JP2006081420A - 高糖度ゲル組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】グミゼリーやチューイングキャンデーなどの、高糖度であり水分含量が少ないゲル組成物に関して、噛み応えのある充分な弾力性も有し、更には、噛んだ時に歯にくっつかない(歯付きの改善された)ゲル組成物を提供する。
【解決手段】糖度70〜90%のゲル組成物に、ゲル化剤としてキサンタンガム及びローカストビーンガムを併用する。好ましくは、キサンタンガムを、アセチル基含量が1%以下のものを使用する。更に、プルランを併用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、グミゼリーやチューイングキャンデーなどの、高糖度であり水分含量が少ないゲル組成物に関する。詳細には、高糖度のゲル組成物でありながら、噛み応えのある充分な弾力性も有し、更には、噛んだ時に歯にくっつかない(歯付きの改善された)ゲル組成物に関する。
従来から、グミゼリー、グミキャンディー、チューイングキャンデーなどの水分含量が少なく高糖度のゼリー菓子について、種々検討がなされている。例えば、グミキャンディーにおいては、上市されているのはほとんどがゼラチンを用いた製品である。しかし、ゼラチンを用いたグミキャンディーは、温度変化に弱く、夏場の車中といった40℃以上の高温条件下において、グミキャンディーが手にべとついたり、また、保型性が欠けたり、粘弾性が劣るという問題点があった。更に、ゼラチンを用いたグミキャンディーは、製造時、スターチモールドなどの型に充填後、ゲルが出来上がる(ゲルがセットする)までに、1〜3日という長時間の工程を要するという問題点があった。
また、高糖度のゼリー菓子を調製する際、糖度が高いために、ゲル化剤のゲル化力が発揮されず、しっかりとしたゲルが形成しないことがあったり、また、フルーツ味などの酸性条件で調製した場合にもゲルが弱ったりする傾向があり、例えば、寒天を使用した場合には、糖度50〜75%程度まではしっかりとしたゲルを形成するが、糖度76%以上になり水分含量が少なくなるにつれて、ゲルが弱くなったり、また、弾力性がなくなり、噛み応えが無くなるなどの問題点があった。
これを解決する方法として、高糖度のゼリー菓子のゲル化にハイメトキシルペクチン(HMペクチン)を使用する方法がある。HMペクチンのみを使用した場合、例えば、糖度60〜86%といった高糖度で、しかもpH3.5程度の低いpH域であってもしっかりしたゲルを形成するが、得られたゲル組成物は歯付きが悪かったり、また、弾力性がなくなるなどの問題点があった。
また、ナトリウム型カラギナンをゼリー化剤として用いた、水分活性0.8以下で、かつ糖度が70°以上であることを特徴とするゼリー菓子(特許文献1)、サイリウムシードガムをゼリー化剤とするグミ状ゼリー(特許文献2)があるが、これらも、ゲルの弾力性の点で改善の余地があり、また、できたグミゼリーやゼリー菓子が歯にくっつきやすくなるなどの問題点もあった。
特開2001−252027号公報 特開2001−178381号公報
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、高糖度であってもしっかりとしたゲルを形成し、そのゲルが噛み応えがよい適度な弾力性を有し、更には、歯付きを有意に改善することができる、グミゼリーなどの高糖度のゲル組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、ゲル化剤としてキサンタンガム及びローカストビーンガムを併用して使用することにより、糖度70〜90%の高糖度のゲル組成物を調製しても、しっかりとしたゲルを形成し、噛み応えがよい適度な弾力性を有することを見いだした。更には、キサンタンガムをアセチル基含量が1%以下のものを使用することにより、更にゲル組成物の強度が上がり、より高い弾力性を付与できることを見いだした。また、プルランを併用することにより、ゲル組成物の歯付きを有意に改善し、またペクチンを併用することにより、更にゲル強度が上がり、しっかりとしたゲルとするのに補助的に作用することを見いだした。
すなわち本発明は以下の態様を有するものである;
項1.キサンタンガム及びローカストビーンガムを併用し、糖度70〜90%であることを特徴とするゲル組成物。
項2.キサンタンガムを、アセチル基含量が1%以下のものを使用する項1に記載のゲル組成物。
項3.更に、プルランを併用する、項1又は2に記載のゲル組成物。
項4.更に、ペクチンを併用する、項1乃至3のいずれかに記載のゲル組成物。
本発明により、高糖度にしてもしっかりとしたゲルを形成し、しかも、噛み応えがよい適度な弾力性を有し、更には、歯付きを有意に改善することができる、グミゼリーなどの高糖度のゲル組成物を提供できるようになった。
本発明のゲル組成物は、ゲル化剤として、キサンタンガム及びローカストビーンガムを併用し、糖度70〜90%であることを特徴とする。本発明のゲル組成物は、糖度が、70〜90%、好ましくは、75〜86%であり、水分含量が10〜30%と少ない、ゼリー状或いは餅状の粘弾性が付与されたゲル組成物である。具体的には、グミゼリー、グミキャンディー、ゼリービーンズ等のグミ食品をはじめとする洋菓子、もち類、だんご等の和菓子等が該当するが、特にグミ食品や、キャンディーのセンターとして好適に用いられる。また、本発明のゲル組成物は、酸性から弱アルカリ性の幅広い食品に適応することが出来るため、リンゴ、ブドウ、オレンジ、レモン、梅などといった酸性域にも、コーヒー、紅茶、緑茶、抹茶、ウーロン茶、ココア味などといった中性域の製品にも調製可能である。
本発明で使用するキサンタンガムは、微生物Xanthomonas campestrisが産生する発酵多糖類であり、β-1,4-D-グルカンの主鎖骨格に、D-マンノース、D-グルクロン酸、D-マンノースからなる側鎖が結合したアニオン性の多糖類である。主鎖に結合したD-マンノースのC6位はアセチル化され、末端のD-マンノースはピルビン酸とアセタールで結合している。キサンタンガムの商業的に入手可能な製品として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンエース[商標](標準品)、サンエース[商標]S(微粒品)、サンエース[商標]E−S(顆粒品)、サンエース[商標]C(透明品)などを挙げることができる。
本発明は中でも、アセチル基含量が1%以下のキサンタンガムを使用するのが好ましい。このキサンタンガムを使用することにより、酸性領域を含む広いpH域で、高い粘度を安定に保持することができ、同一添加量において、アセチル基含量が2〜6%程度の既存のキサンタンガムより高い粘度を示すものである。また、本発明で使用するアセチル基含量が1%以下のキサンタンガムは、このように、既存のキサンタンガムよりも粘性や反応性において異なる性質を有することを利用するものである。このようなキサンタンガムは商業的に入手することができ、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンエース[商標]NXG、サンエース[商標]NXG−S等を挙げることができる。
キサンタンガムの本発明のゲル組成物に対する添加量として、ゲル組成物に対して、 0.01〜1.0重量%、好ましくは、0.1〜0.8重量%、更に好ましくは、0.2〜0.5重量%を挙げることができる。
ローカストビーンガムは、乾燥した気温の高い地中海沿岸にのみ生育する常緑樹であるカロブ樹の種子の胚乳部分を精製して粉末化して製造される多糖類であり、 主成分はガラクトマンナンで、分子量は約31万である。ローカストビーンガムも、商業的に入手することができ、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のローカストビーンガムF(精製タイプ)やビストップ[商標]D−30(未精製タイプ)等を挙げることができる。ローカストビーンガムの添加量として、本発明のゲル組成物に対して、0.01〜1.0重量%、好ましくは、0.1〜0.8重量%、更に好ましくは0.2〜0.5重量%を例示することができる。
なお、キサンタンガムとローカストビーンガムの配合割合としては、重量比で、キサンタンガム:ローカストビーンガム=5:1〜1:5の割合、更に好ましくは、3:1〜1:1で使用するのが好ましい。
本発明のゲル組成物は、ゲル化剤として、キサンタンガム及びローカストビーンガムに加えて、プルランを併用することにより、出来上がったゼリー製品を食した時の、歯へのくっつき(歯付き)を有意に防止することができる。プルランはデンプンを原料とし、黒酵母の一種であるAureobasidium pullulansを培養して得られた、マルトトリオースが規則正しくα-1,6結合した多糖類である。プルランも、商業的に入手することができ、例えば、株式会社林原製のプルランPF−20(微粉)を挙げることができる。プルランの本発明のゲル組成物に対する添加量として、ゲル組成物に対して、0.1〜20重量%、好ましくは、0.3〜10重量%、更に好ましくは、0.5〜3重量%を挙げることができる。
また、キサンタンガムとローカストビーンガムの混合物とプルランの配合割合としては、キサンタンガム+ローカストビーンガム:プルラン=1:30〜1:1の割合で使用するのが好ましい。
更に、本発明では、前記ゲル化剤に加えて、ペクチンを併用することにより、ゲル強度が上がり、しっかりとした高糖度のゲルを作るのに補助的に作用する。ペクチンは、野菜や果物に細胞壁成分として存在する、α-D-ガラクツロン酸を主鎖成分とする酸性多糖類である。ペクチンは食品工業の分野で、ゼリー、菓子、およびジャムの基盤素材、あるいは酸性乳飲料の安定剤として広く使用されている。ペクチンを構成するガラクツロン酸は部分的にメチルエステル化されており、エステル化度によってローメトキシルペクチンとハイメトキシルペクチンに分けられる。また、ローメトキシルペクチンにはC6位が部分的にアミド化されたアミドペクチンもある。本発明では、エステル化度が55以上、好ましくは60以上、更に好ましくは65以上のハイメトキシルペクチンを使用する。かかるハイメトキシルペクチンは商業的に入手可能であり、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のSM−666や、DANISCO社製グリーンステッドペクチンXSS100などを挙げることができる。
ペクチンの添加量としては、キサンタンガム、ローカストビーンガム及び必要に応じてプルランの混合物の配合割合として、キサンタンガム+ローカストビーンガム+(プルラン):ペクチン=40:1〜1:1の割合で使用するのが好ましい。また、ペクチンの添加量として、本発明のゲル組成物に対しては、0.01〜0.8重量%、好ましくは、0.03〜0.5重量%を例示することができる。
本発明では、糖度を70〜90%に調整するが、糖度は、糖類の添加量を調整することにより行う。使用する糖類としては、食品に使用可能な糖類で有れば特に制限はないが、ショ糖、果糖ブドウ糖液糖、水あめ、還元水あめ、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、パラチニット等の糖アルコール、トレハロース等が好ましく使用される。
本発明に係るゲル組成物の製造方法であるが、キサンタンガム、ローカストビーンガム、及び必要に応じてプルランを含むゲル化剤と糖類を含む食品原料を混合して水に溶解する工程、該溶液を加熱し煮詰める工程、煮詰めた溶液を型に充填する工程により、成型されたゲル組成物を製造することができる。なお、成型されたゲル組成物を乾燥してもよい。乾燥工程としては15〜70℃、30分〜24時間の条件を例示することができる。
更に、本発明のゲル組成物は、前述以外にも本発明の効果に悪影響を与えない限りにおいて、他に任意の成分を配合することもできる。他の食品添加物、例えば、キサンタンガム、ローカストビーンガム、プルラン、ペクチン以外の増粘・ゲル化剤、例えば、カラギナン、カシアガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ゼラチン、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガム、マクロホモプシスガム、寒天、ラムザンガム、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、カードラン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、微結晶セルロース、発酵セルロース、微小繊維状セルロース等のセルロース誘導体、水溶性ヘミセルロース、大豆多糖類、加工・化工でん粉、未加工・未化工でん粉(生でん粉)などを挙げることができる。
他には、果汁、果肉、乳成分、スクラロース、ソーマチン、アセスルファムカリウム、アスパルテーム等の高甘味度甘味料:ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類;鉄、カルシウム、マグネシウム等の各種ミネラル類:香料:着色料:調味料:酸化防止剤:日持向上剤:保存料;α、βアミラーゼ、α、βグルコシダ−ゼ、パパイン等の酵素;クエン酸、フマル酸、コハク酸等の酸味料、pH調整剤;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン、ポリソルベート等の乳化剤等を添加することができる。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、処方中、特に記載のない限り、「部」は「重量部」を示すものとし、文中「*」印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標を示す。
実施例1〜6:フルーツグミゼリー(青りんご味)の調製
下記表1の処方のうち、ソルビトールに表2に記載のゲル化剤を加え、ダマにならないように混合した後、水を加えて更に混合し、攪拌しつつ加熱し煮沸させる。次に水飴を加え、攪拌しながら色素、トレハロース、砂糖の順番で加え、糖度80%となるまで煮詰める。次に、果汁と、少量の水に溶解したクエン酸三ナトリウム及びクエン酸を加え、混合した後、香料を加えて、全体を均一に混合した後、モールドに充填して固化させて、フルーツグミゼリーを調製した(糖度80%、pH3.8)。
得られたグミゼリーについて、弾力性及び歯付きについての食感を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2006081420
Figure 2006081420
注1)使用ゲル化剤として、以下の製品を使用した。
・キサンタンガムA:サンエース※*(アセチル基含量2〜6%のキサンタンガム)
・キサンタンガムB:サンエース※NXG*
(アセチル基含量1%以下のキサンタンガム)
・ローカストビーンガム:ローカストビンガムF*
・プルラン:プルラン:PF20(微粉)(株式会社林原製)
・寒天:伊那寒天UP−37(伊那食品工業製)
・ペクチン:グリーンステッドペクチンXSS 100(DANISCO社製)
表2より、キサンタンガム及びローカストビーンガムを併用したグミゼリーは、高糖度にもかかわらずしっかりとしたゲルを形成しており、中でも、キサンタンガムについて、アセチル基含量1%以下のキサンタンガムを使用した場合には、弾力性のある優れた食感を有していた。更に、プルランを併用すると、弾力のある、優れた食感は保持したままで、歯付きを有意に抑制することができ、更にペクチンを併用すると、弾力性のある食感は維持されたままで、しっかりとしたゲルの形成に補助的に作用することが判った。
それに対して、寒天を使用したグミゼリーはしっかりとしたゲルを形成せず、食感も弾力性に乏しかった。更に、HMペクチンのみを使用した場合には、しっかりとしたゲルは形成するものの、弾力性のある食感は得られず、固く、さくい食感であった。
本発明により、グミゼリーやチューイングキャンデーなどの、高糖度であり水分含量が少ないゲル組成物に関して、噛み応えのある充分な弾力性も有し、更には、噛んだ時に歯にくっつかない(歯付きの改善された)ゲル組成物を提供できる。

Claims (4)

  1. キサンタンガム及びローカストビーンガムを併用し、糖度70〜90%であることを特徴とするゲル組成物。
  2. キサンタンガムを、アセチル基含量が1%以下のものを使用する請求項1に記載のゲル組成物。
  3. 更に、プルランを併用する、請求項1又は2に記載のゲル組成物。
  4. 更に、ペクチンを併用する、請求項1乃至3のいずれかに記載のゲル組成物。






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* Cited by examiner, † Cited by third party
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