JP2006081967A - 粉体の混合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 平均粒子径の異なる複数種類の粉体同士の間に液体状の結合剤を均一に付着させる。
【解決手段】 パーライト(第1の無機質粉体)1と、このパーライトの平均粒子径より小さい平均粒子径を有するPS灰(第2の無機質粉体)7とを混合するに当り、パーライト1とPS灰7とを結合するフェノール結合剤(液体状の結合剤)3を添加する粉体の混合方法であって、パーライト1にフェノール結合剤3を添加し混合した後、このフェノール結合剤3が付着したパーライト1とPS灰7とを混合する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の粉体に液体状の結合剤を添加して混合する粉体の混合方法に関する。
従来、無機質粉体または無機質発泡体に、粉末状の結合剤を添加した混合物を利用して無機質建築板を製造する方法が知られている(特許文献1)。無機質粉体または無機質発泡体に、粉末状の結合剤を添加することにより均一に混合した混合物を得ることは、製造工程上の管理を厳密に行う必要がある。何故なら粉末状の結合剤が無機質粉体または無機質発泡体に対して均一に混合しない場合には、その後の工程によって製造された無機質成形板は、同一板内の場所による機械的強度のばらつきあるいは板間の機械的強度のばらつきを発生するからである。
特許第2825696号公報
ところで、無機質粉体に結合剤を均一に添加する方法として、粉末状の結合剤よりも液体状の結合剤を添加する方が一層容易にできると考えられる。しかしながら、上記のような無機質粉体または無機質発泡体が粒径の大きい粒子と小さい粒子から形成されている場合、小さい粒子は液体状の結合剤の液滴の周りに凝集し易く、液体状の結合剤を全体粒子に渡ってそれらの表面に均一に付着させることは困難である。
本発明の課題は、平均粒子径の異なる複数種類の粉体同士の間に液体状の結合剤を均一に付着させることである。
上記課題を解決するため本発明は、第1の無機質粉体と、該第1の無機質粉体の平均粒子径より小さい平均粒子径を有する第2の無機質粉体とを混合するに当り、前記第1の無機質粉体と前記第2の無機質粉体とを結合する液体状の結合剤を添加する粉体の混合方法であって、前記第1の無機質粉体に前記結合剤を添加し混合した後、該結合剤が付着した第1の無機質粉体と前記第2の無機質粉体とを混合することを特徴とする。
このようにすることにより、液体状の結合剤は、先ず第1の無機質粉体に添加し混合される。同一体積量の第1の無機質粉体と第2の無機質粉体とを比較したときに、第1の無機質粉体の全粒子の個数は、第2の無機質粉体の全粒子の個数よりはるかに少ない。したがって、第1の無機質粉体の全粒子の表面積合計は第2の無機質粉体の全粒子の表面積合計よりも小さい。
第1の無機質粉体の全粒子の表面積合計が第2の無機質粉体の全粒子の表面積合計よりも小さいので、第1の無機質粉体の全粒子表面を覆うのに必要な液体状の結合剤の量は、第2の無機質粉体の全粒子表面を覆うのに必要な液体状の結合剤の量よりも少なくすることができる。よって、第1の無機質粉体に添加する液体状の結合剤は、少ない量でも第1の無機質粉体の略全粒子表面を均一に覆うことができる。
次に、液体状の結合剤を介して互いに付着した第1の無機質粉体に、これより平均粒子径が小さい第2の無機質粉体を混合すると、第2の無機質粉体は、結合剤の付着した第1の無機質粉体粒子の周りの表面に結合剤を介して付着し、第2の無機質粉体粒子の凝集を防ぐことができる。第1の無機質粉体と第2の無機質粉体とを含む混合物全体としては、各成分粒子が互いに均一な分布をもって混合する。
次に本発明を構成する各要件についてさらに詳しく説明する。本発明の粉体の混合方法は、平均粒子径の大きい第1の無機質粉体に、この第1の無機質粉体の平均粒子径より小さい平均粒子径を有する第2の無機質粉体を混合する場合に適用される。この場合、第2の無機質粉体は、無機質粉体以外に木粉などの有機質粉体を含んでも良い。したがって、第1の無機質粉体に混合する「第2の無機質粉体」の代わりに「第2の無機質粉体または/および有機質粉体」と置き換えることもできる。
第1の無機質粉体は、パーライト、シラス発泡体、シリカフラワー、ガラス発泡体などの無機系発泡体の他に炭酸カルシウム、珪砂、シリカ、スラグ、アルミナなどの無機質粉体でも良い。第1の無機質粉体の平均粒子径は、凡そ150〜590μmの範囲に入る大きさとする。
第2の無機質粉体は、第1の無機質粉体の平均粒子径より小さい平均粒子径を有するペーパースラッジ焼却灰(以下「PS灰」と記す。)、スラグ、フライアッシュ、炭化カルシウム、アルミナなどである。第2の無機質粉体の平均粒子径は、凡そ50〜80μmの範囲に入る大きさとする。
また、第1の無機質粉体の平均粒子径は、第2の無機質粉体の平均粒子径よりも大きいものとするが、この程度は2倍以上とし、好ましくは6倍前後とすると良い。第1の無機質粉体の平均粒子径が第2の無機質粉体の平均粒子径よりも2倍未満の場合は、両無機質粉体の間の平均粒子径の大きさの差が小さく、第1の無機質粉体に液体状の結合剤を先に入れる必要性が薄れる。
有機質粉体は、第1の無機質粉体の平均粒子径より小さい平均粒子径を有する木粉、合成樹脂粉体などである。木粉は、アスペクト比10未満のものとし、その繊維の平均長さは、第2の無機質粉体と同じく、50〜80μmの範囲に入る大きさとする。
木粉の形成は、一般的木材加工の過程で発生するものを粒度的に選別して使用すると良い。また、MDF(ミディアムデンシティファイバーボード)の熱圧後の無機質成形板表層部の比重の小さい部分をサンダーなどにより削ることにより発生する木粉を使用しても良い。この場合の木粉は、一般的には木質繊維であるが、第1の無機質粉体と均一に混合し易いものであれば差し支えない。
結合剤としては、フェノール系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂などの液体状の熱硬化性結合剤を使用する。添加する結合剤の量は、第1の無機質粉体の全粒子の表面に均一に付着する量が好ましい。この量としては、Vol%で凡そ第1の無機質粉体の1/50以上とすると良い。結合剤の添加量が1/50未満では結合剤の添加量が少なく、第1の無機質粉体の全粒子に付着せず、結合剤が不足する。
本発明によれば、平均粒子径の異なる複数種類の粉体同士の間に液体状の結合剤を均一に分布させることができ、この混合物から形成される無機質成形板は、それ自体の強度のばらつき、複数の無機質成形板間の強度のばらつきが小さい。
以下、本発明に係る粉体の混合方法の実施例を図面に基いて説明する。なお、図1、2において、同一または同等部分には同じ符号を付けて示す。
図1は、本発明に係る粉体の混合方法の第1実施例を説明する系統図である。第1実施例の粉体の混合方法は、回分(バッチ)式混合装置11を利用する。
回分式混合装置11は、複数種類の粉体(原料)が供給される混合槽12と、この混合槽12の縦中心軸から外れた(偏芯した)位置に設けられる撹拌機16と、混合槽12に原料を供給する複数本の枝管22〜24の付いた原料供給管21とを備える。混合槽12は、その下部に車輪13を有し、架台15上を、たとえば反時計方向に回転、走行可能なように形成される。さらに、混合槽12は、その下部に、回転伝達機構、たとえばウォーム・ギヤー14を有し、図示していない駆動源により混合槽12自体を回転させる。
撹拌機16は、混合槽12の縦中心軸から偏芯した位置に設けられ、粉体を撹拌する羽根18と、この羽根18に固定されたシャフト17と、シャフト17を回転駆動する電動機、減速機からなる駆動装置19とを有する。撹拌機の羽根18は、たとえば混合槽12自体の回転方向と反対方向に回転し、図示のように時計方向に回転する。撹拌機16により粉体は主として上下方向に移動し撹拌されるとともに、混合槽12自体の回転により主として円周方向に移動し撹拌される。上下方向の撹拌と円周方向の撹拌により複数種類の粉体は均一に混合する。
上記のような構造の回分式混合装置11において、第1の無機質粉体としてパーライト1を使用し、第2の無機質粉体としてPS灰7を使用した場合のフェノール結合剤3を添加する方法について説明する。先ず、パーライト1は第1の枝管22から混合槽12に供給される。
次に、液体状の結合剤であるフェノール結合剤3が第2の枝管23から供給される。こうして混合槽12内に供給されたパーライト1とフェノール結合剤3は、混合槽12自体の回転によって円周方向に移動するとともに撹拌が行われる。さらに、パーライト1とフェノール結合剤3は、撹拌機16により主として上下方向に移動し撹拌される。
次に、PS灰7が第3の枝管24から混合槽12内に供給される。そして、先に記したと同様に、混合槽12自体の回転および撹拌機の羽根18の回転により、パーライト1とPS灰7とは撹拌され均一に混合される。
ここで、パーライト1の平均粒子径は、たとえば390μmで比較的大きく、PS灰7の平均粒子径は65μmで比較的小さい。これからパーライト1の平均粒子径はPS灰7の平均粒子径の6倍程度である。同一体積量で比較するとパーライト1の全粒子個数は、PS灰のそれより216分の1程度ではるかに少なく、パーライト1の全粒子の表面積合計はPS灰の6分の1程度である。
このようにパーライト1の全粒子の表面積合計は小さいので、添加したフェノール結合剤3はパーライト1の粒子表面に付着し均一に覆う。また、パーライト1の全粒子の表面を覆う結合剤の量は、PS灰7の全粒子の表面を覆う結合剤の量の6分の1程度で済む。
また、パーライト1の平均粒子径は、PS灰7の平均粒子径より6倍程度であるので、パーライト1の粒子表面にフェノール結合剤3を介してPS灰7の粒子が比較的均一に多数付着し、PS灰7の偏った凝集が防止される。したがって、パーライトの粒子とPS灰の粒子とが均一に混合する。
こうしてパーライト1およびPS灰7にフェノール結合剤3が粉体全体に渡って均一に付着した混合物9が得られる。この混合物9を熱圧して得られる無機質成形板の剥離強度は、フェノール結合剤3をPS灰7に先に添加した混合物またはパーライト1とPS灰7とを混合したものにフェノール結合剤3を添加した混合物を熱圧成形して得られる無機質成形板に比べ、10〜20%程度の機械的強度の向上が確認された。また、同一無機質成形板内の場所による機械的強度のばらつきも小さくすることができた。
上記回分式混合装置11において、混合槽12自体の回転速度や時間あるいは撹拌機の羽根18の回転速度や時間は、パーライト1の粒子が極力破壊せず、かつパーライト1とPS灰7が均一に混合し、フェノール結合剤3が均一に付着する値とする。なお、上記パーライト1とPS灰7の混合物にフェノール結合剤3を添加する方法において、混合物の成分としてパーライト1の平均粒子径より小さい繊維の木粉を加えても良い。この場合、パーライト1にフェノール結合剤3を先に添加し、これにPS灰7と木粉を加えるようにすることはもちろんである。
図2は、本発明に係る粉体の混合方法の第2実施例を説明する系統図である。第2実施例の粉体の混合方法は、連続式混合装置26を利用し、多量に所要の混合物を得る場合に好適である。
第2実施例の粉体の混合方法は、次のようである。先ずパーライトタンク27に保持されたパーライト1は、パーライトタンク27の下に設けられたダンパー28の開度による混合すべき成分割合に応じて所定の割合で排出される。パーライトタンク27から排出されたパーライト1はスクリューコンベヤー29により順次搬送され、パーライト1とフェノール結合剤3の混合機34の供給口35から混合機34に供給される。混合機34は、ロータリー式で供給口35からその排出口36に向かって傾斜しており、混合機の供給口35から供給されたパーライト1は、混合機34本体の回転とともに順次排出口36側に移動する。
一方、結合剤タンク31に保持されたフェノール結合剤3は、結合剤タンク31の下に設けられるバルブ32の開度による添加すべき成分割合に応じて所定の割合で排出される。結合剤タンク31から排出されたフェノール結合剤3は、混合機34の供給口35から、噴霧、液滴などの形態でパーライト1に添加される。パーライト1が混合機の供給口35から排出口36に向かって移動する間に、フェノール結合剤3はパーライト1の略全粒子表面に均一に付着する。
混合機34の排出口36から排出されたフェノール結合剤3の付着したパーライト5は、パーライト・PS灰供給用ホッパー41に投入される。この際、PSタンク38に保持されたPS灰7は、PSタンク38の下部に設けられたダンパー39からその開度による混合すべき成分割合に応じて所定の割合で排出される。
パーライト・PS灰供給用ホッパー41に投入されたパーライト5とPS灰7の混合物9は、スクリューコンベヤー42により順次搬送され、パーライトとPS灰の混合機44の供給口45から混合機44に供給される。混合機44は、混合機34と同じく、ロータリー式で供給口45から排出口46に向かって傾斜している。混合機の供給口45から供給されたパーライトとPS灰の混合物9は、混合機本体の回転とともに順次排出口46側に移動するとともにフェノール結合剤3が均一に付着した混合物10となって、排出口46から排出され、貯蔵タンク48に貯蔵される。
実施例2の粉体の混合方法は、連続式混合装置26を利用するので、多量の混合物10を効率的に得るのに適する。なお、図2におけるパーライト1、PS灰7およびフェノール結合剤3や連続式混合装置26のその他の構造と作用は、図1に示した回分式混合装置11の場合と同じであるので、その説明を省略する。
以上この発明を図示の実施例について詳しく説明したが、それを以ってこの発明をそれらの実施例のみに限定するものではない。要するに、この発明の精神を逸脱せずして種々改変を加えて多種多様の変形をなし得ることは云うまでもない。
本発明の粉体の混合方法は、平均粒子径の大きい第1の無機質粉体と、この第1の無機質粉体の平均粒子径より小さい平均粒子径を有する第2の無機質粉体とに液体状の結合剤を添加し混合する場合に適用可能である。
本発明に係る粉体の混合方法の第1実施例を説明する系統図である。 本発明に係る粉体の混合方法の第2実施例を説明する系統図である。
符号の説明
1 パーライト(第1の無機質粉体)
3 フェノール結合剤(結合剤)
5 結合剤の付着したパーライト
7 PS灰(第2の無機質粉体)
9 パーライトとPS灰の混合物
11 回分式混合装置
12 混合槽
16 撹拌機
21 供給管
26 連続式混合装置
27 パーライトタンク
31 結合剤タンク
34 パーライト混合機
38 PS灰タンク
44 パーライトとPS灰の混合機
48 貯蔵タンク

Claims (1)

  1. 第1の無機質粉体と、該第1の無機質粉体の平均粒子径より小さい平均粒子径を有する第2の無機質粉体とを混合するに当り、前記第1の無機質粉体と前記第2の無機質粉体とを結合する液体状の結合剤を添加する粉体の混合方法であって、前記第1の無機質粉体に前記結合剤を添加し混合した後、該結合剤が付着した第1の無機質粉体と前記第2の無機質粉体とを混合することを特徴とする粉体の混合方法。
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