送装置(ADF)400から主に構成されている。
この複写機本体100の中央部分には、無端ベルト状の中間転写体10が設けられている。この中間転写体10は、図示例では3つの支持ローラ14,15,16に掛け回されていて、図中の時計回りに回転搬送されるようになっている。そして、3つの支持ローラのうち第2の支持ローラ15の右側には、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が設けられている。
また、3つの支持ローラのうち第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15との間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4つの画像形成部18が横に並べて配置され、これによってタンデム画像形成装置20が構成されている。さらに、このタンデム画像形成装置20の上方には、露光装置21が設けられている。
一方、中間転写体10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備えている。この2次転写装置22は、図1に示すように、2つのローラ23の間に無端ベルトである2次転写ベルト24が掛け渡して構成され、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置され、中間転写体10上の画像をシートに転写するものである。
また、2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着させる定着装置25が設けられている。この定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成されている。
さらに、上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えている。もちろん、2次転写装置22として、非接触のチャージャを配置してもよいが、その場合には、このシート搬送機能を併せて備えることはできない。
なお、図1の例では、2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録するためにシートを反転するシート反転装置28を具備している。
図1のカラー複写機を用いて原稿をコピーする場合は、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じて押さえた状態で不図示のスタートスイッチを押下する。原稿自動搬送装置400に原稿をセットした場合は、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へ移動させ、また、コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合は、直ちにスキャナ300を駆動させ、第1走行体33および第2走行体34を走行させる。
第1走行体33の光源から原稿面に向けて光が発射されると、原稿面からの反射光がさらに第2走行体34のミラーで反射され、結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入力され、原稿内容を読み取る。
また、不図示のスタートスイッチが押下されると、不図示の駆動モータによって支持ローラ14,15,16のいずれか1つを回転駆動し、他の2つの支持ローラを従動回転させて中間転写体10を回転搬送する。これと同時に、個々の画像形成部18の感光体40を回転させ、各感光体40上にそれぞれブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体10を搬送するとともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
本発明の特徴的な構成は、上記読取りセンサ36などで読み取った原稿の画像データと、後述する画素クロック生成回路で生成され補正された画素クロックに基づいて、レーザダイオード駆動部(LD駆動部62)を駆動させ、その点灯制御された光ビームをポリゴンミラーで偏向しながら感光体40の表面を主走査方向に走査することで、感光体表面に静電潜像を形成するものである。
一方、不図示のスタートスイッチが押下されると、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転させて、ペーパーバンク43に多段に備えられた給紙カセット44の1つから所望のシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離しながら給紙路46に送り出し、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導いて、レジストローラ49に突き当てて停止させる。
あるいは、これとは別に給紙ローラ50を回転させて手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離しながら手差し給紙路53に送り出し、同様にレジストローラ49に突き当てて停止させても良い。
そして、中間転写体10上に形成された合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込んで2次転写装置22で転写することにより、シート上にカラー画像が記録される。
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送されて定着装置25に送られ、定着装置25で熱と圧力とが加えられて転写画像を定着した後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出され、排紙トレイ57上にスタックする。あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入ると、そこで反転されて再び転写位置へと導かれ、裏面にも画像が記録された後、排出ローラ56によって排紙トレイ57上に排出される。
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17によって画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去して、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
続いて、図2に示す書込制御部60には、主走査タイミングを検出する同期センサ61からの位相同期信号が入力されると、その位相同期信号などに基づいて走査方向の各画素位置を決める後述の画素クロック生成回路によって画素クロックを生成し、読み取った原稿の画像データと共に、LD駆動部62を駆動させ、LD63を点灯制御する。
LD63から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ64とアパーチャー65を介して整形され、シリンダレンズ66を透過した後、回転偏向させるためのポリゴンミラー67によって入射したレーザ光が偏向走査される。このポリゴンミラー67は、図3に示すように、ポリゴンモータ73によって所定の回転数で回転駆動される。このポリゴンミラー67によって反射されたレーザ光は、fθレンズ68とダブルトロイダルレンズ(WTL)74とを透過して、折り返しミラー69で反射され、さらに防塵ガラス70を透過して記録媒体としての感光体40上に集光される。
この感光体40には、例えば感光体ドラムが用いられ、不図示の回転駆動部によって副走査方向とは逆向きに回転駆動され、不図示の帯電器により一様に帯電された後、レーザ光によって主走査方向に繰り返し走査することによって画像が書き込まれ、静電潜像が形成される。
この感光体ドラム40上に形成された静電潜像は、不図示の現像装置により現像されてトナー像となり、転写装置によって転写紙などの記録材に転写され、定着装置により記録材に定着される。
このように、LD63から出射されるレーザ光は、ポリゴンミラー67により等角速度で偏向され、感光体40の被走査面上での走査速度を一定にするため、ポリゴンミラー67、fθレンズ68、あるいは折り返しミラー69といった光学素子が用いられている。
しかし、上記課題で説明したように、これらの光学素子には形状や取り付け位置にばらつきや不均一性が存在するため、感光体の被走査面上における走査速度が完全に一様とはならず、複数の画像形成部を使って画像を合成するカラー画像の場合には色ずれとして表れてくる。
そこで、以下の図面を用いて本発明の原理を説明するとともに、その課題の解決手段について説明する。図4は、図2および図3における感光体の像高に対する光ビームの走査速度の分布例を示した図であり、図5は、図4の像高に対する走査速度分布に基づいて逆特性となる補正量を求めた線図であり、図6は、位相データに基づいて画素クロックを生成する画素クロック生成回路の一構成例を示したブロック図である。
図4に示すように、感光体40を中心として同期センサ61を含む範囲でレーザ光を偏向走査する際に、感光体40の主走査方向の中央を像高0とすると、その左右方向に有効書込領域が存在することになる。図4の感光体40の幅に対応した線図は、像高0から像高±150までの位置が対応するように横軸が描かれ、縦軸は像高0の時の走査速度を100%とした場合に、各像高位置における走査速度を百分率で表した線図である。この線図からわかるように、レーザ光による主走査の走査速度のばらつきは、感光体40の端部に行くにしたがって歪みが大きくなる傾向にある。もちろん、主走査の走査速度のばらつきは、これに限るものではなく、状況によっては他の傾向を示すこともありうる。
このため、本第1の実施の形態では、図4の走査速度分布の傾向に基づいて、その逆数をとることにより、各像高位置での走査速度の補正量を求めたものが図5の線図である。つまり、像高0を100%として、各像高位置でどの程度走査速度を補正すれば、感光体の被走査面上を常に像高0の位置と同じ走査速度で一様に走査できることがわかる。もちろん、図4の走査速度分布の傾向が変われば、それに応じて図5の補正量の分布も変わってくる。
本第1の実施の形態では、図5に示した補正量分布を使って走査速度を補正する手段の一つとして、図6に示す画素クロック生成回路80を用いている。これは、画像領域における各画素位置は画素クロックにより決定されるため、主走査方向の局所的な走査速度のばらつきを補正するには、主走査中に画素クロック周波数を局所的に変化させることによって実現が可能となるからである。
図6の画素クロック生成回路80は、画素クロックの遷移タイミングを指示する位相データに基づいて画素クロックの周期を変化させる回路であって、高周波クロック生成回路81 、カウンタ82 、比較回路83、および画素クロック制御回路84などにより構成されている。
高周波クロック生成回路81は、生成される画素クロックPCLKの基準となる高周波クロックVCLKを生成するものである。
カウンタ82は、ここでは高周波クロックVCLKの立ち上がりで動作するようにして、その高周波クロックVCKLのカウントを行うものである。このカウンタ82は、後述する比較回路83からリセット信号が入力されると、カウント値がリセットされる。
比較回路83は、カウンタ82からのカウント値、あらかじめ設定された値、および外部から与えられる画素クロックの遷移タイミングとして位相シフト量を指示する位相データとを比較し、その比較結果に基づいて制御信号aと制御信号bとを出力するものである。この位相データは、fθレンズ68の特性によって生ずる走査ムラを補正したり、ポリゴンミラー67の回転ムラによるドット位置ずれを補正したり、レーザ光の色収差によって生ずるドット位置ずれを補正するために画素クロックの位相のシフト量を指示するためのデータであって、数ビットのデジタル値で与えることができる。
画素クロック制御回路84は、比較回路83から入力される制御信号aと制御信号bとに基づいて、生成される画素クロックPCLKの遷移タイミングを制御するものである。
次に、本第1の実施の形態にかかる動作について説明する。まず、図7−1は、図6の画素クロック生成回路の位相データを7にした場合の動作例を説明するタイミングチャートであり、図7−2は、図6の画素クロック生成回路の位相データを8にした場合の動作例を説明するタイミングチャートであり、図7−3は、図6の画素クロック生成回路の位相データを6にした場合の動作例を説明するタイミングチャートであり、図7−4は、図6の画素クロック生成回路の位相データを9にした場合の動作例を説明するタイミングチャートであり、図7−5は、図6の画素クロック生成回路の位相データを5にした場合の動作例を説明するタイミングチャートである。また、図8は、生成する画素クロックの位相を1クロック毎に変化させた場合のタイミングチャートである。
図7−1で生成する画素クロックPCLKは、高周波クロック生成回路81で生成された高周波クロックVCLKの8分周とし、デューティー比を標準的な50%とするもので、図6の画素クロック生成回路80に入力される位相データとして「7」の値が与えられ、比較回路13にはあらかじめ「3」の値が設定されているものとする。
図6のカウンタ82は、高周波クロック生成回路81で生成された高周波クロックVCLKの立ち上がりで動作しながらカウントを行う。比較回路83には、あらかじめ「3」の値が設定されているため、カウンタ82のカウンタ値が「3」になったところで制御信号aが出力される。すると、画素クロック制御回路84は、入力された制御信号aが「H」となったため、図中(1)のクロックタイミングで画素クロックPCLKを「H」から「L」に遷移させる。
続いて、比較回路83では、与えられた位相データとカウンタ値とを比較し、一致したら制御信号bを出力するようにする。図7−1では、カウンタ82のカウンタ値が「7」になったところで、比較回路83が制御信号bを出力する。画素クロック制御回路84は、制御信号bが「H」になっていることから、図中(2)のクロックタイミングで画素クロックPCLKを「L」から「H」に遷移させる。この時、比較回路83は、同時にカウンタ82にリセット信号を送ってリセットし、再び0からカウントさせるようにする。これにより、図7−1に示すように、高周波クロックVCLKの8分周に相当するデューティー比50%の画素クロックPCLKを生成することができる。
まず、この図7−1で生成される画素クロックPCLKを基本とし、位相を変化させることによって、一定領域内での画素密度を変化させることができる。例えば、図7−2では、高周波クロックVCLKの8分周クロックに対して1/8クロックだけ位相を進めた画素クロックPCLKを生成し、図7−3では、高周波クロックVCLKの8分周クロックに対して1/8クロックだけ位相を遅らせた画素クロックPCLKを生成するものである。
そこで、図7−2の場合は、図6の比較回路83に与えられる位相データを「8」にした点が異なっている。すると、カウンタ82が高周波クロックVCLKのカウントを開始し、比較回路83でカウンタ82の値が「3」になったところで制御信号aを出力し、画素クロック制御回路84では制御信号aが「H」になっていることから図中(1)のクロックタイミングで画素クロックPCLKを「H」から「L」に遷移させる。
そして、比較回路83では、カウンタ82の値が与えられた位相データ(ここでは「8」)と一致すると制御信号bを出力する。画素クロック制御回路84では、制御信号bが「H」になったことから図中(2)のクロックタイミングで画素クロックPCLKを「L」から「H」に遷移させる。この時、比較回路13は、同時にカウンタ82にリセット信号を送ってリセットし、再び0からカウントさせる。これにより、図7−2に示すように、高周波クロックVCLKの8分周クロックに対して1/8クロックだけ位相を進ませた画素クロックPCLKを生成することができる。
次に、図7−3の場合は、図6の比較回路83に与えられる位相データを「6」にすると、カウンタ82が高周波クロックVCLK のカウントを開始し、比較回路83でカウンタ82の値が「3」になったところで制御信号aを出力する。画素クロック制御回路84では、制御信号aが「H」になっていることから図中(1)のクロックタイミングで画素クロックPCLKを「H」から「L」に遷移させる。
そして、比較回路83では、カウンタ82の値が与えられた位相データ(ここでは「6」)と一致すると制御信号bを出力する。画素クロック制御回路84では、制御信号bが「H」になっていることから図中(2)のクロックタイミングで画素クロックPCLKを「L」から「H」に遷移させる。この時、比較回路13は、同時にカウンタ82にリセット信号を送ってリセットし、再び0からカウントさせる。これにより、図7−3に示すように、高周波クロックVCLKの8分周クロックに対して1/8クロックだけ位相を遅らせた画素クロックPCLKを生成することができる。
さらに、図7−4および図7−5では、基本となる図7−1の画素クロックPCLKに対して、位相変化をより大きくしたものである。例えば、図7−4では、高周波クロックVCLKの8分周クロックに対して2/8クロックだけ位相を進めた画素クロックPCLKを生成し、図7−4では、高周波クロックVCLKの8分周クロックに対して2/8クロックだけ位相を遅らせた画素クロックPCLKを生成するものである。
図7−4の場合は、図6の比較回路83に与えられる位相データを「9」とし、比較回路83の設定値を「3」のままとすると、比較回路83でカウンタ82の値が「3」になったところで制御信号aを出力して、図中(1)のクロックタイミングで画素クロックPCLKを「H」から「L」に遷移させる。そして、比較回路83でカウンタ82の値が与えられた位相データ(ここでは「9」)と一致すると制御信号bを出力して、図中(2)のクロックタイミングで画素クロックPCLKを「L」から「H」に遷移させる。これにより、図7−4に示すように、図7−1の高周波クロックVCLKの8分周クロックに対して2/8クロックだけ位相を進ませた画素クロックPCLKが生成される。
また、図7−5の場合は、図6の比較回路83に与えられる位相データを「5」とし、比較回路83の設定値を「3」のままとすると、比較回路83でカウンタ82の値が「3」になったところで制御信号aを出力して、図中(1)のクロックタイミングで画素クロックPCLKを「H」から「L」に遷移させる。そして、比較回路83でカウンタ82の値が与えられた位相データ(ここでは「5」)と一致すると制御信号bを出力して、図中(2)のクロックタイミングで画素クロックPCLKを「L」から「H」に遷移させる。これにより、図7−3に示すように、図7−1の高周波クロックVCLKの8分周クロックに対して2/8クロックだけ位相を遅らせた画素クロックPCLKが生成される。
このように、画素クロック生成回路80に入力する位相データを変えるだけで、生成される画素クロックPCLKの位相を自由に進ませたり、遅れさせたりして、画素クロック密度(一定領域内に入る画素数)を変化させることができる。このため、図4に示すように、感光体40の端部に行くにしたがって走査速度が遅くなると、中央部の像高0付近よりも端部側の画素密度が高くなってしまうので、端部近くを走査する画素クロックを生成する場合は位相データの値を高くするか、高い位相データで生成する比率を多くすることにより、感光体40の主走査面上での画素密度が均一になるように補正することができる。
この補正は、感光体40の主走査面上での走査速度が光学系などによって不均一になっていることが原因であるため、その走査速度の不均一の状況に合わせて画素密度を可変制御する割合を主走査中に不均一に分散させることによって行う必要がある。
つまり、図5に示すように、像高に対応する補正量に応じた位相データを図6の画素クロック生成回路80に入力し、これによって生成される画素クロックPCLKを使ってLD駆動部62を駆動し、LD63から発射されるレーザ光を使って偏向走査を行うことにより、走査速度の不均一による画素密度の不均一が補正されて、主走査面上での画素密度を均一化することができる。
なお、図8に示すように、画素位置を補正するための位相データを画素クロックPCLKの立ち上がりに同期させて与えるようにすれば、画素クロックPCLKの位相を1クロック単位で変化させることも可能となる。図8では、「6」の位相データで1クロック作成した後、「8」の位相データを使って、次の1クロックを作成している。
このように、画素クロック生成回路に入力する位相データを変化させるという簡単な構成で、画素クロックPCLKの位相を高周波クロックVCLKのクロック幅単位で±方向に制御することが可能となる、つまり、ビームスポット位置の補正が可能となる。また、画素クロックPCLKの位相は、1クロックごとに変化させることが可能であるため、走査領域中にて一定間隔おきに位相シフトさせるだけでなく、位相シフトポイントを不均一に分散することも可能となる。これにより、図4に示すようなビームスポットの位置ずれの状態に合わせて、位相シフトさせる画素間隔に疎密を持たせることが可能となるため、高精度な光走査が可能となる。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、画素クロック生成回路80に入力される位相データを変えることによって、画素間隔に疎密を持たせるものであるが、本第2の実施の形態では、位相データを変えずに、上記図6の画素クロック生成回路80内における比較回路83の設定値を変えることで画素クロックPCLKのデューティー比を変化させ、補正を行う点に特徴がある。
例えば、図7−1では、比較回路83の設定値を「3」としたため、図中(1)が画素クロックの立下り位置となり、デューティー比50%の画素クロックPCLKを生成している。しかし、比較回路83の設定値を「3」を除く「0」〜「6」までの値に変えることで、1クロックのデューティー比(画素クロックの「H」と「H+L」との比)を変化させ、画素濃度を調整して画素密度の不均一性を補正するものである。
つまり、図4に示すように、感光体40の端部に行くにしたがって走査速度が遅くなると、中央部の像高0付近よりも端部側の画素密度が高くなって、濃度が高くなるため、端部近くを走査する画素クロックを生成する場合は、デューティー比を小さくしたり、逆に像高0付近を走査する画素クロックのデューティー比を大きくするなどして、画素密度の不均一性を補正することが可能となる。
この場合は、比較回路83の設定値を像高に応じて可変にする必要があるため、あらかじめ可変する設定値を比較回路83内部、あるいは外部に記憶させておいて、比較回路83で比較する際に、像高に応じたデューティー比の画素クロックを生成するようにする。
なお、本第2の実施の形態の場合、画素密度の不均一性を生成する画素クロックのデューティー比を変えることで補正を行う比較回路83の設定値についても、画素クロックPCLKの立ち上がりに同期させて変更するようにすれば、画素クロックPCLKのデューティー比を1クロック単位で変化させることも可能になるため、高精度な光走査が可能となる。
(第3の実施の形態)
また、上記第1および第2の実施の形態で説明したように、1クロック毎に位相を変化させたり、デューティー比を変化させたりすることで、高精度な補正が行える反面、1クロックごとの位相データや比較回路の設定値を記憶しておく相当量のメモリが必要となるため、コストアップとなる。
そこで、本第3の実施の形態の特徴は、主走査領域あるいは画像領域を均等に整数分割し、分割領域毎に補正比率を求めて、その分割領域毎の補正比率に応じて画素クロックの補正を行うようにした点にある。
図9は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置の特徴的な構成を説明するブロック図であり、図10は、図9の画像形成装置により主走査領域を均等に分割して分割領域毎の画素クロックの補正比率を設定した例を示す図であり、図11は、図9の画像形成装置により画像領域を均等に分割して分割領域毎に画素クロックの補正比率を設定した例を示す図である。
図9に示す画像形成装置は、上述した画素クロック生成回路80に加えて、入力されるデータ領域設定値に基づいて、主走査領域あるいは画像領域を均等に分割するための設定信号を生成する補正領域設定信号生成回路90と、その補正領域設定信号生成回路90からのデータ領域設定信号に基づいて、画素クロックの位相シフト量を決める位相シフト信号生成回路91と、その位相シフト信号生成回路91で生成された位相データと、同期センサ61から入力される位相同期信号に基づいて、画素クロック生成回路80により画素クロックPCLKを生成するものである。
第3の実施の形態にかかる画像形成装置を図9のように構成したことにより、走査速度特性が連続的に変化するような場合であっても、領域を複数に分割して、領域毎に近似的に画素クロックの可変箇所を主走査中に不均一に分散させるようにしたので、メモリ容量を大幅に低減させることが可能となり、コストダウンを図ることができる。
また、主走査の走査速度のばらつきについては、図4の線図に示したように、感光体40の端部に行くほど歪みが大きくなる傾向にある。そこで、本第3の実施の形態では、図4の走査速度分布に基づいて、図5のような補正量分布を求め、分割領域毎に補正量の平均値を求めることにより、近似的な補正比率を算出することができる。この補正比率は、主走査における補正量の比重が端部に近くなればなるほど大きくなっており(図10参照)、また、画像領域端部に近くなればなるほど大きくなっている(図11参照)ことからもわかるように、理想的な補正が可能となっている。
図10の場合は、画像領域と非画像領域の両方を含む主走査領域の範囲を8分割したもので、両端の補正比率が特に大きくなるように設定されている。また、図11では、画像領域の範囲のみを8分割し、両端の分割領域の補正比率が特に大きくなるように設定されている。
このように、画像形成装置において、画素クロック可変箇所を不均一に分散させる方法としては、主走査端部あるいは画像領域端部に近い領域から優先的に画素クロックの変更箇所を挿入していって、主走査中に不均一に分散させることにより、歪みが相対的に大きくなる主走査端部(あるいは画像領域端部)の補正を優先的に実施することが可能となる。
(第4の実施の形態)
図12は、第4の実施の形態にかかる画像形成装置の特徴的な構成を説明するブロック図である。この図12の画像形成装置の特徴的な構成は、図11の画像形成装置に、入力される主走査方向の主走査速度データに基づいて、走査速度の補正情報を固定値として記憶しておく走査速度データ記憶回路92がさらに付加されている点にある。
この走査速度データ記憶回路92には、図5に示すような主走査方向の走査速度分布を補正するための情報が記憶されている。そして、この補正情報(ここでは、位相シフトデータ)が位相シフト信号生成回路91に入力されると、高周波クロックに基づいて補正情報に応じた位相データが作成される。この位相データは、画素クロック生成回路80に入力されると、主走査中における画素クロック周波数を局所的に変化させる制御を行うことができる。このように、走査速度の補正情報を固定値として走査速度データ記憶回路92記憶させておく構成は、周囲の動作環境が変化しても走査速度の分布特性が殆んど変化しない場合に特に有効であり、十分な補正が可能となる上、低コストな構成で像高による画像倍率を補正することが可能となる
また、補正領域設定信号生成回路90は、画像領域を均等に分割し、各領域の設定信号を走査速度データ記憶回路92や位相シフト信号生成回路91に入力することにより、主走査中における走査速度分布特性の補正を分割領域単位で行うことが可能となり、像高に応じた画像倍率の補正を近似的に行うことができる。
なお、第4の実施の形態では、上記走査速度データ記憶回路92に記憶される走査速度対応した補正情報として、分割領域毎の補正比率を記憶するように構成することも可能である。また、補正情報を比率として記憶することによって、画素クロックの周波数を可変制御する場合に、容易に補正を行うことができる。例えば、画像形成装置の主走査領域あるいは画像領域を均等に所定の整数で分割し、分割領域毎に可変クロック挿入比率を設定することで、像高による画像倍率を容易に補正することが可能となる。
(第5の実施の形態)
図13は、第5の実施の形態にかかる画像形成装置の特徴的な構成を説明するブロック図である。この図13の画像形成装置の特徴的な構成は、図12の画像形成装置の走査速度データ記憶回路92において、動作環境に応じた複数の走査速度の補正情報を固定値としてあらかじめ回路内部のテーブル等に記憶させておき、周囲の動作環境の変化をセンサやカウンタ等を使って検出し、その検出データをテーブルと照合することより、動作環境の変化に応じて走査速度の補正情報が選択できるようにした点にある。
この図13の画像形成装置における走査速度データ記憶回路92は、温度変化、経時変化、湿度変化といった動作環境が変化することによって、走査速度分布特性の変化が大きくなる場合に適しており、上記図12の走査速度データ記憶回路92に記憶されている固定的な補正情報では十分な補正が行えなくなるおそれがある。そこで、これらの動作環境の変化を検出する手段としては、温度データを検出する温度検出部103、処理枚数のカウント値を経時変化データとして検出する枚数カウンタ101、湿度データを検出する湿度検出部102をそれぞれ具備し、それらの検出データは走査速度データ記憶回路92に入力されるように構成されている。
そして、図13に示す走査速度データ記憶回路92には、像高による画像倍率の補正情報が記憶されている。この第5の実施の形態における補正情報は、画素クロック可変箇所の分散を決める可変クロック挿入比率が温度変化、経時変化、あるいは湿度変化にそれぞれ対応した比率として走査速度データ記憶回路92に格納されている。このため、上記した温度検出部103、枚数カウンタ101、湿度検出部102から走査速度データ記憶回路92に対して温度データ、経時変化データ、あるいは湿度データが入力されると、それぞれの動作環境データに対応した可変クロック挿入比率を用いることにより、動作環境の変化に影響されることなく、像高による画像倍率を高精度に補正することが可能となる。
(第6の実施の形態)
また、上記図3に示すように、画像形成装置内においては、発光源(LDユニット71)、ビーム偏向手段(ポリゴンミラー67、ポリゴンモータ73)、および走査結像光学系(fθレンズ68)等を一体化して着脱可能とした書込光学系カートリッジを採用する場合がある。このような書込光学系カートリッジ内には、上述したように像高による倍率粗密の要因が設けられているため、故障や定期的な交換などによってカートリッジが交換されると、カートリッジ固有の補正情報を変更する必要があり、正確に補正を行うことが困難になることがある。
そこで、第6の実施の形態における特徴的な構成は、書込光学系カートリッジ内にカートリッジ固有の補正情報を記憶する記憶手段(走査速度データ記憶回路111)が設けられている点にある。
図14は、第6の実施の形態にかかる画像形成装置の書込光学系カートリッジの構成を説明する図であり、図15は、図14の走査速度データ記憶回路に対して書込光学系カートリッジの動作環境データを与えて動作環境の変化に対応した像高による倍率補正を行う画像形成装置の構成図である。図14において、書込光学系カートリッジ110内の同期センサ61〜ダブルトロイダルレンズ(WTL)74までの書込光学系の各構成部については図3と同様であり、また、書込制御部60は、図2、図9、図12に示すように構成されているため、構成説明を省略する。図14における特徴的な構成は、書込光学系カートリッジ110内に図5に示すようなカートリッジ固有の補正情報(主走査の走査速度分布補正情報)が記憶可能な走査速度データ記憶回路111が設けられている点にある。
次に、図14の動作について説明する。書込制御部60は、走査速度データ記憶回路111からカートリッジ固有の主走査の走査速度分布補正情報が入力されると、図9あるいは図12に示した位相シフト信号生成回路91によって、高周波クロックを元に補正情報に応じた位相データを作成し、この位相データを画素クロック生成部80に入力することにより、主走査中における画素クロック周波数を局所的に変化させる制御を行うことが可能となる。
この走査速度データ記憶回路111は、書込光学系カートリッジ110毎に備えているため、カートリッジ固有の補正情報を記憶することが可能となり、カートリッジを交換したとしても像高によるビームスポットの位置ずれを容易かつ適正に補正することができる。特に、周囲の動作環境があまり変化しないか、動作環境が変化しても主走査の走査速度分布特性があまり変化しない画像形成装置についは、図14の構成で十分に補正を行うことができる。
しかし、温度、湿度、あるいは経時変化といった周囲の動作環境が変化することによって、主走査の走査速度分布特性が大きく変化する画像形成装置については、図14に示すように、一定の補正情報しか記憶していない走査速度データ記憶回路111では十分な補正を行うことができない。そこで、図15に示すように、図14の構成に、さらに温度検出手段としての温度検出部103、経時変化を検出する経時検出手段としての枚数カウンタ101、および湿度検出手段としての湿度検出部102を付加すると共に、書込光学系カートリッジ110内の走査速度データ記憶回路111には、温度変化、経時変化、あるいは湿度変化などにそれぞれ対応した補正情報が記憶されている。
すなわち、温度検出部103からの温度データ、枚数カウンタ101からの経時変化データ、あるいは湿度検出部102からの湿度データが走査速度データ記憶回路111に入力されると、その入力されたデータに対応した補正情報が選択され、書込制御部60に出力される。ここでは、走査速度データ記憶回路111は、補正情報を温度や湿度や経過時間等に対応させたルックアップテーブル形式で記憶するように構成したが、必ずしもこれに限定されない。例えば、温度や湿度や経過時間に対する補正量に一定の相関がある場合は、導出式のみを記憶しておき、データが入力される度にデータに応じた導出式を用いて補正量を算出するようにしても勿論良い。
書込制御部60に入力された動作環境に対応する補正情報は、上記図13に示すように、位相シフトデータとして位相シフト信号生成回路91に入力され、高周波クロックに基づいて補正情報に応じた位相データが作成される。この位相データは、画素クロック生成回路80に入力されると、主走査中における画素クロック周波数を局所的に変化させる制御を行うことが可能となる。
また、図13に示す補正領域設定信号生成回路90は、画像領域を均等に分割し、各領域の設定信号を走査速度データ記憶回路92や位相シフト信号生成回路91に入力することにより、主走査中における走査速度分布特性の補正を分割領域単位で行うことが可能となり、像高に応じた画像倍率の補正を近似的に行うことができる。
このように、第6の実施の形態によれば、書込光学系カートリッジ110内に当該カートリッジに固有の補正情報を記憶する走査速度データ記憶回路111が設けられているため、故障や定期的な交換などでカートリッジを交換したとしても、交換したカートリッジ内の走査速度データ記憶回路111から固有の補正情報を読み出すだけで、カートリッジに応じた像高による画像倍率の補正を正確かつ容易に行うことが可能となる(図14の例)。
また、第6の実施の形態によれば、書込光学系カートリッジ110の動作環境が変化すると走査速度の分布特性も変化するような場合でも、カートリッジの温度変化、経時変化、湿度変化等を温度検出部103、枚数カウンタ101、湿度検出部102などを使って検出し、これらの検出データに対応した補正情報を書込光学系カートリッジ110内の走査速度データ記憶回路111から取り出して書込制御部60に入力するようにする。これにより、動作環境が変化する環境下で書込光学系カートリッジの交換を行うことがあっても、像高による画像倍率を高精度に補正することが可能となる(図15の例)。
なお、上記図15では、温度検出部103、枚数カウンタ101、湿度検出部102を
書込光学系カートリッジ110の外に配置するように描いたが、これらをカートリッジ内部に備える構成としても勿論良い。これにより、ビームスポット位置のばらつきに大きく起因するレンズ等の光学素子の近傍に温度検出部103等が配置可能となるため、より高精度の画像倍率補正が可能となる。
なお、上記各実施の形態にかかる画像形成装置で実行されるプログラムは、不図示のROM等に予め組み込まれて提供される。
また、上記各実施の形態にかかる画像形成装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式、または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、上記各実施の形態にかかる画像形成装置で実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。
また、上記各実施の形態にかかる画像形成装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
このような、上記実施の形態の画像形成装置で実行されるプログラムは、上述した各構成部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、図示省略したCPU(プロセッサ)がROMなどに格納されているプログラムを読み出して実行することにより、上記各部を主記憶装置上にロードすることで、それぞれの構成部が主記憶装置上に生成されるようになっている。